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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142637
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】視野評価装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20220922BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220922BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20220922BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
A61B3/024
G09G5/00 550C
G09G5/38 A
G09G5/00 510G
G09G5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042887
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 禎也
(72)【発明者】
【氏名】武井 宙之
(72)【発明者】
【氏名】門馬 悠生
(72)【発明者】
【氏名】藤田 薫
【テーマコード(参考)】
4C316
5C182
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA18
4C316AA21
4C316AB16
4C316FA01
4C316FA18
4C316FB11
4C316FC15
4C316FY09
4C316FZ01
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB12
5C182AB33
5C182AC03
5C182BA14
5C182BA56
5C182CA01
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB42
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】被験者の特性に応じて視野の評価を行う。
【解決手段】視野評価装置は、表示部と、視点検出部と、被験者の視点が検出される表示部上の位置を基準位置とし、基準位置から離れた表示部上の位置に指標を表示させる表示制御部と、被験者の視点が指標の表示位置に移動した場合には、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれると評価とし、被験者の視点が指標の表示位置に移動していない場合には、指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価とする評価部とを備え、指標の表示及び評価を複数回連続で行う場合、表示制御部は、直前回で含まれる旨の評価の場合、直前回に比べて被験者による視認難度が高い第1態様で指標を表示させ、直前回で含まれない旨の評価の場合、直前回に比べて視認難度が低い第2態様で指標を表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部おける被験者の視点の位置を検出する視点検出部と、
前記被験者の前記視点が検出される前記表示部上の位置を基準位置とし、前記基準位置から離れた前記表示部上の位置に指標を表示させる表示制御部と、
前記被験者の前記視点が前記指標の表示位置に移動した場合には、前記指標の表示位置が前記基準位置を中心とした前記被験者の可視領域に含まれると評価し、前記被験者の前記視点が前記指標の表示位置に移動していない場合には、前記指標の表示位置が前記可視領域に含まれないと評価する評価部と
を備え、
前記指標の表示及び前記評価を複数回連続で行う場合、前記表示制御部は、直前回の前記評価において前記指標の表示位置が前記可視領域に含まれると評価された場合、前記直前回に比べて前記被験者による視認難度が高い第1態様で前記指標を表示させ、直前回の前記評価において前記指標の表示位置が前記可視領域に含まれないと評価された場合、前記直前回に比べて前記視認難度が低い第2態様で前記指標を表示させる
視野評価装置。
【請求項2】
前記第1態様は、前記基準位置と前記指標の表示位置との距離が前記直前回よりも長くなる位置に前記指標を表示させる態様であり、
前記第2態様は、前記基準位置と前記指標の表示位置との距離が前記直前回よりも短くなる位置に前記指標を表示させる態様である
請求項1に記載の視野評価装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記指標の輝度を複数段階に制御して表示させ、
前記第1態様は、前記直前回に比べて前記指標の輝度を低くして表示させる態様であり、
前記第2態様は、前記直前回に比べて前記指標の輝度を高くして表示させる態様である
