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特開2022-142767オレフィン系重合体組成物およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142767
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】オレフィン系重合体組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20220922BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039523
(22)【出願日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2021042233
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土谷 宏子
(72)【発明者】
【氏名】根本 美喜雄
(72)【発明者】
【氏名】柳田 憲吾
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB051
4J002BB112
4J002BB122
4J002BB142
4J002GG01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、中空成形時の成形安定性に優れるオレフィン系重合体組成物を得ることにある。
【解決手段】本発明は、下記要件(a1)~(a3)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン系共重合体(A)を50~90質量%、および、下記要件(b1)を満たす、プロピレン系重合体(B)を10~50質量%〔但し、(A)+(B)の合計を100質量%とする。〕の範囲で含むことを特徴とするオレフィン系重合体組成物に係る。
(a1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR190)が0.1~2.0g/10minの範囲にある。
(a2)密度(D)が910~970kg/m3の範囲にある。
(a3)190℃におけるせん断粘度が2.4×106となるせん断速度(γ2)とせん断粘度が4.0×105におけるせん断速度(γ1)との比〔(γ2)/(γ1)〕が10~45の範囲にある。
(b1)230℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR230)が10~100g/10minの範囲にある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件(a1)~(a3)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン系共重合体(A)を50~90質量%、および、下記要件(b1)を満たす、プロピレン系重合体(B)を10~50質量%〔但し、(A)+(B)の合計を100質量%とする。〕の範囲で含むことを特徴とするオレフィン系重合体組成物。
(a1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR190)が0.1~2.0g/10minの範囲にある。
(a2)密度(D)が910~970kg/m3の範囲にある。
(a3)190℃におけるせん断粘度が2.4×106となるせん断速度(γ2)とせん断粘度が4.0×105におけるせん断速度(γ1)との比〔(γ2)/(γ1)〕が10~45の範囲にある。
(b1)230℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR230)が10~100g/10minの範囲にある。
【請求項2】
エチレン系共重合体(A)とプロピレン系重合体(B)のせん断粘度比(ηB/ηA)が≦0.225であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系重合体組成物。
【請求項3】
プロピレン系重合体(B)が、リサイクル材由来である請求項1に記載のオレフィン系重合体組成物。
【請求項4】
プロピレン系重合体(B)が、230℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR230)が30~70g/10minの範囲にある請求項1に記載のオレフィン系重合体組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のオレフィン系重合体組成物を用いてなる中空成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空成形体を得るに好適なオレフィン系重合体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形(中空成形)、特にダイレクトブロー成形は、容器の成形方法の一つとして、広く用いられている。高密度ポリエチレンからなる容器は、耐衝撃性、耐候性、耐寒性などに優れるので、灯油などの燃料油、食料油、水、洗剤などをはじめ広く用いられている。
【0003】
一方、高密度ポリエチレンは、剛性がやや劣ることから、高密度ポリエチレンに比べて剛性があるポリプロピレンを高密度ポリエチレンに配合すること(例えば、特許文献1)、高密度ポリエチレンにポリプロピレンと無機充填剤を配合すること(例えば、特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-112854号公報
