(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014254
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】袋体
(51)【国際特許分類】
B65D 33/01 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
B65D33/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116482
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】516340342
【氏名又は名称】株式会社W
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 徹
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA37
3E064BC18
3E064EA18
3E064FA06
3E064GA02
3E064HD01
3E064HE03
(57)【要約】
【課題】内部から気体の排出と外部からの水の浸入の防止を両立させることができる袋体を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、フィルム2によって構成されフィルムの対向する2つの端部2aが接合された封止部8を備えた袋体であって、封止部は、間隔をおいて互いに平行に延びる2本の帯状接合部10、12と、2本の帯状接合部の間に配置され帯状接合部に沿って延びる細長い長手方向非接合部14と、を備え、フィルムの2つ端部は、帯状接合部で互いに接合され、長手方向非接合部では接合されずフィルムの2つ端部間に配置された長手方向流路を構成し、帯状接合部は、それぞれが、帯状接合部を幅方向に横断して延び長手方向流路に連通する幅方向非接合部16、18を含み、長手方向非接合部において、一方のフィルムの長手方向非接合部の幅方向の長さが、他方のフィルムの長手方向非接合部の幅方向の長さより長い袋体が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムによって構成され前記フィルムの対向する2つの端部が接合された封止部を備えた袋体であって、
前記封止部は、間隔をおいて互いに平行に延びる2本の帯状接合部と、
前記2本の帯状接合部の間に配置され前記帯状接合部に沿って延びる細長い長手方向非接合部と、を備え、
前記フィルムの2つ端部は、前記帯状接合部で互いに接合され、前記長手方向非接合部では接合されず前記フィルムの2つ端部間に配置された長手方向流路を構成し、
前記帯状接合部は、それぞれが、該帯状接合部を幅方向に横断して延び前記長手方向流路に連通する幅方向非接合部を含み、
前記長手方向非接合部において、一方のフィルムの前記長手方向非接合部の幅方向の長さが、他方のフィルムの前記長手方向非接合部の幅方向の長さより長い、
ことを特徴とする袋体。
【請求項2】
前記接合部が超音波接合溶接部である、
請求項1記載の袋体。
【請求項3】
前記幅方向非接合部の少なくとも一つは、幅が2mm以上10mm以下で、長さと幅の比(長さを幅で割った値)が5以上50以下である、
請求項1または2記載の袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は袋体に関し、詳細には、有機肥料や穀物のように保管中に二酸化炭素等のガスを発生する内容物を、水分浸入を防止しながら収容・保管するための袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機肥料、穀物のような内容物を密閉状態で収容する袋体には、保管中に内容物から発生した二酸化炭素のようなガスによって袋体が膨張するため、これら袋体を積層して保管することが困難になる、あるいは袋体が破損してしまう等の問題がある。
【0003】
また、保存中に温度変化により袋体を膨らませてしまう内容物(例えば、化学肥料)を収容する袋体にも同様の問題があった
【0004】
このような問題に対処すべく、ガス抜きの小孔を形成した袋体が提案されている。しかしながら、このような袋体は、保管中や輸送中に雨に濡れた場合、この孔から水が浸入して内容物を劣化させるという問題があった。
【0005】