請求項1又は請求項2に記載の視野評価装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記指標の輝度を複数段階に制御して表示させ、
前記第1態様は、前記直前回の前記指標の輝度が低いほど、前記基準位置から遠い位置に前記指標を表示させる態様を含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の視野評価装置。
【請求項5】
前記第1態様は、前記直前回において前記被験者の視点が前記指標の表示位置に到達するまでの時間が短いほど、前記基準位置から遠い位置に前記指標を表示させる態様を含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の視野評価装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、過去の評価結果の中から、直近で前記基準位置に対し同一方向に指標が表示された際の評価結果に基づいて、前記指標を前記第1態様で表示させるか前記第2態様で表示させるかを制御する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の視野評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部に指標を表示して被験者の視線を検出し、検出結果に基づいて被験者の視野を評価する視野評価装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6606264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような視野評価装置を用いて評価を行う場合、被験者ごとに指標に対する感度や応答速度等の特性が異なる場合がある。そのため、被験者の特性に応じた視野の評価を行うことが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被験者の特性に応じて視野の評価を行うことが可能な視野評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る視野評価装置は、表示部と、前記表示部おける被験者の視点の位置を検出する視点検出部と、前記被験者の前記視点が検出される前記表示部上の位置を基準位置とし、前記基準位置から離れた前記表示部上の位置に指標を表示させる表示制御部と、前記被験者の前記視点が前記指標の表示位置に移動した場合には、前記指標の表示位置が前記基準位置を中心とした前記被験者の可視領域に含まれると評価し、前記被験者の前記視点が前記指標の表示位置に移動していない場合には、前記指標の表示位置が前記可視領域に含まれないと評価する評価部とを備え、前記指標の表示及び前記評価を複数回連続で行う場合、前記表示制御部は、直前回の前記評価において前記指標の表示位置が前記可視領域に含まれると評価された場合、前記直前回に比べて前記被験者による視認難度が高い第1態様で前記指標を表示させ、直前回の前記評価において前記指標の表示位置が前記可視領域に含まれないと評価された場合、前記直前回に比べて前記視認難度が低い第2態様で前記指標を表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被験者の特性に応じて視野の評価を行うことが可能な視野評価装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る視野評価装置の一例を示す図である。
図2図2は、視野評価装置の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図4図4は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図5図5は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図6図6は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図7図7は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図8図8は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図9図9は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図10図10は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図11図11は、表示部における表示内容の一例を示す図である。
