(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142564
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体パッケージ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220922BHJP
H05K 3/34 20060101ALN20220922BHJP
【FI】
H01L23/12 501W
H01L23/12 501B
H01L23/12 N
H05K3/34 501E
H05K3/34 512C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042776
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖嶋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】赤間 圭一
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA08
5E319AC02
5E319AC16
5E319BB04
5E319BB08
5E319CC22
5E319GG11
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】動作の信頼性を向上させ、かつ、長寿命化を図ることができる、半導体パッケージ及び半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体パッケージは、ボンディングパッド14が形成された第1面12aと、第1面12aに対して反対側にある第2面12bと、第1面12aと第2面12bとの間に形成された配線層120と、配線層120から第1面12aまでを貫通する金属プラグ122aと、配線層120から第2面12bまでを貫通する金属プラグ122bとを有する配線基板12を有する。また、配線基板12の第1面12aの上方に設けられ、ボンディングパッド14と電気的に接続されたパッド101を有する半導体チップ10と、配線基板12の第2面12bの下方に設けられた半田ボール3a、3bとも含む。ボンディングパッド14は、半田ボール3aと半田ボール3bとに電気的に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングパッドが形成された第1面と、前記第1面に対して反対側にある第2面と、前記第1面と前記第2面との間に形成された配線層と、前記配線層から前記第1面までを貫通する第1導電性プラグと、前記配線層から前記第2面までを貫通する第2導電性プラグとを有する配線基板と、
前記配線基板の前記第1面の上方に設けられ、前記ボンディングパッドと電気的に接続されたパッドを有する半導体チップと、
前記配線基板の前記第2面の下方に設けられた第1及び第2半田ボールと
を含み、
前記ボンディングパッドは、前記第1半田ボールと前記第2半田ボールとに電気的に接続されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記第1半田ボールは前記第2半田ボールよりも熱疲労に対する耐性が高く、前記第2半田ボールは前記第1半田ボールよりも落下衝撃に対する耐性が高い、請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記配線基板は、前記配線層から前記第2面までを貫通する第3導電性プラグをさらに有し、
前記第2及び第3導電性プラグは、前記配線層と電気的に接続され、
前記第2導電性プラグは、前記第1半田ボールと電気的に接続され、
前記第3導電性プラグは、前記第2半田ボールと電気的に接続される、請求項1又は請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記第1半田ボールと前記第2半田ボールの材料組成は等しく、前記第2面から前記第1面に向かう第1方向において、前記第1半田ボールの高さは前記第2半田ボールの高さよりも大きい、請求項3に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記第3導電性プラグと前記第2半田ボールとの間に設けられた第4導電性プラグをさらに有し、
前記第1方向における前記第4導電性プラグの高さと前記第2半田ボールの高さの和は、前記第1半田ボールの高さに等しい、請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第1半田ボールと前記第2半田ボールの材料組成が異なる、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記第1及び第2半田ボールは銀を含む合金で構成され、前記第2半田ボールは前記第1半田ボールよりも銀の含有比率が低い、請求項6に記載の半導体パッケージ。
【請求項8】
前記第1及び第2半田ボールは銅を含む合金で構成され、前記第1半田ボールは前記第2半田ボールよりも銅の含有比率が高い、請求項6に記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
