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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142291
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042420
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】中村 やよい
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 歩
(72)【発明者】
【氏名】小林 君平
【テーマコード(参考)】
2H192
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB13
2H192BB53
2H192BC31
2H192CB05
2H192CB71
2H192CC04
2H192CC55
2H192EA04
2H192EA13
2H192EA17
2H192EA42
2H192EA67
2H192EA74
2H192GA06
2H192GA31
2H192GD45
2H192JA33
(57)【要約】
【課題】 表示特性を向上させることが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置は、対向配置された第1及び第2基板10、11と、第1及び第2基板10、11間に設けられた液晶層12と、第1基板10上に設けられたスイッチング素子13と、スイッチング素子13上に設けられた第1絶縁層19と、第1絶縁層19上かつスイッチング素子13の上方に設けられ、第1方向に延び、金属で構成された遮光層20と、遮光層20上に設けられた反射抑制層21とを含む。第2基板11には、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが設けられない。
【選択図】 図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板間に設けられた液晶層と、
前記第1基板上に設けられたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子上に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上かつ前記スイッチング素子の上方に設けられ、第1方向に延び、金属で構成された遮光層と、
前記遮光層上に設けられた反射抑制層と、
を具備し、
前記第2基板には、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが設けられない
液晶表示装置。
【請求項2】
前記反射抑制層は、アモルファスシリコンで構成される
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記遮光層には、共通電圧が印加される
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1基板上に設けられ、前記スイッチング素子に電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる信号線をさらに具備し、
前記遮光層及び前記反射抑制層は、前記信号線をさらに覆うように構成される
請求項1乃至3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1絶縁層及び前記反射抑制層は、画素を囲むように構成される
請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1絶縁層及び前記反射抑制層上に設けられたカラーフィルタをさらに具備する
請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記カラーフィルタ上に設けられ、前記スイッチング素子に電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる画素電極と、
前記画素電極上に設けられた第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上かつ前記画素電極の上方に設けられ、前記第2方向に延びるスリットを有する共通電極と、
をさらに具備する
請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタと前記画素電極との間に設けられた平坦化層をさらに具備する
請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1基板には、ブラックマトリクスが設けられない
請求項1乃至8の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1基板には、カラーフィルタが設けられない
請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記液晶層は、水平配向型である
請求項1乃至10の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末など屋外で使用する液晶表示装置は、屋外での視認性が要求される。
【0003】
