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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142748
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】電線処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 59/18 20060101AFI20220922BHJP
   B21F 11/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B65H59/18
B21F11/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025357
(22)【出願日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】202110280160.6
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522052473
【氏名又は名称】新明和(上海)精密机械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 博之
(72)【発明者】
【氏名】三好 明
(72)【発明者】
【氏名】黄 軍霞
【テーマコード(参考)】
3F111
4E070
【Fターム(参考)】
3F111AA09
3F111AB04
3F111BD01
3F111CA08
4E070AA04
4E070AB14
4E070AC01
4E070BF01
4E070CA03
4E070DA02
4E070EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電線に傷がつくこと、電線のオーバーランをともに抑制する電線処理装置を提供する。
【解決手段】電線処理装置は、電線5を長手方向に搬送する搬送装置と、搬送装置よりも電線5の搬送方向の上流側に設けられ搬送装置によって搬送される電線5にテンションを付与するテンショナ50と、を備える。テンショナ50は、電線5に接触するテンション付与部材50Aと、テンション付与部材50Aを介して電線5を押す押圧機構50Bと、テンション付与部材50Aと向かい合うように設けられた抵抗付与機構50Cと、を備える。抵抗付与機構50Cは、第1ローラ58Aと、第2ローラ58Bと、無端状の第1ベルト59と、を備える。第1ベルト59は、第1ローラ58Aと第2ローラ58Bとに巻き掛けられ、少なくともテンション付与部材50Aが電線5を押しているときには電線5に接触する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を前記電線の長手方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置よりも前記電線の搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送装置によって搬送される前記電線にテンションを付与するテンショナと、
前記搬送装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記搬送装置を制御して前記電線の搬送と搬送の停止とを繰り返させる搬送制御部を備え、
前記テンショナは、
前記電線の搬送経路の側方のうちの一方側に設けられ、前記電線に接触するテンション付与部材と、
前記電線の搬送経路の側方のうちの他方側に向かう力を前記テンション付与部材に付与することにより、前記テンション付与部材を介して前記電線を前記他方側に押す押圧機構と、
前記テンション付与部材と向かい合うように、前記電線の搬送経路の側方のうちの前記他方側に設けられた抵抗付与機構と、を備え、
前記抵抗付与機構は、
第1ローラと、
第2ローラと、
前記第1ローラと前記第2ローラとに巻き掛けられ、少なくとも前記テンション付与部材が前記電線を押しているときには前記電線に接触する無端状の第1ベルトと、
を備えている、電線処理装置。
【請求項2】
前記第1ローラと前記第2ローラとは、前記電線の搬送方向に並んで配置され、
前記テンション付与部材は、前記第1ベルトのうち前記第1ローラと前記第2ローラとの間の部分に向かい合うように配置されており、
前記第1ベルトは、前記テンション付与部材が前記電線を押しているとき、前記テンション付与部材と向かい合う部分で前記電線に接触する、
請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項3】
前記テンション付与部材は、前記電線の搬送方向に回転するとともに前記電線を押すテンションローラを備えている、
請求項1または2に記載の電線処理装置。
【請求項4】
前記テンション付与部材は、前記他方側の端部に前記テンションローラを保持した保持部材を備え、
前記押圧機構は、前記テンションローラが前記電線に当接または離反するように前記保持部材を移動させることが可能な移動機構を備えている、
請求項3に記載の電線処理装置。