【特許文献2】特開2016-128570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら特許文献に提案されている方法は、何れも、MFRが2g/10minと低MFRのポリプロピレンが配合されている。
しかしながら、高密度ポリエチレンよりも高い剛性を有する低MFRのポリプロピレンを加えることにより高密度ポリエチレンの剛性を高めることは、溶融ポリマーブレンドの溶融強度に悪影響を与えている。したがって、このような高密度ポリエチレンおよびポリプロピレンの溶融ブレンドは、高い剛性を得るために、加工性を犠牲にしている。
本発明の目的は、中空成形時の成形安定性に優れるオレフィン系重合体組成物を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は以下の[1]~[5]にかかわる。
[1]
下記要件(a1)~(a3)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体であるエチレン系共重合体(A)を50~90質量%、および、下記要件(b1)を満たす、プロピレン系重合体(B)を10~50質量%〔但し、(A)+(B)の合計を100質量%とする。〕の範囲で含むことを特徴とするオレフィン系重合体組成物。
(a1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR190)が0.1~2.0g/10minの範囲にある。
(a2)密度(D)が910~970kg/m3の範囲にある。
(a3)190℃におけるせん断粘度が2.4×106となるせん断速度(γ2)とせん断粘度が4.0×105におけるせん断速度(γ1)との比〔(γ2)/(γ1)〕が10~45の範囲にある。
(b1)230℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR230)が10~100g/10minの範囲にある。
【0007】
[2]
エチレン系共重合体(A)とプロピレン系重合体(B)のせん断粘度比(ηB/ηA)が≦0.225であることを特徴とする項[1]に記載のオレフィン系重合体組成物。
【0008】
[3]
プロピレン系重合体(B)が、リサイクル材由来である項[1]に記載のオレフィン系重合体組成物。
【0009】
[4]
プロピレン系重合体(B)が、230℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR230)が30~70g/10minの範囲にある項[1]に記載のオレフィン系重合体組成物。
【0010】
[5]
項[1]~項[3]のいずれか1項に記載のオレフィン系重合体組成物を用いてなる中空成形体。
【発明の効果】
【0011】
本発明のオレフィン系重合体組成物は中空成形時の成形安定性に優れ、且つ、オレフィン系重合体組成物を構成するプロピレン系重合体(B)として、高MFRのポリプロピレンのリサイクル材を用いることができるので、環境循環型社会に貢献し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<エチレン系共重合体(A)>
本発明のオレフィン系重合体組成物に含まれる成分の一つであるエチレン系共重合体(A)は、下記要件(a1)~(a3)を満たす、エチレンと少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体である。
【0013】
〔要件(a1)〕
190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR190)が0.1~2.0g/10min、下限は好ましくは0.2g/10min、上限は好ましくは1.5g/10min、より好ましくは1.0g/10minである。
【0014】
メルトフローレート(MFR190)が上記下限値以上の場合、オレフィン系重合体組成物のせん断粘度が高すぎず、成形性が良好である。メルトフローレート(MFR190)が上記上限値以下の場合、オレフィン系重合体組成物から得られる成形体は、引張強度などの機械的強度が良好である。
【0015】
メルトフローレート(MFR190)は分子量に強く依存しており、メルトフローレート(MFR)が小さいほど分子量は大きく、メルトフローレート(MFR)が大きいほど分子量は小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、曽我和雄他編、「Catalytic Olefin Polymerization」、講談社サイエンティフィク、1990年、p.376)。このため、水素/エチレンを増減させることで、エチレン系重合体のメルトフローレート(MFR)を増減させることが可能である。
メルトフローレート(MFR190)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定される。
【0016】
〔要件(a2)〕
密度が910~970kg/m3、下限は好ましくは913kg/m3、より好ましくは915kg/m3であり、上限は好ましくは965kg/m3、より好ましくは960kg/m3ある。
【0017】
