(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142503
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ネットワークの管理装置、初期設定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/00 20220101AFI20220922BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H04L12/24
G06F13/00 353V
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042695
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
【テーマコード(参考)】
5B089
5K030
【Fターム(参考)】
5B089GA11
5B089GA21
5B089GB02
5B089HB02
5B089JA35
5B089JB10
5B089JB14
5B089KA03
5B089KB04
5B089MC08
5K030JA10
5K030MD04
(57)【要約】
【課題】ネットワークに接続された複数のエージェント機器に対して同時に初期設定を行う管理装置を提供する。
【解決手段】管理装置(管理ソフトウェア)は、操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出し、エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、操作者から提示されたネットワーク情報をエージェント機器に送出し、エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示をエージェント機器に送出し、所定時間経過後に、エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数のエージェント機器と接続された管理装置であって、
操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、前記複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出し、
前記エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、前記操作者から提示されたネットワーク情報を前記エージェント機器に送出し、
前記エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示を前記エージェント機器に送出し、
所定時間経過後に、前記エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する、
管理装置。
【請求項2】
前記エージェント機器は、前記エージェント機器応答指示を受けると、前記エージェント機器応答を自身の識別情報とともに送出し、
前記エージェント機器は、前記ネットワーク情報を受けると、前記ネットワーク情報に従ってネットワーク設定が完了したことを示すネットワーク設定完了応答を自身の識別情報とともに送出し、
前記エージェント機器は、前記ディスカバリ機能停止指示を受けると、自身のディスカバリ機能を停止するとともに、ネットワーク接続機能を起動する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記所定の時間は、前記エージェント機器による前記ディスカバリ機能停止と前記ネットワーク接続機能の起動に係る時間として予め決められた、請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記エージェント機器の前記ネットワーク接続機能は、TCP/IP接続機能であり、前記エージェント機器応答指示はサーチUDPフレーム(Search UDP Frame)を用いて行われ、前記エージェント機器応答と前記ネットワーク設定完了応答はレスポンスUDPフレーム(Response UDP Frame)を用いて行われ、前記ネットワーク情報はコンフィグレーションUDPフレーム(Configuration UDP Frame)を用いて行われ、前記ディスカバリ機能停止指示はスタートUDPフレーム(Start UDP Frame)を用いて行われる、請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
ネットワークに接続された複数のエージェント機器に対して初期設定を行う初期設定方法であって、
操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、前記複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出し、
前記エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、前記操作者から提示されたネットワーク情報を前記エージェント機器に送出し、
前記エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示を前記エージェント機器に送出し、
所定時間経過後に、前記エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する、
