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特開2022-142593警報装置、警報方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142593
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】警報装置、警報方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220922BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220922BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20220922BHJP
   E05B 77/22 20140101ALI20220922BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
B60H1/00 101Q
B60H1/00 103V
E05B77/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042820
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康則
【テーマコード(参考)】
2E250
3L211
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ27
2E250JJ37
2E250LL01
2E250SS01
3L211EA03
3L211GA84
3L211GA85
5C086AA05
5C086AA22
5C086BA13
5C086BA22
5C086CA01
5C086CB01
5C086FA06
5C087AA02
5C087AA37
5C087BB18
5C087DD03
5C087DD14
5C087DD38
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF25
5C087GG06
5C087GG08
5C087GG59
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車室に残された生体が危険な状態に陥らないように運転手に警告する警報装置、警報方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】車両2において、警報装置1は、運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知する生体検知部(赤外線センサ21)と、車両の車室に設けられた車内スピーカと、運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知する降車検知部14と、降車準備動作が検知された場合に車内スピーカから第1警報を出力する警報指令部15と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知する生体検知部と、
前記車両の車室に設けられた車内スピーカと、
前記運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知する降車検知部と、
前記降車準備動作が検知された場合に、前記車内スピーカから第1警報を出力する警報指令部と、
を備えたことを特徴とする警報装置。
【請求項2】
前記車室の温度を計測する温度センサと、
前記車両の空調装置が作動しているか否かを検知する空調状態検知部と、
を備え、
前記警報指令部は、前記温度センサでの計測結果が閾値以上であり、かつ、前記空調装置が作動していない場合に、前記空調装置を作動させることを促す音声を前記第1警報として前記車内スピーカから出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記車両の外部に設けられた車外スピーカを備え、
前記降車検知部は、前記運転手が降車動作を行ったか否かを検知し、
前記警報指令部は、前記降車動作が検知された場合に、前記車外スピーカから前記第1警報とは異なる第2警報を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項4】
携帯端末と通信を行う通信部を備え、
前記警報指令部は、前記通信部を介して前記携帯端末に前記第2警報を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の警報装置。
【請求項5】
前記第2警報が出力されたら、前記車両のドアを解錠し、かつ、前記車両の後部座席ドアを内側から開かないようにするチャイルドロックを解除するドアロック制御部を備えた
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の警報装置。
【請求項6】
前記車室の内部環境を検知する環境検知部を備え、
前記警報指令部は、前記第2警報を出力した後で、前記環境検知部により前記車室の異常な環境が検知された場合に、前記第1警報及び前記第2警報とは異なる第3警報を前記車外スピーカから出力する
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の警報装置。
【請求項7】
前記第3警報が出力されたら、前記車両の窓を開状態とする窓制御部を備えた