密度が上記上限値以下の場合、オレフィン系重合体組成物から成形された成形体は剛性に優れ、密度が上記下限値以上の場合、オレフィン系重合体組成物から成形された成形体は衝撃強度が良好となり、例えば、中空成形体の落下強度などの機械的強度が良好である。
【0018】
〔要件(a3)〕
190℃におけるせん断粘度が2.4×106となるせん断速度(γ2)とせん断粘度が4.0×105におけるせん断速度(γ1)との比〔(γ2)/(γ1)〕が10~45、下限は好ましくは15、上限は好ましくは43の範囲にある。
【0019】
本発明に係るエチレン系共重合体(A)は、(γ2)/(γ1)が上記範囲を満たすことにより、オレフィン系重合体組成物に含まれるプロピレン系重合体(B)の分散性が良好になり成形安定性が良好なオレフィン系重合体組成物が得られる。
【0020】
本発明に係るエチレン系共重合体(A)は、上記要件(a1)~要件(a3)に加え、せん断粘度(ηA)が100~300Pa・s、下限は好ましくは120Pa・s、より好ましくは130Pa・s、上限は好ましくは250Pa・s、より好ましくは200Pa・sの範囲にある。
【0021】
せん断粘度(ηA)は(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用いて測定した。L=30.0mm、D=1.0mmのキャピラリーを用いて、せん断速度を段階的に変更し、220℃、せん断速度2432s-1におけるせん断粘度(ηA)を求めた。
【0022】
本発明に係るエチレン系共重合体(A)は、エチレンと少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体であり、具体的には1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。
【0023】
<プロピレン系重合体(B)>
本発明のオレフィン系重合体組成物に含まれる成分の一つであるプロピレン系重合体(B)は、下記要件(b1)を満たす、プロピレン系重合体である。
【0024】
〔要件(b1)〕
230℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR230)が10~100g/10min、下限は好ましくは20g/10min、より好ましくは30g/10min、上限は好ましくは85g/10min、より好ましくは75g/10minの範囲にある。
【0025】
本発明に係るプロピレン系重合体(B)は、上記要件(b1)に加え、せん断粘度(ηB)が15~45Pa・s、下限は好ましくは20Pa・s、より好ましくは25Pa・s、上限は好ましくは40Pa・s、より好ましくは38Pa・sの範囲にある。
【0026】
せん断粘度(ηB)は、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用いて測定した。L=30.0mm、D=1.0mmのキャピラリーを用いて、せん断速度を段階的に変更し、220℃、せん断速度2432s-1におけるせん断粘度(ηB)を求めた。
【0027】
本発明に係るプロピレン系重合体(B)は、プロピレンの単独重合体、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体である。プロピレンとα-オレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0028】
また、本発明に係るプロピレン系重合体(B)は、市販のポリプロピレンであっても、リサイクル由来のプロピレン系重合体であっても良い。リサイクル由来のプロピレン系重合体は、例えば射出成形や不織布、フィルム成形など中空成形以外の別工程で発生した、プレコンシューマー材料である。
【0029】
<オレフィン系重合体組成物>
本発明のオレフィン系重合体組成物は、上記エチレン系共重合体(A)を50~90質量%、下限は好ましくは60質量%、より好ましくは65質量%、上限は好ましくは85質量%、より好ましくは80質量%および、上記プロピレン系重合体(B)を10~50質量%、下限は好ましくは15質量%、より好ましく20質量%、上限は好ましくは40質量%、より好ましくは35質量%〔但し、(A)+(B)の合計を100質量%とする。〕の範囲で含む組成物である。
【0030】
プロピレン系重合体(B)の含有量が50質量%を超える組成物は、中空成形性に劣り、得られる中空成形体は衝撃強度に劣る。
本発明のオレフィン系重合体組成物は、好ましくはエチレン系共重合体(A)とプロピレン系重合体(B)のせん断粘度比(ηB/ηA)が≦0.225、より好ましくは≦0.223、さらに好ましくは≦0.220である。
【0031】
エチレン系共重合体(A)とプロピレン系重合体(B)のせん断粘度比(ηB/ηA)が上記範囲を満たすオレフィン系重合体組成物は、中空成形性に優れる。
本発明に係るオレフィン系重合体組成物は、通常、MFR190が0.1~10g/10min、上限は好ましくは8g/10min、より好ましくは5g/10min、下限は好ましくは0.5g/10min、より好ましくは0.8g/10minである。
【0032】
本発明のオレフィン系重合体組成物には、必要に応じてその他の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、脂肪酸金属塩、軟化剤、分散剤、着色剤、顔料紫外線吸収剤、核剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い。
【0033】