初期設定方法。
【請求項6】
ネットワークを介して複数のエージェント機器と接続される管理装置のコンピュータに実装されるプログラムであって、
操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、前記複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出する処理過程と、
前記エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、前記操作者から提示されたネットワーク情報を前記エージェント機器に送出する処理過程と、
前記エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示を前記エージェント機器に送出する処理過程と、
所定時間経過後に、前記エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する処理過程と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の情報処理装置(エージェント機器)が接続されたネットワークの管理装置、初期設定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続される複数台の情報処理装置(例えば、サーバ、クライアント、端末など)を所定の環境下にて動作させるために初期設定を行う必要がある。特許文献1は、UDP(User Datagram Protocol)通信を使用してクライアント装置からコンソールレスのサーバ装置にネットワーク情報を設定する初期設定システムを開示しており、サーバ装置はマシン名、IP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレスを格納しており、クライアント装置は自動発見要求をUDPブロードキャストしてその応答のマシンアドレスがMACアドレスと同一の場合にはそのサーバ装置のマシン名を未設定としてサーバ一覧を表示する。その後、利用者はマシン名が未設定のサーバ装置を選択してマシン名やIPアドレスを再設定する。特許文献2は、類似障害の判定条件を自動設定して障害事例を登録することによりインシデント解決時間を短縮するインシデント管理システムを開示している。インシデント管理システムは、監視対象機器の障害情報が親インシデント障害事例情報に合致しているとき、或いは、障害情報が子インシデント障害事例情報に合致しているときにインシデント情報テーブルに登録する。特許文献3は、デジタル複合機などのMFP(Multifunctional Peripheral)とLAN(Local Area Network)を介して接続された情報処理装置に固定のIPアドレスを自動設定するネットワーク接続プログラムを開示している。情報処理装置は、LANに最初に接続されたとき、リンクローカルアドレスを取得してブロードキャスト通信を行ってMFPを検出し、MFPのネットワーク設定情報からLANで使用できるプライベートアドレスを取得して自装置のIPアドレスとして設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-206223号公報
【特許文献2】特開2014-119982号公報
【特許文献3】特開2014-216691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、UDPブロードキャストを使用してクライアント装置とサーバ装置間の初期設定を行うものであるが、複数台のエージェント機器に対して同時に初期設定を行った場合、エージェント機器間の応答処理が重複してしまい、パケットロスが発生する。この場合、待ち合わせ時間を設けてエージェント機器間の干渉を抑制することにより、パケットロスを発生させないようにすることも考えられるが、複数台のエージェント機器に対する初期設定に時間がかかる。また、特許文献1は、複数台のエージェント機器に対して同時に初期設定を行うよう構成されていない。特許文献2は、監視対象機器の障害情報(データベースのデッドロック、アクセス失敗、ウィルスチェックなど)を親インシデント障害事例と子インシデント障害事例に分類して管理するものであり、複数台のネットワーク接続機器に対して同時に初期設定を行うものではありません。特許文献3は、リンクローカルアドレスとプライベートアドレスが設定されたデジタル式カラー複合機を前提としており、ネットワーク接続する情報処理装置がリンクローカルアドレスによるブロードキャスト通信でデジタル式カラー複合機を検出し、そのプライベートアドレスの設定値を取得して、使用可能なプライベートアドレスを自装置のIPアドレスとして設定するものである。情報処理装置は、自装置へのIPアドレスを自動設定するため、ホームネットワークなどネットワーク接続する情報機器の数が少なければ問題ないが、ICT(Information and Communication Technology)システムなど多くの情報機器が存在する場合には、システム運用管理としてIPアドレスの管理も実施するため、上記のような自動設定によりIPアドレスを適切に設定できず、ネットワーク管理が適切に行えない。また、ネットワークに接続された複数の機器に対して同時に初期設定を行うものではない。
【0005】
