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特開2022-142734撹拌混合推定装置、撹拌混合方法、及び撹拌混合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142734
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】撹拌混合推定装置、撹拌混合方法、及び撹拌混合システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20220922BHJP
   E02F 7/00 20060101ALI20220922BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20220922BHJP
   B01F 23/60 20220101ALI20220922BHJP
【FI】
G06Q50/04
E02F7/00 D
C02F11/00 101A
B01F3/18 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003506
(22)【出願日】2022-01-13
(62)【分割の表示】P 2021042613の分割
【原出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511181636
【氏名又は名称】株式会社石本建設
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 歩
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 満
(72)【発明者】
【氏名】石本 明久
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今井 公信
【テーマコード(参考)】
4D059
4G035
5L049
【Fターム(参考)】
4D059AA09
4D059BG00
4D059BJ00
4D059CB23
4D059DA04
4D059DA64
4D059DA66
4D059EA20
4D059EB20
4G035AB48
4G035AB54
4G035AE03
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】水面に浮かぶ土運船に設けられた槽に収納された材料を撹拌する撹拌作業を行うユーザに対し、その撹拌作業の進捗状況を推定して表示する。
【解決手段】測定手段111は、土運船2、及び撹拌機3から、それぞれ位置を示す信号を取得し、これらの信号に基づいて、土運船2の、撹拌機3に対する相対的な位置を測定する。区画手段112は、土運船2の識別情報を取得し、この識別情報で識別される土運船2に予め設定されている数で、この土運船2に備えられた槽20を複数の領域に区画する。特定手段113は、取得した相対的な位置の情報、及び撹拌部材37の軌道を示す情報、に基づいて、撹拌部材37が材料Mを撹拌した量を、区画された複数の領域毎に特定する。表示制御手段114は、表示部15を制御して、特定手段113が特定した「撹拌した量」を示す情報を、複数の領域毎に対応付けてユーザに表示させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、前記プロセッサは、
水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定し、
前記土運船に設けられた槽に収納された材料を任意の複数の領域に区画し、
前記材料に必要な撹拌の回数を示す目標値であって、前記槽に収容された全ての前記材料に必要な前記撹拌機から伸びる撹拌部材による総撹拌回数に、決められた比率を乗じて得た目標回数を、前記複数の領域毎に設定し、
測定した前記位置と、前記撹拌部材の軌道と、に基づき該撹拌部材が前記材料を撹拌した回数を前記複数の領域毎に特定し、
設定した前記目標回数に対する、特定した前記回数の割合を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する
撹拌作業の撹拌混合推定装置。
【請求項2】
前記比率は、前記複数の領域の、前記槽に対する体積比である
請求項1に記載の撹拌混合推定装置。
【請求項3】
前記比率は、前記複数の領域の数の逆数である
請求項1に記載の撹拌混合推定装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記撹拌部材の大きさに応じて、前記複数の領域の大きさが決まるように、前記槽を区画する
請求項1から3のいずれか1項に記載の撹拌混合推定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
2以上の撹拌機のそれぞれに対する前記土運船の相対的な位置を測定し、
測定した前記位置と、前記2以上の撹拌機のそれぞれから伸びる撹拌部材の軌道と、に基づき該撹拌部材が前記材料をそれぞれ撹拌した回数の合計である合計回数を前記複数の領域毎に特定し、
設定した前記目標回数に対する、特定した前記合計回数の割合を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する
請求項1から4のいずれか1項に記載の撹拌混合推定装置。
【請求項6】
材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定工程と、