【請求項5】
前記押圧機構は、前記保持部材と前記移動機構との間に設けられた弾性部材を備え、
前記移動機構は、前記弾性部材を介して前記保持部材を移動させ、
前記弾性部材は、前記テンションローラが前記電線を押しているときには、前記電線の反力によって縮むように構成されている、
請求項4に記載の電線処理装置。
【請求項6】
前記抵抗付与機構は、前記第1ローラおよび前記第2ローラのうちの少なくとも一方を移動させることにより前記第1ローラと前記第2ローラとの間の距離を変更することが可能なローラ移動部を備えている、
請求項1~5のいずれか一つに記載の電線処理装置。
【請求項7】
前記第1ローラおよび前記第2ローラは、前記搬送装置が前記電線を搬送し前記第1ベルトが前記電線の搬送によって回されることにより、従動的に回転する、
請求項1~6のいずれか一つに記載の電線処理装置。
【請求項8】
前記テンショナは、前記第1ローラを回転させる駆動部も前記第2ローラを回転させる駆動部も備えない、
請求項1~7のいずれか一つに記載の電線処理装置。
【請求項9】
前記電線を切断する切断装置をさらに備え、
前記搬送制御部は、前記搬送装置を制御して、予め定められた距離だけ前記電線を搬送させると搬送を停止させるように設定されており、
前記制御装置は、前記電線の搬送が停止されるたびに前記切断装置に前記電線を切断させる切断制御部を備えている、
請求項1~8のいずれか一つに記載の電線処理装置。
【請求項10】
前記テンション付与部材は、
第3ローラと、
第4ローラと、
前記第3ローラと前記第4ローラとに巻き掛けられた無端状の第2ベルトと、を備え、
前記第3ローラおよび前記第4ローラのうちの少なくとも一方は、前記押圧機構によって前記テンション付与部材に力が付与されたとき、前記第2ベルトを介して前記電線を押すように構成されている、
請求項1~9のいずれか一つに記載の電線処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電線を所定の長さに切断する処理、電線の端部の被覆材を剥ぎ取る処理、および被覆材を剥ぎ取った電線の端部に圧着端子を圧着する処理を行う電線処理装置が従来から知られている。例えば、特許文献1には、電線を送給する送給装置と、電線の搬送距離を測定する測長機構と、電線を把持するクランプと、電線の切断および被覆材の剥ぎ取りを行うカッターユニットと、端子圧着ユニットと、を備えた電線処理装置が開示されている。特許文献1に開示された電線処理装置では、所定の長さに切断された電線を連続的に作製するために、送給装置は上記所定の長さだけ電線を搬送させると搬送を停止し、カッターユニットは電線が停止したときに電線を切断する。測長機構は、電線の搬送距離を測定している。
【0003】
特許文献1に開示された電線処理装置は、電線の搬送距離が所定距離に達して電線の搬送を停止した後にも慣性によって電線が余計に送り出されることを防止する機構を備えている。特許文献1に開示された電線処理装置の測長機構は、一定角度以上は回転しない従動ローラを備えている。従動ローラが止まった後、電線は、従動ローラに対してスリップしながら搬送される。特許文献1によれば、慣性による電線のオーバーランをこれにより有効に防止できる、とされている。
【0004】
従来の典型的な電線処理装置では、慣性によって電線がオーバーランすることを抑制するために、送給装置の上流側の電線にテンションを付与するテンショナが利用されていた。図5は、従来の電線処理装置の構成の一部を表す模式図である。図5に示すように、一例に係る従来の電線処理装置は、電線5の側方に配置されたテンションローラ150を備えている。テンションローラ150は、電線5の搬送方向(図5では、紙面の左右方向)に交差する方向(図5ではC方向)に電線5を押す。テンションローラ150が電線5をC方向に押すことにより、電線5にテンションが付加される。これにより、図5に2点鎖線で示すように、電線5は、弛むことなく搬送される。テンションローラ150は、電線の搬送方向(図5のD方向)に回転するように構成されている。しかし、図5に示すような電線処理装置では、送給装置20が電線5の搬送を停止したときには、図5に実線で示すように、電線5は、テンションローラ150および電線5自体の慣性によって余計に送られ、テンションローラ150の下流側で弛みやすい。特許文献1に開示された電線処理装置の従動ローラは、このような電線の弛みも防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-4556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電線処理装置によれば、電線のオーバーランの防止が期待できる。しかし、従動ローラと電線との間の摩擦により、電線の被覆材に傷がつくおそれがある。従来の典型的な電線処理装置におけるような、電線の搬送方向に回転するテンションローラによれば、電線の被覆材に傷がつくおそれを低減できるが、電線のオーバーランを防止する効果は小さい。