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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142505
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】喫煙用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20220922BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20220922BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20220922BHJP
【FI】
A24D1/02
A24F40/42
A24D1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042697
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA18
4B045AA21
4B045AA41
4B045AB14
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB17
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC06
4B162AC13
4B162AC14
4B162AC17
(57)【要約】
【課題】喫煙することで、喫煙者が意識的に或いは無意識に感じている、加齢・老化への不安、口臭への不安、不安定な精神状態、抜け毛への不安、ストレスによって生じる疾患等々についての不安や悩みやストレスを少なからず解消することも可能な、従来にない機能が付与された構成の加熱式タバコの喫煙用カートリッジの提供。
【解決手段】喫煙時に、内部に加熱要素が設けられている加熱式喫煙具内に挿入されて加熱して使用される、少なくとも、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材が配置され、反対の他端側に前記加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材が配置され、これらの部材が包装部材で一体化されてなる喫煙用カートリッジであって、少なくとも、前記フィルター部材の外周に巻き回された状態で包装部材が配置されており、且つ、該包装部材は、少なくとも精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなる喫煙用カートリッジ。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙時に、内部に加熱要素が設けられている加熱式喫煙具内に挿入されて加熱して使用される、少なくとも、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材が配置され、反対の他端側に前記加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材が配置され、これらの部材が包装部材で一体化されてなる喫煙用カートリッジであって、
少なくとも、前記フィルター部材の外周に巻き回された状態で包装部材が配置されており、且つ、該包装部材は、少なくとも精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなることを特徴とする喫煙用カートリッジ。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、喫煙の際に、前記フィルター部材の外周に巻き回した状態の前記包装部材を口にくわえることで、前記マイクロカプセルから前記精油成分が外部に放出され、喫煙者が特有の芳香を感じるように構成されている請求項1に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項3】
前記包装部材が、前記フィルター部材と接触する面に配置されているフィルター部材側のフィルム状のシート部材と、該フィルム状のシート部材に積層され、その最外周に配置されている別のシート状部材とで構成されており、これらの部材の少なくとも一方が、マイクロカプセル化した状態の前記精油成分を有する請求項1又は2に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項4】
前記マイクロカプセルは、前記包装部材の、前記フィルター部材と接触する面に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項5】
前記精油成分が、それぞれ、柑橘系、ハーブ系、フローラル系、樹脂系、エキゾチック系・オリエンタル系、スパイス系及び樹木系の芳香を有する成分からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組合せである請求項1~4のいずれか1項に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項6】
前記精油成分が、少なくとも花由来又は種子由来のものである請求項1~5のいずれか1項に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項7】
前記精油成分により、喫煙時に、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかが吸引される請求項1~6のいずれか1項に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項8】