前記土運船の槽の前記材料を複数の領域に区画する区画工程と、
前記材料に必要な撹拌の回数を示す目標値であって、前記槽に収容された全ての前記材料に必要な前記撹拌機から伸びる撹拌部材による総撹拌回数に、決められた比率を乗じて得た目標回数を、前記複数の領域毎に設定する設定工程と、
前記撹拌部材により前記複数の領域の材料を撹拌する撹拌工程と、
前記撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定工程と、
測定した前記位置と、特定した前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した回数を前記複数の領域毎に特定する特定工程と、
設定した前記目標回数に対する、特定した前記回数の割合を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示工程と、
表示された前記情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定工程と、
を有する撹拌混合方法。
【請求項7】
材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船と、
前記土運船の槽の前記材料を複数の領域に区画する区画手段と、
撹拌部材により前記複数の領域の材料を撹拌する撹拌機と、
前記材料に必要な撹拌の回数を示す目標値であって、前記槽に収容された全ての前記材料に必要な前記撹拌部材による総撹拌回数に、決められた比率を乗じて得た目標回数を、前記複数の領域毎に設定する設定手段と、
前記土運船の、前記撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定手段と、
前記撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定手段と、
測定した前記位置と、特定した前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した回数を前記複数の領域毎に特定する特定手段と、
設定した前記目標回数に対する、特定した前記回数の割合を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示手段と、
表示された前記情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定手段と、
を備える撹拌混合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌混合推定装置、撹拌混合方法、及び撹拌混合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
土木施工の分野では、安全・効率的な作業を可能にするために、ブルドーザ・振動ローラ・モーターグレーダ・バックホウ等を対象とした様々なマシンコントロールシステムが開発されている。
【0003】
特許文献1には、土運船等の浮揚積載体の高さの変動を超音波等により検出し、その検出結果に基づいて、桟橋、岸壁等の固定構造物上に移動自在に設置された移動支持機上に昇降自在に設置されている攪拌機を昇降して浮揚積載体に積載された土砂を攪拌する水上土砂処理設備が記載されている。
【0004】
特許文献2には、スキャニングソナーにより水深情報を随時取込んで、バックホウの作動状態を計画海底地形、施工前の海底地形、施工中の出来形と重ねてリアルタイムに画面表示するバックホウ台船の施工管理方法が記載されている。
【0005】
特許文献3には、海洋構造物の上面にGPSを3台以上設置することにより、その位置及び傾斜状態を正確に把握して、画面に3次元表示するモニター装置が記載されている。
【0006】
特許文献4には、浚渫船において、ブームの背後に第1のGPS受信機を設置し、旋回軸の箇所に第2のGPS受信機を設置し、第1、又は第2のGPS受信機で検出した位置と、第1、及び第2のGPS受信機で検出した方位と、掘削機の寸法とからブーム先端部の位置を算定し、これを浚渫開始箇所として設定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-159130号公報
【特許文献2】特開2003-278158号公報
【特許文献3】特開平9-257904号公報
【特許文献4】特開2004-169393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、土運船で運搬される軟弱な浚渫土を有効に活用するために、カルシア改質材を混合し、カルシア改質土として利用する技術がある。また、土運船で運搬される材料を有効利用する技術には、カルシア改質材の他にもセメント系、製紙灰系、石灰系等、各種の改質材を混合して、その性質をそれぞれの目的に沿ったものに改良する技術もある。こういった混合を行う際、土運船の槽内を均一に撹拌するためには、バケットの混合位置や混合時間や混合回数を適切に管理する必要がある。そこで、接岸した土運船の槽内の浚渫土を、岸壁に配置したバックホウから解泥、改質するにあたり、陸上工事と同様のマシンコントロールシステムを適用することが考えられる。
【0009】
