(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142425
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】取付金具
(51)【国際特許分類】
E04G 5/00 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
E04G5/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042583
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で床材間および床材と建地縦材との間の隙間を規定の範囲内に保持することができ、仮設足場の隙間の管理および設置作業の作業性を向上させることができる 取付金具を提供する。
【解決手段】建地縦材21と建地縦材21と接続する建地横材22とを備えた枠組足場2に取り付けられる取付金具1であって、建地縦材21に引掛けられて配設され、建地縦材21と建地横材22との接続部26と作業床23の固定部25との間の建地横材22に形成される被覆部27に嵌合され、被覆部27を被覆可能な被覆部材10と、被覆部材10に接合され、建地縦材21に引掛けられるひげ筋12と、を備え、被覆部27および被覆部材10の建地横材22の材長方向の長さは、略一致し、ひげ筋12は、被覆部材10に接合された接続片13と、接続片13から連続する延設片14と、第一上部片16と、第二上部片17と、第三上部片18と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建地縦材と前記建地縦材と接続する建地横材とを備えた枠組足場に取り付けられる取付金具であって、
前記建地縦材に引掛けられて配設され、前記建地縦材と前記建地横材との接続部と作業床の固定部との間の前記建地横材に形成される被覆部に嵌合され、
前記被覆部を被覆可能な被覆空間を有する被覆部材と、
前記被覆部材に接合され、前記建地縦材に引掛けられるひげ筋と、
を備え、
前記被覆部材は、
前記建地横材の材長方向に前記被覆部と略一致する長さを有し、
前記建地横材を挿通可能で、前記建地横材に前記建地縦材の設置方向下向きから嵌合可能かつ前記建地縦材の設置方向上向きに嵌外可能に形成され、
前記被覆部および前記被覆部材の前記建地横材の材長方向の長さは、略一致し、
前記ひげ筋は、
前記被覆部材に接合された接続片と、
前記接続片から連続し、前記被覆部材の高さ方向に延びて形成される延設片と、
前記延設片から連続し、前記建地縦材に近接しながら前記被覆部材から離れる方向に延びて形成される第一上部片と、
前記第一上部片から連続し、前記建地縦材に近接しながら前記建地縦材の外形寸法方向に延びて形成される第二上部片と、
前記第二上部片から連続し、前記建地縦材を挟んで前記第一上部片に対向し、前記建地縦材に近接しながら前記被覆部材に近接する方向に延びて形成される第三上部片と、
を有する、
取付金具。
【請求項2】
前記第一上部片は、前記延設片との連続部において、前記建地縦材に近接し前記被覆部材から離れる方向に略90°屈曲され、
前記第二上部片は、前記第一上部片との連続部において、前記建地縦材に近接する前記建地縦材の外形寸法方向に略90°屈曲され、
前記第三上部片は、前記第二上部片との連続部において、前記建地縦材に近接し前記被覆部材に近接する方向に略90°屈曲され、
前記接続片の前記被覆部材の高さ方向の長さと、前記延設片の前記被覆部材の高さ方向の長さと、前記第一上部片の前記被覆部材から離れる方向の長さと、前記第二上部片の前記建地縦材の外形寸法方向の長さと、前記第三上部片の前記被覆部材に近接する方向の長さと、前記建地縦材の外形寸法とは、略一致する、
請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
前記被覆部材は、
前記建地横材の奥行き方向に前記被覆部の外形寸法と略一致する長さを有して形成される上部と、
前記上部の前記建地横材の材長方向に対して、前記上部の前記建地横材の奥行き方向の両端部から、前記建地縦材の設置方向下向きに延びて前記建地横材の外形寸法に略一致する長さを有して形成される一方側側部および他方側側部と、
を有する、
請求項1または2に記載の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠組足場に設けられる取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