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線に傷がつくこと、および、電線のオーバーランをともに抑制できる電線処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電線処理装置は、電線を前記電線の長手方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置よりも前記電線の搬送方向の上流側に設けられ前記搬送装置によって搬送される前記電線にテンションを付与するテンショナと、前記搬送装置を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記搬送装置を制御して前記電線の搬送と搬送の停止とを繰り返させる搬送制御部を備える。前記テンショナは、前記電線の搬送経路の側方のうちの一方側に設けられ前記電線に接触するテンション付与部材と、前記電線の搬送経路の側方のうちの他方側に向かう力を前記テンション付与部材に付与することにより前記テンション付与部材を介して前記電線を前記他方側に押す押圧機構と、前記テンション付与部材と向かい合うように前記電線の搬送経路の側方のうちの前記他方側に設けられた抵抗付与機構と、を備える。前記抵抗付与機構は、第1ローラと、第2ローラと、無端状の第1ベルトと、を備える。前記第1ベルトは、前記第1ローラと前記第2ローラとに巻き掛けられ、少なくとも前記テンション付与部材が前記電線を押しているときには前記電線に接触する。
【0009】
上記テンショナによれば、第1ローラおよび第2ローラと、それらに巻き掛けられた第1ベルトとの間の摩擦によって、慣性による電線のオーバーランが抑制される。第1ローラ、第2ローラ、および第1ベルトの回転が摩擦によって停止しようとすることにより、第1ベルトに接触する電線が迅速に停止する。その結果、電線のオーバーランが抑制される。また、電線の搬送時および搬送停止時において、第1ベルトは電線の動きに従って動き得るため、電線と第1ベルトとの間には過度の摩擦が発生しない。そのため、第1ベルトにより電線に傷がつくことが抑制される。よって、上記電線処理装置によれば、電線に傷がつくこと、および、電線のオーバーランをともに抑制できる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1ローラと前記第2ローラとは、前記電線の搬送方向に並んで配置される。前記テンション付与部材は、前記第1ベルトのうち前記第1ローラと前記第2ローラとの間の部分に向かい合うように配置される。前記第1ベルトは、前記テンション付与部材が前記電線を押しているとき、前記テンション付与部材と向かい合う部分で前記電線に接触する。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記テンション付与部材は、前記電線の搬送方向に回転するとともに前記電線を押すテンションローラを備える。
【0012】
本発明の好ましい一態様によれば、前記テンション付与部材は、前記他方側の端部に前記テンションローラを保持した保持部材を備える。前記押圧機構は、前記テンションローラが前記電線に当接または離反するように前記保持部材を移動させることが可能な移動機構を備える。
【0013】
本発明の好ましい一態様によれば、前記押圧機構は、前記保持部材と前記移動機構との間に設けられた弾性部材を備える。前記移動機構は、前記弾性部材を介して前記保持部材を移動させる。前記弾性部材は、前記テンションローラが前記電線を押しているときには、前記電線の反力によって縮むように構成されている。
【0014】
本発明の好ましい一態様によれば、前記抵抗付与機構は、前記第1ローラおよび前記第2ローラのうちの少なくとも一方を移動させることにより前記第1ローラと前記第2ローラとの間の距離を変更することが可能なローラ移動部を備える。
【0015】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1ローラおよび前記第2ローラは、前記搬送装置が前記電線を搬送し前記第1ベルトが前記電線の搬送によって回されることにより、従動的に回転する。
【0016】
本発明の好ましい一態様によれば、前記テンショナは、前記第1ローラを回転させる駆動部も前記第2ローラを回転させる駆動部も備えない。
【0017】
本発明の好ましい一態様によれば、電線処理装置は、前記電線を切断する切断装置をさらに備える。前記搬送制御部は、前記搬送装置を制御して、予め定められた距離だけ前記電線を搬送させると搬送を停止させるように設定されている。前記制御装置は、前記電線の搬送が停止されるたびに前記切断装置に前記電線を切断させる切断制御部を備える。
【0018】
本発明の好ましい一態様によれば、前記テンション付与部材は、第3ローラと、第4ローラと、前記第3ローラと前記第4ローラとに巻き掛けられた無端状の第2ベルトと、を備える。前記第3ローラおよび前記第4ローラのうちの少なくとも一方は、前記押圧機構によって前記テンション付与部材に力が付与されたとき、前記第2ベルトを介して前記電線を押すように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電線処理装置によれば、搬送される電線に傷がつくこと、および、電線のオーバーランをともに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係る電線処理装置の構成を表す模式図である。