喫煙時に、内部に加熱要素が設けられている加熱式喫煙具内に挿入されて加熱して使用される、少なくとも、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材が配置され、反対の他端側に前記加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材が配置され、これらの部材が包装部材で一体化されてなる喫煙用カートリッジであって、
前記エアロゾル生成部材よりも下流側に、乾燥させた植物の細片を含む充填物が充填されており、該充填物により、喫煙時に、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかの物質が吸引されるように構成されていることを特徴とする喫煙用カートリッジ。
【請求項9】
前記植物が、笹の葉、銀杏の葉、桜の葉、ノコギリヤシの葉、ステビアの葉、セージの葉、セリ、チコリ、ナスタチウム、ニゲラ、ハーツイーズ、フラックス、ホップ、ポリジ、マシュマロ、ヤロウ、レディースマントル、ルッコラ、エリキャンペーン、アロマティカス、カレープラント、サラダバーネット、サントリナ、ステビア、葉物野菜類、柑橘類、ワサビ、緑茶及び食用の海藻類からなる群から選ばれる少なくともいずれかである請求項8に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項10】
前記植物の細片を含む充填物が、紙管に充填されている請求項8又は9に記載の喫煙用カートリッジ。
【請求項11】
さらに、少なくとも、前記フィルター部材の外周に巻き回された状態で包装部材が配置されており、且つ、該包装部材は、少なくとも精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなる請求項8~10のいずれか1項に記載の喫煙用カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱することで生じるエアロゾル(気体)を吸うタイプの喫煙用カートリッジに関する。詳しくは、喫煙することで、加熱により生じたエアロゾルが到達するフィルター部材側に、香り等の素となる精油成分を放出させる機構が設けられている構成の喫煙用カートリッジ、或いは、前記エアロゾルを発生させるための、非タバコ葉原料からなるエアロゾル生成部材よりも下流側に植物の細片(チップ)を含む充填物を配置させた構成とした喫煙用カートリッジに関し、喫煙者の心身に良い影響を与える喫煙が可能な喫煙用カートリッジを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ葉に含まれるニコチンによる健康被害や、ニコチン依存症の詳細が明らかになったことや、近年の健康志向もあって、従来の紙巻タバコに替わって喫煙の楽しみを与えるものとして、加熱式のタバコの開発及び利用が進んでいる。加熱式タバコは、タバコの葉や、ニコチンを含まない非タバコ植物等を含むエアロゾル生成部材に、専用の加熱式喫煙具内のブレード等の加熱要素(発熱体)で熱を加え、熱で発生するエアロゾル(気体)を吸う方式のものである。本明細書では、内部に加熱要素が設けられている専用の加熱器具のことを加熱式喫煙具と呼び、該加熱式喫煙具内に挿入して使用される、加熱によって気体を発生させる喫煙具のことを「喫煙用カートリッジ」と呼ぶ。喫煙用カートリッジは、加熱式喫煙具に必須の消耗品である。なお、喫煙用カートリッジは、紙巻タバコと異なり、煙を吸うのではなく、加熱により生じたエアロゾルを吸うものであるが、本明細書では「喫煙」と呼ぶ。
【0003】
上記のように加熱式タバコは、従来の紙巻タバコとは全く異なる方式の喫煙具であり、近年、健康志向や多様な嗜好性に合致した様々な製品が、種々の面から開発されている。例えば、ニコチンを含まない非タバコ植物や、加熱芳香発生物質等を材料に用いたエアロゾル生成部材を有してなる、健康志向に合致し、しかも嗜好性に富んだエアロゾルを生じさせる喫煙用カートリッジが種々提案されている。例えば、下記に挙げるように、健康志向と嗜好性とを満足させることが可能な、タバコ葉を用いず、非タバコ植物を構成成分に用いる製品を提供することが提案されている(特許文献1、特許文献2等参照)。具体的には、非タバコ植物等のエアロゾルを生じさせる材料を用いてなる充填物からなるエアロゾル生成部材が提案されている。
【0004】
また、近年の著しい嗜好の多様化に伴い、葉タバコの香味を楽しむことを主目的とした紙巻タバコでは、タバコ刻が与える香喫味とは異なる、冷感剤などの感覚刺激剤を添加することが行われており、喫煙者に、持続的な爽快感を感じさせる工夫などの提案がされている(特許文献3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6371928号公報
【特許文献2】特許第6705042号公報
【特許文献3】特開2009-148233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した、基本的には、葉タバコの香味を楽しむことを主目的とした紙巻タバコと異なり、専用の加熱式喫煙具を用い、ニコチンを含まない非タバコ植物等を含むエアロゾル生成部材に熱を加え、熱で発生するエアロゾル(気体)を喫煙する方式の喫煙用カートリッジでは、エアロゾル生成部材に利用できる材料は無限であるともいえ、多種多様な喫味を実現できる。このことから、加熱式タバコに用いる喫煙用カートリッジは、当初の紙巻タバコの代替品としての役割よりも、近年では、従来にない、多様性に優れた独自の嗜好品としての期待が高まっている。すなわち、加熱式タバコは、従来の紙巻タバコの代替品としての利用を超えて、新たな文化を生む道具になりつつあるとさえ言える。