しかし、土運船の槽内に対する作業は潮位や流れの影響を受ける。例えば、潮位変動により土運船の高さが変化し、流れや撹拌操作により、土運船の海上の位置も絶えず変化するから、バックホウと攪拌対象浚渫土までの距離は複雑に変化する。また、海上工事における解泥、改質では、撹拌時間や撹拌回数が重要となる。そのため、海上工事における解泥や混合に必要な数十分程度の撹拌であっても、これを攪拌対象土砂の位置が変化しないことを前提とした陸上工事のシステムを用いて攪拌位置、攪拌時間、及び攪拌回数を管理することは難しい。
【0010】
本願の発明の目的の一つは、水面に浮かぶ土運船に設けられた槽に収納された材料を撹拌する撹拌作業を行うユーザに対し、その撹拌作業の進捗状況を推定して表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る撹拌混合推定装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定し、前記土運船に設けられた槽に収納された材料を任意の複数の領域に区画し、測定した前記位置と、前記撹拌機から伸びる撹拌部材の軌道と、に基づき該撹拌部材が前記材料を撹拌した時間、距離又は回数を前記複数の領域毎に特定し、特定した前記時間、距離又は回数を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する撹拌作業の撹拌混合推定装置である。
【0012】
本発明の請求項2に係る撹拌混合推定装置は、請求項1に記載の態様において、前記プロセッサは、前記材料に必要な撹拌の時間、距離又は回数を示す目標値に対する、特定した前記時間、距離又は回数の割合を示す情報を表示する撹拌混合推定装置である。
【0013】
本発明の請求項3に係る撹拌混合推定装置は、請求項2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記目標値として、前記槽に収容された全ての前記材料に必要な総撹拌時間に、決められた比率を乗じて得た目標時間を、前記複数の領域毎に設定し、前記位置と、前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した時間を前記複数の領域毎に特定し、設定した前記目標時間に対する、特定した前記時間の割合を示す情報を表示する撹拌混合推定装置である。
【0014】
本発明の請求項4に係る撹拌混合推定装置は、請求項2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記目標値として、前記槽に収容された全ての前記材料に必要な前記撹拌部材の総移動距離に、決められた比率を乗じて得た目標距離を、前記複数の領域毎に設定し、前記位置と、前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した距離を前記複数の領域毎に特定し、設定した前記目標距離に対する、特定した前記距離の割合を示す情報を表示する撹拌混合推定装置である。
【0015】
本発明の請求項5に係る撹拌混合推定装置は、請求項2に記載の態様において、前記プロセッサは、前記目標値として、前記槽に収容された全ての前記材料に必要な前記撹拌部材による総撹拌回数に、決められた比率を乗じて得た目標回数を、前記複数の領域毎に設定し、前記位置と、前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した回数を前記複数の領域毎に特定し、設定した前記目標回数に対する、特定した前記回数の割合を示す情報を表示する撹拌混合推定装置である。
【0016】
本発明の請求項6に係る撹拌混合推定装置は、請求項3から5のいずれか1項に記載の態様において、前記比率は、前記複数の領域の、前記槽に対する体積比である撹拌混合推定装置である。
【0017】
本発明の請求項7に係る撹拌混合推定装置は、請求項3から5のいずれか1項に記載の態様において、前記比率は、前記複数の領域の数の逆数である撹拌混合推定装置である。
【0018】
本発明の請求項8に係る撹拌混合推定装置は、請求項1から7のいずれか1項に記載の態様において、前記プロセッサは、前記撹拌部材の大きさに応じて、前記複数の領域の大きさが決まるように、前記槽を区画する撹拌混合推定装置である。
【0019】
本発明の請求項9に係る撹拌混合方法は、材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定工程と、前記土運船の槽の前記材料を複数の領域に区画する区画工程と、前記撹拌機が有する撹拌部材により前記複数の領域の材料を撹拌する撹拌工程と、前記撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定工程と、測定した前記位置と、特定した前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した時間、距離又は回数を前記複数の領域毎に特定する特定工程と、特定した前記時間、距離又は回数を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示工程と、表示された前記情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定工程と、を有する撹拌混合方法である。
【0020】
