(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142432
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】カーテン吊持器およびカーテン吊持構造
(51)【国際特許分類】
A47H 15/00 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
A47H15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042594
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】514104830
【氏名又は名称】株式会社スミノエ
(71)【出願人】
【識別番号】504142628
【氏名又は名称】有限会社浮間装飾
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】奥田 高史
(72)【発明者】
【氏名】羽生 隆昭
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AB04
2E182AB09
2E182AC01
2E182DE01
2E182DG01
2E182DH01
2E182DH03
2E182DH04
2E182DH17
2E182DJ03
2E182DJ24
2E182EE01
(57)【要約】
【課題】医療用カーテン等をサイズを小さくしつつ簡単に着脱できるカーテン吊持器を提供する。
【解決手段】本発明は、カーテン5をカーテンレール6に対し下方に離間した状態で吊持するためのカーテン吊持器1を対象とする。本発明のカーテン吊持器1は、硬質性を有する棒状部材と、棒状部材の上端部を、カーテンレール6のランナー62に取り付けるための上端部取付手段と、棒状部材の下端部を、カーテン5の上縁部に対し着脱自在に取り付けるための下端部取付手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンをカーテンレールに対し下方に離間した状態で吊持するためのカーテン吊持器であって、
硬質性を有する棒状部材と、
前記棒状部材の上端部を、カーテンレールのランナーに取り付けるための上端部取付手段と、
前記棒状部材の下端部を、カーテンの上縁部に対し着脱自在に取り付けるための下端部取付手段とを備えることを特徴とするカーテン吊持器。
【請求項2】
前記棒状部材は、外殻パイプを含み、
前記外殻パイプに線状吊持部材が、その上下両端が前記外殻パイプの上下両端からそれぞれ引き出された状態に挿入配置され、
前記線状吊持部材における前記外殻パイプの上端から引き出された上端引出部に、前記上端部取付手段が設けられるとともに、
前記線状吊持部材における前記外殻パイプの下端から引き出された下端引出部に、前記下端部取付手段が設けられている請求項1に記載のカーテン吊持器。
【請求項3】
外殻パイプは、その上側部を構成する上側パイプと、下側部を構成する下側パイプとに分割されている請求項2に記載のカーテン吊持器。
【請求項4】
前記上側パイプおよび前記下側パイプ間における前記線状吊持部材に緩衝部材が外嵌されている請求項3に記載のカーテン吊持器。
【請求項5】
前記線状吊持部材がワイヤーロープによって構成されている請求項2~4のいずれか1項に記載のカーテン吊持器。
【請求項6】
前記上端部取付手段は、ランナーのランナーリングに掛止可能な上側フックによって構成されている請求項1~5のいずれか1項に記載のカーテン吊持器。
【請求項7】
前記下端部取付手段は、カーテンの上縁部に設けられたハトメに掛止可能な下側フックによって構成されている請求項1~6のいずれか1項に記載のカーテン吊持器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の複数のカーテン吊持器を備え、
カーテンレールに走行自在に設けられた複数のランナーに、前記複数のカーテン吊持器の上端部取付手段がそれぞれ取り付けられるとともに、前記複数のカーテン吊持器の下端部取付手段がカーテンの上縁部に沿ってそれぞれ取り付けられることにより、前記複数のカーテン吊持器を介して前記カーテンが前記カーテンレールに対し下方に離間した状態に吊持されていることを特徴とするカーテン吊持構造。
