(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142462
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】射出成形体
(51)【国際特許分類】
F16H 55/06 20060101AFI20220922BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20220922BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
F16H55/06
B29C33/42
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042640
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】妙島 竜也
(72)【発明者】
【氏名】瀧 健二朗
【テーマコード(参考)】
3J030
4F202
【Fターム(参考)】
3J030AA08
3J030AC10
3J030BA01
3J030BB09
3J030BC01
3J030BC08
3J030CA10
4F202AG13
4F202AH12
4F202AM32
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK06
4F202CK15
(57)【要約】
【課題】形状の寸法精度が高く静音性に優れた射出成形体を提供すること。
【解決手段】射出成形体は、中央部と本体部と外周部とを有し、中央部と外周部とは、本体部により接続され、本亜恥部は、射出成形時のゲート痕と、径方向でゲート痕とは異なる位置で、周方向に延在して設けられ、且つ、周方向で深さの異なる溝部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と本体部と外周部とを有する射出成形体であって、
前記中央部と前記外周部とは、前記本体部により接続され、
前記本体部は、射出成形時のゲート痕と、
径方向で前記ゲート痕とは異なる位置で、周方向に延在して設けられ、且つ、前記周方向で深さの異なる溝部と、を有する、
射出成形体。
【請求項2】
前記溝部の最深部は、前記ゲート痕を通る放射線上の位置に配置されている、
請求項1記載の射出成形体。
【請求項3】
前記溝部は、前記最深部から周方向で漸次深さが浅くなる、
請求項2記載の射出成形体。
【請求項4】
前記溝部は、前記軸部を囲むリング形状である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の射出成形体。
【請求項5】
前記外周部は、前記本体部の外周に接続された円環状のリム部に設けられ、
前記溝部は、前記ゲート痕の外周側で、前記ゲート痕に隣接して設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の射出成形体。
【請求項6】
前記リム部の外周面には、歯車歯部が設けられている、
請求項5記載の射出成形体。
【請求項7】
前記本体部は、前記ゲート痕及び前記溝部を同一端面に有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の射出成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車等の射出成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の機械装置に用いられる歯車として、射出成形或いはインサート成形により製作され、外周に歯部を備えた樹脂歯車が知られている。樹脂歯車は、金属製歯車と比較して、騒音が少なく、耐摩耗性、耐薬品性に優れるという利点を有し、更に、金属製歯車と比較して軽量であり、精密な成形で大量生産を可能としている。
【0003】
樹脂歯車では、回転伝達精度に影響のある真円度等の形状の寸法精度を向上させるために、キャビティ内の溶融樹脂材料の流れを制御する工夫が施されている。
【0004】
例えば特許文献1では、成形品の外周の円環状のリムと成形品中央部の軸部とを円盤状のウェブが接続してなる樹脂歯車において、ウェブ上に設けられたゲートよりも外周部にリブを立設して、溶融樹脂材料の流れを制御する構成が開示されている。
【0005】
特許文献1では、リブを構成する空間に流れ込む樹脂の容量が大きくなり、溶融樹脂材料の流れが樹脂歯車の外周のリム部に到達するタイミングが遅延する。これにより、ゲートから外周のリム部まで均一に樹脂が充填され、樹脂歯車としての成形品の真円度を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の樹脂歯車では、リブが、ウェブのゲートの外周側で軸方向に立設することにより、溶融樹脂の流れを調整するので、樹脂歯車全体としての外形寸法が、軸方向に大きくなる。これにより、樹脂歯車の歯合相手に干渉してしまうことが考えられ、樹脂歯車の配設位置によっては、歯合相手の外形寸法も変更する必要がある。
【0008】