ことを特徴とする請求項6に記載の警報装置。
【請求項8】
運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知するステップと、
前記運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知するステップと、
前記降車準備動作が検知された場合に、前記車両の車室に設けられた車内スピーカから第1警報を出力するステップと、
を含むことを特徴とする警報方法。
【請求項9】
コンピュータを、
運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知する生体検知部、
前記運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知する降車検知部、
前記降車準備動作が検知された場合に、前記車両の車室に設けられた車内スピーカから第1警報を出力する警報指令部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報装置、警報方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体センサにより車内に生体が存在することを検出し、且つ警報を出力するための所定の条件を満たすことにより出力装置に出力させる警報を判定する車両制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-149485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、車内に置き去りにされた乳幼児が危険にさらされた時に警報を発するものであり、乳幼児が危険な状態にさらされることを未然に防ぐことはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、車室に残された生体が危険な状態に陥らないように予め運転手に警告することができる警報装置、警報方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る警報装置は、例えば、運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知する生体検知部と、前記車両の車室に設けられた車内スピーカと、前記運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知する降車検知部と、前記降車準備動作が検知された場合に、前記車内スピーカから第1警報を出力する警報指令部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他態様に係る警報方法は、例えば、運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知するステップと、前記運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知するステップと、前記降車準備動作が検知された場合に、前記車両の車室に設けられた車内スピーカから第1警報を出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様に係るプログラムは、例えば、コンピュータを、運転手以外の生体が車両の内部に存在するか否かを検知する生体検知部、前記運転手が降車準備動作を行ったか否かを検知する降車検知部、前記降車準備動作が検知された場合に、前記車両の車室に設けられた車内スピーカから第1警報を出力する警報指令部、として機能させることを特徴とする。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、運転手以外の生体が車両の内部に存在し、運転手が降車準備動作を行うと、車内スピーカから第1警報を出力する。これにより、車室に残された生体が危険な状態に陥らないように予め運転手に警告することができる。
【0010】
前記車室の温度を計測する温度センサと、前記車両の空調装置が作動しているか否かを検知する空調状態検知部と、を備え、前記警報指令部は、前記温度センサでの計測結果が閾値以上であり、かつ、前記空調装置が作動していない場合に、前記空調装置を作動させることを促す音声を前記第1警報として前記車内スピーカから出力してもよい。これにより、運転手に空調装置を作動させるように促すことができる。そして、運転手に空調装置を作動させることで、同乗者が熱中症等にならないように事前に対処することができる。
【0011】
前記車両の外部に設けられた車外スピーカを備え、前記降車検知部は、前記運転手が降車動作を行ったか否かを検知し、前記警報指令部は、前記降車動作が検知された場合に、前記車外スピーカから前記第1警報とは異なる第2警報を出力してもよい。これにより、降車した運転手に車室に戻るように促すことができる。
【0012】
携帯端末と通信を行う通信部を備え、前記警報指令部は、前記通信部を介して前記携帯端末に前記第2警報を出力してもよい。これにより、降車した運転手が車外スピーカから出力された第2警報を聞き逃したとしても、生体が危険な状態に陥る恐れがあることを運転手に知らせることができる。
【0013】
前記第2警報が出力されたら、前記車両のドアを解錠し、かつ、前記車両の後部座席ドアを内側から開かないようにするチャイルドロックを解除するドアロック制御部を備えてもよい。これにより、車室にいる生体が自力で外に出られるようになり、また、車外にいる人が車室にいる生体を車室から救出できるようになる。
