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特開2022-142323遠隔自動運転システム、遠隔操作装置、遠隔自動運転方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142323
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】遠隔自動運転システム、遠隔操作装置、遠隔自動運転方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042462
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】樫原 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181FF03
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】遠隔操作対象の車両と遠隔操作卓との間の通信遅延に起因する遠隔操作上の遠隔操作者の負担を軽減すると共に遠隔運転の安全性の向上を図る。
【解決手段】車載装置が車両制御信号を送り返す返送信号と車両の走行映像と車両の車両状態データとを車載装置から受信する受信部と、遠隔操作装置から車載装置へ送信された車両制御信号と車載装置から受信した返送信号との差分を抽出する情報管理部と、差分と車両状態データに基づいて車両の推定位置を計算する計算部と、走行映像の表示画面上に車両の推定位置を重畳表示させる映像表示部とを備え、計算部は車両に対して仮に制動をかけた場合の車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、映像表示部は、車両の仮想上の制動の動き示す情報を走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置とを備える遠隔自動運転システムにおいて、
前記遠隔操作装置は、
遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を前記車載装置へ送信する送信部と、
前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記車両の走行映像と、前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記車載装置から受信する受信部と、
前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、
前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算部と、
前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備え、
前記車載装置は、
前記車両制御信号を受信する車載受信部と、
前記返送信号を生成する信号複製部と、
前記返送信号と前記走行映像と前記車両状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する車載送信部と、を備え、
前記計算部は、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、
前記映像表示部は、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、
遠隔自動運転システム。
【請求項2】
前記計算部は、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の停止位置を計算し、
前記映像表示部は、前記車両の仮想上の停止位置を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に重畳表示させる、
請求項1に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項3】
前記映像表示部は、前記車両の走行状態に基づいて、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示するか否かを決定する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項4】
前記映像表示部は、前記車両の走行速度に基づいて、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示するか否かを決定する、
請求項3に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項5】
前記映像表示部は、前記車両が加速している場合には前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示しない、
請求項4に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項6】
前記映像表示部は、
前記車両の走行位置と停止目標位置との間の距離が所定の閾値未満である場合に前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示し、
前記車両の走行位置と停止目標位置との間の距離が所定の閾値以上である場合に前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示しない、
請求項3に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項7】
遠隔操作者が前記車両の遠隔操作を行ってから当該遠隔操作に対応する前記車両制御信号が反映された前記車両の走行映像が前記遠隔操作装置で表示されるまでにかかる遅延時間のうち、前記車両と前記遠隔操作装置との間の通信にかかる通信遅延時間以外の残りの遅延時間分を前記返送信号の遅延時間として追加するバッファをさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の遠隔自動運転システム。
【請求項8】
遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する運転制御信号に基づいて自動運転を行う自動運転装置に搭載される搭載装置とを備える遠隔自動運転システムにおいて、
前記遠隔操作装置は、
遠隔操作者が行う前記自動運転装置の遠隔操作に対応する前記運転制御信号を前記搭載装置へ送信する送信部と、
前記搭載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記運転制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記自動運転装置の映像と、前記自動運転装置の運転状態を示す装置状態データとを前記搭載装置から受信する受信部と、
前記遠隔操作装置から前記搭載装置へ送信された前記運転制御信号と、前記搭載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、
前記差分と前記装置状態データとに基づいて、前記映像上の前記自動運転装置の位置を原点にした前記自動運転装置の推定位置を計算する計算部と、
