(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142319
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20220922BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G11C11/16 230
G11C13/00 270F
G11C13/00 400G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042453
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】須之内 一正
(57)【要約】
【課題】効率的な読み出し動作を行うことが可能な記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る記憶装置は、それぞれが抵抗変化記憶素子を含む複数のメモリセルMC1~MC9がアレイ状に配置されたメモリセルアレイ部100と、所望のメモリセルに含まれる所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する検出回路と、を備える記憶装置であって、メモリセルアレイ部は、複数のメモリセルをそれぞれが含む複数のメモリセルブロックBLK1~BLK6を含み、検出回路は、所望の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく検出対象値を、所望のメモリセルが属するメモリセルブロックに含まれる参照メモリセルに含まれる抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく参照値と比較することで、所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが抵抗変化記憶素子を含む複数のメモリセルがアレイ状に配置されたメモリセルアレイ部と、
所望の前記メモリセルに含まれる所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する検出回路と、
を備える記憶装置であって、
前記メモリセルアレイ部は、複数の前記メモリセルをそれぞれが含む複数のメモリセルブロックを含み、
前記検出回路は、前記所望の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく検出対象値を、前記所望のメモリセルが属するメモリセルブロックに含まれる参照メモリセルに含まれる抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく参照値と比較することで、前記所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記参照メモリセルは、同一のメモリセルブロック内で変更可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記参照メモリセルに設定されている抵抗状態は変更可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記検出回路は、前記検出対象値を前記参照値と比較した後、前記所望のメモリセルが属するメモリセルブロックに含まれる他の所望の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく検出対象値を前記参照値と比較することで、前記他の所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項5】
それぞれが第1の抵抗変化記憶素子を含む複数の第1のメモリセルがアレイ状に配置された第1のメモリセルアレイ部と、
それぞれが第2の抵抗変化記憶素子を含む複数の第2のメモリセルがアレイ状に配置された第2のメモリセルアレイ部と、
所望の前記第2のメモリセルに含まれる所望の前記第2の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する検出回路と、
を備える記憶装置であって、
前記検出回路は、前記所望の第2の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく検出対象値を、前記複数の第1のメモリセルの中の参照メモリセルに含まれる第1の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく参照値と比較することで、前記所望の第2の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
前記第1のメモリセルアレイ部と前記第2のメモリセルアレイ部とは、互いに等価な構成を有し、
前記第1のメモリセルアレイ部は、複数の前記第1のメモリセルをそれぞれが含む複数の第1のメモリセルブロックを含み、
前記第2のメモリセルアレイ部は、複数の前記第2のメモリセルをそれぞれが含む複数の第2のメモリセルブロックを含み、
前記参照メモリセルが属する第1のメモリセルブロックの前記第1のメモリセルアレイ部における位置と、前記所望の第2のメモリセルが属する第2のメモリセルブロックの前記第2のメモリセルアレイ部における位置とは、互いに対応している
ことを特徴とする請求項5に記載の記憶装置。
【請求項7】
前記検出回路は、前記第1のメモリセルアレイ部と前記第2のメモリセルアレイ部との間に位置している
ことを特徴とする請求項5に記載の記憶装置。
【請求項8】
前記検出回路は、前記検出対象値と前記参照値とを並行して検出することで、前記所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の記憶装置。
【請求項9】