図12図12は、本実施形態に係る視野評価方法の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、変形例での表示部における表示内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る視野評価装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る視野評価装置100の一例を示す図である。図1に示す視野評価装置100は、被験者の視線を検出し、検出結果を用いることで、被験者の視野を評価する。視野評価装置100は、例えば被験者の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する方法、又は被験者の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する方法等、各種の方法により被験者の視線を検出することができる。
【0011】
図1に示すように、視野評価装置100は、表示装置10と、眼球撮影装置20と、制御装置30とを備える。
【0012】
表示装置10は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display:OLED)のようなフラットパネルディスプレイを含む。本実施形態において、表示装置10は、表示部11を有する。表示部11は、画像等の情報を表示する。表示装置10は、ヘッドマウント型ディスプレイ装置であってもよい。表示装置10がヘッドマウント型ディスプレイ装置である場合、ヘッドマウントモジュール内に眼球撮影装置20のような構成が配置されることになる。
【0013】
眼球撮影装置20は、被験者の左右の眼球EBを撮影して眼球画像を取得し、取得した眼球画像を制御装置30に送信する。眼球撮影装置20は、被験者の左右の眼球EBを撮影することで画像データを取得する。眼球撮影装置20は、被験者の視線を検出する方法に応じた各種カメラを有する。例えば被験者の瞳孔の位置と角膜反射像の位置とに基づいて視線を検出する方式の場合、眼球撮影装置20は、赤外線カメラを有し、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、その近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。なお、この構成では、被験者の眼球EBに赤外線を照射する照射装置が設けられた構成であってもよい。また、例えば被験者の目頭の位置と虹彩の位置とに基づいて視線を検出する方式の場合、眼球撮影装置20は、可視光カメラを有する。眼球撮影装置20は、フレーム同期信号を出力する。フレーム同期信号の周期は、例えば20[msec]とすることができるが、これに限定されない。眼球撮影装置20は、例えば2つのカメラを有するステレオカメラの構成とすることができるが、これに限定されない。
【0014】
制御装置30は、視野評価装置100の動作を統括的に制御する。制御装置30は、CPU(central processing unit)等の演算処理装置と、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)のようなメモリ又はストレージ等の記憶装置とを含む。制御装置30は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施する。
【0015】
本実施形態に係る視野評価装置100は、表示装置10と制御装置30とが別々の装置である。なお、表示装置10と制御装置30とが一体でもよい。例えば視野評価装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含んでもよい。この場合、当該タブレット型パーソナルコンピュータに、表示装置、眼球撮影装置、コンピュータシステム、入力装置、出力装置等が搭載されてもよい。
【0016】
図2は、視野評価装置100の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置30は、表示制御部31と、視点検出部32と、判定部33と、演算部34と、評価部35と、記憶部36とを有する。
【0017】
表示制御部31は、被験者に注視させるための指標を表示部11に表示させる。表示制御部31は、指標の輝度を複数段階に制御して表示させることができる。表示制御部31は、指標の大きさ及び指標を表示する表示時間を複数段階に制御して表示可能であってもよい。
【0018】
表示制御部31は、被験者の視点が検出される表示部11上の位置を基準位置とし、基準位置から離れた表示部11上の位置に指標を表示させる。表示制御部31は、被験者の視野評価を行うに際して適切な位置に指標を表示する。表示制御部31は、例えば過去に計測を行い記憶部36に記憶される評価情報に基づいて適切な位置を算出してもよい。
【0019】
表示制御部31は、連続して計測を行う場合、評価部35により直前回の評価が行われた後、表示部11上において被験者の視点が検出される新たな基準位置を設定する。表示制御部31は、直前回の評価において指標の表示位置が可視領域に含まれると評価された場合には、直前回に比べて被験者による視認難度が高い第1態様で指標を表示させる。また、表示制御部31は、直前回の評価において指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価された場合には、直前回に比べて被験者による視認難度が低い第2態様で指標を表示させる。