また、ネットワークに接続される各種機器の初期設定を行うには、対象機器に端末を一対一に接続し、初期設定を実施していた。このため、複数台の機器の初期設定を同時に行うときに1台ずつ初期設定を行う必要があり、初期設定に時間がかかり、初期設定ミスによりネットワークへの機器の接続不良となることを未然に防止する必要がある。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するネットワークの管理装置、初期設定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、ネットワークを介して複数のエージェント機器と接続された管理装置である。管理装置は、操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出し、エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、操作者から提示されたネットワーク情報をエージェント機器に送出し、エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示をエージェント機器に送出し、所定時間経過後に、エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する。
【0008】
本発明の第二の態様は、ネットワークに接続された複数のエージェント機器に対して初期設定を行う初期設定方法である。初期設定方法は、操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出し、エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、操作者から提示されたネットワーク情報をエージェント機器に送出し、エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示をエージェント機器に送出し、所定時間経過後に、エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する。
【0009】
本発明の第三の態様は、ネットワークを介して複数のエージェント機器と接続された管理装置のコンピュータに実装されるプログラムである。プログラムは、管理装置のコンピュータに対して、操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、複数のエージェント機器のうちネットワーク設定対象のエージェント機器にエージェント機器応答指示を送出する処理過程と、エージェント機器からエージェント機器応答を受けると、操作者から提示されたネットワーク情報を前記エージェント機器に送出する処理過程と、エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受けると、ディスカバリ機能停止指示をエージェント機器に送出する処理過程と、所定時間経過後に、エージェント機器のネットワーク設定接続を確認する処理過程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワーク機器の導入において、複数台の機器に対して同時に初期設定を行うことができるため、初期設定時間の短縮化、初期設定コストの削減、初期設定ミスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るネットワークのシステム構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るネットワーク設定方法を示すシーケンス図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るネットワークに実装される管理サーバの処理フローを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係るネットワークに接続されたエージェント機器の処理フローを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るネットワークにおいて管理サーバとエージェント機器との間で通信されるデータのUDP層のデータフォーマットを示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係るネットワークにおいて管理サーバとエージェント機器との間で通信されるデータのディスカバリ層のデータフォーマットを示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係るネットワークにおいて管理サーバとエージェント機器との間で通信されるデータのサーチUDPフレームのデータフォーマットを示す。
【
図8】本発明の一実施形態に係るネットワークにおいて管理サーバとエージェント機器との間で通信されるデータのレスポンスUDPフレームのデータフォーマットを示す。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例に係るネットワーク設定方法を示すシーケンス図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るネットワークの構成及び機能を示す概要図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るネットワークの管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るネットワークの管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るネットワーク管理システム及びネットワーク初期設定方法について実施例とともに添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワークのシステム構成を示すブロック図である。