それぞれが抵抗変化記憶素子を含む複数のメモリセルと、
所望の前記メモリセルに含まれる所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する検出回路と、
を備える記憶装置であって、
前記検出回路は、前記所望の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく検出対象値を、前記複数のメモリセルの中の複数の参照メモリセルに含まれる同一の抵抗状態に設定された抵抗変化記憶素子の複数の抵抗値に基づく参照値と比較することで、前記所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する
ことを特徴とする記憶装置。
【請求項10】
前記参照値は、前記複数の参照メモリセルに含まれる抵抗変化記憶素子の複数の抵抗値の平均値に基づく値である
ことを特徴とする請求項9に記載の記憶装置。
【請求項11】
前記複数のメモリセルは、前記複数のメモリセルがアレイ状に配置されたメモリセルアレイ部に含まれ、
前記メモリセルアレイ部は、複数の前記メモリセルをそれぞれが含む複数のメモリセルブロックを含み、
前記複数の参照メモリセルは、同一のメモリセルブロックに属し、
前記所望のメモリセルは、前記複数の参照メモリセルが属していないメモリセルブロックに属している
ことを特徴とする請求項9に記載の記憶装置。
【請求項12】
前記複数の参照メモリセルは、複数の前記メモリセルがアレイ状に配置された第1のメモリセルアレイ部に含まれ、
前記所望のメモリセルは、複数の前記メモリセルがアレイ状に配置された第2のメモリセルアレイ部に含まれる
ことを特徴とする請求項9に記載の記憶装置。
【請求項13】
前記メモリセルは、前記抵抗変化記憶素子に対して直列に接続されたスイッチング素子をさらに含む
ことを特徴とする請求項1、5又は9のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項14】
前記抵抗変化記憶素子は磁気抵抗効果素子である
ことを特徴とする請求項1、5又は9のいずれか1項に記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果素子等の抵抗変化記憶素子が集積化された不揮発性の記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
効率的な読み出し動作を行うことが可能な記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る記憶装置は、それぞれが抵抗変化記憶素子を含む複数のメモリセルがアレイ状に配置されたメモリセルアレイ部と、所望の前記メモリセルに含まれる所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する検出回路と、を備える記憶装置であって、前記メモリセルアレイ部は、複数の前記メモリセルをそれぞれが含む複数のメモリセルブロックを含み、前記検出回路は、前記所望の抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく検出対象値を、前記所望のメモリセルが属するメモリセルブロックに含まれる参照メモリセルに含まれる抵抗変化記憶素子の抵抗値に基づく参照値と比較することで、前記所望の抵抗変化記憶素子に設定されている抵抗状態を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る記憶装置の全体的な概略構成を示したブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る記憶装置のメモリセルアレイ部の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る記憶装置の磁気抵抗効果素子の構成を模式的に示した断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る記憶装置のセレクタの構成を模式的に示した断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る記憶装置のセレクタの電流-電圧特性の一例を模式的に示した図である。
【
図6】第1の実施形態に係る記憶装置の具体的な構成及び動作を説明するための図である。
【
図7】第1の実施形態に係る記憶装置の検出回路の構成を示した図である。
【
図8】第1の実施形態に係る記憶装置の読み出し動作について示した図である。
【
図9】第1の実施形態に係る記憶装置の読み出し動作の変形例について示した図である。
【
図10】第2の実施形態に係る記憶装置の具体的な構成及び動作を説明するための図である。
【
図11】第2の実施形態に係る記憶装置の検出回路の構成を示した図である。
【
図12】第2の実施形態に係る記憶装置の読み出し動作について示した図である。
【
図13】第3の実施形態に係る記憶装置の具体的な構成及び動作を説明するための図である。
【
図14】第3の実施形態に係る記憶装置の検出回路の構成を示した図である。
【
図15】第3の実施形態に係る記憶装置の読み出し動作について示した図である。
【
図16】第3の実施形態に係る記憶装置の読み出し動作の変形例について示した図である。
【
図17】第3の実施形態の変形例に係る記憶装置の構成及び動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性の記憶装置の全体的な概略構成を示したブロック図である。なお、以下の説明では、記憶装置として磁気記憶装置を例に説明する。
【0009】
本実施形態の磁気記憶装置は、メモリセルアレイ部100と、ワード線制御回路200と、ビット線制御回路300とを備えている。なお、