【0020】
ここで、視認難度とは、被験者が基準位置を視野中心とした場合に視認することの難しさの度合いを示す。例えば、指標の表示位置が基準位置から遠く、指標の輝度が低く、指標の大きさが小さく、指標の表示時間が短いほど、視認難度が高いといえる。逆に、指標の表示位置が基準位置から近く、指標の輝度が高く、指標の大きさが大きく、指標の表示時間が長いほど、視認難度が低いといえる。
【0021】
したがって、第1態様については、例えば基準位置と指標の表示位置との距離が直前回よりも長くなる位置に指標を表示させる態様、直前回に比べて指標の輝度を低くして表示させる態様、直前回に比べて指標の大きさを小さくして表示させる態様、直前回に比べて指標の表示時間が短くなるように表示させる態様等が挙げられる。
【0022】
また、第2態様については、例えば基準位置と指標の表示位置との距離が直前回よりも短くなる位置に指標を表示させる態様、直前回に比べて指標の輝度を高くして表示させる態様、直前回に比べて指標の大きさを大きくして表示させる態様、直前回に比べて指標の表示時間が長くなるように表示させる態様等が挙げられる。
【0023】
また、第1態様は、直前回における指標の視認難度が高いほど、又は直前回において被験者の視点が指標の表示位置に到達するまでの時間が短いほど、視認難度が高くなるように指標を表示させる態様であってもよい。例えば、表示制御部31は、第1態様として、直前回における指標の輝度が低いほど、基準位置から遠い位置に指標を表示させる、又は輝度が低くなるように指標を表示させることができる。また、表示制御部31は、第1態様として、直前回において被験者の視点が指標の表示位置に到達するまでの時間が短いほど、基準位置から遠い位置に指標を表示させる、又は輝度が低くなるように指標を表示させることができる。
【0024】
視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する。本実施形態において、視点検出部32は、眼球撮影装置20によって取得される被験者の左右の眼球EBの画像に基づいて、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルを検出する。視点検出部32は、検出した被験者の視線ベクトルと表示装置10の表示部11との交点の位置を、被験者の視点の位置として検出する。つまり、本実施形態において、視点の位置は、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと、表示装置10の表示部11との交点の位置である。視点検出部32は、規定のサンプリング周期毎に被験者の視点の位置を検出する。このサンプリング周期は、例えば眼球撮影装置20から出力されるフレーム同期信号の周期(例えば20[msec]毎)とすることができる。
【0025】
判定部33は、表示制御部31によって指標が表示される期間に、視点の位置に基づいて、視点が指標に対応する判定領域に存在するか否かをそれぞれ判定し、判定結果を出力する。判定領域は、例えば指標を含む領域であり、指標の輪郭線に沿って設定することができる。判定部33は、規定の判定周期毎に視点が判定領域に存在するか否かを判定する。判定周期としては、例えば眼球撮影装置20から出力されるフレーム同期信号の周期(例えば20[msec]毎)とすることができる。つまり、判定部33の判定周期は、視点検出部32のサンプリング周期と同一である。判定部33は、視点検出部32で視点の位置がサンプリングされる毎に当該視点について判定を行い、判定結果を出力する。
【0026】
演算部34は、表示部11に指標が表示されてからの経過時間を検出するタイマと、判定部33により判定領域に注視点が存在すると判定された判定回数をカウントするカウンタとを有する。演算部34は、例えばカウンタの値が所定の閾値を超える場合、被験者の視点が指標に移動したことを検出することができる。また、演算部34は、タイマに基づいて、指標が表示されてから被験者の視点が指標に移動するまでの到達時間を算出することができる。
【0027】
評価部35は、被験者の視点の位置に基づいて被験者の可視領域を評価する。評価部35は、例えば被験者の視点が指標の表示位置に移動した場合には、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれると評価する。また、評価部35は、例えば被験者の視点が指標の表示位置に移動していない場合には、指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価する。
【0028】
