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特開2022-1427643種のエラストマーを含むトレッドを有する空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142764
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】3種のエラストマーを含むトレッドを有する空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20220922BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20220922BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20220922BHJP
   C08L 91/08 20060101ALI20220922BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220922BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20220922BHJP
   C08L 57/02 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L9/06
C08L7/00
C08L91/08
C08K3/36
C08K3/04
C08L57/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022039067
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】17/203,040
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ステイシー・リン・ディーン-シオス
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド・スティーブン・グラス
(72)【発明者】
【氏名】ケイト・エリザベス・デニス-ペルチャー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ハリー・サンドストーム
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC013
4J002AC051
4J002AC063
4J002AC082
4J002AC112
4J002AE054
4J002BA015
4J002BK005
4J002CE005
4J002DA038
4J002DJ017
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD024
4J002FD345
4J002GC00
4J002GM00
4J002GM01
4J002GN01
4J002GT00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な転がり抵抗及び湿潤牽引の両方を有する空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】加硫可能ゴム組成物を含む空気入りタイヤであって、加硫可能ゴム組成物が、1)-30~-10℃の範囲のTg(A)を有する官能化スチレン-ブタジエンゴム25~35phr、-60~-70℃の範囲のTg(B)を有する天然ゴム又は合成ポリイソプレン5~15phr、及び-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであるポリブタジエン45~75phrからなるエラストマーであり、Tg(A)-Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である、エラストマー100重量部;
2)シリカ70~100phr;
3)カーボンブラック1~20phr;
4)ゴムプロセスオイル1~15phr;並びに
5)Tg≧20℃を有する少なくとも1種の炭化水素樹脂及びロジン由来の樹脂5~50phr
を含む、空気入りタイヤ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫可能ゴム組成物を含む空気入りタイヤであって、加硫可能ゴム組成物が、
a)25~35phrのスチレン-ブタジエンゴム、45~75phrのポリブタジエン、および5~15phrの天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる、100重量部のエラストマー、
ここで前記スチレン-ブタジエンゴムは、-30~-10℃の範囲のガラス転移温度Tg(A)を有し、かつ少なくとも1個の官能基を有する官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであり、前記天然ゴムまたは合成ポリイソプレンは-60~-70℃の範囲のTg(B)を有し、そして前記ポリブタジエンは-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであり、
ここでTg(A)-Tg(B)≧25℃、かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である;
b)70~100phrのシリカ;
c)1~20phrのカーボンブラック;
d)1~15phrのゴムプロセスオイル;ならびに
e)5~50phrの、20℃以上のTgを有する少なくとも1種の炭化水素樹脂、およびロジン由来の樹脂
