(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142677
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】陳列棚における落下防止装置
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20220922BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
A47F5/00 F
A47B96/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042961
(22)【出願日】2021-03-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】横田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】秋元 純平
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118FA23
3B118FA26
(57)【要約】
【課題】安全に柵部材の立設状態の解除を行うことができるとともに、高さの高い柵部材でも容易に立設状態にすることができる陳列棚における落下防止装置を提供する。
【解決手段】棚板6の正面側に左右に離間して立設可能な複数の支持部材10と支持部材10に架設される柵部材11とから成り、支持部材10は柵部材11の上部側の左右端部20aを上下方向に案内する誘導路16と、柵部材11の下部側の左右端部20aの下方向への移動を規制できる規制手段18とを備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板の正面側に左右に離間して立設可能な複数の支持部材と、該支持部材に架設される柵部材と、から成る落下防止装置であって、
前記支持部材は、前記柵部材の上部側の左右端部を上下方向に案内する誘導路と、前記柵部材の下部側の左右端部の下方向への移動を規制できる規制手段とを備え、
前記規制手段による規制を解除することで前記柵部材を下方に移動できるようになっていることを特徴とする陳列棚における落下防止装置。
【請求項2】
前記誘導路には、前記柵部材の上部側の左右端部の下方向への移動範囲を規定する規定部が具備されていることを特徴とする請求項1に記載の陳列棚における落下防止装置。
【請求項3】
前記柵部材の上端の左右端部が前記誘導路に案内されることを特徴とする請求項1または2に記載の陳列棚における落下防止装置。
【請求項4】
前記規制手段は、前記支持部材の正面側において上方に起立する起立片であり、該起立片の上方に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の陳列棚における落下防止装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記起立片と該起立片の上方に離間して配置される背面側に向かって下向きに傾斜する傾斜面とにより構成されていることを特徴とする請求項4に記載の陳列棚における落下防止装置。
【請求項6】
前記支持部材は、平面視内向きコ字状断面をなし、コ字状の内部空間を前記誘導路とするとともに、該誘導路に前記柵部材の上部側と下部側の両側端に突設された突出部を嵌挿することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の陳列棚における落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列棚に載置された物品が前方より落下するのを防止する落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、オフィス、図書館、倉庫等においては、棚板上に物品を陳列できる陳列棚が用いられている。このような陳列棚の棚板には、その使用環境に応じて様々な物品が陳列され、棚板は利用者が必要に応じて物品を取り出しやすいように、正面側が開放されているのが一般的である。このような陳列棚にあっては、棚板の正面側が開放されているため、物品の出し入れが容易である反面、地震や人の接触などによって陳列棚が振動した際に棚板から物品が飛び出して落下する可能性があり、物品を破損させたり正面側にいる利用者が怪我をする虞がある。
【0003】