前記搭載装置から受信した前記映像の表示画面上に前記自動運転装置の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備え、
前記搭載装置は、
前記運転制御信号を受信する搭載受信部と、
前記返送信号を生成する信号複製部と、
前記返送信号と前記映像と前記装置状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する搭載送信部と、を備え、
前記計算部は、前記自動運転装置に対して仮に制動をかけた場合の前記自動運転装置の仮想上の制動の動きをさらに計算し、
前記映像表示部は、前記自動運転装置の仮想上の制動の動き示す情報を、前記搭載装置から受信した前記映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、
遠隔自動運転システム。
【請求項9】
遠隔操作装置において、
前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置へ、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を送信する送信部と、
前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記車両の走行映像と、前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記車載装置から受信する受信部と、
前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、
前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算部と、
前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備え、
前記計算部は、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、
前記映像表示部は、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、
遠隔操作装置。
【請求項10】
遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置とを備える遠隔自動運転システムの遠隔自動運転方法であって、
前記遠隔操作装置が、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を前記車載装置へ送信する送信ステップと、
前記車載装置が、前記遠隔操作装置から前記車両制御信号を受信する車載受信ステップと、
前記車載装置が、前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号を生成する信号複製ステップと、
前記車載装置が、前記車両の走行映像と前記返送信号と前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する車載送信ステップと、
前記遠隔操作装置が、前記走行映像と前記返送信号と前記車両状態データとを前記車載装置から受信する受信ステップと、
前記遠隔操作装置が、前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理ステップと、
前記遠隔操作装置が、前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算ステップと、
前記遠隔操作装置が、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示ステップと、を含み、
前記計算ステップは、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、
前記映像表示ステップは、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、
遠隔自動運転方法。
【請求項11】
遠隔操作装置のコンピュータに、
前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置へ、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を送信する送信ステップと、
前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記車両の走行映像と、前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記車載装置から受信する受信ステップと、
前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理ステップと、
前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算ステップと、
前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであり、
前記計算ステップは、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、
前記映像表示ステップは、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔自動運転システム、遠隔操作装置、遠隔自動運転方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人車両を遠隔で操作して走行させる遠隔操作技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の遠隔操作技術では、遠隔操作者が遠隔運転時に見る遠隔操作卓の表示画面上に、無人車両の車載カメラが撮像した映像に重畳させて、無人車両の予測経路および限界旋回経路を表示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】高畠智、原田正範、“無人車両の遠隔操作支援システム”、自動車技術会論文集、Vol.43、No.1、pp.135-140、2012年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した非特許文献1に記載の遠隔操作技術では、無人車両の数秒後の予測経路が遠隔操作卓の表示画面上に表示されるが、当該表示画面上に表示される映像上の無人車両の位置は、少なくとも無人車両と遠隔操作卓との間の通信遅延分は遅れている。このため、遠隔操作者にとっては、通信遅延分の無人車両の動きを自分の中で推定して次の無人車両の遠隔操作を行わねばならないという負担があった。
【0005】