記憶部36は、上記の判定結果及び評価結果を記憶する。また、記憶部36は、被験者の視点が検出される表示部11上の位置を基準位置とし、基準位置から離れた表示部11上の位置に指標を表示させる処理と、被験者の視点が指標の表示位置に移動した場合には、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれると評価し、被験者の視点が指標の表示位置に移動していない場合には、指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価する処理と、を行い、指標の表示及び評価を複数回連続で行う場合、直前回の評価において指標の表示位置が可視領域に含まれると評価された場合には、直前回に比べて被験者による視認難度が高い第1態様で指標を表示させ、直前回の評価において指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価された場合、直前回に比べて視認難度が低い第2態様で指標を表示させる処理とをコンピュータに実行させる視野評価プログラムを記憶する。
【0029】
次に、本実施形態に係る視野評価方法について説明する。本実施形態に係る視野評価方法では、上記の視野評価装置100を用いることにより、被験者の視野を評価する。
【0030】
図3から図11は、表示部11における表示内容の一例を示す図である。図3に示すように、表示制御部31は、例えば表示部11の中央部に被験者の視点を向けるように基準指標Pを表示させる。視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する。判定部33は、検出された被験者の視点が基準指標Pに対応する判定領域に存在するか否かを判定する。
【0031】
判定部33により視点が判定領域に存在すると判定された場合、表示制御部31は、基準指標Pの表示位置(X0、Y0)を基準位置とし、図4に示すように、基準位置である基準指標Pの位置に対して離れた位置に所定の輝度で指標Qを表示させる。表示制御部31は、例えば表示部11において、基準位置を原点とした場合の第1象限に対応する第1領域11A、第2象限に対応する第2領域11B、第3象限に対応する第3領域11C、第4象限に対応する第4領域11Dの4つの領域の中からランダムに1つの領域を選択して指標Qを表示させることができる。
【0032】
視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する。判定部33は、検出された被験者の視点が判定領域、つまり指標Qに対応する領域に存在するかを判定する。演算部34は、判定結果に基づいて、被験者の視点が指標Qに対応する領域に存在する時間を算出する。評価部35は、算出された時間が所定時間以上である場合、被験者の視点が指標Qの表示位置に移動したと判断する。評価部35は、被験者の視点が指標Qの表示位置に移動したと判断した場合、指標Qの表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれると評価する。また、評価部35は、算出された時間が所定時間未満である場合、被験者の視点が指標Qの表示位置に移動していないと判断する。評価部35は、被験者の視点が指標Qの表示位置に移動していないと判断した場合、指標Qの表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれないと評価する。評価部35は、基準位置を中心とした可視領域についての評価を行った後、指標Qの位置と評価内容とを対応付けて記憶部36に記憶させる。
【0033】
上記の指標の表示及び評価を複数回連続して行う場合、表示制御部31は、例えば表示部11の中央部に再び基準指標Pを表示させる。この場合、基準指標Pの表示位置は、表示部11の中央部に限定されず、他の位置であってもよい。視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する。判定部33は、検出された被験者の視点が基準指標Pに対応する判定領域に存在するか否かを判定する。
【0034】
判定部33により視点が判定領域に存在すると判定された場合、表示制御部31は、基準指標Pの表示位置を基準位置として指標を表示させる。表示制御部31は、直前回の評価において指標Qの表示位置が可視領域に含まれると評価された場合には、図5に示すように、直前回に比べて視認難度が高い第1態様で指標Q1を表示させる。図5に示すように、表示制御部31は、第1態様として、例えば直前回に比べて基準位置との距離が長くなる位置に指標Q1を表示させることができる。なお、直前回と同様、指標Q1を表示させる場合、表示部11における4つの領域(第1領域11A、第2領域11B、第3領域11C、第4領域11D)の中からランダムに1つの領域を選択して表示させることができる。なお、表示制御部31は、4つの領域のうち直前回に指標Qを表示した領域とは異なる領域に新たな指標を表示させるようにしてもよい。
【0035】
また、表示制御部31は、直前回の評価において指標Qの表示位置が可視領域に含まれないと評価された場合には、図6に示すように、直前回に比べて視認難度が低い第2態様で指標Q2を表示させる。図6に示すように、表示制御部31は、第2態様として、例えば直前回に比べて基準位置との間の距離が短くなる位置に指標Q2を表示させることができる。
【0036】