図1に示したメモリセルアレイ部100、ワード線制御回路200及びビット線制御回路300によってメモリユニットが構成され、複数のメモリユニットによって磁気記憶装置が構成されていてもよい。
【0010】
図2は、メモリセルアレイ部100の構成を模式的に示した斜視図である。
【0011】
メモリセルアレイ部100は、半導体基板(図示せず)を含む下部領域(図示せず)上に設けられており、複数のワード線110と、複数のワード線110と交差する複数のビット線120と、複数のワード線110と複数のビット線120との間に接続された複数のメモリセル130とを備えている。
【0012】
なお、図に示されたX方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差する方向である。より具体的には、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交している。
【0013】
ワード線110及びビット線120は、メモリセル130に対して書き込み或いは読み出しを行う際にメモリセル130に対して所定の信号を供給するものである。なお、
図2では、ワード線110が下層側に位置し、ビット線120が上層側に位置しているが、ワード線110が上層側に位置し、ビット線120が下層側に位置していてもよい。
【0014】
メモリセル130は、不揮発性の抵抗変化記憶素子である磁気抵抗効果素子140と、磁気抵抗効果素子140に対して直列に接続されたセレクタ(スイッチング素子)150とを含んでいる。
【0015】
なお、
図2では、磁気抵抗効果素子140が下層側に位置し、セレクタ150が上層側に位置しているが、磁気抵抗効果素子140が上層側に位置し、セレクタ150が下層側に位置していてもよい。
【0016】
図3は、磁気抵抗効果素子140の構成を模式的に示した断面図である。
【0017】
本実施形態の磁気抵抗効果素子140は、MTJ(magnetic tunnel junction)素子であり、記憶層(第1の磁性層)141と、参照層(第2の磁性層)142と、トンネルバリア層(非磁性層)143とを含んでいる。
【0018】
記憶層141は、可変の磁化方向を有する強磁性層である。可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。記憶層141は例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びボロン(B)を含有するCoFeB層で形成されている。
【0019】
参照層142は、固定された磁化方向を有する強磁性層である。固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。参照層142は例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びボロン(B)を含有するCoFeB層と、コバルト(Co)と、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)から選択された所定元素との超格子層とで形成されている。
【0020】
トンネルバリア層143は、記憶層141と参照層142との間に設けられた絶縁層である。トンネルバリア層143は例えば、マグネシウム(Mg)及び酸素(O)を含有するMgO層で形成されている。
【0021】
記憶層141の磁化方向が参照層142の磁化方向に対して平行である場合には、磁気抵抗効果素子140は相対的に抵抗が低い低抵抗状態であり、記憶層141の磁化方向が参照層142の磁化方向に対して反平行である場合には、磁気抵抗効果素子140は相対的に抵抗が高い高抵抗状態である。したがって、磁気抵抗効果素子140は、抵抗状態(低抵抗状態、高抵抗状態)に応じて、2値データを記憶することが可能である。また、磁気抵抗効果素子140には、書き込み電流の方向に応じて、低抵抗状態又は高抵抗状態を設定することが可能である。
【0022】
本実施形態の磁気抵抗効果素子140は、STT(spin transfer torque)型の磁気抵抗効果素子であり、垂直磁化を有している。すなわち、記憶層141の磁化方向は記憶層141の膜面に対して垂直であり、参照層142の磁化方向は参照層142の膜面に対して垂直である。
【0023】
なお、
図3に示した磁気抵抗効果素子140は、記憶層141が下層側に位置し、参照層142が上層側に位置するボトムフリー型の構造を有しているが、記憶層141が上層側に位置し、参照層142が下層側に位置するトップフリー型の構造を有する磁気抵抗効果素子を用いてもよい。
【0024】
図4は、セレクタ150の構成を模式的に示した断面図である。
【0025】
セレクタ150は、下部電極151と、上部電極152と、下部電極151と上部電極152との間に位置するセレクタ材料層(スイッチング材料層)153とを含んでいる。セレクタ150は、2端子型のスイッチング素子であり、非線形な電流-電圧特性を有している。セレクタ150は、その2端子間に印加される電圧が閾値未満の場合には高抵抗状態、例えば電気的に非導通状態であり、2端子間に印加される電圧が閾値以上の場合には低抵抗状態、例えば電気的に導通状態となる。
【0026】
図5は、セレクタ150の電流-電圧特性の一例を模式的に示した図である。セレクタ150は、2端子間の電圧が上昇して閾値電圧Vthに達すると、2端子間に流れる電流が急激に増加する。また、2端子間の電圧が減少してホールド電圧Vholdに達すると、2端子間に流れる電流はホールド電流Iholdhからホールド電流Iholdlに移行する。
【0027】
ワード線110とビット線120との間に所定電圧以上の電圧を印加することで、セレクタ150がオン状態(導通状態)となり、セレクタ150に直列に接続された磁気抵抗効果素子140に対して書き込み或いは読み出しを行うことが可能となる。
