(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142600
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20220922BHJP
【FI】
B67D7/32 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042831
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤見 裕介
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 栄三
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA01
3E083AB15
3E083AB20
3E083AC28
3E083AD17
3E083AK10
(57)【要約】
【課題】燃料供給許可器の故障が起きた際でも、顧客自らが給油ノズルを操作して行うセルフサービス方式の給油作業が行える燃料供給を提供する。
【解決手段】燃料供給許可器が故障した場合でも、燃料供給許可器の携帯許可端末を携帯許可端末設置部に設置することにより、燃料供給許可機能部が、当該設置された携帯許可端末を燃料供給許可器の操作部および表示部として、燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続されている燃料供給機の燃料供給作業管理を実行することで、燃料供給許可器の故障修理が実際に済んで復旧するまでの間、携帯許可端末設置部に携帯許可端末が設置されたノーダウンユニットを燃料供給許可器の代替機として使用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給許可器および燃料供給機をネットワーク接続する燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続され、
前記燃料供給許可器の携帯許可端末が着脱自在に設置される携帯許可端末設置部と、
前記携帯許可端末設置部に設置された前記携帯許可端末を前記燃料供給許可器の操作部および表示部として、前記燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続されている前記燃料供給機の給油作業管理を実行する燃料供給許可機能部と、
を備えたノーダウンユニットを含む燃料供給システム。
【請求項2】
前記ノーダウンユニットの前記燃料供給許可機能部は、前記燃料供給許可器とは排他的に、前記燃料供給許可器が故障している場合に、前記燃料供給機の燃料供給作業管理を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記携帯許可端末は、前記携帯許可端末設置部に設置された状態で、前記燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続された前記燃料供給機それぞれの燃料供給許可操作を操作実行することができ、前記携帯許可端末設置部に設置されていない状態では、当該携帯許可端末の現在の所在位置を基に予め定められている前記燃料供給機についてだけ燃料供給許可操作を操作実行することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記ノーダウンユニットの前記燃料供給許可機能部は、前記燃料供給許可器が故障している場合に前記携帯許可端末設置部に前記携帯許可端末が設置されると、前記燃料供給所内ネットワークを介して、前記燃料供給許可器に代わる燃料供給許可要求の送信先、燃料供給許可の送信元として、各燃料供給機および他の携帯許可端末に対して知らせる、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、顧客自身が燃料供給機を操作して燃料供給作業を行うセルフサービス方式の燃料供給所に適用して好適な燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セルフサービス方式の燃料供給システムでは、車両等の供給対象に対する燃料供給を、顧客自身が供給液種、供給液量等を設定し、燃料供給機に備えられた燃料供給ノズルを操作して行う。
【0003】
セルフサービス方式の燃料供給システムの一例としてのセルフ給油システムでは、顧客自らが、給油作業設定器を操作して、車両等の供給対象にこれから供給する油種、油量等の給油作業情報の設定を行い、給油ノズル(燃料供給ノズル)を給油機(燃料供給機)のノズル掛けから取り外して、給油ノズルの吐出パイプを車両等の給油口に挿入させた状態で操作レバーを開弁操作し、供給対象に対する燃料供給を行う。
【0004】
その際、給油機のノズル掛けから給油ノズルが取り外されると、給油機から、その設定された給油作業情報や、給油ノズルへの送液許可要求を含む給油許可要求が、燃料供給許可器(セルフ・サービス・コンソール、SSC)に対して送られる。
【0005】
作業監督者としての給油所係員は、給油許可要求の発生を受け、顧客による上述した準備作業が誤りなく適確に行われていることを確認すると、燃料供給許可器によって、給油許可要求があった給油機に設定油種の給油ノズルへの送液を許可し、供給対象に対する給油(実際の燃料供給)を顧客自らの操作レバーの操作で開始できるようにする。
【0006】
一例として、特許文献1、2に記載されたセルフ給油システムでは、燃料供給許可器には、専用の携帯許可端末(リモートコントローラ、ヘッドマウントディスプレイ装置からなる携帯許可端末)が備えられている。携帯許可端末は、燃料供給許可器と無線通信接続され、給油所(燃料供給所)に設置されている複数の給油機それぞれの作動状態(稼動状態)が表示される表示部と、給油機それぞれのポンプ等の送液機器の作動を許可して実際の給油開始(燃料供給開始)を許可する操作部と、を有する構成になっている。
【0007】
このような携帯許可端末を備えたセルフ給油システムでは、給油所係員は、携帯許可端末を携帯していれば、給油機から給油許可要求が発せられてもその場に居ながら認識でき、燃料供給許可器が設置された事務所まで戻って燃料供給許可器を操作せずとも給油作業地点で携帯許可端末を操作し、給油許可要求があった給油機に対して給油許可を燃料供給許可器に発信させ、顧客がノズル掛けから取り外した給油ノズルに対応する送液機器の作動を許可することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-335696号公報
【特許文献2】特開2018-52570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の燃料供給システムは、燃料供給許可器が故障してしまうと、給油機は、給油許可要求を燃料供給許可器に送信しても、燃料供給許可器は、給油許可要求が発せられた給油機に、給油許可を発信することができなくなってしまう。その結果、顧客がセルフサービス方式の給油作業(燃料供給作業)を行おうとしても、給油機は、燃料供給許可器からの給油許可を受信できないので、ポンプ等の送液機器が燃料供給作動できない。その結果、給油機10による給油作業全てが行えなくなってしまう。
【0010】
セルフ給油システムでは、燃料供給許可器の故障が一旦起きてしまうと、メーカやメンテナンス業者等による修理が実際に済んで燃料供給許可器の故障が復旧するまでの間は、燃料供給許可器は給油機からの給油許可要求や携帯許可端末からの許可操作入力に対処できなくなり、顧客自らが給油ノズルを操作して行うセルフサービス方式の給油作業ができなくなる。
【0011】
そこで、燃料供給許可器の故障が起きた際に、例えば、給油所係員が、燃料供給許可器との間でのセルフ給油に係る通信接続を給油機側で切り離して、給油機側単独で稼働し得る状態にすることも考えられる。
【0012】
しかし、このように給油機側単独で稼働し得る状態にした場合は、給油作業時の安全面から、給油所係員自らが給油ノズルを操作して顧客の給油作業に対応しなければならず、給油所係員の労力が著しく増大することになる。加えて、深夜等の人手の少ない時間帯の場合は、顧客の作業要求に対する迅速な対応も難しくなるので、サービスの低下に繋がる。
【0013】
本開示は上記した課題を解決するものであって、燃料供給許可器の故障が起きた際でも、顧客自らが給油ノズルを操作して行うセルフサービス方式の給油作業が行える、ノーダウン方式の燃料供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示に係る燃料供給システムは、
燃料供給許可器および燃料供給機をネットワーク接続する燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続され、
前記燃料供給許可器の携帯許可端末が着脱自在に設置される携帯許可端末設置部と、
前記携帯許可端末設置部に設置された前記携帯許可端末を前記燃料供給許可器の操作部および表示部として、前記燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続されている前記燃料供給機の給油作業管理を実行する燃料供給許可機能部と、