前記第1半田ボールは、ビスマスを含む合金で構成される、請求項6に記載の半導体パッケージ。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1つに記載の半導体パッケージと、
複数の端子が設けられたプリント配線板と、を備え、
前記複数の端子のうちの一つに前記第1及び第2半田ボールが電気的に接続される、半導体装置。
【請求項11】
請求項6~9のいずれか1つに記載の半導体パッケージと、
第1及び第2端子が設けられたプリント配線板と、を備え、
前記第1端子に前記第1半田ボールが電気的に接続され、前記第2端子に前記第2半田ボールが電気的に接続される、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体パッケージ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に半導体チップを搭載した半導体パッケージを、BGA(Ball Grid Array)によってプリント配線板と電気的に接続した半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-242783号公報
【特許文献2】米国特許第8896133号明細書
【特許文献3】米国特許第8012797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、動作の信頼性を向上させ、かつ、長寿命化を図ることができる、半導体パッケージ及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の半導体パッケージは、ボンディングパッドが形成された第1面と、前記第1面に対して反対側にある第2面と、前記第1面と前記第2面との間に形成された配線層と、前記配線層から前記第1面までを貫通する第1導電性プラグと、前記配線層から前記第2面までを貫通する第2導電性プラグとを有する配線基板を有する。また、前記配線基板の前記第1面の上方に設けられ、前記ボンディングパッドと電気的に接続されたパッドを有する半導体チップも有する。更に、前記配線基板の前記第2面の下方に設けられた第1及び第2半田ボールも有する。前記ボンディングパッドは、前記第1半田ボールと前記第2半田ボールとに電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図。
【
図3】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図。
【
図5】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置100の構造を示す断面図である。また、
図2Aは、
図1に示す半導体パッケージの上面図である。さらに、
図2Bは、
図1に示す半導体パッケージの下面図である。以下の説明では、直交座標系の一例であるxyz座標系を用いる。すなわち、半導体装置100を構成する配線基板12の表面と平行な平面をxy平面とし、xy平面と直交する方向をz軸とする。また、x軸とy軸は、xy平面内における直交する2方向とする。なお、以下においては、説明の便宜上、z軸正方向側(配線基板12の第1面12a側)を上側、z軸負方向側(配線基板12の第2面12b側)を下側とする上下関係を用いて説明するが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0008】
図1には、半導体装置100をxz平面に沿って切断した断面(以下、xz断面と示す)の構造を示す。
図1に示す半導体装置100は、半導体パッケージ1と、プリント配線板2とを備えている。半導体パッケージ1は、外部端子3と、半導体チップ10と、フィルム状接着剤11と、配線基板12と、封止樹脂13と、ボンディングパッド14と、導電性部材15と、凸状部材121とを備えている。
【0009】
配線基板12は、配線層120と、金属プラグ122aと、金属プラグ122bとを備えている。配線基板12は、例えば表面や内部に多層の配線層120が設けられた絶縁樹脂配線基板やセラミックス配線基板などである。具体的には、例えば、ガラス―エポキシ樹脂を使用したプリント配線基板等が用いられる。なお、
図1には、配線層120の一部を示している。一般的に、配線基板12の表面は、配線の保護としてソルダーレジストで覆われている。配線基板12は、第1面12aと第2面12bとを備える。
【0010】
配線基板12の第1面12a上には、ボンディングパッド14が形成されている。配線基板12の第1面12a側に塗布されているソルダーレジストに、第1面12aから配線層120までを貫通するビアが設けられている。ビアの内部には導電性金属が充填されており、第1導電性プラグとしての金属プラグ122aが形成されている。この金属プラグ122aを介して、ボンディングパット14と配線層120とが電気的に接続されている。
【0011】
配線基板12の第1面12aには、半導体チップ10が設けられる。半導体チップ10は、例えばNANDフラッシュメモリのような半導体チップがあげられるが、これに限定されない。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの記憶素子や、マイクロプロセッサなどの演算素子、あるいは信号処理素子など、任意の半導体チップを用いることができる。半導体チップ10は、裏面の全体にフィルム状接着剤11が貼り付けられている。
