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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142575
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】移動手摺の清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042796
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】森 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和将
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321HA23
3F321HA25
(57)【要約】
【課題】 エスカレーターに強固に固定することができると共に、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段の強度を確保しつつ、大型化することのないコンパクトな移動手摺の清掃装置を提供する。
【解決手段】 案内レールに固定される固定手段20と、清掃装置本体10とを有する移動手摺の清掃装置30であって、固定手段20は、平面視が略ロ字状の枠体21と、枠体21の対向する一方の2辺に設置された押圧部材22とを有し、押圧部材22は各々、枠体21の長手方向に沿って設けられると共に、案内レールの側面に当接する当接部22aと、当接部22aを付勢する付勢手段22bとを備え、枠体21は、対向する一方の2辺に、短手方向に沿って形成された補強部A23と、対向する他方の2辺に、長手方向に沿って形成された補強部B24とを有している。
【選択図】図2(b)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段と、
移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体と、を有する移動手摺の清掃装置であって、
固定手段は、平面視が略ロ字状の枠体と、
前記枠体の対向する一方の2辺に設置された押圧部材と、を有し、
前記押圧部材は各々、前記枠体の長手方向に沿って設けられると共に、案内レールの側面に当接する当接部と、
前記当接部を付勢する付勢手段と、を備え、
前記枠体は、対向する一方の2辺に、短手方向に沿って形成された補強部Aと、
対向する他方の2辺に、長手方向に沿って形成された補強部Bと、を有していることを特徴とする移動手摺の清掃装置
【請求項2】
枠体は、板状部材で形成されると共に、補強部A又は補強部Bは板状部材の端部が折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項3】
押圧部材は、案内レールと当接する面が軟質部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項4】
押圧部材は、当接部と枠体とを連結すると共に、付勢手段の付勢力を受けつつ前記当接部を前記枠体側に近づけて固定できる規制手段を有し、前記枠体は、対向する一方の2辺の長手方向に沿って補強部Cが形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項5】
規制手段は、少なくとも押圧部材の長手方向の略中央に設けられると共に、補強部Cの長手方向は、前記押圧部材の長手方向と平行に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項6】
補強部Aの長手方向と補強部Cの長手方向は、直交するように形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の移動手摺の清掃装置
【請求項7】
清掃装置本体は、筐体を有し、該筐体は、固定手段の補強部Cと嵌合する嵌合部を備えていることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の移動手摺の清掃装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーター等に設置されている移動手摺を清掃するための清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エスカレーター等に設置されている移動手摺の消毒や清掃を行う装置が知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1に記載のエスカレーターの安全ベルトの消毒清拭器は、エスカレーターのたちあがり部分のアールに嵌合するよう構成されたケース内に上段、中段、下段に回転自在に回転ロールを配設し、回転ロールはスポンジ状の物質を素材として形成すると共に、ロールの表面にはエスカレーターのベルトの表面と左右側面に嵌合する断面U状の溝を刻設し、溝の底部には吸水性の強いタオル地などを添着せしめ、下段のロールの直上位置には薬液滴下装置を設け、薬液滴下装置は、下端の滴下口が漏斗状に構成されたびん体で、上方には薬液注入口が形成され、かつ滴下口にはスポンジが差込まれているものであった。また、エスカレーターとの固定は、安全ベルトの案内レールを左右方向からネジの先端に設けられた押圧板で挟持しているものであった。
