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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142808
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ホバータッチセンサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220926BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 412
G06F3/044 128
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043006
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】中家 勇人
(57)【要約】
【課題】空中検知面で感度よくタッチ入力することができる、ホバータッチセンサを提供する。
【解決手段】ホバータッチセンサは、空中検知面の任意の点の静電容量変化を検知するホバータッチセンサであって、画像を表示する表示部と、表示部の上に配置され、上方にある空中検知面に画像を結像するマイクロレンズアレイと、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置された、空中検知面に電界を発生させる駆動電極及び検出電極とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中検知面の任意の点の静電容量変化を検知するホバータッチセンサであって、
画像を表示する表示部と、
前記表示部の上に配置され、上方にある前記空中検知面に前記画像を結像するマイクロレンズアレイと、
鉛直方向に所定の間隔を空けて配置された、前記空中検知面に電界を発生させる駆動電極および検出電極とを備えた、ホバータッチセンサ。
【請求項2】
前記駆動電極および前記検出電極は、一方が前記マイクロレンズアレイの上に配置され、他方が前記マイクロレンズアレイの下に配置された、請求項1記載のホバータッチセンサ。
【請求項3】
前記駆動電極は第1フィルムに形成され、前記検出電極は第2フィルムに形成され、
前記第1フィルムと前記第2フィルムの一方が、前記マイクロレンズアレイの上に貼り合わされ、他方が前記マイクロレンズアレイの下に貼り合わされた、請求項1又は2に記載のホバータッチセンサ。
【請求項4】
前記駆動電極は第1フィルムに形成され、前記検出電極は第2フィルムに形成され、
前記第1フィルムと前記第2フィルムの一方が、前記マイクロレンズアレイの上に貼り合わされ、他方が前記表示部の上に貼り合わされた、請求項1又は2に記載のホバータッチセンサ。
【請求項5】
前記検出電極は、前記駆動電極より上側に配置された、請求項1から4のいずれかに記載のホバータッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホバータッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイなどの表示部による画像を、空中に表示し、それを使用者が操作することができるホバータッチセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。図9を参照して、このようなホバータッチセンサ100は、画像を表示する表示部200と、表示部200の上に配置され、上方にある空中検知面500にその画像を結像するマイクロレンズアレイ300と、マイクロレンズアレイ300の上方に配置された静電容量式タッチセンサ400とを備えている。
【0003】
マイクロレンズアレイ300は、微小凸レンズが2次元状に配列されたマイクロレンズアレイを2枚重ねたものである。静電容量式タッチセンサ400は、基板401の表面に電極402が形成されたものである。電極402が基板401の片面に形成されているため、静電容量式タッチセンサ400は、微弱な電界を外部に放出している。このようなホバータッチセンサ100では、使用者が空中検知面500に結像された画像に触ることで空中検知面500の静電容量が変化し、静電容量式タッチセンサ400が反応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表特許第2016/103520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のホバータッチセンサでは、タッチセンサから空中検知面の方に向かって放出される電界が微弱であるため、空中検知面まで電界が届かず、感度よくタッチ入力することができないことがあった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、空中検知面で感度よくタッチ入力することができる、ホバータッチセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、空中検知面の任意の点の静電容量変化を検知するホバータッチセンサであって、画像を表示する表示部と、表示部の上に配置され、上方にある空中検知面に画像を結像するマイクロレンズアレイと、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置された、空中検知面に電界を発生させる駆動電極及び検出電極とを備えた、ホバータッチセンサである。