液晶表示装置は、偏光板、ガラス基板、ブラックマトリクス、及び金属配線などの部材を含む。これらの部材は、液晶表示装置に入射する外光を反射する。外光が液晶表示装置の表面及び内部で反射された反射光は、表示画像を見えにくくし、表示特性が劣化する原因となる。このため、液晶表示装置において、屋外での視認性を改善することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-140181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、表示特性を向上させることが可能な液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によると、対向配置された第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に設けられた液晶層と、前記第1基板上に設けられたスイッチング素子と、前記スイッチング素子上に設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層上かつ前記スイッチング素子の上方に設けられ、第1方向に延び、金属で構成された遮光層と、前記遮光層上に設けられた反射抑制層とを具備し、前記第2基板には、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが設けられない、液晶表示装置が提供される。
【0007】
本発明の第2態様によると、前記反射抑制層は、アモルファスシリコンで構成される、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0008】
本発明の第3態様によると、前記遮光層には、共通電圧が印加される、第1又は2態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第4態様によると、前記第1基板上に設けられ、前記スイッチング素子に電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる信号線をさらに具備し、前記遮光層及び前記反射抑制層は、前記信号線をさらに覆うように構成される、第1乃至3態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第5態様によると、前記第1絶縁層及び前記反射抑制層は、画素を囲むように構成される、第1乃至4態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第6態様によると、前記第1絶縁層及び前記反射抑制層上に設けられたカラーフィルタをさらに具備する、第1乃至5態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第7態様によると、前記カラーフィルタ上に設けられ、前記スイッチング素子に電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる画素電極と、前記画素電極上に設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層上かつ前記画素電極の上方に設けられ、前記第2方向に延びるスリットを有する共通電極とをさらに具備する、第6態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第8態様によると、前記カラーフィルタと前記画素電極との間に設けられた平坦化層をさらに具備する、第7態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0014】
本発明の第9態様によると、前記第1基板には、ブラックマトリクスが設けられない、第1乃至8態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0015】
本発明の第10態様によると、前記第1基板には、カラーフィルタが設けられない、第1乃至5態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0016】
本発明の第11態様によると、前記液晶層は、水平配向型である、第1乃至10態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示特性を向上させることが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、液晶表示装置の観察方法を説明する模式図である。
図2図2は、円偏光素子の構成と偏光状態とを説明する模式図である。
図3図3は、直線偏光素子の構成と偏光状態とを説明する模式図である。
図4図4は、直線偏光素子及び円偏光素子における反射光の発生例1を説明する図である。
図5図5は、液晶表示装置の反射光の発生例2を説明する図である。
図6図6は、エッジ部からの光の干渉を説明する模式的な断面図である。
図7図7は、エッジ部からの光の干渉を説明する模式的な平面図である。
図8図8は、液晶表示装置に含まれる部材のエッジ部における回折光を主として説明する断面図である。
図9図9は、液晶表示装置の金属層及びブラックマトリクスにおける反射光を説明する断面図である。
図10図10は、液晶表示装置のカラーフィルタにおける反射光及び回折光を説明する断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る液晶表示装置のブロック図である。
図12図12は、第1実施形態に係る液晶表示パネルの平面図である。
図13図13は、液晶表示パネルのうち共通電極より下の構成を説明する平面図である。
図14図14は、液晶表示パネルに含まれる共通電極を抽出した平面図である。
図15図15は、図12のA-A´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図16図16は、図12のB-B´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図17図17は、反射抑制層による反射抑制効果を説明する図である。
図18図18は、図17に示した比較例及び実施例における光の波長と反射率との関係を説明する図である。