本発明に係わる前記エチレン系共重合体(A)もしくは前記プロピレン系重合体(B)は、少なくとも1種以上のバイオマス由来モノマー(エチレン、プロピレン、α-オレフィン)に由来する単位を含んでいてもよい。重合体を構成する同じ種類のモノマーがバイオマス由来モノマーのみでもよいし、バイオマス由来モノマーと化石燃料由来モノマーの両方を含んでもよい。バイオマス由来モノマーとは、菌類、酵母、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来などの、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣を原料としてなるモノマーで、炭素として14C同位体を10-12程度の割合で含有し、ASTM D 6866に準拠して測定したバイオマス炭素濃度(pMC)が100(pMC)程度である。バイオマス由来モノマー(エチレン、プロピレン、α-オレフィン)は、従来から知られている方法により得られる。
【0034】
本発明に係わる前記エチレン系共重合体(A)もしくは前記プロピレン系重合体(B)がバイオマス由来モノマーに由来する単位を含むことは環境負荷低減の観点から好ましい。重合用触媒、重合温度などの重合体製造条件が同等であれば、原料オレフィンがバイオマス由来オレフィンを含んでいても、14C同位体を10-12程度の割合で含む以外の分子構造は化石燃料由来モノマーからなるエチレン系共重合体(A)、プロピレン系重合体(B)と同等である。従って、性能も変わらないとされる。
【0035】
〈オレフィン系重合体組成物の製造方法〉
オレフィン系重合体組成物は、上記各成分をドライブレンド、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサーなどで混合、あるいは混合後、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機などで溶融混練することにより、プロピレン系樹脂組成物が得られる。
【0036】
<成形体>
本発明のオレフィン系重合体組成物は、成形性に優れているので、様々な成形法に使用できる。本発明の成形体の具体例としては、射出成形体、発泡成形体、射出発泡成形体、押出成形体、中空成形体、真空・圧空成形体、カレンダー成形体、延伸フィルム、インフレーションフィルムが挙げられる。特に、中空成形体が好ましい。成形体を製造する場合の成形条件は特に制限されず、公知の条件を採用できる。
【実施例0037】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例および比較例で使用した各重合体等を以下に示す。
実施例および比較例で用いたエチレン系共重合体およびプロピレン系重合体、およびオレフィン系樹脂組成物の物性は、下記記載の測定方法で測定した。
【0038】
(1)メルトフローレート(MFR190)(g/10min)
メルトフローレート(MFR190)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
【0039】
(2)メルトフローレート(MFR230)(g/10min)
メルトフローレート(MFR230)は、JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
【0040】
(3)密度(D)(kg/m3
密度は、JIS K 7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
【0041】
(4)極限粘度(η、dl/g)
測定サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式(Eq-1)に示すように濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位;dl/g)として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0) -------- (Eq-1)
【0042】
(5)せん断速度 (γ1、γ2、 s-1
(株)島津製作所製オートグラフ(AG-500C)を用いて測定した。L=30.0mm、D=1.0mmのキャピラリーを用いて、せん断速度を段階的に変更し、190℃における各せん断速度におけるせん断粘度を求めた。両者の関係を両対数グラフにプロットし、最小二乗法で2次回帰式を求めた。2次回帰式より、せん断粘度が4.0×105Pa・sとなるせん断速度(γ1)とせん断粘度が2.4×106Pa・sとなるせん断速度(γ2)を求めた。
【0043】
(6)せん断粘度(ηA、ηB、Pa・s)
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用いて測定した。L=30.0mm、D=1.0mmのキャピラリーを用いて、せん断速度を段階的に変更し、220℃、せん断速度2432s-1におけるせん断粘度(ηA、ηB)を求めた。
【0044】
(7)曲げ弾性率
実施例および比較例で得られたペレットを、JIS K7151に準拠し、4mm厚のプレスシートを作製した。得られたプレスシートから試験片を作製し、JIS K7161、K7162-1に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
【0045】
(8)引張弾性率
参考例で得られたペレットをJIS K6921に基づき試験片を作製し、JIS K7161、K7162-1に準拠して、引張弾性率を測定した。
【0046】