【0014】
前記車室の内部環境を検知する環境検知部を備え、前記警報指令部は、前記第2警報を出力した後で、前記環境検知部により前記車室の異常な環境が検知された場合に、前記第1警報及び前記第2警報とは異なる第3警報を前記車外スピーカから出力してもよい。これにより、車両の周囲にいる人に生体の危険を知らせることができる。
【0015】
前記第3警報が出力されたら、前記車両の窓を開状態とする窓制御部を備えてもよい。これにより、車外にいる人に車室にいる生体の救出を促すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車室に残された生体が危険な状態に陥らないように運転手に予め警告することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る警報装置1、警報装置1が設けられている車両2及び警報装置1に接続される携帯端末3の概略を示す図である。
図2】警報装置1、車両2及び携帯端末3の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
図3】警報装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図4】警報装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図5】警報装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る警報装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。警報装置は、車両の車室に置き去りにされた子供や動物等が危険にさらされないように警報を出力する装置である。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る警報装置1、警報装置1が設けられている車両2及び警報装置1に接続される携帯端末3の概略を示す図である。図2は、警報装置1、車両2及び携帯端末3の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。警報装置1は、携帯端末3と無線又はネットワークにより接続されている。
【0020】
車室30内には車内スピーカ31が設けられており、車両2の外部には車外スピーカ32が設けられている。車両2は、車室30の温度を調整する空調装置33を備える。また、車両2には、窓34やドア35が設けられている。
【0021】
警報装置1は、主として、制御部10と、赤外線センサ21と、環境検知部22と、を備える。また、車両2は、主として、車内スピーカ31と、車外スピーカ32と、空調装置33と、窓34と、ドア35とを備える。
【0022】
赤外線センサ21(本発明の生体検知部に相当)は、例えば、セラミックスの焦電効果を用いた赤外線センサであり、人間や動物等の生体から発せられる赤外線を検知する。これにより、車室30に生体が存在するか否かが検知可能である。また、赤外線センサ21は、生体が存在する位置を検知することができる。したがって、運転手D以外の生体(同乗者P、ペット等)が車室30に存在するか否かを検知することができる。赤外線センサ21は公知の技術を用いることができる。
【0023】
なお、生体を検知する生体検知部は、赤外線センサ21に限られない。例えば、車室30を撮影する撮像部を設け、制御部10が撮像された画像に基づいて生体を検知することで生体検知部としてもよい。
【0024】
環境検知部22は、車両2の内部環境を検知するセンサである。環境検知部22は、主として、温度センサ23と、ガスセンサ24とを有する。
【0025】
温度センサ23は、車室30内に設けられており、車室30の温度を計測する。ガスセンサ24は、車室30内に設けられており、一酸化炭素の濃度を検出するセンサや、二酸化炭素の濃度を検出するセンサ等を含む。温度センサ23及びガスセンサ24は、公知の技術を用いることができる。
【0026】
制御部10は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)56(図3参照)等の演算装置や記憶装置54(図3参照)により、ソフトウェア資源として少なくとも、空調状態検知部11、窓制御部12、ドアロック制御部13、降車検知部14、警報指令部15、及び通信部16を有する。
【0027】
空調状態検知部11は、車両2の空調装置33が作動しているか否かを検知する機能部である。空調状態検知部11は、空調装置33を制御する車両2の制御部(図示省略)と接続されており、空調装置33が作動しているか否かの情報を車両2の制御部から取得する。
【0028】
また、空調状態検知部11は、空調装置33が作動しているときに、空調装置33の駆動可能時間を取得する。車両2の制御部(図示省略)は、空調装置33の電力消費と、車両2のバッテリー(図示省略)の残量とに基づいて、空調装置33の駆動可能時間を算出可能である。車両2の制御部(図示省略)は、空調装置33の電力消費と、車両2の燃料の残量とに基づいて、空調装置33の駆動可能時間を算出してもよい。空調状態検知部11は、車両2の制御部(図示省略)が算出した空調装置33の駆動可能時間を取得する。
【0029】
窓制御部12は、窓34と接続されており、窓34を開状態とする機能部である。具体的には、窓制御部12は、窓34が有する窓駆動部(図示省略)を介して窓34を開閉する。