【0004】
また、特許文献2に記載のエスカレーターの手摺掃除具は、エスカレーターの手摺の少なくとも上面を覆う手摺カバーと、この手摺カバー内面に重合展設されて手摺の表面に摺接するふき布と、手摺の下側の不動部に係着する吸盤からなる吸着部材から構成されているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭48-37995号公報
【特許文献2】実開昭61-25375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、安全ベルトの外形は使用により多少の変形が生じてくるものであり、特許文献1の消毒清拭器内や特許文献2の手摺掃除具内を安全ベルトが通過する際に固定部や手摺カバー等に接触してズレが生じ、安全ベルトの清掃が適切に行われなくなる可能性があった。これを回避するために、案内レール等と固定部との固着を強固にするためには、外力が加わった場合でも固定部が変形しないように、固定部を大型化させ、清掃装置自体も大型化する可能性があった。また、移動手摺の清掃装置は、エスカレーターに後付けで設置することになる場合が多いが、エスカレーターの所有者等からはエスカレーター自体に穴を開ける等の加工を施さないで設置してほしい旨の要望があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、エスカレーターに強固に固定することができると共に、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段の強度を確保しつつ、大型化することのないコンパクトな移動手摺の清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段と、移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体と、を有する移動手摺の清掃装置であって、固定手段は、平面視が略ロ字状の枠体と、前記枠体の対向する一方の2辺に設置された押圧部材と、を有し、前記押圧部材は各々、前記枠体の長手方向に沿って設けられると共に、案内レールの側面に当接する当接部と、前記当接部を付勢する付勢手段と、を備え、前記枠体は、対向する一方の2辺に、短手方向に沿って形成された補強部Aと、対向する他方の2辺に、長手方向に沿って形成された補強部Bと、を有していることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明は、固定手段を構成する押圧部材が案内レールの側面に当接する当接部と、当接部を付勢する付勢手段とを備えているので、案内レールに加工を施すこと無く、強固に固定することができる。また、固定手段を構成する枠体は、補強部Aと補強部Bとを有しているので、外力や付勢手段の力によって枠体が変形するのを防ぐことができ、大型化することのないコンパクトな移動手摺の清掃装置とすることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、枠体は、板状部材で形成されると共に、補強部A又は補強部Bは板状部材の端部が折り曲げられて形成されていることを特徴としている。これにより、枠体に新たな補強部材を追加して設置することなく、所定の強度を確保することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、押圧部材は、案内レールと当接する面が軟質部材で形成されていることを特徴としている。これにより、案内レールを傷つけることなく、固定手段を固定することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、押圧部材は、当接部と枠体とを連結すると共に、付勢手段の付勢力を受けつつ前記当接部を前記枠体側に近づけて固定できる規制手段を有し、前記枠体は、対向する一方の2辺の長手方向に沿って補強部Cが形成されていることを特徴としている。したがって、規制手段によって、付勢手段の付勢力を規制した状態で設置作業を行うことができる。また、枠体が補強部Cを有することによって、外力や付勢手段の力によって枠体が変形するのを一層防ぐことができる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、規制手段は、少なくとも押圧部材の長手方向の略中央に設けられると共に、補強部Cの長手方向は、前記押圧部材の長手方向と平行に設けられていることを特徴としている。これにより、設置作業時に押圧部材の長手方向が傾くのを防ぐことができ、付勢手段の付勢力を枠体の補強部Cで均等に補強することができ、枠体が変形するのを防ぐことができる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、補強部Aの長手方向と補強部Cの長手方向は、直交するように形成されていることを特徴としている。したがって、枠体に加わる付勢手段の付勢力を効果的に補強して枠体が変形するのを防ぐことができる。