図2】テンショナおよび方向変換ローラの側面図である。
図3】下方から見たテンショナの一部破断図である。
図4】変形例に係るテンショナの構成を模式的に表す側面図である。
図5】従来の電線処理装置の構成の一部を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電線処理装置1の構成を表す模式図である。以下の説明では、図1の右側、左側をそれぞれ前側、後側とする。図面中の符号F、Rrは、それぞれ前方、後方を意味する。ただし、以下の説明における各方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。図1は模式図であるため、図1において、前後方向以外の方向は、電線処理装置1の部材間で必ずしも一致しない。
【0022】
[電線処理装置の構成]
電線処理装置1は、電線5をその長手方向(伸長方向)に搬送する送給装置20と、電線クランプ装置30F,30Rと、電線5を切断する切断装置40と、電線5の被覆材をストリップするストリップ装置41,42と、圧着機13F,13Rと、制御装置9と、トレイ8と、電線5の搬送方向を途中で曲げる方向変換ローラ70と、電線5にテンションを付与するテンショナ50と、を備えている。電線5はいわゆる被覆電線であり、導体からなる芯線と、芯線の周囲を覆う絶縁体からなる被覆材とを含んでいる。
【0023】
送給装置20は、図示しないモータによって駆動される駆動ローラ21aと、従動ローラ21bと、駆動ローラ21aおよび従動ローラ21bに巻かれた搬送ベルト22とを一対備えている。駆動ローラ21aが搬送ベルト22を走行させることにより、一対の搬送ベルト22に挟まれた電線5が前方に送り出される。図示しないモータは、例えば、回転角を測定しながら回転するサーボモータである。ただし、送給装置20は電線5を搬送することができる装置であれば足り、その具体的構成は限定されない。電線処理装置1は、電線5の搬送距離を測定する送給装置20とは別の測長装置を備えていてもよい。なお、以下では、送給装置20によって搬送される電線5の搬送方向の前方側を下流側とも呼び、後方側を上流側とも呼ぶ。
【0024】
電線クランプ装置30F,30Rは、電線5の把持と、電線5の長手方向CLに沿った移動(矢印A参照)と、旋回軸30cF,30cR周りの電線5の旋回(矢印B参照)とが可能な装置である。第1電線クランプ装置30Fは、電線5を把持する第1クランプ31Fを備え、第1クランプ31Fを電線5の長手方向CL(本実施形態では前後方向である)に移動させ、旋回軸30cF周りに旋回させる。第2電線クランプ装置30Rは、電線5を把持する第2クランプ31Rを備え、第2クランプ31Rを電線5の長手方向CLに移動させ、旋回軸30cR周りに旋回させる。
【0025】
切断装置40は、送給装置20よりも電線5の搬送方向下流に設けられている。切断装置40は、電線5の移動経路側方の両側(図1では、紙面手前側および奥側)に配置された一対の切断刃40Aを備えている。切断装置40は、一対の切断刃40Aを互いに接近させるように駆動することにより電線5を切断する。
【0026】
第1ストリップ装置41は、切断装置40よりも電線5の搬送方向上流側、ここでは後方に設けられている。第1ストリップ装置41は、電線5の移動経路側方の両側に配置された一対のストリップ刃41Aを備えている。第1ストリップ装置41は、一対のストリップ刃41Aを互いに接近させることにより、電線5の被覆材を周方向に切り込む。第2ストリップ装置42は、切断装置40よりも電線5の搬送方向下流側、ここでは前方に設けられている。第2ストリップ装置42は、電線5の移動経路側方の両側に配置された一対のストリップ刃42Aを備えている。第2ストリップ装置42は、一対のストリップ刃42Aを互いに接近させることにより、電線5の被覆材を周方向に切り込む。圧着機13F,13Rは、電線5の端部に端子7を圧着する。トレイ8は、処理後の電線5を回収する箱体である。
【0027】
テンショナ50および方向変換ローラ70は、送給装置20よりも電線5の搬送方向の上流側に設けられている。図2は、テンショナ50および方向変換ローラ70の側面図である。図3は、下方から見たテンショナ50の一部破断図である。図2および図3において、U、D、L、Rは、それぞれ、上、下、左、右を表す。図2に示すように、方向変換ローラ70は、送給装置20よりも後方に設けられている。テンショナ50は、方向変換ローラ70よりも電線5の搬送方向上流側に設けられている。ここでは、電線5の搬送方向は、方向変換ローラ70よりも上流側では上下方向に変えられており、テンショナ50は、方向変換ローラ70よりも下方に設けられている。テンショナ50よりも上流側において、電線5はロール状に巻かれていてもよい。ただし、テンショナ50よりも上流側における電線5の状態は限定されない。
【0028】