図19図19は、第2実施形態に係るA-A´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図20図20は、第2実施形態に係るB-B´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図21図21は、第3実施形態に係るA-A´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図22図22は、第4実施形態に係る液晶表示パネルの平面図である。
図23図23は、図22のA-A´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図24図24は、図22のB-B´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図25図25は、第5実施形態に係るA-A´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
図26図26は、第5実施形態に係るB-B´線に沿った液晶表示パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
[考察]
図1は、液晶表示装置LCDの観察方法を説明する模式図である。
【0021】
液晶表示装置LCDは、黒幕の上に載置される。液晶表示装置には、表示画面に対応する上面から光が照射される。観察者は、光が照射された液晶表示装置による反射光の様子を観察する。
【0022】
図2は、円偏光素子の構成(円偏光素子配置)と偏光状態とを説明する模式図である。円偏光素子は、光の入射側から順に、直線偏光板、λ/4板、及び反射体が配置されて構成される。λは、波長である。
【0023】
直線偏光板は、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。λ/4板は、互いに直交する遅相軸及び進相軸を有する。λ/4板の遅相軸は、直線偏光板の透過軸に対してほぼ45度の角度をなすように設定される。反射体は、例えば鏡である。
【0024】
入射光が直線偏光板を透過すると、直線偏光板の透過軸と平行な直線偏光となる。直線偏光がλ/4板を透過すると、円偏光となる。円偏光は、反射体で反射される。反射体で反射された反射光は、偏光方向が逆回転となる。反射光がλ/4板を透過すると、直線偏光板の透過軸と直交する直線偏光となる。直線偏光は、直線偏光板で吸収される。よって、円偏光素子では、出射光としての反射光が抑制される。
【0025】
図3は、直線偏光素子の構成(直線偏光素子配置)と偏光状態とを説明する模式図である。直線偏光素子は、光の入射側から順に、直線偏光板、及び反射体が配置されて構成される。直線偏光板は、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。反射体は、例えば鏡である。
【0026】
入射光が直線偏光板を透過すると、直線偏光板の透過軸と平行な直線偏光となる。直線偏光は、反射体で反射される。反射後の偏光方向に変化はない。反射光は、直線偏光板を透過する。よって、直線偏光素子では、出射光としての反射光が抑制されない。
【0027】
図4は、直線偏光素子及び円偏光素子における反射光の発生例1を説明する図である。円偏光素子では、図2で説明したように、反射体で反射後の直線偏光が直線偏光板の透過軸と直交するため、反射光が抑制され、反射光が見えにくくなる。
【0028】
直線偏光素子では、図3で説明したように、反射体で反射後の直線偏光が直線偏光板の透過軸と平行であるため、反射光が抑制されず、反射光が見えやすい。直線偏光素子では、図4に示すように、十字反射光が発生している。
【0029】
図5は、液晶表示装置の反射光の発生例2を説明する図である。液晶表示装置は、走査線GL及び信号線SLを有する。走査線GL及び信号線SLは、金属で構成される。よって、走査線GL及び信号線SLは、光を反射するため、観察者に視認される反射光の要因となる。
【0030】
図5には、走査線GLと信号線SLとが直交する液晶表示装置(図5のGL/SL直交)と、直線上の走査線GLと蛇行した信号線SLとを有する液晶表示装置(SL蛇行)との2つの例における反射光の様子を示している。
【0031】
GL/SL直交では、十字反射光が発生している。SL蛇行では、縦方向の反射光と、横方向の交差する2本の反射光とが発生している。
【0032】
次に、液晶表示装置に入射する光の干渉について説明する。
スリットからの光の干渉は、ヤング干渉として知られている。平行に配置された2個のスリットを通過した光は、所定の位置で強め合い、スリットから所定の位置に配置されたスクリーン上に明暗の干渉縞が形成される。スリットからの回折パターンと逆に、スリットの穴の部分に物体を置いて光を遮るように作成したナイフエッジから起こる回折パターンでは、スリットからの光の干渉と同じ回折パターンになる(バビネの原理)。
【0033】
図6は、エッジ部からの光の干渉を説明する模式的な断面図である。図7は、エッジ部からの光の干渉を説明する模式的な平面図であり、図6を上から見た図である。ガラス基板には、遮光層としてのブラックマトリクスBMが設けられる。
【0034】
ブラックマトリクスBMのエッジ部では、回折光が発生する。また、複数のエッジ部で発生した回折光は干渉して強め合う。液晶表示装置に含まれる部材のエッジ部が回折光の原因となる。
【0035】
図8は、液晶表示装置に含まれる部材のエッジ部における回折光を主として説明する断面図である。液晶表示装置は、バックライト100、透明基板101、102、液晶層103、金属層104、ブラックマトリクス105、及びカラーフィルタ106(赤フィルタ106R、及び緑フィルタ106Gを含む)を備える。透明基板102側から液晶表示装置に光が入射するものとする。
【0036】
図8の(1)、(2)に示すように、金属層104及びブラックマトリクス105のエッジ部から下側に回折光が入射する。図8の(3)に示すように、入射光は、金属層104で反射する。図8の(4)に示すように、入射光は、バックライト100を構成する部材で反射する。図8の(5)に示すように、入射光は、ブラックマトリクス105のエッジ部で反射する。