を特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
官能基が、アミノ基、チオールエステル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基およびシリル基のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
官能基がアミノ、アルコキシおよびシリル基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
スチレン-ブタジエンゴムが、末端官能基、鎖中官能基からなる群から選択される官能基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
炭化水素樹脂が、スチレンおよびアルファメチルスチレンのコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
a)25~35phrのスチレン-ブタジエンゴム、45~75phrのポリブタジエン、および5~15phrの天然ゴムまたは合成ポリイソプレンからなる、100重量部のエラストマー、
ここで前記スチレン-ブタジエンゴムは、-30~-10℃の範囲のガラス転移温度Tg(A)を有し、かつ少なくとも1個の官能基を有する官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであり、前記天然ゴムまたは合成ポリイソプレンは-60~-70℃の範囲のTg(B)を有し、そして前記ポリブタジエンは-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであり、
ここでTg(A)-Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である;
b)70~100phrのシリカ;
c)1~20phrのカーボンブラック;
d)1~15phrのゴムプロセスオイル;ならびに
e)5~50phrの、20℃以上のTgを有する少なくとも1種の炭化水素樹脂、およびロジン由来の樹脂
を特徴とする、加硫可能ゴム組成物。
【請求項7】
官能基が、アミノ基、チオールエステル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基およびシリル基のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【請求項8】
官能基がアミノ、アルコキシおよびシリル基を含むことを特徴とする、請求項6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【請求項9】
スチレン-ブタジエンゴムが、末端官能基、鎖中官能基からなる群から選択される官能基を含むことを特徴とする、請求項6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【請求項10】
炭化水素樹脂が、スチレンおよびアルファメチルスチレンのコポリマーを含むことを特徴とする、請求項6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【請求項11】
予め疎水化したシリカがアルコキシシランおよびオルガノメルカプトアルコキシシランを含むことを特徴とする、請求項6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【請求項12】
タイヤトレッド、靴、靴底、振動絶縁材、伝達ベルト、ホース、コンベヤーベルトおよびトラックベルトから選択される少なくとも1つの品目の形態の、請求項6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[001]タイヤが良好な湿潤横滑り抵抗、低い転がり抵抗および良好な摩耗特性を有することは非常に望ましい。湿潤横滑り抵抗および牽引特性を犠牲にすることなく、タイヤの摩耗特性を改善するのは従来非常に困難であった。これらの性質は、タイヤを製造する際に用いられるゴムの動的粘弾性に大いに依存する。
【0002】
[002]転がり抵抗を減少させタイヤのトレッド摩耗特性を改善するために、低ヒステリシスのゴムが従来からタイヤトレッドゴムコンパウンドを製造する際に用いられてきた。他方、タイヤの湿潤横滑り抵抗を増すために、大きいエネルギー損を受けるゴムが、一般にタイヤのトレッドに用いられてきた。これら2つの粘弾性的に一致しない性質のバランスを取るために、様々な種類の合成と天然ゴムの混合物が、通常、タイヤトレッドに用いられている。例えば、スチレン-ブタジエンゴムとポリブタジエンゴムの様々な混合物が、一般に自動車タイヤトレッド用のゴム状材料として使用されている。しかしながら、転がり抵抗を改善すると、しばしば同時に湿潤牽引の低下も起き、逆もまた同様である。したがって、良好な転がり抵抗および湿潤牽引の両方を有するトレッドを開発する必要性が継続してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,217,103号
【特許文献2】米国特許第8,569,409号
【特許文献3】米国特許第7,214,731号
【特許文献4】米国特許第4,704,414号
【特許文献5】米国特許第6,123,762号
【特許文献6】米国特許第6,573,324号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Standard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts、2003年、62版、the Institute of Petroleum,United Kingdom