また、無人車両の予測経路や限界旋回経路が遠隔操作卓の表示画面上に表示されるが、遠隔操作者が当該予測経路や限界旋回経路を誤って認識すると、遠隔運転を正しく行うことができない可能性があった。特に急制動(所謂、急ブレーキ)をかけなければならないような緊急時にあっては、そのような誤認識によって遠隔運転を正しく行うことができない事態を極力防止することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、遠隔操作対象の車両等の自動運転装置と遠隔操作卓との間の通信遅延に起因する遠隔操作上の遠隔操作者の負担を軽減すると共に、遠隔運転の安全性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置とを備える遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔操作装置は、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を前記車載装置へ送信する送信部と、前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記車両の走行映像と、前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記車載装置から受信する受信部と、前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算部と、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備え、前記車載装置は、前記車両制御信号を受信する車載受信部と、前記返送信号を生成する信号複製部と、前記返送信号と前記走行映像と前記車両状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する車載送信部と、を備え、前記計算部は、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、前記映像表示部は、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、遠隔自動運転システムである。
(2)本発明の一態様は、前記計算部は、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の停止位置を計算し、前記映像表示部は、前記車両の仮想上の停止位置を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に重畳表示させる、上記(1)の遠隔自動運転システムである。
(3)本発明の一態様は、前記映像表示部は、前記車両の走行状態に基づいて、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示するか否かを決定する、上記(1)又は(2)のいずれかの遠隔自動運転システムである。
(4)本発明の一態様は、前記映像表示部は、前記車両の走行速度に基づいて、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示するか否かを決定する、上記(3)の遠隔自動運転システムである。
(5)本発明の一態様は、前記映像表示部は、前記車両が加速している場合には前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示しない、上記(4)の遠隔自動運転システムである。
(6)本発明の一態様は、前記映像表示部は、前記車両の走行位置と停止目標位置との間の距離が所定の閾値未満である場合に前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示し、前記車両の走行位置と停止目標位置との間の距離が所定の閾値以上である場合に前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を表示しない、上記(3)の遠隔自動運転システムである。
(7)本発明の一態様は、遠隔操作者が前記車両の遠隔操作を行ってから当該遠隔操作に対応する前記車両制御信号が反映された前記車両の走行映像が前記遠隔操作装置で表示されるまでにかかる遅延時間のうち、前記車両と前記遠隔操作装置との間の通信にかかる通信遅延時間以外の残りの遅延時間分を前記返送信号の遅延時間として追加するバッファをさらに備える、上記(1)から(6)のいずれかの遠隔自動運転システムである。
【0008】
(8)本発明の一態様は、遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する運転制御信号に基づいて自動運転を行う自動運転装置に搭載される搭載装置とを備える遠隔自動運転システムにおいて、前記遠隔操作装置は、遠隔操作者が行う前記自動運転装置の遠隔操作に対応する前記運転制御信号を前記搭載装置へ送信する送信部と、前記搭載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記運転制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記自動運転装置の映像と、前記自動運転装置の運転状態を示す装置状態データとを前記搭載装置から受信する受信部と、前記遠隔操作装置から前記搭載装置へ送信された前記運転制御信号と、前記搭載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、前記差分と前記装置状態データとに基づいて、前記映像上の前記自動運転装置の位置を原点にした前記自動運転装置の推定位置を計算する計算部と、前記搭載装置から受信した前記映像の表示画面上に前記自動運転装置の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備え、前記搭載装置は、前記運転制御信号を受信する搭載受信部と、前記返送信号を生成する信号複製部と、前記返送信号と前記映像と前記装置状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する搭載送信部と、を備え、前記計算部は、前記自動運転装置に対して仮に制動をかけた場合の前記自動運転装置の仮想上の制動の動きをさらに計算し、前記映像表示部は、前記自動運転装置の仮想上の制動の動き示す情報を、前記搭載装置から受信した前記映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、遠隔自動運転システムである。
【0009】
(9)本発明の一態様は、遠隔操作装置において、前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置へ、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を送信する送信部と、前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記車両の走行映像と、前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記車載装置から受信する受信部と、前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算部と、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備え、前記計算部は、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、前記映像表示部は、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、遠隔操作装置である。
【0010】