を備えたノーダウンユニットを含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る燃料供給システムによれば、燃料供給許可器が故障した場合でも、燃料供給許可器の携帯許可端末を携帯許可端末設置部に設置することにより、燃料供給許可機能部が、当該設置された携帯許可端末を燃料供給許可器の操作部および表示部として、燃料供給所内ネットワークにネットワーク接続されている燃料供給機の燃料供給作業管理を実行することで、燃料供給許可器の故障修理が実際に済んで復旧するまでの間、携帯許可端末設置部に携帯許可端末が設置されたノーダウンユニットを燃料供給許可器の代替機として使用できる。これにより、燃料供給許可器が故障した場合でも、引き続き、顧客自らが燃料供給ノズルを操作して行うセルフサービス方式の燃料供給作業が燃料供給機により行えるようになり、燃料供給係員の労力が増大することもなくなり、顧客サービスの低下も防止できる。
【0016】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示に係る燃料供給システムの一実施例としてのセルフ給油システムの全体構成図である。
【
図2】給油機それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態が画面操作部に表示された管理装置端末の表示画面の一実施例である。
【
図3】給油機それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態が表示部に表示された給油管理装置の表示画面の一実施例である。
【
図4】給油管理装置の管理装置端末について給油所内における所在場所を検出するための管理装置端末の位置検出制御処理のフローチャートである。
【
図5】給油機制御装置が各部を制御して行う給油機制御を表したフローチャートである。
【
図6】給油機からの給油許可要求を受けて給油管理装置が行う給油管理制御のフローチャートである。
【
図7】給油機からの給油結果情報を受けて給油管理装置が行う給油管理制御のフローチャートである。
【
図8】給油管理装置が行う給油管理制御のうちの給油機の緊急停止制御のフローチャートである。
【
図9】本実施例のセルフ給油システムにおいて、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアEに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図10】本実施例のセルフ給油システムにおいて、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図11】管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の別実施例のフローチャートである。
【
図12】管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示に係る燃料供給システムの一の実施形態について、図面に基づいて説明する。説明では、本開示に係る燃料供給システムを、顧客自身が給油機の給油ノズルを操作して車両等の供給対象に対する給油作業を行うセルフサービス方式の給油所に適用した場合のセルフ給油システムを例に説明する。なお、本開示に係る燃料供給システムが適用されるセルフサービス方式の燃料供給所は、セルフサービス方式の給油所に限られるものではなく、液化石油ガス(LPG)、圧縮天然ガス(CNG)、圧縮水素ガス等といった燃料ガスのセルフサービス方式の燃料供給所等にも適用可能である。
【0019】
図1は、本開示に係る燃料供給システムの一実施例としてのセルフ給油システムの全体構成図である。
【0020】
図示の例では、セルフ給油システム1は、セルフサービス給油方式に適用可能な複数の給油機10(10-1~10-n)と、給油所における販売時点管理を行うPOS端末機(販売時点情報管理機)20と、給油所全般の給油作業管理を行う給油管理装置(燃料供給許可器)30と、ノーダウンユニット60とを有する。図示の例では、各給油機10と給油管理装置30との間は、給油所内のSS-LAN(Service Station - Local Area Network)5を介して通信接続されている。両機器間では、SS-LAN5を介して各種信号および各種情報データの交信が可能になっている。これに対し、給油管理装置30とPOS端末機20との間は、給油所内のSS-LAN5とは別のPOS用-LAN6を介して通信接続されている。これら両機器間でも、各種信号および各種情報データの交信が可能になっている。
【0021】
これにより、各給油機10は、給油管理装置30を介してPOS端末機20と、各種信号および各種情報データの交信が可能になっており、POS端末機20は、給油管理装置30を介して各給油機10と、各種信号および各種情報データの交信が可能になっている。
【0022】
給油機10は、給油機筐体11内に、ポンプ等の送液機器、流量計等の流量計測機器、給油機各部の作動制御や給油量の演算を行う給油機制御装置を収容している。給油機筐体11からは、先端に給油ノズル13を有するホース12が延設され、ホース12の基端側は、給油機筐体11内の流量計の流出側と連通されている。
【0023】
給油ノズル13には、操作レバーの操作に応動して開閉弁し、車両等の供給対象内における燃料油液の液面がノズル先端の吐出パイプに達すると操作レバーの操作位置にかかわらず閉弁する自動閉弁機構が備えられている。給油ノズル13は、給油機筐体11に設けられたノズル掛け14に対して取り出し・収納自在になっており、給油作業が行われていない間はノズル掛け14に収納される。
【0024】
給油機10は、ポンプ等の送液機器の作動によって、図示せぬ地下タンク(貯液タンク)から燃料油液を汲み上げる。汲み上げられた燃料油液は、流量計を介して、ホース先端の給油ノズル13に向けて送液される。
【0025】
給油作業では、給油作業者である顧客が、給油ノズル13をノズル掛け14から取り出して、その吐出パイプを車両等の供給対象の給油口(燃料補給口)に挿入し、操作レバーを開弁操作して、供給対象に対する燃料補給を行う。
【0026】
その際における給油量(燃料油液の給液量)は、流量計に付設された流量発信器から出力される流量パルス信号を基に給油機制御装置によって演算され、給油機筐体11に設けられた表示器15に表示される。
【0027】
図示の例では、給油機筐体11の筐体面には、例えばハイオク、レギュラー、軽油といった供給液種の違いに対応させて、ホース12、給油ノズル13およびノズル掛け14が複数設けられている。
【0028】
これに伴い、給油機筐体11内のポンプおよび流量計といった機器は、所望液種についての給油作業を可能にすべく、供給液種の違いや給油ノズル13の数(給油系統の数に該当)に応じて、給油機筐体11内に複数収容された構成になっている。
【0029】
したがって、図示の例の給油機10の場合は、給油機筐体11に対して一つの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eが構成され、給油作業エリアEには、ハイオク、レギュラー、軽油といった3つの給油系統が設けられた構成になっている。給油作業エリアEでは、給油機制御装置が3つ給油系統それぞれのポンプ等の送液機器をはじめとする給油機各部を作動制御することによって、これらハイオク、レギュラー、軽油といった複数の油種の中から選択された所望の一油種の燃料油液を、該当油種の給油ノズル13を操作して車両等の供給対象に対して給油できるようになっている。
【0030】
また、図示の例では、各給油機10(給油機10‐1~10‐n)はセルフサービス方式の給油所に適用されるため、各給油機10(10‐1~10‐n)には、給油作業エリアE(E‐1~E‐n)に対応させて、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18等といったセルフサービス適応装置が、給油機筐体11に一体的に設けられている。
【0031】
設定器16は、給油作業者である顧客が給油作業を行うに当たって、供給対象に供給する燃料油液の液種(例えば、ハイオク,レギュラー,軽油といった油種)および液量(例えば、満タンあるいは所望のプリセット量やプリセット金額)を設定入力するためのセルフサービス適応装置である。設定器16で設定入力された液種および液量情報は、給油機制御装置に供給される。
【0032】
給油代金払込装置17は、顧客が給油作業を行うに当たって、予め給油代金(給油料金)の支払い方法として現金若しくはプリペイドカード等による前払いやクレジットなどによる後払いをするためのセルフサービス適応装置である。給油代金払込装置17に投入された前払い給油代金の金額情報や精算方法は、給油機制御装置に供給される。
【0033】
給油機10の給油機制御装置では、設定器16により設定入力された液種、液量や、給油代金払込装置17により投入された前払い給油代金の金額情報や精算方法を基に、これから顧客が行おうとする給油作業の給油作業情報が作成される。給油作業情報は、給油機10や給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eの識別情報が付加されて、SS-LAN5を介して、給油機10から給油管理装置30に送信される。