【非特許文献2】Journal of the American Chemical Society、60巻、304頁(1930年)
【非特許文献3】The Vanderbilt Rubber Handbook(1978)、344~346頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[003]本発明は、加硫可能ゴム組成物を含む空気入りタイヤであって、加硫可能ゴム組成物が、a)-30~-10℃の範囲のガラス転移温度Tg(A)を有し少なくとも1個の官能基を有する官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであるスチレン-ブタジエンゴム25~35phr;-60~-70℃の範囲のTg(B)を有する天然ゴムまたは合成ポリイソプレン5~15phr、および-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであるポリブタジエン45~75phrからなるエラストマーであり、Tg(A)-Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である、エラストマー100重量部;
b)シリカ70~100phr;
c)カーボンブラック1~20phr;
d)ゴムプロセスオイル1~15phr;ならびに
e)Tg≧20℃を有する少なくとも1種の炭化水素樹脂およびロジン由来の樹脂5~50phrを含む、空気入りタイヤを対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[004]加硫可能ゴム組成物を含む空気入りタイヤであって、加硫可能ゴム組成物が、
a)-30~-10℃の範囲のガラス転移温度Tg(A)を有し少なくとも1個の官能基を有する官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであるスチレン-ブタジエンゴム25~35phr、-60~-70℃の範囲のTg(B)を有する天然ゴムまたは合成ポリイソプレン5~15phr、および-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであるポリブタジエン45~75phrからなるエラストマーであり、Tg(A)-Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である、エラストマー100重量部;
b)シリカ70~100phr;
c)カーボンブラック1~20phr;
d)ゴムプロセスオイル1~15phr;ならびに
e)Tg≧20℃を有する少なくとも1種の炭化水素樹脂およびロジン由来の樹脂5~50phrを含む、空気入りタイヤが開示される。
【0007】
[005]一実施形態において、ゴム組成物は、スチレン-ブタジエンゴム25~35phr、ポリブタジエン45~75phrおよび天然ゴムまたは合成ポリイソプレン5~15phrからなる100重量部のエラストマーを含む。
【0008】
[006]一実施形態において、スチレン-ブタジエンゴムは、アルコキシシラン基、ならびに硫黄含有官能基および第一級アミノ官能基から選択される少なくとも1個の基で官能化されている。
【0009】
[007]一実施形態において、ゴム組成物は、アルコキシシラン基、ならびに硫黄含有官能基およびアミノ官能基から選択される官能基で官能化されたスチレン-ブタジエンゴム25~35phrを含む。適切な硫黄含有基は、チオール、チオエーテル、チオエステル、スルフィドまたはスルファニル基を含む。適切なアミノ官能基は、第一級、第二級および第三級アミノ基を含む。使用されてもよいゴムの追加の例は、モノアルコキシ、ジアルコキシおよびトリアルコキシを含むアルコキシ、シリル、チオール、チオエステル、チオエーテル、スルファニル、メルカプト、スルフィド、およびその組み合わせなどの基で官能化された溶液重合スチレン-ブタジエンを含む。そのような官能化溶液重合ポリマーは、例えば、官能性開始剤または停止剤を介してポリマー鎖末端で、または例えば官能性モノマーを介してポリマー鎖中で、または鎖中および鎖末端の官能化を組み合わせて官能化されてもよい。適切な官能性溶液重合ポリマーの特定の例としては、アルコキシシリルおよびスルフィド(すなわちチオエーテル)官能基を有する、米国特許第8,217,103号および米国特許第8,569,409号において記載のものを含む。そのようなチオール官能基は、コンパウンド加工時に硫黄含有基の開裂から、例えばチオエステルおよびチオエーテルなどから生じるチオールまたはスルファニル官能基を含む。
【0010】
[008]一実施形態において、スチレン-ブタジエンゴムはスチレンおよびブタジエンの共重合により得られ、スチレン-ブタジエンゴムがポリマー鎖に結合したチオール基ならびにアルコキシシリル基を有することを特徴とする。一実施形態において、アルコキシシリル基はエトキシシリル基である。
【0011】
[009]チオール基は、それがスチレン-ブタジエンゴム鎖に結合している限り、スチレン-ブタジエンゴムの重合開始末端、重合停止末端、主鎖および側鎖のうちのいずれに結合していてもよい。しかし、チオール基は、ポリマー末端でのエネルギーの消失が抑制されてヒステリシス損特性が改善されるので、好ましくは重合開始末端または重合停止末端に導入される。チオール基は、さらに、チオエステルまたはチオエーテルなどの硫黄原子に結合した保護官能基を有するブロック化チオール(またブロック化メルカプト基としても知られる)として存在してもよく、これは、次に、ゴム混合時に切断されてチオール硫黄を露出させる。
【0012】