そこで、上下複数の棚板の上面にそれぞれ設置可能な落下防止装置が案出されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の落下防止装置は、棚板の上面に立設可能な左右一対の支持部材と、支持部材同士の間に架設される柵部材と、から構成され、柵部材は各支持部材に形成されたスリット状の溝に長手方向の両端部が嵌挿されて支持されている。詳しくは、柵部材は上下2本のバーが長手方向の複数位置で連結されており、下方のバーは支持部材の下部に形成された上下方向を向く溝の下端部に揺動可能かつ荷重を支持可能に支持され、上方のバーは支持部材の上部に形成された上方に開口する上下方向の溝に対して係合及び離脱可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-314255号公報(第3頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の落下防止装置にあっては、棚板上の物品を取り出す際または棚板上に物品を陳列・収納する際には、柵部材を上方に引き上げ、上方のバーを上部の溝から係脱させ、上方のバーを正面側に倒すように柵部材を揺動させることで柵部材の立設状態を解除し、棚板の正面側を開放する開放状態とすることができるようになっている。上方のバーを正面側に倒す際には、利用者が柵部材の自重を手で支える必要があるが、特に落下防止装置を高所の棚板に設置した際には、手が十分に届かないため柵部材の自重を十分に支えることができず、上方のバーを上部の溝から離脱させる際に柵部材が前方に勢いよく倒れ込み、バーの衝突により物品を破損させたり、思わぬ怪我をしたりする虞があった。
【0006】
また、特許文献1の落下防止装置においては、柵部材を開放状態から立設状態に戻す際、上方のバーを上向きに回動させて支持部材の上部の溝に係合させる操作が必要となるため、高所の棚板に落下防止装置を設置すると、上部の溝を陳列棚の下方から視認することが困難となり、柵部材を容易に立設状態に戻すことができなくなる。特に、例えば高所の棚板に多くの在庫用物品を保管するべく高さの高い柵部材を使用すると、上部の溝が下方から更に視認しにくくなるため、踏み台等を使用しなければならないなど、柵部材を立設状態にする際の作業性が悪くなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、安全に柵部材の立設状態の解除を行うことができるとともに、高さの高い柵部材でも容易に立設状態にすることができる陳列棚における落下防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の陳列棚における落下防止装置は、
棚板の正面側に左右に離間して立設可能な複数の支持部材と、該支持部材に架設される柵部材と、から成る落下防止装置であって、
前記支持部材は、前記柵部材の上部側の左右端部を上下方向に案内する誘導路と、前記柵部材の下部側の左右端部の下方向への移動を規制できる規制手段とを備え、
前記規制手段による規制を解除することで前記柵部材を下方に移動できるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、柵部材は下部側の左右端部の下方向への移動を規制する規制手段が解除されると、柵部材に下方に向けて作用する自重により上部側の左右端部が誘導路により下方向に案内されて下方に移動し、柵部材の上部側が正面側に倒れ込むことがなく、安全に柵部材の立設状態の解除を行うことができる。また、柵部材の下部側の操作で柵部材の立設状態の解除を行うことができるため、特に高所に設置された落下防止装置における作業性に優れる。さらに、高さの高い柵部材を使用しても下部側を操作して上方に移動させるだけで容易に立設状態にすることができる。
【0009】
前記誘導路には、前記柵部材の上部側の左右端部の下方向への移動範囲を規定する規定部が具備されていることを特徴としている。
この特徴によれば、柵部材の立設状態の解除した状態において柵部材を所定の高さ位置に保持することができ、安全に柵部材の立設状態の解除を行うことができる。
【0010】
前記柵部材の上端の左右端部が前記誘導路に案内されることを特徴としている。
この特徴によれば、柵部材の立設状態の解除した状態において、柵部材が上端の左右端部を軸として傾動した際の棚板上の陳列可能空間である後方側への張り出しがなく、落下防止装置を設置した陳列可能空間への影響を最小限に抑えることができる。
【0011】
前記規制手段は、前記支持部材の正面側において上方に起立する起立片であり、該起立片の上方に開口部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、柵部材の下部側の左右端部が起立片の上方を乗り越えるように柵部材を上方に移動させると、下部側の左右端部を開口部から正面側に離脱させることができ、そのまま傾動された柵部材の下部側を手で支えながら下方に移動させることで、柵部材の立設状態を解除することができ作業性に優れる。
【0012】
前記開口部は、前記起立片と該起立片の上方に離間して配置される背面側に向かって下向きに傾斜する傾斜面とにより構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、柵部材の下部側の左右端部を傾斜面に沿わせて上方に移動させることで、起立片の上方を確実に乗り越えさせ、開口部から正面側に離脱させることができるので、作業性が向上する。