テンショナ50は、送給装置20によって搬送される電線5にテンションを付与する。図2に示すように、テンショナ50は、搬送される電線5の搬送経路の側方のうちの一方側、ここでは前方に設けられたテンション付与部材50Aと、テンション付与部材50Aを介して電線5を後方側に押す押圧機構50Bと、電線5の搬送経路の後方側に設けられた抵抗付与機構50Cと、を備えている。抵抗付与機構50Cは、テンション付与部材50Aと向かい合うように配置されている。テンション付与部材50A、押圧機構50B、および抵抗付与機構50Cは、取付板50Dの右側面に設けられ、取付板50Dに支持されている。
【0029】
テンション付与部材50Aは、電線5を押すテンションローラ51と、テンションローラ51を保持する保持部材52と、を備えている。保持部材52は、後端部にテンションローラ51を保持している。テンションローラ51は、電線の搬送方向、ここでは上下方向に回転するように構成されている。図3に示すように、保持部材52は、テンションローラ51の回転軸52cを有している。回転軸52cは、左右方向に延びている。回転軸52cは、保持部材52の後端付近に設けられている。
【0030】
保持部材52は、上下方向および前後方向に延びる平板状に構成されている。保持部材52は、前後方向に移動可能に構成されている。図2に示すように、保持部材52は、それぞれ前後方向に延びる一対のスライド溝52aを備えている。一対のスライド溝52aは、それぞれ、保持部材52を左右方向に貫通している。一対のスライド溝52aには、それぞれ2本のピン部材PNが挿通されている。図3に示すように、複数のピン部材PNは、取付板50Dに固定されている。保持部材52は、複数のピン部材PNによって保持されつつ、スライド溝52aにより前後方向に移動可能である。
【0031】
押圧機構50Bは、保持部材52と前後方向に並んで設けられている。押圧機構50Bは、保持部材52の前方に設けられている。押圧機構50Bは、電線5の側、ここでは後方に向かう力をテンション付与部材50Aに付与することにより、テンション付与部材50Aを介して電線5を押す機構である。押圧機構50Bは、テンション付与部材50Aを介して電線5を後方に押すように構成されている。
【0032】
押圧機構50Bは、テンションローラ51が電線5に当接または離反するように保持部材52を移動させる移動機構と、保持部材52と移動機構との間に設けられたスプリング57と、を備えている。移動機構は、レバー54と、リンク55と、ロッド56と、を備えている。移動機構は、スプリング57を介して保持部材52を移動させる。移動機構は、ここでは、保持部材52を手動で前後方向に移動させる機構である。ロッド56は、前後方向に延びる円柱状の部材である。ロッド56は、前後方向に移動可能に構成されている。レバー54は、図3に示すように、後端部を軸として左右方向に回動可能に構成されている。リンク55は、レバー54とロッド56とを接続している。リンク55は、レバー54の回動をロッド56に伝達して、ロッド56を前後方向に移動させる。レバー54を右方側に開いた状態から左方に倒すように回動させると、リンク55を介してロッド56が後方(電線5の側)に移動する。
【0033】
ロッド56の後端部には、スプリング57が差し込まれている。スプリング57は、内方に空間を有するコイルスプリングであり、ロッド56の後端部は、スプリング57の内方の空間に挿入されている。ロッド56は、スプリング57を介して保持部材52を押すように構成されている。レバー54が倒されてロッド56が後方に移動されると、スプリング57は、保持部材52の受ブロック52bに当接する。受ブロック52bは、スプリング57の後方に配置されている。受ブロック52bがスプリング57に押されることにより、保持部材52は後方に移動する。その結果、テンションローラ51が電線5に当接する。スプリング57は、テンションローラ51が電線5を押しているときには、電線5の反力によって縮む。テンションローラ51が電線5を押す力は、スプリング57の復元力により発生する。なお、テンションローラ51が電線5を押す力を発生させる部材は、スプリングには限定されず、例えば、エアシリンダでもよい。
【0034】
抵抗付与機構50Cは、電線5の搬送経路の後方側に設けられ、テンションローラ51と前後方向に向かい合っている。抵抗付与機構50Cは、一対のローラ58A,58Bと、一対のローラ58A,58Bに巻き掛けられた無端状のベルト59と、を備えている。ベルト59の種類は特に限定されないが、例えば、段付きの噛み合い伝動ベルトである。ベルト59の材料も限定されないが、好適には柔らかい材料が好ましい。ベルト59は、ここではゴムによって形成されている。一対のローラ58A,58Bは、電線5の搬送方向、ここでは上下方向に並んで配置されている。ベルト59のうち、一対のローラ58A,58Bの間の部分であって、一対のローラ58A,58Bよりも前方の部分(以下、前方部分59fとも呼ぶ)は、電線5の搬送経路に沿うように上下方向に延びている。ベルト59の前方部分59fは、電線5に接触するように設けられている。ただし、ベルト59は、電線5に常時接触しなくてもよい。ベルト59は、少なくともテンション付与部材50Aが電線5を押しているときに電線5に接触すればよい。テンション付与部材50Aのテンションローラ51は、ベルト59の前方部分59fに向かい合うように配置されている。ベルト59は、テンションローラ51が電線5を押しているとき、テンションローラ51と向かい合う前方部分59fで電線5に接触する。