図1に示すシステム構成は、ネットワーク運用管理を行う管理ソフトウェアがインストールされた管理サーバ10と、管理サーバ10に接続されて運用管理者や操作者が操作を行うクライアント11(例えば、パーソナルコンピュータや端末装置など)を具備する。
【0014】
管理サーバ10は、ネットワーク20に接続される。また、管理サーバ10のネットワーク管理の対象となる複数の情報処理装置(例えば、サーバ30、31、記憶装置(ストレージ)32、33、端末34など)がネットワーク20に接続される。なお、管理サーバ10により管理される情報処理装置(例えば、サーバ30、31、ストレージ32、33、端末34など)を「エージェント機器」と総称する。
【0015】
本発明の一実施形態に係るネットワーク設定は、管理ソフトウェアがインストールされた管理サーバ10と操作者(オペレータ)がネットワーク管理操作を行うクライアント11により、ネットワーク20を介して接続される複数台のエージェント機器に対して行われる。クライアント11は、管理ソフトウェアの操作やネットワーク管理情報を参照できるユーザインタフェース(グラフィカルユーザインタフェース又はコマンドラインインタフェース)を備える。
【0016】
図1に示すように、管理サーバ10とエージェント機器との物理的なネットワーク接続の完了後、ネットワーク初期設定を開始する。
図2は、本発明の一実施形態に係るネットワーク初期設定方法を示すシーケンス図である。ネットワーク初期設定方法は、クライアント11の操作者、管理サーバ10に搭載される管理ソフトウェア、エージェント機器間に実装される。
図2のシーケンス図は、操作者のクライアント11によるオペレーションと、管理ソフトウェアと、エージェント機器との間で実行されるネットワーク初期設定に係る通信手順を示している。
【0017】
次に、ネットワーク設定方法について
図2乃至
図8を参照して詳細に説明する。
図3は、管理ソフトウェアの処理フローを示すフローチャートである。
図4は、エージェント機器の処理フローを示すフローチャートである。
図5乃至
図8は、ネットワーク設定の実行時に管理サーバ10とエージェント機器との間で通信されるデータの各種データフォーマットを示す。具体的には、
図5はUDP(User Datagram Protocol)層のデータフォーマットを示し、
図6はディスカバリ層のデータフォーマットを示し、
図7はサーチUDPフレーム(Search UDP Frame)のデータフォーマットを示し、
図8はレスポンスUDPフレーム(Response UDP Frame)のデータフォーマットを示す。
【0018】
具体的には、
図5のUDP層は、32ビット(4バイト)単位で構成されており、管理ソフトウェアと規定した送信元のポート番号(Source Port)、管理ソフトウェアと規定した送信先のポート番号(Destination Port)、UDPパケットの転送長(UDP Packet Length)、UDPチェックサム値(UDP Check Sum)、データ(Data)より構成される。
図6のディスカバリ層は、32ビット(4バイト)単位で構成されており、2つのフィールドが設定されている。ヘッダフィールド(Header)は、送信元のMACアドレス(Source MAC Address)、送信先のMACアドレス(Destination MAC Address)からなり、送信先MACアドレスが不明の場合は、32ビットに全て「1」が設定される(即ち、4ビットが全て「1」となる「F」が4個設定される)。また、ヘッダフィールドには、フレーム種別(Frame Type)、保存(Reserved)、データ長(Data Length)が含まれている。フレーム種別として、管理ソフトウェアからエージェント機器に対して送られるサーチUDPフレーム(Search UDP Frame)、エージェント機器から管理ソフトウェアに対して送られるレスポンスUDPフレーム(Response UDP Frame)、管理ソフトウェアからエージェント機器に送られるコンフィグレーションUDPフレーム(Configuration UDP Frame)、管理ソフトウェアからエージェント機器に送られるデータフレームスタートUDPフレーム(Data Frame Start UDP Frame)が設定される。なお、データ長(Date Length)はデータエリアの長さを示す。
【0019】
図7のサーチUDPフレームは、3つのフィールドを有している。即ち、マネージャー(Manager)には管理ソフトウェアを識別するための文字列が記述されており、例えば、「NEC NETWORK MANAGER:」が記述される。バージョン(VER)には管理ソフトウェアのリビジョン情報が記述されており、例えば、「REV.XXX...」が記述される。パラメータ(Parameter)にはサーチUDPフレームのエージェント機器側での最大待ち合わせ時間が記述される。この待ち合わせを導入することにより、複数台のエージェント機器からの応答への対応が可能となる。
【0020】