【0030】
ドアロック制御部13は、ドア35(運転席ドア35A、後部座席ドア35Bを含む)と接続されており、ドア35を解錠し、かつ、後部座席ドア35Bを内側から開かないようにするチャイルドロックを解除する機能部である。
【0031】
降車検知部14は、運転手Dが降車準備動作又は降車動作を行ったか否かを検知する機能部である。降車検知部14は、運転席ドア35A又は運転席ドア35Aの近傍に設けられたセンサ(図示省略)と接続されており、運転席ドア35Aの開閉を検知する。また、降車検知部14は、車室30に設けられた運転席(図示省略)に設けられた圧力センサ(図示省略)と接続されており、運転席に運転手Dが座っているか否かを検知する。
【0032】
そして、降車検知部14は、運転席ドア35Aが開いており、かつ、運転席に運転手Dが座っている場合には、運転手Dが降車準備動作を行ったことを検知する。また、降車検知部14は、運転席ドア35Aが開いており、かつ、運転席に運転手Dが座っていない場合には、運転手Dが降車動作を行ったことを検知する。
【0033】
警報指令部15は、車内スピーカ31又は車外スピーカ32から警報を出力する機能部である。警報指令部15は、車内スピーカ31から第1警報を出力し、車外スピーカ32から第2警報又は第3警報を出力する。第1警報、第2警報、第3警報は、出力されるタイミング及びその内容がそれぞれ異なる。警報指令部15の機能については後に詳述する。
【0034】
通信部16は、携帯端末と通信を行う機能部である。通信部16は、警報指令部15から出力された第2警報を携帯端末3に出力する。
【0035】
図3は、警報装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。警報装置1は、制御装置50と、通信装置52と、記憶装置54と、を備える。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)56及びメモリ58を主に備えて構成される。
【0036】
制御装置50では、記憶装置54又はメモリ58等に格納された所定のプログラムをCPUが実行することにより、各種の機能部として機能する。
【0037】
通信装置52は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置52は、例えば携帯端末3等との間で各種の情報を送受信する。
【0038】
記憶装置54は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置54は、制御装置50における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0039】
なお、警報装置1は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータ等の情報処理装置を用いて実現することができる。また、警報装置1は、単一の情報処理装置により構成されるものであってもよく、通信ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置により構成されるものであってもよい。また、図3は、警報装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、警報装置1は、サーバ装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0040】
図4、5は、警報装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。まず、図4に示す降車準備動作に対する処理を説明する。最初に、警報指令部15は、降車検知部14での検知結果に基づいて運転手Dの降車準備動作が行われたか否かを判定する(ステップSP11)。運転手Dの降車準備動作が行われていない場合(ステップSP11でNO)には、繰り返しステップSP11の処理を行う。
【0041】
運転手Dの降車準備動作が行われた場合(ステップSP11でYES)には、警報指令部15は、赤外線センサ21での検知結果に基づいて、運転手D以外の生体が車室30に存在するか否かを判定する(ステップSP12)。運転手D以外の生体が車室30に存在しない場合(ステップSP12でNO)には、処理をステップSP11に戻す。
【0042】
運転手D以外の生体が車室30に存在する場合(ステップSP12でYES)には、警報指令部15は、車内スピーカ31から第1警報を出力する(ステップSP13)。以下、ステップSP13の処理について説明する。
【0043】
警報指令部15は、温度センサ23から計測結果を取得する。また、空調状態検知部11は空調装置33が作動しているか否かを検知し、警報指令部15は空調状態検知部11から検知結果を取得する。その結果、温度センサ23から計測された車室30の温度が第1閾値以上であり、空調装置33が動作していない場合には、警報指令部15は、空調装置33を動作させることを促す音声を第1警報として車内スピーカ31から出力する。この場合の第1警報の内容は、例えば、「熱中症の危険があります。エアコンを入れてください。」等の音声情報である。これにより、車室30の気温が上昇し、熱中症の危険があることを降車準備動作をした運転手Dに警告し、運転手Dに空調装置33を動作させるように促すことができる。そして、運転手Dに空調装置33を動作させることで、同乗者Pが熱中症にならないように事前に対処することができる。