【0013】
前記支持部材は、平面視内向きコ字状断面をなし、コ字状の内部空間を前記誘導路とするとともに、該誘導路に前記柵部材の上部側と下部側の両側端に突設された突出部を嵌挿することを特徴としている。
この特徴によれば、柵部材を支持部材のコ字状をなす誘導路に沿って安定的に上下動させることができるとともに、柵部材の上部側と下部側の突出部が誘導路によって保護、隠蔽されるので見栄えがよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の落下防止装置が設置された陳列棚の斜視図である。
【
図2】落下防止装置の拡大分解斜視図と最上段の棚板の要部の拡大斜視図である。
【
図3】柵部材を立設状態として最上段の棚板上の物品の落下を防止する状態の斜視図である。
【
図4】柵部材の立設状態を解除して物品の出し入れを可能とする開放状態まで移動させたときの斜視図である。
【
図5】支持部材とそれに支持された柵部材の拡大縦断側面図を示し、(a)は柵部材を立設した状態、(b)は柵部材を引き上げた状態、(c)は柵部材の下部側の側端部が傾斜面に当接し、支持部材の開口部から正面側に離脱した状態、(d)は柵部材を下方に移動させて立設状態を解除した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る落下防止装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0016】
本発明の実施例に係る落下防止装置につき、
図1から
図5を参照して説明する。以下、
図1の左手前側を正面側(前方側)とし、正面視において左側を左方、右側を右方として説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施例の落下防止装置が設置される陳列棚1は、ベース脚を兼ねる物品載置台2と、物品載置台2の左右の後端部に立設された左右一対の支柱3,3と、両支柱3,3の上端部の対向面同士を連結する連結杆4と、左右の支柱3,3の対向面と連結杆4の下面との間に嵌め込まれた後面板5と、左右の支柱3,3の前面により支持された上下複数段の棚板6とを備えている。各棚板6の左右両端部は、左右の支柱3,3の前面に列設された複数の係止溝7に係止された左右一対のブラケット8により支持されている。
【0018】
最上段の棚板6は、例えばスーパーマーケット等の店舗において在庫用の物品Bを保管しておくために使用され、この最上段の棚板6上の正面側の前端部に落下防止装置9が設置されている。落下防止装置9は、左右に離間して対向する上下方向を向く一対の支持部材10,10と、この支持部材10,10間に架設された柵部材11とからなっている。詳細な説明は後述するが、柵部材11は、棚板6上の物品Bの前方への落下を防止する立設状態(
図1、
図3の状態)と、立設状態を解除して棚板6上への正面側からの物品Bの出し入れを可能とする開放状態(
図4の状態)とに移動可能となっている。
【0019】
左右の支持部材10,10は、互いの対向面が内方に開口するとともに、上下両端が閉塞された平断面視内向きコ字状をなし、背面板10aの下端部には、後方及び内側方を向く固定片12が設けられている。支持部材10と固定片12は例えば鋼板等の金属により形成され、本実施例では固定片12を溶接により固着している。なお、固定片12は、背面板10aを背面側に折曲して一体的に連設することもできる。
【0020】
左右の固定片12,12には、左右2個ずつの取付孔12a,12aが穿設されている。
図2に示すように、取付孔12a,12aに上方より挿入したボルト13,13を、棚板6の前端部に左右方向に沿って列設された前後2列の貫通孔14のうち、後列側の側端部の左右2個の貫通孔14,14に挿入し、棚板6の下方に突出するボルト13にナット15を螺合することにより、左右の支持部材10,10は、最上段の棚板6の上面における正面側の両側端部に対向状に固定されている。
【0021】
左右の支持部材10,10における平面視コ字状の内部空間は、柵部材11の上下の両側端部を上下方向に案内するための誘導路16となっている。誘導路16は、中央部よりもやや下方において区画片17により上部誘導路16aと下部誘導路16bとに区画されている(
図5参照)。詳細な説明は後述するが、上部誘導路16aは柵部材11の上部側の左右端部を、下部誘導路16bは柵部材11の下部側の左右端部をそれぞれ案内するようになっている。
【0022】
区画片17は、支持部材10の正面板10bの下部側を所定の上下寸法で切り欠き、切欠き部より上部の正面板10bの下端部を背面側に向かって斜め下向きに折曲することにより、支持部材10と一体的に形成されている。区画片17の先端(後端)は、支持部材10の背面板10aの前面に当接している。なお、区画片17は、柵部材11の上部側の左右端部の下方向への移動範囲を規定する本発明の規定部も兼ねている。