[010]アルコキシシリル基は、それが(コ)ポリマー鎖に結合している限り、(コ)ポリマーの重合開始末端、重合停止末端、主鎖および側鎖のうちのいずれに結合していてもよい。しかし、エネルギーの消失は(コ)ポリマー末端から抑制されてヒステリシス損特性を改善することができるので、アルコキシシリル基は、好ましくは重合開始末端または重合停止末端に導入される。
【0013】
[011]スチレン-ブタジエンゴムは、炭化水素溶媒中でスチレンおよびブタジエンの重合によって、開始剤として有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属を使用し、保護基で保護された第一級アミノ基および/または保護基で保護されたチオール基ならびにアルコキシシリル基を有する停止剤化合物を加えて、重合が実質的に完了した時点でリビングポリマー鎖末端とそれを反応させ、次いで、例えば加水分解または他の好適な手順によるブロック解除を行うアニオン重合によって製造することができる。
【0014】
[012]溶液重合スチレン-ブタジエンゴムは-30℃~-10℃の範囲のガラス転移温度を有する。エラストマーまたはエラストマー組成物のガラス転移温度またはTgへの言及は、本明細書において言及される場合、エラストマー組成物の事例の未硬化状態またはことによると硬化状態におけるそれぞれのエラストマーもしくはエラストマー組成物のガラス転移温度を表す。Tgは、示差走査熱量計(DSC)によって、例えばASTM D7426または同等のものに従って毎分10℃の昇温速度でピーク中央値として適切に求めることができる。
【0015】
[013]ゴム組成物の別の成分は、-60~-70℃の範囲のTgを有する、天然ゴムまたは合成cis1,4-ポリイソプレン約5~約15phrである。そのような天然ゴムまたは合成シス1,4-ポリイソプレンは、当業者によく知られている。
【0016】
[014]ゴム組成物の別の成分は、またブタジエンゴムまたはポリブタジエン(BR)としても知られるcis-1,4ポリブタジエン45~約75phrである。適切なブタジエンゴムは、例えば1,3-ブタジエンの有機溶液重合によって調製することができる。BRは、好都合には、例えば、少なくとも90パーセントのシス1,4-含有率および-90~-110℃の範囲のガラス転移温度Tgを有することを特徴としてもよい。GoodyearからのBudene(登録商標)1223などの適切なブタジエンゴムは、市販されている。
【0017】
[015]先に留意したように、スチレン-ブタジエンゴムは、-30~-10℃の範囲の、本明細書においてTg(A)と称されるガラス転移温度を有する、官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであり;天然ゴムまたは合成ポリイソプレンは-65~-70℃の範囲のTg(B)を有し;ポリブタジエンは、-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis1,4ポリブタジエンである。スチレン-ブタジエンゴム、天然ゴムまたは合成ポリイソプレン、およびポリブタジエンは、Tg(A)- Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃という関係を満たす。
【0018】
[016]本明細書において使用される場合、「phr」という用語は、従来の慣行によれば、「100重量部のゴムまたはエラストマー当たりそれぞれの材料の重量部」を指す。
[017]ゴム組成物は、20℃と等しいかまたはそれ以上のTgを有する炭化水素樹脂5~50phrを含む。樹脂としてのTgの適切な測定はASTM D6604または等価物によるDSCである。
【0019】
[018]代表的な炭化水素樹脂は、クマロン-インデン樹脂、石油樹脂、C5/C9樹脂、テルペンポリマー、アルファメチルスチレン樹脂およびその混合物を含む。
[019]クマロン-インデン樹脂はよく知られている。様々な分析では、そのような樹脂が大部分はポリインデンであることを示すが、しかしながら、典型的にはメチルインデン、クマロン、メチルクマロン、スチレンおよびメチルスチレンに由来するランダムポリマー単位を含む。
【0020】
[020]適切な石油樹脂は、芳香族および非芳香族の種類を含む。数種類の石油樹脂が入手可能である。幾つかの樹脂は低い不飽和度および高い芳香族含有率を有するが、しかし、高度に不飽和であるにもかかわらず芳香族構造を全く含まないものもある。樹脂における差異は、大部分、樹脂が由来する供給原料中のオレフィンによる。そのような樹脂における従来からの誘導体としては、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、イソプレンおよびピペリレンなどのそれらの二量体およびジオレフィン、ならびに環化ポリイソプレンを含む。これらのモノマーの、互いとの、またはスチレンおよびアルファメチルスチレンなどの芳香族との、コポリマーも、また含まれる。
【0021】
[021]一実施形態において、樹脂は芳香族変性ポリジシクロペンタジエンである。
[022]テルペンポリマーは、ミネラルスピリット中でのアルファまたはベータピネンの混合物の重合から工業的に製造される。通常、10℃~135℃の範囲の様々な融点の樹脂が供給される。
【0022】
[023]一実施形態において、樹脂はスチレンおよびアルファメチルスチレンに由来する。一態様において、分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)と組み合わせた、そのガラス転移温度(Tg)特性によって、ゴム組成物中の樹脂の適切な相溶性、ゴム組成物の性質と直接関係している相溶性の程度がもたらされると考えられる。
【0023】