高層構造物の建設等の高所作業を要する施工現場において用いられる仮設足場として、枠組足場が一般的に使用されている。枠組足場は、鋼管を所定の門型形状に溶接・曲げ加工して形成した建地に布板、筋交等の部材を組み合わせて、積み上げて構成する(例えば、特許文献1参照)。なお、仮設足場の設置および足場上での作業にあたっては、高所での作業となることから関係法令に則った墜落および落下物防止措置等の所定の安全対策が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の墜落防止措置について、改正労働安全衛生規則(平成27年施行)では、足場の作業床において、床材間の隙間を3cm以下とする従来の規定に加えて、床材と建地(建地縦材)との隙間を12cm未満とする規定が追加された。そのため、足場の組立完了時、または使用時においては、使用者による日々の上記規定の点検に時間がかかるという課題がある。また、足場が適正な位置になく、上記の隙間による歪みがある場合、筋交い等の設置作業が難しくなり、作業効率が低下することで工期に影響が出るという課題もある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で床材間および床材と建地縦材との間の隙間を規定の範囲内に保持することができ、仮設足場の隙間の管理および設置作業の作業性を向上させることができる取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
建地縦材と前記建地縦材と接続する建地横材とを備えた枠組足場に取り付けられる取付金具であって、前記建地縦材に引掛けられて配設され、前記建地縦材と前記建地横材との接続部と作業床の固定部との間の前記建地横材に形成される被覆部に嵌合され、前記被覆部を被覆可能な被覆空間を有する被覆部材と、前記被覆部材に接合され、前記建地縦材に引掛けられるひげ筋と、を備え、前記被覆部材は、前記建地横材の材長方向に前記被覆部と略一致する長さを有し、前記建地横材を挿通可能で、前記建地横材に前記建地縦材の設置方向下向きから嵌合可能かつ前記建地縦材の設置方向上向きに嵌外可能に形成され、前記被覆部および前記被覆部材の前記建地横材の材長方向の長さは、略一致し、前記ひげ筋は、前記被覆部材に接合された接続片と、前記接続片から連続し、前記被覆部材の高さ方向に延びて形成される延設片と、前記延設片から連続し、前記建地縦材に近接しながら前記被覆部材から離れる方向に延びて形成される第一上部片と、前記第一上部片から連続し、前記建地縦材に近接しながら前記建地縦材の外形寸法方向に延びて形成される第二上部片と、前記第二上部片から連続し、前記建地縦材を挟んで前記第一上部片に対向し、前記建地縦材に近接しながら前記被覆部材に近接する方向に延びて形成される第三上部片と、を有する。
【0007】
上記の構成を有することで、取付金具のひげ筋を建地縦材に引掛けて、被覆部材を被覆部に嵌合させることにより、被覆部を建地横材の材長方向に隙間なく被覆することが可能となる。そのため、枠組足場の床材間および床材と建地縦材との間に形成される隙間を規定の範囲内に保持することができる。
【0008】
また、本発明に係る取付金具において、前記第一上部片は、前記延設片との連続部において、前記建地縦材に近接し前記被覆部材から離れる方向に略90°屈曲され、前記第二上部片は、前記第一上部片との連続部において、前記建地縦材に近接する前記建地縦材の外形寸法方向に略90°屈曲され、前記第三上部片は、前記第二上部片との連続部において、前記建地縦材に近接し前記被覆部材に近接する方向に略90°屈曲され、前記接続片の前記被覆部材の高さ方向の長さと、前記延設片の前記被覆部材の高さ方向の長さと、前記第一上部片の前記被覆部材から離れる方向の長さと、前記第二上部片の前記建地縦材の外形寸法方向の長さと、前記第三上部片の前記被覆部材に近接する方向の長さと、前記建地縦材の外形寸法とは、略一致してもよい。
【0009】
上記の構成を有することで、取付金具を建地縦材の所定の位置に配設し、所定の方向および角度で回転させてひげ筋を建地縦材に嵌合させることにより、取付金具を被覆部の所望の位置に容易に嵌合させることができる。
【0010】
また、本発明に係る取付金具において、前記被覆部材は、前記建地横材の奥行き方向に前記被覆部の外形寸法と略一致する長さを有して形成される上部と、前記上部の前記建地横材の材長方向に対して、前記上部の前記建地横材の奥行き方向の両端部から、前記建地縦材の設置方向下向きに延びて前記建地横材の外形寸法に略一致する長さを有して形成される一方側側部および他方側側部と、を有してもよい。
【0011】
上記の構成を有することで、取付金具を建地横材の奥行き方向および建地縦材の設置方向に余分な隙間なく、被覆部に嵌合させることができる。そのため、該方向の外力等による取付金具の脱落を防止し、被覆部を強固に被覆することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成で床材間および床材と建地縦材との間の隙間を規定の範囲内に保持することができ、仮設足場の隙間の管理および設置作業の作業性を向上させることができる取付金具を提供することことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による取付金具の取付方向における正面視図、上面視図、側面視図である。なお、(a)は、本発明の実施形態による取付金具の取付方向における正面視図を示す。(b)は、(a)の上面視図を示す。(c)は(a)の左側面視図を示す。(d)は、(a)の右側面視図を示す。