【請求項9】
隣り合う前記カーテン吊持器が牽引コードによって連結されている請求項8に記載のカーテン吊持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間仕切りカーテン等のカーテンをカーテンレールに吊持するためのカーテン吊持器およびそれを用いたカーテン吊持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば病院や介護施設等の居住スペースで用いられる間仕切りカーテンは、スプリンクラーによる散水の障害とならないように、カーテンと天井との間に開口部が形成されている。
【0003】
このような間仕切りカーテンにおいて、カーテン本体と、その上側部に、開口部として機能するメッシュ部とを備えた、いわゆるメッシュカーテンが用いられる場合があり例えば、メッシュカーテンの上端縁に取り付けられたカーテンフックが、天井に固定されたカーテンレールのランナーに掛止されることによって吊持されているのが周知である。
【0004】
ところがメッシュカーテンは、メッシュ部を装備する分、カーテンサイズ(生地サイズ)が増大して、カーテンを洗濯する際の洗濯量も増大するため、効率良く洗浄できない。そればかりか、生地サイズが大きくなるとその分、コストも増大することになる。
【0005】
そこで近年になって下記特許文献1に示すように、間仕切りカーテン等のカーテンを紐状部材で吊持するようにしたカーテン吊持構造が提案されている。このカーテン吊持構造は、間仕切りカーテンの上縁部に沿って設けられた複数のカーテンフックを、天井等に固定されたカーテンレールの複数のランナーに紐状部材によってそれぞれ連結して、カーテンをカーテンレールに対し下方に間隔をおいた状態で吊持するという構造を備えている。このカーテン吊持構造においては、カーテンと天井との間のスペース(間隔)によって開口部が形成されるため、開口部形成用のメッシュ部を装備する必要がなくその分、カーテンサイズを小さくことができる。従って効率良く洗濯洗浄できるとともに、コストも削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に示す従来のカーテン吊持構造においては例えば、カーテンを取り付ける場合には、カーテンレールのランナーに紐状部材の上端部を取り付けるとともに、紐状部材の下端部をカーテンフックに掛止する一方、カーテンを取り外す場合には、紐状部材の上端部をランナーから取り外すとともに、紐状部材の下端部からカーテンフックを取り外すようにしている。
【0008】
しかしながら、このようなカーテン吊持構造においては、柔らかくて取り扱い難い紐状部材を採用しているため、作業者は、カーテンフックやランナーに対し紐状部材を取り付けたり取り外したりする際に手間取り、カーテンの着脱作業をスムーズに行うことができないという課題があった。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、カーテンサイズを小さくできる上さらに、カーテンを簡単かつスムーズに着脱することができるカーテン吊持器およびカーテン吊持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0011】
[1]カーテンをカーテンレールに対し下方に離間した状態で吊持するためのカーテン吊持器であって、
硬質性を有する棒状部材と、
前記棒状部材の上端部を、カーテンレールのランナーに取り付けるための上端部取付手段と、
前記棒状部材の下端部を、カーテンの上縁部に対し着脱自在に取り付けるための下端部取付手段とを備えることを特徴とするカーテン吊持器。
【0012】
[2]前記棒状部材は、外殻パイプを含み、
前記外殻パイプに線状吊持部材が、その上下両端が前記外殻パイプの上下両端からそれぞれ引き出された状態に挿入配置され、
前記線状吊持部材における前記外殻パイプの上端から引き出された上端引出部に、前記上端部取付手段が設けられるとともに、
前記線状吊持部材における前記外殻パイプの下端から引き出された下端引出部に、前記下端部取付手段が設けられている前項1に記載のカーテン吊持器。
【0013】
[3]外殻パイプは、その上側部を構成する上側パイプと、下側部を構成する下側パイプとに分割されている前項2に記載のカーテン吊持器。
【0014】
