(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142611
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置、スロットルバルブ開度の初期学習方法
(51)【国際特許分類】
F02D 9/02 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
F02D9/02 351M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042853
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】園田 毅
(72)【発明者】
【氏名】樋口 昌吾
(72)【発明者】
【氏名】長尾 憲吾
【テーマコード(参考)】
3G065
【Fターム(参考)】
3G065GA42
3G065KA36
(57)【要約】
【課題】外部診断器を使用せずとも、必要なときにスロットルバルブ開度の初期学習が行われるようにする。
【解決手段】車載のバッテリからの給電が停止した場合、その事実を示す値がメモリに記憶保持されるか、バッテリからの給電が停止しない限りメモリに記憶保持している値が給電の停止によりメモリから消失し、バッテリからの給電停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、スロットルバルブが所定の基準開度をとるときのスロットルポジションセンサの出力信号を確認する学習を実行する内燃機関の制御装置を構成した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される内燃機関を制御する制御装置であって、
車載のバッテリからの給電が停止した場合、その事実を示す値がメモリに記憶保持されるか、バッテリからの給電が停止しない限りメモリに記憶保持している値が給電の停止によりメモリから消失し、
バッテリからの給電停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、スロットルバルブが所定の基準開度をとるときのスロットルポジションセンサの出力信号を確認する学習を実行する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
イグニッションスイッチがOFFとなっており内燃機関を停止させている状態で前記学習を実行する請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
外部診断器が接続され、その外部診断器から発せられる所定の指令を受信したときに前記学習を実行するものであり、
外部診断器から発せられる指令を受信せずとも、バッテリからの給電停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、前記学習を実行する請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
車両に搭載される内燃機関のスロットルバルブが所定の基準開度をとるときのスロットルポジションセンサの出力信号を確認する学習の実行方法であって、
外部診断器から発せられる所定の指令を受信したときに前記学習を実行するだけでなく、
外部診断器から発せられる指令を受信せずとも、車載のバッテリからの給電の停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、前記学習を実行するスロットルバルブ開度の初期学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源として車両に搭載される内燃機関の運転を制御する制御装置に関し、特にスロットルバルブ開度の初期学習の実行に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気通路上には、吸気絞り弁として電子スロットルバルブが設置される。周知の通り、電子スロットルバルブは、吸気の流路を開閉するバタフライバルブの弁体をモータにより駆動することでその開度を拡縮させ、以て気筒に流れ込む吸気の流量を増減調整するものである。
【0003】
内燃機関の運転制御を司る電子制御装置(Electronic Control Unit)は、現在のスロットルバルブの開度をスロットルポジションセンサを介して知得する。そのために、スロットルバルブの実開度とスロットルポジションセンサの出力信号との関係を予め把握しておく必要がある。そこで、内燃機関の停止中に、スロットルバルブの弁体を強制的に所定の基準開度、典型的には全閉位置に変位させて、そのときのスロットルポジションセンサの出力信号を確認する初期学習を実行する(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0004】
スロットルバルブ開度の初期学習の実行の契機は、外部診断器(スキャンツール、サービスツールとも呼ばれる。例えば、下記非特許文献1を参照)を使用した手動での指示である。近時のECUには、車載式故障診断装置(On-Board Diagnostics)としての機能が備わっており、各種センサの不良や断線、内燃機関における何らかの異常を検知したときに、その故障コード(Diagnostic Trouble Code)を記録する。外部診断器から伸びるケーブル(または、カップラ)を車両に実装された診断コネクタ(OBDコネクタ)に接続すれば、ECUが記憶保持しているDTCを外部診断器により読み出すことができる。