【0044】
また、温度センサ23で計測された車室30の温度が第2閾値以下であり、空調装置33が作動していない場合には、警報指令部15は、空調装置33を作動させることを促す音声を第1警報として車内スピーカ31から出力する。この場合の第1警報の内容は、例えば、「気温が低いのでエアコンを入れてください。」等の音声情報である。これにより、車室30の気温が低すぎることを降車準備動作をした運転手Dに警告し、運転手Dに空調装置33を作動させるように促すことができる。
【0045】
警報指令部15は、空調状態検知部11から空調装置33が作動しているか否かの検知結果を取得して、空調装置33が作動されているか否かを判定する(ステップSP14)。
【0046】
空調装置33が作動されている場合(ステップSP14でYES)には、警報指令部15は、空調状態検知部11を介して空調装置33の駆動可能時間を取得し、これを車内スピーカ31から出力する(ステップSP15)。なお、ステップSP15において、警報指令部15は、空調装置33の駆動可能時間が閾値(例えば、3時間)以下の場合に、空調装置33の駆動可能時間を車内スピーカ31から出力してもよい。これにより、運転手Dに空調装置33の駆動可能時間が短いことを知らせることができる。
【0047】
空調装置33の駆動可能時間を車内スピーカ31から出力した後(ステップSP15)又は空調装置33が作動されていない場合(ステップSP14でNO)には、警報指令部15は、降車検知部14での検知結果に基づいて運転手Dの降車動作が行われたか否かを判定する(ステップSP16)。運転手Dの降車動作が行われなかった場合(ステップSP16でNO)は、処理をステップSP11に戻す。運転手Dの降車動作が行われた場合(ステップSP16でYES)は、警報指令部15は、図5に示す降車動作に対する処理を行う。
【0048】
図5に示すように、運転手Dの降車動作が行われた場合(ステップSP15でYES)には、警報指令部15は、ステップSP13で出力した第1警報とは異なる第2警報を車外スピーカ32から出力する(ステップSP21)。この段階では、運転手Dは車外にいるため、車外スピーカ32から警報を出力することで、警報が運転手Dに聞こえるようにする。
【0049】
第2警報の内容は、例えば、「中に人が残っています。熱中症の危険があります。」等の音声情報である。これにより、降車した運転手Dに車室30に戻るように促すことができる。
【0050】
また、警報指令部15は、通信部16を介して携帯端末3に第2警報を出力する(ステップSP21)。これにより、降車した運転手Dが車外スピーカ32から出力された第2警報を聞き逃したとしても、運転手に同乗者Pの危険を知らせることができる。なお、ステップSP21において携帯端末3に第2警報を出力することは必須ではない。
【0051】
また、警報指令部15は、ドアロック制御部13を介して、ドア35を解錠し、かつ、後部座席ドア35Bを内側から開かないようにするチャイルドロックを解除する(ステップSP22)。
【0052】
次に、警報指令部15は、環境検知部22での検知結果に基づいて車室30の環境が異常であるか否かを判定する(ステップSP23)。例えば、警報指令部15は、温度センサ23から計測結果を取得し、室温が第3閾値以上である場合に、同乗者Pが熱中症になり得る環境、すなわち車室30の環境が異常であると判定する。第3閾値は、第1閾値と同じでもよいし、第1閾値より大きくてもよい。また、例えば、警報指令部15は、室温が第3閾値以上であり、空調装置33が作動していないときに、車室30の環境が異常であると判定してもよい。
【0053】
また、例えば、警報指令部15は、温度センサ23で計測された室温が第4閾値以下である場合に、車室30の環境が異常であると判定する。第4閾値は、第2閾値と同じでもよいし、第2閾値より小さくてもよい。
【0054】
また、例えば、警報指令部15は、ガスセンサ24から計測結果を取得し、車室30の一酸化炭素濃度が閾値以上である場合に、同乗者Pが一酸化炭素中毒になり得る環境、すなわち車室30の環境が異常であると判定する。さらに、例えば、警報指令部15は、ガスセンサ24から計測結果を取得し、車室30の二酸化炭素濃度が閾値以上である場合に、同乗者Pが体調不良になり得る環境、すなわち車室30の環境が異常であると判定する。
【0055】
車室30の異常な環境が検知されなった場合(ステップSP23でNO)には、繰り返しステップSP23の処理を行う。
【0056】
車室30の異常な環境が検知された場合(ステップSP23でYES)には、警報指令部15は、ステップSP13で出力した第1警報及びステップSP21で出力した第2警報とは異なる第3警報を車外スピーカ32から出力する(ステップSP24)。第3警報の内容は、例えば、「中に人がいるため窓と扉を開けます」という音声情報である。これにより、車両2の周囲にいる人に同乗者Pの危険を知らせることができる。
【0057】
また、第3警報の内容は、例えば、「中に人がいるためドアを開けてください」という音声情報であってもよい。車両2の周囲にいる人に車両2のドアを開けるように促すことができる。
【0058】
また、「中に人がいるため窓と扉を開けます」という第3警報を車外スピーカ32から出力するのと共に、警報指令部15は、窓制御部12を介して窓34を開状態にする(ステップSP24)。これにより、車室30内にいる同乗者Pの熱中症の危険性を減らすことができる。
【0059】