[4]前記上側パイプおよび前記下側パイプ間における前記線状吊持部材に緩衝部材が外嵌されている前項3に記載のカーテン吊持器。
【0015】
[5]前記線状吊持部材がワイヤーロープによって構成されている前項2~4のいずれか1項に記載のカーテン吊持器。
【0016】
[6]前記上端部取付手段は、ランナーのランナーリングに掛止可能な上側フックによって構成されている前項1~5のいずれか1項に記載のカーテン吊持器。
【0017】
[7]前記下端部取付手段は、カーテンの上縁部に設けられたハトメに掛止可能な下側フックによって構成されている前項1~6のいずれか1項に記載のカーテン吊持器。
【0018】
[8]前項1~7のいずれか1項に記載の複数のカーテン吊持器を備え、
カーテンレールに走行自在に設けられた複数のランナーに、前記複数のカーテン吊持器の上端部取付手段がそれぞれ取り付けられるとともに、前記複数のカーテン吊持器の下端部取付手段がカーテンの上縁部に沿ってそれぞれ取り付けられることにより、前記複数のカーテン吊持器を介して前記カーテンが前記カーテンレールに対し下方に離間した状態に吊持されていることを特徴とするカーテン吊持構造。
【0019】
[9]隣り合う前記カーテン吊持器が牽引コードによって連結されている前項8に記載のカーテン吊持構造。
【発明の効果】
【0020】
発明[1]のカーテン吊持器によれば、硬質性の棒状部材と、棒状部材の上端部および下端部をカーテンレールおよびカーテンに取り付けるための上端部取付手段および下端部取付手段とを備えるものであるため、棒状部材は硬くて形状が安定しており不用意に変形しないので取り扱い易くなる。このため、カーテンに対する掛脱作業やカーテンレールに対する取付作業を効率良くスムーズに行うことができる。さらにカーテンは、カーテンレールから下方に離間して吊持できるため、その離間部を開口部として利用することにより、カーテン自体に、開口部を形成するためのメッシュ部を装着する必要がなくその分、カーテンサイズを小さくすることができる。このため効率良く洗濯洗浄できるとともに、コストも削減することができる。
【0021】
発明[2]のカーテン吊持器によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
【0022】
発明[3]のカーテン吊持器によれば、外殻パイプを上側パイプおよび下側パイプによって構成しているため、上下両側パイプ間で自在に折れ曲がることによって、両側パイプが不要に撓むような不具合を防止でき、早期の劣化や破損を防止できて耐久性を向上させることができる。
【0023】
発明[4]のカーテン吊持器によれば、上下両側パイプ間に緩衝部材を配置しているため、両側パイプ同士が激しく接触して破損するような不具合も防止でき、耐久性をより一層向上させることができる。
【0024】
発明[5]~[7]のカーテン吊持器によれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0025】
発明[8]のカーテン吊持構造によれば、上記発明のカーテン吊持器を含むものであるため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0026】
発明[9]のカーテン吊持構造によれば、隣り合うカーテン吊持器間を牽引コードによって連結しているため、カーテンの側縁等を引っ張ってカーテンを閉める際等に、カーテンに伴って端部位置のカーテン吊持器が走行移動すると、他のカーテン吊持器が順次追従するようにカーテンレール上を走行し、カーテンを突っかかることなくスムーズに閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態であるカーテン吊持構造を説明するための概略正面図である。
【
図2】
図2は実施形態のカーテン吊持構造におけるカーテンレール取付部を拡大して示す概略正面図である。
【
図3】
図3は実施形態のカーテン吊持構造におけるカーテン取付部を拡大して示す図であって、図(a)は側面図、図(b)は正面図である。
【
図4】
図4は実施形態のカーテン吊持構造に適用されたカーテン吊持器を説明するための斜視図である。
【
図5】
図5は実施形態のカーテン吊持具の吊持ワイヤーを示す斜視図である。
【
図6】