(10)本発明の一態様は、遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置とを備える遠隔自動運転システムの遠隔自動運転方法であって、前記遠隔操作装置が、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を前記車載装置へ送信する送信ステップと、前記車載装置が、前記遠隔操作装置から前記車両制御信号を受信する車載受信ステップと、前記車載装置が、前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号を生成する信号複製ステップと、前記車載装置が、前記車両の走行映像と前記返送信号と前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する車載送信ステップと、前記遠隔操作装置が、前記走行映像と前記返送信号と前記車両状態データとを前記車載装置から受信する受信ステップと、前記遠隔操作装置が、前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理ステップと、前記遠隔操作装置が、前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算ステップと、前記遠隔操作装置が、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示ステップと、を含み、前記計算ステップは、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、前記映像表示ステップは、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、遠隔自動運転方法である。
【0011】
(11)本発明の一態様は、遠隔操作装置のコンピュータに、前記遠隔操作装置が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両に搭載される車載装置へ、遠隔操作者が行う前記車両の遠隔操作に対応する前記車両制御信号を送信する送信ステップと、前記車載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記車両制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記車両の走行映像と、前記車両の走行状態を示す車両状態データとを前記車載装置から受信する受信ステップと、前記遠隔操作装置から前記車載装置へ送信された前記車両制御信号と、前記車載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理ステップと、前記差分と前記車両状態データとに基づいて、前記走行映像上の前記車両の位置を原点にした前記車両の推定位置を計算する計算ステップと、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上に前記車両の推定位置を重畳表示させる映像表示ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであり、前記計算ステップは、前記車両に対して仮に制動をかけた場合の前記車両の仮想上の制動の動きをさらに計算し、前記映像表示ステップは、前記車両の仮想上の制動の動き示す情報を、前記車載装置から受信した前記走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遠隔操作対象の車両等の自動運転装置と遠隔操作卓との間の通信遅延に起因する遠隔操作上の遠隔操作者の負担を軽減すると共に、遠隔運転の安全性の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る遠隔自動運転システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る遠隔操作卓と自動運転車との間の通信遅延を説明するためのシーケンス図である。
図3】一実施形態に係る車両制御信号送信管理リストの構成例である。
図4】一実施形態に係る返送信号受信管理リストの構成例である。
図5】一実施形態に係る差分リストの構成例である。
図6】一実施形態に係る走行映像表示画面の例である。
図7】一実施形態に係る走行映像表示画面の例である。
図8】一実施形態に係る遠隔自動運転方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態では、自動運転装置として車両の一例である自動車を例に挙げて説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る遠隔自動運転システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す遠隔自動運転システム1は、遠隔操作卓10と、自動車3に搭載される車載装置30とを備える。遠隔操作卓10は遠隔操作装置に対応する。自動車3は、遠隔操作卓10が送信する車両制御信号に基づいて自動運転を行う車両(自動運転車)である。
【0016】
遠隔操作卓10と車載装置30とは、通信ネットワークNWを介して通信を行う。通信ネットワークNWは、固定電話ネットワークや有線LAN(Local Area Network)等の有線通信ネットワーク、携帯電話ネットワークや無線LAN等の無線通信ネットワーク、インターネットなどを含んで構成されるものであってもよい。
【0017】
遠隔操作卓10は、通信ネットワークNWを介して、車両制御信号を車載装置30へ送信する。車載装置30は、遠隔操作卓10から受信した車両制御信号に基づいて自動車3の自動運転制御を行う。自動車3は、車載装置30の自動運転制御に従って自動運転を行う。車載装置30は、自動車3に搭載された車載撮像装置が自動車3の進行方向を撮像した映像(以下、走行映像と称する)を、通信ネットワークNWを介して、遠隔操作卓10へ常時配信する。遠隔操作卓10は、車載装置30から受信した走行映像を遠隔操作卓10の表示画面に表示する。遠隔操作者は、遠隔操作卓10の表示画面に表示された走行映像を見ながら、自動車3の遠隔操作を行う。遠隔操作者による自動車3の遠隔操作は、車両制御信号により車載装置30へ伝達されて自動車3の自動運転に反映される。これにより、遠隔操作者は、遠隔操作卓10により自動車3の遠隔操作を行うことにより、自動車3の自動運転を遠隔で操作することができる。
【0018】
ここで、図2に示されるように、遠隔操作者が遠隔操作卓10により自動車3(自動運転車)の遠隔操作A1を行う時刻Taから、遠隔操作A1が自動車3の自動運転に反映された走行映像Bが遠隔操作卓10の表示画面に表示される時刻Tbまでには、少なくとも遠隔操作卓10と自動車3(車載装置30)との間の通信遅延Tdが存在する。このままでは、遠隔操作者が、遠隔操作卓10で表示されている走行映像に映る自動車3に対して通信遅延分の自動車3の動きを自分の中で推定し加味して次の自動車3の遠隔操作A2を行うことになる。これは遠隔操作者にとって負担になり得る。
【0019】