【0037】
図9は、液晶表示装置の金属層104及びブラックマトリクス105における反射光を説明する断面図である。図9の(7)に示すように、入射光は、金属層104とブラックマトリクスBMとの間で多重反射し、反射光が透明基板102側から出射される。
【0038】
図10は、液晶表示装置のカラーフィルタ106における反射光及び回折光を説明する断面図である。液晶表示装置は、カラーフィルタ106(赤フィルタ106R、緑フィルタ106G、及び青フィルタ106Bを含む)を備える。液晶表示装置は、ブラックマトリクスを備えていない。
【0039】
図10の(8)に示すように、入射光は、カラーフィルタのエッジ部で反射する。また、カラーフィルタのエッジ部から液晶層103側に回折光が入射する。
【0040】
図8乃至図10で説明した反射光及び回折光が十字反射光の原因となる。図8乃至10を考慮すると、十字反射光を抑制するポイントは、以下のようになる。
(1)透明基板102にエッジ部を形成しない
(2)透明基板101にエッジ部を形成しない
(3)金属層104の反射を抑制する
(4)ブラックマトリクス105による反射を抑制する
(5)カラーフィルタ106による反射を抑制する
以下に、上記考察を加味して構成された液晶表示装置の実施形態について説明する。
【0041】
[1] 第1実施形態
[1-1] 液晶表示装置1の全体構成
本実施形態に係る液晶表示装置は、FFS(fringe field switching)方式の液晶表示装置である。FFS方式は、ホモジニアス配向させた液晶をフリンジ電界でスイッチングする方式である。
【0042】
図11は、第1実施形態に係る液晶表示装置1のブロック図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2、バックライト(照明装置)3、走査線駆動回路4、信号線駆動回路5、共通電極ドライバ6、電圧生成回路7、及び制御回路8を備える。
【0043】
液晶表示パネル2は、複数の画素PXがマトリクス状に配列された画素アレイを備える。液晶表示パネル2には、それぞれがロウ方向に延びる複数の走査線GL1~GLmと、それぞれがカラム方向に延びる複数の信号線SL1~SLnとが配設される。“m”及び“n”はそれぞれ、2以上の整数である。走査線GLと信号線SLとの交差領域には、画素PXが配置される。
【0044】
バックライト3は、液晶表示パネル2の背面に光を照射する面光源である。バックライト3としては、例えば、直下型又はサイドライト型(エッジライト型)のLEDバックライトが用いられる。
【0045】
走査線駆動回路4は、複数の走査線GLに電気的に接続される。走査線駆動回路4は、制御回路8から送られる制御信号に基づいて、画素PXに含まれるスイッチング素子をオン/オフするための走査信号を液晶表示パネル2に送る。
【0046】
信号線駆動回路5は、複数の信号線SLに電気的に接続される。信号線駆動回路5は、制御回路8から制御信号、及び表示データを受ける。信号線駆動回路5は、制御信号に基づいて、表示データに対応する階調信号(駆動電圧)を液晶表示パネル2に送る。
【0047】
共通電極ドライバ6は、共通電圧Vcomを生成し、これを液晶表示パネル2内の共通電極に供給する。電圧生成回路7は、液晶表示装置1の動作に必要な各種電圧を生成して各回路に供給する。
【0048】
制御回路8は、液晶表示装置1の動作を統括的に制御する。制御回路8は、外部から画像データDT及び制御信号CNTを受ける。制御回路8は、画像データDTに基づいて、各種制御信号を生成し、これら制御信号を、対応する回路に送る。
【0049】
[1-2] 液晶表示パネル2の構成
図12は、第1実施形態に係る液晶表示パネル2の平面図である。図13は、液晶表示パネル2のうち共通電極26より下の構成を説明する平面図である。図14は、液晶表示パネル2に含まれる共通電極26を抽出した平面図である。図15は、図12のA-A´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。図16は、図12のB-B´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。図12において、X方向は、走査線が延びる方向であり、Y方向は、X方向に直交する方向である。図12には、1つの画素に対応する部分を抽出して示しており、実際には、図12の画素がマトリクス状に複数個配置される。
【0050】
液晶表示パネル2は、スイッチング素子(TFT)及び画素電極等が形成されるTFT基板10と、TFT基板10に対向配置される対向基板11とを備える。TFT基板10及び対向基板11の各々は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。
【0051】
液晶層12は、TFT基板10及び対向基板11間に挟持及び充填される。具体的には、液晶層12は、TFT基板10、対向基板11、及びシール材(図示せず)によって包囲された表示領域内に封入される。シール材は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFT基板10又は対向基板11に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
【0052】
液晶層12を構成する液晶材料は、印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態では、液晶層12としては、正の誘電率異方性を有するポジ型(P型)のネマティック液晶が用いられる。液晶層12は、初期状態において、水平配向(ホモジニアス配向)される。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板の主面に対してほぼ水平に配向する。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子のダイレクタが電界方向に向かって傾く。