【0008】
このように構成すると、駆動電極及び検出電極が鉛直方向に離れて配置されることにより、空中検知面における電界強度が強くなるため、空中検知面で感度よくタッチ入力することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、駆動電極及び検出電極は、一方がマイクロレンズアレイの上に配置され、他方がマイクロレンズアレイの下に配置された、ホバータッチセンサである。
【0010】
このように構成すると、マイクロレンズアレイが、駆動電極及び検出電極の間に配置される。つまり、マイクロレンズアレイの厚みが、駆動電極と検出電極との所定の間隔に吸収されるため、マイクロレンズアレイの厚み分だけ、ホバータッチセンサを薄くすることができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成において、駆動電極は第1フィルムに形成され、検出電極は第2フィルムに形成され、第1フィルムと第2フィルムの一方が、マイクロレンズアレイの上に貼り合わされ、他方がマイクロレンズアレイの下に貼り合わされた、ホバータッチセンサである。
【0012】
このように構成すると、所定の間隔が、マイクロレンズアレイの厚みに依存するため、所定の間隔が一定となり、品質が安定する。
【0013】
第4の発明は、第1又は第2の発明の構成において、駆動電極は第1フィルムに形成され、検出電極は第2フィルムに形成され、第1フィルムと第2フィルムの一方が、マイクロレンズアレイの上に貼り合わされ、他方が表示部の上に貼り合わされた、ホバータッチセンサである。
【0014】
このように構成すると、所定の間隔が、マイクロレンズアレイと表示部の位置に依存するため、所定の間隔が一定となり、品質が安定する。
【0015】
第5の発明は、第1から第4の発明の構成のいずれかにおいて、検出電極は、駆動電極より上側に配置された、ホバータッチセンサである。
【0016】
このように構成すると、検出電極が上側にあることで、上方(空中検知面側)に発生する電界が大きくなるため、所定の間隔が同じでも、駆動電極が上側にあるときと比べて、検出感度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のホバータッチセンサは、空中検知面で感度よくタッチ入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)ホバータッチセンサの第1実施形態を示す模式的な断面図。(b)静電容量式タッチセンサの変形例を示す模式的な断面図。
図2】ホバータッチセンサの第1実施形態を示す模式的な斜視図。
図3】ホバータッチセンサの第2実施形態を示す模式的な断面図。
図4】ホバータッチセンサの第2実施形態を示す模式的な斜視図。
図5】第1及び第2実施形態の作用効果を説明する模式的な断面図。
図6】ホバータッチセンサの別の例を示す模式的な断面図。
図7】ホバータッチセンサの別の例を示す模式的な断面図。
図8】ホバータッチセンサの別の例を示す模式的な断面図。
図9】従来のホバータッチセンサの一例を示す模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1(a)及び図2を参照して、第1実施形態のホバータッチセンサ1は、表示部2と、マイクロレンズアレイ3と、静電容量式タッチセンサ4とを備えている。表示部2は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより構成し、画像を表示する。図1及び図2において、Z軸の正の方向を「上方」、負の方向を「下方」とする。
【0020】
マイクロレンズアレイ3は、表示部2から上方に所定距離だけ離れた位置に設置される。マイクロレンズアレイ3は、片面に微細な凸レンズが2次元状に配列されたマイクロレンズアレイが、レンズ形成面を外向きにして2枚貼り合わされたものである。換言すれば、マイクロレンズアレイ3の上面3a及び下面3bに、微細な凸レンズが形成されている。
マイクロレンズアレイ3は、表示部2に表示された画像を、ホバータッチセンサ1の上方の空中検知面5に結像する。ホバータッチセンサ1の使用者は、表示部2に表示された画像を、ホバータッチセンサ1の上方に浮いた空中画像として認識することができる。
【0021】
図1(a)を参照して、マイクロレンズアレイ3の貼合面3cと空中検知面5との間の距離H1、及びマイクロレンズアレイ3の貼合面3cと表示部2の上面2aとの間の距離H2は、マイクロレンズアレイ3の焦点距離に応じて決まり、例えばそれぞれ30mm以上50mm以下とすることができる。
【0022】
静電容量式タッチセンサ4は、検出電極フィルム41と駆動電極フィルム42とを含んで構成された、投影型の静電容量式タッチセンサ4である。検出電極フィルム41は、フィルム412上に検出電極411が形成されたものである。図2を参照して、検出電極411は、Y軸方向に延びており、X軸方向に間隔を空けて複数形成されている。駆動電極フィルム42は、フィルム422上に駆動電極421が形成されたものである。駆動電極421は、検出電極411に直交する方向(X軸方向)に延びており、Y軸方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0023】