【0034】
伝票発行装置18は、例えば給油ノズル13がノズル掛け14に収納される等して給油作業が終了した際に、給油機10の給油機制御装置によって演算された当該給油作業の実際の給油量、給油金額等の給油結果情報を基に、当該給油作業の精算伝票を発行するためのセルフサービス対応装置である。給油結果情報は、SS-LAN5を介して、給油機10から給油管理装置30にも送信される。
【0035】
本実施例では、伝票発行装置18から発行された精算伝票は、給油代金、液種、実際の給油量、給油金額、釣銭、等といった給油結果情報の内容確認に使用される。加えて、精算伝票は、今回の給油が前払い給油代金に基づく給油であった場合には、実際の給油金額が予め給油代金払込装置17に入金した前払い給油代金に達していない顧客が、図示省略した釣銭機から釣銭の返却を受ける際の識別片としても利用される。そのため、伝票発行装置18は、精算伝票の印刷出力にあたって、釣銭機で釣銭を受ける各顧客を特定できるように、当該精算伝票の識別情報を生成する。この識別情報は、伝票発行装置18によって給油結果情報とともに精算伝票に印刷出力される。また、識別情報は、給油機制御装置に供給されて、給油機10から給油管理装置30に送信される給油結果情報の中にも含められる。釣銭機は、SS-LAN5またはPOS用-LAN6に接続されて設けられる。
【0036】
なお、図示の例では、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18からなるセルフサービス適応装置については、給油機10毎に給油機筐体11に一体的に設けた構成としたが、給油機筐体11とは別個の、複数の給油機10に対応させたセルフサービス適応ユニット機器として、SS-LAN5に接続して設けることも可能である。設定器16を複数の給油機10や給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eで共用する場合は、顧客は、給油作業情報として、給油作業に用いる給油機10の番号等の識別情報も設定入力することになる。
【0037】
また、各給油機10(10‐1~10‐n)には、後述する監視装置50の監視カメラ51(監視カメラ51‐1~51-n)が設けられている。また、後述する携帯可能な管理装置端末(携帯許可端末、すなわちSSC端末)40の所在確認で利用されるビーコン8(ビーコン8‐1~8-n)が付設されている。
【0038】
各監視カメラ51(51‐1~51‐n)は、対応する給油機10(10‐1~10‐n)の給油作業エリアE(給油作業エリアE‐1~E‐n)の様子を撮影し、その撮影画像データを、画像データ専用信号線7を介して、監視装置50に送信する。
【0039】
ビーコン8(ビーコン8‐1~8-n)は、図示の例では、給油機10(10‐1~10‐n)毎に、給油作業エリアE(E‐1~E‐n)に対応して配置されている。各ビーコン8(8‐1~8-n)は、管理装置端末(SSC端末)40の所在確認用のビーコン信号(例えば、Bluetooth Low Energy(BLE)を活用した省電力通信信号)をそれぞれ送信する。各ビーコン信号は、ビーコン8(ビーコン8‐1~8-n)毎で互いの識別が可能になっている。なお、ビーコン8は、図示の例では、給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E(E‐1~E‐n)毎に対応させて複数配置された構成として説明したが、給油所におけるビーコン8の配置位置や配置数は図示の例に限定されるものでない。例えば、複数のビーコン8それぞれからのビーコン信号の受信組み合わせの違いや、複数のビーコン8それぞれからの受信強度を基に測定された距離組み合わせの違いに応じて、各管理装置端末40が各給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E(E‐1~E‐n)それぞれのどの位置に所在しているのかを識別できるようにしてもよい。また、ビーコン8の具体的な設置先には、給油機筐体11以外にも、アイランドの柱、事務所3やピットの壁面、キャノピー、看板、等を利用できる。
【0040】
釣銭機(精算機)は、セルフサービス方式の給油作業で、給油作業者である顧客が予め支払った給油代金に、実際の給油量に基づく給油金額が達せず、釣銭が生じた場合に、顧客が釣銭を受け取るための装置である。釣銭機には、釣銭の返却が必要な顧客についての精算伝票の識別情報や釣銭額等が精算情報として蓄積される。釣銭機は、その伝票識別部で顧客の精算伝票の識別情報を読み取ると、蓄積された精算情報を照会し、返却を受けるべき顧客であることが確認されると、その釣銭の支払を行う。
【0041】
給油管理装置30は、給油所事務所内に設置され、顧客自身による給油機10を用いたセルフサービス方式の給油作業の実行を管理する。給油管理装置30は、操作部31および表示部32を備えたコンピュータ装置で構成されている。給油管理装置30は、SS-LAN5およびPOS用-LAN6に接続され、各給油機10、POS端末機20ともに給油所内ネットワークを構成している。給油管理装置30は、いわゆるセルフサービス・ステーション・コントローラ(Self-service Station controller、SSC)に該当する。
【0042】
POS端末機20は、給油所事務所内に設置され、各給油機10(10‐1~10‐n)からSS-LAN5を介して送信される、給油作業を開始するに当たって設定器16で設定された給油作業情報、給油開始(給油ノズルへの送液開始)の許可要求、および給油作業の終了時に作成される給油結果情報を受信し、給油所における燃料油液の販売時点管理を行う。給油開始の許可要求は、設定器16で設定された給油作業情報で特定される給油系統個別に、すなわち給油ノズル13個別に行われる。なお、以下では、各給油機10からSS-LAN5を介して送信される、給油作業を開始するに当たって設定器16で設定された給油作業情報と給油開始の許可要求とを合わせたもののことを、給油許可要求と総称することもある。
【0043】
監視装置50は、各給油作業エリアE(10‐1~10‐n)および釣銭機にそれぞれ対応させて設けられた監視カメラ51(監視カメラ51‐1~51‐n+1、釣銭機に対応する監視カメラ51‐n+1については図示せず)を有し、各監視カメラ51(51‐1~51‐n+1)が、カメラスイッチャ52を介して、画像データ専用信号線7により事務所内のモニタ装置53と接続された構成になっている。監視装置50は、各監視カメラ51によって撮影された各給油作業エリアEや釣銭機周辺を撮影した動画像もしくは静止画像から監視画像を編集して、モニタ装置53に表示する。これにより、給油所係員は、モニタ装置53の監視画像を見ることによって、給油所内の各所の様子を事務所内に居ながらにして監視できるようになっている。監視装置50は、給油所係員による表示態様の切換操作にしたがって、複数の監視カメラ51それぞれによる撮影画像を分割表示した監視画像を生成したり、その中の所望の撮影画像を選択して拡大した監視画像を生成したりできる。
【0044】
その際、給油管理装置30およびノーダウンユニット60と信号接続されたカメラスイッチャ52は、給油管理装置30の所定操作またはノーダウンユニット60の所定操作による切換指示を受けて作動制御される。モニタ装置53には、表示態様に応じた監視カメラ51(51‐1~51‐n+1)の撮影画像がカメラスイッチャ52を介して取得され、表示態様に応じた監視画像が表示される。
【0045】
本実施例のセルフ給油システム1では、給油管理装置30は、SS-LAN5で繋がれた給油機10含む所内給油機ネットワークを、POS端末機20を含む所内販売管理ネットワークのPOS用-LAN6に繋ぐためのネットワーク接続機器として構成され、給油作業の実行管理を行う。
【0046】
給油管理装置30は、各給油機10からSS-LAN5を介して送信される、給油作業情報、給油開始の許可要求、および給油結果情報を受信するとともに、これらをPOS端末機20にPOS用-LAN6を介して送信する。また、給油管理装置30は、POS端末機20からPOS用-LAN6を介して送信されてくる、給油開始の許可要求があった給油機10に対する給油許可(送液許可)を受信するとともに、この給油許可を、POS用-LAN6を介して、対応する給油機10に送信する。
【0047】
また、給油管理装置30は、各給油機10の作動状態について、例えば、各給油機10からSS-LAN5を介して送信される給油作業情報、給油開始の許可要求、給油結果情報の受信に基づき、当該給油機10が給油作業受付状態、給油許可待ち状態、給油作業終了状態(待機状態)のうちのいずれの作業状態にあるかを判別する。また、給油管理装置30は、各給油機10にSS-LAN5を介して送信する起動/停止指示、給油許可、緊急停止に基づき、該当給油機10が起動/停止状態、給油中状態(送液作動状態)、給油禁止状態(緊急停止状態)のうちのいずれの作動状態にあるかを判別する。そして、給油管理装置30は、その記憶部に、これら判別した給油機10それぞれの作業状態や作動状態を、給油機10毎またはその給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E毎に逐次、更新記憶する。