【0015】
請求項7の発明は、請求項4~6のいずれかの発明において、清掃装置本体は、筐体を有し、該筐体は、固定手段の補強部Cと嵌合する嵌合部を備えていることを特徴としている。これにより、清掃装置本体にスーツケースが衝突する等の外力が加わった場合に、枠体の補強部Cで外力を吸収することができるので、清掃装置本体が破壊されるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、案内レールに加工を施すこと無く、強固に固定することができると共に、外力や付勢手段の力によって枠体が変形するのを防ぐことができ、大型化することのないコンパクトな移動手摺の清掃装置とすることができる。また、請求項2の発明は、製造コストの低減を図ることができる。また、請求項3の発明は、案内レールを傷つけることなく、固定手段を固定することができる。付勢手段の付勢力を均等に補強して枠体が変形するのを防ぐことができる。
【0017】
請求項4の発明は、付勢手段の付勢力を規制した状態で設置作業を行うことができると共に、外力や付勢手段の力によって枠体が変形するのを一層防ぐことができる。また、請求項5の発明は、設置作業時に押圧部材の長手方向が傾くのを防ぐことができると共に、付勢手段の付勢力を均等に補強することで枠体が変形するのを防ぐことができる。また、請求項6の発明は、枠体に加わる付勢手段の付勢力を効果的に補強して枠体が変形するのを防ぐことができる。また、請求項7の発明は、外力によって清掃装置本体が破壊されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る移動手摺の清掃装置の斜視図
図2(a)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す分解斜視図
図2(b)】本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定手段を示す分解斜視図
図3】(a)本発明に係る移動手摺の清掃装置がエスカレーターに固定された状態を示す斜視図(b)本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定手段がエスカレーターに固定された状態を示す斜視図
図4】(a)図3(b)のB-B断面図(b)補強部補強部A及びBが無い場合の固定手段を示す断面図
図5】(a)本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定手段を示す平面図(b)補強部Cが無い場合の固定手段を示す平面図
図6図3(a)のA-A断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1は、本発明に係る移動手摺の清掃装置の斜視図であり、図2(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を示す分解斜視図である。これらの図を用いて本発明に係る移動手摺の清掃装置の概要について以下に説明する。
【0020】
移動手摺の清掃装置30は、図1に示すように、移動手摺を案内する案内レールに固定される固定手段20と、移動手摺の清掃、洗浄又は除菌を行う清掃装置本体10とを有している。固定手段20には、移動手摺が通過する前部開口に子供が誤って手を挿入しないための前部抑制部材20aが形成されており、後部開口にも同様に後部抑制部材20bが形成されている。そして、清掃装置本体10は、固定手段20に対して着脱可能に取り付けられている。
【0021】
清掃装置本体10は、筐体1と、筐体1内に配置された洗浄ユニット5とを有しており、筐体1は、開口7aを有する筐体本体7と、開口7aを開閉させる蓋体8とを備えている。また、洗浄ユニット5は、プレート5aに、移動手摺の表面に当接して液体を塗布する塗布手段2と、移動手摺の表面に当接して液体をふき取るふき取り手段3と、塗布手段2に液体を供給する給液手段4と、移動手摺の表面に当接して汚れを除去する清掃手段6とを備えている。
【0022】
そして、洗浄ユニット5は、筐体1に対して着脱可能に取り付けられている。具体的には、洗浄ユニット5を構成するプレート5aが、筐体1を構成する蓋体8に対して着脱可能に取り付けられている。
【0023】
蓋体8は、略平板状又は略カップ状に形成されており、蓋体8の一端が、ヒンジ7bを介して筐体本体7に対して回動可能に連結されている。また、蓋体8の外面には、保護部材8aが形成されている。この保護部材8aは、蓋体8の開動作時に蓋体8が床面に当たる位置に保護部材8aを形成しておけば蓋体8の破損を防ぐことができる。また、保護部材8aは、エスカレーターの使用者が誤って蓋体8を蹴ったり、スーツケースが当たったりする場合の衝撃を緩和して内蔵されている洗浄ユニット5を保護することができる。
【0024】
尚、蓋体8の形状は略カップ状に替えて略平板状とし、洗浄ユニット5を構成するプレート5aが、筐体1を構成する筐体本体7に対して着脱可能に取り付けられている構成としてもよく、これも本発明に含まれる。また、蓋体8は筐体本体7に対してスライドして開閉させる場合も本発明に含まれる。
