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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142579
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220922BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042801
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】五月女 真一
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP76
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA13
5F083KA18
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA20
5F083PR21
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】 信頼性と製造歩留まりを向上した半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体記憶装置は、半導体基板と、半導体基板の表面と交差する第1方向に互いに絶縁された複数の導電層が積層された積層体と、積層体を貫通して配置され、第1方向に延伸する筒状の半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に配置され、第1方向に延伸する筒状の電荷蓄積層と、を有する柱状体部と、を備え、複数の導電層は、第1の導電層と、第1の導電層の半導体基板とは反対側に配置される第2の導電層とを含み、柱状体部は、第1の導電層と第2の導電層の間の絶縁層と対向し、第2の導電層と対向する第2領域より第1方向と直交する第2方向における幅が大きい第1の拡幅部を有し、半導体層は、第1の拡幅部での膜厚が、第1の導電層と対向する第1領域での膜厚および第2領域での膜厚より大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表面と交差する第1方向に互いに絶縁された複数の導電層が積層された積層体と、
前記積層体を貫通して配置され、前記第1方向に延伸する筒状の半導体層と、前記複数の導電層と前記半導体層との間に配置され、前記第1方向に延伸する筒状の電荷蓄積層と、を有する柱状体部と、
を備え、
前記複数の導電層は、第1の導電層と、前記第1の導電層の前記半導体基板とは反対側に配置される第2の導電層とを含み、 前記柱状体部は、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間の絶縁層と対向し、前記第2の導電層と対向する第2領域より前記第1方向と直交する第2方向における幅が大きい第1の拡幅部を有し、
前記半導体層は、前記第1の拡幅部での膜厚が、前記第1の導電層と対向する第1領域での膜厚および前記第2領域での膜厚より大きい、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記柱状体部は、前記第1の拡幅部と隣接して前記半導体基板側に配置され、前記第2領域より前記第2方向における幅が大きい第3領域と、前記第3領域と隣接して前記第1の拡幅部とは反対側に配置され、前記第1領域より前記第2方向における幅が大きい第2の拡幅部と、を有し、
前記半導体層は、前記第2の拡幅部での膜厚が、前記第1領域での膜厚および前記第2領域での膜厚より大きい、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の導電層は、前記第2の導電層と前記第1の拡幅部との間に配置される第3の導電層を含み、
前記半導体層は、前記第1領域の膜厚および前記第2領域の膜厚が、前記第3の導電層と対向する前記第3領域の膜厚より小さい、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記柱状体部は、前記第1の導電層および前記第2の導電層とともに不揮発性メモリストリングとして機能する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
半導体基板、前記半導体基板の表面と交差する第1方向に互いに絶縁された複数の導電層が積層された積層体、および前記積層体を貫通して配置され、前記第1方向に延伸する筒状の半導体層と、前記複数の導電層と前記半導体層との間に配置され、前記第1方向に延伸する筒状の電荷蓄積層と、を有する筒状体部、を備え、前記複数の導電層は、第1の導電層と、前記第1の導電層の前記半導体基板とは反対側に配置される第2の導電層とを含み、前記筒状体部は、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間の絶縁層と対向し、前記第2の導電層と対向する第2領域より前記第1方向と直交する第2方向における幅が大きい第1の拡幅部を有する、構造体を準備し、
前記第1領域の前記半導体層にプラズマ処理を行うことでパシベーションを形成し、
前記第1領域および前記第1の拡幅部の前記半導体層に反応ガスを供給して保護膜を形成し、
前記第1領域および前記第2領域の前記半導体層の一部をエッチングすること、
を含む、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
前記保護膜を形成することは、
前記パシベーションが前記第1領域の前記半導体層上の膜形成を抑制し、
前記第1の拡幅部の前記半導体層上に前記保護膜を形成し、
前記反応ガスの不足により前記第2領域の前記半導体層上の膜形成を抑制すること、
を含む、請求項5に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記パシベーションを形成することは、プラズマ処理にN2、Ar、He、H2、NH3、またはFからなる群から選択される少なくとも1種のガスを用いること、
を含む、請求項5または6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記エッチングをすることは、
前記半導体層の一部を酸化して酸化膜を形成し、
前記前記半導体層より前記酸化膜に対して選択比の高い条件でエッチングすること、