【0048】
その際、給油管理装置30の表示部32には、給油機10それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態が表示される。給油所係員は、給油管理装置30の操作部31を操作して、給油許可要求を受信した給油許可待ち状態にある給油機10に対して給油開始の許可を行ったり、所望の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたりすることなどができる。
【0049】
この場合、給油開始の許可とは、顧客が操作レバーを開弁操作すれば給油ノズル13から燃料吐出できるように、対応する給油機10の給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eについて、設定油種に係るポンプ等の送液機器の作動を許可することを指す。また、給油禁止とは、給油機10の作動状態が、給油ノズル13がノズル掛け14から取り外されている給油作業中状態であるか、給油ノズル13がノズル掛け14に収納されている、給油作業が行われていない待機状態であるかにかかわらず、所定の復帰操作が行われるまで、対応する給油機10の給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eについて、ポンプ等の送液機器の作動を禁止することを指す。これら給油開始の許可や給油の禁止は、給油管理装置30からSS-LAN5を介して、対象の給油機10宛に送信される。
【0050】
図2は、給油機それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態が表示部に表示された給油管理装置の表示画面の一実施例である。
【0051】
本実施例では、給油管理装置30は、表示部32にタッチセンサーパネルが備えられ、給油管理装置30の操作部31を表示部32が兼ねた構成になっている。表示部32は、給油管理装置30のグラフィカルユーザインタフェースとして、給油機10の現在または最新の作業状態や作動状態(給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報)や各種操作アイコンがOSD(On-Screen Display)表示される。
【0052】
例えば、図示の表示画面例では、識別番号01の給油機10が給油中状態(送液作動状態)になっており、識別番号04の給油機10が給油許可待ち状態になっており、識別番号04の給油機10がノズル掛け14から給油ノズル13が外され状態になっており、識別番号10,11の給油機が給油禁止状態(緊急停止状態)になっており、これら以外の給油機10が給油作業終了状態(待機状態)になっていることを報知している。
【0053】
その上で、給油管理装置30は、例えばWi-Fiルーター等の無線通信部38を有し、給油管理装置30には、複数の携帯可能な管理装置端末(SSC端末)40が無線通信接続可能に設けられている。管理装置端末40は、上述した給油管理装置30の表示部32と同様な、操作部も兼ねた画面操作部41を備えている。画面操作部41には、給油管理装置30を遠隔操作するためのグラフィカルユーザインタフェースとして、給油機10の現在または最新の作業状態や作動状態(給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報)や各種操作アイコンがOSD(On-Screen Display)表示される。管理装置端末40は、給油許可要求を受信して許可待ち状態にある給油機10に対して給油開始の許可を行ったり、対象の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたりする給油管理装置30に対する操作が行える。
【0054】
図3は、給油機それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態が画面操作部に表示された管理装置端末の表示画面の一実施例である。
【0055】
管理装置端末40の画面操作部41にも、
図3に示すように、給油管理装置30の表示部32に表示されているのと同様な、給油機10の現在または最新の作業状態や作動状態(給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報)や各種操作アイコンがOSD(On-Screen Display)表示される。
【0056】
管理装置端末40は、給油管理装置30専用の無線端末機器に限られるものではなく、給油管理装置30との通信接続が可能で、各ビーコン8それぞれからのビーコン信号を受信できるビーコン受信機能(近距離無線通信機能)を備えているものであるならば、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたタブレット型コンピュータ、等といった携帯可能な汎用の移動体通信端末機器を、管理装置端末40として機能させることも可能である。
【0057】
さらに、本実施例のセルフ給油システム1では、SS-LAN5で繋がれた給油機10含む所内給油機ネットワークと、POS用-LAN6で繋がれたPOS端末機20を含む所内販売管理ネットワークとの間は、給油管理装置30とは別に、ノーダウンユニット60によっても接続可能になっている。
【0058】
ノーダウンユニット60は、給油管理装置30と同じく、給油所事務所内に設置され、コンピュータ装置で構成されている。
【0059】
ノーダウンユニット60は、切換器70-1を介して、SS-LAN5と繋がれ、切換器70-2を介して、POS用-LAN6と繋がれている。切換器70-1は、ノーダウンユニット60のSS-LAN5に対する接続を、接続状態と遮断状態との間でマニュアル切換できる構成になっている。また、切換器70-2は、ノーダウンユニット60のPOS用-LAN6に対する接続を、接続状態と遮断状態との間でマニュアル切換できる構成になっている。本実施例では、切換器70-1および切換器70-2は、連動切換され、切換器70-1,70-2のいずれか一方の切換器70を遮断状態に切り換えれば、他方の切換器70も遮断状態に切り換わり、切換器70-1,70-2のいずれか一方の切換器70を接続状態に切り換えれば、他方の切換器70も接続状態に切り換わる。
【0060】
さらに、切換器70-1は、ノーダウンユニット60のSS-LAN5に対する接続切換状態で、給油管理装置30をSS-LAN5に対して遮断状態にし、ノーダウンユニット60のSS-LAN5に対する遮断切換状態で、給油管理装置30をSS-LAN5に対して接続状態にする。また、切換器70-2は、ノーダウンユニット60のPOS用-LAN6に対する接続切換状態で、給油管理装置30をPOS用-LAN6に対して遮断状態にし、ノーダウンユニット60のPOS用-LAN6に対する遮断切換状態で、給油管理装置30をPOS用-LAN6に対して接続状態にする。
【0061】
これにより、ノーダウンユニット60は、SS-LAN5に対して接続状態にある場合は、各給油機の給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報等を所内給油機ネットワークから取得することができ、また、給油機それぞれに対する給油許可を所内給油機ネットワークに提供することができる。これに対し、ノーダウンユニット60は、SS-LAN5に対して遮断状態にある場合は、各給油機からそれぞれ送信される給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報等を所内給油機ネットワークから取得することができなくなり、また、給油機それぞれに対する給油許可を所内給油機ネットワークに提供できなくなる。
【0062】
同様に、ノーダウンユニット60は、POS用-LAN6に対して接続状態にある場合は、各給油機の給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報等を所内販売管理ネットワークに提供することができ、また、給油機それぞれに対するPOS端末機20の給油許可を所内販売管理ネットワークから取得することができる。これに対し、ノーダウンユニット60は、POS用-LAN6に対して遮断状態にある場合は、各給油機の給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報等を所内販売管理ネットワークに提供することができなくなり、また、給油機それぞれに対するPOS端末機20の給油許可を所内販売管理ネットワークから取得することができなくなる。
【0063】
そのために、ノーダウンユニット60は、SSC機能部61と、SS-LAN変換部62とを有している。SSC機能部61は、前述した給油管理装置30の場合と同様に、顧客自身による給油機10を用いたセルフサービス方式の給油作業の実行を管理する。SS-LAN変換部62は、SS-LAN5で繋がれた給油機10含む所内給油機ネットワークでの通信情報をPOS用-LAN6で繋がれたPOS端末機20を含む所内販売管理ネットワークに適合した通信情報に変換し、逆に、所内販売管理ネットワークでの通信情報を所内給油機ネットワークに適合した通信情報に変換する。