【
図2】本発明の実施形態による取付金具の取付作業開始時の各部の位置関係を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態による取付金具の取付状況を示す斜視図である。
【
図5】
図3のB方向から見た本実施形態による枠組足場の上面視図である。
【
図6】本発明の実施形態による取付金具の変形例における取付状況を示す
図3のB方向から見た上面視図である。
【
図7】本発明の実施形態による取付金具の変形例における取付状況を示す
図3のA方向から見た矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による取付金具1について、
図1乃至
図7に基づいて説明する。
先ず、
図1に示すように、本実施形態による取付金具1は、被覆空間11を有する被覆部材10と、被覆部材10に接合されたひげ筋12から構成される。
なお、
図1において、取付金具1の取り付け方向における幅方向をX方向、奥行き方向をY方向、高さ方向をZ方向とおく。
【0015】
被覆部材10は、X方向およびY方向に延びて形成された板状の上部10aと、上部10aのY方向両端部に設けられ、上部10aのZ方向に面する2面のうちの下面から延びて形成された板状の一方側側部10b(以下、側部10b)、他方側側部10c(以下、側部10c)から構成される。側部10bは、
図1(a)における上部10aのY方向手前の端部からZ方向下向きに延びて形成され、側部10cは、側部10bが形成される上部10aの一方の端部に対するY方向他方側の端部からZ方向下向きに延びて形成される。上記の構成により、被覆部材10は、X方向にZ方向下向きに開口する逆U字の断面形状が形成される。
【0016】
上部10aは、X方向に偏長でZ方向に偏短に形成され、側部10b,10cは、X方向に偏長でY方向に偏短に形成される。また、それぞれの厚みに該当する上部10aのZ方向の長さと側部10b,10cのY方向の長さとは略一致し、それぞれの幅長に相当する上部10aおよび側部10b、10cのX方向の長さは略一致する。また、
図1における上部10aのZ方向に面する2面のうち上部に配される面を上面10dとおく。
【0017】
被覆部材10は、取付金具1の取付向きにおいて圧縮方向(X方向)の外力に対して十分な強度を有する。材質は例えば、鋼材が用いられる。また、本実施形態において被覆部材10は1つの部材から形成されているが、被覆部材10が所望の性能および所定の耐久性を有するのであれば、本実施形態の構成に限らない。例えば、上部10aと側部10b、10cとが異なる部材で形成され、これらを接合して被覆部材10を構成してもよい。
【0018】
ひげ筋12は、被覆部材10の側部10bのX方向に面する一方の外面10e(以下、接合面10e)に接合されて設けられる。ひげ筋12は1本の鋼材から構成され、所定の位置で所定の角度および方向に屈曲させることで形成する。ひげ筋12は、側部10bとの接合部を起点として、接続片(溶接片)13と、延設片14と、嵌合部15として第一上部片16と、第二上部片17と、第三上部片18とが連続する構成で形成される。
【0019】
また、ひげ筋12は、上記の各片間の屈曲部が外力に対して容易に変化しない所定の曲げ強度を有する。ひげ筋12の外形寸法は、一定で側部10bのY方向の長さ(厚み)に略一致する。なお、各片が所定の曲げ強度を有していれば、本実施形態の構成に限らない。例えば、ひげ筋12の屈曲部毎に外形寸法を変化させてもよい。
【0020】
接続片13は、接合面10eに接合されて形成される。側部10bと接続片13とは、互いに接着する箇所を溶接して接合されている。なお、接合部において所定の耐久性が得られれば本実施形態に限らない。例えば、ネジによる接合や金属用接着剤等その他の接合方法によって接合してもよいし、取付金具1が所望の性能を得られるのであれば、被覆部材10とひげ筋12とを、1つの部材から形成してもよい。
【0021】
また、接続片13は、接合面10eに接合されているため、被覆部材10と同様に圧縮方向(X方向)に対して十分な強度を有する。なお、被覆部材10に圧縮力が作用した際に接続片13に該圧縮力が作用しない場合は、本実施形態の構成に限らない。例えば、側部10bのY方向に面する一方の外面に接合されて形成されている場合が挙げられる。
【0022】
延設片14は、接続片13のZ方向上端から連続して延びて設けられる。また、延設片14は、上部10aのZ方向に面する面に対して、垂直に設けられる。