【0007】
本発明者の検討によれば、近年の、高度に高齢化した社会、急発達した通信技術等によりもたらされた、高速化・高効率化・映像化等した社会にあって、多くの人が不安や悩みやストレスを抱えており、安穏な時間を失っている傾向がある。具体的には、程度に違いがあるものの、多くの人が、例えば、「加齢・老化への不安」、「口臭への不安」、「不安定な精神状態」、「抜け毛への不安」、「ストレスによって生じる疾患」等々についての不安や悩みを抱えている。
【0008】
本発明者は、この状況に対して、日々の生活の中において、加熱式タバコを利用することで、健康被害を与えることなく、喫煙者にゆったりとした安穏な気分をもたらすと同時に、喫煙することで、上記した不安や悩みを少なからず解消することができれば、加熱式タバコが従来にない新たなツールになり得、さらに有用なものになるとの認識をもった。
【0009】
したがって、本発明の最終目的は、喫煙することで、喫煙者が意識的に或いは無意識に感じている、「加齢・老化への不安」、「口臭への不安」、「不安定な精神状態」、「抜け毛への不安」、「ストレスによって生じる疾患」等々についての不安や悩みやストレスを少なからず解消することも可能な、従来にない機能が付与された構成の加熱式タバコの喫煙用カートリッジを提供することにある。
【0010】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記の喫煙用カートリッジを提供する。
[1]喫煙時に、内部に加熱要素が設けられている加熱式喫煙具内に挿入されて加熱して使用される、少なくとも、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材が配置され、反対の他端側に前記加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材が配置され、これらの部材が包装部材で一体化されてなる喫煙用カートリッジであって、少なくとも、前記フィルター部材の外周に巻き回された状態で包装部材が配置されており、且つ、該包装部材は、少なくとも精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなることを特徴とする喫煙用カートリッジ。
【0011】
上記した本発明の喫煙用カートリッジの好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[2]前記マイクロカプセルは、喫煙の際に、前記フィルター部材の外周に巻き回した状態の前記包装部材を口にくわえることで、前記マイクロカプセルから前記精油成分が外部に放出され、喫煙者が特有の芳香を感じるように構成されている上記[1]に記載の喫煙用カートリッジ。
[3]前記包装部材が、前記フィルター部材と接触する面に配置されているフィルター部材側のフィルム状のシート部材と、該フィルム状のシート部材に積層され、その最外周に配置されている別のシート状部材とで構成されており、これらの部材の少なくとも一方が、マイクロカプセル化した状態の前記精油成分を有する上記[1]又は[2]に記載の喫煙用カートリッジ。
[4]前記マイクロカプセルは、前記包装部材の、前記フィルター部材と接触する面に配置されている上記[1]~[3]のいずれかに記載の喫煙用カートリッジ。
[5]前記精油成分が、それぞれ、柑橘系、ハーブ系、フローラル系、樹脂系、エキゾチック系・オリエンタル系、スパイス系及び樹木系の芳香を有する成分からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組合せである上記[1]~[4]のいずれかに記載の喫煙用カートリッジ。
[6]前記精油成分が、少なくとも花由来又は種子由来のものである上記[1]~[5]のいずれかに記載の喫煙用カートリッジ。
[7]前記精油成分により、喫煙時に、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかが吸引される上記[1]~[6]のいずれかに記載の喫煙用カートリッジ。
【0012】
また、本発明は、下記の構成の喫煙用カートリッジを提供する。
[8]喫煙時に、内部に加熱要素が設けられている加熱式喫煙具内に挿入されて加熱して使用される、少なくとも、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材が配置され、反対の他端側に前記加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材が配置され、これらの部材が包装部材で一体化されてなる喫煙用カートリッジであって、前記エアロゾル生成部材よりも下流側に、乾燥させた植物の細片を含む充填物が充填されており、該充填物により、喫煙時に、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかの物質が吸引されるように構成されていることを特徴とする喫煙用カートリッジ。
【0013】
上記した本発明の喫煙用カートリッジの好ましい形態としては、下記の構成のものが挙げられる。
[9]前記植物が、笹の葉、銀杏の葉、桜の葉、ノコギリヤシの葉、ステビアの葉、セージの葉、セリ、チコリ、ナスタチウム、ニゲラ、ハーツイーズ、フラックス、ホップ、ポリジ、マシュマロ、ヤロウ、レディースマントル、ルッコラ、エリキャンペーン、アロマティカス、カレープラント、サラダバーネット、サントリナ、ステビア、葉物野菜類、柑橘類、ワサビ、緑茶及び食用の海藻類からなる群から選ばれる少なくともいずれかである上記[8]に記載の喫煙用カートリッジ。
[10]前記植物の細片を含む充填物が、紙管に充填されている上記[8]又は[9]に記載の喫煙用カートリッジ。