図1(a)を参照して、検出電極フィルム41は、粘着剤層43を介してマイクロレンズアレイ3の上面3aに貼り合わされており、駆動電極フィルム42は、粘着剤層43を介してマイクロレンズアレイ3の下面3bに貼り合わされている。つまり、検出電極411と駆動電極421は、鉛直方向に間隔を空けて配置されている。ホバータッチセンサ1には、駆動電極421から検出電極411の方へ向かって電界が発生する。
検出電極411と駆動電極421との鉛直方向の間隔は、例えば1mm以上10mm以下である。
【0024】
検出電極411及び駆動電極421は、実質的に透明な材料からなる。そのような材料としては、例えば、金属酸化物、透明導電性ポリマー又は透明導電インキである。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)及び酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。透明導電性ポリマーとしては、例えば、PEDOT/PSS(poly-3,4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスルフォン酸)が挙げられる。また、透明導電インキとしては、例えば、カーボンナノチューブ又は銀ナノファイバーをバインダー中に含むものが挙げられる。
粘着剤層43には、例えば、光学透明粘着剤(OCA)や光学透明樹脂(OCR)などを用いることができる。
【0025】
第1実施形態の作用効果について、図1(a)、図5及び図9を参照して説明する。図5において、A1,B1,C1はそれぞれ第1実施形態のホバータッチセンサにおける検出位置を示し、A0,B0,C0は従来のホバータッチセンサにおける検出位置を示している。図5を参照して、ここでは、マイクロレンズアレイによって結像された画像が空中検知面5に表示されており、その高さが同じとして、第1実施形態と従来とを比較説明する。
従来のホバータッチセンサ100は、基板401の片面に電極402が形成されているため、生じる電界が微弱であり、電界の電気力線が静電容量式タッチセンサ400の上方に放出される距離は短い。そのため、図5に示すように、A0及びB0の位置に使用者の指先が到達しても、空中検知面5に表示された画像、例えば操作アイコンを、決定状態(例えばアイコンの色が変化する)にできず、C0の位置に到達したときに初めて操作アイコンを決定状態にでき、アイコンの機能に応じた操作をすることができる。つまり、従来のホバータッチセンサ100では、空中検知面5に表示された画像よりかなり下方のC0の位置まで指先が到達しないと、操作をすることができないということになる。つまり、従来のホバータッチセンサは、空中検知面5が第1実施形態の位置よりも低い位置にあることになる。
【0026】
これに対して、図1(a)を参照して、第1実施形態のホバータッチセンサ1では、電界は、検出電極411どうしの間から、上方へ向かって放出される。放出された電界が使用者の指先などで遮られることで、静電容量式タッチセンサ4は使用者による操作を検出することができる。
図5の実線で示された指先A1,B1,C1について説明する。第1実施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極411と駆動電極421とが、鉛直方向に間隔を空けて配置されている。具体的には、電極間の間隔は、マイクロレンズアレイ3の厚み分だけ空いている。そのため、電極が基板の片面にのみ形成された、従来のホバータッチセンサよりも、電気力線が上方に延び、従来の位置A0,B0,C0よりも上方の位置A1,B1,C1でそれぞれ使用者の操作を検出することができる。つまり、従来よりも検出距離を長くすることができる。
図5を参照して、例えば、指先が空中検知面5と同じ位置であるB1の位置に到達したときに操作アイコンを決定状態にするよう構成すれば、使用者は空中に浮いている画像を触って操作しているという感覚を得ることができる。また、例えば、使用者の指先が空中検知面5よりも上方の位置A1に到達したとき、操作アイコンを選択状態(例えばアイコンが点滅)とし、空中検知面5より少し下方の位置C1に到達したとき、操作アイコンを決定状態にすることもできる。
【0027】
ここで、検出電極411と駆動電極421との間は所定の間隔を空けているところ、2つの電極の上又は下にマイクロレンズアレイ3を配置すると、その厚み分、装置全体が厚くなってしまう。一方、第1実施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極411と駆動電極421との間にマイクロレンズアレイ3を配置しているので、マイクロレンズアレイ3の厚みが電極間に吸収され、マイクロレンズアレイ3の厚み分だけ、ホバータッチセンサ1を薄くすることができる。
【0028】
また、第1実施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極411と駆動電極421とがそれぞれフィルム412,422に形成され、電極フィルム41,42としてマイクロレンズアレイ3に貼り合わされているため、2つの電極の鉛直方向の間隔は、マイクロレンズアレイ3の厚みに依存する。換言すれば、マイクロレンズアレイ3の厚みが決まれば、電極間の間隔も決まるため、電極間の間隔が一定となり、品質が安定する。また、電極フィルム41,42をマイクロレンズアレイ3に貼り合わせればよいため、ホバータッチセンサ1を容易に製造できる。
【0029】