第一上部片16は、延設片14のZ方向の上端から連続して延び、X方向における被覆部材10の反対方向に略90°屈曲されて設けられる。
第二上部片17は、第一上部片16のX方向の両端部のうち、延設片14に連続していない端部から連続して延び、Y方向における側部10cに向かう方向に略90°屈曲されて設けられる。
第三上部片18は、第二上部片17のY方向の両端部のうち、第一上部片16に連続していない端部から連続して延び、X方向における被覆部材10に近接する方向に略90°屈曲されて設けられる。
【0023】
また、接続片13のZ方向の長さと、延設片14のZ方向の長さと、第一上部片16のX方向の長さと、第二上部片17のY方向の長さと、第三上部片18のX方向の長さとは、略一致する。また、
図1(a)および(b)に示すように、第三上部片18のX方向の第二上部片17に連続していない端部と、被覆部材10と接続片13との接合部とは、正面視で、X方向の位置が略一致する。
【0024】
連続して設けられた第一上部片16、第二上部片17および第三上部片18により、X方向における被覆部材10に近接する方向に開口するコの字形状の嵌合部15が形成される。また、嵌合部15により、開口を有して包囲された囲い部19が形成される。
【0025】
なお、ひげ筋12は、所望の性能が得られるのであれば、各屈曲部の構成は本実施形態に限らない。例えば、接続片13を側部10bに接合してもよいし、接続片13を側部10cに接合し、ひげ筋12を適宜屈曲させて接続片13から連続する各片を形成してもよい。
【0026】
次に、上記で説明した取付金具1の取付方法について
図2乃至
図5に基づいて説明する。
図2に示すように、本実施形態における枠組足場2は、建地縦材(手摺柱)21および建地横材(足場建地)22から構成される建地20を組み合わせてZ方向に順次積み上げる。形成した建地20において、作業床23を構成する複数の布板24を布板24の設置方向両端部に設けられた固定部25を建地横材22に係合させることにより建地横材22に順次固定し、枠組足場2を形成する。
建地横材22における建地縦材21に近接する固定部25と、建地縦材21と建地横材22との接続部26と、の間は、取付金具1により被覆される被覆部27として構成される。
なお、後述する取付金具1の取付方向および
図1において定義した方向に基づき、建地横材22が接続部26から延びる方向をX方向、布板24の設置延長方向をY方向、建地縦材21が延びる方向をZ方向とおく。
枠組足場2を構成する建地20(建地縦材21および建地横材22)と作業床23とは、所望の強度を有する鋼材から形成され、建地縦材21のX方向および建地横材22のZ方向の断面形状は円形形状を形成している。また、被覆部27のX方向の長さと被覆部材10のX方向の長さとは略一致する。
【0027】
図1における接続片13および延設片14のZ方向の長さと、第一上部片16および第三上部片18のX方向の長さと、第二上部片17のY方向の長さとは、
図2乃至
図5における建地縦材21の径長に略一致し、建地縦材21を囲い部19内に格納可能に形成される。なお、ひげ筋12の各部位の長さは、取付金具1を容易に被覆部27に取付可能であれば、本実施形態の構成に限らない。例えば、建地縦材21を挟む第二上部片17のY方向の長さが建地縦材21のX方向の径長よりも若干大きく形成されてもよい。
【0028】
また、
図1における被覆空間11のY方向およびZ方向の長さと、
図2乃至
図5における被覆部27の径長とは、略一致する。なお、被覆空間11のY方向およびZ方向の長さは、取付金具1を容易に被覆部27に取付可能であれば、本実施形態の構成に限らない。例えば、被覆空間11のY方向またはZ方向の長さ、またはその両方が被覆部27の径長より若干大きく形成されてもよい。
また、被覆部材10は、被覆部27を被覆可能であれば本実施形態の構成に限らない。例えば、
図1における上部10aのX方向に面する面の断面形状を被覆部27の外形形状に略一致させて形成してもよい。
【0029】
本実施形態における取付金具1を被覆部27に取り付ける方法について説明する。
先ず、
図2に示すように、被覆部材10の上部10aの上面10dを建地縦材21の接続部26が設けられている側の面に対向させる。また、上記の構成により、延設片14と第二上部片17とは、建地縦材21の外表面に近接する。
また、
図2に示すように、第二上部片17は、被覆部27のZ方向上端からZ方向上向きに第一上部片16および第三上部片18の長さに相当する間隔を設けて配置される。
【0030】
上記の構成において、建地縦材21に配置された取付金具1をX方向において第二上部片17を中心に建地横材22が延びる向きからZ方向下向きで略90°回転させる。この回転により、被覆部材10は被覆部27を上方から被覆するよう移動し、被覆部27を被覆空間11内に格納することで被覆部27が被覆される。上記の構成により、
図3乃至