[11]さらに、少なくとも、前記フィルター部材の外周に巻き回された状態で包装部材が配置されており、且つ、該包装部材は、少なくとも精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなる上記[8]~[10]のいずれかに記載の喫煙用カートリッジ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、喫煙することで、喫煙者が意識的に或いは無意識に感じている、「加齢・老化への不安」、「口臭への不安」、「不安定な精神状態」、「抜け毛への不安」、「ストレスによって生じる疾患」等々についての不安や悩みやストレスを少なからず解消することも可能な、従来にない機能が付与された加熱式タバコの喫煙用カートリッジの提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の好ましい喫煙用カートリッジの一例の構成を説明するための、各部材を分解した模式図である。
図2】本発明の好ましい喫煙用カートリッジの別の一例の構成を説明するための、各部材を分解した模式図である。
図3】本発明の好ましい喫煙用カートリッジの一例について、喫煙した際に発揮される各部材の働きを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の喫煙用カートリッジの好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の好ましい喫煙用カートリッジの一例の構成を説明するための、模式的な斜視図である。まず、本発明の喫煙用カートリッジは、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材1が配置され、反対の他端側に前記加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材5が配置され、これらの部材が包装部材6で一体化されてなる基本構成を有し、その特徴は、少なくとも、前記フィルター部材1の外周に巻き回された状態で配置された包装部材が、少なくとも精油成分をマイクロカプセル化した状態で有してなることにある。
【0018】
本発明において、精油成分をマイクロカプセル化した状態で有してなる包装部材としては、下記のような形態が挙げられる。例えば、フィルター部材1の外周に巻き回された状態で配置されているシート状の包装部材6の、フィルター部材1側の、フィルター部材が配置されている領域の部分の面に、上記精油成分を有するマイクロカプセルを含む塗液を用いて塗工膜を形成させてなる形態(不図示)や、シート状の包装部材6の構成を、上記した領域の部分を形成するための材料にマイクロカプセルを担持させる形態(不図示)が挙げられる。エアロゾル生成部材5とフィルター部材1を一体化させるシート状の包装部材6は、1枚で構成されていてもよいし、図1に示したように、フィルター部材1の外周に巻き回すための包装部材と、エアロゾル生成部材の外周に巻き回すための包装部材の2枚で構成してもよい。
【0019】
図1に示した例では、フィルター部材1の領域を一体化させるためのシート状の包装部材6の内側の面に重ねて、フィルム状のシート部材3を配置し、該フィルム状のシート部材3を、フィルター部材1に接触する側の面に、精油成分を有するマイクロカプセルを含む塗工膜2を形成させた構成としている。本発明は、これに限定されず、シート状の包装部材6を、フィルター部材1に接するように配置し、積層させるフィルム状のシート部材3を、最外周に配置した構成とすることも可能である。そして、シート状の包装部材6のフィルター部材1側に、精油成分を有するマイクロカプセルを含む塗工膜2を形成させた構成としても、フィルム状のシート部材3の、シート状の包装部材6と接する側に、精油成分を有するマイクロカプセルを含む塗工膜2を形成させた構成としてもよい。
【0020】
図2に示した例は、フィルター部材1と接触する面に配置されているシート状の包装部材6の外周に、さらに積層して、上記とは別のフィルム状のシート部材3が、フィルター部材1が配置されている領域部分の外周の少なくとも一部を覆うように設けられ、喫煙用カートリッジの最外周に配置された構成のものである。さらに、該フィルム状のシート部材3のフィルター部材1側の面に、マイクロカプセル化した状態で精油成分を有する塗工膜2が形成された構成をしている。本発明は、上記に限定されず、例えば、上記した積層した形態において、シート状の包装部材6の、フィルター部材1が配置されている領域に、表裏いずれかの面、好ましくはフィルター部材1側の面に、或いは、両面に、精油成分を有するマイクロカプセルを配置させるようにし、さらに、最外周に配置されるフィルム状のシート部材3を、例えば、気体不透過性のフィルムで形成した形態などであってもよい。このようにすれば、喫煙用カートリッジを構成するシート状の包装部材6が有するマイクロカプセル内の精油成分が、仮に、喫煙用カートリッジの保存或いは搬送中に放出することがあったとしても、マイクロカプセル内の精油成分が外部に放出することを抑制できる。
【0021】
本発明の喫煙用カートリッジに使用する包装部材の材料としては、フィルター部材1と接触する側に配置されるシート状の包装部材6は、従来より使用されている麻やパルプ製のタバコ紙等を用いればよい。このような形成材料からなる包装部材6を、マイクロカプセル化した状態で精油成分を有するものとする方法としては、例えば、形成材料である麻やパルプ等にマイクロカプセルを担持させてマイクロカプセルを有してなるタバコ紙を用いる方法や、シート状の包装部材6の少なくともフィルター部材1に接する側の面に、マイクロカプセル化した精油成分を有する塗工膜2を設ける方法などが挙げられる。近年、マイクロカプセル技術の発展により、香料等を封入したマイクロカプセルの利用は広範になされており、本発明においても同様の技術が利用できる。香料を封入したマイクロカプセルによれば、熱や摩擦などでカプセルの膜が破裂することで少しずつ香料を放出させることができる。本発明で使用する精油成分をマイクロカプセル化した状態で有する包装部材は、喫煙用カートリッジの保管や搬送等の際に香りが失われることなく、喫煙に要する時間、香りが持続できればよい。作製に際しては、これらの点を満足するように設計すればよい。