[024]スチレン-ブタジエンエラストマーの存在を含むゴムブレンドを含むスチレン/アルファメチルスチレン樹脂の存在は、以下に概論的に記述されるように異なる温度/周波数/歪みでの、複素および貯蔵弾性率、損失弾性率、タンジェントデルタならびに損失コンプライアンスなどの、観察されるトレッドゴム組成物の粘弾性のため、本明細書において有益であると考えられる。
【0024】
[025]複素および貯蔵弾性率、損失弾性率、タンジェントデルタならびに損失コンプライアンスの性質は、一般に当業者に周知のことと理解されている。それらは以下に概論的に記述される。
【0025】
[026]樹脂の分子量分布は、樹脂の分子量平均(Mw)と分子量数平均(Mn)値の比として視覚化され、本明細書において比較的小幅であると考えられる約1.5/1~約2.5/1の範囲にあると考えられる。これは、ポリマーマトリクスとの選択的な相溶性のため、また広い温度範囲にわたる湿潤および乾燥条件におけるタイヤの企図された使用のために有利であると考えられる。
【0026】
[027]コポリマー樹脂のガラス転移温度Tgは、本明細書において、製造されるタイヤの意図する使用およびタイヤトレッド用のポリマーブレンドの性質に多少依存して、約20℃~約100℃、代替として約30℃~約80℃の範囲にあると考えられる。樹脂としてのTgの適切な測定は、ASTM D6604または同等物によるDSCである。
【0027】
[028]スチレン/アルファメチルスチレン樹脂は、本明細書において、約0.40~約1.50の範囲のスチレン/アルファメチルスチレンのモル比を有するスチレンとアルファメチルスチレンの比較的短鎖のコポリマーであると考えられる。一態様において、そのような樹脂は、例えば炭化水素溶媒中でのスチレンとアルファメチルスチレンのカチオン共重合によって適切に調製することができる。
【0028】
[029]このようにして、企図されたスチレン/アルファメチルスチレン樹脂は、例えばその化学構造、すなわちそのスチレンおよびアルファメチルスチレンの含有率、および軟化点、ならびにまた、所望の場合、そのガラス転移温度、分子量および分子量分布を特徴とすることができる。
【0029】
[030]一実施形態において、スチレン/アルファメチルスチレン樹脂は、スチレンに由来する約20~約80パーセント単位、および、対応してアルファメチルスチレンに由来する約80~約20パーセント単位で構成される。一実施形態において、スチレン/アルファメチルスチレン樹脂は、ASTM No. E-28による、約80℃~約145℃の範囲の軟化点を有する。
【0030】
[031]適切なスチレン/アルファメチルスチレン樹脂は、EastmanからResin 2336またはArizona ChemicalからSylvares SA85として市販されている。
【0031】
[032]組成物はロジン由来の樹脂をさらに含む。適切なロジン由来の樹脂は、無色透明ガムロジン、変性ガムロジン、およびロジン酸のエステルおよびアミドを含む。
[033]ゴム組成物はまた、プロセスオイル1~15phrを含んでもよい。通常、エラストマーを増量するために使用される増量油として、プロセス油がゴム組成物に含まれていてもよい。プロセス油はまた、ゴム配合時のオイルの直接添加によってゴム組成物に含まれていてもよい。使用されるプロセス油は、エラストマー中に存在する増量油、および配合時に加えられるプロセス油の両方に含まれていてもよい。適切なプロセス油は、芳香族、パラフィン、ナフテン、植物油、ならびにMES、TDAE、SRAEおよび重質ナフテン油などの低PCA油、ならびにリン酸トリス-2-エチルヘキシルを含む、当業界で公知である様々なオイルを含む。適切な低PCA油は、IP346法によって求めて3重量パーセント未満の多環式芳香族含有率を有するものを含む。IP346法の手順は、the Institute of Petroleum,United Kingdomによって発行された、Standard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts、2003年、62版に見いだすことができる。
【0032】
[034]沈降シリカ70~100phrもまたゴム組成物に含まれる。
[035]ゴムコンパウンドにおいて使用されてもよい一般に用いられる珪質顔料は、従来の火成および沈降珪質顔料(シリカ)を含む。一実施形態において、沈降シリカが使用される。本発明において用いられる従来からの珪質顔料は、例えば、可溶性ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ナトリウムの酸性化によって得られたものなどの沈降シリカである。
【0033】
[036]そのような従来のシリカは、例えば窒素ガスを使用して測定されるBET表面積を有することを特徴とすることができる。一実施形態において、BET表面積は、1グラム当たり約40~約600平方メートルの範囲であってもよい。別の実施形態において、BET表面積は、1グラム当たり約80~約300平方メートルの範囲であってもよい。表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society、60巻、304頁(1930年)に記載されている。
【0034】
[037]従来のシリカはまた、約100~約400、代替として約150~約300の範囲のフタル酸ジブチル(DBP)吸収値を有することを特徴としてもよい。
[038]従来のシリカは、例えば電子顕微鏡によって求めて0.01~0.05ミクロンの範囲の平均究極粒子寸法を有すると予想することができるが、シリカ粒子は、寸法がさらに小さくてよく、またはことによるとより大きくてもよい。
【0035】