【0012】
フィルム状接着剤11は、熱硬化樹脂(例えばエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、または、これらを混合した樹脂)を用いた接着剤である。フィルム状接着剤11は、例えば、DAF(Die Attach Film)や、導電性ワイヤの埋め込みが可能なFOW(Film On Wire)などが用いられる。半導体チップ10は、フィルム状接着剤11を介して配線基板12と固着されている。
図2Aに示すように、半導体チップ10の表面にはパッド101が形成されている。パッド101とボンディングパッド14とは、導電性ワイヤなどの導電性部材15を用いて電気的に接続される。パッド101とボンディングパッド14とは、一対一で接続される。例えば、パッド101aはボンディングパッド14aと接続され、パッド101bはボンディングパッド14bと接続され、パッド101cはボンディングパッド14cと接続される。半導体チップ10の外周は、配線基板12の上面側に設けられた封止樹脂13によって封止されている。
【0013】
配線基板12の第2面12bには、BGAパッケージ用の外部端子3が設けられている。外部端子3は、半田ボール等の突起状端子である。以下の説明では、外部端子3を半田ボール3と称する。半田ボール3は、配線基板12の配線層120に電気的に接続されている。具体的には、配線基板12の第2面12bを覆っているソルダーレジストに、第2面12bから配線層120までを貫通するビアが設けられている。ビアの内部には導電性金属が充填されており、第2導電性プラグとしての金属プラグ122bが形成されている。この金属プラグ122bを介して、半田ボール3と配線層120とが電気的に接続されている。金属プラグ122bは、ランド122bとも称され得る。第1実施形態の半導体装置100は、2種類の半田ボール3a、3bが用いられる。第1実施形態の説明において、半田ボール3の表記は、半田ボール3aと半田ボール3bの両方を示すものとする。半田ボール3a、3bについては、後に詳述する。
【0014】
プリント配線板2は、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料からなる実装基板23の上面に、回路パターンが設けられた配線層24が形成されている。配線層24は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)などの導電性金属を用いて形成される。配線層24の表面には、ソルダーレジストからなる回路保護層20が形成されている。回路保護層20には、配線層24と半導体パッケージ1に設けられた半田ボール3とを電気的に接続するために、回路保護層20を貫通するビアが設けられており、ビアの内部には導電性金属を用いた実装基板端子21が形成されている。実装基板端子21の上面側には、半田ボール3と実装基板端子21とを接続するために、半田ペースト22が塗布(プリント)されている。
【0015】
次に、半田ボール3a、3bについて説明する。半田ボール3bと半田ボール3aとは、z方向の長さを除き同様の構成を有する。以降の説明では、半田ボール3のz方向の長さを、高さと称する場合もある。すなわち、半田ボール3bを構成する材料の組成は、半田ボール3aを構成する材料の組成と等しい。例えば、半田ボール3a、3bは、Sn-Ag-Cu系(SAC系)の合金で構成される。合金成分は、例えば、JEIDA(Japan Electronic Industry Development Association)の推奨成分であるSn-3.0Ag-0.5Cu(wt%)である。
【0016】
ただし、半田ボール3bのz方向の長さは、半田ボール3aのz方向の長さよりも短く形成されている。半田ボール3bは、凸状部材121を介して、配線基板12の金属プラグ122bに接続されている。凸状部材121は、例えば円柱形状を有する。凸状部材121は、基台部材123と、金属プラグ124とから構成される。基台部材123は、円柱状の絶縁樹脂にz方向に貫通する貫通孔が形成されたドーナツ状の部材である。金属プラグ124は、基台部材123の内部に充填された導電性金属である。すなわち、半田ボール3bは、金属プラグ124を介して、配線基板12の金属プラグ122bに接続されている。なお、凸状部材121のz方向の長さと半田ボール3bのz方向の長さとを足した値が、半田ボール3aのz方向の長さと同じ程度になるように、凸状部材121のz方向の長さが設定されている。
【0017】
図2Bに示すように、配線基板12の第2面12bには、複数のプラググループPGが配置されている。プラググループPGは、1つ以上の金属プラグ122bと、1つ以上の金属プラグ124とから構成される。金属プラグ122bには半田ボール3aが接続される。金属プラグ124には半田ボール3bが接続される。1つのプラググループPGは、1つのボンディングパッド14と電気的に接続される。例えば、
図2Aに示すボンディングパッド14aは、
