(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142496
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20220922BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220922BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220922BHJP
H01R 12/79 20110101ALI20220922BHJP
【FI】
H05K1/14 C
G06K19/077 164
H05K1/02 B
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042683
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌明
(72)【発明者】
【氏名】原嶋 志郎
(72)【発明者】
【氏名】生田 武史
(72)【発明者】
【氏名】広田 章展
【テーマコード(参考)】
5E223
5E338
5E344
【Fターム(参考)】
5E223AB18
5E223AC04
5E223BA37
5E223BA68
5E223BB01
5E223CC15
5E223CD01
5E223CD02
5E338BB56
5E338EE21
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB03
5E344BB04
5E344DD02
5E344EE11
(57)【要約】
【課題】不具合が生じにくい半導体記憶装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、開口部を有したケースと、前記開口部を通じて外部に突出し、ホスト装置と接続可能な接続コネクタを有する。実施形態の半導体記憶装置は、前記ケースに収容され、半導体メモリ部品が実装された第1基板と、前記ケースに収容され、前記接続コネクタが実装された第2基板を有する。実施形態の半導体記憶装置は、少なくとも前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続し、前記第1基板に対する前記第2基板の傾斜を許容する可撓性導電部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有したケースと、
前記開口部を通じて外部に突出し、ホスト装置と接続可能な接続コネクタと、
前記ケースに収容され、半導体メモリ部品が実装された第1基板と、
前記ケースに収容され、前記接続コネクタが実装された第2基板と、
少なくとも前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続し、前記第1基板に対する前記第2基板の傾斜を許容する可撓性導電部と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1基板と前記第2基板が、当該前記第1基板と前記第2基板との間に、前記第1基板に対する前記第2基板の傾斜を許容する間隙を空けて配置され、前記間隙に沿って前記可撓性導電部が配置された、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記接続コネクタが前記ホスト装置に接続された状態を基準姿勢とする場合、
前記第1基板と前記第2基板が、前記基準姿勢における、前記第1基板の底部側と前記第2基板の基板底部側を一体接続した基板接続部を介し一体化され、前記基板接続部が前記可撓性導電部を兼ねる、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記接続コネクタが前記ホスト装置に接続された状態を基準姿勢とする場合、
前記第1基板と前記第2基板が、前記基準姿勢における、前記第1基板の底部側と前記第2基板の基板底部側を一体接続した基板接続部を介し一体化され、
前記第1基板と前記基板接続部と前記第2基板に渡って一体に伸びる配線が設けられた、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記接続コネクタがUSB規格に準拠するコネクタである、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1基板と前記第2基板と前記可撓性導電部の少なくとも1つがフレキシブル基板である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