を含む、請求項5乃至7の何れか1項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリを用いた半導体パッケージが知られている。このようなNAND型フラッシュメモリを大容量化するために、多くのメモリセルを積層した構成をとる3次元NAND型フラッシュメモリが実用化されている。このような積層型の三次元NAND型フラッシュメモリにおいては、信頼性と製造歩留まりを向上することが課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9966299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、信頼性と製造歩留まりを向上した半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板と、半導体基板の表面と交差する第1方向に互いに絶縁された複数の導電層が積層された積層体と、積層体を貫通して配置され、第1方向に延伸する筒状の半導体層と、複数の導電層と半導体層との間に配置され、第1方向に延伸する筒状の電荷蓄積層と、を有する柱状体部と、を備え、複数の導電層は、第1の導電層と、第1の導電層の半導体基板とは反対側に配置される第2の導電層とを含み、柱状体部は、第1の導電層と第2の導電層の間の絶縁層と対向し、第2の導電層と対向する第2領域より第1方向と直交する第2方向における幅が大きい第1の拡幅部を有し、半導体層は、第1の拡幅部での膜厚が、第1の導電層と対向する第1領域での膜厚および第2領域での膜厚より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成を示す断面図である。
図3】一実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す断面図である。
図4】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図5】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図7】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図8】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図9】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図10】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図11】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図12】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図13】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図14】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図15】一実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図16】一実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態に係る半導体記憶装置及びその製造方法について図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号又は同一符号の後にアルファベットが追加された符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定されない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0008】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0009】
同一のプロセスにより形成された複数の膜は、同一の層構造を有し、かつ、同一の材料で構成される。本明細書においては、複数の膜がそれぞれ異なる機能又は役割を果たす場合であっても、このように同一のプロセスにより形成された複数の膜は、それぞれ同一の層に存在する膜として扱う。
【0010】
本発明の各実施の形態において、基板からメモリセルに向かう方向を上方という。逆に、メモリセルから基板に向かう方向を下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、基板とメモリセルとの上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で、例えば基板上のメモリセルという表現は、上記のように基板とメモリセルとの上下関係を説明しているに過ぎず、基板とメモリセルとの間に他の部材が配置されていてもよい。
【0011】
本明細書において「αはA、B又はC」を含む、「αはA,B及びCのいずれか」を含む、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つ」を含む、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0012】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0013】
以下の各実施形態では、半導体記憶装置としてメモリセルアレイを例示して説明するが、本開示の技術をメモリセルアレイ以外の半導体記憶装置(例えば、CPU、ディスプレイ、インターポーザなど)に適用することができる。
【0014】
また、以下の各実施形態では、周辺(CMOS)回路の構成についてとくに言及しない。半導体記憶装置は、CMOS回路が半導体基板上の他の領域に区画されていてもよい。また、半導体記憶装置は、CMOS回路チップと、メモリセルアレイチップとが別の半導体基板上にそれぞれ別体で形成されてもよい。この場合、メモリセルアレイチップの上面とCMOS回路チップの上面が貼り合わされて形成されてもよい。また、半導体記憶装置は、CMOS回路チップの上にメモリセルアレイを一体で形成されてもよい。
【0015】
<第1実施形態>
[メモリセルアレイの構成]
本実施形態に係るメモリセルアレイの構成について、図1を用いて説明する。図1は本実施形態にかかるメモリセルアレイ1の各要素の配置を示した模式斜視図である。
【0016】
図1において、基板10の主面に対して平行な方向であって相互に直交する2方向をX方向及びY方向といい、基板10の主面に対して平行な面をXY面という。これらX方向及びY方向の双方に対して直交する方向をZ方向(積層方向)という。
【0017】
図1に示すように、メモリセルアレイ1は、基板10と、基板10上に設けられた積層体100と、複数の柱状体部CLと、積層体100の上に設けられた複数のビット線BLとを有する。
【0018】
基板10は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。基板10の表面には、例えば、P型の不純物を含むP型ウェル領域が設けられている。
【0019】