【0005】
加えて、外部診断器からECUに指令を与えることも可能であり、DTCの消去を含むECUのリセットやその他の作業が可能である。車両の点検整備の過程で、内燃機関のスロットルバルブを新品に交換した場合や、一旦スロットルバルブを取り外してこれを清掃後再び取り付けた場合には、外部診断器を操作し、ECUに改めてスロットルバルブ開度の初期学習を実行させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“デンソースキャンツール”(デンソーは登録商標)、[online]、平成26年、株式会社デンソー、[令和3年2月25日検索]、インターネット<URL:https://www.ds3.denso.co.jp/dst-i/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
外部診断器は、必ずしも全ての整備工場に配備されているわけではない。外部診断器を所有しない整備工場では、スロットルバルブを交換したり取り付け直したりした後も、スロットルバルブ開度の初期学習を再度実行する契機が訪れない。
【0009】
交換または付け直しにより、吸気通路上のスロットルバルブの実開度とスロットルポジションセンサの出力信号との関係が変化するにもかかわらず、初期学習が実行されないまま車両が運用されると、ECUが現在のスロットルバルブの開度を精確に知得できず、気筒に吸入される空気量及び燃料の噴射量の制御が不適正となって、アイドル運転中のエンジン回転数が高く浮いてしまう等不安定となる懸念が生じる。また、スロットルバルブを全閉する際に、スロットルモータが不必要に大きな駆動力を発生させて弁体をストッパに強く圧着し、スロットルモータにおける電力消費や発熱の増大を招く可能性もある。
【0010】
以上の問題に初めて着目してなされた本発明は、外部診断器を使用せずとも、必要なときにスロットルバルブ開度の初期学習が行われるようにすることを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、車両に搭載される内燃機関を制御する制御装置であって、車載のバッテリからの給電が停止した場合、その事実を示す値がメモリに記憶保持されるか、バッテリからの給電が停止しない限りメモリに記憶保持している値が給電の停止によりメモリから消失し、バッテリからの給電停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、スロットルバルブが所定の基準開度をとるときのスロットルポジションセンサの出力信号を確認する学習を実行する内燃機関の制御装置を構成した。
【0012】
前記学習は、イグニッションスイッチがOFFとなっており内燃機関を停止させている状態で実行することができる。
【0013】
本発明に係る制御装置は、外部診断器が接続され、その外部診断器から発せられる所定の指令を受信したときに前記学習を実行するものであることがある。だが、外部診断器から発せられる指令を受信せずとも、バッテリからの給電停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、前記学習を実行することができる。
【0014】
本発明に係るスロットルバルブ開度の初期学習方法は、車両に搭載される内燃機関のスロットルバルブが所定の基準開度をとるときのスロットルポジションセンサの出力信号を確認する学習の実行方法であって、外部診断器から発せられる所定の指令を受信したときに前記学習を実行するだけでなく、外部診断器から発せられる指令を受信せずとも、車載のバッテリからの給電の停止があった事実を示す値がメモリに記憶保持されていることを条件として、またはバッテリからの給電停止によりメモリに記憶保持していた値が消失していることを条件として、前記学習を実行するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部診断器を使用せずとも、必要なときにスロットルバルブ開度の初期学習が実行されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置のハードウェア資源構成を示す図。
【
図2】同実施形態における内燃機関及びその制御装置、並びに外部診断器を示す図。
【
図3】同実施形態の内燃機関の制御装置が行うスロットルバルブ開度の初期学習の模様を示すタイミング図。
【
図4】同実施形態の内燃機関の制御装置がプログラムに従い実行する処理の手順例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では、車両に搭載される内燃機関0として、ガソリンを燃料とする既知の火花点火式の4ストロークレシプロエンジンを想定している。内燃機関0の気筒に連なる吸気通路には、気筒に流れ込む吸気の流量を増減調整するための電子スロットルバルブ2が設置されている。電子スロットルバルブ2は、吸気通路を開閉するバタフライバルブの弁体21をスロットルモータ22により回動させ、その開度を拡縮させるものである。スロットルモータ22は、例えばDC(Direct Current)モータである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の内燃機関0の制御装置たるEFI-ECU(Electronic Fuel Injection ECU)1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、フラッシュメモリを含むROM(Read Only Memory)13、入出力インタフェース14、15、16及びモータ駆動回路17等を有したマイクロコンピュータシステムである。CPU11により実行されるべきプログラムはROM13に格納されており、プログラムの実行の際にはROM13からRAM12に読み込まれ、CPU11によって解読される。ECU1は、プログラムに従ってハードウェア資源を作動させ、内燃機関0の運転を制御する。