搭載した前記電子部品を含む前記第1基板の高さの範囲内に、前記可撓性導電部が配置された、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記ケースが、前記第1基板と前記第2基板をそれらの厚さ方向一側と他側から覆う第1ケース体と第2ケース体を具備し、前記第1ケース体と前記第2ケース体が溶着部を介し一体化された、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記ケースが、前記第1基板と前記第2基板をそれらの厚さ方向一側と他側から覆う第1ケース体と第2ケース体を具備し、前記第1ケース体と前記第2ケース体が嵌合部を介し一体化された、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースから突出した接続コネクタと、ケースに収容された記憶素子を備え、ホスト装置のホストコネクタに接続してホスト装置との間で情報の通信を行うタイプの可搬型半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0067228号明細書
【特許文献2】特開2013-069525号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0009560号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態が解決しようとする課題は、不具合の生じ難い半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、開口部を有したケースと、前記開口部を通じて外部に突出し、ホスト装置と接続可能な接続コネクタを有する。実施形態の半導体記憶装置は、前記ケースに収容され、半導体メモリ部品が実装された第1基板と、前記ケースに収容され、前記接続コネクタが実装された第2基板を有する。実施形態の半導体記憶装置は、少なくとも前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続し、前記第1基板に対する前記第2基板の傾斜を許容する可撓性導電部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の斜視図。
【
図2】
図1に示す半導体記憶装置の内部に収容されている基板と電子部品を示す斜視図。
【
図3】
図1に示す半導体記憶装置をホスト装置のホストコネクタに接続した状態を示す斜視図。
【
図4】
図3に示すホスト装置のホストコネクタに接続した半導体記憶装置に対し上方から外力が作用した状態を示す説明図。
【
図5】
図3に示すホスト装置のホストコネクタに接続した半導体記憶装置に対し上方から外力が作用し、可撓性導電部を介し基板が傾斜した状態を示す説明図。
【
図6】第2実施形態に係る半導体記憶装置の斜視図。
【
図7】第3実施形態に係る半導体記憶装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「第1実施形態」
以下、第1実施形態に係る半導体記憶装置について図面を参照し説明する。
以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「接続」とは、物理的に接続される場合に限定されず、電気的に接続される場合も含む。本明細書で「隣り合う」とは、互いに隣接する場合に限定されず、対象となる2つの要素の間に別の要素が存在する場合を含む。
【0008】
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1を示す例示的な斜視図である。
図2は、
図1に示す半導体記憶装置1の内部構造を示す例示的な斜視図である。
半導体記憶装置1は、例えば、USBメモリ、USBフラッシュドライブ(UFD)、電子機器、半導体装置、USB機器、記憶装置、補助記憶装置、リムーバブルメディアとも称され得る。半導体記憶装置1は、他の装置であっても良い。
【0009】
図1に示すように第1実施形態の半導体記憶装置1は、例えば、偏平の矩形断面を有する細長い板状に形成されている。半導体記憶装置1は、他の形状に形成されても良い。
図1、
図2等に示されるように、本明細書においてX軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は半導体記憶装置1の幅方向に沿う。Y軸は半導体記憶装置1の長さ方向に沿う。Z軸は、半導体記憶装置1の厚さ方向に沿う。本明細書の説明では、便宜的にZ軸方向に沿って上下と表記し、Y軸方向に沿って左右と表記する場合がある。
【0010】
図1と
図2に示すように、半導体記憶装置1は、中空かつY軸方向に細長い偏平型のケース(筐体)2の内部にモジュール3が収容されている。モジュール3は、第1基板5と、フラッシュメモリ(半導体メモリ部品)6と、コントローラ(半導体メモリ部品)7と、第2基板8と、接続コネクタ9と、可撓性導電部10を有する。
図1は半導体記憶装置1の水平設置状態を斜視図として示したもので、接続コネクタ9を左向きに配置した状態を示している。