[039]様々な市販のシリカ、例えば本明細書において例示のみでありこれらに限定されないが、PPG Industriesから名称210、243などを有するHi-Sil商標の下で市販されているシリカ;例えばZ1165MP、Z165GRおよびZeosil Premium 200MPの名称を有する、Solvayから入手可能なシリカ、および例えば名称VN2およびVN3を有するDegussa AGから入手可能なシリカなどが使用されてもよい。
【0036】
[040]一実施形態において、シリカは予め疎水化したシリカであってもよい。予め疎水化とは、シリカが前処理されていること、すなわち、ゴム組成物へのその添加に先立って、予め疎水化した沈降シリカは少なくとも1種のシランを用いる処理によって疎水化されることを意味する。適切なシランは、アルキルシラン、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシリルポリスルフィドおよびオルガノメルカプトアルコキシシランを含むがこれらに限定されない。
【0037】
[041]代替実施形態において、予備疎水化沈降シリカは、ゴム内で沈降シリカをシリカカップリング剤とインサイチューで反応させる代わりに、ゴムと前処理されたシリカをブレンドする前に、例えばアルコキシオルガノメルカプトアルコキシシランまたはアルコキシシランとオルガノメルカプトアルコキシシランとの組み合わせで構成されたシリカカップリング剤を用いて前処理されてもよい。例えば、米国特許第7,214,731号を参照すること。
【0038】
[042]予め疎水化した沈降シリカは、任意に、シリカ分散助剤を用いて処理されてもよい。そのようなシリカ分散助剤は、脂肪酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、水素化または非水素化CまたはC糖の脂肪酸エステル、および水素化または非水素化CまたはC糖の脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体などのグリコールを含んでもよい。
【0039】
[043]例示の脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸を含む。
[044]例示の水素化または非水素化C5またはC6糖(例えばソルボース、マンノースおよびアラビノース)の脂肪酸エステルは、ソルビタンモノオレエート、ジオレエート、トリオレエートおよびセスキオレエートなどのソルビタンオレエート、ならびにラウリン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の脂肪酸ソルビタンエステルを含むがこれらに限定されない。水素化または非水素化C5またはC6糖の脂肪酸エステルの例示のポリオキシエチレン誘導体は、ポリソルベートおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルを含むがこれらに限定されず、これらは、エチレンオキシド基がヒドロキシル基のそれぞれに位置するという点を除いて上記の水素化または非水素化糖の脂肪酸エステルと類似している。
【0040】
[045]使用される場合、任意選択のシリカ分散助剤は、シリカの重量を基準にして、約0.1重量%~約25重量%の範囲の量で存在し、約0.5重量%~約20重量%が適切であり、シリカの重量を基準にして約1重量%~約15重量%もまた適切である。
【0041】
[046]様々な前処理された沈降シリカについて、例えば、米国特許第4,704,414号、米国特許第6,123,762号および米国特許第6,573,324号を参照すること。
【0042】
[047]適切な予め疎水化したシリカは、例えばAgilonシリーズとしてPPGから市販されている。
[048]一般に用いられるカーボンブラックは、1~10phrの範囲の量で従来の充填剤のように使用することができる。そのようなカーボンブラックの代表的な例は、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990およびN991を含む。これらのカーボンブラックは、9~145g/kgの範囲のヨウ素吸収および34~150cm/100gの範囲のDBP数を有する。
【0043】
[049]一実施形態において、ゴム組成物は、任意に、従来の硫黄含有有機ケイ素化合物を含んでもよい。一実施形態において、硫黄含有有機ケイ素化合物は3,3’-ビス(トリメトキシまたはトリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。一実施形態において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、および/または3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。
【0044】
[050]ゴム組成物中の任意選択の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用される他の添加剤のレベルに依存して様々である。概して言えば、化合物の量は0.5~20phrの範囲である。一実施形態において、量は1~10phrの範囲である。
【0045】