【0028】
図6は、本実施形態に係る磁気記憶装置の具体的な構成及び動作を説明するための図であり、メモリセルアレイ部100の構成を模式的に示した図である。
【0029】
メモリセルアレイ部100は、複数のメモリセルMC(MC1~MC9、メモリセル130に対応)がアレイ状に配置された構成を有しており、複数のメモリセルブロックBLK(BLK1~BLK6)を含んでいる。各メモリセルブロックBLK1~BLK6は、複数のメモリセルMC1~MC9を含んでいる。なお、
図6では、説明の簡単化のために6つのメモリセルブロックBLK1~BLK6が示されているが、1つのメモリセルアレイ部100に含まれるメモリセルブロックBLKの数は限定されない。
【0030】
メモリセルブロックBLK1~BLK6は、メモリセルアレイを格子状に分割することで規定され、各メモリセルブロックBLK1~BLK6内では、メモリセルMC1~MC9は互いに近接した位置に設けられている。なお、
図6に示した例では、1つのメモリセルブロックBLKに9つのメモリセルMCが含まれているが、1つのメモリセルブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数は限定されない。
【0031】
各メモリセルブロックBLK1~BLK6において、メモリセルMC1~MC9には参照メモリセルが含まれている。参照メモリセルは、各メモリセルブロックBLK1~BLK6の中央に設定されている。本実施形態では、メモリセルMC5が参照メモリセルとして機能する。参照メモリセルは、参照メモリセルが含まれる(属する)メモリセルブロックBLKに含まれる検出対象メモリセル(MC1、MC2、MC3、MC4、MC6、MC7、MC8及びMC9のいずれか)に記憶されているデータを読み出す際に用いられる参照データを記憶するものである。具体的には、参照メモリセルには、参照メモリセルに含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗状態に基づくデータが、参照データとして記憶される。より具体的には、参照磁気抵抗効果素子の抵抗状態(参照抵抗状態)として、低抵抗状態或いは高抵抗状態が参照磁気抵抗効果素子に設定されている。
【0032】
図7は、検出対象メモリセルに記憶されているデータを読み出す際に用いる検出回路の構成を示した図である。
【0033】
検出回路310は、トランジスタ311a及び311bと、キャパシタ312a及び312bと、センスアンプ等で構成された比較回路313とを含んでいる。
【0034】
検出回路310は、
図1に示したビット線制御回路300に含まれており、検出対象メモリセル(所望のメモリセル)に含まれる検出対象磁気抵抗効果素子(所望の磁気抵抗効果素子)に設定されている抵抗状態を検出するものである。具体的には、検出回路310は、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子の抵抗値に基づく検出対象値を、検出対象メモリセルDMCが属するメモリセルブロックBLKに含まれる参照メモリセルRMCに含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗値に基づく参照値と比較することで、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態を検出する。
【0035】
図8は、本実施形態の読み出し動作について示した図である。
【0036】
t1の時点からt2の時点では、トランジスタ311a(
図7参照)がオン状態であり、参照メモリセルRMCに含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗値に応じた参照電圧が参照値としてキャパシタ312aに保持される。
【0037】
t3の時点からt4の時点では、トランジスタ311bがオン状態であり、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子の抵抗値に応じた検出対象電圧が検出対象値としてキャパシタ312bに保持される。
【0038】
上記のようにして得られた検出対象電圧(検出対象値)が、比較回路313で参照電圧(参照値)と比較され、t5の時点で比較結果が得られる。比較結果に基づき、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態が判断される。すなわち、検出対象電圧と参照電圧との差が所定値よりも小さければ、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態は、参照磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態と同じ抵抗状態であると判断される。検出対象電圧と参照電圧との差が所定値よりも大きければ、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態は、参照磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態と異なった抵抗状態であると判断される。
【0039】
以上のような構成及び読み出し方法により、本実施形態では、効率的な読み出し動作を行うことが可能となる。以下、説明を加える。
【0040】
従来の読み出し方法として自己参照読み出しが知られている。自己参照読み出しでは、まず、第1のステップで、検出対象メモリセルに記憶されている検出対象データ(検出対象抵抗状態)が読み出される。続いて、第2のステップで、検出対象メモリセルに所定の参照データ(参照抵抗状態)が書き込まれる。その後、第3のステップで、第2のステップで書き込まれた参照データ(参照抵抗状態)が読み出され、第1のステップで読み出された検出対象データ(検出対象抵抗状態)が、第3のステップで読み出された参照データ(参照抵抗状態)と比較される。このようにして得られた比較結果に基づき、検出対象データ(検出対象抵抗状態)が判定される。