図2は、ケース2から取り出したモジュール3を
図1と同じ向きに設置した状態を示す。
なお、接続コネクタ9は偏平の矩形断面状に形成されており、後述するホスト装置のホストコネクタの向きにもよるが、通常は、
図1に示すように接続コネクタ9を横長として水平設置状態の姿勢のままホストコネクタに接続される。このため、
図1に示す状態がホスト装置に接続する場合の半導体記憶装置1の基準姿勢となる。
【0011】
ケース2は、硬質の樹脂から形成された筐体の一例であり、第1ケース体11と第2ケース体12を有する。
第1ケース体11は、Y軸方向に長い長方形状のケース板13と、該ケース板13の長辺側に一体形成された側壁15、15と、ケース板13の短辺側に形成された端部壁16、16を有する。ケース板13と側壁15、15と端部壁16、16から薄型の収容空間が区画され、この収容空間にモジュール3の厚さ半分程度が収容される。
【0012】
第2ケース体12は、Y軸方向に長い長方形状のケース板17と該ケース板17の長辺側に一体形成された側壁18、18とケース板17の短辺側に形成された端部壁19、19を有する。ケース板17と側壁18、18と端部壁19、19から薄型の収容空間が形成され、この収容空間にモジュール3の厚さ半分程度が収容される。
第1ケース体11と第2ケース体12は同等形状を有する。このため、ケース板13とケース板17の幅、長さ、厚さは同等であり、側壁15と側壁18の幅、長さ、厚さは同等であり、端部壁16、19の幅、長さ、厚さは同等である。
【0013】
第1ケース体11と第2ケース体12は、互いの側壁15、18と互いの端部壁16、19を突き合わせ、突き合わせ部分を超音波溶着などの溶着法により接合し一体化されている。第1ケース体11と第2ケース体12を一体化することにより中空のケース2が構成され、ケース2の内部にモジュール3が収容される。第1ケース体11と第2ケース体12を一体化する手段は溶着に限らず、接着などの他の接合手段でも良く、凹凸嵌合による接合、ボルトやビスなどの接合具による接合でも良い。
【0014】
第1ケース体11と第2ケース体12を溶着により接合した場合、互いの側壁15、18の突き合わせ部分と互いの端部壁16、19の突き合わせ部分に溶着部が設けられる。第1ケース体11と第2ケース体12を接着により接合した場合、互いの側壁15、18の突き合わせ部分と互いの端部壁16、19の突き合わせ部分に接着部が設けられる。
図1の例は第1ケース体11と第2ケース体12が溶着により一体化されているので、側壁15、18の突き合わせ部分と端部壁16、19の突き合わせ部分が溶着部Fとされている。この形態において、第1ケース体11と第2ケース体12が同等形状を有するため、前述の溶着部Fは、XY面に沿って形成されている。本実施形態において、第1基板5と第2基板8は、それらを厚さ方向一側と他側から覆うように配置された第1ケース体11と第2ケース体12に囲まれている。
【0015】
ケース2の長さ方向一端側(左端側)において端部壁16、19が接合された部分に角筒型の突出壁部20が形成されている。端部壁16、19が接合された部分にケース2の内部空間に連通する図示略の開口部が形成され、この開口部に通じるように突出壁部20が形成されている。このため、突出壁部20は、ケース2の内部空間をケース2の外部に連通するように設けられ、前記開口部と突出壁部20を通過して外部に突出するように接続コネクタ9が設けられている。
【0016】
突出壁部20は、第1ケ-ス体11の端部壁16から突出された枠状の突出片20Aと、第2ケース体12の端部壁19から突出された枠型の突出片20Bの組み合わせにより角筒型に構成されている。第1ケース体11と第2ケース体12が前述の溶着などにより接合されているのと同様に、突出片20Aと突出片20Bも突き合わせ部分が溶着などによりされ、角筒型の突出壁部20が形成されている。
【0017】
ケース2の長さ方向他端側(右端側)において端部壁16、19が接合された部分にケース2を伸ばすようにブロック状の突出部21が形成されている。突出部21は、第1ケ-ス体11の端部壁16から突出された半割突出部21Aと、第2ケース体12の端部壁19から突出された半割突出部21Bを有する。第1ケース体11と第2ケース体12を接合して一体化することで半割突出部21Aと半割突出部21Bが一体化され、突出部21が構成されている。突出部21は、ケース2の他端側において周段部21dを介しケース2を延長するように突出されている。
突出部21は、接続コネクタ9を覆うための図示略のキャップ部材(蓋)を装着するために設けられているが、突出部21は略しても良い。
【0018】
ケース2の内部に収容されている第1基板5にフラッシュメモリ(記憶素子:半導体メモリ部品)6とコントローラ(半導体メモリ部品)7が搭載されている。