図2Bに示すプラググループPG1と電気的に接続される。すなわち、パッド101からボンディングパッド14を介して出力される信号は、該ボンディングパッド14と電気的に接続されるプラググループPGに含まれる複数の金属プラグ122b及び124に伝達される。例えば、パッド101aからボンディングパッド14aを介して出力される信号は、プラググループPG1に含まれる金属プラグ122b_11と、金属プラグ124_12に伝達される。すなわち、1つのパッド101は、1つ以上の半田ボール3aと1つ以上の半田ボール3bと電気的に接続される。
【0018】
BGAを用いた半導体装置100は、リードフレームを介して半導体パッケージ1とプリント配線板2とを接続するQFP(Quad Flat Package)に比べ、接続端子の高密度化や半導体装置100自身の小型化に適している。故に、BGAを用いた半導体装置100は、モバイルデジタル機器に積極的に用いられている。モバイルデジタル機器は、機器のオンオフによる熱サイクル疲労に対する耐性(以下、熱疲労に対する耐性と示す)が要求されるだけでなく、使用時の不注意による落下の危険性に対する耐性(以下、落下衝撃に対する耐性と示す)も要求される。
【0019】
一般的に、半田ボール3の高さが高いほど、半田ボール3自体のバネ効果が高くなり、ストレスを吸収するため、熱疲労に対する耐性は高い。一方で、半田ボール3の高さが高いほど、半田ボール3と金属プラグ122bとの接合部に応力が集中しやすいため、落下衝撃に対する耐性は低い。即ち、半田ボール3の高さが高いほど、熱疲労に対する耐性は高いが落下衝撃に対する耐性は低い。また、半田ボール3の高さが低いほど、落下衝撃に対する耐性は高いが熱疲労に対する耐性は低い。熱疲労に対する耐性は、例えば、温度サイクル試験によって測定され得る。落下衝撃に対する耐性は、例えば、衝撃試験によって測定され得る。
【0020】
第1実施形態の半導体装置100は、高さが異なる2種類の半田ボール3a、3bを有する。そして、1つのボンディングパッド14が、1つ以上の半田ボール3aと、1つ以上の半田ボール3bに接続されている。すなわち、1つのボンディングパッド14が、熱疲労に対する耐性が高い半田ボール3aと、落下衝撃に対する耐性が高い半田ボール3bとに接続されている。このような構成により、熱疲労により半田ボール3bが破損した場合には半田ボール3aを介してプリント配線板2と信号の送受信を行うことができ、落下衝撃により半田ボール3aが破損した場合には半田ボール3bを介してプリント配線板2と信号を送受信することができる。故に、動作の信頼性が向上し、長寿命化を図ることができる。
【0021】
なお、凸状部材121の形状は柱状形状に限定されない。半田ボール3bと配線基板12の金属プラグ122bとを安定的に接続可能な部材であれば、他の形状であってもよい。また、半田ボール3a、3bの材料組成は、上述の材料組成に限定されない。例えば、Sn-Cu系やSn-Ag系など、他の合金を用いてもよい。また、材料組成は、例えば、NEMI(The National Electronics Manufacturing Initiative)の推奨成分であるSn-4.0Ag-0.5Cu(wt%)など、上述以外の組成比でもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態にかかる半導体装置について説明する。第2実施形態の半導体装置は、半田ボール3の構成が、上述した第1実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1実施形態と同一の構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
図3は、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。また、
図4は、
図3に示す半導体パッケージの下面図である。第2実施形態の半導体装置は、2種類の半田ボール3c、3dにより、半導体パッケージ1とプリント配線板2とが接続される。半田ボール3cと半田ボール3dとは、同じ大きさで形成されているが、材料組成が異なる。例えば、半田ボール3c、3dは、Sn-Ag-Cu系(SAC系)の合金で構成される。合金成分は、例えば、半田ボール3cは、Sn-3.0Ag-0.8Cu-3Bi-0.02Ni(wt%)である。一方、半田ボール3dは、Sn-1.2Ag-0.5Cu-0.05Ni(wt%)である。
【0023】
半田ボール3cは、熱疲労に対する耐性が高いという特徴を有する。半田ボール3cの合金成分は、第1実施形態に示す半田ボール3a、3bの合金成分(Sn-3.0Ag-0.5Cu(wt%))に比べて、Biが添加されている点と、Cuが増量されている点が異なっている。Biが添加されることにより、固溶が強化される。Cuが増量されることにより、析出が強化される。すなわち、Biの固溶強化と、Cuの析出強化により、半田ボールが硬質化され、変形が抑制される。従って、熱疲労に対する耐性が高まる。
【0024】
一方、半田ボール3dは、落下衝撃に対する耐性が高いという特徴を有する。半田ボール3dの合金成分は、第1実施形態に示す半田ボール3a、3bの合金成分(Sn-3.0Ag-0.5Cu(wt%))に比べて、Agが減量されている点が異なっている。Agが減量されることにより、半田ボールが軟質化されるため、落下衝撃に対する耐性が高まる。なお、半田ボール3c、3dの材料組成は一例であり、他の材料組成であってもよい。