【0041】
上述した自己参照読み出しでは、合計3ステップが必要であり、迅速な読み出し動作を行うことが困難である。
【0042】
本実施形態では、参照データの読み出しステップ及び検出対象データの読み出しステップの2ステップで読み出し動作を行うことができるため、迅速な読み出しを行うことができ、効率的な読み出し動作を行うことが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、メモリセルブロックBLK毎に参照メモリセルRMCが設定されており、検出対象メモリセルDMCが属するメモリセルブロックBLKに含まれる参照メモリセルRMCを用いて、検出対象メモリセルDMCに設定されているデータ(抵抗状態)を検出する。そのため、以下に述べるように、高精度でデータを検出することができる。
【0044】
各メモリセルブロックBLK内では、参照メモリセルRMCを含むメモリセルMC1~MC9は互いに近接した位置に設けられているため、同一のメモリセルブロックBLKに含まれる検出対象メモリセルDMCと参照メモリセルRMCとは、実質的に同じ特性を有していると考えられる。したがって、検出対象データ(検出対象抵抗状態)に基づく検出対象値を参照データ(参照抵抗状態)に基づく参照値と高精度で比較することができ、高精度でデータを検出することが可能である。
【0045】
図9は、本実施形態における読み出し動作の変形例について示した図である。
【0046】
まず、t1の時点からt2の時点では、参照メモリセルRMC(例えば、
図6のメモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC5)に設定されている参照データが読み出され、参照電圧(参照値)として保持される。
【0047】
t3の時点からt4の時点では、検出対象メモリセルDMC(例えば、
図6のメモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC1)に記憶されている検出対象データが読み出され、検出対象電圧(検出対象値)として保持される。
【0048】
上記のようにして得られた検出対象電圧が比較回路313で参照電圧と比較され、t5の時点で比較結果が得られ、検出対象磁気抵抗効果素子(例えば、
図6のメモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC1内の磁気抵抗効果素子)に設定されている抵抗状態が判定される。
【0049】
t5の時点からt6の時点では、上述した検出対象メモリセルDMC(例えば、
図6のメモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC1)が属するメモリセルブロックBLK1に含まれる他の検出対象メモリセルDMC(例えば、
図6のメモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC2)に記憶されている検出対象データが読み出され、検出対象電圧(検出対象値)として保持される。
【0050】
上記のようにして得られた検出対象電圧が比較回路313で参照電圧と比較され、t7の時点で比較結果が得られ、検出対象磁気抵抗効果素子(例えば、
図6のメモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC2内の磁気抵抗効果素子)に設定されている抵抗状態が判定される。
【0051】
以降、メモリセルブロックBLK1内のメモリセルMC3、MC4、MC6、MC7、MC8及びMC9についても、上述した動作と同様の動作を繰り返すことで、メモリセルMC3、MC4、MC6、MC7、MC8及びMC9に設定されている検出対象データを取得することができる。
【0052】
上述したように、本変形例では、メモリセルブロックBLK内の複数のメモリセルMCに記憶されているデータをシーケンシャルに読み出すことで、参照メモリセルRMCに設定されている参照データを共通の参照データとして用いることができる。そのため、参照メモリセルRMCからの参照データの読み出しを1回行うだけで、複数のメモリセルMCに記憶されているデータを判定することができる。したがって、より効率的な読み出し動作を行うことが可能である。
【0053】
なお、本実施形態において、参照メモリセルRMCを同一のメモリセルブロックBLK内で変更するようにしてもよい。例えば、同一のメモリセルアレイ部或いは同一のメモリセルブロックにおいて読み出し回数が所定回数に達したときに、参照メモリセルRMCを変更する(例えば、参照メモリセルRMCをMC5からMC6に変更する)ようにしてもよい。このように、参照メモリセルRMCを変更することで、同一のメモリセルブロックBLK内に含まれるメモリセルMC1~MC9の読み出し回数(アクセス回数)を平均化することができ、メモリセルMC全体の寿命を増加させることが可能である。
【0054】
また、本実施形態において、参照メモリセルRMCに設定されている抵抗状態を変更する(低抵抗状態から高抵抗状態への変更、或いは高抵抗状態から低抵抗状態への変更)ようにしてもよい。例えば、同一のメモリセルアレイ部或いは同一のメモリセルブロックにおいて読み出し回数が所定回数に達したときに、参照メモリセルRMCに設定されている抵抗状態を変更するようにしてもよい。
【0055】
(実施形態2)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、基本的な事項は上述した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0056】