図2に示す形態では、第1基板5の上面(第1面)にコントローラ7が実装され、第1基板5の下面(第2面)にフラッシュメモリ6が実装されている。フラッシュメモリ6とコントローラ7は第1基板5の上面と下面のどちらか一方にまとめて設けられていても良く、上面と下面に個別に実装されていても良い。
【0019】
第1基板5は、例えば、プリント回路板(PCB)である。第1基板5は、フレキシブルプリント回路板(FPC)のような他の基板であっても良い。第1基板5は、X-Y平面上に広がる平面視矩形状(四角形状)の板状に形成される。第1基板5は他の形状に形成されても良い。
【0020】
フラッシュメモリ6は、第1の半導体メモリ部品の一例であり、例えば、不揮発性メモリ、メモリ、又は記憶部とも称され得る。コントローラ7は、第2の半導体メモリ部品の一例であり、例えば、制御部とも称され得る。
【0021】
フラッシュメモリ6は、情報を記憶可能な電子部品であり、例えばNAND型フラッシュメモリである。なお、半導体記憶装置1は、NOR型フラッシュメモリ、磁気抵抗メモリ(Magnetoresistive Random Access Memory:MRAM)、相変化メモリ(Phase change Random Access Memory:PRAM)、抵抗変化型メモリ(Resistive Random Access Memory:ReRAM)、又は強誘電体メモリ(Ferroe lectric Random Access Memory:FeRAM)のような他の不揮発性メモリを含んでも良い。
【0022】
コントローラ7は、
図2に示すように基板5の上面(第1面)に実装されている。例えば、コントローラ7に設けられた複数の端子が、基板5の上面に設けられた複数の回路や電極に、半田によって電気的に接続される。コントローラ7は、基板5の下面(第2面)に実装されても良い。コントローラ7は、例えば、半導体記憶装置1を制御し、半導体記憶装置1と後述する
図3に示すホスト装置40との通信を制御する。
【0023】
接続コネクタ9は、例えば、プラグ、挿入部、または接続部とも称され得る。
接続コネクタ9は、突出壁部20を通過してケース2から外部に突出され、外部に突出した部分が例えばケース2に装着可能な図示略のキャップ部材(蓋)により覆われる。
接続コネクタ9は、例えば、USB Type‐C規格に準拠するオス接続コネクタ(プラグ)である。USB Type-C規格は、例えば、USB2.0Type-C規格、USB3.1Gen1Type-C規格、及びUSB3.1Gen2Type-C規格を含む。接続コネクタ9は、金属によって作製された偏平角筒型の挿入部25と、挿入部25の内部に設けられた接続基板26とこの接続基板26に沿って設けられた複数本(例えば4本)の接続端子27を有する。挿入部25の内部空間はその厚さ半分程度が接続基板26で占められ、接続基板26において挿入部25の内部空間に面する側に4つの接続端子27の先端側が配置される。
【0024】
接続コネクタ9の挿入部25は、例えば、ホスト装置側のUSBコネクタ(メスコネクタ、ソケット)に挿入される。このとき、接続基板26と接続端子27がホスト装置側の接続口に挿入され、ホスト装置側の接続端子と半導体記憶装置1の接続端子27が電気的に接続される。これにより、半導体記憶装置1とホスト装置を電気的に接続できる。
【0025】
本実施形態の半導体記憶装置1では、接続コネクタ9と第1基板5との間に平面視矩形状の第2基板8が配置されている。第2基板8は、X-Y平面上に広がる平面視矩形状(四角形状)の基板であり、第1基板5と同等のX軸方向幅を有するが、Y軸方向に第1基板5の数分の一程度の長さを有する。第2基板8は、
図2に示すように、Y軸方向長さよりX軸方向長さを長くした平面視四角形状に形成されている。第2基板8の幅(X軸方向の幅)は、接続コネクタ9の幅(X軸方向幅)より若干幅広に形成されている。
【0026】
第2基板8において、接続コネクタ9に近い端部側であって、第2基板8の幅方向(X軸方向)両端部にスリット状の挿通孔30が形成されている。接続コネクタ9の挿入部25において、第2基板8側の下縁部に第2基板8の端部を挿入するための切欠部31が形成され、切欠部31に望む挿入部25の一部において下向きに突出して望むように係止片32が形成されている。
【0027】
切欠部31は、挿入部25の下縁部全幅に至るように形成され、係止片32は挿入部25の幅方向両端側(X軸方向両端側)にそれぞれ形成されている。
図2に示すように第2基板8は、挿通孔30に係止片32を挿入するとともに、切欠部31に第2基板8のY軸方向端部を挿入することで、接続コネクタ9に接続されている。
第2基板8の上面側には接続コネクタ9の4つの接続端子27に個々に接続する端子パッド33が設けられている。これら端子パッド33は、第2基板8をその厚方向に貫通するビア等の上下接続導体を介し第2基板8の下面側に延出されている。
【0028】