【0035】
抵抗付与機構50Cは、ここでは、ローラ58Aを回転させるアクチュエータも、ローラ58Bを回転させるアクチュエータも備えていない。一対のローラ58A,58Bは、送給装置20が電線5を搬送し、ベルト59が電線5の搬送によって一対のローラ58A,58Bの周りを周回することにより、従動的に回転する。
【0036】
抵抗付与機構50Cは、ローラ58Aをローラ58Bに接近または離反させることができるローラ移動部材60を備えている。ローラ移動部材60を使用してローラ58Aをローラ58Bに接近させることにより、ベルト59を一対のローラ58A,58Bに巻き掛けることが可能となる。また、ローラ移動部材60を使用してローラ58Aをローラ58Bから離すことにより、ベルト59を張ることができる。ローラ移動部材60は、一方のローラ58Aを支持している。ローラ移動部材60は、上下方向に延びる一対の長孔60aを備えている。一対の長孔60aには、それぞれボルトBTが挿通されている。ボルトBTは、取付板50Dに締結される。ボルトBTを緩めることにより、ローラ移動部材60は上下方向に移動可能となる。ボルトBTを締めることにより、ローラ移動部材60は上下方向に移動不能に固定される。ローラ移動部材60は、ベルト59を一対のローラ58A,58Bに巻き掛けるためだけでなく、ベルト59の張りの強さを調整するためにも利用することができる。ローラ移動部材60は、ローラ58A,58Bのうちの少なくとも一方を移動させることによりローラ58A,58Bの間の距離を変更することが可能に構成されていればよく、どちらのローラを移動させるかは限定されない。また、ベルト59の張りの強さを調整する部材は、無端状のベルト59の径方向に移動可能に構成され、ベルト59に接触させることが可能な第3のローラであってもよい。第3のローラのベルト59の径方向の位置を調整することにより、第3のローラがベルト59を押す力を調整することができる。これにより、ベルト59の張りの強さを調整できる。
【0037】
図1に示すように、方向変換ローラ70は、電線5の搬送経路のうちテンショナ50と送給装置20との間に設けられている。方向変換ローラ70は、送給装置20よりも電線5の搬送方向の上流側に設けられている。テンショナ50は、方向変換ローラ70よりもさらに電線5の搬送方向の上流側に設けられている。方向変換ローラ70は、電線5が巻き掛けられることにより電線5の搬送方向を曲げるローラである。ここでは、方向変換ローラ70は、電線5の搬送方向を上方から前方に曲げている。図2に示すように、方向変換ローラ70は、左右方向に延びる回転軸71を備えている。方向変換ローラ70は、回転軸71周りに回転する。
【0038】
取付板50Dには、複数の電線ガイド72A,72B,72Cが設けられている。電線ガイド72A,72B,72Cには、それぞれ、電線5を通す貫通孔が形成されている。電線ガイド72Aは、テンショナ50の上流側に設けられている。電線ガイド72Bは、テンショナ50の下流側であって方向変換ローラ70よりも上流側に設けられている。電線ガイド72Cは、方向変換ローラ70の下流側であって送給装置20よりも上流側に設けられている。電線5は、複数の電線ガイド72A,72B,72Cの貫通孔に挿通されることによって、所定の搬送経路上を搬送される。
【0039】
制御装置9は、送給装置20、電線クランプ装置30F,30R、切断装置40、ストリップ装置41,42、および圧着機13F,13Rに接続されており、それらの動作を制御する。制御装置9は、電線処理装置1のための専用のコンピュータであってもよく、パーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータであってもよい。制御装置9は、クラウド上のコンピュータであってもよい。図1に示すように、制御装置9は、搬送制御部91、切断制御部92、第1ストリップ制御部93、第2ストリップ制御部94、第1クランプ制御部95、第2クランプ制御部96、第1圧着制御部97、および第2圧着制御部98を有している。本実施形態では、これら各制御部91~98は、コンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0040】
搬送制御部91は、送給装置20を制御して、間欠的に電線5を搬送させるように設定されている。すなわち、搬送制御部91は、送給装置20を制御して、電線5の搬送と搬送の停止とを繰り返させる。搬送制御部91は、送給装置20を制御して、予め定められた距離だけ電線5を搬送させると搬送を停止させる。この予め定められた距離は、電線5の切断長である。切断制御部92は、電線5の搬送が停止されるたびに切断装置40に電線5を切断させる。これにより、予め定められた長さの電線5が連続的に作製される。第1ストリップ制御部93および第2ストリップ制御部94は、それぞれ、第1ストリップ装置41および第2ストリップ装置42を制御して、電線5の被覆材をストリップさせる。第1クランプ制御部95および第2クランプ制御部96は、それぞれ、第1電線クランプ装置30Fおよび第2電線クランプ装置30Rを制御して、電線5の把持、移動、旋回を含む所定の動作を行わせる。第1圧着制御部97および第2圧着制御部98は、それぞれ、第1圧着機13Fおよび第2圧着機13Rを制御して、ストリップ後の電線5の端部に端子7を圧着させる。