図10は、本実施形態に係る磁気記憶装置の具体的な構成及び動作を説明するための図である。
【0057】
本実施形態の磁気記憶装置は、参照メモリセルアレイ部(第1のメモリセルアレイ部)100a及び検出対象メモリセルアレイ部(第2のメモリセルアレイ部)100bを含んでいる。
【0058】
参照メモリセルアレイ部100a及び検出対象メモリセルアレイ部100bそれぞれの基本的な構成は、第1の実施形態で説明したメモリセルアレイ部100の構成と同様であり、参照メモリセルアレイ部100aと検出対象メモリセルアレイ部100bとは互いに等価な構成を有している。
【0059】
参照メモリセルアレイ部100aは、複数のメモリセルブロック(第1のメモリセルブロック)BLKa(BLKa1~BLKa4)を含んでおり、複数のメモリセルブロックBLKaのそれぞれは、参照メモリセルを含む複数のメモリセル(第1のメモリセル)MCa(MCa1~MCa9)を含んでいる。
【0060】
検出対象メモリセルアレイ部100bは、複数のメモリセルブロック(第2のメモリセルブロック)BLKb(BLKb1~BLKb4)を含んでおり、複数のメモリセルブロックBLKbのそれぞれは、複数のメモリセル(第2のメモリセル)MCb(MCb1~MCb9)を含んでいる。
【0061】
なお、1つのメモリセルアレイ部に含まれるメモリセルブロックの数及び1つのメモリセルブロックに含まれるメモリセルの数は、限定されるものではない。
【0062】
図11は、本実施形態の検出回路の構成を示した図である。
【0063】
検出回路310は、トランジスタ311a及び311bと、キャパシタ312a及び312bと、センスアンプ等で構成された比較回路313とを含んでいる。
【0064】
検出回路310は、参照メモリセルアレイ部100aと検出対象メモリセルアレイ部100bとの間に位置するビット線制御回路300に含まれており、基本的な構成は第1の実施形態の
図7に示した検出回路310の構成と同様であり、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態を検出するものである。具体的には、検出回路310は、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子の抵抗値に基づく検出対象値を、参照メモリセルRMCに含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗値に基づく参照値と比較することで、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態を検出する。
【0065】
図10に示したビット線制御回路300は、ビット線制御回路300を挟んで互いに隣接する参照メモリセルアレイ部100aと検出対象メモリセルアレイ部100bとで共通に用いられる。例えば、
図10の左側の検出対象メモリセルアレイ部100bに含まれるメモリセルMCbのデータを読み出す場合には、共通のビット線制御回路300に含まれる検出回路310によって、メモリセルMCbのデータを
図10の参照メモリセルアレイ部100aに含まれるメモリセルMCaの参照データと比較する。
【0066】
参照メモリセルRMCが含まれる(属する)参照メモリセルブロックBLKaの参照メモリセルアレイ部100aにおける位置と、検出対象メモリセルDMCが含まれる(属する)メモリセルブロックBLKbの検出対象メモリセルアレイ部100bにおける位置とは互いに対応している。例えば、検出対象メモリセルDMCがメモリセルブロックBLKbn(n=1、2、3又は4)に含まれている場合には、参照メモリセルRMCは参照メモリセルブロックBLKan(n=1、2、3又は4)に含まれている。
【0067】
したがって、例えば、
図11の左側の検出対象メモリセルアレイ部100bのメモリセルブロックBLKb1に含まれるメモリセルMCb(DMC)のデータを読み出す場合には、参照メモリセルアレイ部100aのメモリセルブロックBLKa1に含まれるメモリセルMCaを参照メモリセルRMCとして用いる。すなわち、上述した参照メモリセルRMCが属するメモリセルブロックBLKa1と検出対象メモリセルDMCが属するメモリセルブロックBLKb1とは、ビット線制御回路300を挟んで互いに等価な位置、言い換えるとビット線制御回路300に対して互いに鏡面対象な位置に設定される。
【0068】
参照メモリセルRMCは、参照メモリセルRMCが属するメモリセルブロックBLKa内で予め設定されていてもよい。この場合には、例えば、参照メモリセルは、各メモリセルブロックBLKa1~BLKa4の中央に設定されている。本実施形態では、メモリセルMCa5が参照メモリセルとして機能する。したがって、例えば、検出対象メモリセルアレイ部100bのメモリセルブロックBLKbに含まれるメモリセルMCbのデータを読み出す場合、MCb1~MCb9のいずれが検出対象メモリセルDMCとして選択された場合にも、参照メモリセルアレイ部100aのメモリセルブロックBLKaに含まれるメモリセルMCa5が参照メモリセルRMCとして用いられる。
【0069】
また、参照メモリセルRMCは、参照メモリセルRMCが属するメモリセルブロックBLKa内で予め設定されていなくてもよい。具体的には、ビット線制御回路300を挟んで互いに等価な位置(ビット線制御回路300に対して互いに鏡面対象な位置)にある検出対象メモリセルDMCと参照メモリセルRMCとを1対1で対応させるようにしてもよい。例えば、メモリセルブロックBLKb1に含まれるメモリセルMCb1が検出対象メモリセルDMCである場合には、メモリセルブロックBLKa1に含まれるメモリセルMCa1が参照メモリセルRMCとして設定される。
【0070】
図12は、本実施形態の読み出し動作について示した図である。