本発明の請求項10に係る撹拌混合システムは、材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船と、前記土運船の槽の前記材料を複数の領域に区画する区画手段と、撹拌部材により前記複数の領域の材料を撹拌する撹拌機と、前記土運船の、前記撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定手段と、前記撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定手段と、測定した前記位置と、特定した前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した時間、距離又は回数を前記複数の領域毎に特定する特定手段と、特定した前記時間、距離又は回数を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示手段と、表示された前記情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定手段と、を備える撹拌混合システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水面に浮かぶ土運船に設けられた槽に収納された材料を撹拌する撹拌作業を行うユーザに対し、その撹拌作業の進捗状況を推定して表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】撹拌混合システム9の全体構成の例を示す概略図。
図2】撹拌混合推定装置1の構成の一例を示す図。
図3】土運船2の構成の例を示す図。
図4】撹拌機3の構成の例を示す図。
図5】撹拌混合推定装置1の機能的構成の一例を示す図。
図6】撹拌混合推定装置1の動作の流れの一例を示すフロー図。
図7】土運船2の条件を設定する撹拌混合推定装置1の操作画面を示す図。
図8】撹拌機3の条件を設定する撹拌混合推定装置1の操作画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<撹拌混合システムの全体構成>
図1は、撹拌混合システム9の全体構成の例を示す概略図である。撹拌混合システム9は、撹拌混合推定装置1、土運船2、及び撹拌機3を有する。また、図1に示す撹拌混合システム9は、通信回線4を有する。
【0024】
水面Lvは、海や湖の水面であり、波の作用により鉛直方向や水平方向に移動する。土運船2は、水面Lvに浮かぶ船であり、浚渫土や粘性土等の流動性のある材料を運搬する。土運船2は、水面Lvの移動に伴って移動する。
【0025】
撹拌機3は、水面Lvと異なる場所に設置された撹拌のための機械である。撹拌機3は、例えば、図1に示す通り岸壁などの陸地Gに設置されたバックホウである。撹拌機3は、土運船2により運搬される材料を撹拌する。土運船2の撹拌機3に対する相対的な位置は、水面Lvの変化に伴って変化する。なお、撹拌機3は、土運船2内の材料を安定して攪拌できる場所に設置されればよく、土運船2に横付けされた台船上に設置されてもよい。
【0026】
撹拌混合推定装置1は、ユーザが所持する情報処理装置であり、例えば、タブレット型のコンピュータや、スレートPC、ノート型パソコン、スマートフォン等である。撹拌混合推定装置1は、通信回線4を介して、土運船2、及び撹拌機3のそれぞれに設けられたインタフェースと接続し、これらのそれぞれから位置に関する情報を取得する。そして、撹拌混合推定装置1は、土運船2により運搬される材料が、撹拌機3により撹拌された程度を推定し、推定結果をユーザに表示する。
【0027】
通信回線4は、無線により撹拌混合推定装置1と土運船2と撹拌機3とを通信可能に接続する回線である。通信回線4は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)を用いた回線であってもよい。
【0028】
なお、撹拌混合推定装置1は、例えば、ユーザが所持しないサーバ装置であってもよい。この場合、ユーザは、例えば、通信回線4経由で、この撹拌混合推定装置1と通信可能にされているスマートフォン等の端末を所持していればよい。
【0029】
<撹拌混合推定装置の構成>
図2は、撹拌混合推定装置1の構成の一例を示す図である。撹拌混合推定装置1は、プロセッサ11、メモリ12、インタフェース13、操作部14、及び表示部15を有する。
【0030】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を実行することにより撹拌混合推定装置1を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0031】
インタフェース13は、プロセッサ11が通信回線4、及びその他の外部の装置等と情報のやり取りをするためのインタフェースである。
【0032】
プロセッサ11は、インタフェース13を介して通信回線4に接続し、通信回線4から土運船2、及び撹拌機3で生成された各種データを取得する。
【0033】
メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等の記憶手段であり、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する。
【0034】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル等の操作子を備えており、ユーザによる操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。
【0035】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。
【0036】
なお、例えば、撹拌混合推定装置1がサーバ装置等のユーザに所持されない情報処理装置である場合、この撹拌混合推定装置1は、操作部14、及び表示部15を有しなくてもよい。