【0041】
[電線の処理]
以下では、電線処理装置1による電線5の処理について説明する。電線処理装置1による電線5の処理では、まず、送給装置20により、電線5が予め定められた切断長だけ搬送される。電線5の搬送距離は、ここでは、送給装置20のサーボモータにより計測される。サーボモータによって計測された距離が所定の距離に達すると、送給装置20は停止する。搬送された電線5は、第1クランプ31Fおよび第2クランプ31Rにより把持される。第1クランプ31Fおよび第2クランプ31Rによる電線5の把持後、電線5は切断装置40により、後側の電線5と前側の電線5とに切断される。
【0042】
切断後の前側の電線5は、第1クランプ31Fにより保持される。切断後の後側の電線5は、第2クランプ31Rにより保持される。第1ストリップ装置41は、後側の電線5の前端部の被覆材を周方向に切り込む。第2ストリップ装置42は、前側の電線5の後端部の被覆材を周方向に切り込む。次に、第1クランプ31Fを後方に移動させ、第2クランプ31Rを前方に移動させる。これにより、後側の電線5の前端部の被覆材、および、前側の電線5の後端部の被覆材が、それぞれストリップ刃41A,42Aにより剥ぎ取られる。その後、電線クランプ装置30F,30Rはそれぞれ旋回し、後側の電線5の前端部および前側の電線5の後端部を、それぞれ第1圧着機13Fおよび第2圧着機13Rに導く。そして、圧着機13F,13Rにより、後側の電線5の前端部および前側の電線5の後端部に端子7が圧着される。
【0043】
その後、第1電線クランプ装置30Fは、初期位置(図1に示す位置)に戻り、当該電線5の把持を解除する。第2電線クランプ装置30Rは、前側の電線5の把持を解除した後、初期位置(図1に示す位置)に戻る。前側の電線5は、第2電線クランプ装置30Rによる把持が解除されると、落下してトレイ8に回収される。
【0044】
[テンショナの動作]
電線5の処理の前には、テンショナ50のレバー54が操作され、テンションローラ51が電線5に押し当てられる。これにより、電線5は、テンションローラ51とベルト59の前方部分59fとに挟まれる。テンションローラ51は、スプリング57によって後方に押されている。そこで、電線5には、テンションローラ51を介してスプリング57によるテンションが掛かっている。ベルト59は、電線5によって後方に押され、電線5に密着する。
【0045】
送給装置20による電線5の搬送が開始されると、テンションローラ51が、電線5に引きずられて回転する。また、ベルト59が、電線5に引きずられて一対のローラ58A、58Bの周りを周回する。これに伴い、一対のローラ58A、58Bも従動的に回転する。このとき電線5は、テンションローラ51によるテンションを受けているため、弛むことなく搬送される。また、テンションローラ51およびベルト59が電線5の動きに従って回転するため、電線5の被覆材とテンションローラ51およびベルト59との間には過度の摩擦が発生しない。そのため、電線5に接触しているテンションローラ51およびベルト59により電線5に傷がつくことが抑制されている。
【0046】
送給装置20により電線5が所定距離だけ搬送され、電線5の搬送が停止されると、電線5は慣性によって搬送方向に進もうとし、テンションローラ51は慣性によって回転し続けようとする。本実施形態では、一対のローラ58A、58Bとそれらに巻き掛けられたベルト59との間の摩擦によって電線5およびテンションローラ51の慣性動作が抑制される。一対のローラ58A、58Bおよびベルト59の回転が摩擦によって停止しようとすることにより、ベルト59に接触する電線5の慣性移動が妨げられる。そのため、本実施形態では、電線5の搬送停止後、すばやく電線5が停止する。その結果、図5に示すような電線5の弛みが抑制される。また、電線5の慣性移動による電線5の切断長さの精度低下が少なくなる。このときにも、電線5の被覆材とテンションローラ51およびベルト59との間には過度の摩擦が発生しないため、テンションローラ51およびベルト59により電線5に傷がつくことが抑制される。特に本実施形態に係るテンショナ50は、テンション付与部材50Aのうちの電線5に触れる部材として、テンションローラ51を備えている。そのため、電線5に傷がつきにくい。また、ベルト59の素材がゴムであるため、さらに電線5に傷がつきにくい。
【0047】
本実施形態では、電線5の搬送方向を変える方向変換ローラ70が、テンショナ50の下流側に設けられている。方向変換ローラ70の慣性によっても電線5は搬送方向前方に送り出されるため、テンショナ50による電線5のオーバーラン抑制機能が十分でない場合には、方向変換ローラ70の下流側に、図5に示すものと同様な電線5の弛みが発生しやすい。本実施形態に係るテンショナ50は、方向変換ローラ70の上流側に設けられ、このような方向変換ローラ70の下流側における電線5の弛みも抑制している。