積層体100は、基板10上に配置される下層積層体120と、下層積層体120の基板10とは反対側に配置される上層積層体140とを含む(ここで下層積層体120と上層積層体140とを区別しないときには積層体100とする)。積層体100には、互いに絶縁された複数の導電層70、及び当該複数の導電層70に共通する開口ST、MHが形成されている。開口ST、MHは、積層方向(Z方向)に延伸し、積層体100を貫通して基板10に達する。開口STはX方向に延伸し、積層体100をY方向に複数のブロックに分離している。詳細は後述するが、開口MHには柱状体部CLが形成されている(図2参照)。
【0020】
柱状体部CLは、積層体100内を積層方向に延伸する円柱に形成されている。複数の柱状体部CLは、例えば千鳥配列されている。又は、複数の柱状体部CLは、X方向及びY方向に沿って正方格子配列されていてもよい。
【0021】
複数のビット線BLはX方向に互いに分離され、それぞれのビット線BLはY方向に延伸している。
【0022】
柱状体部CLの後述する半導体層20(図2参照)の上端は、コンタクト部Cbを介してビット線BLに接続されている。開口STによってY方向に分離されたそれぞれのブロックから1つずつ選択された複数の柱状体部CLが、共通の1本のビット線BLに接続されている。
【0023】
なお、開口STには絶縁層40が形成されており、積層体100の上には絶縁層41が形成されている。しかし、説明の便宜上、図1ではこれらの絶縁層が省略されている。
【0024】
図2は、メモリセルアレイ1の模式断面図である。図2に示すX方向及びZ方向は、図1に示すX方向及びZ方向に対応する。
【0025】
積層体100は、基板10上に積層された複数の導電層70を有する。複数の導電層70は、複数の絶縁層40を介して、基板10の主面に対して垂直な方向(積層方向)に周期的に積層されている。各々の導電層70は単層である。つまり、1つの導電層70について断面形状を観察した場合、導電層70の膜厚方向(Z方向)に単一の材料が連続していてよい。また、1つの導電層70内部に界面は存在しなくてよい。導電層70の材料は、例えば、タングステンであってもよい。
【0026】
積層方向に隣接する導電層70と導電層70との間には、絶縁層40が形成されている。複数の導電層70と、複数の絶縁層40とは、交互に配置されている。基板10と最下層の導電層70との間にも絶縁層40が形成されている。下層積層体120と上層積層体140との境界には、絶縁層40が配置されている。下層積層体120と上層積層体140との境界に配置される絶縁層40の積層方向における膜厚は、他の導電層70と導電層70との間の絶縁層40の積層方向における膜厚より大きい。積層方向に隣接する導電層70は互いに絶縁されていればよく、絶縁層40の材料は、例えば、二酸化シリコン(SiO2)、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)などの酸化シリコンであってもよい。絶縁層40は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて堆積される。
【0027】
開口MHには柱状体部CLが形成されている。柱状体部CLは、エピタキシャル成長層60、メモリ層30、半導体層20、及び絶縁性のコア層50を含む。柱状体部CLは、基板10近傍に、エピタキシャル成長層60を含む。このエピタキシャル成長層60は、例えば、シリコン単結晶を含む基板10上にシリコン単結晶をエピタキシャル成長させて形成される。
【0028】
エピタキシャル成長層60の上には、積層方向に延伸するメモリ層30、半導体層20、及び絶縁性のコア層50が形成される。コア層50は、開口MHの中心付近において柱状に設けられている。半導体層20は、コア層50の周囲に有底円筒状に設けられている。半導体層20の下端は、エピタキシャル成長層60に接続されている。メモリ層30は、半導体層20の周囲に円筒状に設けられている。メモリ層30は、開口MHの内側面(交互に積層された導電層70及び絶縁層40)に接している。メモリ層30は、半導体層20に接している。上記の構成を換言すると、半導体層20は積層体100を貫通している。メモリ層30(後述する電荷蓄積層32を含む)は導電層70と半導体層20との間に設けられている。
【0029】
柱状体部CLは、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における幅(径、外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。第1の狭窄部Aは、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域と隣接する。第1の狭窄部Aは、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第1の狭窄部AのX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より小さくてもよい。柱状体部CLは、第1の狭窄部AのX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より小さくてもよい。
【0030】
柱状体部CLは、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における幅が大きい第1の拡幅部aを有する。第1の拡幅部aは、第1の狭窄部Aと隣接する。第1の拡幅部aは、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第1の拡幅部aのX方向における幅が、第1の狭窄部AのX方向における幅より大きい。柱状体部CLは、第1の拡幅部aのX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より大きい。柱状体部CLは、第1の拡幅部aのX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より大きい。
【0031】
柱状体部CLは、第1の拡幅部aと隣接して第1の拡幅部aの基板10側に、X方向における幅が大きい第III領域を有する。第III領域は、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第III領域のX方向における幅が、第1の拡幅部aのX方向における幅と略同一である。柱状体部CLは、第III領域のX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より大きい。柱状体部CLは、第III領域のX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より大きい。
【0032】
柱状体部CLは、第III領域と隣接して第III領域の基板10側に、X方向における幅が大きい第2の拡幅部bを有する。第2の拡幅部bは、第III領域と隣接して第1の拡幅部aとは反対側に配置される。第2の拡幅部bは、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第2の拡幅部bのX方向における幅が、第III領域のX方向における幅と略同一である。柱状体部CLは、第2の拡幅部bのX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より大きい。柱状体部CLは、第2の拡幅部bのX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より大きい。