【0019】
ECU1の入力インタフェース13には、例えば、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関0の出力軸であるクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量(いわば、要求されるエンジン負荷率またはエンジントルク)を検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、スロットルバルブ2の弁体21の角度(姿勢)即ち実際のスロットルバルブ2の開度を検出するスロットルポジションセンサ23から検出されるスロットル開度信号d、内燃機関0の吸気通路におけるスロットルバルブ2の下流の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関0の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、内燃機関0の気筒から排出されて排気通路を流れるガスの空燃比を検出する空燃比センサから出力される空燃比信号g等が入力される。
【0020】
ECU1の出力インタフェース15からは、例えば、各気筒に配した点火プラグ及び点火コイルに付随するイグナイタに対して点火信号i、燃料を噴射するインジェクタに対してこれを開弁させる燃料噴射信号j等が出力される。加えて、スロットルモータ22を作動させるための駆動電流kが、モータ駆動回路17を介してスロットルモータ22に印加される。
【0021】
EFI-ECU1は、通信インタフェース16を介してCAN(Controller Area Network)等の電気通信回線のバス4に接続しており、他のECU3、例えば車両の駆動系のトランスミッションの制御を司るECUや、車室内を空調するエアコンディショナの制御を司るECU等との間で相互にデータ通信を行うことが可能である。
【0022】
また、バス4には診断コネクタ5が付設されている。
図2に示すように、このコネクタ5にケーブル91を接続し、そのケーブル91を既知の外部診断器9に接続すれば、ECU1、3と外部診断器9との間で相互にデータ通信を行うことが可能となる。
【0023】
内燃機関0の運転制御を司るECU1は、イグニッションスイッチ(または、パワースイッチ、イグニッションキー)6がONにされて車両が運用されている間、運転者が操作するアクセルペダルの踏込量に応じてスロットルバルブ2の開度を拡縮させ、気筒に吸入される空気量に見合った量の燃料をインジェクタから噴射し、適宜のタイミングで点火プラグによる火花点火を実施して、気筒内で燃料を燃焼させる。運転者がアクセルペダルを踏んでおらず、内燃機関0をアイドル運転するときには、エンジン回転数が所望の目標アイドル回転数に収束するように、スロットルバルブ2の開度及び燃料噴射量を調節する。
【0024】
ECU1は、現在のスロットルバルブ2の実開度を、スロットルポジションセンサ23が出力する信号dを参照して知得する。そのために、スロットルバルブ2の実開度とスロットルポジションセンサ23の出力信号dとの関係を予め把握しておく必要がある。そこで、内燃機関0の運転の停止中に、スロットルバルブ2の弁体21を強制的に所定の基準開度、典型的には全閉位置A0に変位させて、そのときのスロットルポジションセンサ23の出力信号dを確認する初期学習を実行する。
【0025】
図3に、スロットルバルブ2の開度の初期学習の模様を示している。スロットルモータ22に電力を供給せず、スロットルモータ22から弁体21に力を付与していないときの電子スロットルバルブ2の開度は、吸気の流通をほぼ完全に遮断する全閉A0ではなく、少しく吸気の流通を許容するように僅かながら開いているオープナ開度A1をとる。スロットルバルブ2の弁体21には、オープナスプリングが付設されている。そのスプリングが弁体21を弾性付勢して、弁体21をオープナ開度A1を具現する角度に位置付ける。オープナ開度A1は、万が一スロットルモータ22に故障が生じたとしても、最低限の吸気流量を確保して内燃機関0を始動し運転できるようにするとともに、エンジン回転数の過剰な吹き上がりを招かないような大きさに定められる。
【0026】
初期学習では、スロットルモータ22に駆動電流kを印加し、スロットルバルブ2を閉じる方向に弁体21を駆動する。t0が、スロットルバルブ2を閉じ始める時点である。スロットルモータ22が発生させる駆動力により、弁体21がオープナスプリンによる弾性付勢力に抗して変位し、全閉位置A0に到達してストッパに当接し、それ以上弁体21が変位できないようになると、スロットルモータ22に対する機械的な負荷が急増して駆動電流kが急増する。並びに、弁体21の回動に伴い変化するスロットルポジションセンサ23の出力信号dの変動が収まり一定化する。ECU1は、スロットルモータ22の駆動電流kが急増し、及び/または、スロットルポジションセンサ23の出力信号dの変動が収まった時点t1における出力信号dの値を、学習値としてRAM12またはフラッシュROM13に記憶保持する。