【0022】
マイクロカプセルは、直径が数μmから数十μmであり、厚みは1μmに満たないものであり、破裂してバラバラになると破片は1μmより小さくなり、近年、その使用量の増大に伴い、空気中に浮遊する超微細な破片を吸い込むことによる健康への影響が懸念されている。このような懸念に対し、本発明の喫煙用カートリッジでは、先述したように、フィルター部材1の外周に設ける包装部材に、精油成分を有するマイクロカプセルを有する構成としているため、喫煙時に破裂してバラバラになったマイクロカプセルの破片は、包装部材内に留まるか、喫煙時の吸引で包装部材から移動したとしても、フィルター部材1内に留まることになる。このため、例えば、近年、柔軟剤等で広く用いられている香料のマイクロカプセルのように、空気中に超微細な破片が浮遊するような事態は生じない。
【0023】
図2に示したような、フィルター部材1と接触する面に配置されているシート状の包装部材6に、さらに積層して、フィルム状のシート部材3が、フィルター部材1が配置されている領域の外周の少なくとも一部を覆うように設けられた構成の喫煙用カートリッジでは、喫煙の際に口元側になるフィルター部材1の最外周に、フィルム状のシート部材3が配置される。すなわち、フィルム状のシート部材3は、口にくわえる部分になる。このような構成の場合は、シート部材3を、口にくわえた場合に口当たりがよく、安全性の点で問題のない材料で形成するとよい。
【0024】
上記におけるフィルム状のシート部材3の形成材料は、タバコ紙などからなるシート状の包装部材6と積層させた際の配置の違いや、シート状の包装部材6或いはフィルム状のシート部材3のいずれが、精油成分をマイクロカプセル化した状態で有するかによっても異なり、機能を発揮できるように、適宜に材料を選択して設計することが好ましい。フィルム状のシート部材3も、シート状の包装部材6と同様に、タバコ紙などの通気性を有する材料で形成してもよいし、先に述べたように、気体不透過性(ガスバリア性)の樹脂フィルムなどで形成してもよい。すなわち、喫煙時に、マイクロカプセルが破裂して内部の精油成分が放出された際に、香りなどが外部に出ることなく、フィルター部材1側に良好な状態に吸引されるように設計することが好ましい。
【0025】
マイクロカプセルに使用する精油成分としては、柑橘系、ハーブ系、フローラル系、樹脂系、エキゾチック系・オリエンタル系、スパイス系及び樹木系の芳香を有する成分からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組合せを用いることが好ましい。また、植物の、花、実、根、茎或いは葉に由来するものが好ましい。具体的には、例えば、ローズ油、イランイラン油、ゼラニウム油、ラベンダー油、カモミール油、オレガノ油、オレンジ油、レモン油、ベルガモット油、マンダリン油、グレープフルーツ油、ライム油、ペパーミント油、チアミン油、バジル油、フェンネル種子油、ブドウ種子油、ホホバ種子油、ヒマワリ種子油、カシュー油などの香油成分が挙げられる。これらの香油成分は、種々の香りを有し、これらの香りは、例えば、それぞれに、下記に挙げるような心身に効果的な作用を及ぼすことが知られている。ローズ油(ローズオイル)は、殺菌抗菌効果や、抗アレルギー効果、ストレスや不眠症にも有効で、昔からアンチエイジングの高貴薬として王侯貴族に使用されている。また、各種のナッツ油や、種から得られる食用油も有用であり、薬効や酸化防止効果があるものなどが種々知られている。サプリメントなどに用いられているものも多く、これらはいずれも使用可能である。例えば、カシューナッツから取れるカシュー油は、虫歯の予防に用いられている。
【0026】
本発明の喫煙用カートリッジは、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材が配置され、反対の他端側に加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材が配置されてなる。フィルター部材としては、従来の紙巻タバコに用いられていると同様のものをいずれも用いることができる。エアロゾル生成部材の形成材料には、例えば、特開2019-88195号公報等に記載されているような、多種多様な材料を利用できる。
【0027】
次に、本発明の喫煙用カートリッジの別の形態について説明する。該形態の喫煙用カートリッジは、図1及び図2に示したように、さらに、フィルター部材1の反対側の端部に設けられた上記したエアロゾル生成部材5よりも下流側に、乾燥させた植物の細片を含む充填物が充填されており、該充填物により、喫煙時に、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかの物質が吸引されるように構成されていることを特徴とする。
【0028】