【0025】
図4に示すように、配線基板12の第2面12bには、複数のプラググループPGが配置されている。プラググループPGは、複数の金属プラグ122bで構成される。1つのプラググループPGに属する1つ以上の金属プラグ122bには半田ボール3cが接続される。また、1つのプラググループPGに属する1つ以上の金属プラグ122bには半田ボール3dが接続される。例えば、金属プラグ122b_11及び122b_12は、プラググループPG1に属する。金属プラグ122b_11には半田ボール3cが接続され、金属プラグ122b_12には半田ボール3dが接続される。すなわち、1つのプラググループPGには、1つ以上の半田ボール3cと、1つ以上の半田ボール3dとが接続される。
【0026】
1つのプラググループPGは、1つのボンディングパッド14と電気的に接続される。パッド101からボンディングパッド14を介して出力される信号は、該ボンディングパッド14と電気的に接続されるプラググループPGに含まれる複数の金属プラグ122bに伝達される。すなわち、1つのパッド101は、1つ以上の半田ボール3cと1つ以上の半田ボール3dと電気的に接続される。
【0027】
第2実施形態の半導体装置100は、材料組成が異なる2種類の半田ボール3c、3dを有する。第2実施形態に係る半導体装置100は、第1実施形態と同様に、熱疲労により半田ボール3dが破損した場合には半田ボール3cを介してプリント配線板2と信号の送受信を行うことができ、落下衝撃により半田ボール3cが破損した場合には半田ボール3dを介してプリント配線板2と信号を送受信することができる。故に、動作の信頼性が向上し、長寿命化を図ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態にかかる半導体装置について説明する。第3実施形態の半導体装置は、実装基板端子21と半田ボール3との接続部分が、上述した第2実施形態の半導体装置と異なる。以下、第2実施形態と同一の構成要素については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0028】
図5は、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。また、第3実施形態の半導体装置は、2種類の半田ボール3c、3dにより、半導体パッケージ1とプリント配線板2とが接続される。半田ボール3cは、熱疲労に対する耐性が高い特性を有し、半田ボール3dは、落下衝撃に対する耐性が高い特性を有する。半田ボール3c、3dの材料組成は、例えば、第2実施形態と同様である。
【0029】
金属プラグ122b1には、半田ボール3cが接続される。また、金属プラグ122b2には、半田ボール3dが接続される。1つのボンディングパッド14は、2つの金属プラグ122b1、122b2と接続される。パッド101からボンディングパッド14を介して出力される信号は、2つの金属プラグ122b1、122b2に伝達される。すなわち、1つのパッド101は、2つの金属プラグ122b1、122b2を介し、半田ボール3c及び半田ボール3dと電気的に接続される。そして、1つのパッド101と電気的に接続された複数の半田ボール3c、3dは、半田ペースト22を介して1つの実装基板端子21に電気的に接続される。
【0030】
このように、第3実施形態の半導体パッケージ1は、第2実施形態と同様に、材料組成が異なる2種類の半田ボール3c、3dを有する。半導体装置100に対して大きな熱疲労が加えられ、半田ボール3dが破壊されてしまった場合、半田ボール3cを介してプリント配線板2と信号の送受信を行うことができる。また、半導体装置100に対して大きな落下衝撃が加えられ、半田ボール3cが破壊されてしまった場合には、半田ボール3dを介してプリント配線板2と信号を送受信することができる。また、1つのパッド101と電気的に接続された異なる2種類の半田ボール3c、3dが、1つの実装基板端子21に接続されているので、上述の第2実施形態に比べてより多くの信号を伝達することができる。
【0031】
なお、上述の各実施形態では、半導体チップ10からプリント配線板2に対して信号を出力する場合について説明したが、プリント配線板2から半導体チップ10に対して信号を入力する場合についても適用可能である。
【0032】
上述の各実施形態は、互いに可能な範囲で組み合わされてもよい。例えば、第1実施形態は、第3実施形態と組み合わされ得る。
【0033】
本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は一例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1…半導体パッケージ、
2…プリント配線板、
3、3a、3b、3c、3d…半田ボール、
10…半導体チップ、
11…フィルム状接着剤、
12…配線基板、
12a…第1面、
12b…第2面、
13…封止樹脂、
14…ボンディングパッド
15…導電性部材
20…回路保護層、
21…実装基板端子、
22…半田ペースト、
23…実装基板、
24、120…配線層、
100…半導体装置、
101…パッド、
121…凸状部材、
122a、122b、124…金属プラグ、
123…基台部材、
PG…プラググループ、