このため、水の侵入を防止し、かつ内部で発生した二酸化炭素等のガスを外部に排出できる袋体として、袋体の端部に2列のシール部が形成され、この2列シール部のそれぞれに非シール部分が設けられた袋体が知られている(特許文献1、2)
【0006】
また、袋体の端部に形成したシール部の一部を非接合部とする構成が知られている(特許文献3)。
【0007】
この袋体では、2枚のフィルムを接合している融着シール部の一部を非接合部とし、この非接合部を袋体内部と外部をつなぐ通気部としている。この方法では2枚のフィルムがくっついてしまって穴がつぶれてしまうことがないので、内部で発生した二酸化炭素を確実に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3966977号公報
【特許文献2】特許第4139466号公報
【特許文献3】特許第2968229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および2の袋体には、発生した二酸化炭素を排出することは可能である。しかしながら、これらの袋体は水に濡れると、毛細管現象で非シール部分に水が浸入してしまう。この結果、比較的短時間で袋体の外部と内部をつなぐ薄い水膜が形成され、非シール部分に触れている内容物が濡れてしまう。さらに、時間の経過と共に、水膜を通して内容物が水を吸収し、袋体内部に水が浸入してしまう。したがって、袋体が雨等で濡れたとき、水の浸入を十分に防止することができないという問題があった。
【0010】
また、特許文献3の袋体は、少量の水に対しては、水の浸入を防止することができるが、袋体が多量の水で濡れると端部の2枚のフィルムの間に比較的厚い(例えば1mmかそれ以上)水膜が形成されてしまう。このような状態になると、通気部を通して、袋体内部に水が浸入してしまう。
【0011】
このように従来の技術では、内部で発生した二酸化炭素等のガスの排出と、外部からの水の浸入の防止を両立させることができる袋体を提供することは難しかった。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、内部から気体の排出と外部からの水の浸入の防止を両立させることができる袋体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、
フィルムによって構成され前記フィルムの対向する2つの端部が接合された封止部を備えた袋体であって、
前記封止部は、間隔をおいて互いに平行に延びる2本の帯状接合部と、
前記2本の帯状接合部の間に配置され前記帯状接合部に沿って延びる細長い長手方向非接合部と、を備え、
前記フィルムの2つ端部は、前記帯状接合部で互いに接合され、前記長手方向非接合部では接合されず前記フィルムの2つ端部間に配置された長手方向流路を構成し、
前記帯状接合部は、それぞれが、該帯状接合部を幅方向に横断して延び前記長手方向流路に連通する幅方向非接合部を含み、
前記長手方向非接合部において、一方のフィルムの前記長手方向非接合部の幅方向の長さが、他方のフィルムの前記長手方向非接合部の幅方向の長さより長い、
ことを特徴とする袋体が提供される。
【0014】
このような構成を有する本発明では、一方のフィルムの前記長手方向非接合部の幅方向の長さが、他方のフィルムの前記長手方向非接合部の幅方向の長さより長いという構成よって、長手方向非接合部によって構成される長手方向流路の横断面形状が、「かまぼこ」型となる。
【0015】
本発明の袋体では、袋体に付着した水は、側端(外)側の幅方向非接合部(流路)に毛細管現象によって浸入し薄い水膜を形成する。しかしながら、幅方向非接合部(流路)の内方側に位置する長手方向非接合部は断面形状が「かまぼこ型」であるため、毛細管現象によって、長手方向非接合部に水が浸入することはない。更に、長手方向非接合部には水を吸収する内容物は存在しない。
このため、外部から側端(外)側の幅方向非接合部(流路)まで侵入した水は、長手方向非接合部を超えて内側幅方向流路に浸入することはない。この結果、袋体内には水が浸入せず、内容物が濡れるが防止される。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記接合部が超音波接合溶接部である。
