(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142761
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置および検査室自動化システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
G01N35/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022038770
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】21162923.3
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリウス クレッチマー
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置と、信頼性の高い動作を可能にする装置を備える検査室自動化システムとを提供する。
【解決手段】検査室用サンプル容器2を閉じているキャップ1を取り外すための装置100であって、取り外されるキャップ1を把持して検査室用サンプル容器2から取り外すように構成されたキャップグリッパ3と、キャップ入口5を備える変位可能なシュート4と、直線軌道を画定するリニアガイドであって、変位可能なシュート4が直線軌道に沿って変位可能であるように機械的に結合されているリニアガイドと、変位可能なシュート4を直線軌道に沿って落下位置DPまで変位させるように構成された駆動装置とを備え、落下位置DPでは、キャップグリッパ3によって把持されている取り外されたキャップ1が、変位可能なシュート4のキャップ入口5内に少なくとも部分的に挿入されている、装置100。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室用サンプル容器(2)を閉じているキャップ(1)を取り外すための装置(100)であって、
取り外されるキャップ(1)を把持するように構成され、かつ把持されている前記キャップ(1)を前記検査室用サンプル容器(2)から取り外すように構成されたキャップグリッパ(3)と、
キャップ入口(5)を備える変位可能なシュート(4)と、
直線軌道(7)を画定するリニアガイド(6)であって、前記変位可能なシュート(4)が前記直線軌道(7)に沿って変位可能であるように、前記変位可能なシュート(4)が前記リニアガイド(6)に機械的に結合されている、リニアガイド(6)と、
前記変位可能なシュート(4)を前記直線軌道(7)に沿って落下位置(DP)まで変位させるように構成された駆動装置(8)とを備え、前記落下位置(DP)では、前記キャップグリッパ(3)によって把持されている取り外された前記キャップ(1)が、前記変位可能なシュート(4)の前記キャップ入口(5)内に少なくとも部分的に挿入されている、装置(100)。
【請求項2】
前記直線軌道(7)が水平面に対して38度~42度の範囲の角度(α)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記駆動装置(8)が、前記変位可能なシュート(4)を前記落下位置(DP)とアイドル位置(IP)との間で前記直線軌道(7)に沿って変位させるように構成され、前記アイドル位置(IP)において、前記変位可能なシュート(4)が前記キャップグリッパ(3)の移動を制限しないことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記キャップ入口(5)が前記変位可能なシュート(4)の上部板(16)内の開口部によって形成され、前記上部板(16)が前記変位可能なシュート(4)の動作方向に水平に延在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記変位可能なシュート(4)がパイプ(9)を備え、前記上部板(16)が前記パイプ(9)の上端部に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記装置がキャップトレイ(11)を備え、
前記変位可能なシュート(4)がキャップ出口(10)を備え、前記変位可能なシュート(4)が、前記キャップグリッパ(3)によって解放される取り外されたキャップ(1)を前記キャップ入口(5)から前記パイプ(9)に沿って前記キャップ出口(10)に向かって前記キャップトレイ(11)内に案内することを特徴とする、請求項5に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記駆動装置(8)が前記リニアガイド(6)に取り付けられたティースバー(12)を備え、前記変位可能なシュート(4)が前記ティースバー(12)に機械的に固定されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記駆動装置(8)が、電気モータ(13)と、前記ティースバー(12)に係合する歯車(14)とを備え、前記歯車(14)が前記電気モータ(13)によって駆動されることを特徴とする、請求項7に記載の装置(100)。
【請求項9】
検査室用サンプル容器(2)内に収容されたサンプル(15)を自動的に処理するための検査室自動化システム(1000)であって、
前記検査室用サンプル容器(2)が、前記検査室自動化システム(1000)に提供される際に、キャップ(1)によって閉じられ、前記検査室自動化システム(1000)が、
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)と、
前記サンプル(15)を自動的に処理するように構成された少なくとも1つの検査室ステーション(1001)と