第1態様及び第2態様の例としては、図5及び図6に示す例に限定されない。例えば、表示制御部31は、図7に示すように、第1態様として、例えば直前回の指標Qに比べて輝度を低くした指標Q3を表示させてもよい。この場合、基準位置と指標Q3との距離については、直前回における基準位置と指標Qとの距離と同様とすることができる。
【0037】
また、表示制御部31は、図8に示すように、第2態様として、例えば直前回の指標Qに比べて輝度を高くした指標Q4を表示させてもよい。この場合、基準位置と指標Q4との距離については、直前回における基準位置と指標Qとの距離と同様とすることができる。
【0038】
また、表示制御部31は、第1態様として、直前回の指標の視認難度が高いほど、視認難度が高くなる態様で指標を表示させることができる。図9は、直前回の指標Q5、Q6、Q7について、それぞれの表示位置が可視領域に含まれると評価された場合の例を示す。図9に示すように、表示制御部31は、指標Q5、Q6、Q7の輝度が低いほど、基準位置から遠い位置に指標Q8、Q9、Q10を表示させることができる。例えば、輝度が中程度の指標Q5に対して、表示制御部31は、基準位置からの距離が中程度の位置に指標Q8を表示させることができる。また、輝度が指標Q5よりも低い指標Q6に対して、表示制御部31は、基準位置からの距離が指標Q8よりも遠い位置に指標Q9を表示させることができる。また、輝度が指標Q5よりも高い指標Q7に対して、表示制御部31は、基準位置からの距離が指標Q8よりも近い位置に指標Q10を表示させることができる。
【0039】
また、表示制御部31は、第1態様として、直前回において被験者の視点が指標に到達するまでの時間が短いほど、視認難度が高くなるように指標を表示させることができる。例えば、図10に示すように、演算部34は、直前回において被験者の視点が指標Q11に到達するまでの時間tを算出する。時間tが所定の閾値よりも長い時間t1である場合、表示制御部31は、基準位置を基準とした位置に指標Q12を表示させる。一方、時間tが所定の閾値よりも短い時間t2である場合、表示制御部31は、基準位置を基準として指標Q12よりも遠い位置に指標Q13を表示させることができる。なお、表示制御部31は、指標Q12よりも輝度を低くして指標Q13を表示させるようにしてもよい。
【0040】
また、上記の各説明においては、基準位置を直前回と同様の位置(表示部11の中央部の位置)とする場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、表示制御部31は、直前回において基準指標P1を基準位置として指標Q14を表示した場合、指標Q14の表示位置を新たな基準位置として設定して指標Q15を表示させてもよい。この場合、新たに設定した基準位置に基準指標P2を表示させても良い。
【0041】
上記のように指標(Q1~Q4、Q8~Q10、Q12、Q13、Q15)が表示された場合、直前回の指標(Q、Q5~Q7、Q11、Q14)の表示時と同様に、視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する。判定部33は、検出された被験者の視点が判定領域、つまり指標に対応する領域に存在するかを判定する。演算部34は、判定結果に基づいて、被験者の視点が指標に対応する領域に存在する時間を算出する。評価部35は、算出された時間が所定時間以上である場合、被験者の視点が指標の表示位置に移動したと判断する。評価部35は、被験者の視点が指標の表示位置に移動したと判断した場合、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれると評価する。また、評価部35は、算出された時間が所定時間未満である場合、被験者の視点が指標の表示位置に移動していないと判断する。評価部35は、被験者の視点が指標の表示位置に移動していないと判断した場合、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれないと評価する。評価部35は、基準位置を中心とした可視領域についての評価を行った後、指標の位置と評価内容とを対応付けて記憶部36に記憶させる。
【0042】
その後、表示制御部31は、指標の表示位置が可視領域に含まれると評価された場合には、新たな基準位置を設定し、当該新たな基準位置に対して指標に比べて被験者による視認難度が高い第1態様で新たな指標を表示させる。また、表示制御部31は、指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価された場合には、新たな基準位置に対して指標に比べて被験者による視認難度が低い第2態様で新たな指標を表示させる。そして、上記同様に被験者に新たな指標を注視させることで、新たな指標の表示位置が被験者の可視領域に含まれるか否かを評価し、評価結果を記憶部36に記憶する。このようにして、直前回に表示された指標についての評価内容に基づいて、次に表示する指標の態様を変化させて視野計測及び評価を行うようにする。
【0043】