【0071】
t1の時点からt2の時点において、トランジスタ311a及びトランジスタ311b(
図11参照)はいずれもオン状態である。そのため、参照メモリセルRMCに含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗値に応じた参照電圧が参照値としてキャパシタ312aに保持され、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子の抵抗値に応じた検出対象電圧が検出対象値としてキャパシタ312bに保持される。すなわち、本実施形態では、参照値と検出対象値とが並行して検出される。
【0072】
上記のようにして得られた検出対象電圧(検出対象値)と参照電圧(参照値)とが比較回路313で比較され、t3の時点で比較結果が得られる。得られた比較結果に基づき、第1の実施形態と同様にして、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態が判定される。
【0073】
以上のように、本実施形態では、参照メモリセルRMCと検出対象メモリセルとが異なるメモリセルアレイ部に含まれているため、参照データの読み出し動作と検出対象データの読み出し動作とを並行して行うことができ、迅速な読み出しを行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、参照メモリセルアレイ部100aと検出対象メモリセルアレイ部100bとが互いに等価な構成を有しており、参照メモリセルRMCが含まれる(属する)参照メモリセルブロックBLKaの参照メモリセルアレイ部100aにおける位置と、検出対象メモリセルDMCが含まれる(属する)メモリセルブロックBLKbの検出対象メモリセルアレイ部100bにおける位置とは互いに対応している。
【0075】
そのため、本実施形態では、参照メモリセルRMCと検出回路310との間の読み出し経路長と検出対象メモリセルDMCと検出回路310との間の読み出し経路長とをほぼ同じにすることができ、両読み出し経路における寄生抵抗及び寄生容量をほぼ同じにすることができる。したがって、本実施形態では、参照メモリセルRMCからの読み出し特性と検出対象メモリセルDMCからの読み出し特性とをほぼ同じにすることができ、高精度でデータを検出することが可能でとなる。
【0076】
(実施形態3)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、基本的な事項は上述した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0077】
図13は、本実施形態に係る磁気記憶装置の具体的な構成及び動作を説明するための図であり、メモリセルアレイ部100の構成を模式的に示した図である。
【0078】
メモリセルアレイ部100の基本的な構成は、第1の実施形態で説明したメモリセルアレイ部100の構成と同様である。すなわち、メモリセルアレイ部100は、複数のメモリセルブロックBLK(BLK1~BLK6)を含んでおり、複数のメモリセルブロックBLKのそれぞれは、複数のメモリセルMC(MC1~MC9)を含んでいる。
【0079】
本実施形態では、メモリセルアレイ部100に含まれる複数のメモリセルブロックBLKのうち所定のメモリセルブロックが参照メモリセルブロックRBLKとして機能する。
図13に示した例では、メモリセルブロックBLK1が参照メモリセルブロックRBLKとして機能する。
【0080】
参照メモリセルブロックRBLKには複数の参照メモリセルRMC(RMC1~RMC9)が含まれており、複数の参照メモリセルRMCそれぞれに含まれる磁気抵抗効果素子には、同一の抵抗状態が参照抵抗状態として設定されている。すなわち、参照メモリセルRMC1~RMC9に含まれる磁気抵抗効果素子には、低抵抗状態及び高抵抗状態の一方の抵抗状態のみが参照抵抗状態として設定されている。なお、参照メモリセルブロックRBLKに含まれる参照メモリセルRMCの数は2以上であればよい。
【0081】
メモリセルアレイ部100に含まれる複数のメモリセルブロックBLKのうち、参照メモリセルブロックRBLK以外のメモリセルブロックBLKが検出対象メモリセルブロックとなる。
図13に示した例では、メモリセルブロックBLK2~BLK6が検出対象メモリセルブロックBLKとなる。
【0082】
本実施形態では、参照メモリセルRMC1~RMC9に含まれる磁気抵抗効果素子の複数の抵抗値の平均値に基づく値が参照値として用いられる。具体的には、複数の抵抗値の単純平均値に基づく値が参照値として用いられる。
【0083】
図14は、本実施形態の検出回路の構成を示した図である。
【0084】
検出回路310は、トランジスタ311a(311a1~311a9)及び311bと、キャパシタ312a及び312bと、センスアンプ等で構成された比較回路313とを含んでいる。第1の実施形態と同様に、検出回路310は
図1に示したビット線制御回路300に含まれている。
【0085】
検出回路310は、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子の抵抗値に基づく検出対象値を、複数の参照メモリセルRMC1~RMC9に含まれる磁気抵抗効果素子の複数の抵抗値に基づく参照値と比較回路313で比較することで、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態を検出する。
【0086】
図15は、本実施形態の読み出し動作について示した図である。
【0087】
t1の時点からt2の時点では、トランジスタ311a1~311a9(