そこで本実施形態では、遠隔操作者が遠隔操作卓10により行った遠隔操作のうち、遠隔操作卓10の表示画面に表示される走行映像に映る自動車3の自動運転にまだ反映されていない遠隔操作を判断し、判断された遠隔操作に基づいて自動車3の動きを推定し、推定された自動車3の動きを示す情報を走行映像の表示画面上に重畳表示させる。これにより、遠隔操作者が通信遅延分の自動車3の動きを推定することを支援し、遠隔操作卓10と自動車3との間の通信遅延に起因する遠隔操作上の遠隔操作者の負担を軽減することを図る。
【0020】
さらに本実施形態では、自動車3に対して仮に制動(ブレーキ)をかけた場合の自動車3の仮想上の制動の動きを示す情報を走行映像の表示画面上にさらに重畳表示させる。これにより、例えば急制動をかけなければならないような緊急時においても、遠隔操作者が遠隔運転を正しく行うことに寄与することを図る。
【0021】
なお、図2において、遠隔操作者が自動車3の遠隔操作を時刻Taに行ってから当該遠隔操作に対応する車両制御信号が反映された自動車3の走行映像Bが遠隔操作卓10の表示画面に表示される時刻Tbまでにかかる遅延時間は、自動車3と遠隔操作卓10との間の通信にかかる通信遅延時間に加えて、走行映像Bのエンコード及びデコードにかかる時間や自動車3で受信された車両制御信号が自動車3の自動運転に反映されるまでにかかる時間等の通信遅延時間以外の遅延時間を含む。そこで、本実施形態では、通信遅延時間以外の遅延時間に起因する走行映像Bの時間的なずれを考慮することにより、遠隔操作者に対してより正確な自動車3の動きの推定結果を走行映像Bの表示画面上に重畳表示させることを図る。
【0022】
以下、遠隔自動運転システム1について詳細に説明する。
【0023】
[遠隔操作卓]
図1において、遠隔操作卓10は、通信部11と、遠隔操作部12と、操作情報管理部13と、車両位置計算部14と、映像表示部15とを備える。
【0024】
遠隔操作卓10の各機能は、遠隔操作卓10がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、遠隔操作卓10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、遠隔操作卓10は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、遠隔操作卓10の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、遠隔操作卓10は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は遠隔操作卓10の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。
【0025】
遠隔操作部12は、遠隔操作者が自動車3の遠隔操作を行うためのユーザインタフェースを備える。当該ユーザインタフェースは、例えばステアリングやアクセルやブレーキなどの運転操作の車両制御信号を入力するためのユーザインタフェースである。遠隔操作部12は、遠隔操作者による自動車3の遠隔操作に対応する車両制御信号Saを通信部11及び操作情報管理部13へ送信する。
【0026】
通信部11は、通信ネットワークNWを介して自動車3の車載装置30と通信を行う。通信部11は、遠隔操作部12から受信した車両制御信号Saを車載装置30へ送信する送信機能を備える。また、通信部11は、返送信号Rbと車両状態データRdと走行映像Rfとを車載装置30から受信する受信機能を備える。返送信号Rbは、車載装置30が遠隔操作卓10から受信した車両制御信号を遠隔操作卓10へ送り返す返送信号であって、通信部11が受信した信号である。車両状態データRdは、自動車3の走行状態を示すデータであって、通信部11が受信したデータである。車両状態データRdは、例えば、自動車3の速度(車速)や舵角や傾きなどの情報を含むデータである。走行映像Rfは、車載装置30から遠隔操作卓10へ常時配信される走行映像であって、通信部11が受信した映像である。通信部11(受信機能)は、車載装置30から走行映像Rfを常時受信する。
【0027】
通信部11は、車載装置30から受信した返送信号Rbを操作情報管理部13へ送信する。通信部11は、車載装置30から受信した車両状態データRdを車両位置計算部14へ送信する。通信部11は、車載装置30から受信した走行映像Rfを映像表示部15へ送信する。
【0028】
操作情報管理部13は、遠隔操作部12から受信した車両制御信号Saと、通信部11から受信した返送信号Rbとを蓄積する。操作情報管理部13は、車両制御信号Saと返送信号Rbとをそれぞれ時系列で管理する。操作情報管理部13は、車両制御信号Saと返送信号Rbとの差分を抽出する。この差分抽出では、現在管理している車両制御信号Sa及び返送信号Rbを対象にして、車両制御信号Saの管理対象には存在するが、返送信号Rbの管理対象には存在しない車両制御信号を抽出する。操作情報管理部13は、抽出した車両制御信号のリスト(差分リスト)Cを車両位置計算部14へ送信する。
【0029】
車両位置計算部14は、操作情報管理部13から受信した差分リストCに基づいて、自動車3の動きを計算する。本実施形態では、自動車3の動きの計算の一例として、車両位置計算部14は、操作情報管理部13から受信した差分リストCと、通信部11から受信した車両状態データRdとに基づいて、自動車3の推定位置Eや推定車速を計算する。自動車3の推定位置Eは、自動車3の走行映像上の自動車3の位置を原点にした座標系における自動車3の推定の位置(座標)である。
【0030】
自動車3の動きの計算方法の一例として、シングルトラックモデルや低速の場合に単純幾何学モデルを用いる。具体的には、初期状態の車両状態データRdと差分リストC内の最古の識別子(ID)の車両制御信号Saとを用いて当該最古のIDの車両制御信号Saが反映された後の推定位置E及び推定車速を計算し、次いで差分リストC内の2番目に古いIDの車両制御信号Saを用いて当該2番目に古いIDの車両制御信号Saが反映された後の推定位置E及び推定車速を計算するという計算処理を、差分リストC内の最新のIDの車両制御信号Saまで繰り返す。この計算処理の繰り返しの結果として得られた各推定位置Eを時系列の順に結ぶと、自動車3の推定軌道になる。
【0031】
また、車両位置計算部14は、自動車3に対して仮に制動をかけた場合の自動車3の仮想上の制動の動きをさらに計算する。車両位置計算部14は、推定位置Eで仮に制動をかけた場合に自動車3が停止する自動車3の仮想上の停止位置(仮想停止位置)を計算する。自動車3の仮想停止位置は、自動車3の走行映像上の自動車3の位置を原点にした座標系における自動車3の仮想上の停止位置(座標)である。
【0032】
自動車3の仮想停止位置の計算方法の一例として、例えば自動車3に制動をかけると自動車3が停止するまでに1秒かかる場合において、100ミリ秒毎に自動車3の位置及び車速を計算するときは、自動車3が停止するまでの100ミリ秒毎の自動車3の位置及び車速の仮想制動状態リスト(つまり、自動車3の10組の位置及び車速が記載されたリスト)Fを生成する。仮想制動状態リストF内の自動車3の各位置を時系列の順に結ぶと、自動車3に対して推定位置Eで仮に制動をかけた場合に自動車3が停止するまでの自動車3の仮想上の制動の軌道(仮想制動軌道)になる。仮想制動軌道の始点が推定位置Eであり、仮想制動軌道の終点が仮想停止位置である。仮想制動軌道における舵角は、遠隔操作卓10における現在の舵角を用いる。つまり、仮想制動状態リストF内の自動車3の各位置は、遠隔操作卓10における現在の舵角に基づいて計算されたものである。