なお、ステップSP24において、窓34を開状態にする処理は必須ではない。特に、ステップSP23において、温度センサ23で計測された室温が第4閾値以下であることにより車室30の環境が異常であると判断した場合には、外気温が低い恐れがあるため、窓34を開状態にする処理を行わないようにすることが望ましい。
【0060】
また、警報指令部15は、通信部16を介して携帯端末3に第3警報を出力してもよい。これにより、運転手Dに車両2に戻るように促すことができる。
【0061】
本実施の形態によれば、運転手Dの降車準備動作が検知された場合に、車内スピーカ31から第1警報を出力することで、同乗者Pを車室30に残して降車しようとしていることを運転手Dに知らせることができる。したがって、車室に残された生体が危険な状態に陥らないように運転手に警告することができる。また、意図しない同乗者Pの置き去りを防止することができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、室温が第1閾値以上であり、かつ、空調装置33が作動していない場合に、空調装置33を作動させることを促す音声を第1警報として車内スピーカ31から出力することで、熱中症の危険があることを降車準備動作をした運転手Dに警告し、運転手Dに空調装置33を作動させるように促すことができる。そして、運転手Dに空調装置33を作動させることで、同乗者Pが熱中症にならないように事前に対処することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、運転手Dが降車動作をしたときに第1警報とは異なる第2警報を車外スピーカ32から出力することで、降車した運転手Dに車室30に戻るように促すことができる。また、携帯端末3に第2警報を出力することで、降車した運転手Dが車外スピーカ32から出力された第2警報を聞き逃したとしても、運転手に同乗者Pが危険な状態に陥る恐れがあることを知らせることができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、第2警報を出力した後で、ドア35を解錠し、かつ、後部座席ドア35Bのチャイルドロックを解除することで、車室30にいる同乗者Pが自力で外に出られるようにし、また、車外にいる人が車室30にいる同乗者Pを車室30から救出することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、第2警報を出力した後で、車室30の異常な環境が検知された場合に第3警報を車外スピーカ32から出力することで、車外にいる人に同乗者Pの救出を促すことができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、車室30に生体が存在した場合に(ステップ12でYES)、ステップSP13において、所定の条件を満たしたとき(例えば、温度センサ23から計測された車室30の温度が第1閾値以上又は第2閾値以下であり、空調装置33が作動していないとき)に、警報指令部15が車内スピーカ31から第1警報を出力したが、所定の条件を満たしていないときにも車内スピーカ31から第1警報を出力してもよい。すなわち、ステップSP13において、警報指令部15は、車室30に生体が存在したら(ステップ12でYES)、車内スピーカ31から第1警報を出力してもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、車内スピーカ31から第1警報を出力(ステップSP13)した後で、空調装置33が作動されているか否かを判定(ステップSP14)したが、ステップSP13とステップSP14の順番は逆でもよい。この場合には、警報指令部15は、空調装置33が作動されている(ステップSP14でYES)なら、空調装置33の駆動可能時間を車内スピーカ31から出力(ステップSP15)した後で、又は同時に、第1警報を車内スピーカ31から出力(ステップSP13)すればよい。
【0068】
また、本実施の形態では、第2警報を出力(ステップSP21)した後、ステップSP22において、警報指令部15は、ドア35の解錠及び後部座席ドア35Bのチャイルドロックを解除したが、空調装置33が作動していないときにドア35の解錠及び後部座席ドア35Bのチャイルドロックを解除してもよいし、車室30の温度が閾値以上のときにドア35の解錠及び後部座席ドア35Bのチャイルドロックを解除してもよい。また、第2警報を出力(ステップSP21)した後で車室30の異常を検知(ステップSP23)し、車室30の異常を検知されたとき(ステップSP23でYES)にドア35の解錠及び後部座席ドア35Bのチャイルドロックを解除(ステップSP22)すると共に、窓を開状態にして第3警報を車外スピーカ32から出力(ステップSP24)してもよい。
【0069】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 :警報装置
2 :車両
3 :携帯端末
10 :制御部
11 :空調状態検知部
12 :窓制御部
13 :ドアロック制御部
14 :降車検知部
15 :警報指令部
16 :通信部
21 :赤外線センサ
22 :環境検知部
23 :温度センサ
24 :ガスセンサ
30 :車室
31 :車内スピーカ
32 :車外スピーカ
33 :空調装置
34 :窓
35 :ドア
35A :運転席ドア
35B :後部座席ドア
50 :制御装置
52 :通信装置
54 :記憶装置
58 :メモリ
図1
図2
図3
図4
図5