【0033】
柱状体部CLは、第2の拡幅部bと隣接して第III領域の基板10側に、X方向における幅が小さい第2の狭窄部Bを有する。第2の狭窄部Bは、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域と隣接する。第2の狭窄部Bは、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第2の狭窄部BのX方向における幅が、第III領域のX方向における幅より小さい。柱状体部CLは、第2の狭窄部BのX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より大きくてもよい。柱状体部CLは、第2の狭窄部BのX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より大きくてもよい。
【0034】
メモリ層30は柱状体部CL側面に円筒状に設けられている。メモリ層30の外側面(交互に積層された導電層70及び絶縁層40に接する面)は、上述するCL側面の形状を反映している。メモリ層30の内側面(半導体層20に接する面)も、上述するCL側面の形状を反映している。すなわち、メモリ層30は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅(外径、対向する外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。メモリ層30は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅が大きい第1の拡幅部aを有する。メモリ層30は、第1の拡幅部aと隣接して第1の拡幅部aの基板10側に、X方向における外幅が大きい第III領域を有する。メモリ層30は、第III領域と隣接して第III領域の基板10側に、X方向における外幅が大きい第2の拡幅部bを有する。メモリ層30は、第2の拡幅部bと隣接して第III領域の基板10側に、X方向における外幅が小さい第2の狭窄部Bを有する。メモリ層30の第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域におけるX方向における外幅の大小関係は、柱状体部CLの第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域におけるX方向における幅の大小関係と同じであることから、その説明はここでは省略する。
【0035】
メモリ層30の外側面(交互に積層された導電層70及び絶縁層40に接する面)とメモリ層30の内側面(半導体層20に接する面)との間の最短距離(膜厚)は、全面にわたって略同一である。すなわち、メモリ層30の膜厚は、開口MHおよび柱状体部CLの形状にかかわらず略均一の厚さに形成される。
【0036】
半導体層20は、メモリ層30の内側面およびエピタキシャル成長層60に接するように有底円筒状に設けられている。半導体層20の外側面(メモリ層30に接する面)は、上述するCL側面の形状を反映している。半導体層20の内側面(コア層50に接する面)も、上述するCL側面の形状を反映している。すなわち、半導体層20は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅(外径、対向する外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。半導体層20は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅が大きい第1の拡幅部aを有する。半導体層20は、第1の拡幅部aと隣接して第1の拡幅部aの基板10側に、X方向における外幅が大きい第III領域を有する。半導体層20は、第III領域と隣接して第III領域の基板10側に、X方向における外幅が大きい第2の拡幅部bを有する。半導体層20は、第2の拡幅部bと隣接して第III領域の基板10側に、X方向における外幅が小さい第2の狭窄部Bを有する。半導体層20の第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域におけるX方向における外幅の大小関係は、柱状体部CLの第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域におけるX方向における幅の大小関係と同じであることから、その説明はここでは省略する。
【0037】
半導体層20の外側面(メモリ層30に接する面)と半導体層20の内側面(コア層50に接する面)との間の最短距離(膜厚)は、第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域において異なる。第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚は、第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む第III領域における半導体層20の膜厚より小さい。第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚が小さいことで、半導体層20は対向するメモリ層30および導電層70とともに構成するメモリセルMCの特性を向上することができる。第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む第III領域における半導体層20の膜厚は大きいことから、半導体層20が不連続になることを抑制することができ、信頼性と製造歩留まりを向上することができる。
【0038】
本実施形態において、第I領域および第II領域におけるすべての導電層70と対向する半導体層20の膜厚が、第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、および第III領域における半導体層20の膜厚より小さい例を示した。しかしながらこれに限定されず、第III領域に近接する第I領域の最上層の導電層70および/または第II領域の最下層の導電層70と対向する半導体層20の膜厚は、第III領域における半導体層20の膜厚と略同一であってもよい。また、第1の狭窄部Aは、第II領域の最下層の導電層70と対向してもよい。第2の狭窄部Bは、第I領域の最上層の導電層70と対向してもよい。このような半導体層20を含むメモリセルMCは、メモリセルMCとして機能することが予定されていなくてもよい。
【0039】