【0037】
撹拌混合推定装置1は、上述した操作部14を備えていない場合、インタフェース13を介して通信回線4で、例えばユーザが所持する端末と接続し、この端末を経由して各種の指示をユーザから受付けてもよい。
【0038】
撹拌混合推定装置1は、上述した表示部15を備えていない場合、インタフェース13を介して通信回線4で、例えば外部の表示装置と接続し、各種の情報をユーザに表示させてもよい。
【0039】
<土運船の構成>
図3は、土運船2の構成の例を示す図である。図3(a)には土運船2の側面図が、図3(b)には土運船2の平面図が、それぞれ示されている。土運船2は、槽20、プロセッサ21、インタフェース23、及び土運船測位センサ28を有する。
【0040】
槽20は、浚渫土等の材料Mを収納する、天板側が開放された直方体状の容器である。すなわち、この槽20を備える土運船2は、材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船の例である。
【0041】
プロセッサ21は、メモリ(図3において図示せず)に記憶されているプログラムを実行することによりインタフェース23、及び土運船測位センサ28を制御する。プロセッサ21は、例えばCPUである。
【0042】
インタフェース23は、プロセッサ21が通信回線4、及びその他の外部の装置等と情報のやり取りをするためのインタフェースである。
【0043】
土運船測位センサ28は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して自身の位置を測定するセンサである。土運船測位センサ28は、測定した自身の位置を示す信号をプロセッサ21に伝える。プロセッサ21は、土運船測位センサ28から取得した信号を、インタフェース23により通信回線4経由で撹拌混合推定装置1へ送る。
【0044】
<撹拌機の構成>
図4は、撹拌機3の構成の例を示す図である。撹拌機3は、プロセッサ31、インタフェース33、駆動部36、撹拌部材37、及び撹拌機測位センサ38を有する。
【0045】
プロセッサ31は、メモリ(図4において図示せず)に記憶されているプログラムを実行することによりインタフェース33、駆動部36、撹拌部材37、及び撹拌機測位センサ38を制御する。プロセッサ31は、例えばCPUである。
【0046】
インタフェース33は、プロセッサ31が通信回線4、及びその他の外部の装置等と情報のやり取りをするためのインタフェースである。
【0047】
撹拌部材37は、浚渫土等の材料M(図3参照)を撹拌する部材である。撹拌部材37は、ブーム371、アーム372、バケット373を有する。
【0048】
ブーム371は、撹拌機3の基礎部分から伸びる棒状の部材である。アーム372は、ブーム371の先端に、揺動可能に接続された棒状の部材である。バケット373は、アーム372の選択に、揺動可能に接続され、材料Mを収容して運搬、又は材料Mを攪拌するパーツ(部分品)である。
【0049】
駆動部36は、プロセッサ31の制御の下、撹拌部材37を駆動する機構であり、例えば、油圧シリンダである。プロセッサ31は、図示しない操作部によりユーザ(撹拌機3のオペレータ)からの操作を受付け、受付けた操作の内容に応じて、駆動部36を駆動させてもよい。駆動部36により駆動させられる撹拌部材37は、土運船2の槽20に収納された材料Mを撹拌する。この材料Mは、槽20内でシステム上、複数の領域に区画されている。つまり、この撹拌機3は、撹拌部材により複数の領域の材料を撹拌する撹拌機の例である。そして、撹拌機3によって行われる工程は、撹拌機が有する撹拌部材により複数の領域の材料を撹拌する撹拌工程の例である。
【0050】
駆動部36は、ブーム駆動部361、アーム駆動部362、バケット駆動部363を有する。
【0051】
ブーム駆動部361は、撹拌機3の基礎部分に対するブーム371の角度を変化させて、ブーム371を駆動させる機構である。アーム駆動部362は、ブーム371に対するアーム372の角度を変化させて、アーム372を駆動させる機構である。バケット駆動部363は、アーム372に対するバケット373の角度を変化させて、バケット373を駆動させる機構である。
【0052】
駆動部36は、それぞれ駆動した量を記憶、又は検知しており、その量に応じた信号をプロセッサ31に通知している。プロセッサ31は、撹拌時において通知されたこれらの情報により、撹拌機3から伸びる撹拌部材37の軌道を特定する。つまり、このプロセッサ31は、撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定手段の例である。そして、プロセッサ31が行うこの工程は、撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定工程の例である。プロセッサ31は、特定したこの撹拌部材37の軌道を示す情報を、インタフェース33により通信回線4経由で撹拌混合推定装置1へ送る。
【0053】
撹拌機測位センサ38は、GNSSを利用して自身の位置を測定するセンサである。撹拌機測位センサ38は、測定した自身の位置を示す信号をプロセッサ31に伝える。プロセッサ31は、撹拌機測位センサ38から取得した信号を、インタフェース33により通信回線4経由で撹拌混合推定装置1へ送る。
【0054】
<撹拌混合推定装置の機能的構成>