また、リブは、その延在方向に樹脂を貯めて形成されるので、延在する周方向に流れやすく、放射方向により精度高く均一に充填させることは困難であるという問題がある。
【0009】
特に、樹脂歯車は、成形時において、外周部へ溶融樹脂を充填する際に、外周部の歯部にウエルドが形成された場合、回転伝達精度、特に単一ピッチ誤差の影響により、回転伝達時に騒音が発生することが知られている。
【0010】
このようなことから、樹脂等の成形材料を、より精度良く外周部まで均一に充填させて単一ピッチ誤差が生じにくく静音性に優れた歯車が望まれている。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、形状の寸法精度が高く静音性に優れた射出成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の射出成形体の一つの態様は、
中央部と本体部と外周部とを有し、前記中央部と前記外周部とは、前記本体部により接続され、
前記本体部は、射出成形時のゲート痕と、
径方向で前記ゲート痕とは異なる位置で、周方向に延在して設けられ、且つ、前記周方向で深さの異なる溝部と、を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、形状の寸法精度が高く静音性に優れた射出成形体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る一実施の形態の射出成形体としての歯車を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る一実施の形態の射出成形体としての歯車の寸法精度の説明に供する図である。
【
図8】本発明に係る一実施の形態の射出成形体としての歯車の寸法精度の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る一実施の形態の射出成形体としての歯車を示す斜視図であり、
図2は、同歯車の底面図である。
【0017】
図1及び
図2に示す射出成形体としての歯車1は、中央部に軸部2を有する例えば、円板状の歯車本体部3と、歯車本体部3の外周部に設けられた円環状のリム部4と、を有する。
【0018】
射出成形体は、製品の金型に、射出成形により、製品となる空間に、成形材料を注入して充填して成形されるものであり、回転可能である。射出成形体は、例えば、回転して、その回転力或いは、外部からの駆動力を、他の回転体に伝達する回転伝達部材である。射出成形体は、例えば、予め金型内に部材を配置し、その部材の周囲に成形材料を充填させるインサート成形等により形成されてもよい。
【0019】
射出成形体では、外周部の歯部は無くてもよく、リム部4の外周面で、他の射出成形体の外周面と摺動する構成であってもよい。また、射出成形体は、外周面に、周方向で延在する凹状部を設けてプーリーとしてもよい。射出成形体は、周方向に延在した寸法精度の高い部分を有していることが好ましく、軸部を中心に回転する円板状或いは円柱状(中空であってもよい)に形成される歯車、プーリー等の射出成形体であることが好ましい。本実施の形態では、射出成形体の一例として歯車1を用いているので、本体部を便宜上、歯車本体部3と称して説明する。
【0020】
軸部2は、歯車1の中央部に設けられ、歯車1の回転中心軸が設けられる。軸部2は、歯車1の軸方向(厚み方向)に貫通する軸孔21を有し、この軸孔21に、歯車1の回転軸を構成する軸部が挿通される。
【0021】
本実施の形態では、射出成形体の歯車1は、歯車本体部3の外周部に設けたリム部4の外周面に、高度な寸法精度を必要とする歯部6が設けられている。歯部6は、歯車本体部3と一体的に成形され、径方向でゲート痕G1~G3とは異なる位置に設けられ、使用時に別の機械部品(例えば別の歯車)と係合する外周部に該当する。
【0022】
歯車本体部3は、軸方向で離間する一方側の面(上面)にゲート痕Gと、溝部5とを有する。すなわち、歯車本体部3は、ゲート痕G1~G3及び溝部5を同一端面に有している。歯車本体部3は、内側面(底面側の面)がフラットであり、他方側の面(図では上面)で高さの異なる形状を有する。
【0023】
歯車本体部3は、軸部2としての軸孔21側から外周側に向かって順に配置された、第1ウェブ31、第2ウェブ32、溝部5、第3ウェブ33を有し、第3ウェブ33の外周にリム部4が接続されている。
【0024】
本実施の形態では、リム部4は、歯車本体部の外周部、つまり、外周のウェブである第3ウェブ33の外周に、垂直に突出して設けられている。
【0025】
ゲート痕G1~G3は、歯車1を射出成形等により成形する際に形成されるゲートの痕である。ゲートとは、金型のコア及びキャビティにより形成される空間内への樹脂注入口である。具体的には、ゲート痕G1~G3は、歯車1を、金型(コア及びキャビティ)を用いて成形する場合に、ゲートから成形材料(例えば、溶融樹脂)を充填して成形品(歯車1)を成形した後、キャビティから成形品(歯車1)を取り出す際に形成される痕である。ゲート痕G1~G3は、キャビティ内で成形材料が製品となる成形品全体に好適に流れるような位置に配置されることが好ましい。
【0026】