を備える、検査室自動化システム(1000)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの検査室ステーション(1001)が、分析前ステーション、分析ステーション、または分析後ステーションであることを特徴とする、請求項9に記載の検査室自動化システム(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置および検査室自動化システムに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置と、信頼性の高い動作を可能にする装置を備える検査室自動化システムとを提供することである。
【0003】
本装置は、検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すように構成されている。検査室用サンプル容器は、典型的には、液体サンプル、例えば血液サンプルなどを収容する。
【0004】
本装置は、取り外されるキャップを把持するように構成され、かつ把持されているキャップを検査室用サンプル容器から取り外すように構成されたキャップグリッパを備える。キャップを取り外すために、キャップグリッパは、検査室用サンプル容器が固定されている間に、把持されたキャップに任意の適切な力を加えることができる。キャップグリッパは、キャップを取り外すためにキャップに回転力および/または横方向の力を加えることができる。検査室用サンプル容器は、典型的には、円形の断面を有する検査室用サンプルチューブとして具現化される。キャップは、典型的には、キャップヘッドおよびキャップ本体を備え、キャップヘッドはキャップ本体よりも大きい直径を有する。キャップヘッドは、典型的には、検査室用サンプル容器の直径よりも大きい直径を有し、キャップ本体は、検査室用サンプル容器の直径に対応する直径を有する。典型的には、キャップ本体は、検査室用サンプル容器内に挿入され、キャップヘッドは、検査室用サンプル容器からキャップ本体を取り外すためにキャップグリッパによって把持される。これまでのところ、関連する先行技術も参照されている。
【0005】
本装置は、キャップ入口を備える変位可能なシュートをさらに備える。キャップ入口は、取り外されたキャップを受け入れるように構成されている。
【0006】
本装置は、特に厳密に直線軌道を画定するリニアガイドをさらに備え、変位可能なシュートは、変位可能なシュートが直線軌道に沿って変位可能であるように、または特に直線軌道に沿ってのみ変位するように、リニアガイドに機械的に結合されている。
【0007】
本装置は、変位可能なシュートを直線軌道に沿って落下位置まで移動させるように構成された駆動装置をさらに備える。変位可能なシュートの落下位置では、キャップグリッパによって依然として把持されている取り外されたキャップが、変位可能なシュートのキャップ入口に少なくとも部分的に挿入される。キャップがキャップグリッパによって解放されると、解放されたキャップは、キャップ入口を通ってシュート内に落下し、次いでキャップトレイに向かって案内される。
【0008】
一実施形態によれば、直線軌道は、水平面に対して38度~42度の範囲の角度を形成する。特に、この角度は正確に40度である。この角度は、把持されたキャップがシュートと衝突しないことを確実にするために、空間調査によって決定された。
【0009】
一実施形態によれば、駆動装置は、直線軌道に沿って変位可能なシュートを落下位置とアイドル位置との間で変位させるように構成され、アイドル位置において、変位可能なシュートは、キャップグリッパの回転および/または直線的な移動を制限しない。
【0010】
一実施形態によれば、キャップ入口は、変位可能なシュートの上部平板内の開口部によって形成され、上部板は、変位可能なシュートの動作方向に水平に延在する。
【0011】
一実施形態によれば、変位可能なシュートは、特に閉じたパイプを備え、上部板がパイプの上端部に配置されている。
【0012】
一実施形態によれば、本装置はキャップトレイを備え、変位可能なシュート、特にパイプは、キャップ出口を備え、変位可能なシュートまたはパイプは、キャップグリッパによって解放された取り外されたキャップをキャップ入口から/キャップ入口を通ってパイプに沿ってキャップ出口に向かってキャップトレイ内に案内する。
【0013】
一実施形態によれば、駆動装置は、リニアガイド内に/リニアガイドに取り付けられたティースバーを備え、変位可能なシュートは、ティースバーに機械的に固定されている。
【0014】
一実施形態によれば、駆動装置は、電気モータと、ティースバーに係合する歯車とを備え、歯車は電気モータによって駆動される。電気モータは、装置のフレームに機械的に固定することができ、歯車が回転すると、ティースバー、したがって変位可能なシュートがフレームに対して直線軌道に沿って移動するようになっている。
【0015】
検査室自動化システムは、検査室用サンプル容器に収容された検査室用サンプルを自動的に処理するように構成されている。サンプルは、典型的には血液、尿などの体液である。検査室用サンプル容器は、検査室自動化システムに提供される際に、典型的にはキャップによって閉じられる。
【0016】
検査室自動化システムは、上述のような装置と、装置に機能的に結合され、サンプルを自動的に処理/分析するように構成された少なくとも1つの検査室ステーションとを備える。
【0017】
一実施形態によれば、少なくとも1つの検査室ステーションは、分析前ステーション、分析ステーション、または分析後ステーションである。
【0018】
分析前ステーションは、サンプル、サンプル容器、および/またはサンプル容器キャリアの任意の種類の前処理を行うように構成されていてもよい。
【0019】
分析ステーションは、サンプルまたはサンプルの一部と試薬を使用して、測定信号を生成するように構成されていてもよく、測定信号は、分析物が存在するか否かおよび存在する場合にはその濃度を示す。
【0020】
分析後ステーションは、サンプル、サンプル容器、および/またはサンプル容器キャリアの任意の種類の後処理を行うように構成されていてもよい。