コア層50は、半導体層20の内側面に接するように円柱状に設けられている。コア層50の外側面(半導体層20に接する面)は、上述するCL側面の形状を反映している。すなわち、コア層50は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅(外径、対向する外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。コア層50は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅が大きい第1の拡幅部aを有する。コア層50は、第1の拡幅部aと隣接して第1の拡幅部aの基板10側に、X方向における外幅が大きい第III領域を有する。コア層50は、第III領域と隣接して第III領域の基板10側に、X方向における外幅が大きい第2の拡幅部bを有する。コア層50は、第2の拡幅部bと隣接して第III領域の基板10側に、X方向における外幅が小さい第2の狭窄部Bを有する。コア層50の第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域におけるX方向における幅の大小関係は、柱状体部CLの第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部B、第I領域、第II領域、第III領域におけるX方向における幅の大小関係と同じであることから、その説明はここでは省略する。
【0040】
最上層の導電層70上に絶縁層40が設けられ、その絶縁層40上に絶縁層41が設けられている。
【0041】
図3は、図2における一部の拡大断面図である。
【0042】
柱状体部CLは、メモリ層30、半導体層20、及び絶縁性のコア層50を有する構造体である。半導体層20は、積層体100内を積層方向に連続して延伸している。半導体層20の材料は、例えば、アモルファス又は多結晶シリコンを含む。コア層50は、円筒状の半導体層20の内側に設けられている。コア層50の材料は、例えば、酸化シリコンを含む。メモリ層30は、導電層70と半導体層20との間に設けられ、半導体層20を半導体層20の外周側から囲んでいる。
【0043】
メモリ層30は、トンネル絶縁層31と、電荷蓄積層32と、ブロック絶縁層33とを有する(ここでトンネル絶縁層31と、電荷蓄積層32と、ブロック絶縁層33とを区別しないときにはメモリ層30とする)。ブロック絶縁層33、電荷蓄積層32、トンネル絶縁層31は、半導体層20とともに積層体100の積層方向に連続して延伸している。導電層70と半導体層20との間に、導電層70側から順に、ブロック絶縁層33、電荷蓄積層32、及びトンネル絶縁層31が設けられている。トンネル絶縁層31は半導体層20に接している。ブロック絶縁層33は導電層70に接している。電荷蓄積層32は、ブロック絶縁層33とトンネル絶縁層31との間に設けられている。
【0044】
半導体層20、メモリ層30、及び導電層70は、メモリセルMCを構成する。図3において1つのメモリセルMCを破線で模式的に表す。メモリセルMCは、半導体層20の周囲を、メモリ層30を介して、導電層70が囲んだ縦型トランジスタ構造を有する。
【0045】
その縦型トランジスタ構造のメモリセルMCにおいて、半導体層20はチャネルとして機能し、導電層70はコントロールゲートとして機能する。電荷蓄積層32は半導体層20から注入される電荷を蓄積するデータ記憶層として機能する。
【0046】
上記のように、複数のメモリセルMCは複数の導電層70の積層方向に並んでおり、複数の導電層70は、それぞれ複数のメモリセルMCに接続されている。導電層70のうち、ブロック絶縁層33付近の導電層70がコントロールゲートとして機能する。メモリセルMCに接続された導電層70への電圧を制御することで、当該メモリセルMCへの書き込み又は消去を制御する。
【0047】
実施形態の半導体記憶装置は、メモリセルMCへのデータの書き込み又は消去を電気的に自由に行うことができ、電源を切っても記憶内容を保持することができる不揮発性半導体記憶装置である。
【0048】
メモリセルMCは、例えばチャージトラップ型のメモリセルである。電荷蓄積層32は、絶縁層の中に電荷を捕獲するトラップサイトを多数有する。電荷蓄積層32の材料は、例えば、窒化シリコンを含む。
【0049】
トンネル絶縁層31は、半導体層20から電荷蓄積層32に電荷が注入される際、又は電荷蓄積層32に蓄積された電荷が半導体層20の方向へ拡散する際に電位障壁となる。トンネル絶縁層31の材料は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0050】
ブロック絶縁層33は、電荷蓄積層32に蓄積された電荷が導電層70へ拡散するのを防止する。ブロック絶縁層33の材料は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0051】
図1に示すように、下層積層体120にはソース側選択トランジスタSTSと複数のメモリセルMCが設けられている。上層積層体140にはドレイン側選択トランジスタSTDと複数のメモリセルMCが設けられている。例えば、最下層の導電層70は、ソース側選択トランジスタSTSのコントロールゲートとして機能する。例えば、最上層の導電層70は、ドレイン側選択トランジスタSTDのコントロールゲートとして機能する。
【0052】
ドレイン側選択トランジスタSTDと、ソース側選択トランジスタSTSとの間には、複数のメモリセルMCが設けられている。それら複数のメモリセルMC、ドレイン側選択トランジスタSTD、及びソース側選択トランジスタSTSは、半導体層20を通じて直列接続され、1つのメモリストリングを構成する。このメモリストリングが、X-Y面に対して平行な面方向に例えば千鳥配置され、複数のメモリセルMCがX方向、Y方向及びZ方向に3次元的に設けられている。
【0053】
[メモリセルアレイの製造方法]
次に、図4図15を参照して、第1実施形態のメモリセルアレイ1の製造方法について説明する。
【0054】
図4に示すように、まず基板10上に、絶縁層40(TEOS膜)および犠牲層71(SiN膜)を交互に成膜し、下層積層体120を形成する。絶縁層40および犠牲層71は、例えば、CVD装置を用いて堆積される。交互に積層された絶縁層40および犠牲層71とは互いに接するように形成される。下層積層体120の最上層に形成される絶縁層40の膜厚は、下層の絶縁層40の膜厚より大きくてもよい。本実施形態において絶縁層40の材料はTEOS膜を例示したが、絶縁層40の材料はこれに限定されず、例えば二酸化シリコン(SiO2)であってもよい。本実施形態において犠牲層71の材料は窒化シリコン膜(SiN)を例示したが、犠牲層71の材料はこれに限定されず、例えばシリコンであってもよい。
【0055】
次に、図5に示すように、複数の絶縁層40および複数の犠牲層71を含む下層積層体120に、複数のメモリホールMHを形成する。メモリホールMHは、図示しないマスクを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法で形成される。メモリホールMHは、下層積層体120を積層方向に貫通し、基板10を露出させる。