なお、射出成形体の歯車1を形成する成形材料である溶融樹脂は、例えば、射出成形に適した熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂やポリアミド樹脂(ポリアミド66等)などの汎用合成樹脂や、ポリアセタール樹脂(POM)やポリブチレンテレフタレート樹脂などのエンジニアリングプラスチック等でもよい。また、これら樹脂材料に充填材や強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維)等を練りこんだ材料としてもよい。また、成形材料は金属粉末を用いてもよい。本実施の形態では、例えば、溶融樹脂として、ガラス繊維等の強化繊維を強化樹脂として含有したPOMが用いられる。
【0027】
本実施の形態では、ゲート痕G1~G3は、第2ウェブ32に周方向に等間隔で設けられている。
【0028】
図3は、本発明に係る一実施の形態の同歯車の平面図であり、
図4、
図5及び
図6は、それぞれ、
図3のA―A線断面図、B―B線断面図及び、
図3のC―C線断面図である。
図1、
図3~
図6に示すように、溝部5は、ゲート痕G1~G3の径方向外側に隣接して設けられている。
【0029】
コアにおいて溝部5となる部分は、歯車1の成形時において、ゲート痕G1~G3から注入されて、キャビティ内に流し込まれる溶融樹脂の径方向への流れを、一時的にせき止める機能を有する。溝部5は、ゲートから径方向に流れる溶融樹脂を調整して均一に流れ込ませて充填させる。
【0030】
コアにおいて溝部5となる部分は、ゲート痕G1~G3からの溶融樹脂をせき止めて、溝部5となる部分を超えて径方向に流す、例えば、外周側に流す時間を制御する。溝部5は、周方向に延在して且つ、周方向に深さが異なる。
【0031】
コアにおいて溝部5となる部分により、歯車1の全体に流れる溶融樹脂が均一に流れるように制御されている。溝部5の深さが異なるようにすることにより、成形時において、キャビティ内をゲートから径方向(例えば、放射方向)に流れる溶融樹脂は、溝部5の深さに応じて、溝部5を超えて外周に径方向外方に流れ込む時間が調整される。これにより、溶融樹脂は、外周部の全部に均一に流れ込み、射出成形体全体に均一に流される。
【0032】
本実施の形態では、
図1、
図3及び
図4に示すように、溝部5は、軸部2としての軸孔21を囲む平面視リング形状に形成されている。
【0033】
溝部5の最深部52は、ゲート痕G1~G3のそれぞれに対して、歯車本体部3の外周側で隣接し、且つ、ゲート痕G1~G3を通る放射線上に配置されている。加えて、溝部5は、最深部52(52-1、52-2、52-3)から、周方向に延在して形成されている。
【0034】
また、溝部5の最も浅い部位である最浅部54は、溝部5において、周方向で離間して配置される最深部52-1、52-2、52-3同士の中間部分に配置されている。
【0035】
本実施の形態では、溝部5の底部が、最深部52-1、52-2、52-3から、最浅部54-1、54-2、54-3まで漸次深さが浅くなるように勾配している。この構成では、
図3及び
図6に示すように、溝部5において、隣り合う最深部52-1、52-2、52-3と最浅部54-1、54-2、54-3との中間部分56-1、56-2、56-3が、同じ高さとなる。
【0036】
射出成形体は、円板状或いは円柱状の本体部、例えば、ウェブ部分に、ゲート痕が設けられ、本体部において、ゲート痕に対して径方向に離間して、使用時に別の機械部品と係合する外周部として、高い寸法精度が必要な部位を有する構成である。外周部は、本体部と一体的に成形され、径方向でゲート痕とは異なる位置に設けられる。
【0037】
射出成形体としては、本体部に、径方向で、外周部と、ゲート痕との間の位置で、周方向に延在して、且つ、周方向で深さの異なる溝部が設けられていればよい。溝部は、ゲート痕に対して外周部側に、径方向で隣接して配置されてもよい。
【0038】
加えて、外周部に、均一に成形材料である溶融樹脂が充填されるように、溝部は、周方向で深さが異なる部位を有する。例えば、射出成形体が、外周部として、歯車1の歯部6のように、本体部(歯車本体部3)の外周部(リム部4)に寸法精度が必要な部位を有するものとする。この場合、射出成形体において、溝部5は、歯車本体部3において、ゲート痕G1~G3に径方向外側で隣接した部位の深さを最深部として、周方向で漸次浅くなりつつ延在する平面視円弧状に形成されてもよい。
【0039】
すなわち、射出成形体において、キャビティ内に均一に溶融樹脂を流すことにより、ウエルドを歯部6のような高い寸法精度が必要な部位に発生しにくくする構成であれば、溝部5は、ゲート痕Gに対して、その部位側に隣接して軸部を囲むリング形状でなくてもよい。また、溝部5は周方向に漸次深さが異なるフラットな傾斜面を有したり、階段状の底面を有したり、湾曲した傾斜面を有するようにしてもよい。
【0040】
本実施の形態の歯車1の構成によれば、径方向で、ゲート痕G1~G3と歯部(外周部)6との間の位置で、周方向に延在して設けられ、且つ、周方向で深さの異なる溝部5を有する。
【0041】