上記において使用される植物としては、例えば、笹の葉、銀杏の葉、桜の葉、ノコギリヤシの葉、ステビアの葉、セージの葉、セリ、チコリ、ナスタチウム、ニゲラ、ハーツイーズ、フラックス、ホップ、ポリジ、マシュマロ、ヤロウ、レディースマントル、ルッコラ、エリキャンペーン、アロマティカス、カレープラント、サラダバーネット、サントリナ、ステビア、葉物野菜類、柑橘類、ワサビ、緑茶及び食用の海藻類からなる群から選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。本発明はこれらの植物に限定されず、喫煙時に、先に挙げた、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかの物質が吸引されるものであればよく、従来、その作用が知られていなかった植物なども効果的に利用できる可能性がある。
【0029】
本発明で使用する乾燥させた植物の細片は、薄片状や棒状や粉砕物や破砕物など、いずれの形状のものであってもよい。喫煙用カートリッジの全長にもよるが、その長径が数mmから25mm程度の植物の細片を使用するとよい。本発明を構成する「乾燥させた植物の細片を含む充填物」は、「乾燥させた植物の細片」を紙管に入れた構成の充填物であってもよい。
【0030】
以下、図3を参照して、エアロゾル生成部材5よりも下流側に、乾燥させた植物の細片を含む充填物4が充填されてなる構成の本発明の喫煙用カートリッジについて説明する。上記した構成の喫煙用カートリッジを、喫煙する際に、内部に加熱要素9が設けられている加熱式喫煙具(不図示)内に挿入すると、図3(a)及び(b)に示したように、一端に配置されたエアロゾル生成部材5が加熱要素9によって加熱されて、エアロゾルが生じる。喫煙者による喫煙は、この状態で、他端側に配置されているフィルター部材1の外周に巻き回された包装部材を口にくわえて吸引することで行われる。図3(b)~図3(d)中に矢印で示したように、喫煙者が吸引することで、エアロゾル生成部材5の加熱によって生じたエアロゾルは、エアロゾル生成部材5の下流側に配置された充填物4を構成する植物の細片の間を通りぬけてフィルター部材1に到達し、エアロゾルは喫煙者の口を介して吸引される。このため、植物の細片を含む充填物4は、喫煙者に、大きな抵抗感を与えることなく、円滑にエアロゾルを吸引することができるように、植物の細片同士が間隙を有した状態で充填されていることが好ましい。
【0031】
上記した構成の本発明の喫煙用カートリッジでは、加熱により発生したエアロゾルが、乾燥させた植物の細片を含む充填物4を構成する植物の細片の間を通り抜けて、口元側のフィルター部材に到達する。このため、図3(b)~図3(d)に示したように、喫煙時に、加熱によって生じ、フィルター部材1に向かって吸引される加熱されたエアロゾルは、移送中に、エアロゾル生成部材5の下流に配置された充填物4を構成する植物の細片を蒸すような状態になる。加熱されたエアロゾルで植物の細片が蒸されることで、移送されるエアロゾルには、植物の細片に由来する芳香や各種成分等が加味される。
【0032】
本発明の好ましい喫煙用カートリッジとして、上記構成に加えて、さらに、少なくとも、フィルター部材の外周に巻き回された状態で包装部材が配置されており、且つ、該包装部材は、少なくとも精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなる構成とした形態が挙げられる。精油成分を、マイクロカプセル化した状態で有してなる構成の包装部材としては、先に説明した種々の形態のものを適用することができる。このような構成とすることで、先に説明したようにして移送されてフィルター部材1に到達したエアロゾルには、さらに、フィルター部材1の外周に巻き回された包装部材が有するマイクロカプセルが破裂することで放出される精油成分によって、別の芳香や各種成分等がもたらされる。これらの結果、喫煙者が喫煙するエアロゾルは、絶妙に種々の芳香や成分等が付加されたものになる。
【0033】
本発明者の検討によれば、上記のように、本発明の好ましい形態の喫煙用カートリッジを構成している、充填物4を構成する植物の細片と、フィルター部材1の外周に配置させた包装部材が有するマイクロカプセル化した状態の精油成分との組合せは、多種多様であるので、材料の組合せを適宜なものにするだけで、バラエティーに富んだ喫味の実現が可能である。このため、喫煙時に本発明の好ましい形態の喫煙用カートリッジを用いることで、従来にない、多様な成分や芳香を吸引して喫味を楽しむことができる。また、その際に、心身に及ぼす影響を考慮して、所望の組合せを決定すれば、喫煙することで吸引する成分の違いによって、様々な心身への好ましい影響を得ることも可能になる。本発明の喫煙用カートリッジは、ニコチンやタールによる健康被害が懸念されているタバコ葉を用いるものではないので、基本的に、従来の紙巻タバコで問題となっている健康被害は、防止或いは抑制されている。
【0034】
ここで、先述したように、近年、多くの人が、例えば、「加齢・老化への不安」、「口臭への不安」、「不安定な精神状態」、「抜け毛への不安」、「ストレスによって生じる疾患」等々についての不安や悩みを抱えている。これに対し、本発明者は、加熱式タバコの喫煙によって、これらの不安や悩みを少なからず解消できる喫煙用カートリッジが提供できれば、極めて有用であるとの認識をもった。その中で、花由来や種子由来などの様々な精油成分は、その多くが食用に利用されており、芳しい香りをもつものも多く、また、近年では、種々の薬効等があることも知られている。本発明者の検討によれば、これらの精油成分は、本発明の目的の達成に効果的に利用できる。具体的には、本発明の好ましい形態の喫煙用カートリッジでは、まず、喫煙する際に口にくわえる部分となるフィルター部材の外周に巻き回された包装部材の構成を、先述したように、精油成分をマイクロカプセル化した状態で有するものにする。このように構成すれば、口にくわえた際の摩擦や、喫煙者の体温や、加熱されたエアロゾルの熱によってマイクロカプセルが破壊(破裂)して、封入されていた精油成分が放出され、加熱により生じたフィルター部材を介して吸引されるエアロゾルに、異なる喫味や、健康に寄与することも可能な成分を加味させることができる。