【0017】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記幅方向非接合部の少なくとも一つは、幅が2mm以上10mm以下で、長さと幅の比(長さを幅で割った値)が5以上50以下である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内部から気体の排出と外部からの水の浸入の防止を両立させることができる袋体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好ましい実施形態の袋体1の模式的な平面図である。
【
図2】
図1の袋体に設けられている接合部を説明するための模式的な図面である。
【
図3】
図2にiii-iii線に沿った断面図である。
【
図6】本実施形態の製造方法の超音波溶着法に用いる溶着装置の構成を模式的に示す図面である。
【
図7】
図5の接合装置で使用されるアンビルの構成を示す模式的な斜視図である。
【
図9】
図1の袋体のもう一つの変形例を示す
図2と同様の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態の製造方法で製造される袋体1の構成を図面に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態の袋体1の模式的な平面図であり、
図2は、袋体1に設けられている接合部を説明するための模式的な図面である。本願では、図面中、明確化のため、各要素の寸法の比率は正確に表わされていない。
【0021】
本実施形態の袋体1は、例えば25キログラム程度の堆肥、牛糞等の肥料を収容して、運搬、保管等するために使用される袋体である。尚、本発明の袋体は、上記のような肥料の保管に、化学肥料、セメント等の他の物質を収容するために使用することも可能である。袋体1は、大きさにも、特に制限はないが、例えば、縦が30cm~80cm程度、横が20cm~60cm程度のものが好ましい。
【0022】
本実施形態の袋体1は、1枚の矩形のフィルム2のシートを幅方向中央で横方向に折り返して、上端部にトップシール4を、下端部にボトムシール6を、折り返したシートの端部が重なりあった側端部にサイドシール(封止部)8を、それぞれ設けることによって形成されている。袋体の1の内部は、上記シールによって略密閉された空間とされている。
【0023】
トップシール4とボトムシール6は、袋体1の内部空間を機密状態に保てるように、全長に亘って全面が完全に接合された構造になっている。
【0024】
本実施形態の袋体1でフィルム2として使用されるフィルムとしては、特に制限はなく、公知のものを使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル、およびこれら共重合体を主成分とするフィルムが好ましい。なお、「主成分とする」という意味はフィルムを構成するポリマーの50質量%以上が、該ポリマーであることを意味する。
【0025】
また、フィルム2は、異なる素材からなる複数枚のフィルムが積層された積層フィルムでもよい。さらに接合が可能な紙も用いることができる。紙の場合には、耐水性を高めるため疎水性のポリマーがコートあるいは積層されたものが好ましい。
【0026】
フィルム2の厚みは、40μm以上300μm以下、より好ましくは45μm以上180μm以下、更に好ましくは50μm以上160μm以下であることが好ましい。フィルムの厚みが40μm未満の場合、袋体の強度が不充分になる場合があり、300μmを超えると製造効率の点で不利になる場合があるためである。
【0027】
本実施形態の袋体1で使用されるフィルム2は、透明であっても不透明であってもよい。内容物が日光によって劣化する場合は不透明な包装フィルムを用いることが好ましい。また、意匠性を高めるために表面に印刷を施したフィルムでもよい。
【0028】
次に、サイドシール(封止部)8について説明する。
上述したように、本実施形態の袋体1では、折り返えされたシート(フィルム2)の端部が重なりあった側端部にサイドシール(封止部)8を、それぞれ設けることによって形成されている。詳細には、サイドシール8では、折り返されて対向しているフィルム2の側端部2aが接合されている。
【0029】
本実施形態の袋体1のサイドシール(接合部)8は、間隔をおいて互いに平行に延びる2本の帯状接合部である外側帯状接合部10と内側帯状接合部12とを備えている。本実施形態の袋体1では、外側帯状接合部10と内側帯状接合部12において、重ね合わされ対向しているフィルム2の端部2aが超音波接合されている。