図6は実施形態のカーテン吊持具の外殻パイプおよび緩衝パイプを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1はこの発明の実施形態であるカーテン吊持構造を説明するための概略正面図、
図2は実施形態のカーテン吊持構造におけるカーテンレール取付部を拡大して示す正面図、
図3は実施形態のカーテン吊持構造におけるカーテン取付部を拡大して示す図である。
【0029】
これらの図に示すように、本実施形態のカーテン吊持構造は、病院等の医療施設で使用される間仕切りカーテン(医療用カーテン)5を室内に取り付ける際に用いられるものである。本実施形態においては、後に詳述する複数本のカーテン吊持器1が用いられて、カーテン5をカーテンレール6に対し下方に離間した状態で設置するものである。
【0030】
カーテンレール6は、天井面60にブラケット等を介して固定されるレール本体61と、レール本体61に走行自在に取り付けられる複数のランナー62とを備えている。各ランナー62には、円環状のランナーリング63が揺動自在に取り付けられている。
【0031】
なお本実施形態においては、カーテンレール6を天井面60に直接取り付けるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、レール本体が吊り棒を介して天井から離間して配置される吊り下げ式のカーテンレールにも適用することができる。
【0032】
本実施形態においてカーテン5は、カーテン本体(カーテン生地部)51と、カーテン本体51の上端縁部に沿って設けられ、かつ上記複数のランナー62に対応して設けられるリング状金具としての複数のハトメ52とを備えている。
【0033】
図4~
図6はカーテン吊持器1を説明するための図である。
図1~
図6に示すようにカーテン吊持器1は、カーテンレール6のランナー62およびカーテン5のハトメ52に対応して複数設けられている。
【0034】
本実施形態においてカーテン吊持器1は、吊持ワイヤー3と、吊持ワイヤー3の上側部に外嵌される上側パイプ21と、吊持ワイヤー3の下側部に外嵌される下側パイプ22と、吊持ワイヤー3における上側パイプ21および下側パイプ22間に外嵌される緩衝パイプ25とを備えている。
【0035】
吊持ワイヤー3は例えば、外径(直径1mm)の金属製のワイヤーロープによって構成されており、線状吊持部材を構成するものである。
【0036】
上側パイプ21および下側パイプ22は、硬質性を有する細長いパイプ状の合成樹脂成形品によって構成されている。上側パイプ21および下側パイプ22は、外殻パイプ2を構成するものであり、さらにこの外殻パイプ2は、棒状部材を構成するものである。
【0037】
緩衝パイプ25は、軟質性ないし弾力性を有するポリ塩化ビニル樹脂等の短パイプ状の合成樹脂成形品によって構成されている。本実施形態においては緩衝パイプ25が緩衝部材として構成されている。
【0038】
吊持ワイヤー3は、その上端部が上側パイプ21の上端から上方に引き出されるように配置されている。さらにその上端引出部がループ状(リング状)に折り返されて、折返し部の終端部が始端部に重ね合わされて、その重ね合わせ部に外嵌されたワイヤースリーブ等のワイヤー留め具35がカシメ加工されることによって、吊持ワイヤー3の重ね合わせ部が互い固着されて、吊持ワイヤー3の上端引出部に上側リング部31が形成されている。
【0039】
なお本実施形態においては、上側リング部31に上側フック41が取り付けられている。すなわち上側リング部31を形成する前に、その上側リング部31を構成する予定のワイヤー部を予め上側フック41の略リング状の取付部411に挿通配置しておき、その状態で既述したように上側リング部31を形成することによって、吊持ワイヤー3の上側リング部31に上側フック41を取り付けるようにしている。本実施形態においてはこの上側フック41が上端部取付手段として構成されている。
【0040】
本実施形態において、上側フック41はロック付きのフックによって構成されており、フック開口部に開閉自在にゲート412が設けられている。ゲート412は弾性力によってフック開口部を閉塞した状態に配置されており、その弾性力に抗してゲート412を開放することによって、フック開口部を開放できて、上側フック41を他の部位に掛脱操作できるように構成されている。
【0041】