【0035】
本発明において、マイクロカプセル化した状態で効果的に利用することができる精油成分としては、先に挙げたものを適宜に使用できる。本発明に好適な精油成分としては、下記のものなどが挙げられ、それぞれ、下記の効能が得られるとされている。ローズオイルは、殺菌抗菌力があり、抗アレルギー効果や、ストレス解消や不眠症に対する効果などがあるとされている。また、食用菊に含まれる、植物由来の抗酸化物質のポリフェノールの一種であるクロロゲン酸やイソクロロゲン酸には、発ガン予防効果や悪玉コレステロールを抑制する効果があるとされている。ソメイヨシノから抽出したアロマオイルは、心や身体の痛みや緊張や不安を和らげ、リラックスを促す効果や、血行を促進し、冷えの緩和を促す効果があるとされている。ブルーベリーやカシスやブドウ等に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンは、目の機能の改善が期待できるとされている。柑橘類等に含まれるポリフェノールの一種であるルチンは、血流をよくし、脳卒中の予防などに役立つと言われている。亜麻の種から得られる亜麻仁油は、α-リノレン酸などが豊富に含まれており、炎症リスクを抑える作用があるとされ、花粉症などのアレルギー症状を緩和するとされている。また、亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸は、体内に入るとDHAとEPAに変換され、DHAは脳を活性化して集中力や処理能力、判断力を高める作用があると考えられている。本発明を構成する包装部材に含有させる精油成分は、上記に限定されず、マイクロカプセル化することが可能で、破裂したマイクロカプセルから放出された際に、フィルター部材に移送されてくる、加熱によって生じるエアロゾルに種々の成分や芳香を付与することができるものであれば、いずれのものも使用できる。
【0036】
先述したように、本発明の好ましい形態の喫煙用カートリッジでは、精油成分をマイクロカプセル化して包装部材に含有させるとともに、エアロゾル生成部材よりも下流側に、乾燥させた植物の細片を含む充填物が充填されている構成とする。このようにすれば、喫煙時、吸引されて、エアロゾル生成部材から加熱により生じたエアロゾルがフィルター部材に向けて移送される際に、充填物がエアロゾルによって蒸され、蒸されることで、充填物を構成している植物の細片に由来した、種々の成分や芳香成分がエアロゾルに付与される。この場合に使用する植物としては、先に例示したような、乾燥させた植物の細片が、エアロゾル生成部材側から移送されてくる加熱されたエアロゾルによって蒸されることで、エアロゾルに、種々の成分や芳香を付与することができるものであれば、いずれのものであってもよい。
【0037】
多くの植物の葉や実や茎など、海藻類やキノコ類などは、古来より、香味料や薬味やお茶、漢方薬などの材料とされることも多く、食用・飲用にされている。測定機器の発展もあり、近年、これらの植物等に包含されている成分の詳細が調査され、心身に与える影響についての科学的な検討もされるようになり、その有用性が注目されている。特に、各種植物を原料とし、乾燥させて作製される種々のお茶類は、本発明の好ましい形態を構成する充填物に含まれる「乾燥させた植物の細片」として有用である。該充填物は、エアロゾル生成部材5の下流に配置されるので、エアロゾル生成部材5を加熱することで生じるエアロゾルによって充填物に含まれるお茶類は蒸された状態になり、吸引(喫煙)することで、お茶類から生じる芳香や各種成分がエアロゾルに含まれる状態になってフィルター部材に移送される。この際、加熱されたエアロゾルは、充填物を構成する「乾燥させた植物の細片」の間を通る間に冷却されるので、この点でもメリットがある。
【0038】
例えば、クマザサは日本全国に自生し、古来より身近な万能薬として使用されている。クマザサは、ちまきや、笹もちや、笹ずしなど、携帯食を包むのに広く利用されており、防腐抗菌の効果が大きいことが実証されている。また、クマザサ茶や青汁等の健康食品としても親しまれており、血液浄化作用や、口臭・体臭の解消、防腐に利用されている。近年、クマザサエキスについて、疲労回復、食欲不振、口臭・体臭の除去、口内炎、等々に対する効果などもわかってきている。また、銀杏の葉には、ケルセチン、ケンフェロール、イソラムネチン、ルチンなどのフラボノイド類、ギンコライドA・B・C、ビロバライドなどのテルペノイド類及びプロアントシアニンなど、多くの有用成分が含まれており、イチョウ葉エキスとしてサプリメントも販売されている。その効能として、抗酸化作用、血液凝固抑制作用、末梢循環障害改善作用が挙げられており、記憶力の低下の改善、脳梗塞や動脈硬化の予防などがあるとされている。桜の葉は、桜餅に使用されており、より高い香り付けを実現している。また、桜の花は、古くから、桜茶として祝い事の際に飲用されている。桜茶の香りの主成分はクマリンであり、クマリンには、リラックス効果、抗酸化作用、抗菌作用、抗血液凝集作用の効能があるとされている。さらに、その他の含有成分に起因して、抗糖化作用、美肌効果、抗炎症作用があるとされている。
【0039】
ノコギリヤシは、近年、男性型脱毛症の先天的要因を抑制するハーブとして注目されている。ビワの葉から抽出したビワ葉エキスも育毛剤や育毛シャンプーに利用されている。ビワ葉エキスには、クエン酸やタンニン酸、サポニン、リンゴ酸、アミグダリンなどが含まれているとされている。その他、育毛効果があるとされている植物としては、ヒオウギの根、コガネバナ(黄金花)の根、タマサキツヅラフジ、センブリ、海藻類などがある。
【0040】