【0030】
また、2本の帯状接合部(外側帯状接合部10と内側帯状接合部12)の間には、帯状接合部10、12に沿って延びる細長い長手方向非接合部14が配置されている。
【0031】
外側帯状接合部10と内側帯状接合部12のうち、フィルム2の側端に近い外側帯状接合部10は、フィルム2の側端から所定距離だけ内方に離れた位置に配置されている。
【0032】
外側帯状接合部10と内側帯状接合部12の幅(
図1および
図2における横方向長さ)は、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上8mm以下がより好ましい。帯状接合部10、12の幅が1mm未満になると接合強度が不充分になる場合があり、10mmを超えるとサイドシール8の幅が大きくなりすぎるためである。2本の帯状接合部10、12の幅は、同じであっても互いに異なっていてもよい。
【0033】
しかし、内側帯状接合部12の幅を、外側帯状接合部10の幅より大きくすることが好ましい。このような形状とすることで、通気路の全体の長さ(内側幅方向流路と外側幅方向流路の長さの和)を大きくして外部からの酸素の流入を抑制できる。さらに外側幅方向流路の長さが比較的小さくなるので、袋体が濡れて外側幅方向流路が水膜で閉塞されても、袋体内部で発生した二酸化炭素を排出しやすくなる。
【0034】
上述したように、2つの帯状接合部である外側帯状接合部10と内側帯状接合部12の間の領域は、帯状接合部10、12に沿って延びる細長い長手方向非接合部14とされている。この長手方向非接合部14では、対向して配置されているフィルム2は、接合されず、長手方向非接合部14は、フィルム2の2つ端部2a間に配置され内部を流体が流れることができる長手方向流路とされている。
【0035】
図3は
図2にiii-iii線に沿った断面図であり、
図4は
図2にiv-iv線に沿った断面図であり、
図5は
図2にv-v線に沿った断面図である。
【0036】
外側帯状接合部10は、外側帯状接合部10を外側帯状接合部10の長手方向軸線に直交する方向(幅方向)に横断して、一定の幅で延びる外側幅方向非接合部16を含んでいる。外側幅方向非接合部16では、対向して配置されたフィルム2の端部2aが接合されておらず、長手方向流路を構成する長手方向非接合部14と袋体1の外部空間とを流体連通させる外側幅方向流路が形成されている。
【0037】
また、内側帯状接合部12は、内側帯状接合部12を内側帯状接合部12の長手方向軸線に直交する方向(幅方向)に横断して、一定の幅で延びる内側幅方向非接合部18を含んでいる。内側幅方向非接合部18では、対向して配置されたフィルム2の端部2aが接合されておらず、長手方向流路を構成する長手方向非接合部14と袋体1の内部空間とを流体連通させる内側幅方向流路が形成されている。
【0038】
外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18の数は、1以上20以下が好ましく、2個以上10個以下がより好ましい。外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18の数が20を超えると水の浸入を充分に防げないことがあるためである。
【0039】
また、外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18の幅(帯状接合部の長手方向に沿った長さ)は、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。幅が1mm未満の場合には、袋体1の内部で発生した二酸化炭素を充分排出できない場合があり、10mmを超えると水の浸入を充分に防げないことがある。
【0040】
外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18の長さは3mm以上30mm以下が好ましく、5mm以上20mm以下がより好ましい。長さが3mm未満のであると水の浸入を十分に充分に防止できず、一方、30mmを超えると内部で発生する二酸化炭素を充分排出できない場合があるためである。
【0041】