一方、吊持ワイヤー3は、その下端部が下側パイプ22の下端から下方に引き出されるように配置されている。さらに上記と同様に、下端引出部がループ状(リング状)に折り返されて、折返し部の終端部が始端部に重ね合わされて、その重ね合わせ部に外嵌されたワイヤースリーブ等のワイヤー留め具35がカシメ加工されることによって、その重ね合わせ部が互いに固着されて、吊持ワイヤー3の下端引出部に下側リング部32が形成されている。
【0042】
さらに下側リング部32においても、下側リング部32を形成する前に、その下側リング部32を構成する予定のワイヤー部を予め下側フック42の取付孔421に挿通配置しておくことにより、吊持ワイヤー3の下側リング部32に下側フック42を取り付けるようにしている。本実施形態においては下側フック42が下端取付手段として構成されている。
【0043】
本実施形態のカーテン吊持器1は以上のように構成されており、このカーテン吊持器1を複数本用いてカーテン5をカーテンレール6に吊持するものである。
【0044】
すなわちカーテン吊持器1を、カーテンレール6の複数のランナー62に対応させて複数準備しておく。そして
図2に示すようにカーテン吊持器1における上側フック41をそのゲート412を開いてランナー62のランナーリング63に掛止して上側フック41のゲート412を閉じる。こうしてカーテンレール6の全てのランナー62に、カーテン吊持器1をそれぞれ掛止して吊持する。
【0045】
続いて
図3に示すように、各カーテン吊持器1の下側フック42を、カーテン5の各ハトメ52にそれぞれ掛止することによって、カーテン5を複数のカーテン吊持器1を介してカーテンレール6に吊持する。この吊持状態では
図1~
図3に示すように、カーテン5がカーテンレール6に対し下方に離間して配置されており、両部材5,6間に開口部(隙間)Sが形成されている。
【0046】
なお
図1に示すように本実施形態においては、複数のカーテン吊持器1に、隣り合うカーテン吊持器1の各間を連結するように柔軟性を有する牽引コード10が取り付けられている。
【0047】
以上のように構成された本実施形態のカーテン吊持構造においては、カーテン5がカーテンレール6からカーテン吊持器1を介して間隔(開口部S)をおいて配置されているため、カーテン5に、開口部Sを形成するためのメッシュ部を装着する必要がなくその分、カーテンサイズを小さくすることができる。このため効率良く洗濯洗浄できるとともに、コストも削減することができる。
【0048】
さらに本実施形態のカーテン吊持構造において、カーテン5を吊持するために用いられるカーテン吊持器1は、上側パイプ21および下側パイプ22等の硬質性の外殻パイプ2を備えるものであるため、各パイプ21,22は、硬くて形状が安定しており不用意に変形しないので取り扱い易くなる。このためカーテン吊持器1のカーテン5に対する掛脱作業やカーテンレール6に対する固定作業を効率良くスムーズに行うことができる。
【0049】
特に本実施形態においては、カーテン吊持器1の下端に下側フック42を設け、カーテン5にハトメ52を取り付けているため、下側フック42をハトメ52に掛脱するだけでカーテン5を着脱でき、カーテンの着脱作業をより一層簡単に行うことができる。
【0050】
その上さらに、カーテン吊持器1はその上端に上側フック41を設け、その上側フック41をカーテンレール6のランナーリング63に掛止するだけでカーテン吊持器1をカーテンレール6に取り付けることができ、カーテン吊持器1のカーテンレール6への取付作業をより一層簡単に行うことができる。
【0051】
また上記実施形態においては、外殻パイプ2を、上側パイプ21および下側パイプ22の2本のパイプによって構成しているため、耐久性を向上させることができる。
【0052】
すなわち外殻パイプとして1本の細長いパイプを使用した場合、カーテンの開閉操作時等に外殻パイプが不用意に撓んで局部的に応力が集中し易く経年劣化が進み易く早期に劣化や破損が生じて十分な耐久性を得ることができないおそれがある。
【0053】
これに対し、本実施形態は外殻パイプ2を、上下に分割された2本のパイプ21,22によって構成しているため、パイプ21,22間で自在に折れ曲がることによって、カーテン5の開閉操作時等に各パイプ21,22が不用意に撓むようなことがなく応力集中を回避できて、早期の劣化や破損を防止でき、十分な耐久性を得ることができる。
【0054】