図5は、撹拌混合推定装置1の機能的構成の一例を示す図である。撹拌混合推定装置1のプロセッサ11は、上述したプログラムを実行することにより、測定手段111、区画手段112、特定手段113、表示制御手段114、及び判定手段115として機能する。
【0055】
測定手段111は、インタフェース13、及び通信回線4を介して土運船2、及び撹拌機3から、それぞれ上述した位置を示す信号を取得する。そして、測定手段111は、取得したこれらの信号に基づいて、土運船2の、撹拌機3に対する相対的な位置を測定する。すなわち、この測定手段111は、土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定手段の例である。
【0056】
区画手段112は、インタフェース13から土運船2の識別情報を取得し、この識別情報で識別される土運船2に予め設定されている数で、この土運船2に備えられた槽20を複数の領域に非物理的にシステム上で区画する。区画された複数の領域のそれぞれには材料Mが収納されている。つまり、この区画手段112は、土運船の槽の材料を複数の領域に区画する区画手段の例である。
【0057】
特定手段113は、土運船2の、撹拌機3に対する相対的な位置の情報を、測定手段111から取得する。また、特定手段113は、撹拌機3において特定された、撹拌部材37の軌道を示す情報を、インタフェース13から取得する。そして、特定手段113は、取得した相対的な位置の情報、及び撹拌部材37の軌道を示す情報、に基づいて、撹拌部材37が材料Mを撹拌した量を、区画された複数の領域毎に特定する。この量は、撹拌した時間、撹拌に際して撹拌部材37の少なくとも一部(例えば、バケット373の先端等)が材料M内を移動した距離、撹拌に際して撹拌部材37が槽20内の材料Mにおける決められた経路を反覆して移動した回数、等が挙げられる。
【0058】
すなわち、この特定手段113は、測定した位置と、特定した軌道と、に基づき撹拌部材が材料Mを撹拌した時間、距離又は回数を複数の領域毎に特定する特定手段の例である。
【0059】
表示制御手段114は、表示部15を制御して、特定手段113が特定した「撹拌した量」を示す情報を、複数の領域毎に対応付けてユーザに表示させる。すなわち、この表示制御手段114により制御される表示部15は、特定した時間、距離又は回数を示す情報を、複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示手段の例である。
【0060】
判定手段115は、表示制御手段114が表示部15に表示させた情報を用いて、撹拌混合を続けるか終了するかを決める。
【0061】
例えば、図2に示すメモリ12には、予め複数の領域毎に、撹拌した量が十分であるか否かを判定するための目標値が記憶されている。この目標値は、材料Mに必要な撹拌の時間、距離、又は回数を示す値である。
【0062】
判定手段115は、上述した量を、記憶された目標値と比較して、この量が目標値を超えている場合に、撹拌混合を終了してもよい、と判定する。つまり、判定手段115は、表示部15により表示された情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定手段の例である。
【0063】
なお、上述した例において、撹拌部材37の軌道を示す情報は、撹拌機3において特定されているが、撹拌混合推定装置1において特定されてもよい。この場合、撹拌機3は、駆動部36の各構成がそれぞれ駆動した量を示すデータを、そのまま撹拌混合推定装置1に送信する。撹拌混合推定装置1のプロセッサ11は、上述したデータを組合せて、撹拌時における撹拌部材37の軌道を特定する軌道特定手段116として機能してもよい。
【0064】
<撹拌混合推定装置の動作>
図6は、撹拌混合推定装置1の動作の流れの一例を示すフロー図である。撹拌混合推定装置1のプロセッサ11は、水面に浮かぶ土運船2の、撹拌機3に対する相対的な位置を測定し(ステップS101)、土運船2に設けられた槽20に収納された材料Mを任意の複数の領域に区画する(ステップS102)。つまり、このステップS101は、材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定工程の例である。また、このステップS102は、土運船の槽(土運船に設けられた槽)の材料(槽に収納された材料)を複数の領域に区画する区画工程の例である。
【0065】
プロセッサ11は、測定した土運船2の撹拌機3に対する相対的な位置と、撹拌機3から伸びる撹拌部材37の軌道と、に基づき撹拌部材37が材料Mを撹拌した時間、距離又は回数を複数の領域毎に特定する(ステップS103)。つまり、このステップS103は、測定した位置と、撹拌機から伸びる撹拌部材の軌道と、に基づきこの撹拌部材が材料を撹拌した時間、距離又は回数を複数の領域毎に特定する特定工程の例である。
【0066】
プロセッサ11は、表示部15を制御して、特定した内容(時間、距離又は回数を示す情報)を、複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する(ステップS104)。つまり、このステップS104は、特定した時間、距離又は回数を示す情報を、複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示工程の例である。
【0067】