また、外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18の少なくとも一方において、幅が2mm以上10mm以下、長さと幅の比(長さを幅で割った値)が5以上50以下であることが好ましく、この比が10以上30以下とすることはより好ましい。このような幅と比の組み合わせによって、外部からの酸素の浸入を効果的に防止して、内容物の劣化を防止することができる。
【0042】
上述のように、長手方向非接合部14でも、対向して配置されたフィルム2の端部2aが接合されておらず、長手方向流路が構成されている。この長手方向非接合部14では、長手方向非接合部14の外縁を画定する一方のフィルム2の長手方向非接合部14の幅方向の長さが、他方のフィルム2の長手方向非接合部14の幅方向の長さより長くなるように設定されている。この結果、長手方向非接合部14では、長手方向非接合部14によって外縁が画定される長手方向流路の横断面(流れ方向に直交する方向の断面)の形状が「カマボコ状」とされている(
図3ないし
図5)。
【0043】
長手方向非接合部14の幅(長手方向に直交する方向の長さ)は2mm以上15mm以下が好ましく、5mm以上10mm以下がより好ましい、長手方向非接合部14の幅は2mm未満になると外部からの水の浸入を充分に防げないことがあり、15mmを超えるとカマボコ状の空間を保持できなくなる場合がある。
【0044】
長手方向非接合部14の高さ(フィルムの厚さ方向の長さ)は、2mm以上10mm以下が好ましく、3mm以上8mm以下がより好ましい。この高さが2mm未満の場合水分の浸入を完全に防げない場合があり、逆に10mmを超えると内容物が漏れ出したり、カマボコ状の形状を維持できない場合があるためである。
【0045】
本実施形態の袋体のトップシール4、ボトムシール6を形成する方法は、特に制限はなく、例えば、ヒートシールや超音波接合などの方法が用いられる。また、サイドシール(封止部)8についても同様であり、超音波接合以外の方法、例えばヒートシール等で形成されてもよい。
【0046】
次に、本発明の実施態様の袋体1の製造方法について説明する。この製造方法では、長方形状のフィルムの2つの側端部が部分的に超音波溶着法で接合され、袋体1が形成される。
【0047】
まず、この製造方法の超音波溶着法に用いる溶着装置の構成について説明する。
図6は、本実施形態の製造方法の超音波溶着法に用いる溶着装置(超音波接合機)100の構成を模式的に示す図面である。
【0048】
図6に示されているように、超音波接合機100は、50Hzまたは60Hzの商用電気を15~70KHz程度の高周波信号に変換する超音波発振機102と、この信号を機械的振動に変換するコンバータ104と、この機械的振動を増幅するブースター106と、増幅された振動を溶着対象に伝える円板型ホーン108、ホーン108との間でフィルムの2つの端部2a、2aを挟持する円板型アンビル110を備えている。
【0049】
超音波接合機100では、ホーン108とアンビル110は、いずれも円板状であり、フィルムの端部を挟持しながら回転し、袋体1の接合部を連続的に形成する。アンビル110の円周面の一部に、外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18に対応する溝部が設けられている。
【0050】
図7は、超音波接合機100で使用されるアンビル110の構成を示す模式的な斜視図である。アンビル110は、円板状で平滑な外周面110aを有している。外周面110aには、袋体の接合部8の外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18と相補的な溝部110bが形成されている。1本の外側帯状接合部10または内側帯状接合部12に、2以上の外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18が設けられている袋体を製造する際には、2以上の溝部110bが形成されたアンビルが使用される。また、アンビル110の側面には軽量化のための孔(図示せず)を形成してもよい。
【0051】
超音波接合機100では、ホーン108とアンビル110の直径は、50mmないし150mm程度である、外周面の幅は5mmないし15mm程度である。ホーン108、アンビル110の素材については公知のものが使用できるが、特にステンレスやチタン合金が好ましい。
【0052】