【0064】
加えて、ノーダウンユニット60は、給油管理装置30の無線通信部38に接続され、給油管理装置30と同様に、複数の携帯可能な給油管理装置30の管理装置端末(SSC端末)40とも無線通信接続可能になっている。そして、ノーダウンユニット60には、給油管理装置30の複数の管理装置端末40のうちのいずれか1台の管理装置端末40が着脱自在に設置可能な端末設置部(携帯許可端末設置部)63が、ユニット筐体面に備えられている。ここで、端末設置部63における管理装置端末40の設置構成は、管理装置端末40が直接載置される構成に限られず、例えば、端末設置部63と所定の間隔以下に近接した状態で管理装置端末40が位置される構成等も含む。
【0065】
上述したように構成された本実施例のセルフ給油システム1では、顧客自らが給油機10の給油ノズル13を操作して行うセルフ給油作業に対する給油管理は、作業監督者としての給油所係員が、通常時は、給油管理装置30またはその管理装置端末40を操作して、次のようにして行われる。
【0066】
図4は、給油管理装置の管理装置端末について給油所内における所在場所を検出するための管理装置端末の位置検出制御処理のフローチャートである。
【0067】
図4に示すように、管理装置端末(SSC端末)40では、端末自身に予め備えられているビーコン受信機能としての近距離無線通信機能(例えば、Bluetooth Low Energy(BLE)を活用した近距離無線通信機能)を作動させて、各ビーコン8(8‐1~8-n)からそれぞれ送信されるビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号それぞれの受信電波強度を取得する(
図4、S010)。
【0068】
そして、管理装置端末40、または無線通信部38を介して管理装置端末40からビーコン信号それぞれの受信電波強度の提供を受けた給油管理装置(SSC本体)30は、受信したビーコン信号それぞれの受信電波強度に基づいて、対応するビーコン8から管理装置端末40までの距離を取得する(S020)。
【0069】
これに基づき、管理装置端末40または給油管理装置30は、給油所内における管理装置端末40の現在の所在、すなわち、管理装置端末40が現在所在している給油所内に設けられた給油許可可能エリアEを特定する(SA030)。
【0070】
次に、本実施例のセルフ給油システム1で、顧客自身が給油機10(この場合、給油機10-1~10-nのうちのいずれか1つ)の給油ノズル13を自ら操作して給油作業を行う場合に、給油機10の給油機制御装置が各部を制御して行う給油機制御について、
図5に基づいて説明する。
【0071】
図5は、給油機制御装置が各部を制御して行う給油機制御を表したフローチャートである。
【0072】
セルフ給油作業を行うに当たって、作業者である顧客は、給油作業を行う給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eに対応した給油機10の設定器16を操作して、供給対象に供給する燃料油液の液種(例えば、ハイオク、レギュラー、軽油といった油種)および液量(例えば、満タン或いは所望のプリセット量やプリセット金額)を設定入力し、前払い給油代金を給油代金払込装置17に投入する(S110)。
【0073】
給油機制御装置は、設定器16により設定入力された液種、液量や、給油代金払込装置17により投入された前払い給油代金の金額情報を基に、これから当該設定器16に対応する給油作業エリアEで給油ノズル13を操作して開始する給油作業の給油作業情報を作成する。給油機制御装置は、作成した給油作業情報を、SS-LAN5を介して、給油機10から給油管理装置30に送信する。
【0074】
そして、給油機制御装置は、顧客により給油ノズル13がノズル掛け14から取り出されたことを、ノズル掛け14に設けられたノズルスイッチの出力に基づいて検出すると(S120)、SS-LAN5を介して、この給油機10による給油作業の給油許可要求を給油管理装置30に送信する(S130)。
【0075】
その後、給油機制御装置は、給油許可要求に対する当該給油機10の給油許可を給油管理装置30から受信すると(S140)、設定液種に対応する給油系統のポンプ等の送液機器を作動して(S150)、給油ノズル13への燃料油液の供給を開始する。
【0076】
したがって、給油機10では、給油機制御装置のこれら一連の処理によって、供給対象の給油口に給油ノズル13の筒先が挿入された状態で、給油ノズル13が顧客により開弁操作されることで、供給対象に対する実際の給油が開始される。
【0077】
このようにして供給対象に対する実際の給油が開始されると、給油機制御装置は、設定液種に対応する給油系統の流量計に付設された流量発信器から出力される流量パルス信号を基に、給油量を演算して表示器15に表示するとともに(S160)、逐次、SS-LAN5を介して、現在の給油量を給油管理装置30に送信する。また、給油機制御装置は、この給油量計測・表示処理の実行と並行して、管理装置端末40からの給油許可を受信した後には、供給対象に対する給油を終了するか否かの確認を行う(S170)。
【0078】
この場合、給油終了の確認としては、例えば、ノズル戻し、制限量/制限時間到達、設定給油量の給油完了、緊急停止信号の入力、緊急停止ボタンの操作、等がある。
【0079】
具体的に、「ノズル戻し」は、顧客によってノズル掛け14から一旦取り出された給油ノズル13が、顧客によって再びノズル掛け14に収納されることに該当する。「制限量/制限時間到達」は、供給対象に対する給油量が予め設定されている制限量に達したり、ノズル掛け14から給油ノズル13が取り出されたままの経過時間が予め設定されている制限時間に至ることに該当する。「設定給油量の給油完了」は、供給対象に対する給油量が、顧客が給油に際して予め設定器16で設定したプリセット値の給油量や給油金額に達することに該当する。「緊急停止信号の入力」は、給油管理装置30からの緊急停止信号を受信すること該当する。「緊急停止ボタンの操作」は、給油管理装置30の操作部31や管理装置端末40の画面操作部41に設けられた緊急停止ボタンが操作されることに該当する。
【0080】
給油機制御装置は、このようにして給油終了を検出すると(S170、YES)、設定液種に対応する給油系統のポンプ等の送液機器を作動停止する(S180)。そして、ノズル掛け14に設けられたノズルスイッチの出力を監視し、顧客によって一旦取り出された給油ノズル13がノズル掛け14に再び収納され、顧客による供給対象に対する給油作業が終了したか否かについて検出する(S190)。
【0081】
給油機制御装置は、このようにして給油作業エリアEでの給油機10による給油作業終了を検出すると(S190、YES)、給油量に基づいて今回の給油作業に係る実際の給油量、給油金額等の給油結果情報を生成する。そして、その給油結果情報を、SS-LAN5を介して、給油管理装置30およびPOS端末機20に対して送信する(S200)。
【0082】
次に、本実施例のセルフ給油システム1で、上述した給油機制御が行われる給油機10(10-1~10-n)それぞれの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eでの給油作業の実行を管理して、給油所全般の作業管理を行う給油管理装置30の給油管理制御について、
図6~8に基づいて説明する。
【0083】
図6は、給油機からの給油許可要求を受けて給油管理装置が行う給油管理制御のフローチャートである。
図7は、給油機からの給油結果情報を受けて給油管理装置が行う給油管理制御のフローチャートである。
図8は、給油管理装置が行う給油管理制御のうちの給油機の緊急停止制御のフローチャートである。
【0084】
給油管理装置30は、給油機10からこれから給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eで行う給油作業の給油作業情報を受信すると、当該給油機10の作動状態を待機状態から給油作業受付状態に更新記憶して、受信した給油作業情報を当該給油機10の当該給油作業エリアEでの今回の給油作業情報として登録する。また、当該給油機10の当該給油作業エリアEに関しての給油作業受付状態の作動状態および給油作業情報を表示部に表示するとともに、当該給油機10の当該給油作業エリアEに関しての給油作業受付状態および給油作業情報を、無線通信部38を介して、各管理装置端末40にも送信する。
【0085】
それから、給油管理装置30は、
図6に示すように、給油機10からの当該給油作業エリアEに関しての給油許可要求を受信すると(S311)、当該給油作業エリアEの当該給油機10の作動状態を給油作業受付状態から給油許可待ち状態に更新記憶する(S313)。また、給油管理装置30は、当該給油作業エリアEの当該給油機10が給油許可待ち状態の作動状態であることを表示部に表示するとともに、当該給油作業エリアEの当該給油機10の給油許可待ち状態を、無線通信部38を介して、各管理装置端末40にも送信する。また、給油管理装置30は、当該給油作業エリアEの当該給油機10に係る今回の給油作業情報を含む給油許可要求を、POS用-LAN6を介して、POS端末機20にも送信する。