[051]ゴム組成物が、例えば、硫黄供与体、硬化助剤、例えば、活性剤および遅延剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤および釈解薬などの様々な一般に使用される添加材料との、様々な構成要素の硫黄加硫可能ゴムの混合などのゴム配合技術において一般に公知の方法によって配合することができることは、当業者によって容易に理解される。当業者に知られているように、硫黄顆粒可能材料および硫黄加硫された材料(ゴム)の意図される使用に応じて、上記に挙げた添加剤が選択され、一般に従来の量で使用される。硫黄供与体の代表的な例は、元素の硫黄(遊離の硫黄)、アミンジスルフィド、ポリマーのポリスルフィドおよび硫黄オレフィン付加物を含む。一実施形態において、硫黄加硫剤は元素の硫黄である。硫黄加硫剤は、0.5~8phrの範囲の量、代替として1.5~6phrの範囲で使用されてもよい。加工助剤の典型的な量は約1~約50phrを含む。抗酸化剤の典型的な量は約1~約5phrを含む。代表的な抗酸化剤は、例えばジフェニル-p-フェニレンジアミン他、例えば、The Vanderbilt Rubber Handbook(1978)、344~346頁に開示されているものなどであってもよい。オゾン劣化防止剤の典型的な量は約1~5phrを含む。使用される場合、ステアリン酸を含むことができる脂肪酸の典型的な量は、約0.5~約3phrを含む。酸化亜鉛の典型的な量は約2~約5phrを含む。ワックスの典型的な量は1~5phrを含む。多くの場合、微晶質のワックスが使用される。釈解剤の典型的な量は0.1~1phrを含む。典型的な釈解剤は、例えばペンタクロロチオフェノールおよびジベンズアミドジフェニルジスルフィドであってもよい。
【0046】
[052]促進剤は、加硫のために必要とされる時間および/または温度を制御し、加硫物の性質を改善するために使用される。一実施形態において、単一の促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されてもよい。一次促進剤(複数可)は、約0.5~約4phr、代替として約0.8~約1.5phrの範囲の合計量で使用されてもよい。別の実施形態において、一次および二次促進剤の組み合わせが使用されてもよく、二次促進剤は、活性化し加硫物の性質を改善するために約0.05~約3phrなどのより少ない量で使用される。これらの促進剤の組み合わせは、最終的な性質に相乗効果を生み出すと予想することができ、どちらかの促進剤の単独使用によって製造されたものより多少良好である。さらに、通常の加工温度に影響を受けないが、通常の加硫温度で満足すべき硬化を生ずる遅効性促進剤が使用されてもよい。加硫遅延剤もまた使用されてもよい。本発明において使用されてもよい適切な種類の促進剤は、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメートおよびザンセートである。一実施形態において、一次促進剤はスルフェンアミドである。第2の促進剤が使用される場合、二次促進剤はグアニジン、ジチオカルバメートまたはチウラム化合物であってもよい。
【0047】
[053]一実施形態において、ゴム組成物は、加硫修飾剤として、α,ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンを1~10phr含んでもよい。適切なα,ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンは、1,2-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイル-ジチオ)エタン;1,3-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン;1,4-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン;1,5-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン;1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン;1,7-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン;1,8-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン;1,9-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン;および1,10-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンを含む。一実施形態において、加硫修飾剤はBayerからのVulcurenとして入手可能な1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンである。
【0048】
[054]ゴム組成物の混合は、ゴム混合技術における当業者に公知の方法によって達成することができる。例えば、原料は、通常、少なくとも2つの段階、すなわち、少なくとも1つの非生産的な段階、続いて生産的混合段階において混合される。硫黄加硫剤を含む最終硬化薬は、通常、従来は「生産的」混合段階と呼ばれる最終段階において混合され、ここで、通常、先行する非生産的混合段階(複数可)の混合温度(複数可)より低い、ある温度または最終温度で混合が行われる。「非生産的」および「生産的」混合段階という用語は、ゴム混合技術の当業者には周知されている。ゴム組成物は、熱力学的混合ステップにかけられてもよい。熱力学的混合ステップは、一般に、120℃から190℃の間のゴム温度を生ずるのに適切な期間、混合機または押出機での機械式作業を含む。熱力学的作業の好適な継続時間は、運転条件および成分の量および性質の関数として変動する。例えば、熱力学的作業は1~20分であってもよい。
【0049】
[055]ゴム組成物はタイヤの様々なゴムコンポーネントに組み込まれてもよい。例えば、ゴムコンポーネントは、トレッド(トレッドキャップおよびトレッドベースを含む)、サイドウォール、アペックス、チェーファー、サイドウォールインサート、ワイヤーコートまたはインナーライナーであってもよい。一実施形態において、コンポーネントはトレッドである。