第2基板8と第1基板5の間にはこれら基板の厚みより若干広い程度の間隙Gが設けられ、この間隙Gの下方にフレキシブル配線基板等からなる可撓性導電部10が配置されている。可撓性導電部10には電気回路が形成され、この電気回路は、第2基板8の下面側の電気回路と第1基板5の下面側の電気回路にそれぞれはんだ付けなどの接続方法により接続されている。
【0029】
可撓性導電部10の電気回路は、第2基板8の4つの端子パッド33を介し接続コネクタ9の接続端子27に電気的に接続されている。
可撓性導電部10の電気回路は、第1基板5の下面側に延出され、第1基板5の下面側に形成されている電気回路に半田等の接合手段により接合されている。
可撓性導電部10は、第1基板5に実装されているコントローラ7やフラッシュメモリ6に接続コネクタ9の接続端子27を電気的に接続する接続導体として機能する。
可撓性導電部10は、半導体メモリ部品としてのフラッシュメモリ6とコントローラ7を含む第1基板5における基板高さの範囲内に設けられている。
【0030】
図1に示す半導体記憶装置1は、
図3に示すノート型パーソナルコンピュータなどのホスト装置40のホストコネクタ41に接続して使用する。
図3にホスト装置40のホストコネクタ41に対し接続されている半導体記憶装置1の状態を示す。
図3、
図4に示す通り、机上などの水平面に設置したホスト装置40においては、ホストコネクタ41の差し込み口が水平横向きに設置されている。このため、半導体記憶装置1は接続コネクタ9を左向きとしてホストコネクタ41の差し込み口に対しほぼ水平向きに基準姿勢で接続されている。
【0031】
ホスト装置40に半導体記憶装置1を接続して使用中に、
図3、
図4の矢印に示すように下向きの外力が不意に半導体記憶装置1に作用することが考えられる。
この場合、作用する外力の大きさにもよるが、外力が大きい場合、
図5に示すように、半導体記憶装置1は下向きに折れ曲がるように変形する。ホストコネクタ41に挿入されている接続コネクタ9の挿入部25は金属製で強度が高いため、樹脂製のケース2において接続コネクタ9との接合部に大きな曲げモーメント力が作用する。
【0032】
ケース2は樹脂製の第1ケース体11と第2ケース体12を溶着した構造であるため、上述の曲げモーメント力は第1ケース体11と第2ケース体12の溶着部Fを剥離するように作用する。第1ケース体11と第2ケース体12の溶着部Fの剥離強度より上述の曲げモーメント力が小さければ、半導体記憶装置1は上述の外力に耐えることができる。
第1ケース体11と第2ケース体12の溶着部Fの剥離強度より上述の曲げモーメント力が大きい場合、接続コネクタ9の近傍において第1ケース体11と第2ケース体12の溶着部Fが剥離する。溶着部Fが剥離すると上述の外力が、第1ケース体11と第2ケース体12を
図5に示すように右端側を下向きとするように変形させる。
【0033】
この変形により、接続コネクタ9の近傍の突出片20Aと突出片20Bが分離し、ケース2の接続コネクタ9周りの溶着部Fが分離し、主に第2ケース体12の接続コネクタ9周りが変形し、ケース2の傾斜を許容する。
この場合、第1基板5は第2基板8に対し可撓性導電部10を介し接続されているので、第2基板8の姿勢は変化しないが、第1基板5は
図5に示すように右端部側を下向きとして傾斜する。即ち、可撓性導電部10を設けたことで第1基板5に対し外力が作用することを抑制し、第1基板5の破損を阻止できる。また、ケース2の溶着部Fの一部は剥離するが、外力を除去すると、第1ケース体11と第2ケース体12の剥離していない残りの溶着部Fの影響でケース2は変形前の元の状態に戻る。このため、第1ケース体11と第2ケース体12からなるケース2により、第1基板5と第2基板8を覆った元の構造に復帰できる。
【0034】
以上説明のように、
図1、
図2に示す構造の半導体記憶装置1であれば、ホスト装置40に接続した状態において、万が一、下向きに強い外力が作用しても、ケース2の溶着部Fの一部を剥離させるだけで内部の第1基板5の損傷や折損を防止できる。
【0035】
この種の半導体記憶装置は、ホスト装置のホストコネクタに接続した状態でケースがホスト装置の外方に突出した状態となる。このため、ケースに不意に外力が作用すると、ケースあるいは接続コネクタの接続部分に外力が作用し、負荷の状況によってはケース内の基板が破損する場合がある。
これは半導体記憶装置が破壊されたこととなり、フラッシュメモリから情報を読み出しできなくなる。
これに対し、
図1と
図2に示す構造の半導体記憶装置1であるならば、ケース2の溶着部の一部を剥離させるだけの損傷となり、引き続きフラッシュメモリ6から情報を読み出すことができ、フラッシュメモリ6に情報を書き込むこともできる。
【0036】