図8のレスポンスUDPフレームには4種類のフィールドが設定されている。即ち、問合せ(Inquiry)には、エージェント機器の装置個別情報が記述され、例えば、ベンダ情報、装置シリアル番号、装置個別設定情報などがある。ポート数(Port Count)にはエージェント機器が搭載しているネットワークポート数が記述されており、1~n(nは、2以上の整数)の値が記述される。ポート番号(Port Number)には、エージェント機器が応答しているネットワークポート番号が記述される。また、ネットワークポート(Network#1~Network#n)にはネットワーク設定情報が記述され、ネットワークポート#1~#nのネットワーク情報が個別に記述される。上記のポート数(Port Count)、ポート番号(Port Number)、ネットワークポート(Network #n)の情報により、管理ソフトウェアは、エージェント機器について、ポート単位の設定状況、応答しているポート番号、応答可否に拘らずネットワーク情報が設定済みか否かを把握することができる。
【0021】
次に、操作者によるクライアント11の操作に従って管理ソフトウェアとエージェント機器との間で行われる処理について、
図2(ステップS1~S11)、
図3(ステップA1~A7)及び
図4(ステップB1~B8)を参照して詳細に説明する。まず、操作者がクライアント11を用いて管理サーバ10の管理ソフトウェアを操作して、ネットワーク20に接続されたエージェント機器(例えば、サーバ30、31、ストレージ32、33、端末34など)を検索する指示を送出する(
図2、S1「エージェント機器検索指示」)。つまり、管理ソフトウェアは、
図7のサーチUDPフレームを発行する(
図3、A1)。その際、管理サーバ10(管理ソフトウェア)の識別のため、エージェント機器検索指示にはMACアドレスを付加する。エージェント機器からの応答にはこのMACアドレスを付加し、エージェント機器を識別する。
【0022】
管理ソフトウェアは、UDP/IPブロードキャストパケットでネットワーク20に接続されたエージェント機器への応答指示を送信する(
図2、S2「エージェント機器応答指示」)。これ以降のネットワーク設定に関する一連の処理機能をディスカバリ機能と呼ぶ。なお、UDP/IPブロードキャストパケットには到達保証がないため、送信は規定回数実行される。
【0023】
エージェント機器は管理ソフトウェアからエージェント機器応答指示を受信する。即ち、エージェント機器はサーチUDPフレームを受信する(
図4、B1、YES)。ここで、ディスカバリ機能動作中であれば、パラメータ指定時間待ち合わせを行う(
図4、B2)。例えば、パラメータ指定時間は、MACアドレスを16で割った余りに相当する時間に相当する。パラメータ指定時間経過後、エージェント機器は自身のMACアドレスと識別情報を管理ソフトウェアに応答する(
図2、S3)。つまり、エージェント機器は、
図8のレスポンスUDPフレームを発行する(
図4、B3)。管理ソフトウェアは、レスポンスUDPフレームを受信する(
図3、S2、YES)。なお、識別情報は、エージェント機器のベンダ情報、装置シリアル番号、装置個別の設定情報などを示す。
【0024】
管理ソフトウェアは、エージェント機器からレスポンスUDPフレームを受信すると、ネットワーク20に接続されたエージェント機器を画面表示する(
図2、S4、「エージェント機器画面表示」)。操作者は、クライアント11を操作して、画面表示されたエージェント機器を選択し、エージェント機器に設定したいネットワーク情報を入力する(
図2、S5、「ネットワーク情報入力」)。つまり、管理ソフトウェアは、ネットワーク情報を受信する(
図3、A3)。
【0025】
管理ソフトウェアは、ネットワーク情報を受け取ると、UDP/IPブロードキャストパケットのデータ部分にエージェント機器のMACアドレスをつけて、ネットワーク情報設定フレームをエージェント機器に送信する(
図2、S6、「ネットワーク情報+識別情報」)。つまり、管理ソフトウェアは、コンフィグレーションUDPフレームを発行する(
図3、A4)。なお、UDP/IPブロードキャストパケットには到達保証がないため、送信は規定回数実行される。
【0026】
エージェント機器は、ネットワーク情報設定フレームを受信する。つまり、エージェント機器は、コンフィグレーションUDPフレームを受信する(
図4、B4、YES)。ネットワーク情報設定フレームに格納されるMACアドレスがエージェント機器と一致すると、操作者により入力されたネットワーク情報でネットワーク設定を行う(
図4、B5)。その後、エージェント機器は、ネットワーク設定完了応答を行う(
図2、S7、「設定完了応答+識別情報」)。つまり、エージェント機器は、レスポンスUDPフレームを発行する(
図4、B6)。
【0027】
管理ソフトウェアは、ネットワーク設定完了応答を受け取ると、ディスカバリ機能停止の指示をエージェント機器に送出する(
図2、S8)。つまり、管理ソフトウェアは、レスポンスUDPフレームを受信すると(
図3、S5、YES)、スタートUDPフレームを発行する(
図3、A6)。エージェント機器は、ディスカバリ機能停止の指示を受け取ると、ディスカバリ機能を停止し、操作者により設定されたネットワーク情報でTCP/IP接続機能を起動する(
図2、S9、「ディスカバリ機能停止」、「TCP/IP接続機能の起動」)。つまり、エージェント機器は、スタートUDPフレームを受信すると(
図4、B7、YES)、ディスカバリ機能を終了する(
図4、B8)。
【0028】