【0053】
まず、TFT基板10側の構成について説明する。TFT基板10の液晶層12側には、画素ごとに、スイッチング素子13が設けられる。スイッチング素子13としては、例えばTFT(Thin Film Transistor)が用いられ、またnチャネルTFTが用いられる。後述するように、TFT13は、走査線として機能するゲート電極と、ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、半導体層上に互いに離間して設けられたソース電極及びドレイン電極とを備える。
【0054】
TFT基板10上には、X方向に延びるゲート電極GLが設けられる。ゲート電極GLは、走査線として機能する。X方向に並んだ1行分の複数の画素は、1本の走査線に共通接続される。TFT基板10及びゲート電極GL上には、ゲート絶縁膜(絶縁層ともいう)14が設けられる。
【0055】
ゲート絶縁膜14上には、画素ごとに、半導体層15が設けられる。半導体層15としては、例えばアモルファスシリコンが用いられる。TFT13の種類については特に制限されない。本実施形態では、エッチングストッパー型TFTを例に挙げて説明する。図15は、エッチングストッパー型TFTを示している。エッチングストッパー型TFTでは、半導体層15上に保護膜16(例えばシリコン酸化膜)を形成し、この保護膜16をエッチングストッパーとしてソース電極及びドレイン電極が加工される。
【0056】
半導体層15及びゲート絶縁膜14上には、Y方向において互いに離間したソース電極17及びドレイン電極18が設けられる。ソース電極17及びドレイン電極18は、半導体層15に部分的に重なる。なお、ソース電極17と半導体層15との間には、これらの電気的接続を良好にするために、高濃度のn型不純物が導入されたn型半導体層を設けてもよい。同様に、ドレイン電極18と半導体層15との間には、n型半導体層を設けてもよい。
【0057】
ゲート絶縁膜14上には、Y方向に延びる信号線SLが設けられる。例えば、信号線SLは、画素の中央部で折れ曲がったくの字形状を有する。信号線SLは、直線状に構成してもよい。信号線SLは、X方向に隣接する2個の画素の境界部分に配置される。Y方向に並んだ1列分の複数の画素は、1本の信号線SLに共通接続される。ソース電極17は、信号線SLに電気的に接続される。
【0058】
ソース電極17、ドレイン電極18、信号線SL、及びゲート絶縁膜14上には、絶縁層19が設けられる。
【0059】
絶縁層19上には、遮光層20が設けられる。遮光層20は、TFT13及び信号線SLを覆うように配置され、TFT13及び信号線SLを遮光する機能を有する。遮光層20は、TFT13の上方においてX方向に延びる第1部分と、信号線SLの上方においてY方向に延びる第2部分とを含む四角枠形状を有する。遮光層20の第1部分の幅(Y方向の長さ)は、半導体層15のY方向の長さより長く設定される。遮光層20の第2部分の幅(X方向の長さ)は、信号線SLの幅(X方向の長さ)より長く設定される。換言すると、遮光層20は、格子状に構成され、各画素を囲むように構成される。遮光層20としては、金属が用いられ、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、又は銀(Ag)などが用いられる。
【0060】
遮光層20上には、反射抑制層21が設けられる。反射抑制層21は、液晶層12側から入射した光の反射を抑制する機能を有する。反射抑制層21の平面形状は、遮光層20の平面形状と同じであり、遮光層20の全体を覆うように構成される。反射抑制層21としては、例えばアモルファスシリコンが用いられる。反射抑制層21の厚さは、例えば、10nm以上40nm以下である。
【0061】
反射抑制層21及び絶縁層19上には、カラーフィルタ22が設けられる。カラーフィルタ22は、赤フィルタ22R、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bを備える。一般的なカラーフィルタは光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で構成される。隣接したR、G、Bの三色のセットが表示の単位(画素)となっており、1つの画素中のR、G、Bのいずれか単色の部分はサブピクセル(サブ画素)と呼ばれる最小駆動単位である。TFT13及び画素電極23は、サブピクセルごとに設けられる。本明細書の説明では、画素とサブ画素との区別が特に必要な場合を除き、サブ画素を画素と呼ぶものとする。カラーフィルタの配列としては、ストライプ配列、モザイク配列、及びデルタ配列を含む任意の配列を適用可能である。図15及び図16では、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bを例示している。赤フィルタ22R、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bは、隣接するもの同士で接している。本明細書では、赤フィルタ22R、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bを特に区別する必要がない場合は、単にカラーフィルタ22と表記する。
【0062】
カラーフィルタ22上には、Y方向に延びる画素電極23が設けられる。画素電極23は、画素ごとに設けられ、おおよそ画素領域全体を覆うサイズを有する。本実施形態では、画素電極23は、画素の中央部で折れ曲がったくの字形状を有する。画素電極23は、直線状に構成してもよい。
【0063】
絶縁層19及びカラーフィルタ22内には、画素電極23とドレイン電極18とを電気的に接続するコンタクトプラグ24が設けられる。ドレイン電極18は、Y方向に延びる凸部を有する。コンタクトプラグ24は、ドレイン電極18の凸部上に設けられる。なお、平面図において、コンタクトプラグ24の図示を省略している。