なお、第1ケース体11と第2ケース体12の溶着部の強度あるいは接着部の強度を必要以上に高くすると、前述の外力が作用した場合、第1ケース体11あるいは第2ケース体12を直接折損させてしまうおそれがある。このため、第1ケース体11と第2ケース体12の溶着強度あるいは接着強度は、第1ケース体11あるいは第2ケース体12の抗折強度より低くしておくことが望ましい。
即ち、外力が作用した場合、第1ケース体11あるいは第2ケース体12が折損するより前に、
図5に示すように溶着部Fや接着部を剥離させる構成とする。この構成とすることで、本実施形態の半導体記憶装置1は、外力が作用した場合、
図5に示すように確実に変形し、第1基板5の折損を防止できる。
【0037】
図6は、本発明に係る第2実施形態の半導体記憶装置の内部構造を示す斜視図である。
第2実施形態の半導体記憶装置において、
図2に示す第1実施形態の半導体記憶装置1と同じ構成要素には同一の符号を付し、同一構成要素の説明は省略または簡略化する。
第2実施形態の半導体記憶装置において、第1基板5と第2基板8は切欠部61により分離されている。切欠部61の部分において第1基板5と第2基板8の間に間隙Gが形成されている。第1基板5の底部側(基板の厚さ方向下部側)と第2基板8の底部側(基板の厚さ方向下部側)には、基板接続部62が設けられている。第1基板5の基板底部側と第2基板8の基板底部側は基板接続部62を介し一体接続されている。
【0038】
第1基板5と第2基板8と基板接続部62は同一の基板材料からなる。
第1基板5と第2基板8は切欠部61を形成する前は、同一基板材料からなる同一厚さの1つの基板として構成されているが、第1基板5と第2基板8となる位置の境界部分に溝加工を行って切欠部61を形成することにより、第1基板5と第2基板8を区分した構造を有する。
【0039】
基板接続部62は例えば0.2~0.3mm程度の厚さであり、基板接続部62は、例えば、数回程度湾曲できる程度の可撓性を有する。また、基板接続部62には、第1基板5に形成されている電気回路と第2基板8に形成されている電気回路を接続する配線63が組み込まれている。従って、基板接続部62は第1実施形態の可撓性導電部10と類似の撓曲性を有し、基板接続部62は、可撓性導電部を兼ねている。
【0040】
図6に示す内部構造を有する半導体記憶装置であるならば、第1実施形態の半導体記憶装置1と同様の作用効果を得ることができる。即ち、ホスト装置40のホストコネクタ41に接続した状態において、下向きに強い外力が作用すると、ケース2の溶着部Fが部分的に剥離しケース2が一部変形するものの、基板接続部62が湾曲する。このことでケース2内の第1基板5が傾斜することを許容し、第1基板5の損傷を防止できる。
【0041】
なお、基板接続部62は、例えば、数回程度湾曲できる程度の可撓性を有するが、繰り返し折り曲げるようなことがあると損傷するおそれがある。このため、ホスト装置40に接続した状態において、一度下向きに強い外力を作用させた場合、できるだけ速やかにフラッシュメモリ6からの情報を読み出しておくことが好ましい。そして、その読出情報をホスト装置40のSSD(ソリッドステートドライブ)あるいはHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置にコピーしておくことが望ましい。
【0042】
図7は、本発明に係る第3実施形態の半導体記憶装置を示す斜視図である。
第3実施形態の半導体記憶装置において、
図2に示す第1実施形態の半導体記憶装置1と同じ構成要素には同一の符号を付し、同一構成要素の説明は省略または簡略化する。
第3実施形態の半導体記憶装置71において、ケース2の内部に収容されているモジュール3の構造は第1実施形態の半導体記憶装置1と同等である。即ち、モジュール3は、第1基板5と、フラッシュメモリ6と、コントローラ7と、第2基板8と、接続コネクタ9と、可撓性導電部10を有し、これらの構造は第1実施形態の半導体記憶装置1と同等である。
【0043】
第3実施形態の半導体記憶装置においては、ケース2の構造が第1実施形態の構造と異なる。ケース2において、基本構造は第1実施形態と同等であり、第1ケース体11と第2ケース体12が側壁15、18と、端部壁16、19を有し、突出壁部20と突出部21を有する構造も同等である。第1ケース体11と第2ケース体12が先に説明した溶着あるいは接着などの接合方法により接合されている構造も同等である。
【0044】
第3実施形態のケース2において異なっているのは、第1ケ-ス体11の内部側4ヶ所に下向きの突起部72が形成され、第2ケース体12の内部側4ヶ所に上面側に向く凹部73が形成されている点である。突起部72は第1ケース体11のケース板13の下面側に形成された厚肉部74から下向きに突出されている。凹部73は、第2ケース体12のケース板17の上面側に形成された厚肉部75の上面側に形成されている。
【0045】