【0086】
一方、給油管理装置30は、
図7に示すように、給油機10からの当該給油作業エリアEに関しての給油結果情報を受信すると(S321)、当該給油作業エリアEに関しての当該給油機10の作動状態をそれまでの給油中状態(送液作動状態)から給油作業終了状態(待機状態)に更新記憶する(S323)。また、給油管理装置30は、当該給油作業エリアEの当該給油機10の作動状態である給油作業終了状態を表示部32に表示するとともに、当該給油作業エリアEの当該給油機10-nの給油作業終了状態(待機状態)および給油結果情報を、無線通信部38を介して、各管理装置端末40にも送信する。また、給油管理装置30は、当該給油作業エリアEの当該給油機10に係る給油結果情報を、POS用-LAN6を介して、POS端末機20にも送信する。
【0087】
一方、給油管理装置30は、
図8に示すように、その操作部31に備えられた緊急停止ボタンが操作されるか(S331)、または、管理装置端末40からの緊急停止の出力指示を受信すると(S333)、SS-LAN5を介して、当該緊急停止対象の給油機10に対して緊急停止信号を出力するとともに、当該給油機10についての作動状態の記憶内容を給油禁止状態(緊急停止状態)に更新記憶する(S335)。また、給油管理装置30は、当該給油機10の給油禁止状態の作動状態を表示部に表示するとともに、当該給油機10の給油禁止状態を、無線通信部38を介して、各管理装置端末40にも送信する。
【0088】
これにより、その作動状態を給油禁止状態とされた緊急停止対象の給油機10では、給油管理装置30からの緊急停止信号の受信(
図5のステップS170)により、給油機制御装置が、ポンプが駆動中である場合でもその駆動を停止させ(S180)、設定器16も、新たな給油作業に係る液種および液量の設定入力が行えない不活性状態にする。
【0089】
このように、給油管理装置30は、その作動状態を給油禁止状態にした給油機10に対しては、所定の解除操作がその操作部でなされるまで(S337)、給油禁止状態を維持し、当該給油機10を用いた新たな給油作業を行えないように維持する。一方、給油禁止状態にした給油機10に対して、所定の解除操作がその操作部でなされた場合(S337)、例えば、給油ノズル13が閉弁状態でノズル掛け14に収納されていることを条件にして、給油機10の作動状態をそれまでの給油禁止状態から給油作業終了状態(待機状態)に更新記憶して表示部に表示するとともに、当該給油機10の給油作業エリアEでの待機状態(待機中状態)を、無線通信部38を介して、各管理装置端末40にも送信する(S339)。
【0090】
次に、本実施例のセルフ給油システム1において、作動状態が給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEでの、管理装置端末40を備えた給油管理装置30による給油許可制御について説明する。
【0091】
作動状態が給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可は、給油所係員が、給油所事務所内で監視装置50の監視画面により給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEでの給油作業の様子を確認しながら、給油管理装置30の操作部31を所定操作することにより行える。また、給油所係員が、給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEに対して規定されている給油許可可能エリアP内で、管理装置端末40の入力部と報知部とを兼ねた画面操作部41を所定操作することにより行える。
【0092】
図1および
図2で示した例では、給油管理装置30は、給油機10-1~10-nのうちの何れか1つの給油機10の給油作業エリアEから送信された給油許可要求を受信すると、当該給油機10の給油作業エリアEについての給油作業情報を含む給油許可要求を、POS用-LAN6を介してPOS端末機20に送信するとともに、
図6のステップS313で説明したように、当該給油機10の給油作業エリアEについて、給油機10の作動状態を給油作業受付状態から給油許可待ち状態に更新記憶する。また、給油管理装置30は、当該給油機10の給油作業エリアEの給油許可待ち状態の作動状態を表示部32に表示するとともに、当該給油機10の給油作業エリアEの給油許可待ち状態を無線通信部38を介して各管理装置端末40にも送信する。これにより、給油所係員は、当該給油機10の給油作業エリアEが給油許可待ち状態になっていることを、給油管理装置30の表示部32による案内報知だけでなく、各管理装置端末40の画面操作部41による案内報知でも認識できるようになっている。
【0093】
この給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可は、給油所係員が、給油所事務所内で監視装置50の監視画面により給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEでの給油作業の様子を確認しながら、給油管理装置30の操作部31を所定操作することにより行える。また、給油所係員が、給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEに対して規定されている給油許可可能エリアP内で、管理装置端末40の画面操作部41を所定操作することによっても行える。
【0094】
そのため、本実施例のセルフ給油システム1では、給油管理装置30は、この給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEに対しては、
図9に示すような給油許可制御処理を行い、給油管理装置30に無線通信接続された携帯可能な管理装置端末40は、この給油許可待ち状態になっている給油機10の給油作業エリアEに対しては、
図10に示すような給油許可制御処理を行う構成になっている。
【0095】
図9は、本実施例のセルフ給油システムにおいて、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアEに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【0096】
図10は、本実施例のセルフ給油システムにおいて、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【0097】
図9において、給油管理装置30は、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対しては、その操作部31で給油所係員により給油許可操作が行われたか否か(S351)、または給油機10の給油作業エリアEに係る給油許可要求の発生確認が、無線通信部38を介して、管理装置端末40から受信入力された否か(S353)を確認している。
【0098】
ここで、管理装置端末40からの給油許可要求の発生確認は、後述するように、給油所係員が管理装置端末40の画面操作部41で所定の確認操作することにより、管理装置端末40側で生成され、給油管理装置30に無線送信される。そして、この受信した給油許可要求には、給油所係員が管理装置端末40の画面操作部41で所定の確認操作する際に管理装置端末40側で取得された、各ビーコン8(8‐1~8-n)それぞれからのビーコン信号の受信強度も含まれている。
【0099】
給油管理装置30は、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対して、POS用-LAN6を介して当該給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可がPOS端末機20から受信されていて、その操作部31で給油所係員により給油許可操作が行われたことを検出すると(S351、YES)、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対し、SS-LAN5を介して、給油許可を出力する(S359)。さらに、給油管理装置30は、当該給油機10の給油作業エリアEについて、その作動状態を給油許可待ち状態から給油中状態(送液作動状態)に更新記憶する(S361)。また、給油管理装置30は、当該給油機10の給油作業エリアEの給油許可待ち状態の作動状態を表示部に表示するとともに、当該給油機10の給油作業エリアEの給油許可待ち状態を、無線通信部38を介して、各管理装置端末40にも送信する。これにより、管理装置端末40側でも、当該給油機10の給油作業エリアEについての作動状態が、給油許可待ち状態から給油中状態(送液作動状態)に変わったことが認識できるようになっている。
【0100】