【0025】
図2(b)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定手段を示す分解斜視図である。この図を用いて固定手段の詳細について説明する。固定手段20は、平面視が略ロ字状の枠体21と、枠体21の対向する一方の2辺に設置された押圧部材22、22とを有しており、押圧部材22、22は各々、枠体21の長手方向に沿って設けられると共に、案内レールの側面に当接する当接部22aと、当接部22aを付勢する複数の付勢手段22b、22b・・とを備えている。これにより、案内レールに加工を施すこと無く、強固に固定することができる。尚、付勢手段23bは、強力な圧縮コイルばねで構成されている。
【0026】
ロ字状の枠体21は、板状部材で形成された2本の長枠片21a、21aと、板状部材で形成された2本の短枠片21b、21bとから構成されており、短枠片21bの両端部には仮固定のための突起部27、27が形成されており、突起部27の近傍には、固定孔35、35が形成されている。また、突起部27と対向する長枠片21aの位置には、仮固定孔28が形成されており、仮固定孔28の近傍には、固定孔29、29が形成されている。そして、突起部27を仮固定孔28に挿通させた状態で、互いの固定孔29、35に、ネジ部材33が螺合されてロ字状の枠体21が形成される。
【0027】
枠体21は、対向する一方の2辺である2本の長枠片21a、21aに、短手方向に沿って形成された補強部A23と、対向する他方の2辺である2本の短枠片21b、21bに、長手方向に沿って形成された補強部B24とを有している。また、枠体21は、対向する一方の2辺である2本の長枠片21a、21aの長手方向に沿って補強部C25が形成されている。尚、補強部C25の長手方向は、押圧部材22の長手方向と平行に設けられている。枠体21が補強部A23、補強部B24及び補強部C25を備えていることから、外力や付勢手段の力によって枠体が変形するのを防ぐことができ、大型化することのないコンパクトな移動手摺の清掃装置とすることができる。また、2本の短枠片21b、21bには、ネジ部材36によって位置決め機構34が取付けられている。
【0028】
枠体21は、板状部材である長枠片21aと短枠片21bで形成されると共に、補強部A23は、長枠片21aの長手方向の両端部が略L字状に折り曲げられて形成されている。また、補強部B24は、短枠片21bの短手方向の一方の端部が略L字状に折り曲げられて形成されている。これにより、枠体21に新たな補強部材を追加して設置することなく、所定の強度を確保することができるので、製造コストの低減を図ることができる。ここで、折り曲げられた形状とは、略L字状の他に、略Z字状、略コ字状、180度折り返したヘミング曲げなどが想定され、折り曲げ角度や回数に限定されるものではなく、本発明に含まれる。また、補強部としては、折り曲げられた形状の他に、別部材を溶接で結合し板状部材の厚みを増加させる補強や、くぼみを設けたビード加工を施す補強などが想定され、本発明に含まれる。
【0029】
押圧部材22は、案内レールと当接する面が軟質部材37で形成されている。軟質部材37の一例として両面テープやゴム部材を挙げることができる。これにより、案内レールを傷つけることなく、固定手段を強固に固定することができる。また、案内レールとの摩擦力が増加するため、固定手段がズレることを防止できる。
【0030】
押圧部材22は、当接部22aと枠体21とを連結すると共に、付勢手段22bの付勢力を受けつつ当接部22aを枠体21側に近づけて固定できる規制手段26を有している。これにより、規制手段26によって、付勢手段22bの付勢力を規制した状態で設置作業を行うことができるため、案内レールへの装着が容易となる。尚、規制手段26の位置は、押圧部材22の長手方向の略中央に設けられていることが望ましく、少なくとも1つ設けられていればよいが、押圧部材22の長手方向に沿って複数の規制手段26を設ける構成とすることもできる。尚、規制手段26は、押圧部材22に螺合するボルトで構成することができる。
【0031】
固定手段20を案内レールに固定させる際は、規制手段26により付勢手段22bの付勢力を規制した状態で装着し、装着後に、規制手段26の規制を解除し、付勢手段22bの付勢力により当接部22aが案内レールを両側から強固に挟持する。規制手段26をボルトで構成した場合は、装着後にボルトを取り外してもよく、ボルトを取り外すことで軽量化とボルトの紛失を防止できる。
【0032】
補強部A23の長手方向と補強部C25の長手方向は、直交するように形成されている。これにより、枠体21に加わる付勢手段22bの付勢力を効果的に補強して枠体21が変形するのを防ぐことができる。
【0033】