管理ソフトウェアは、操作者が設定したネットワーク情報に基づいてTCP/IPでの接続確認を行う(
図2、S10、「ネットワーク設定値での接続確認」)。つまり、管理ソフトウェアは、ネットワーク設定値での接続確認を行う(
図3、A7)。なお、エージェント機器におけるディスカバリ機能停止、TCP/IP接続機能の起動に時間を要するため、管理ソフトウェアは、ステップS8の実行から規定時間経過後にステップS9を実行する。また、TCP/IP接続確認ができなかった場合には、規定回数リトライを行う。
【0029】
管理ソフトウェアは、TCP/IPでの接続が正常になされたことを確認すると、クライアント11へ正常に接続できた旨を表示する(
図2、S11、「ネットワーク接続正常表示」)。上述の一連のネットワーク設定方法により、操作者は、容易にネットワーク設定を行うことができる。なお、本実施形態では、ネットワーク20に接続されるエージェント機器が1台の場合を例に説明しているが、複数台のエージェント機器がネットワーク20に接続されていた場合にも、同様に、ネットワーク設定を行うことができる。
【0030】
次に、本実施形態の変形例について説明する。この変形例は、ネットワーク設定の初期化に関する。上述の実施形態では、ネットワーク情報が未設定のエージェント機器への初期設定に関するが、ネットワーク設定に誤りがあった場合には、ネットワーク設定を初期化する必要がある。この変形例は、
図2のシーケンス図において、ステップS5~S7、S11を
図9に示すように変更することにより実現できる。つまり、ステップS5において、操作者がエージェント機器初期化指示を行い、ステップS6において管理ソフトウェアがネットワーク情報に代えて初期化情報をエージェント機器に送出する。これにより、エージェント機器は、操作者の初期化指示に従って初期化処理を実行し、その後、ステップS7においてエージェント機器はネットワーク設定完了応答に代えて初期化完了応答を管理ソフトウェアに送出する。その後、管理ソフトウェアは、ネットワーク未設定をクライアント11に知らせる。これにより、エージェント機器が初期化されたことが通知される。
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係るシステム構成及び機能の概要について
図10を参照して説明する。
図10に示すシステム100では、管理装置(管理ソフトウェア)110がネットワーク120を経由して複数のエージェント機器130(130A~130C)に接続されている。ここでは、管理ソフトウェア側の処理過程(ステップC1~C4)とエージェント機器側の処理過程(ステップD1~D3)が実行される。
【0032】
まず、管理ソフトウェアは、操作者からのエージェント機器検索指示を受けて、エージェント機器応答指示(Search UDP Frame)をエージェント機器に送出する(C1)。エージェント機器が自身の識別情報とともにエージェント機器応答(Response UDP Frame)を管理ソフトウェアに送出する(D1)。これ以降、管理ソフトウェアとエージェント機器との間では識別情報を用いて通信が行われる。管理ソフトウェアは、エージェント機器応答に対してネットワーク情報が操作者により入力されると、ネットワーク情報(Configuration UDP Frame)をエージェント機器に送出する(C2)。エージェント機器がネットワーク情報に従ってネットワーク設定を完了すると、ネットワーク設定完了応答(Response UDP Frame)を管理ソフトウェアに送出する(D2)。管理ソフトウェアは、ディスカバリ機能停止指示(Start UDP Frame)をエージェント機器に送出する(C3)。エージェント機器は、ディスカバリ機能を停止するとともに、TCP/IP接続機能を起動する(D3)。エージェント機器側の処理時間に相当する規定時間の経過後、管理ソフトウェアは、ネットワーク設定接続を確認する(C4)。
【0033】
次に、
図10に示す管理装置110の構成及び処理手順について
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は管理装置(管理ソフトウェア)110のブロック図であり、複数のエージェント機器のうち所望のエージェント機器に応答指示(Search UDP Frame)を送出するエージェント機器応答指示部111、ネットワーク情報(Configuration UDP Frame)を所望のエージェント機器に送出するネットワーク情報部112、ディスカバリ機能の停止指示(Start UDP Frame)を所望のエージェント機器に送出するディスカバリ機能停止指示部113、所定期間経過後に所望のエージェント機器にネットワーク設定接続を確認するネットワーク設定接続確認部114を具備する。
【0034】
図12は、管理装置(管理ソフトウェア)110のフローチャート(ステップC11~C14)であり、操作者からのエージェント機器検索指示を受けると、複数のエージェント機器のうち所望のエージェント機器にエージェント機器応答指示(Search UDP Frame)を送出し(C11)、所望のエージェント機器からエージェント機器応答(Response UDP Frame)を受けると、操作者から提示されたネットワーク情報(Configuration UDP Frame)を所望のエージェント機器に送出し(C12)、所望のエージェント機器からネットワーク設定完了応答(Response UDP Frame)を受けると、ディスカバリ機能停止指示(Start UDP Frame)を所望のエージェント機器に送出し(C13)、所定時間経過後に、所望のエージェント機器のネットワーク設定接続を確認する(C14)。