これに対し、給油管理装置30は、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対して、POS用-LAN6を介して当該給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可がPOS端末機20から受信されていて、給油機10の給油作業エリアEでの給油許可要求の発生確認が無線通信部38を介して管理装置端末40から受信入力されたことを検出すると(S351、YES)、給油管理装置30は、この給油許可要求の発生確認に含まれている、管理装置端末40側で取得された、各ビーコン8(8‐1~8-n)それぞれからのビーコン信号の受信強度を基に、管理装置端末40側で給油許可要求の発生の確認が行われる際に、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可可能エリアP内に所在しているか否かの確認を行う(S355)。
【0101】
この確認は、給油管理装置30が、各ビーコン8(8‐1~8-n)それぞれからのビーコン信号の受信強度を基に、例えば、給油管理装置30に予め記憶されている許可可能判定テーブルを参照し、
図4に示した管理装置端末(SSC端末)40の位置検出制御処理のうちのステップS020,S030の処理を実行することによって行われる。
【0102】
そして、この管理装置端末40の所在確認の結果、給油管理装置30は、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可可能エリアP内に所在していることを検出すると(S355、YES)、さらに、当該給油許可要求の発生確認の送信元の管理装置端末40から、当該給油許可要求の発生確認の入力に続けて所定時間以内に、給油許可の指示が入力されたか否かの確認を行う(S357)。
【0103】
これらの確認によって、給油管理装置30は、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可可能エリアP内に所在していること、および、給油許可要求の発生確認に続けて所定時間以内に、給油許可の指示が管理装置端末40から入力されたことを検出すると(S355,357ともに、YES)、前述のステップS359,S361で説明した、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEの給油許可を行う。
【0104】
これに対し、給油管理装置30は、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可可能エリアP内に所在していない場合(S355、NO)、また、給油許可可能エリアP内に所在していても管理装置端末40から給油許可要求に続けて所定時間以内に給油許可の指示が入力されない場合は(S355がYESで、S357がNO)、無線通信部38を介して、当該給油許可要求の発生確認の送信元の管理装置端末40に宛てて、エリア外給油不許可を送信出力する(S363)。
【0105】
一方で、
図10において、管理装置端末40は、給油管理装置30と無線通信を行う毎に、例えば給油管理装置30からの肯定応答Ackを受信できるか否かに基づいて、給油管理装置30の無線通信部38を介した無線通信圏内に所在しているか否かを随時確認している(S411)。そして、管理装置端末40は、給油管理装置30の無線通信圏内に所在していないと(S411、NO)、その画面操作部41に通信不可状態であることを案内報知するようになっている(S415)。
【0106】
そして、管理装置端末40は、給油管理装置30の無線通信部38を介した無線通信圏内に所在している場合は(S411、YES)、各給油機10の給油作業エリアEに対しては、給油管理装置30から送信されてくる各給油機10の給油作業エリアEの作動状態を記憶し、画面操作部41に各給油機10の給油作業エリアEの作動状態を案内報知するようになっている(S413)。そして、給油作業エリアEの作動状態が給油許可待ち状態である給油機10に対しては、ステップS417以降の、給油許可要求を受信した給油機に対しての給油許可制御処理が行われる。
【0107】
図10では、ステップS417以降において、管理装置端末40は、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対しては、その画面操作部41で給油所係員により緊急停止操作が行われたか否か(S417)、給油管理装置30からエリア外給油不可が受信入力されたか否か(S419)、その画面操作部41で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われたか否か(S421)、その画面操作部41で給油所係員により給油許可の操作が行われたか否か(S423)を確認している。
【0108】
そして、管理装置端末40は、その画面操作部41で給油所係員により緊急停止操作が行われた場合は(S417、YES)、
図8で説明した、給油管理装置30が行う給油管理制御のうちの給油機10の緊急停止制御に関連し、給油管理装置30に宛てて緊急停止の指示を送信出力する(S431)。また、管理装置端末40は、
図9のステップS363における、給油管理装置30によるエリア外給油不許可の送信出力に関連し、給油管理装置30からエリア外給油不可が受信入力された場合は(S419、YES)、その画面操作部41に所定時間の間だけ、エリア外で管理装置端末40での許可操作が無効であることを示すエリア外操作無効をポップアップ表示で案内報知する。また、管理装置端末40は、その画面操作部41で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われた場合は(S421、YES)、
図9のステップS353における、給油管理装置30による給油許可要求の発生確認の受信確認に関連し、給油管理装置30に宛てて許可要求発生の確認を送信出力する(S435)。また、管理装置端末40は、その画面操作部41で給油所係員により給油許可の操作が行われた場合は(S423、YES)、
図9のステップS357における、給油管理装置30による給油許可の指示の受信確認に関連し、給油管理装置30に宛てて給油許可の指示を送信出力する(S437)。
【0109】
このように、本実施例のセルフ給油システム1では、作業監督者としての給油所係員が給油許可可能エリアP外で管理装置端末40を操作して給油許可要求の発生確認を給油管理装置30に無線送信した場合や、さらには、給油許可可能エリアP内で管理装置端末40を操作して給油許可要求の発生確認を給油管理装置30に無線送信した場合であっても、その後、所定時間内に管理装置端末40で給油許可の指示操作が行われなかった場合は、給油所係員が、給油機10の給油作業エリアEでの給油作業の様子を確認できる給油許可可能エリアPに居ない、または顧客による給油開始を不要に遅らせてしまうものとして、給油許可待ち状態の給油機10の給油作業エリアEに対する給油許可を、給油許可要求の発生確認が行われた管理装置端末40の操作によっては、給油管理装置30は行わないようになっている。これにより、例えば、給油所係員が給油許可要求を発生した給油機10から離れた場所に居るままで管理装置端末40で給油許可の指示操作を行ったり、給油所係員が給油許可要求の発生確認を確認しても給油作業エリアEでの給油作業の様子の確認がなかなか行われないのを、防止できるようになっている。
【0110】
したがって、管理装置端末40を携帯する給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP外で別の業務を行っているような場合は、給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP外に所在していることを、管理装置端末40の画面操作部41に表示されるエリア外操作無効のポップアップ表示等から理解することができる。そして、その画面操作部41が許可操作ができない不活性状態になっているので、給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に移動することが促され、顧客による給油ノズル13の供給対象の給液口に対する装着状態等の安全作業確認が給油所係員によって十分にかつ確実に行われるようになり、顧客による給油作業の安全性が向上する。また、必然的に燃料供給所係員は、給油許可を行うために給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアPに出向くようになるので、顧客サービスも向上する。
【0111】
なお、
図9、
図10に示した給油管理装置側、管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理は、例えば、
図11、
図12に示すようにして行うことも可能である。なお、
図11、
図12の説明に当たって、
図9、
図10で示した処理と同じ処理については、同じステップ符号を付し、その処理説明を省略する。
【0112】
図11は、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の別実施例のフローチャートである。
【0113】
図12は、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【0114】
図11、
図12に示す給油許可制御処理では、
図9、