【0033】
なお、推定位置Eにおける車速が0である場合、つまり自動車3が推定位置Eで既に停止している場合には、車両位置計算部14は、自動車3の仮想上の制動の動きの計算を実行しない。
【0034】
車両位置計算部14は、計算結果の自動車3の推定位置E及び仮想制動状態リストFを映像表示部15へ送信する。仮想制動状態リストFは、自動車3の仮想上の制動の動き示す情報である。
【0035】
映像表示部15は、液晶表示装置等の表示装置を備える。映像表示部15は、通信部11から受信した走行映像Rfを表示装置の表示画面に表示させる。また、映像表示部15は、車両位置計算部14から受信した推定位置Eを走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示させる。この重畳表示では、走行映像Rf上の自動車3の位置を原点にした座標系において、推定位置Eの座標上に所定の表示を行う。
【0036】
また、映像表示部15は、車両位置計算部14から受信した仮想制動状態リストFに基づいて、走行映像Rfの表示画面上に重畳表示する推定位置Eで仮に自動車3に制動をかけた場合に自動車3が停止するまでの自動車3の仮想制動軌道を、走行映像Rfの表示画面上にさらに重畳して表示させる。この重畳表示では、走行映像Rf上の自動車3の位置を原点にした座標系において、仮想制動軌道の座標上に所定の表示を行う。自動車3の仮想制動軌道は、仮想制動状態リストF内の自動車3の各位置を時系列の順に結んだ軌道である。仮想制動軌道の始点が推定位置Eであり、仮想制動軌道の終点が仮想停止位置である。
【0037】
映像表示部15は、自動車3の走行状態に基づいて、自動車3の仮想制動軌道を表示するか否かを決定してもよい。仮想制動軌道は、自動車3の仮想上の制動の動き示す情報である。
【0038】
例えば、映像表示部15は、自動車3の車速に基づいて、自動車3の仮想制動軌道を表示するか否かを決定する。例えば、映像表示部15は、自動車3が加速している場合には自動車3の仮想制動軌道を表示しない。例えば、映像表示部15は、自動車3が高速(例えば時速80キロメートル以上の車速)である場合には自動車3の仮想制動軌道を表示しない。これは、加速中や高速走行中に急ブレーキをかけることは安全上避けることが好ましく想定しにくいからである。また、例えば、映像表示部15は、自動車3が減速している場合には自動車3の仮想制動軌道を表示する。これは、減速中には仮想制動軌道が遠隔操作者の遠隔操作の目安として有効に利用されることが想定されるからである。
【0039】
また、例えば、映像表示部15は、自動車3の走行位置と停止目標位置との間の距離が所定の閾値未満である場合に仮想制動軌道を表示し、一方、当該距離が所定の閾値以上である場合に仮想制動軌道を表示しない。停止目標位置は、例えば、地図データに含まれる道路上の停止線である。
【0040】
[車載装置]
図1において、車載装置30は、通信部31と、信号複製部32と、車両制御部33と、映像取得部34とを備える。信号複製部32は、バッファbufを備える。
【0041】
車載装置30の各機能は、車載装置30がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0042】
通信部31は、通信ネットワークNWを介して遠隔操作卓10と通信を行う。通信部31は、遠隔操作卓10が送信した車両制御信号Saを受信する受信機能を備える。また、通信部31は、返送信号Sbと車両状態データSdと走行映像Sfとを遠隔操作卓10へ送信する送信機能を備える。
【0043】
通信部31は、遠隔操作卓10から受信した車両制御信号Raを信号複製部32へ送信する。
【0044】
信号複製部32は、通信部31から受信した車両制御信号Raを車両制御部33へ送信する。また、信号複製部32は、通信部31から受信した車両制御信号Raをそのまま遠隔操作卓10へ送り返す返送信号Sbを生成する。信号複製部32は、返送信号Sbをバッファbufに入力し、バッファbufを介して返送信号Sbを通信部31により遠隔操作卓10へ送信する。バッファbufは、返送信号Sbに遅延時間を付加するためのバッファである。
【0045】
バッファbufは、遠隔操作卓10の遠隔操作者が自動車3の遠隔操作を行ってから当該遠隔操作に対応する車両制御信号が反映された自動車3の走行映像が遠隔操作卓10で表示されるまでにかかる遅延時間のうち、自動車3と遠隔操作卓10との間の通信にかかる通信遅延時間以外の残りの遅延時間分を返送信号の遅延時間として追加するバッファである。
【0046】
通信遅延時間以外の残りの遅延時間は、走行映像のエンコード及びデコードにかかる時間や自動車3で受信された車両制御信号Raが自動車3の自動運転に反映されるまでにかかる時間等である。通信遅延時間以外の残りの遅延時間は、予め設定されてもよく、又は実測されてもよい。例えば、エンコードにかかる時間は、映像取得部34で実測された値を用いる。例えば、デコードにかかる時間は、遠隔操作卓10の映像表示部15で実測された値が遠隔操作卓10から自動車3に送信されたものを用いる。例えば、車両制御信号Raが自動車3の自動運転に反映されるまでにかかる時間は、車両制御部33で実測された値を用いる。
【0047】
返送信号Sbがバッファbufを介して遠隔操作卓10へ送信されることにより、通信遅延時間以外の遅延時間に起因する走行映像の時間的なずれが考慮された自動車3の推定位置Eや仮想制動軌道が算出される。これにより、遠隔操作卓10の遠隔操作者に対してより正確な自動車3の動きの推定位置Eや仮想制動軌道を走行映像Rfの表示画面上に重畳表示させることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、車載装置30にバッファbufを設けたが、バッファbufが設けられる位置はこれに限定されない。例えば、遠隔操作卓10にバッファbufを設け、自動車3から受信した返送信号Rbをバッファbufに入力し、バッファbufを介した後の返送信号Rbを操作情報管理部13へ送信してもよい。つまり、差分リストCの生成に使用される返送信号Rbが、バッファbufを介した後の返送信号Rbであればよい。
【0049】
また、バッファbufは、車載装置30と遠隔操作卓10とに分散して設けられてもよい。例えば、走行映像のエンコードにかかる時間及び車両制御信号Raが自動車3の自動運転に反映されるまでにかかる時間については車載装置30にバッファを設け、走行映像のデコードにかかる時間については遠隔操作卓10にバッファを設ける。
【0050】
車両制御部33は、信号複製部32から受信した車両制御信号Raに基づいて自動車3の自動運転制御を行う。自動車3は、車両制御部33の自動運転制御に従って自動運転を行う。また、車両制御部33は、自動車3の走行状態を示す車両状態データsdを取得する。車両状態データsdは、例えば、自動車3の速度(車速)や舵角や傾きなどの情報を含むデータである。車両制御部33は、車両状態データsdを通信部31により遠隔操作卓10へ送信する。
【0051】