【0056】
図6に示すように、メモリホールMH内部に露出した基板10を種結晶としてシリコン単結晶のエピタキシャル成長を行う。シリコン単結晶のエピタキシャル成長もCVD装置を用いて行い、エピタキシャル成長層60を形成する。さらに続いて、エピタキシャル成長層60の表面を酸化(例えば熱酸化)する。エピタキシャル成長層60の表面にはシリコン酸化膜61が形成される。メモリホールMHのシリコン酸化膜61の上には、犠牲膜90が形成される。犠牲膜90の材料は、例えば、アモルファスシリコンアモルファスシリコンであってもよい。犠牲膜90は、上層積層体140を形成するために充填されるものであり、後に、除去されることが予定されている。
【0057】
次に、例えば図7に示すように、絶縁層40の一部を除去して、下層積層体120のメモリホールMHの上端部の幅(内径、対向する内側面間の距離)を広げて接合部Jを形成する。接合部Jは、例えば、ウェットエッチング等の方法によって形成される。接合部Jは、下層積層体120の最上層に形成される絶縁層40に形成される。すなわち、接合部Jは、下層積層体120の犠牲層71と対向する第I領域より上に形成される。メモリホールMHには、X方向における幅が第I領域より大きい第III領域が形成される。第III領域と隣接して、第III領域の基板10側には第2の拡幅部b、第III領域の基板10とは反対側には第1の拡幅部aが形成される。第2の拡幅部bと隣接して、第III領域の基板10側にはX方向における幅が第III領域より小さい第2の狭窄部Bが形成される。メモリホールMHの接合部Jにも、犠牲膜90を形成する。
【0058】
次に、図8に示すように、下層積層体120上に、絶縁層40(TEOS膜)および犠牲層71(SiN膜)を交互に成膜し、上層積層体140を形成する。絶縁層40および犠牲層71は、例えばCVD装置を用いて堆積される。交互に積層された絶縁層40および犠牲層71とは互いに接するように形成される。上層積層体140の最下層および最上層に形成される絶縁層40の膜厚は、他の絶縁層40の膜厚より大きくてもよい。
【0059】
続いて、複数の絶縁層40および複数の犠牲層71を含む上層積層体140に、複数のメモリホールMHを形成する。メモリホールMHは、図示しないマスクを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法で形成される。上層積層体140のメモリホールMHは、下層積層体120のメモリホールMHの接合部Jに接続するように形成する。上層積層体140のメモリホールMHは、接合部Jより幅(内径、対向する内側面間の距離)が小さい。メモリホールMHには、X方向における幅が第III領域より小さい上層積層体140の犠牲層71と対向する第II領域が形成される。第III領域と隣接して第III領域の基板10とは反対側には、X方向における幅が第III領域より小さい第1の狭窄部Aが形成される。メモリホールMHは、上層積層体140を積層方向に貫通し、下層積層体120のメモリホールMHの接合部Jに充填される犠牲膜90を露出させる。
【0060】
下層積層体120のメモリホールMHに残る犠牲膜90およびシリコン酸化膜61は、上層積層体140のメモリホールMHを介して除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング及びRIE等の方法によって行う。その結果、下層積層体120および上層積層体140を連通するメモリホールMHが形成される。なお、シリコン酸化膜61は除去しなくてもよい。
【0061】
次に、図9に示すように、メモリホールMHの側面および底面に、メモリ層30を形成する。メモリ層30は、例えば、CVD装置を用いて積層体100の上面およびメモリホールMHの内面(側面および底面)に堆積される。
【0062】
続いて、積層体100の上面およびメモリホールMHの底面のメモリ層30を除去する。積層体100の上面およびメモリホールMHの底面のメモリ層30は、例えば、RIE法で除去される。メモリホールMHの底面のメモリ層30を除去することで、基板10近傍のエピタキシャル成長層60を露出させる。
【0063】
メモリホールMHの底面のメモリ層30を除去した後、メモリホールMHの側面および底面に、半導体層20を形成する。半導体層20は、例えば、CVD装置を用いて積層体100の上面およびメモリホールMHの内面(側面および底面)に堆積される。半導体層20は、メモリ層30の側面、およびメモリホールMHの底において露出されたエピタキシャル成長層60に接して形成される。半導体層20は、例えばアモルファスシリコン層として形成した後、熱処理により多結晶シリコン層に結晶化する。
【0064】
図10~13は、メモリホールMHの接合部J付近(図9の点線領域)の拡大断面図である。次に、図10および図11に示すように、メモリホールMHの接合部Jに保護膜80を形成する。
【0065】
図10に示すように、まずメモリホールMHの上端から上層積層体140の犠牲層71と対向する第II領域に、プラズマ処理を行う。第II領域の半導体層20には、プラズマ処理を行うことでパシベーション22が形成される。プラズマ処理のガス種や比率、流量を制御することによって、第III領域および第I領域の半導体層20にはパシベーションが形成されない。すなわち、半導体層20の積層方向にはパシベーションの勾配が形成される。プラズマ処理には、N2、Ar、He、H2、NH3、またはFからなる群から選択される少なくとも1種のガスを用いることが好ましい。
【0066】
図11に示すように、メモリホールMHの上端から第II領域および第III領域に成膜処理を行う。第III領域(第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む)の半導体層20上には、成膜処理を行うことで保護膜80が形成される。保護膜80は、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンであってもよい。保護膜80は、例えばCVD装置を用いて堆積される。第II領域の半導体層20上にはパシベーション22が形成されていることから、保護膜80の核形成が抑制される。このため、第II領域の半導体層20上には保護膜80が形成されない。CVDのガス種や比率、流量を制御することによって、第I領域には反応ガスが供給されない。反応ガスの不足のため第I領域の半導体層20上にも保護膜80が形成されない。すなわち、第III領域(第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む)を含む所定の領域(第I領域および第II領域以外)の半導体層20上に保護膜80が形成される。
【0067】