【0064】
画素電極23及びカラーフィルタ22上には、絶縁層25が設けられる。
【0065】
絶縁層25上には、共通電極26が設けられる。共通電極26は、複数の画素に共通に設けられる。共通電極26は、画素ごとに複数のスリット27を有する。本実施形態では、画素ごとに6個のスリット27が設けられる構成例を示している。スリット27の数は、1個でもよいし、2個以上であってもよい。複数のスリット27は、画素電極23の上方に配置される。複数のスリット27は、等間隔に配置される。スリット27は、画素電極23と同様に、Y方向に延びる。本実施形態では、スリット27は、画素の中央部で折れ曲がったくの字形状を有する。スリット27は、直線状に構成してもよい。
【0066】
スリット27のY方向の長さは、画素電極23のY方向の長さより若干短く設定される。画素電極23のX方向における右側の端部は、最も右側に配置されたスリット27の端部より若干内側に配置される。画素電極23のX方向における左側の端部は、最も左側に配置されたスリット27の端部より若干内側に配置される。
【0067】
共通電極26及び絶縁層25上には、液晶層12の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。配向膜は、液晶層12の初期状態において、液晶分子を水平に配向させる。また、配向膜は、液晶分子の長軸がY方向を向くようにラビング処理される。
【0068】
次に、対向基板11側の構成について説明する。対向基板11の液晶層12側には、液晶層12の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。配向膜は、液晶層12の初期状態において、液晶分子を水平に配向させる。また、配向膜は、液晶分子の長軸がY方向を向くようにラビング処理される。
【0069】
対向基板11の液晶層12と反対側には、導電層28が設けられる。導電層28は、対向基板11の全面に設けられる。導電層28は、グランドGNDに接続され、静電気を含む不要な電荷を放電する機能を有する。導電層28は、特に設けなくてもよい。
【0070】
TFT基板10の液晶層12と反対側には、偏光板29が設けられる。導電層28の対向基板11と反対側には、偏光板30が設けられる。偏光板29及び偏光板30は、直線偏光板であり、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。偏光板29及び偏光板30は、例えば、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。
【0071】
(材料の例示)
ゲート電極GL、ソース電極17、ドレイン電極18、及び信号線SLとしては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等が用いられる。
【0072】
画素電極23、コンタクトプラグ24、共通電極26、及び導電層28は、透明電極から構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。
【0073】
ゲート絶縁膜14、絶縁層19、及び絶縁層25としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。
【0074】
[1-3] 液晶層12の配向
次に、液晶層12の配向について説明する。
【0075】
共通電極26には、共通電極ドライバ6により共通電圧Vcomが印加される。共通電圧Vcomは、例えば0Vである。オフ状態とは、液晶層12に電界が印加されない状態であり、画素電極23には、共通電極26と同じ共通電圧Vcomが印加される。オン状態とは、液晶層12に電界が印加された状態であり、画素電極23には、正電圧が印加される。なお、実際には、画素電極23及び共通電極26間の電界の極性を所定周期で反転させる反転駆動(交流駆動)が行われる。反転駆動を行うことで、液晶が劣化するのを抑制することができる。反転駆動の周期は任意に設定可能である。
【0076】
オフ状態において、液晶分子は、初期状態に設定され、すなわち、液晶分子の長軸は、Y方向に向いている。Y方向は、配向膜のラビング方向と同じである。オフ状態では、液晶表示装置1は、黒を表示する。
【0077】
オン状態において、液晶層12には、共通電極26から画素電極23に向かう電界が印加される。平面視において、液晶分子は、Y方向に対して斜め方向に旋回する。これにより、液晶表示パネル2は、入射光の透過量を制御することができる。すなわち、液晶表示パネル2の透過率を変化させることができる。オン状態では、液晶表示装置1は、カラー表示を行う。
【0078】
[1-4] 動作
上記のように構成された液晶表示装置1の動作について説明する。
【0079】
金属で構成された遮光層20上には、反射抑制層21が設けられる。反射抑制層21は、アモルファスシリコンで構成される。
【0080】
図17は、反射抑制層21による反射抑制効果を説明する図である。図17には、比較例と実施例とを示している。比較例は、反射抑制層なし、遮光層20として膜厚100nm程度のクロム(Cr)が用いられる。実施例は、反射抑制層21として膜厚20nm程度のアモルファスシリコン(a-Si)、遮光層20として膜厚100nm程度のクロム(Cr)が用いられる。
【0081】
比較例では、反射率が54.8%、CIE-xが0.302、CIE-yが0.310である。CIE-x及びCIE-yは、xy色度図による数値である。
【0082】
実施例では、反射率が9.1%、CIE-xが0.273、CIE-yが0.203である。実施例では、反射率が大きく低減されていることが理解できる。
【0083】