図5に示すように、ひげ筋12を建地縦材21に引掛けて建地縦材21に配設し、被覆部材10を被覆部27に被覆させて取付金具1を枠組足場2に取り付ける。
【0031】
また、
図5に示すように、作業床23のX方向両端部に固定部25が係合されている建地横材22を介して建地縦材21,21が配設されており、作業床23のX方向両端部に被覆部27,27が設けられている。そのため、作業床23のX方向両端部に取付金具1,1が、上記の取付方法によりそれぞれ取り付けられる。
【0032】
本実施形態では、ひげ筋12について、延設片14と第一上部片16と第二上部片17と第三上部片18とを建地縦材21に適宜近接させた構成で、取付金具1を枠組足場2に取り付ける。なお、取付金具1が所望の性能を発揮できれば、ひげ筋12の形状は本実施形態に限らない。例えば、第一上部片16と第二上部片17との屈曲部および第二上部片17と第三上部片18との屈曲部とを建地縦材21の断面形状に略一致させて形成してもよい。
【0033】
次に、上述した本発明の実施形態による取付金具の作用・効果について
図2乃至
図5に基づいて説明する。
図2および
図3に示すように、本実施形態では、取付金具1について、上面10dを建地縦材21の接続部26が設けられている側の面に対向させ、第二上部片17を被覆部27のZ方向上端からZ方向上向きに第一上部片16および第三上部片18の長さに相当する間隔を空けて配置する。以上の構成において、建地縦材21に配置された取付金具1をX方向において第二上部片17を中心に建地横材22が延びる向きからZ方向下向きで略90°回転させる。以上の機構により、
図3に示すように、取付金具1を被覆部27の所定の位置に容易に嵌合させることができる。
【0034】
また、
図5に示すように、作業床23のX方向両端部に設けられている被覆部27,27について、被覆部27のX方向の長さと該被覆部27を被覆する被覆部材10のX方向の長さとは略一致し、作業床23のX方向両端部に取付金具1,1が取り付けられる。以上の構成により、建地横材22のX方向に余分な隙間なく取付金具1,1を嵌合させることが可能となる。そのため、作業床23間および建地縦材21に近接する固定部25と建地縦材21との間に生じる隙間を規定の範囲内に保持することができ、仮設足場の隙間の管理および設置作業の作業性を向上させることができる。
【0035】
また、
図3乃至
図5に示すように、被覆空間11のY方向およびZ方向の長さと、被覆部27の径長とが略一致する構成により、取付金具1をY方向およびZ方向に余分な隙間なく被覆部27に嵌合させることが可能となる。そのため、該方向の外力等による取付金具1の脱落を防止し、被覆部27を強固に被覆することが可能となる。
【0036】
また、
図3および
図5に示すように、取付金具1は、X方向における被覆部材10に近接する方向に開口するコの字形状の嵌合部15を有し、建地縦材21に嵌合部15が近接配置されている。以上の構成により、取付金具1は、Y方向の外力等による取付金具1の脱落を防止し、被覆部27を強固に被覆することが可能となる。
【0037】
以上、本発明による取付金具1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、
図6および
図7に示すように落下物防止対策機構として巾木28を作業床23のX方向の両端部に設けた場合において、被覆部材10は、桁側部28aの下部に設けられる。また、ひげ筋12は、妻側部28bの外側に位置する建地縦材21に取り付けられる。また、嵌合部15と巾木固定部29,29とは、建地縦材21のZ方向に異なる位置にそれぞれ設けられる。上記の構成により、取付金具1は、巾木28の設置に干渉することなく枠組足場2に取り付けることが可能であるため、落下物防止対策と作業床23間および作業床23と建地縦材21との間の隙間対策(墜落防止対策)とを容易に両立することが可能となる。
【0038】
また、上記の実施形態では、第三上部片18をひげ筋12の先端部として構成されているが、第三上部片18の第二上部片17に連続していない先端部からZ方向下向きにひげ筋12を連続して延長し、側部10cに接合して、接続片13と同様の構成を形成する。この構成により、側部10b,10cを介して被覆部材10とひげ筋12とを一体化した取付金具1を構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 取付金具
10 被覆部材
10a 上部
10b 側部(一方側側部)
10c 側部(他方側側部)
10d 上面
10e 接合面
11 被覆空間
12 ひげ筋
13 接続片(溶接片)
14 延設片
15 嵌合部
16 第一上部片
17 第二上部片
18 第三上部片
19 囲い部
2 枠組足場
20 建地
21 建地縦材(手摺柱)
22 建地横材(足場建地)
23 作業床
24 布板
25 固定部
26 接続部
27 被覆部
28 巾木
28a 桁側部
28b 妻側部
29 巾木固定部