【0035】
本発明の実施形態は、ネットワークに接続された複数台のエージェント機器の初期設定を同時に行う手順を提供するものであり、下記のように纏めることができる。
(1)操作者が、管理サーバ10にインストールされた管理ソフトウェアを操作し、ネットワーク20に接続された各種のエージェント機器を検索する指示を出す。その際、管理サーバ10を識別するために、MACアドレスを付加する。エージェント機器からの応答には、MACアドレスを付加して、各種のエージェント機器を識別する。
(2)管理ソフトウェアは、UDP/IPブロードキャストパケットにてネットワーク20へエージェント機器の応答指示を出す。これ以降のエージェント機器とのネットワーク設定に関する一連の処理をディスカバリ機能と呼ぶ。
(3)エージェント機器は、ディスカバリ機能動作中であれば、指定時間(例えば、MACアドレスを16で割った余りが示す時間)経過後、自身のMACアドレスと識別情報を管理ソフトウェアに応答する。
(4)管理ソフトウェアは、エージェント機器からの応答に従って、ネットワーク20に接続されたエージェント機器の情報をクライアント11に画面表示する。操作者が、クライアント11の画面表示から所望のエージェント機器を選択して、該エージェント機器に関するネットワーク情報を設定する。その後、管理ソフトウェアは、UDP/IPブロードキャストパケットのデータ部分にエージェント機器のMACアドレスを付加して、ネットワーク情報をエージェント機器に送信する。
(5)エージェント機器は、管理ソフトウェアから受信したUDP/IPブロードキャストパケットのデータ部分のMACアドレスが自身のMACアドレスと一致する場合、ネットワーク情報に従って自身のネットワーク設定を行う。その後、エージェント機器は、ネットワーク設定完了応答を管理ソフトウェアに行う。
(6)管理ソフトウェアは、エージェント機器からネットワーク設定完了応答を受信すると、ディスカバリ機能停止の指示をエージェント機器に送信する。エージェント機器は、ディスカバリ機能停止指示を受信すると、ディスカバリ機能を停止する。その後、エージェント機器は、操作者により設定されたネットワーク情報に従って、ネットワーク20を経由したTCP/IP接続を確立する。
(7)管理ソフトウェアは、エージェント機器とのTCP/IP接続を確認する。なお、ディスカバリ機能停止、TCP/IP接続機能の起動に時間がかかるので、管理ソフトウェアは、「ディスカバリ機能停止指示+識別情報」を送信してから規定時間経過後にエージェント機器との接続確認を行う。
(8)エージェント機器とのTCP/IP接続を確認すると、管理ソフトウェアは、クライアント11の画面にネットワーク接続が正常に行われた旨を表示する。
【0036】
次に、本発明を実装した場合の効果について下記に纏める。
(1)ネットワーク接続機器の導入において、複数台のエージェント機器に対して同時に初期設定を行うことが可能であるため、初期設定に係る時間の短縮、初期設定コストの低減、初期設定ミスの低減を実現できる。
(2)情報処理システムや複数台の情報処理装置から構成されるネットワークシステムにおいて、ネットワーク設定を容易に実施することができる。
(3)上述のネットワーク設定プログラム(例えば、管理ソフトウェア)が動作できる環境や機器が存在すれば、どのような情報処理システムや情報処理装置に対しても本発明に係るネットワーク管理やネットワーク設定を適用できる。
(4)ネットワーク設定に誤りが発生しても、ネットワーク設定を容易に初期化、或いは、ネットワーク情報を無効化できるため、ネットワークセグメントから初期化・無効化対象の情報処理装置のみを切り離すことができる。
【0037】
上述の管理サーバ10、110は、ネットワーク20、120経由で複数のエージェント機器を管理する情報処理装置であって、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理手順(
図2乃至
図4、
図9、
図10)は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(又は、差分プログラム)であっても良い。
【0038】
最後に、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、管理サーバ(管理ソフトウェア)10、110の機能も
図2乃至
図4、
図9、
図10の処理手順に限定されるものではない。また、
図5乃至
図8に示したデータフォーマットも一例であり、限定的なものではない。本発明は、添付した特許請求の範囲に定義される技術的範囲内での種々の変形、改変、設計変更をも包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、ネットワークに接続された複数台のエージェント機器に対するネットワーク設定に適用できるとともに、各種の情報処理システムや情報処理装置に対するネットワーク設定に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 管理サーバ(管理ソフトウェア)
11 クライアント(操作者)
20 ネットワーク
30、31 サーバ
32、33 ストレージ
34 端末
100 ネットワーク管理システム
110 管理サーバ(管理ソフトウェア)
120 ネットワーク
130 エージェント機器