【0021】
分析前ステーション、分析ステーション、および/または分析後ステーションは、リキャッピングステーション、アリコートステーション、遠心分離ステーション、保管ステーション、ピペッティングステーション、ソーティングステーション、チューブタイプ識別ステーション、サンプル品質判定ステーション、アドオンバッファステーション、液面検出ステーション、およびシーリング/デシーリングステーションのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0022】
本発明は、本発明の実施形態を概略的に示す図面に関して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置の斜視図。
【
図2】検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置の別の斜視図。
【
図3】
図1および
図2の検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置の変位可能なシュートおよび対応する駆動装置の斜視図。
【
図4】
図1および
図2の検査室用サンプル容器を閉じているキャップを取り外すための装置を備える検査室自動化システムの高度に概略的なブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図4は、検査室用サンプル容器2に収容されたサンプル15を自動的に処理するための検査室自動化システム1000の高度に概略的なブロック図である。検査室用サンプル容器2は、検査室自動化システム1000に提供される際に、キャップ1によって閉じられる。
【0025】
検査室自動化システム1000は、検査室用サンプル容器2を閉じているキャップ1を取り外すための装置100と、検査室用サンプル容器2内に収容されたサンプル15を自動的に処理するように構成された検査室ステーション1001とを備える。キャップ1は、検査室用サンプル容器2から取り外され、その後、キャップトレイ11に入れられ、キャップ1のないサンプル容器2は、さらなる処理のために検査室ステーション1001に搬送される。
【0026】
図1は、落下位置DPでは検査室用サンプル容器2を閉じているキャップ1を取り外すための装置100の斜視図を示す。
【0027】
装置100は、取り外されるキャップ1を把持するように構成され、かつ把持されたキャップ1を検査室用サンプル容器2から取り外すように構成されたキャップグリッパ3を備える。キャップグリッパ3は、把持されたキャップ1を垂直軸の周りで回転させるように構成されてもよく、さらに、検査室用サンプル容器2が検査室用サンプル容器把持/ハンドリングデバイス17によってその位置に固定されている間に、把持されたキャップ1を垂直方向に移動させるように構成されてもよい。図示されているように、検査室用サンプル容器2は、もはや検査室用サンプル容器把持/ハンドリングデバイス17によって把持されておらず、すなわち、キャップ1は、検査室用サンプル容器2から既に成功裏に取り外されている。
【0028】
装置100は、キャップ入口5と直線軌道7を画定するリニアガイド6とを備える変位可能なシュート4をさらに備え(
図3参照)、変位可能なシュート4は、変位可能なシュート4が直線軌道7に沿ってのみ変位可能であるように、リニアガイド6に機械的に結合されている。換言すれば、変位可能なシュート4の回転は、リニアガイド6によって防止される。
【0029】
装置100は、変位可能なシュート4を直線軌道7に沿って落下位置DPまで移動させるように構成された駆動装置8をさらに備え、落下位置DPでは、キャップグリッパ3によって把持されている取り外されたキャップ1は、変位可能なシュート4のキャップ入口5に部分的または完全に挿入される(
図1参照)。
【0030】
図3を参照すると、直線軌道7は、水平面に対して40度の角度αを形成する。
【0031】
駆動装置8は、変位可能なシュート4を落下位置DPとアイドル位置IP(
図2参照)との間で直線軌道7に沿って変位させるように構成され、アイドル位置IPでは、変位可能なシュート4は、キャップグリッパ3のいかなる移動も制限しない。
【0032】
例えば、
図3を参照すると、キャップ入口5は、変位可能なシュート4の上部板16の開口部によって形成されている。上部板16は、変位可能なシュート4の動作方向に水平に延在する。
【0033】
変位可能なシュート4は閉じたパイプ9を含み、上部板16はパイプ9の上端部に配置されている。
【0034】
装置100はキャップトレイ11を備え、変位可能なシュート4はキャップ出口10を備え、パイプ9は、キャップグリッパ3によって解放される取り外されたキャップ1を、キャップ入口5からパイプ9に沿ってキャップ出口10に向かってキャップトレイ11内に案内する。
【0035】
駆動装置8は、リニアガイド6内に/リニアガイド6に取り付けられたティースバー12を有し、変位可能なシュート4は、ティースバー12に機械的に固定されている。駆動装置8は、電気モータ13と、ティースバー12に係合する歯車14とを備え、歯車14は、電気モータ13によって駆動されて、変位可能なシュート4を直線軌道7に沿って直線的に移動させる。
【0036】
本発明は、特に粘着性ゴムキャップ1およびキャップ1がキャップトレイ11に正しく案内されないことに関連するキャップ取り外しプロセス中の問題を解決する。検査室自動化システム1000のさらなる漏出および汚染を防止することができる。キャップ1がキャップ入口5に少なくとも部分的に挿入されていることで、キャップが変位可能なシュート4によって完全に囲まれるため、キャップ1の紛失が防止される。さらに、飛散の危険性が著しく低減される。キャップグリッパ3を開いている間に、キャップ1はパイプ9に向かって剥がれ落ち、キャップグリッパ3のグリッパフィンガに付着することができない。
【外国語明細書】