図18は、図17に示した比較例及び実施例における光の波長と反射率との関係を説明する図である。図18の横軸が光の波長λ(nm)、縦軸が反射率(%)である。可視光の波長範囲(波長が400~700nm)において、実施例の反射率が大きく低減されている。すなわち、本実施形態では、対向基板11側から液晶表示装置1に外光が入射した場合、外光が遮光層20で反射されるのを抑制できる。
【0084】
制御回路8及び共通電極ドライバ6は、遮光層20に共通電圧Vcomを印加する。具体的には、遮光層20が表示領域の周囲の周辺領域において共通電極26に電気的に接続されることで、遮光層20には、共通電極26を介して共通電圧Vcomが供給される。これにより、遮光層20の電位によって液晶層12の配向が乱れるのを抑制できる。
【0085】
金属層上にアモルファスシリコン層を形成することで反射率が低下するため、遮光層20及び反射抑制層21の積層膜を、カラーフィルタ用のブラックマトリクス(ブラックマスクともいう)として利用できる。これにより、黒色樹脂で構成されるブラックマトリクスなしのカラーフィルタ構造が実現できる。
【0086】
黒色樹脂で構成されるブラックマトリクスの反射率は、3~4%程度である。金属層とアモルファスシリコン層との積層膜が配置された領域では、この積層膜で光が反射してカラーフィルタ22を2回通過することで、光量が低下する。これにより、金属層とアモルファスシリコン層との積層膜は、黒色樹脂からなるブラックマトリクスと同等以下の反射率となる。よって、遮光層20及び反射抑制層21の積層膜は、ブラックマトリクスの代替として十分利用できる。
【0087】
液晶表示装置1にブラックマトリクスを設けないことで、ブラックマトリクスのエッジでの反射光をなくすことができ、また、ブラックマトリクスのエッジで発生する回折光をなくすことができる。
【0088】
[1-5] 第1実施形態の効果
以上詳述したように第1実施形態では、TFT13を遮光するための遮光層20上に、シリコン(Si)からなる反射抑制層21を設ける。また、遮光層20と反射抑制層21との積層膜をブラックマトリスクとして用いることで、黒色樹脂などで構成されたブラックマトリクスをなくすようにしている。
【0089】
従って第1実施形態によれば、対向基板11側から液晶表示装置1に外光が入射した場合、外光が遮光層20で反射されるのを抑制できる。これにより、表示特性を向上させることが可能な液晶表示装置1を実現できる。
【0090】
また、黒色樹脂などで構成されたブラックマトリクスに起因する反射光及び回折光をなくすことができる。これにより、ブラックマトリクスに起因して表示特性が劣化するのを防ぐことができる。
【0091】
また、ブラックマトリクスとTFTを構成する金属層との間で多重反射した光が観察者側に反射するのを防ぐことができる。
【0092】
また、対向基板11にもブラックマトリクスが設けられない。さらに、対向基板11には、エッジを形成する部材が存在しない。これにより、対向基板11に起因する反射光及び回折光を抑制できる。
【0093】
これらの効果により、液晶表示装置1全体での反射率を低減することができ、結果的に十字反射光を抑制することが可能となる。
【0094】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、カラーフィルタ22上に平坦化層を設け、カラーフィルタ22上面の平坦性を向上させるようにしている。
【0095】
図19は、第2実施形態に係るA-A´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。図20は、第2実施形態に係るB-B´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。第2実施形態に係る液晶表示パネル2の平面図は、図12乃至図14と同じである。
【0096】
カラーフィルタ22上には、平坦化層31が設けられる。平坦化層31は、カラーフィルタ22上面を平坦化するとともに、カラーフィルタ22の段差被覆性を向上させる機能を有する。赤フィルタ22R、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bは、互いの膜厚が異なる場合がある。この場合、平坦化層31を設けることで、カラーフィルタ22の段差被覆性を向上できる。平坦化層31としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えば、シリコン窒化物(SiN)、又はシリコン酸化物(SiOx)などが用いられる。
【0097】
平坦化層31上には、画素電極23が設けられる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0098】
第2実施形態によれば、カラーフィルタ22上面の平坦性、及び段差被覆性を向上できる。これにより、平坦化層31上に形成される画素電極23の平坦性を向上できる。よって、液晶表示装置1の表示特性を向上できる。
【0099】
[3] 第3実施形態
第1実施形態では、エッチングストッパー型TFTの構成例について示している。TFTの種類としては、チャネルエッチ型であってもよい。第3実施形態は、チャネルエッチ型TFTを備えた液晶表示装置1の構成例である。
【0100】
図21は、第3実施形態に係るA-A´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。第3実施形態に係る液晶表示パネル2の平面図は、図12乃至図14と同じである。第3実施形態に係るB-B´線に沿った液晶表示パネル2の断面図は、図16と同じである。
【0101】
チャネルエッチ型TFTでは、エッチングストッパーを形成せず、ソース電極17及びドレイン電極18を加工する。例えば、半導体層15の上面には、ソース電極17及びドレイン電極18を加工した際にエッチングされた窪みが形成される。
【0102】
半導体層15は、例えばアモルファスシリコンで構成される。なお、半導体層15は、ポリシリコンで構成してもよい。エッチングストッパー型においても、半導体層15としてポリシリコンを用いてもよい。