映像取得部34は、自動車3に搭載された車載撮像装置が常時撮像する走行映像Sfを取得する。映像取得部34は、走行映像Sfを通信部31により遠隔操作卓10へ常時送信する。
【0052】
[車両制御信号]
遠隔操作部12から送信される車両制御信号Saは、一般に自動車を運転操作するために必要な運転操作情報を有する。運転操作情報は、例えば、ステアリング、アクセル、ブレーキ、ギア、ウインカーなどの操作を示す情報である。また、車両制御信号Saには、時系列管理のための識別子(ID)や、遠隔運転状態を管理をするための遠隔運転管理情報をさらに付与してもよい。車両制御信号Saが一定間隔で車載装置30へ送信される場合、車両制御信号のIDとしてシーケンス番号を用いてもよい。又は、車両制御信号のIDとして、システム時刻を用いてもよい。遠隔運転管理情報は、例えば、遠隔操作対象の自動車3のID、遠隔操作の可否、緊急停止信号等の情報である。
【0053】
[操作情報管理処理]
図3は、本実施形態に係る車両制御信号送信管理リストの構成例である。操作情報管理部13は、図3に例示される車両制御信号送信管理リストLSaをメモリに保持する。操作情報管理部13は、遠隔操作部12から受信した車両制御信号Saを、車両制御信号送信管理リストLSaに追加する。図3に例示されるように、車両制御信号送信管理リストLSaには、車両制御信号のIDの昇順(時系列の順)で車両制御信号Saが記載されている。
【0054】
図4は、本実施形態に係る返送信号受信管理リストの構成例である。操作情報管理部13は、図4に例示される返送信号受信管理リストLRbをメモリに保持する。操作情報管理部13は、通信部11から受信した返送信号Rbを、返送信号受信管理リストLRbに追加する。図4に例示されるように、返送信号受信管理リストLRbには、車両制御信号のIDの昇順(時系列の順)で返送信号Rbが記載されている。
なお、本実施形態では、車載装置30の信号複製部32が車両制御信号Raをそのまま返送信号Sbにしたが、返送信号Sbは、車両制御信号Raのうち少なくとも車両制御信号のIDを含む信号であってもよい。例えば、信号複製部32は、車両制御信号Raのうち車両制御信号のIDのみを返送信号Sbにしてもよい。
【0055】
図5は、本実施形態に係る差分リストの構成例である。操作情報管理部13は、図3の車両制御信号送信管理リストLSaと図4の返送信号受信管理リストLRbとの差分を抽出して、図5に例示される差分リストCを作成する。図5の差分リストCには、図3の車両制御信号送信管理リストLSaには存在するが、図4の返送信号受信管理リストLRbには存在しない車両制御信号が記載される。図5に例示されるように、差分リストCには、図3の車両制御信号送信管理リストLSaには存在するが、図4の返送信号受信管理リストLRbには存在しないID「50」及び「51」の車両制御信号が記載されている。
【0056】
なお、図5の差分リストCには、図4の返送信号受信管理リストLRbの中に含まれる最新の車両制御信号(ID「49」)以降の車両制御信号のみを記載するようにしてもよい。これは、遠隔操作卓10から自動車3(車載装置30)に至る通信路において車両制御信号Saのロスが発生することを想定した対策である。
【0057】
差分リストCには、遠隔操作卓10が車載装置30へ送信した車両制御信号Saのうち、通信遅延により車載装置30の車両制御部33がまだ受信していない車両制御信号が記載されている。これは、差分リストCに記載されている車両制御信号が、走行映像Rfに映る自動車3の自動運転にまだ反映されていないことを意味する。このことから、車両位置計算部14が差分リストCに記載されている車両制御信号に基づいて計算した自動車3の動きは、走行映像Rfに映る自動車3にはまだ反映されていないが、実際の自動車3には反映されている動きを推定したものである。したがって、その車両位置計算部14が計算した自動車3の動きを示す情報が、映像表示部15により走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示されることにより、遠隔操作者は、走行映像Rfに映る自動車3にはまだ反映されていない実際の自動車3の動きを容易に推定することができる。本実施形態の一例では、推定位置Eが走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示されることにより、遠隔操作者は、走行映像Rfに映る自動車3にはまだ反映されていない実際の自動車3の位置を容易に推定することができる。
【0058】
[映像表示処理]
図6図7は、本実施形態に係る走行映像表示画面の例である。図6に例示される走行映像表示画面100には、走行映像Rfに映る自動車3の車体の先頭部分が表示されている。さらに走行映像表示画面100には、推定位置Eを示す破線120が重畳して表示されている。さらに走行映像表示画面100には、仮想制動軌道を示す点線220が重畳して表示されている。図6の例では、推定位置Eを示す破線120及び仮想制動軌道を示す点線220は、走行映像Rfに映る自動車3の車幅Wで表示されている。
【0059】
図7に例示される走行映像表示画面100には、図6と同様に、走行映像Rfに映る自動車3の車体の先頭部分が表示され、さらに推定位置Eを示す破線130及び仮想制動軌道を示す点線230が重畳して表示されている。図7の例では、推定位置Eを示す破線130及び仮想制動軌道を示す点線230は、走行映像Rfに映る自動車3の車幅方向の中心で表示されている。
【0060】
図6図7に例示されるように、推定位置Eを示す情報(破線120や破線130)が走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示されることにより、遠隔操作者は、走行映像Rfに映る自動車3にはまだ反映されていない実際の自動車3の位置を容易に推定することができる。これにより、遠隔操作卓10と自動車3との間の通信遅延に起因する遠隔操作上の遠隔操作者の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0061】
また、図6図7に例示されるように、仮想制動軌道を示す情報(点線220や点線230)が走行映像Rfの表示画面上にさらに重畳して表示されることにより、遠隔操作者は、走行映像Rfに映る自動車3に対して仮にブレーキをかけた場合に自動車3がどのような軌道で停止するのかや、どの位置で停車するのか等を容易に認識することができる。これにより、例えば急ブレーキをかけなければならないような緊急時においても、遠隔操作者が遠隔運転を正しく行うことに寄与することができ、遠隔運転の安全性の向上を図るという効果が得られる。
【0062】
次に図8を参照して本実施形態に係る遠隔自動運転方法を説明する。図8は、本実施形態に係る遠隔自動運転方法の手順の例を示すフローチャートである。遠隔操作卓10には、遠隔操作対象の自動車3のID等の自動車情報や、遠隔操作対象の自動車3に搭載されている車載装置30の通信アドレス等の車載装置情報が予め登録される。遠隔操作者が遠隔操作対象の自動車3を指定して遠隔操作を開始すると、遠隔操作卓10と遠隔操作対象の自動車3に搭載されている車載装置30との間で、図8に示される遠隔自動運転方法の手順が開始される。
【0063】
(ステップS1) 遠隔操作卓10は、車両制御信号Saを車載装置30へ送信する。