特に本実施形態においては、上側パイプ21および下側パイプ22間に軟質性ないし弾力性を有する緩衝パイプ25を取り付けているため、上下両パイプ21,22の対向端部は緩衝パイプ25を介して接触することにより、上下両パイプ21,22の対向端部同士が直接激しく接触するような不具合も確実に防止でき、この点からも早期の劣化や破損を防止できて、より一層耐久性を向上させることができる。
【0055】
また本実施形態のカーテン吊持構造においては、隣り合うカーテン吊持器1間を牽引コード10によって連結しているため、カーテン5の側縁を引っ張ってカーテン5を閉める際等に、カーテン5に伴って端部位置のカーテン吊持器1が走行移動すると、他のカーテン吊持器1が順次追従するようにカーテンレール6上を走行し、カーテン5を突っかかることなくスムーズに閉じることができ、カーテン操作を支障無く行うことができる。
【0056】
また本実施形態においては、カーテンレール6およびカーテン5間の開口部Sに、直線状のカーテン吊持器1が縦縞状に整然と配置されるため、良好な美観も得ることができる。
【0057】
また本実施形態のカーテン吊持器1は、外殻パイプ2としての樹脂製パイプ、吊持ワイヤー3としてのワイヤーロープ、緩衝パイプ25としての樹脂製パイプ、上側および下側フック41,42としてのフック部品等の一般に広く使用される部品によって構成されているため、簡単かつ効率良く安価に製造することができる。
【0058】
なお上記実施形態においては、外殻パイプ2として2つに分割された上側パイプ21および下側パイプ22を用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、外殻パイプ2を1本のパイプによって構成しても良いし、3本以上の分割パイプによって構成するようにしても良い。さらに3本以上の分割パイプによって構成する場合には上記実施形態のように、隣り合う分割パイプ間に緩衝パイプ25等の緩衝部材を配置させておくのが好ましい。
【0059】
また上記実施形態においては、下端部取付手段として下側フック42を用いて、そのフック42をカーテン5に取り付けたハトメ52に掛止するようにしているが、それだけに限られず、本発明において下端部取付手段は、棒状部材(吊持ワイヤー3)の下端部をカーテン5に取り付けることができるものであればどのようなものでも採用することができる。例えばカーテン5の上縁部に沿って複数のカーテンフックを予め掛止しておき、そのカーテンフックに、吊持ワイヤー3の下側リング部32を掛止するようにしても良いし、吊持ワイヤー3の下側リング部32にリング状の掛止環を取り付けておき、その掛止環を、カーテンに予め設けられたカーテンフックに取り付けるようにしても良い。さらに吊持ワイヤー3の下端にカーテンフックを先に取り付けておき、そのカーテンフックをカーテン(カーテン本体)に設けた差込孔に差し込んで掛止するようにしても良い。
【0060】
さらに上記実施形態においては、上端部取付手段として上側フック41を用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明において上端部取付手段は、棒状部材(吊持ワイヤー3)の上端部をカーテンレール6に取り付けることができるものであればどのようなものでも採用することができる。
【0061】
また上記実施形態においては、線状吊持部材として金属製のワイヤーロープ等の吊持ワイヤーを用いる場合を例に挙げて説明しているが、それだけに限られず、本発明において線状吊持部材としては、紐状部材、ケーブル状部材、バンド状部材等、カーテンを吊り下げることができる線状の部材であればどのような部材でも採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明のカーテン吊持器は、医療用カーテン等を、天井面等に設置されたカーテンレールから離間した状態に取り付ける際に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:カーテン吊持器
10:牽引コード
2:外殻パイプ
21:上側パイプ
22:下側パイプ
25:緩衝リング(緩衝部材)
3:吊持ワイヤー(線状吊持部材)
35:ワイヤー留め具
41:上側フック(上端部取付手段)
42:下側フック(下端部取付手段)
5:カーテン
52:ハトメ
6:カーテンレール
62:ランナー
63:ランナーリング