【0103】
その他の構成は、第1実施形態と同じである。第3実施形態の効果も第1実施形態と同じである。
【0104】
[4] 第4実施形態
第4実施形態は、画素電極23と共通電極26との配置を逆にし、共通電極26を下側に、画素電極23を上側に配置するようにしている。
【0105】
図22は、第4実施形態に係る液晶表示パネル2の平面図である。図23は、図22のA-A´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。図24は、図22のB-B´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。
【0106】
遮光層20及び反射抑制層21の積層膜から下側の構成は、第1実施形態と同じである。
【0107】
反射抑制層21及び絶縁層19上には、共通電極26が設けられる。共通電極26は、表示領域全体に平面状に設けられ、複数の画素に共通に設けられる。第1実施形態と異なり、第4実施形態の共通電極26は、スリットを有していない。
【0108】
共通電極26上には、カラーフィルタ22(赤フィルタ22R、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bを含む)が設けられる。図23及び図24では、緑フィルタ22G、及び青フィルタ22Bを例示している。
【0109】
カラーフィルタ22上には、Y方向に延びる画素電極23が設けられる。画素電極23は、画素ごとに設けられ、おおよそ画素領域全体を覆うサイズを有する。本実施形態では、画素電極23は、画素の中央部で折れ曲がったくの字形状を有する。画素電極23は、直線状に構成してもよい。
【0110】
画素電極23は、複数のスリット27を有する。本実施形態では、画素電極23が6個のスリット27を有する構成例を示している。スリット27の数は、1個でもよいし、2個以上であってもよい。複数のスリット27は、等間隔に配置される。スリット27は、Y方向に延びる。本実施形態では、スリット27は、画素の中央部で折れ曲がったくの字形状を有する。スリット27は、直線状に構成してもよい。
【0111】
絶縁層19及びカラーフィルタ22内には、画素電極23とドレイン電極18とを電気的に接続するコンタクトプラグ24が設けられる。ドレイン電極18は、Y方向に延びる凸部を有する。コンタクトプラグ24は、ドレイン電極18の凸部上に設けられる。共通電極26は、コンタクトプラグ24が通る開口部を有する。なお、平面図において、コンタクトプラグ24、及びコンタクトプラグ24が通る開口部の図示を省略している。
【0112】
画素電極23及びカラーフィルタ22上には、液晶層12の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。
【0113】
第4実施形態によれば、第1実施形態と比べて層間絶縁層(絶縁層25)を一層減らすことができる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
【0114】
なお、第2実施形態と同様に、カラーフィルタ22上に平坦化層31を設けるようにしてもよい。
【0115】
[5] 第5実施形態
第5実施形態は、白黒表示を行う液晶表示装置1の構成例である。第5実施形態に係る液晶表示装置1は、カラーフィルタを有していない。
【0116】
図25は、第5実施形態に係るA-A´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。図26は、第5実施形態に係るB-B´線に沿った液晶表示パネル2の断面図である。第5実施形態に係る液晶表示パネル2の平面図は、図12乃至図14と同じである。
【0117】
反射抑制層21及び絶縁層19上には、絶縁層32が設けられる。絶縁層32としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。絶縁層32上には、画素電極23が設けられる。
【0118】
画素電極23及び絶縁層32上には、絶縁層25が設けられる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0119】
オフ状態では、液晶表示装置1は、黒を表示する。オン状態では、液晶表示装置1は、白を表示する。
【0120】
第5実施形態では、カラーフィルタが存在しないので、隣接しかつ色の異なるカラーフィルタの境界部が存在しない。よって、カラーフィルタに起因する反射光及び回折光をなくすことができる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。なお、第5実施形態に第4実施形態を適用することも可能である。
【0121】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0122】
1…液晶表示装置、2…液晶表示パネル、3…バックライト、4…走査線駆動回路、5…信号線駆動回路、6…共通電極ドライバ、7…電圧生成回路、8…制御回路、10…TFT基板、11…対向基板、12…液晶層、13…スイッチング素子、14…ゲート絶縁膜、15…半導体層、16…保護膜、17…ソース電極、18…ドレイン電極、19…絶縁層、20…遮光層、21…反射抑制層、22…カラーフィルタ、23…画素電極、24…コンタクトプラグ、25…絶縁層、26…共通電極、27…スリット、28…導電層、29,30…偏光板、31…平坦化層、32…絶縁層、100…バックライト、101,102…透明基板、103…液晶層、104…金属層、105…ブラックマトリクス、106…カラーフィルタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
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