近時の高齢化社会にあっては、「加齢・老化への不安」は大きな問題であり、老化防止は万人が望むところである。これに対し、多くの植物が有する抗酸化物質への関心や、その利用への期待が高まっている。抗酸化物質とされている成分としては、ポリフェノール、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、アントシアニン、イソフラボンなどが挙げられる。抗酸化物質を多く含む植物としては、下記のものなどが挙げられており、いずれも食用とされている。ブロッコリー、ほうれん草、カボチャ、キャベツ、人参、玉ねぎ、トマト、パプリカ、紫イモ、トウモロコシ、小豆、大豆などの野菜類や、ひじきやワカメなどの海藻類、プルーン、ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、ブドウ、キュウイ、グレープフルーツなどの果物類などである。
【0041】
上記した本発明の好ましい構成の喫煙用カートリッジでは、従来のエアロゾル生成部材に加えて、口元側のフィルター部材の外周に巻き回された包装部材が有する「マイクロカプセル化した精油成分」と、エアロゾル生成部材の下流に配置された充填物が有する、加熱されたエアロゾルによって蒸される「植物の細片」との適宜な組合せによって、喫煙時に、喫煙者が好ましいと感じる芳香の実現に加えて、口臭解消物質、抗酸化作用物質、緊張緩和物質及び毛根への作用物質の少なくともいずれかを吸引することを可能にできる。このため、本発明の喫煙用カートリッジを用いて喫煙することによって、多くの人が少なからず抱えている、「加齢・老化への不安」、「口臭への不安」、「不安定な精神状態」、「抜け毛への不安」、「ストレスによって生じる疾患」等々についての不安や悩みに対して、解消或いは緩和されたとする感覚を得ることができる。何よりも、本発明の喫煙用カートリッジを用いて喫煙することで、ストレスの緩和の実現がされ、心身へよい影響を及ぼし、このことによって得られる精神の安定の効果は、極めて大きなものがある。
【実施例0042】
以下に、好ましい実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
各実施例の喫煙用カートリッジは、基本構成を、図1に記載した各部材を有してなるものとした。具体的には、喫煙の際に口元側となる一端側にフィルター部材1が配置され、他端側に、加熱によってエアロゾルが生じるエアロゾル生成部材5が配置され、前記フィルター部材1と、前記エアロゾル生成部材5との間に植物の細片を有する充填物4が配置され、これらの部材1、4及び5が、シート状の包装部材6で巻き回されて一体化されている。シート状の包装部材6は、フィルター部材1の外周に巻き回すためのものと、エアロゾル生成部材5とその下流に配置した充填物の外周に巻き回すためのものの2枚で構成した。また、包装部材6には、タバコ紙(シガレットペーパー)を用いた。そして、図2に示したように、フィルター部材1の外周に巻き回された包装部材6に重ねて、フィルター部材1を覆うようにフィルム状のシート部材3を巻き回した。そして、フィルム状のシート部材3のフィルター部材1側の面に、精油成分のマイクロカプセルを含む塗工膜2を形成した。フィルム状のシート部材3には、酸素と水を通しにくいシート材を用いた。具体的には、高いガスバリアー性を示すポリ塩化ビニリデン製のシート材を用いた。充填物4は、紙管に植物の細片充填したものを用いた。
【0043】
[実施例1]
本実施例では、フィルム状のシート部材3のフィルター部材1側の面に、塗工膜2を形成する際に、マイクロカプセル化した精油成分としてローズオイルを用いた。また、植物の細片4に、1~2mm程度のクマザサのチップを乾燥させたものを用い、乾燥させたチップを紙管に充填したものを充填物4とした。このようにして得た喫煙用カートリッジを用いて喫煙したところ、薔薇の花の香りがほのかにし、心地よい喫煙ができた。また、喫煙後、口臭が抑制されたように感じられ、口の中が爽やかになった。
【0044】
[実施例2]
本実施例では、フィルム状のシート部材3のフィルター部材1側の面に、塗工膜2を形成する際に、マイクロカプセル化した精油成分として食用菊の花のオイルを用いた。また、植物の細片4に1~2mm程度の乾燥した銀杏の葉のチップを用い、該チップを紙管に充填したものを充填物4とした。このようにして得た喫煙用カートリッジを用いて喫煙したところ、菊の花の香りがほのかにし、心地よい喫煙ができ、気分がすっきりした感じになった。
【0045】
[実施例3]
本実施例では、フィルム状のシート部材3のフィルター部材1側の面に、塗工膜2を形成する際に、マイクロカプセル化した精油成分として桜の花のエキスを用いた。また、植物の細片4に、1~2mm程度の乾燥した桜の葉のチップを用い、該チップを紙管に充填したものを充填物4とした。このようにして得た喫煙用カートリッジを用いて喫煙したところ、桜の香りがして、リラックスした心地のよい喫煙ができた。また、喫煙後、口臭が抑制されたように感じた。
【0046】
[実施例4]
本実施例では、フィルム状のシート部材3のフィルター部材1側の面に、塗工膜2を形成する際に、マイクロカプセル化した精油成分として亜麻仁油を用いた。また、植物の細片4に1~2mm程度の乾燥したノコギリヤシの葉のチップを用い、該チップを紙管に充填したものを充填物4とした。このようにして得た喫煙用カートリッジを用いて喫煙し、喫煙を続けた。その結果、抜け毛が少なくなったように感じられた。
【符号の説明】
【0047】
1:フィルター部材
2:精油成分を有するマイクロカプセルを含む塗工膜
3:フィルム状のシート部材
4:充填物
5:エアロゾル生成部材
6:包装部材
7:紙管
9:加熱要素(加熱ブレード)
10:喫煙用カートリッジ

図1
図2
図3