図3(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置がエスカレーターに固定された状態を示す斜視図であり、図3(b)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定手段がエスカレーターに固定された状態を示す斜視図である。矢印で示す移動手摺31の進行方向に対して上流側から、清掃手段、塗布手段、ふき取り手段の順に移動手摺31に当接するようにエスカレーターに固定される。エスカレーターへの固定位置は、エスカレーターの側端部の半円の中央よりも下側に位置するように固定するのが好ましい。また、清掃装置30は、移動手摺が通過する前部開口と後部開口に、子供が誤って手を挿入しないための前部抑制部材20aと後部抑制部材20bとが形成されている。
【0034】
清掃装置本体10は、固定手段20に対して着脱可能に取り付けられているので、エスカレーターへの設置作業は、先に固定手段20のみを案内レール32に取り付けた後、清掃装置本体10を固定手段20に取り付ければよいので、作業がし易く、簡易に設置することができる。
【0035】
図4(a)は、図3(b)のB-B断面図であり、図4(b)は、補強部A及びBが無い場合の固定手段を示す断面図である。図4(a)に示すとおり、補強部A及びBがあることによって、付勢手段22bの付勢力の影響を受けても枠体21の長枠片21a及び短枠片21bは変形していない。一方、補強部A及びBが無い場合は、図4(b)に示すように、短枠片21bは、両端部近傍で変形し、長枠片21aは、図面上、中央付近から下部が拡がるように変形する。また、規制手段26を構成するボルトも外側に抜けながら変形することとなる。これにより、清掃装置本体の塗布手段、ふき取り手段及び清掃手段を移動手摺の適切な位置に当接させることができなくなるおそれがある。また、移動手摺の蛇行や跳ね上がった時の枠体等への衝突や、スーツケースなど外部からの清掃装置本体への衝突に対して、清掃装置本体がズレやすく、正常な清掃効果が発揮できなくなる。
【0036】
また、補強部A23は長枠片21aの長手方向の両端部と略中央部に設けられている。これにより、応力集中のしやすい、短枠片21bとの連結部近傍及び長枠片21aの長手方向の略中央を補強できるため、効率的に変形を抑制できる。さらに、長枠片21aの長手方向の略中央に設けられた補強部A23は、規制手段26の近傍に設けられており、規制手段26の規制する力に対しても、効率的に変形を抑制できる。
【0037】
補強部B24は、短枠片21bに設けられた位置決め機構34に当接すると共に、位置決め機構34を挟んで移動手摺31と対向する位置に設けられている。したがって、移動手摺が跳ね上がり、位置決め機構34と衝突した場合であっても、補強部B24が位置決め機構34を支えると共に衝撃を吸収することができる。
【0038】
図5(a)は、本発明に係る移動手摺の清掃装置を構成する固定手段を示す平面図であり、図5(b)は、補強部Cが無い場合の固定手段を示す平面図である。図5(a)に示すとおり、補強部Cがあることによって、規制手段26を、付勢手段22bの付勢力を受けつつ当接部22aを枠体21側に近づけて固定した場合に、長枠片21a及び押圧部材22ともに変形していない。一方、補強部Cが無い場合は、図5(b)に示すように、規制手段26の規制する力により、2本の長枠片21a、21aが内側(矢印側)に湾曲するように変形する。ここで、規制手段26の規制する力は、長枠片21aに対しては厚み方向、押圧部材22に対しては幅方向に加わるため、長枠片21a側が湾曲することとなる。これにより、清掃装置本体の塗布手段、ふき取り手段及び清掃手段を移動手摺の適切な位置に当接させることができなくなるおそれがある。また、移動手摺の蛇行や跳ね上がった時の枠体等への衝突や、スーツケースなど外部からの清掃装置本体への衝突に対して、清掃装置本体がズレやすく、正常な清掃効果が発揮できなくなる。
【0039】
図6は、図3(a)のA-A断面図である。この図に示すように、清掃装置本体10の筐体1は、固定手段の補強部C25と嵌合する嵌合部38を備えている。これにより、清掃装置本体10にスーツケースが衝突する等の外力が加わった場合に、枠体21の補強部C25で外力を吸収することができるので、清掃装置本体が破壊されるのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る移動手摺の清掃装置は、エスカレーター等に設置されて移動手摺を清掃するために利用される。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体
2 塗布手段
3 ふき取り手段
4 給液手段
5 洗浄ユニット
5a プレート
6 清掃手段
7 筐体本体
7a 開口
7b ヒンジ
8 蓋体
8a 保護部材
10 清掃装置本体
20 固定手段
20a 前部抑制部材
20b 後部抑制部材
21 枠体
21a 長枠片
21b 短枠片
22 押圧部材
22a 当接部
22b 付勢手段
23 補強部A
24 補強部B
25 補強部C
26 規制手段
27 突起部
28 仮固定孔
29、35 固定孔
30 移動手摺の清掃装置
31 移動手摺
32 案内レール
33、36 ネジ部材
34 位置決め機構
37 軟質部材
38 嵌合部
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6