【0023】
正面板10bにおける区画片17と離間する下方部分は、柵部材11の下部側の左右端部の下方向への移動を規制する本発明の規制手段、すなわち支持部材10の正面側において下端から上方に起立する起立片18とされている。この起立片18の上端と区画片17の下面の斜め下向きの傾斜面17aとの間には、正面側に開口する開口部19が形成されている。
【0024】
柵部材11は、互いに平行をなして左右方向を向く上下複数(実施例では5本)の金属ロッド状の横杆20と、各横杆20の左右両端部と中間部の後面に固着された左右複数(実施例では4本)の金属ロッド状の縦杆21とからなっている。上端と下端の横杆20,20の長さは、中間部の横杆20よりも長寸とされ、左右両側端の縦杆21,21から外側方に突出している。上端と下端の横杆20,20における突出部20a,20aの寸法は、支持部材10の誘導路16の奥行き寸法とほぼ同等としてある。
【0025】
上端と下端の左右の突出部20a,20aを、それぞれ左右の支持部材10,10の上部誘導路16aと下部誘導路16bとに上下動可能に嵌挿することにより、支持部材10,10に柵部材11が支持された落下防止装置9が構成される。上端と下端の左右の突出部20a,20aは、平断面視コ字状をなす上部誘導路16aと下部誘導路16bに沿って移動するので、柵部材11を安定的に上下動させることができる。また、左右の突出部20aが上部誘導路16aと下部誘導路16bによって保護、隠蔽されるので見栄えがよくなる。なお、左右の突出部20a,20aの嵌挿作業は、左右いずれか一方の支持部材10を棚板6に固定する前に行われる。
【0026】
次に、
図5を参照して落下防止装置9の使用例を説明する。
図5(a)は、柵部材11が立設状態にあるときの縦断面図で、この場合は、柵部材11における上端と下端の横杆20の左右の突出部20aが、それぞれ左右の支持部材10の上部誘導路16aと下部誘導路16b内に位置している。また、下端の横杆20の突出部20aが支持部材10の底壁の上面と起立片18の下端部背面に当接することにより、下端の突出部20aの下方向及び正面方向への移動が規制されている。このように柵部材11を立設状態にすると、
図3に示すように、最上段の棚板6上に載置された在庫用の物品Bが前方に飛び出して落下するのを防止することができる。
【0027】
立設状態にある柵部材11を引き上げると、
図5(b)に示すように、上端と下端の横杆20の突出部20aがそれぞれ上部誘導路16aと下部誘導路16bに案内されて上方に移動する。なお、柵部材11を引き上げる操作は、下端の横杆20を把持し、下方から押し上げることで行うことができる。
【0028】
下端の横杆20の突出部20aが区画片17の下面の傾斜面17aに当接するまで柵部材11を引き上げると、
図5(c)に示すように、下端の横杆20の突出部20aが傾斜面17aに沿って前上方に移動し、起立片18の上端を乗り越えて開口部19から正面側に離脱する。この際、柵部材11は上端の横杆20を軸として正面側に傾動するので、棚板6上の陳列可能空間である後方側への張り出し量が極めて小さく、落下防止装置9を設置した陳列可能空間への影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
また、開口部19は、起立片18の上端と斜め下向きの傾斜面17aの下端、言い換えると上部の正面板10bの下端との間に形成されているので、下端の横杆20の突出部20aを傾斜面17aに沿わせて上方に移動させ、起立片18の上方を確実に乗り越えさせて開口部19から正面側に離脱させることができる。なお、下端の横杆20の突出部20aが傾斜面17aに当たる手前で下端の横杆20を正面側に引き寄せて開口部19から正面側に離脱させてもよいことはいうまでもない。
【0030】
図5(d)に示すように、開口部19から離脱させた柵部材11を、下端の横杆20を手で支えながら下方に移動させると、上端の横杆20の突出部20aが上部誘導路16aに沿って下方に移動し、規定部である区画片17の上面に当接して停止する。
【0031】
これにより、柵部材11の立設状態が解除され、
図4に示すように、棚板6上への正面側からの物品Bの出し入れが可能な開放状態となる。この際、上端の横杆20の突出部20aが規定部を兼ねる区画片17に当接することにより、柵部材11の下方向への移動範囲が規定され、柵部材11が所定の高さ位置に保持されるので、安全に柵部材11の立設状態の解除を行うことができる。
【0032】