本実施形態に係るメモリセルアレイの製造方法においては、プラズマ処理およびCVDのガス種や比率、流量を制御して第I領域および第II領域における成膜を抑制することで、第III領域(第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む)を含む所定の領域(第I領域および第II領域以外)に保護膜80を成膜することができる。
【0068】
図11では、保護膜80が略均一の膜厚に形成される構成を示した。しかしながらこれに限定されず、保護膜80の膜厚は、第I領域および第II領域に近いほど薄く形成されてもよい。
【0069】
次に、図12に示すように、半導体層20の一部を酸化して、酸化膜24を形成する。酸化膜24は、例えば、酸化処理等によって形成される。保護膜80で覆われる第III領域(第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む)を含む領域の半導体層20には、酸化膜24が形成されない。このため、保護膜80から露出する第I領域および第II領域の半導体層20の表面に酸化膜24が形成される。
【0070】
次に、図13に示すように、酸化膜24を選択的に除去する。酸化膜24の除去は、例えば、ウェットエッチング等によって行われる。半導体層20より酸化膜24に対して選択比の高い条件でエッチングする。酸化膜24のエッチングによって、第I領域および第II領域の半導体層20の膜厚は保護膜80で覆われる第III領域(第1の拡幅部a、第2の拡幅部b、第1の狭窄部A、第2の狭窄部Bを含む)を含む領域の半導体層20の膜厚より小さくなる。図13において保護膜80は、一部エッチングされて残っている。しかしながらこれに限定されず、保護膜80は酸化膜24とともに全てエッチングされてもよい。
【0071】
本実施形態に係るメモリセルアレイの製造方法においては、第III領域を含む所定の領域(第I領域および第II領域以外)の半導体層20が保護膜80によって覆われていることで、第III領域を含む所定の領域(第I領域および第II領域以外)における酸化膜24の形成およびエッチングを抑制することができる。このため、第III領域を含む所定の領域の半導体層20の膜厚は、第I領域および第II領域の半導体層20の膜厚より大きく形成される。第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚が小さいことで、半導体層20は対向するメモリ層30および導電層70とともに構成するメモリセルMCの特性を向上することができる。第III領域における半導体層20の膜厚は大きいことから、第1の狭窄部Aおよび第2の狭窄部Bにおいて半導体層20が不連続になることを抑制することができ、信頼性と製造歩留まりを向上することができる。
【0072】
図14に示すように、メモリホールMHの内部にコア層50を形成する。コア層50は、半導体層20の内側を埋めるように形成される。コア層50の形成は、例えば、CVD装置を用いて堆積される。メモリホールMH内のメモリ層30、半導体層20、およびコア層50の積層は、柱状体部CLを構成する。
【0073】
図15に示すように、積層体100上に堆積した半導体層20およびコア層50は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)やエッチバックにより除去される。その後、絶縁層40上に絶縁層41が形成される。絶縁層41は、柱状体部CLを構成する積層の上端を覆う。
【0074】
そして、図示しないマスクを用いたRIE法により、絶縁層41、複数の絶縁層40、および複数の犠牲層71を含む積層体100に、複数の開口STを形成する。開口STは、複数の絶縁層40及び複数の犠牲層71に共通する。開口STは、柱状体部CLの近傍で積層体100を貫通し、基板10に達する。
【0075】
次に、開口STを介して供給されるエッチング液により、犠牲層71を除去する。犠牲層71の除去により、積層方向に隣接する絶縁層40の間に空隙が形成される。最下層の空隙が露出するエピタキシャル成長層60には、酸化処理などを行うことによって絶縁層62を形成する。隣接する絶縁層40の間の空隙には、導電層70を形成することで、図2に示すメモリセルアレイ1を製造することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法によると、第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚が小さいことで、半導体層20は対向するメモリ層30および導電層70とともに構成するメモリセルMCの特性を向上することができる。第1の狭窄部Aおよび第2の狭窄部Bにおける半導体層20の膜厚は大きいことから、半導体層20が不連続になることを抑制することができ、信頼性と製造歩留まりを向上することができる。
【0077】
<第2実施形態>
[メモリセルアレイの構成]
図16を用いて、第2実施形態に係るメモリセルアレイ1A及びその製造方法について説明する。第2実施形態に係るメモリセルアレイ1Aは、柱状体部CLの形状以外、第1実施形態に係るメモリセルアレイ1と同じである。以下の説明において、第1実施形態と同様の構成及び製造方法については説明を省略し、主に第1実施形態と異なる構成及び製造方法について説明する。
【0078】
図16は、第2実施形態のメモリセルアレイ1Aの模式断面図である。図16に示すように、本実施形態に係る柱状体部CLは第2の拡幅部b、第2の狭窄部B、および第III領域を有さない。
【0079】
柱状体部CLは、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における幅(径、外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。第1の狭窄部Aは、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域と隣接する。第1の狭窄部Aは、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第1の狭窄部AのX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より小さくてもよい。柱状体部CLは、第1の狭窄部AのX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より小さくてもよい。
【0080】
柱状体部CLは、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における幅が大きい第1の拡幅部aを有する。第1の拡幅部aは、第1の狭窄部Aと隣接する。第1の拡幅部aは、下層積層体120と上層積層体140との境界の絶縁層40と対向する。柱状体部CLは、第1の拡幅部aのX方向における幅が、第1の狭窄部AのX方向における幅より大きい。柱状体部CLは、第1の拡幅部aのX方向における幅が、上層積層体140の導電層70と対向する第II領域のX方向における幅より大きい。柱状体部CLは、第1の拡幅部aのX方向における幅が、下層積層体120の導電層70と対向する第I領域のX方向における幅より大きい。