【0048】
本実施形態では、ローラ移動部材60によってベルト59の張りの強さを調整することができる。ベルト59を強く張れば、電線5を搬送するときの抵抗は大きくなるが、電線5をすばやく停止させることができる。ベルト59を弱く張れば、停止までの電線5の移動距離は長くなるが、電線5を搬送するときの抵抗は小さくなる。ローラ移動部材60によれば、電線5の搬送時の抵抗と、停止までの電線5の移動距離とを調整することができる。
【0049】
本実施形態では、レバー54、リンク55、およびロッド56を含む移動機構により、テンション付与部材50Aを電線5の搬送経路から離間することもできる。これにより、電線5を電線処理装置1に装着する作業が容易になる。
【0050】
また、本実施形態では、テンションローラ51が電線5を押す力はスプリング57によって発生するため、テンションローラ51が電線5を押す力が安定する。そのため、電線5の搬送および停止の動作が安定する。
【0051】
テンショナ50は、送給装置20および切断装置40よりも電線5の搬送方向上流に配置されることが好ましく、本実施形態に係る電線処理装置1は、そのように構成されている。テンショナ50は、主としてテンショナ50よりも下流側における電線5のオーバーランを抑制するものである。そのため、テンショナ50は、送給装置20および切断装置40よりも電線5の搬送方向上流に配置されることが好ましい。
【0052】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明した。しかし、上記した実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも様々な形態で実施することができる。他の実施形態の例について、以下で簡単に説明する。
【0053】
図4にテンショナ50の一変形例を示す。図4では、上記した実施形態と共通の機能を奏する部材には、上記した実施形態と共通の符号を使用する。図4に示すように、この変形例に係るテンショナ50は、テンション付与部材50Aにもベルト61を備えている。テンション付与部材50Aは、一対のテンションローラ51A,51Bと、一対のテンションローラ51A,51Bに巻き掛けられた無端状のベルト61と、を備えている。一対のテンションローラ51A,51Bは、押圧機構50B(例えば図2参照)によってテンション付与部材50Aに力が付与されたとき、ベルト61を介して電線5を押すように構成されている。一対のテンションローラ51A,51Bも、送給装置20(図1参照)による電線5の搬送に伴って従動的に回転するローラである。このように、テンショナ50は、電線5の搬送経路の側方の両側に、一対のローラと、それらに巻き掛けられたベルトとをそれぞれ備えていてもよい。これにより、電線5を停止させるための摩擦力が大きくなる。その結果、より短い距離で電線5を停止できるようになる。ベルト61を介して電線5を押すローラは、一対のローラのうちの一方であってもよい。その場合、ベルト61を介して電線5を押すローラはテンションローラであり、他方のローラは、テンションローラにベルトを巻き掛けるためのローラである。テンション付与部材50Aは、3つ以上のローラを備えていてもよい。
【0054】
なお、2つ以上のローラ、および、これらローラに巻き掛けられ電線5に接触するベルトは、テンション付与部材にだけ設けられていてもよい。すなわち、抵抗付与機構は、この場合、なくてもよい。
【0055】
電線の方に向かう力をテンション付与部材に付与する押圧機構は、テンション付与部材を電線の方に押すものには限定されない。押圧機構は、例えば、テンション付与部材を電線の方に引くものであってもよい。押圧機構は、例えば、テンション付与部材が自重によって電線を押すように、テンション付与部材を上下方向に移動可能に、または揺動可能に支持するものであってもよい。
【0056】
電線処理装置の構成は特に限定されない。電線処理装置は、例えば、電線を長い距離にわたって搬送する巻線機などであってもよい。電線処理装置は、電線の搬送を伴うものである限りにおいて限定されない。しかし、電線の搬送と停止とを繰り返す電線処理装置では電線の停止が多いため、本発明に係るテンショナは、電線の搬送と停止とを繰り返す電線処理装置においてより効果を発揮する。なお、テンショナは、電線処理装置に設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 電線処理装置
5 電線
9 制御装置
20 送給装置(搬送装置)
40 切断装置
50 テンショナ
50A テンション付与部材
50B 押圧機構
50C 抵抗付与機構
51 テンションローラ
52 保持部材
54 レバー(移動機構)
55 リンク(移動機構)
56 ロッド(移動機構)
57 スプリング(弾性部材)
58A ローラ(第1ローラ)
58B ローラ(第2ローラ)
59 ベルト(第1ベルト)
60 ローラ移動部材(ローラ移動部)
70 方向変換ローラ
91 搬送制御部
92 切断制御部
図1
図2
図3
図4
図5