【0050】
[056]本発明の空気入りタイヤは、レース用タイヤ、乗用車用タイヤ、航空機用タイヤ、農耕用タイヤ、地ならし機、オフロード、トラック用タイヤなどであってもよい。一実施形態において、タイヤは、乗用車用またはトラック用タイヤである。タイヤはまたラジアルまたはバイアスであってよい。
【0051】
[057]本発明の空気入りタイヤの加硫は、一般に80℃~200℃の範囲の従来の温度で実行される。一実施形態において、加硫は約110℃~180℃の範囲の温度で行われる。プレスまたは型中での加熱、過熱蒸気または熱風を用いる加熱などの通常の加硫方法のうちのいずれを使用してもよい。そのようなタイヤは、当業者にとって公知で、容易に明白になる様々な方法によって組み立て、成形、成型および硬化することができる。
【0052】
[058]本発明は、単に例証のためである以下の実施例によって説明され、本発明の範囲、または実施することができる方法を限定すると見なされるべきではない。特に他の方法で示さなければ、部および百分率は重量によって与えられる。
【実施例0053】
[059]タイヤ(225/50R17)を、本発明によるトレッドコンパウンド、および対照コンパウンドを使用して構築した。結果として得られたタイヤの路上試験は、対照と比較して、基本的に同等の摩耗性能を維持しつつ本発明のタイヤとして改善された湿潤および乾燥性能を示した。
【0054】
[060]本発明における変形は、本明細書において提供される記述に照らして可能である。主題発明を説明する目的で特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、主題発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を本明細書において行うことができることはこの技術の当業者には明白であろう。したがって、記載される特定の実施形態において、以下に添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の完全な意図した範囲内にある変更を行うことができることは、理解されるはずである。
[発明の実施形態]
1.加硫可能ゴム組成物を含む空気入りタイヤであって、加硫可能ゴム組成物が、
a)-30~-10℃の範囲のガラス転移温度Tg(A)を有し少なくとも1個の官能基を有する官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであるスチレン-ブタジエンゴム25~35phr、-60~-70℃の範囲のTg(B)を有する天然ゴムまたは合成ポリイソプレン5~15phr、および-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであるポリブタジエン45~75phrからなるエラストマーであり、Tg(A)-Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である、エラストマー100重量部;
b)シリカ70~100phr;
c)カーボンブラック1~20phr;
d)ゴムプロセスオイル1~15phr;ならびに
e)Tg≧20℃を有する少なくとも1種の炭化水素樹脂およびロジン由来の樹脂5~50phrを含む、空気入りタイヤ。
2. 官能基が、アミノ基、チオールエステル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基およびシリル基のうちの少なくとも1つを含む、1に記載の空気入りタイヤ。
3. 官能基がアミノ、アルコキシおよびシリル基を含む、1に記載の空気入りタイヤ。
4. スチレン-ブタジエンゴムが、末端官能基、鎖中官能基からなる群から選択される官能基を含む、1に記載の空気入りタイヤ。
5. 炭化水素樹脂が、スチレンおよびアルファメチルスチレンのコポリマーを含む、1に記載の空気入りタイヤ。
6. a)-30~-10℃の範囲のガラス転移温度Tg(A)を有し少なくとも1個の官能基を有する官能化溶液重合スチレン-ブタジエンエラストマーであるスチレン-ブタジエンゴム25~35phr、-60~-70℃の範囲のTg(B)を有する天然ゴムまたは合成ポリイソプレン5~15phr、および-110~-90℃の範囲のTg(C)を有するcis-1,4ポリブタジエンであるポリブタジエン45~75phrからなるエラストマーであり、Tg(A)-Tg(B)≧25℃かつTg(B)-Tg(C)≧25℃である、エラストマー100重量部;
b)シリカ70~100phr;
c)カーボンブラック1~20phr;
d)ゴムプロセスオイル1~15phr;ならびに
e)Tg≧20℃を有する少なくとも1種の炭化水素樹脂およびロジン由来の樹脂5~50phr
を含む加硫可能ゴム組成物。
7. 官能基が、アミノ基、チオールエステル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基およびシリル基のうちの少なくとも1つを含む、6に記載の加硫可能ゴム組成物。
8. 官能基がアミノ、アルコキシおよびシリル基を含む、6に記載の加硫可能ゴム組成物。
9. スチレン-ブタジエンゴムが、末端官能基、鎖中官能基からなる群から選択される官能基を含む、6に記載の加硫可能ゴム組成物。
10. 炭化水素樹脂が、スチレンおよびアルファメチルスチレンのコポリマーを含む、6に記載の加硫可能ゴム組成物。
11. 予め疎水化したシリカがアルコキシシランおよびオルガノメルカプトアルコキシシランを含む、6に記載の加硫可能ゴム組成物。
12. タイヤトレッド、靴、靴底、振動絶縁材、伝達ベルト、ホース、コンベヤーベルトおよびトラックベルトから選択される少なくとも1つの品目の形態の、6に記載の加硫可能ゴム組成物。
【外国語明細書】