【0081】
メモリ層30は柱状体部CL側面に円筒状に設けられている。メモリ層30の外側面(交互に積層された導電層70及び絶縁層40に接する面)は、上述するCL側面の形状を反映している。メモリ層30の内側面(半導体層20に接する面)も、上述するCL側面の形状を反映している。すなわち、メモリ層30は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅(外径、対向する外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。メモリ層30は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅が大きい第1の拡幅部aを有する。メモリ層30の第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域におけるX方向における外幅の大小関係は、柱状体部CLの第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域におけるX方向における幅の大小関係と同じであることから、その説明はここでは省略する。
【0082】
メモリ層30の外側面(交互に積層された導電層70及び絶縁層40に接する面)とメモリ層30の内側面(半導体層20に接する面)との間の最短距離(膜厚)は、全面にわたって略同一である。すなわち、メモリ層30の膜厚は、開口MHおよび柱状体部CLの形状にかかわらず略均一の厚さに形成される。
【0083】
半導体層20は、メモリ層30の内側面およびエピタキシャル成長層60に接するように有底円筒状に設けられている。半導体層20の外側面(メモリ層30に接する面)は、上述するCL側面の形状を反映している。半導体層20の内側面(コア層50に接する面)も、上述するCL側面の形状を反映している。すなわち、半導体層20は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅(外径、対向する外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。半導体層20は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅が大きい第1の拡幅部aを有する。半導体層20の第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域、におけるX方向における外幅の大小関係は、柱状体部CLの第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域におけるX方向における幅の大小関係と同じであることから、その説明はここでは省略する。
【0084】
半導体層20の外側面(メモリ層30に接する面)と半導体層20の内側面(コア層50に接する面)との間の最短距離(膜厚)は、第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域において異なる。第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚は、第1の拡幅部aおよび第1の狭窄部Aにおける半導体層20の膜厚より小さい。第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚が小さいことで、半導体層20は対向するメモリ層30および導電層70とともに構成するメモリセルMCの特性を向上することができる。第1の拡幅部aおよび第1の狭窄部Aにおける半導体層20の膜厚は大きいことから、半導体層20が不連続になることを抑制することができ、信頼性と製造歩留まりを向上することができる。
【0085】
本実施形態において、第I領域および第II領域におけるすべての導電層70と対向する半導体層20の膜厚が、第1の拡幅部aおよび第1の狭窄部Aにおける半導体層20の膜厚より小さい例を示した。しかしながらこれに限定されず、第1の狭窄部Aに近接する第I領域の最上層の導電層70および/または第II領域の最下層の導電層70と対向する半導体層20の膜厚は、第1の狭窄部Aにおける半導体層20の膜厚と略同一であってもよい。また、第1の狭窄部Aは、第II領域の最下層の導電層70と対向してもよい。第2の狭窄部Bは、第I領域の最上層の導電層70と対向してもよい。このような半導体層20を含むメモリセルMCは、メモリセルMCとして機能することが予定されていなくてもよい。
【0086】
コア層50は、半導体層20の内側面に接するように円柱状に設けられている。コア層50の外側面(半導体層20に接する面)は、上述するCL側面の形状を反映している。すなわち、コア層50は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅(外径、対向する外側面間の距離)が小さい第1の狭窄部Aを有する。コア層50は、下層積層体120と上層積層体140との境界に、X方向における外幅が大きい第1の拡幅部aを有する。コア層50の第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域におけるX方向における幅の大小関係は、柱状体部CLの第1の拡幅部a、第1の狭窄部A、第I領域、第II領域におけるX方向における幅の大小関係と同じであることから、その説明はここでは省略する。
【0087】
[メモリセルアレイの製造方法]
第2実施形態に係るメモリセルアレイ1Aの製造方法は、接合部Jを形成しないこと以外、第1実施形態に係るメモリセルアレイ1の製造方法と同じであることからここでは省略する。
【0088】
本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法によると、第I領域および第II領域における半導体層20の膜厚が小さいことで、半導体層20は対向するメモリ層30および導電層70とともに構成するメモリセルMCの特性を向上することができる。第1の拡幅部aおよび第1の狭窄部Aにおける半導体層20の膜厚は大きいことから、半導体層20が不連続になることを抑制することができ、信頼性と製造歩留まりを向上することができる。
【0089】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の半導体記憶装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0090】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0091】
1:メモリセルアレイ、 10:基板、 20:半導体層、 30:メモリ層、 31:トンネル絶縁層、 32:電荷蓄積層、 33:ブロック絶縁層、 40、41、62:絶縁層、 50:コア層、 70:導電層、 7:犠牲層 100:積層体
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