これにより、歯車1を成形する際に、ゲートから充填される成形材料としての溶融樹脂は、コアにおいて溝部5となる部分の高さにより、せき止められて溶融樹脂の流量を調整できる。キャビティの溝部5を構成する部位に沿って周方向に流す等の制御を行う。例えば、溝部5がゲート痕Gに隣接して形成される場合では、その制御を、ゲートを介して金型内に溶融樹脂を注入してすぐに行うこともできる。したがって、通常ゲートに近い部分ではゲートから遠い部分より早く充填されるといった溶融樹脂の流れを制御して、高い寸法精度が必要な歯部6に均一に溶融樹脂を充填することができる。
【0042】
高い寸法精度が必要な部位、例えば、歯部6に、ウエルドを発生させにくくし、歯部6における単一ピッチ誤差の発生を低減でき、射出成形体が回転し、その回転力を、噛み合うことにより他部品に伝達する際静音性を確保できる。さらには、歯部6において、ウエルドの発生が抑制されるため、ウエルドに起因する強度の低下が起きにくい。
【0043】
図7~
図8は、本発明に係る一実施の形態の射出成形体としての歯車の寸法精度の説明に供する図である。
図7では、
図7Aに本実施の形態の歯車1を示し、
図7Bに、歯車1と同様に射出成形により製作したが歯車1とは異なり溝部5の無い歯車100を示し、それぞれの単一ピッチ誤差を測定した箇所を示す。また、
図8では、本実施の形態の歯車1と比較例としての歯車100のそれぞれの歯部において測定した同一部位における単一ピッチ誤差を示す。なお、
図8において、周方向に並ぶ番号は歯部の番号であり、径方向に並ぶ番号は、0(誤差無し)を基準とした歯部毎の誤差を示す。
【0044】
図7A及び
図7Bに示すように、本実施の形態の歯車1と、比較例としての歯車100とをそれぞれ複数個(6個)ずつ製作した。歯車1の製作方法及び歯車100の製作方法のいずれにおいても、同様の成形材料(例えば、ガラス繊維等の強化繊維を強化樹脂として含有したPOM)を用いた。また、いずれの製作方法においても、溝部が形成される溝部用型が着脱可能な同じ金型を用いた。さらに、いずれの製作方法においても、成形材料の温度、環境条件等、全て同じ条件で、歯車1と歯車100とを製作した。
【0045】
図7に示すそれぞれの歯車1、100の歯部6A、60において、右歯面と左歯面の単一ピッチをそれぞれ測定し、
図8に示す。
【0046】
図8A及び
図8Bは、複数の歯車1の歯部6A(
図7A参照)における右歯面と左歯面の単一ピッチの測定結果を示す。また、
図8C及び
図8Dは、複数の歯車100の歯部60(
図7B参照)の右歯面及び左歯面の単一ピッチの測定結果を示す。
【0047】
図7~
図8に示すように、本実施の形態の歯車1と比較例の歯車100とを比較すると、歯車100の歯部60において、左右歯面にはいずれにも寸法誤差が生じており、特にウエルドによる単一ピッチ誤差が生じている。
【0048】
これに対して、溝部5を有する本実施の形態の歯車1では、歯車1の歯部6Aにおいて、左右歯面には寸法誤差が少なく、ウエルドによる単一ピッチ誤差が無いもしくは小さくなっている。
【0049】
これにより歯車1のような射出成形体において、ゲート痕に、径方向で隣接して、且つ、周方向に延在して配置され、周方向で深さの異なる溝部5を設けることによって、比較例と比較して、形状の寸法精度が高く静音性に優れた歯車であることが分かった。
【0050】
なお、本実施の形態では、ゲートを3つ(つまり、ゲート痕G1~G3)としたが、これに限らず、溝部5の深さにより、射出成形体のキャビティにおいて、溶融樹脂が均一に充填されるように制御できれば、1つのゲートであってもよい。この場合、ゲート痕は1つとなる。また、ゲートは、2つ又は4つ以上であってもよく、この場合、ゲート痕は2つ又は4つ以上である。
【0051】
また、ゲート痕Gの外周側に溝部5を隣接して設けた構成としたがこれに限らず、ゲート痕Gの内周側(径方向内側)に、高い寸法精度が必要な部位、例えば歯部がある場合、ゲート痕に対して、内周側に隣接して、溝部を設けた構成としてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、歯車本体部3は、ゲート痕G1~G3及び溝部5を同一端面に有している。これにより、射出成形体を、射出成形等で成形する際に、キャビティからコアを抜きやすく精度良く成形することができるが、本体部においてゲート痕と反対側に溝部を有する構成としてもよい。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。つまり、上記の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る射出成形体は、形状の寸法精度が高く静音性に優れた効果を有し、歯車として有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 歯車
2 軸部
3 歯車本体部(本体部)
4 リム部
5 溝部
6 歯部(外周部)
21 軸孔
31 第1ウェブ
32 第2ウェブ
33 第3ウェブ
52、52-1、52-2、52-3 最深部
54、54-1、54-2、54-3 最浅部
56-1、56-2、56-3 中間部分
G1、G2、G3 ゲート痕