複数回の計測及び評価により、記憶部36には、被験者の可視領域に含まれると評価された位置の情報が蓄積される。評価部35は、この蓄積された位置の情報に基づいて、被験者の可視領域をマッピングし、マッピング結果を表示部11等に表示させてもよい。また、記憶部36には、被験者の可視領域に含まれないと評価された位置の情報が蓄積される。表示制御部31は、表示部11に指標を表示させる際、第1領域11Aから第4領域11Dの4つの領域のうち、被験者の可視領域に含まれないと評価された位置に対応する領域について指標の表示回数が増加するように乱数に重みづけを行ってもよい。また、評価部35は、記憶部36に蓄積された各位置情報と、被験者の年齢、性別、職業等の付帯情報とを関連付けたデータベースを生成してもよい。評価部35は、当該データベースに基づいて被験者の付帯情報と可視領域の評価結果との関連性を求めるようにしてもよい。
【0044】
次に、本実施形態に係る視野評価方法の一例について、図12を参照しながら説明する。図12は、本実施形態に係る視野評価方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態において、表示制御部31は、被験者の視点が検出される表示部11上の位置を基準位置として設定する(ステップS10)。表示制御部31は、基準位置に対して指標を表示させる(ステップS20)。
【0045】
視点検出部32は、被験者の視点の位置を検出する(ステップS30)。評価部35は、検出した視点の位置に基づいて、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれるか否かを評価し(ステップS40)、評価結果を指標の表示位置と対応付けて記憶部36に記憶させる(ステップS50)。ステップS50の後、視野の計測を終了する場合、以降の処理をスキップして処理を終了する(ステップS60のYes)。
【0046】
視野の計測を終了した後に、計測結果を出力しても良い。計測結果の出力形態としては、紙に印刷する方法や表示装置に表示させる方法等が考えられる。例えば、計測者が計測結果を紙に印刷したり表示装置に表示したりすることで、被験者に計測結果を説明することが容易になる。
【0047】
視野の計測を終了しない場合(ステップS60のNo)、表示制御部31は、被験者の視点が検出される表示部11上の位置を新たな基準位置として設定する(ステップS70)。表示制御部31は、直前回において指標の表示位置が可視領域に含まれると評価されている場合(ステップS80のYes)、第1態様で指標を表示する(ステップS90)。一方、直前回において指標の表示位置が可視領域に含まれていないと評価されている場合(ステップS80のNo)、第2態様で指標を表示する(ステップS100)。ステップS90又はステップS100の後、ステップS30以降の処理を行わせる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る視野評価装置100は、表示部11と、表示部11おける被験者の視点の位置を検出する視点検出部32と、被験者の視点が検出される表示部11上の位置を基準位置とし、基準位置から離れた位置に指標を表示させる表示制御部31と、被験者の視点が指標の表示位置に移動した場合には、指標の表示位置が基準位置を中心とした被験者の可視領域に含まれると評価し、被験者の視点が指標の表示位置に移動していない場合には、指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価する評価部35とを備え、指標の表示及び評価を複数回連続で行う場合、表示制御部31は、直前回の評価において指標の表示位置が可視領域に含まれると評価された場合、直前回に比べて被験者による視認難度が高い第1態様で指標を表示させ、直前回の評価において指標の表示位置が可視領域に含まれないと評価された場合、直前回に比べて視認難度が低い第2態様で第2指標を表示させる。
【0049】
この構成によれば、直前回に表示部11に表示された指標についての評価内容に基づいて、次に表示する指標の態様を変化させて表示部11に表示させるため、被験者の特性に応じて視野の評価を行うことが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る視野評価装置100において、第1態様は、基準位置と指標の表示位置との距離が直前回よりも長くなる位置に指標を表示させる態様であり、第2態様は、基準位置と指標の表示位置との距離が直前回よりも短くなる位置に指標を表示させる態様である。この構成によれば、直前回に表示された指標が可視領域内であるか否かに応じて、次に表示させる指標の位置を変化させることで、可視領域のマッピングを効率的に行うことができる。
【0051】
本実施形態に係る視野評価装置100において、表示制御部31は、指標の輝度を複数段階に制御して表示させ、第1態様は、直前回に比べて指標の輝度を低くして表示させる態様であり、第2態様は、直前回に比べて指標の輝度を高くして表示させる態様である。この構成によれば、直前回に表示された指標が可視領域内であるか否かに応じて、次に表示させる指標の輝度を変化させることで、可視領域のマッピングを高精度に行うことができる。