そして、プロセッサ11は、撹拌混合推定装置1が実行する処理の終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS105)。この終了条件とは、例えば、ユーザから処理を終了する旨の指示を受付けた、といった条件や、ステップS104において表示部15に表示させた内容が、決められた目標値を超えている、といった条件等である。終了条件が満たされた、と判定する場合(ステップS105;YES)、プロセッサ11は、処理を終了する。一方、終了条件が満たされていない、と判定する場合(ステップS105;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。
【0068】
つまり、このステップS105は、表示された情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定工程の例である。なお、処理をステップS101に戻すのは、測定した土運船2の撹拌機3に対する相対的な位置と領域は随時変化し、リアルタイムで更新される必要があり、これらを更新せずにステップS101、ステップS102を飛ばしてステップS103に戻ると、相対的な位置と槽20内の材料Mの領域が前回判断時と異なってしまい、適切な判定結果とならないことが予想されるためである。
【0069】
以上の動作により、撹拌混合推定装置1は、水面に浮かぶ土運船2に設けられた槽20に収納された材料Mを撹拌する撹拌作業を行うユーザに対し、その撹拌作業の進捗状況を推定して表示する。このとき、進捗状況は、区画された複数の領域毎に表示されるため、ユーザは、槽20に収納された材料Mのうち、撹拌が足りていない領域を把握することができ、また、領域毎に、撹拌が目標値に対してどの程度、達成されているかを把握することができる。
【0070】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組合せてもよい。
【0071】
<1>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、撹拌した量が目標値を超えているか否かによって、撹拌混合を続けるか終了するかを決めていたが、その判断をユーザに委ねてもよい。例えば、プロセッサ11は、撹拌部材37が撹拌した量を特定し、目標値に対するこの量の割合を算出する。そして、プロセッサ11は、表示部15に、算出した割合を領域ごとに示す情報を表示させてもよい。つまり、この場合のプロセッサ11は、材料に必要な撹拌の時間、距離又は回数を示す目標値に対する、特定した時間、距離又は回数の割合を示す情報を表示するプロセッサの例である。
【0072】
複数の領域毎に設定する目標値は、槽20の全体に対して定められた値を、それら領域毎に決められた比率を乗じて、算出されてもよい。
【0073】
例えば、プロセッサ11は、目標値として、槽20に収容された全ての材料Mに必要な総撹拌時間に、決められた比率を乗じて得た目標時間を、複数の領域毎に設定する。
【0074】
また、プロセッサ11は、土運船2の撹拌機3に対する相対的な位置と、撹拌時における撹拌部材37の軌道と、に基づき撹拌部材37が材料Mを撹拌した時間を複数の領域毎に特定する。
【0075】
そして、プロセッサ11は、設定した目標時間に対する、特定した時間の割合を示す情報を表示するとよい。
【0076】
また、上述した目標値は、時間以外の要素であってもよい。例えば、距離についての目標値を定める場合、プロセッサ11は、目標値として、槽20に収容された全ての材料Mに必要な撹拌部材37の総移動距離に、決められた比率を乗じて得た目標移動距離(目標距離ともいう)を、複数の領域毎に設定し、土運船2の撹拌機3に対する相対的な位置と、撹拌時における撹拌部材37の軌道と、に基づき撹拌部材37が材料Mを撹拌した距離(移動距離ともいう)を複数の領域毎に特定し、設定した目標移動距離に対する、特定した移動距離の割合を示す情報を表示する。
【0077】
また、例えば、回数についての目標値を定める場合、プロセッサ11は、目標値として、槽20に収容された全ての材料Mに必要な撹拌部材37による総撹拌回数に、決められた比率を乗じて得た目標攪拌回数(目標回数ともいう)を、複数の領域毎に設定し、土運船2の撹拌機3に対する相対的な位置と、撹拌時における撹拌部材37の軌道と、に基づき撹拌部材37が材料Mを撹拌した回数(撹拌回数ともいう)を複数の領域毎に特定し、設定した目標攪拌回数に対する、特定した攪拌回数の割合を示す情報を表示する。
【0078】
<2>
上述した変形例において、決められた比率は、複数の領域の、槽20に対する体積比でもよい。また、決められた比率は、複数の領域の数の逆数でもよい。
【0079】
<3>
上述した実施形態において、撹拌混合推定装置1と土運船2、撹拌機3とは、通信回線4を介して互いに接続し、情報のやり取りをしていたが、通信回線4を介さずに、情報のやり取りをしてもよい。例えば、撹拌混合推定装置1のインタフェース13、土運船2のインタフェース23、撹拌機3のインタフェース33は、いずれも近距離無線通信の機能を有しており、この近距離無線通信によって、相互が情報のやり取りをしてもよい。
【0080】
<4>
撹拌混合推定装置1は、土運船2、及び撹拌機3に関する諸条件を予めユーザに設定させる機能を有してもよい。
【0081】
図7は、土運船2の条件を設定する撹拌混合推定装置1の操作画面を示す図である。図7に示す通り、ユーザは作業開始前に土運船一覧に登録された1つ以上の土運船2の中からいずれか1つの土運船2の名前(船名ともいう)を選択可能になっている。ユーザがいずれかの船名を選択し、OKボタンを押すと、撹拌混合推定装置1は、選択された船名の土運船2について、設定事項を表示する。ユーザは、表示された設定事項を記入して、設定すればよい。撹拌混合推定装置1のプロセッサ11は、設定された値をそれぞれメモリ12に記憶する。