【0064】
(ステップS2) 車載装置30は、遠隔操作卓10から受信した車両制御信号Raを遠隔操作卓10へ送り返す返送信号Sbを生成する。車載装置30は、返送信号Sbと車両状態データSdと走行映像Sfとを遠隔操作卓10へ送信する。遠隔操作卓10は、車載装置30から、返送信号Rbと車両状態データRdと走行映像Rfとを受信する。
【0065】
(ステップS3) 遠隔操作卓10は、遠隔操作卓10から車載装置30へ送信された車両制御信号Saと、車載装置30から受信した返送信号Rbとの差分を抽出する。
【0066】
(ステップS4) 遠隔操作卓10は、抽出された差分に基づいて自動車3の動きを計算する。自動車3の動きの計算では、差分リストCと車両状態データRdとに基づいて自動車3の推定位置Eが計算される。
【0067】
(ステップS5) 遠隔操作卓10は、自動車3に対して仮に制動をかけた場合の自動車3の仮想上の制動の動きをさらに計算する。
【0068】
(ステップS6) 遠隔操作卓10は、走行映像Rfを表示装置の表示画面に表示させる。また、映像表示部15は、ステップS4で計算された自動車3の動きを示す情報を、走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示させる。また、映像表示部15は、ステップS5で計算された自動車3の仮想上の制動の動きを示す情報を、走行映像Rfの表示画面上にさらに重畳して表示させる。これにより、例えば、図6図7に例示されるように、推定位置Eを示す情報(破線120や破線130)及び仮想制動軌道を示す情報(点線220や点線230)が走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示される。
【0069】
上述したように本実施形態によれば、走行映像Rfに映る自動車3にはまだ反映されていないが、実際の自動車3には反映されている自動車3の動きを示す情報を走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示させることができる。遠隔操作者は、その走行映像Rfの表示画面上に重畳して表示される自動車3の動きを示す情報によって、走行映像Rfに映る自動車3にはまだ反映されていない実際の自動車3の動きを容易に推定することができる。これにより、遠隔操作卓10と自動車3との間の通信遅延に起因する遠隔操作上の遠隔操作者の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0070】
また、本実施形態によれば、自動車3の仮想上の制動の動きを示す情報(例えば、仮想制動軌道を示す情報)が走行映像Rfの表示画面上にさらに重畳して表示されることにより、遠隔操作者は、走行映像Rfに映る自動車3に対して仮にブレーキをかけた場合に自動車3がどのような制動の動きを示すのか(例えば、どのような軌道で停止するのかや、どの位置で停車するのか等)を容易に認識することができる。これにより、例えば急ブレーキをかけなければならないような緊急時においても、遠隔操作者が遠隔運転を正しく行うことに寄与することができる。これは、遠隔運転の安全性の向上を図るという効果を奏する。
【0071】
また、本実施形態では、遠隔操作卓10と車載装置30との間の通信遅延時間を予測して自動車3の動きを推定するのではなく、遠隔操作卓10から車載装置30へ送信した車両制御信号Saと車載装置30から返送された車両制御信号との差分に基づいて自動車3の動きを推定する。遠隔操作卓10と車載装置30との間の通信遅延時間を予測して自動車3の動きを推定する方法は、通信遅延時間が大きく変動する等の通信遅延時間の予測が難しい通信環境では適用することができない可能性がある。一方、本実施形態によれば、遠隔操作卓10と車載装置30との間の通信遅延時間が大きく変動する等の通信遅延時間の予測が難しい通信環境であっても、十分に適用することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、バッファbufが設けられることにより、通信遅延時間以外の遅延時間に起因する走行映像の時間的なずれが考慮された自動車3の推定位置Eや仮想制動軌道が算出される。これにより、遠隔操作卓10の遠隔操作者に対してより正確な自動車3の動きの推定位置Eや仮想制動軌道を走行映像Rfの表示画面上に重畳表示させることができる。
【0073】
なお、これにより、例えば遠隔自動運転システムにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0075】
上述した実施形態では、自動運転装置として、車両の一例である自動車を例に挙げたが、鉄道車両等の自動車以外の他の車両にも適用可能である。
【0076】
また、上述した実施形態は、自動運転装置として例えばクレーンやショベル等の建設機械に適用し、建設機械のアームやショベルなどの遠隔操作にも適用可能である。
建設機械等の自動運転装置に適用される遠隔自動運転システムの構成例を、以下に示す。
遠隔自動運転システムは、遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置が送信する運転制御信号に基づいて自動運転を行う自動運転装置に搭載される搭載装置とを備える。前記遠隔操作装置は、遠隔操作者が行う前記自動運転装置の遠隔操作に対応する前記運転制御信号を前記搭載装置へ送信する送信部と、前記搭載装置が前記遠隔操作装置から受信した前記運転制御信号を前記遠隔操作装置へ送り返す返送信号と、前記自動運転装置の映像と、前記自動運転装置の運転状態を示す装置状態データとを前記搭載装置から受信する受信部と、前記遠隔操作装置から前記搭載装置へ送信された前記運転制御信号と、前記搭載装置から受信した前記返送信号との差分を抽出する情報管理部と、前記差分と前記装置状態データとに基づいて、前記映像上の前記自動運転装置の位置を原点にした前記自動運転装置の推定位置を計算する計算部と、前記搭載装置から受信した前記映像の表示画面上に前記自動運転装置の推定位置を重畳表示させる映像表示部と、を備える。前記搭載装置は、前記運転制御信号を受信する搭載受信部と、前記返送信号を生成する信号複製部と、前記返送信号と前記映像と前記装置状態データとを前記遠隔操作装置へ送信する搭載送信部と、を備える。前記計算部は、前記自動運転装置に対して仮に制動をかけた場合の前記自動運転装置の仮想上の制動の動きをさらに計算し、前記映像表示部は、前記自動運転装置の仮想上の制動の動き示す情報を、前記搭載装置から受信した前記映像の表示画面上にさらに重畳表示させる。
【0077】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0078】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…遠隔自動運転システム、3…自動車、10…遠隔操作卓、11…通信部、12…遠隔操作部、13…操作情報管理部、14…車両位置計算部、15…映像表示部、30…車載装置、31…通信部、32…信号複製部、33…車両制御部、34…映像取得部、buf…バッファ、NW…通信ネットワーク
図1
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