【0052】
本実施形態に係る視野評価装置100において、表示制御部31は、指標の輝度を複数段階に制御して表示させ、第1態様は、直前回の指標の輝度が低いほど、基準位置から遠い位置に指標を表示させる態様を含む。この構成によれば、直前回に可視領域に含まれると評価された指標の視認難度に応じて、次に表示させる指標の位置を変化させることで、可視領域のマッピングを効率的に行うことができる。
【0053】
本実施形態に係る視野評価装置100において、第1態様は、被験者の視点が指標の表示位置に到達するまでの時間が短いほど、基準位置から遠い位置に指標を表示させる態様を含む。この構成によれば、直前回に被験者の視点が指標の表示位置に到達するまでの時間に応じて、次に表示させる指標の位置を変化させることで、可視領域のマッピングを効率的に行うことができる。
【0054】
[変形例]
基準位置に対する指標の表示距離を、基準位置に対する指標の表示位置の延長線上における前回の評価結果に基づいて決定しても良い。図13は、変形例での表示部における表示内容の一例を示す図である。指標Q21~Q23は、被験者の上方向の視野範囲を評価するための指標の表示例である。先ず、基準位置Pに対し上方向の所定の距離に指標Q21を表示させた状態で、指標Q21の表示位置が可視領域に含まれるか否かを評価する。指標Q21の表示位置が可視領域に含まれると評価された場合、基準位置Pと指標Q21との延長線上で、指標Q21よりも基準位置との距離が長い位置に次回の指標Q22を表示する。指標Q21の表示位置が可視領域に含まれないと判定された場合、基準位置Pと指標Q21との延長線上で、指標Q21よりも基準位置との距離が短い位置に次回の指標Q22を表示する。これを数回繰り返すことで、被験者の上方向の視野範囲を判定することができる。表示位置が可視領域に含まれると評価された指標の表示位置の中で基準位置との距離が最も長い指標の表示位置を被験者の上方向の視野範囲と判定する。
【0055】
指標Q31~Q33は、被験者の左方向の視野範囲を評価するための指標の表示例である。先ず、基準位置Pに対し左方向の所定の距離に指標Q31を表示させた状態で、指標Q31の表示位置が可視領域に含まれるか否かを評価する。指標Q31の表示位置が可視領域に含まれると評価された場合、基準位置Pと指標Q31との延長線上で、指標Q31よりも基準位置との距離が長い位置に次回の指標Q32を表示する。指標Q31の表示位置が可視領域に含まれないと判定された場合、基準位置Pと指標Q31との延長線上で、指標Q31よりも基準位置との距離が短い位置に次回の指標Q32を表示する。これを数回繰り返すことで、被験者の上方向の視野範囲を判定することができる。表示位置が可視領域に含まれると評価された指標の表示位置の中で基準位置との距離が最も長い指標の表示位置を被験者の左方向の視野範囲と判定する。
【0056】
基準位置に対し下方向や右方向についても同様に視野範囲を評価する。視野範囲の評価結果は、それぞれの方向に何度というように数値で出力しても良いし、視野範囲を楕円形や曲線で図として表示しても良い。また、視野範囲の閾値を設定して、視野範囲が許容範囲内か許容範囲外かを評価結果として出力しても良い。例えば、運転免許取得時等の視野検査に本発明の視野検査装置を用いることで、短時間で正確な視野検査を行うことができる。視野範囲の検査は上下左右に限定せず、斜め方向を検査しても良い。
【0057】
基準位置に対する指標の表示方向すなわち視野範囲を評価する方向の順番は任意でよく、前回の指標の表示方向と同じ方向に次回の指標を表示する必要はない。例えば、上方向と左方向の視野範囲を評価する場合、図13における指標Q21の表示位置が可視領域に含まれるか否かを最初に評価し、次に指標Q31の表示位置が可視領域に含まれるか否かを評価し、次に指標Q21の表示位置における評価結果に基づいて指標Q22又は指標Q23の表示位置が可視領域に含まれるか否かを評価し、次に指標Q31の表示位置における評価結果に基づいて指標Q32又は指標Q33の表示位置が可視領域に含まれるか否かを表示しても良い。上下左右の視野範囲を評価する場合であれば、上→下→左→右→上→下→左→右のように評価の方向を変えながら評価すればよい。
【0058】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0059】
EB…眼球、P,P1,P2…基準指標、Q,Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8,Q9,Q10,Q11,Q12,Q13,Q14,Q15…指標、10…表示装置、11…表示部、11A…第1領域、11B…第2領域、11C…第3領域、20…眼球撮影装置、30…制御装置、31…表示制御部、32…視点検出部、33…判定部、34…演算部、35…評価部、36…記憶部、100…視野評価装置
図1
図2
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図10
図11
図12
図13