(9)成形安定性
単層ダイレクトブロー成形機(株式会社タハラ製ブロー成形機 MSE-50E)を使用した。16/16mmφのダイ/コアを用いて、成形温度200℃、吐出量は6.7kg/時間とし、ボトル重量を25gに調整後、25分経過してから600ml丸ボトルを100ショット成形した。
100ショット成形時のボトル最大重量と最小重量の差が
1.0g以下のものを成形安定性:○、
1.1~2.0gのものを成形安定性:△、
2.1g以上のものを成形安定性:×とした。
【0047】
(10)ボトル落下強度
上記方法(9)で成形した丸ボトルを用いてボトル落下強度を求めた。ボトルを満水状態にして氷温に冷却した後、落下試験を実施した。落下試験は、例えば2mの高さから落下させて割れた場合、次のボトルは0.2m下げて落下させ、2mの高さから落下させて割れなかった場合、次のボトルは0.2m上げて落下させた。合計20本落下させて割れなかった高さの加重平均を算出しボトル落下強度とした。
【0048】
〔実施例1〕
プロピレン系重合体(B1)として、(株)プライムポリマー製 商品名プライムポリプロS119とS229Rを50/50%の比率でドライブレンドした後、(株)ジーエム三正製 GM40-28押出機を用い、設定温度150℃、スクリュー回転数80rpmの条件で溶融混練、ストランド状に押し出し、カットしてプロピレン系重合体(B1)のペレットを得た。得られたペレット(B1)とエチレン系共重合体(A1)として(株)プライムポリマー製 商品名 エボリューH SP4505(エチレン・1-ヘキセン共重合体)を用い、A1/B1=70/30(質量%)でドライブレンドしたものを中空成形し、オレフィン系樹脂組成物(C)からなる中空成形体を得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の成形安定性、ボトル落下強度を表1に示す。
【0049】
なお、オレフィン系樹脂組成物(C)の物性は、プロピレン系重合体(B1)とエチレン系重合体(A1)を表1記載の比率でドライブレンドした後、(株)ジーエム三正製 GM40-28押出機を用い、設定温度200℃、スクリュー回転数80rpmの条件で溶融混練、ストランド状に押し出し、カットして得られたペレットを用いて測定した。
【0050】
〔実施例2〕
エチレン系共重合体(A)として、(株)プライムポリマー製 商品名 ネオゼックス 2006H(エチレン・1-ブテン共重合体)を用いた以外は実施例1と同様の方法にて中空成形体およびペレットを得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の物性ならびに成形安定性、ボトル落下強度を表1に示す。
【0051】
〔比較例1〕
エチレン系共重合体として(株)プライムポリマー製 商品名 ハイゼックス 6008Bを用いた以外は実施例1と同様の方法にて中空成形体およびペレットを得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の物性ならびに成形安定性、ボトル落下強度を表1に示す。
【0052】
〔比較例2〕
エチレン系共重合体として(株)プライムポリマー製 商品名 ハイゼックス 5602Bを用いた以外は実施例1と同様の方法にて中空成形体およびペレットを得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の物性ならびに成形安定性、ボトル落下強度を表1に示す。
【0053】
〔比較例3〕
エチレン系共重合体として(株)プライムポリマー製 商品名 エボリューH SP6505を用いた以外は実施例1と同様の方法にて中空成形体およびペレットを得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の物性ならびに成形安定性を表1に示す。
【0054】
〔比較例4〕
エチレン系共重合体として(株)プライムポリマー製 商品名 エボリューH SP5505を用いた以外は実施例1と同様の方法にて中空成形体およびペレットを得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の物性ならびに成形安定性を表1に示す。
【0055】
〔参考例1〕
プロピレン系重合体(B2)として(株)プライムポリマー製 商品名プライムポリプロB511QAを用いて、プロピレン系重合体(B1)をB2/B1=70/30質量%でドライブレンドしたものをブロー成形し、オレフィン系樹脂組成物(C)からなる中空成形体を得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の成形安定性、ボトル落下強度を表1に示す。
【0056】
なお、オレフィン系樹脂組成物(C)の物性は、プロピレン系重合体(B1)とプロピレン系重合体(B1)を表1記載の比率でドライブレンドした後、(株)ジーエム三正製 GM40-28押出機を用い、設定温度200℃、スクリュー回転数80rpmの条件で溶融混練、ストランド状に押し出し、カットして得られたペレットを用いて測定した。
【0057】
〔参考例2〕
プロピレン系重合体(B3)として(株)プライムポリマー製 商品名プライムポリプロB241を用いて、プロピレン系重合体(B1)をB3/B1=70/30質量%でドライブレンドした以外は参考例1と同様の方法にて中空成形体およびペレットを得た。得られたオレフィン系樹脂組成物(C)の物性ならびに成形安定性、ボトル落下強度を表1に示す。
【0058】
【表1】