ホーン108とアンビル110は、図示しない駆動装置により回転駆動される。駆動速度すなわちフィルムの送り速度には特に制約はないが、5mm/秒以上50mm/秒程度が好ましい。また、フィルムの端部を挟持する際、ホーン108とアンビル110の間には図示しない加圧装置により20Nから500N程度の圧力がかけられる。
【0053】
袋体の製造において、接合部8を形成する工程では、重ね合わされたフィルム2の側端部をホーン108とアンビル110の間に挟持し、ホーンとアンビルを回転駆動させながらホーンからの超音波で、接合部が形成される。この作業を2回、行うことにより、平行に配置された2本の帯状接合部10、12が形成される。
【0054】
なお、並列配置されたホーンとアンビルを有している接合装置を用いて、一回の溶接作業で、平行に配置された2本の帯状接合部10、12を有している接合部8を形成してもよい。
【0055】
また上記の超音波接合機100では、アンビル110の外周面110aに溝110bが形成されていたが、ホーン108の外周面に外側幅方向非接合部16または内側幅方向非接合部18に対応する溝を設けた接合装置を使用してもよい。
【0056】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0057】
上記実施形態の袋体1では、外側幅方向非接合部16および内側幅方向非接合部18が帯状接合部の長手方向軸線に直交して直線状に延びる構成であったが、
図8、
図9に示すように、帯状接合部の長手方向に対して傾斜して延びる幅方向非接合部20、あるいは、S字に曲線状に延びる幅方向非接合部22でもよい。
【0058】
さらに、上記袋体1では、2本の帯状接合部を備えた接合部がサイドシール部に設けられていたが、このような接合部を他のシール部(トップシール部、センターシール部、ボトムシール部)に設けた構成でもよい。
【実施例0059】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0060】
(実施例1)
幅(袋体にした時の幅)40m長さ70cmで厚さ150μmの円筒状の白色ポリエチレンフィルムの上端(トップシール部)に本発明の接合部を形成した。
・外側帯状接合部の幅10mm (フィルムの端から約5mmの位置)
・内側帯状接合部の幅5mm
・長手方向非接合部の幅5mm
下側のフィルムより上側のフィルムの長さを2mm長くすることでカマボコ型の形状を形成
・外側幅方向非接合部(外側帯状接合部に形成)は
図2の直線型の形状で幅2mm、長さ10mm、数1個
・内側幅方向非接合部(内側帯状接合部に形成) は
図2の直線型の形状で幅2mm、長さ5mm、数1個
接合部は
図7のアンビルを有する
図6の超音波接合機を用いて超音波接合することで形成した。
【0061】
以上のように形成した袋体に堆肥25Kgを入れて、ヒートシールによりボトムシール部を形成した。ボトムシール部は全面を接合した。
この袋体を屋外で1か月間保存した。具体的には高さ30cmの水平な台の上に置き、雨除けはつけなかった。1か月間に約5日の雨天の日があった。
1か月後に観察したところ、袋体のふくらみはなかった。また、外側幅方向非接合部までは水が浸入していたが、堆肥は全く濡れていなかった。
【0062】
(実施例2)
接合部の形状を下記のように変更した以外は実施例1と同様に実施例2を実施した。
・外側帯状接合部の幅10mm (フィルムの端から約5mmの位置)
・内側帯状接合部の幅10mm
・長手方向非接合部の幅4mm
下側のフィルムより上側のフィルムの長さを2mm長くすることでカマボコ型の形状を形成
・外側幅方向非接合部(外側帯状接合部に形成)は
図2の直線型の形状で幅5mm、長さ10mm、数5個
・内側幅方向非接合部(内側帯状接合部に形成) は
図2の直線型の形状で幅5mm、長さ10mm、数5個
1か月後に観察したところ、袋体のふくらみはなかった。また、外側幅方向非接合部までは水が浸入していたが、堆肥は全く濡れていなかった。
【0063】
(実施例3)
接合部の形状を下記のように変更した以外は実施例1と同様に実施例2を実施した。
・外側帯状接合部の幅5mm (フィルムの端から約5mmの位置)
・内側帯状接合部の幅5mm
・長手方向非接合部の幅8mm
下側のフィルムより上側のフィルムの長さを3mm長くすることでカマボコ型の形状を形成
・外側幅方向非接合部(外側帯状接合部に形成)は
図4の直線型の形状で幅2mm、長さ10mm、数10個
・内側幅方向非接合部(内側帯状接合部に形成) は