なお、開放状態とした柵部材11を立設状態にする際は、下端の横杆20を把持して柵部材11を押し上げ、下端の横杆20の突出部20aを支持部材11の開口部19から下部誘導路16b内に挿入するだけでよい。この際、開口部19は支持部材10の正面側下部に形成されているので、開口部19が下方から視認しやすく、高所の棚板6に落下防止装置9を設置しても柵部材11を容易に立設状態にすることができる。
【0033】
以上説明したように、実施例の落下防止装置9においては、柵部材11を引き上げ、下端の横杆20の突出部20a,20aを支持部材10の起立片18の上端を乗り越えるように開口部19から正面側に離脱させ、上端の横杆20の突出部20aが区画片17に当接するまで柵部材11をそのまま下方に移動するだけで、立設状態を容易に解除することができる。この際、下端の横杆20の突出部20aを傾斜面17aに沿わせて移動させることができるので、起立片18の上方を確実に乗り越えさせて開口部19から離脱させることができる。従って、立設状態を解除する際の作業性が向上する。
【0034】
また、柵部材11は、上部誘導路16aに沿って下方に自重により移動できるため、柵部材11の上部側が正面側に倒れ込むことはなく、安全に柵部材11の立設状態を解除することができる。
【0035】
さらに、柵部材11の下端の横杆20を操作して立設状態を解除したり、解除した柵部材11を再度立設状態にしたりすることができるため、特に高所の棚板6に落下防止装置9を設置したり高さの高い柵部材11を使用しても作業性に優れる。
【0036】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0037】
例えば、前記実施例の支持部材10は上下両端が閉塞されているが、上端が開口された支持部材10としてもよい。このようにすると、左右の支持部材10,10を棚板6に固定した状態で、柵部材11における上端の横杆20の突出部20aを支持部材10の上部誘導路16a内に上方から嵌挿することができるので、支持部材10への柵部材11の組付作業や取外し作業が容易となる。
【0038】
また、支持部材10の上端を開口する代わりに、支持部材10の正面板10bの上端部を正面視コ字状に切り欠いて開口部を形成し、この開口部から上端の横杆20の突出部20aを上部誘導路16a内に嵌挿するようにしてもよい。
【0039】
また前記実施例では、落下防止装置9を左右の支柱3,3にブラケット8を介して棚板6が支持されている陳列棚1に設置しているが、前後左右4本の支柱により棚板が支持されている陳列棚にも本発明の落下防止装置9を設置することができる。
【0040】
また、落下防止装置9は棚板6の上面に設置されなくてもよく、例えば柵部材11が案内される誘導路16が棚板6よりも正面側に張り出して配置されるように、支持部材を支柱3,3に固定させてもよい。
【0041】
また、前記実施例において、本発明の規制手段として、起立片18を例に説明しており、起立片18にて下端の横杆20の突出部20aの正面側への移動を規制するとともに、支持部材10の底壁で実質的に突出部20aの下方への移動が規制される構成であるが、このような構成に限られるものではない。例えば、下端の横杆20の下方への規制として支持部材10の底壁に代えて、誘導路に向けて進退可能なピン部材を設けてもよい。これによれば、誘導路内おける突出部20aの下方向の移動がピン部材により規制でき、ピン部材を退行操作することで、柵部材11が下方へ移動可能となり、棚板6の正面側を開放する開放状態とすることができる。更に、誘導路が棚板6の正面側に張り出して配置されている場合において、下端の横杆20の突出部20aの正面側への移動は誘導路の正面側の面によって規制されるようにしてもよい。
【0042】
また、支持部材10は金属板を折り曲げて形成された支柱状の構造に限らず、例えば棚板6の奥行方向に長尺を有する板状の仕切部材であってもよく、この場合、合成樹脂等で所定の厚みを有する板材を形成し、この板材に誘導路を溝として形成してもよい。
【0043】
また、前記実施例において柵部材の下部側の突出部20aの移動を案内する傾斜面17aは、柵部材11の上部側の突出部20aの下方向への移動範囲を規定する規定部としての区画片17の下面が成しているが、これに限らず、例えば傾斜面は別体の部材や部位によって形成されてもよい。
【0044】
また、誘導路16は区画片17により、上部誘導路16aと下部誘導路16bとに分断される構成に限らず、区画片17を省略して上下に連続した構成としてもよく、この場合、柵部材11の上部側の突出部20aの下方向への移動範囲を規定する規定部は、上下に連続する誘導路の下端部となる。
【0045】
また、起立片18を省略してもよく、この場合には、下端の横杆20の突出部20aの正面側への移動を規制する部材例えば磁気吸着部材、フック係合部材を設けることが好ましい。さらに、起立片18を省略した場合には、柵部材11を立設した状態から離脱した状態にする際に上端の横杆20の突出部20aを上部誘導路16aの上方に移動させることなく下方にのみ移動させればよい。