図10に示した給油許可制御処理で、給油管理装置30側で行っていた、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在しているか否かの確認を、管理装置端末40側で行う。管理装置端末40は、給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在していないと、給油管理装置30に給油許可の指示を送信することができない構成になっている。
【0115】
そのために、
図12のステップS421において、その画面操作部41で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われたことを検出すると、給油許可待ち状態の給油作業ポイントエリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在しているか否かの確認を管理装置端末40側で行い(S425)、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在していることが確認されると(S425、YES)、給油許可操作を活性化し(S426)、管理装置端末40が給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP外に所在していることが確認されると(S425、NO)、給油許可操作を非活性化し(S427)、エリア外操作無効の案内報知を、例えば5秒間、画面操作部41にポップアップ表示する構成になっている(S428)。そのため、許可可能判定テーブルは、管理装置端末40に記憶されている。
【0116】
そして、管理装置端末40は、給油許可操作が不活性化の間は(S422、NO)、給油許可操作ボタンが操作されたか否かを確認しないようになっている。これにより、本実施例でも、
図9、
図10に示した給油許可制御処理と同様な作用効果を奏することができる。
【0117】
本実施例のセルフ給油システム1では、顧客自らが給油機10の給油ノズル13を操作して行うセルフ給油作業に対する給油管理は、通常時は、作業監督者としての給油所係員が、給油管理装置30またはその管理装置端末40を操作して、上述したようにして行われる。
【0118】
これに加えて、本実施例のセルフ給油システム1では、給油管理装置30が故障してしまい、給油機10が給油許可要求をSS-LAN5を介して給油管理装置30に送信しても、給油管理装置30は給油許可要求が発せられた給油機10に給油管理装置30が給油許可を発信することができなくなってしまった異常時、すなわち給油管理装置30の故障時であっても、作業監督者としての給油所係員は、切換器70(70-1,70-2)を切換操作することによって、顧客自らが給油機10の給油ノズル13を操作して行うセルフ給油作業を、次に述べるようになっている。
【0119】
図示のセルフ給油システム1では、給油所係員は、切換器70(70-1,70-2)を切換操作して、給油管理装置30が切換器70-1を介してSS-LAN5と繋がれ、切換器70-2を介してPOS用-LAN6と繋がれている状態から、ノーダウンユニット60が切換器70-1を介してSS-LAN5と繋がれ、切換器70-2を介してPOS用-LAN6と繋がれている状態にする。また、給油所係員は、端末設置部63に管理装置端末40を設置して、ノーダウンユニット60を起動する。
【0120】
ノーダウンユニット60が起動されると、そのSSC機能部61は、端末設置部63に設置された管理装置端末40との間で、例えばブルートゥース(Bluetooth)等の近距離間無線データ通信や、両者間の配線接続によるデータ通信を使用して、端末設置部63に設置された管理装置端末40に記憶されている、
図3で示されるような給油機10(10-1~10-n)それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態を取得し、給油機10(10-1~10-n)それぞれの現在または最新の作業状態や作動状態をデフォルトする。
【0121】
以降、ノーダウンユニット60は、給油管理装置30の故障が復旧し、給油所係員によって切換器70(70-1,70-2)が切換操作されて、ノーダウンユニット60が切換器70-1を介してSS-LAN5と繋がれ、切換器70-2を介してPOS用-LAN6と繋がれている状態から、給油管理装置30が切換器70-1を介してSS-LAN5と繋がれ、切換器70-2を介してPOS用-LAN6と繋がれている状態に切り換えられるまで、給油管理装置30の代替として、SSC機能部61は、POS端末機20との間でSS-LAN変換部62を介して、他の各管理装置端末40との間で無線通信部38を介して交信を行い、各管理装置端末40との間で、
図4~
図10で説明した給油作業管理処理を実行する。
【0122】
その際には、端末設置部63に設置された管理装置端末40の画面操作部41からの操作入力を、給油管理装置30の操作部31からの操作入力として取り扱い、また、管理装置端末40の画面操作部41の表示は給油管理装置30の表示部32を代替する。したがって、ノーダウンユニット60の端末設置部63に設置された管理装置端末40の操作によれば、給油管理装置30の操作部31の場合と同様に、給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在していなくとも、給油機10の給油許可操作が行え、また、全ての給油機に対する一斉緊急停止が行える。その結果、給油管理装置30の故障が起きた際でも、顧客自らが給油ノズルを操作して行うセルフサービス方式の給油作業が行える。
【0123】
また、ノーダウンユニット60の端末設置部63には、管理装置端末40が設置されていることを検出する設置確認センサを設けるようにしてもよい。このような設置確認センサを設ける構成とすれば、ノーダウンユニット60の可動状態で、端末設置部63に設置されていた管理装置端末40が取り出されたときには、取り出された状態の当該管理装置端末40の画面操作部41からの操作入力では、給油許可待ち状態の給油作業エリアEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在していない状態での給油機10の給油許可操作を行えないようにすることができる。また、マニュアルで行っていた切換器70(70-1,70-2)の切換も、設置確認センサの検出出力を基に、端末設置部63に対する管理装置端末40に設置に応じて自動で行うことができる。また、設置確認センサとして、例えば、管理装置端末40に貼付されたバーコードを読み取るバーコード読取機等を利用すれば、予め定められた特定の管理装置端末40でしかノーダウンユニット60のSSC機能部61を機能させないようにすることもできる。
【0124】
本開示の燃料供給システムは以上説明したように構成されるが、具体的な構成は説明した実施例に限られるものではなく、種々の変形例が可能である。例えば、ノーダウンユニット60のSSC機能部61と端末設置部63に設置された管理装置端末40との交信方法は、近距離間データ通信に限られるものではなく、例えば、無線通信部38を利用した交信であってもよい。
【0125】
また、ノーダウンユニット60の端末設置部63に管理装置端末40が設置されたときには、SSC機能部61が、所内給油機ネットワークに繋がれた給油機10や、当該端末設置部63に配置された以外の管理装置端末40に対し、給油許可要求や給油結果情報の送信先、許可要求の発生確認や給油許可等の送信先を、給油管理装置30宛からノーダウンユニット60宛に切り換えるように指示する構成としてもよい。この場合は、ノーダウンユニット60は、切換器70(70-1,70-2)を介さずに、所内給油機ネットワークのSS-LAN5および所内販売管理ネットワークのPOS用-LAN6に接続することが可能である。
【0126】
また、図示の例の燃料供給システムでは、POS端末機20と給油管理装置30とは、別々に存在しているが、給油管理装置30の機能をPOS端末機20に組み込むことにより、POS端末機20と給油管理装置30とを一体としてもよく、この場合は、ノーダウンユニット60にPOS端末機20と給油管理装置30との両機能を持たせるようにすれば、給油管理装置30の故障が起きた際でも、顧客自らが給油ノズルを操作して行うセルフサービス方式の給油作業が行える。
【符号の説明】
【0127】
1 セルフ給油システム(燃料供給システム)、
3 給油所事務所、
5 SS-LAN(所内給油機ネットワーク)、
6 POS用-LAN(所内販売管理ネットワーク)
7 画像データ専用信号線、
8 ビーコン、
10(10-1~10-n) 給油機(燃料供給機)、
11 給油機筐体、
12 ホース、
13 給油ノズル(燃料供給ノズル)、
14 ノズル掛け、
15 表示器、
16 設定器(給油作業設定器)、
17 給油代金払込装置、
18 伝票発行装置、
20 POS端末機、
30 給油管理装置(燃料供給許可器)、
31 操作部、
32 表示部、
38 無線通信部、
40 管理装置端末(携帯許可端末)、
41 画面操作部
50 監視装置、
51 監視カメラ、
52 カメラスイッチャ
53 モニタ装置、
54 モニタディスプレイ、
60 ノーダウンユニット、
61 SSC機能部(燃料供給許可機能部)、
62 SS-LAN変換部、
63 端末設置部(携帯許可端末設置部)、
70(70-1,70-2) 切換器、
E 給油作業エリア(給油作業ポイント)。