【0082】
例えば、縦区画数は、槽20を縦方向(槽20の長手方向)に区画する数であり、横区画数は、槽20を横方向(槽20の短手方向)に区画する数である。また、下層厚は深さ方向に複数の区画を設ける際の、槽20内の底からの1区画ごとの厚みであり、下層厚の厚みに基づき下層から区画割が行われる。例えば、槽20内の材料Mの厚みが1.8mの場合、下層1m、上層0.8mの厚みの2区画に区分される。これら縦区画数、横区画数及び下層厚により槽20を複数の領域にシステム上で区画する。なお、カルシア改質土を海域利用する場合、複数の土運船が、浚渫土積込→解泥・カルシア改質材混合→カルシア改質土投入のサイクルで回ることになるが、土運船は1隻毎に寸法が異なることが予想されるため、事前に作業に用いる土運船名を土運船一覧に登録する際に、設定事項も併せて登録しておくことが望ましい。
【0083】
図8は、撹拌機3の条件を設定する撹拌混合推定装置1の操作画面を示す図である。図8(a)に示す通り、ユーザはバックホウ一覧として記述された撹拌機3の名前(バックホウ名ともいう)を選択可能になっている。ユーザがいずれかのバックホウ名を選択し、OKボタンを押すと、図8(b)に示す通り、撹拌混合推定装置1は、選択されたバックホウ名の撹拌機3について、設定事項を表示する。ユーザは、表示された設定事項を記入して、設定すればよい。撹拌混合推定装置1のプロセッサ11は、設定された値をそれぞれメモリ12に記憶する。
【0084】
なお、撹拌機3の設定は、一機ごとに行われるが、実際の攪拌作業は設定された複数の撹拌機3を用いて行うことができる。プロセッサ11は、インタフェース13から土運船2又は撹拌機3の識別情報を取得すると、それらの識別情報で識別される土運船2又は撹拌機3について、上述した操作画面によりユーザが設定した諸条件をメモリ12から読出して利用すればよい。
【0085】
<5>
上述した変形例において、プロセッサ11は、インタフェース13から土運船2の識別情報を取得し、この識別情報で識別される土運船2にユーザが設定した数で、この土運船2に備えられた槽20を複数の領域に区画していたが、他の条件に応じて区画する数を変化させてもよい。
【0086】
例えば、プロセッサ11は、撹拌部材37の大きさに応じて、複数の領域の大きさが決まるように槽20を区画してもよい。このプロセッサ11では、撹拌部材の大きさに応じて、複数の領域の大きさが決まるように、槽を区画する。この構成によれば、撹拌部材37の大きさによって決まるストロークに応じて、区画される領域の大きさが定まるので、撹拌機3の撹拌能力に応じた区画がなされる。
【0087】
<6>
上述した撹拌混合システム9により行われる攪拌混合方法は、材料が槽に収納された水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定する測定工程と、前記土運船の槽の前記材料を複数の領域に区画する区画工程と、前記撹拌機が有する撹拌部材により前記複数の領域の材料を撹拌する撹拌工程と、前記撹拌部材の撹拌時の軌道を特定する軌道特定工程と、測定した前記位置と、特定した前記軌道と、に基づき前記撹拌部材が前記材料を撹拌した時間、距離又は回数を前記複数の領域毎に特定する特定工程と、特定した前記時間、距離又は回数を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する表示工程と、表示された前記情報によって撹拌混合を続けるか終了するかを決める判定工程と、を有する撹拌混合方法、として観念され得る。
【0088】
<7>
上述したプロセッサ11によって実行されるプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。すなわち、このプログラムは、プロセッサを有するコンピュータに、水面に浮かぶ土運船の、撹拌機に対する相対的な位置を測定する工程と、前記土運船に設けられた槽に収納された材料を任意の複数の領域に区画する工程と、測定した前記位置と、前記撹拌機から伸びる撹拌部材の軌道と、に基づき該撹拌部材が前記材料を撹拌した時間、距離又は回数を前記複数の領域毎に特定する工程と、特定した前記時間、距離又は回数を示す情報を、前記複数の領域毎に対応付けてユーザに表示する工程と、を実行させるプログラムである。なお、上述した撹拌混合推定装置1によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサ等が用いられる。
【符号の説明】
【0089】
1…撹拌混合推定装置、11…プロセッサ、111…測定手段、112…区画手段、113…特定手段、114…表示制御手段、115…判定手段、116…軌道特定手段、12…メモリ、13…インタフェース、14…操作部、15…表示部、2…土運船、20…槽、21…プロセッサ、23…インタフェース、28…土運船測位センサ、3…撹拌機、31…プロセッサ、33…インタフェース、36…駆動部、361…ブーム駆動部、362…アーム駆動部、363…バケット駆動部、37…撹拌部材、371…ブーム、372…アーム、373…バケット、38…撹拌機測位センサ、4…通信回線、9…撹拌混合システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8