図4の直線型の形状で幅2mm、長さ10mm、数10個
1か月後に観察したところ、袋体の膨らみはなかった。また、外側幅方向非接合部までは水が浸入していたが、堆肥は全く濡れていなかった。
【0064】
(比較例1)
長手方向非接合部をカマボコ型の形状に形成しなかった(上下2枚のフィルムの長さがともに5mm)点以外は実施例1と同様に比較例1を実施した。
1か月後に観察したところ、袋体のふくらみはなかったが、内側幅方向非接合部の部分の堆肥が濡れて固化していた。
【0065】
(比較例2)
トップシール部をヒートシールにより全面を接合する形状とした以外は実施例1と同様に比較例2を実施した。
1か月後に観察したところ、堆肥の濡れは無かった。しかし袋体が膨らんでいて、袋体同士を重ねておくことが難しい形状であった。
【0066】
(実施例4)
接合部の形状を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして実施例4の袋体を作成した。
・外側帯状接合部の幅5mm (フィルムの端から約5mmの位置)
・内側帯状接合部の幅5mm
・長手方向非接合部の幅5mm
下側のフィルムより上側のフィルムの長さを2mm長くすることでカマボコ型の形状を形成
・外側幅方向非接合部(外側帯状接合部に形成)は
図5の曲線型の形状で幅2mm、長さ10mm、数5個
・内側幅方向非接合部(内側帯状接合部に形成) は
図5の曲線型の形状で幅2mm、長さ10mm、数5個
以上のように形成した袋体に顆粒状の化学肥料20Kgを入れて、ヒートシールによりボトムシール部を形成した。ボトムシール部は全面を接合した。
この袋体を屋外で1か月間保存した。具体的には高さ30cmの水平な台の上に置き、雨除けはつけなかった。1か月間に約5日の雨天の日があった。
1か月後に観察したところ、外側幅方向非接合部までは水が浸入していたが、顆粒状の化学肥料は全く濡れていなかった。その後、この袋体を40℃の恒温槽に入れたところ、袋体が膨らむことはなかった。
【0067】
(比較例3)
長手方向非接合部をカマボコ型形状に形成しなかった(上下2枚のフィルムの長さがともに5mm)点以外は実施例4と同様にして比較例3を実施した。
1か月後に観察したところ、袋体のふくらみはなかったが、内側幅方向非接合部の部分の顆粒状の化学肥料が濡れて固化していた。
【0068】
(比較例4)
トップシール部をヒートシールにより全面を接合する形状とした点以外は実施例4と同様にして比較例4を実施した。
1か月後に観察したところ、顆粒状の化学肥料の濡れは無かった。しかし、その後この袋体を40℃の恒温槽に入れたところ、袋体が膨らんでいて、袋体同士を重ねておくことが難しい形状であった。
【0069】
(実施例5)
接合部の形状を下記のように変更した点以外は実施例1と同様に実施例4の袋体を作成した。
・外側帯状接合部の幅5mm (フィルムの端から約5mmの位置)
・内側帯状接合部の幅10mm
・長手方向非接合部の幅5mm
下側のフィルムより上側のフィルムの長さを2mm長くすることでカマボコ型の形状を形成
・外側幅方向非接合部(外側帯状接合部に形成)は
図5の曲線型の形状で幅2mm、長さ10mm、数2個
・内側幅方向非接合部(内側帯状接合部に形成) は
図5の曲線型の形状で幅2mm、長さ30mm(長さと幅の比(長さを幅で割った値)は15)、数2個
以上のように形成した袋体に玄米20Kgを入れて、ヒートシールによりボトムシール部を形成した。ボトムシール部は全面を接合した。
この袋体を屋外で1か月間保存した。具体的には高さ30cmの水平な台の上に置き、雨除けはつけなかった。1か月間に約5日の雨天の日があった。
1か月後に観察したところ、袋体の膨らみはなかった。また、外側幅方向非接合部までは水が浸入していたが、玄米は全く濡れていなかった。
【0070】
(比較例5)
長手方向非接合部の部分にカマボコ型の形状を形成しなかった(上下2枚のフィルムの長さがともに5mm)点以外は実施例4と同様にして比較例5を実施した。
1か月後に観察したところ、袋体のふくらみはなかったが、内側幅方向非接合部の部分の玄米が濡れていた。
【0071】
(比較例6)
トップシール部をヒートシールにより全面を接合する形状とした以外は実施例4と同様にして比較例6を実施した。
か月後に観察したところ、玄米の濡れは無かった。しかし袋体が膨らんでいて、袋体同士を重ねておくことが難しい形状であった。