ケース2において、端部壁16、19に近い側の突起部72と凹部73は、端部壁16と側壁15が交差するコーナー部分の内側、および、端部壁19と側壁18が交差するコーナー部分の内側に形成されている。ケース2において、接続コネクタ9に近い側の突起部72と凹部73は、第1基板5と第2基板8の境界であって、間隙Gを望む位置に、基板接続部62の両側を挟むように形成されている。
第1基板5と第2基板8の境界部分には間隙Gと可撓性導電部10が設けられるので、一例として可撓性導電部10の幅を第1基板の幅より若干小さく形成する。これにより、可撓性導電部10を幅狭とした分と間隙Gを合わせて、厚肉部74、75の設置スペースを確保し易い構成にできる。
【0046】
第3実施形態のケース2は、第1ケース体11と第2ケース体12を溶着あるいは接着した構造に加え、各凹部73に各突起部72を嵌合して嵌合部76を構成することで第1ケース体11と第2ケース体12を接合している。
第3実施形態のケース2を備えた半導体記憶装置71を
図3に示すようにホスト装置40のホストコネクタ41に接続し、下向きの外力が作用した場合、
図5に示した場合と同様に接続コネクタ9近くの溶着部Fが部分的に剥離する。この場合、第1ケース体11と第2ケース体12が変形するとともに、可撓性導電部10の作用により第1基板5が下向きに傾斜できる点も第1実施形態と同様である。
【0047】
図5に示す場合と同様に外力が作用した場合、第1ケース体11と第2ケース体12の変形に伴い、接続コネクタ9近くの突起部72が凹部73から外れるか、突起部72が凹部73から部分的に抜け出して、凹凸嵌合力が弱くなる。
ここで、外部からの外力を取り除き、ホストコネクタ41に対する半導体記憶装置71の姿勢が平行に戻ったならば、ホストコネクタ41から半導体記憶装置71を引き抜き、接続コネクタ9近くの凹部73から外れた突起部72を凹部73に嵌合し直す。または、接続コネクタ9近くの凹部73から外れかけた突起部72を凹部73に嵌合し直す。
このことで、第1ケース体11と第2ケース体12の嵌合状態を復元し、ケース2を元に近い状態に復元できる。
【0048】
第1ケース体11と第2ケース体12の溶着あるいは接着に加え、凹部73と突起部72の凹凸嵌合で一体化したケース2を備えた構成を半導体記憶装置71が備える。
この構成の半導体記憶装置71であるならば、外力が作用した場合にケース2の接合部の一部が剥離したとして、凹部73に対する突起部72の再嵌合を行うことで、ケース2の状態を確実に復元できる効果がある。
【0049】
なお、第1ケース体11と第2ケース体12における突起部72と凹部73の設置位置は
図7に示す例に限らない。
図7の例では、ケース2において第1ケース体11側に突起部72を設け、第2ケース体12側に凹部73を設けたが、第1ケース体11側に凹部73を設け、第2ケース体12側に突起部72を設けてもよい。
【0050】
複数の突起部72と複数の凹部73を設ける場合、一部の突起部72を第1ケース体11に設け、残りの突起部72を第2ケース体12側に設けることもできる。第1ケース体11に設けた突起部72に対向する第2ケース体12側に凹部73を設け、第1ケース体11に設けた凹部73に対向する第2ケース体12側に突起部72を設けることもできる。
第1ケース体11と第2ケース体12に設ける突起部72の数と凹部73の数も特に制限はなく、必要個数設けることができ、設置位置もケース2の内部であれば、いずれの位置であっても良い。
【0051】
なお、前述の実施形態で用いた可撓性導電部は、フレキシブル基板や一般的な基板材料からなる可撓性導電部として説明したが、可撓性導電部は、絶縁被覆した複数本のフレキシブル導電ケーブルを用いても良い。複数本の導電ケーブルを介し第1基板5と第2基板8を電気的に接続し、第1基板5と第2基板8の間に間隙を設けた構造によって、先の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上、複数の実施形態および変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、上述した2つ以上の実施形および変形例は、互いに組み合わされて実現されてもよい。
また、先の実施形態において、第1ケース体11と第2ケース体12を接合する場合、両者に対し、溶着や接着を行わず、上述の凹部と突起部を利用した凹凸嵌合のみで接合しても良い。
【0053】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…半導体記憶装置、2…ケース(筐体)、3…モジュール、5…第1基板、6…フラッシュメモリ(半導体メモリ部品)、7…コントローラ(半導体メモリ部品)、8…第2基板、9…接続コネクタ、10…可撓性導電部、G…間隙、11…第1ケース体、12…第2ケース体、40…ホスト装置、41…ホストコネクタ、50…半導体記憶装置、61…間隙、62…基板接続部(可撓性導電部)、63…配線、71…半導体記憶装置、72…突起部、73…凹部、76…嵌合部。