【0027】
そして、ECU1は、以後の内燃機関0の運転制御において、上記の学習値を基準として用い、現在のスロットルバルブ2の実開度を求める。スロットルポジションセンサ23の出力信号dが学習値に一致するとき、スロットルバルブ2は全閉している。また、スロットルポジションセンサ23の出力信号dと学習値との差分が、スロットルバルブ2の開度、即ちスロットルバルブ2の弁体21が全閉位置A0からどれだけ開いているかを表す。
【0028】
スロットルバルブ2の開度の初期学習を実行する契機は、通常、外部診断器9からの指令である。
図4に示すように、人が外部診断器9を手動操作して初期学習を行うべき旨を指令する信号を同外部診断器9から発信させ、ECU1がこれを受信したとき(ステップS1)、ECU1は上述した初期学習を実行する(ステップS4)。
【0029】
これ以外に、本実施形態のECU1は、車載のバッテリ7からECU1への給電が停止した事実があり(ステップS2)、かつイグニッションスイッチ6がOFFである(ステップS3)ことを必要条件として、スロットルバルブ2の開度の初期学習を実行する(ステップS4)。
【0030】
車両の整備工場等において、内燃機関0のスロットルバルブ2を新品に交換し、またはスロットルバルブ2を内燃機関0から取り外し清掃した後に再度取り付けるような作業を行う場合、安全確保の目的で、車載のバッテリ7のマイナス端子から車体(ボディアース)に接続するアースケーブル8を外す等して、バッテリ7から車両の電装系への通電を遮断する。これにより、バッテリ7からECU1への給電も断たれることになる。尤も、ECU1に供給される電力が瞬時に0になるわけではなく、短時間(例えば、数十秒)の間は、バッテリ7以外の蓄電装置、即ちサブバッテリやキャパシタ等に蓄えていた電荷がECU1に供給される。それによる最小限の電力供給すら失われると、これまでECU1がメモリ、特にRAM12に記憶保持していた各種の値が消失してしまう。
【0031】
本実施形態のECU1は、バッテリ7からの給電が断たれ、当該ECU1に供給される電力(または、電圧若しくは電圧)が閾値以下に低下した場合に、バッテリ7からの給電が停止したことを示す値をメモリ、特にフラッシュROM13に記憶保持する処理を実施する。その上で、ステップS2では、メモリ13にそのような値が記憶されていることを以て、直近にバッテリ7からECU1への給電が停止したことがあったと推断する。その事実は、内燃機関0のスロットルバルブ2の交換または付け外しが行われたこと、ひいては今再びスロットルバルブ2の開度の初期学習を実行する必要があることを示唆する。
【0032】
あるいは、ステップS2にて、バッテリ7からの給電が停止しない限りメモリ12に記憶保持しているはずの特定の値をメモリから正しく読み出せないことを以て、直近にバッテリ7からECU1への給電が停止したことがあったと推断するようにしてもよい。
【0033】
ステップS1の条件、またはステップS2及びS3の条件が成立してステップS4の初期学習を実行するのは、バッテリ7のマイナス端子から外されていたアースケーブル8が再びマイナス端子に接続される等して、バッテリ7からECU1その他の電装系への給電が再開された後である。ステップS1ないしS4は、バッテリ7からの給電が再開された後、可及的速やかに実施することが望ましい。さすれば、停止していた内燃機関0が再び始動される前に、初期学習を完遂することができる。
【0034】
本実施形態では、車両に搭載される内燃機関0を制御する制御装置であって、車載のバッテリ7からの給電が停止した場合、その事実を示す値がメモリ13に記憶保持されるか、バッテリ7からの給電が停止しない限りメモリ12に記憶保持している値が給電の停止によりメモリ12から消失し、バッテリ7からの給電停止があった事実を示す値がメモリ13に記憶保持されていることを条件として、またはバッテリ7からの給電停止によりメモリ12に記憶保持していた値が消失していることを条件として、スロットルバルブ2が所定の基準開度をとるときのスロットルポジションセンサ23の出力信号dを確認する学習を実行する内燃機関0の制御装置を構成した。
【0035】
本実施形態によれば、スロットルバルブ2を交換したり清掃したりする作業が行われた後、外部診断器9の有無によらず、確実にスロットルバルブ2の開度の初期学習が行われるようになる。従って、初期学習の未完了に起因したアイドル回転数の不安定化やスロットルモータ22における電力消費、発熱の増大といった問題を有効に回避することできる。
【0036】
また、車載のバッテリ7からECU1への給電が停止した事実がある場合において、イグニッションスイッチ6がOFFとなっており内燃機関0を停止させている状態で、前記初期学習を実行するようにしているので、内燃機関0が停止している間に、即ちこれが再び始動される前に学習を完遂でき、内燃機関0の始動後の運転に支障を来さない。
【0037】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的な構成や処理の内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
0…内燃機関
1…制御装置(ECU)
2…スロットルバルブ
23…スロットルポジションセンサ
6…イグニッションスイッチ
7…バッテリ
9…外部診断器
d…スロットルポジションセンサの出力信号