図14参照)がいずれもオン状態であり、参照メモリセルRMC1~RMC9に含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗値の平均値に応じた参照電圧が参照値としてキャパシタ312aに保持される。
【0088】
t3の時点からt4の時点では、トランジスタ311bがオン状態であり、検出対象メモリセルDMCに含まれる検出対象磁気抵抗効果素子の抵抗値に応じた検出対象電圧が検出対象値としてキャパシタ312bに保持される。
【0089】
上記のようにして得られた検出対象電圧(検出対象値)が、比較回路313で参照電圧(参照値)と比較され、t5の時点で比較結果が得られる。得られた比較結果に基づき、第1の実施形態と同様にして、検出対象磁気抵抗効果素子に設定されている抵抗状態が判定される。
【0090】
図16は、本実施形態における読み出し動作の変形例について示した図である。
【0091】
t1の時点からt2の時点の動作は、上述した
図15の動作と同様であり、参照メモリセルRMC1~RMC9に含まれる参照磁気抵抗効果素子の抵抗値の平均値に応じた参照電圧が参照値としてキャパシタ312aに保持される。
【0092】
t3の時点以降では、第1の実施形態の
図9で示した動作と同様のシーケンシャルな読み出し動作が行われ、検出対象メモリセルブロックに含まれる検出対象メモリセルMC1~MC9に設定されている検出対象データがシーケンシャルに取得される。
【0093】
なお、複数の検出対象メモリセルブロックから読み出しを行う場合には、1つの検出対象メモリセルブロックについてシーケンシャルな読み出し動作を終了した後、他の検出対象メモリセルブロックについて同様にシーケンシャルな読み出し動作を行うようにしてもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、効率的な読み出し動作を行うことが可能である。
【0095】
また、本実施形態では、複数の参照メモリセルRMCに含まれる磁気抵抗効果素子の複数の抵抗値に基づく参照値を用いて検出動作を行うため、複数の参照メモリセルRMCの抵抗値がばらついていたとしても、高精度の検出を行うことが可能である。
【0096】
図17は、本実施形態の変形例に係る磁気記憶装置の構成及び動作を説明するための図である。
【0097】
本変形例は、本実施形態の概念を第2の実施形態の概念に適用したものである。したがって、第2の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0098】
第2の実施形態と同様に、本変形例の磁気記憶装置は、参照メモリセルアレイ部100a及び検出対象メモリセルアレイ部100bを含んでいる。参照メモリセルアレイ部100a及び検出対象メモリセルアレイ部100bそれぞれの基本的な構成は、第2の実施形態で説明した構成と同様である。
【0099】
また、複数の参照メモリセルが属する参照メモリセルブロックBLKa(RBLK)の参照メモリセルアレイ部100aにおける位置と、検出対象メモリセルが属する検出対象メモリセルブロックBLKbの検出対象メモリセルアレイ部100bにおける位置とは、互いに対応している。
【0100】
第2の実施形態と同様に、ビット線制御回路300は、ビット線制御回路300を挟んで互いに隣接する参照メモリセルアレイ部100aと検出対象メモリセルアレイ部100bとで共通に用いられ、共通のビット線制御回路300内に
図14で示した検出回路310が含まれている。
【0101】
本変形例の基本的な読み出し動作は、
図12で説明した第2の実施形態の読み出し動作と同様であり、参照メモリセルアレイ部100a及び検出対象メモリセルアレイ部100bから並行してデータが読み出される。ただし、本変形例では、参照メモリセルアレイ部100aの参照メモリセルブロックRBLKに含まれる複数の参照メモリセルから読み出されたデータに基づいて参照値が設定される。
【0102】
本変形例では、本実施形態で得られる効果及び第2の実施形態で得られる効果を得ることが可能である。
【0103】
なお、上述した本実施形態及び変形例では、参照メモリセルアレイ部100aに含まれる複数のメモリセルブロックBLKa1~BLKa4のうち所定のメモリセルブロックを参照メモリセルブロックRBLKとして用い、参照メモリセルブロックRBLKに含まれる複数の参照メモリセルに含まれる磁気抵抗効果素子の複数の抵抗値に基づく値を参照値として用いるようにしたが、複数の参照メモリセルは必ずしも1つのメモリセルブロックBLKaに含まれていなくてもよい。例えば、参照メモリセルアレイ部100a内の異なるメモリセルブロックBLKaに含まれる複数の参照メモリセルに含まれる磁気抵抗効果素子の複数の抵抗値に基づく値を参照値として用いるようにしてもよい。
【0104】
なお、上述した第1、第2及び第3の実施形態では、抵抗変化記憶素子として磁気抵抗効果素子を用いたが、他の抵抗変化型の記憶素子を抵抗変化記憶素子として用いることも可能である。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
100…メモリセルアレイ部
100a…参照メモリセルアレイ部 100b…検出対象メモリセルアレイ部
110…ワード線 120…ビット線 130…メモリセル
140…磁気抵抗効果素子(抵抗変化記憶素子)
141…記憶層 142…参照層 143…トンネルバリア層
150…セレクタ(スイッチング素子)
151…下部電極 152…上部電極 153…セレクタ材料層
200…ワード線制御回路 300…ビット線制御回路
310…検出回路 311a、311b…トランジスタ
312a、312b…キャパシタ 313…比較回路
MC1~MC9、MCa1~MCa9、MCb1~MCb9…メモリセル
RMC…参照メモリセル DMC…検出対象メモリセル
BLK1~BLK6、BLKa1~BLKa4、BLKb1~BLKb4…メモリセルブロック