また、電極間には電界が生じ、電気力線が駆動電極421から検出電極411へ向かって延びるところ、駆動電極421が検出電極411より上側にあると、電気力線は下方に向かって延びるため、マイクロレンズアレイ3の上方の電気力線の本数が少なくなる。一方、第1実施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極411が駆動電極421より上側に配置されていることにより、電気力線は上方に向かって延びるため、マイクロレンズアレイ3の上方(空中検知面5側)に放出される電気力線の本数が多くなり、駆動電極421が検出電極411より上側にあるときと比べて、検出感度が向上する。換言すれば、電気力線の本数は電界の強さに比例するため、検出電極411が駆動電極421より上側に配置されると、マイクロレンズアレイ3の上方に発生する電界の強さが大きくなり、空中検知面5で感度よくタッチ入力することができる。
【0030】
(第2実施形態)
第2実施形態のホバータッチセンサ7は、駆動電極フィルム42が表示部2に貼り合わされている点で、第1実施形態とは異なる。なお、第1実施形態と同じ構成要素については、説明を省略する。
図3及び図4を参照して、検出電極フィルム41はマイクロレンズアレイ3の上面3aに貼り合わされており、駆動電極フィルム42は表示部2の上面2aに貼り合わされている。検出電極フィルム41と駆動電極フィルム42とで、投影型の静電容量式タッチセンサ4を構成している。このように、検出電極411及び駆動電極421は、鉛直方向に間隔を空けて配置されている。検出電極411と駆動電極421の鉛直方向の間隔は、例えば30mm以上50mm以下である。
【0031】
第2実施形態の作用効果について、図3図5及び図9を参照して説明する。図5において、A2,B2,C2は、それぞれ第2実施形態のホバータッチセンサにおける検出位置を示している。図5を参照して、ここでは、マイクロレンズアレイによって結像された画像が空中検知面5に表示されており、その高さが同じとして、第2実施形態と従来とを比較説明する。従来のホバータッチセンサの作用効果については、第1実施形態で説明した内容と同様である。
【0032】
図3を参照して、第2実施形態のホバータッチセンサ7には、駆動電極421から検出電極411の方へ向かって電界が発生する。電界は、検出電極411どうしの間から、上方へ向かって放出される。放出された電界が使用者の指先などで遮られることで、静電容量式タッチセンサ4は使用者による操作を検出することができる。
図5の二点鎖線で示された指先A2,B2,C2について説明する。第2実施形態のホバータッチセンサ7は、検出電極411と駆動電極421との間隔が、第1実施形態よりも大きい。具体的には、マイクロレンズアレイ3と表示部2との間の空気層の厚み分だけ、第1実施形態よりも大きい。そのため、電気力線は第1実施形態よりも上方に延び、第1実施形態の位置A1,B1,C1よりも上方の位置A2,B2,C2でそれぞれ使用者の操作を検出することができる。つまり、第1実施形態よりも検出距離を長くすることができる。
【0033】
図5を参照して、例えば、指先が空中検知面5と同じ位置であるC2の位置に到達したときに操作アイコンを決定状態にするよう構成すれば、使用者は空中に浮いている画像を触って操作しているという感覚を得ることができる。また、第2実施形態では第1実施形態よりも検出距離が長いため、例えば、使用者の指先が空中検知面5よりも少し上方の位置B2に到達したときに、操作アイコンを決定状態にすることができ、第1実施形態の位置A1よりも上方の位置A2に到達したときに操作アイコンを選択状態とすることができる。あるいは、第1実施形態よりも検出距離が長いため、空中検知面5の位置を図5に示す位置よりも上げ、その位置に画像を結像することもできる。
【0034】
ここで、電極間は所定の間隔を空けているところ、その間隔は第1実施形態よりも大きいため、2つの電極の上にマイクロレンズアレイ3を配置すると、その厚み分、第1実施形態よりもさらに装置全体が厚くなってしまう。一方、第2実施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極411と駆動電極421との間にマイクロレンズアレイ3を配置しているので、マイクロレンズアレイ3の厚みが電極間に吸収され、マイクロレンズアレイ3の厚み分だけ、ホバータッチセンサ1を薄くすることができる。換言すれば、電極間の間隔が第1実施形態よりも大きいことによる、検出距離の向上という効果を奏しつつ、第1実施形態よりも装置が大型化することを防ぐことができる。
【0035】
また、第2施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極フィルム41がマイクロレンズアレイ3に、駆動電極フィルム42が表示部2にそれぞれ貼り合わされているため、マイクロレンズアレイ3と表示部2の位置が2つの電極の鉛直方向の間隔となる。マイクロレンズアレイ3と表示部2の位置が決まれば、電極間の間隔も決まるため、電極間の間隔が一定となり、品質が安定する。また、検出電極フィルム41をマイクロレンズアレイ3に貼り合わせ、駆動電極フィルム42を表示部2に貼り合わせればよいため、ホバータッチセンサ1を容易に製造できる。
【0036】
また、電極間には電界が生じ、電気力線は駆動電極421から検出電極411へ向かって延びる。駆動電極フィルム42がマイクロレンズアレイ3の上面3aに貼り合わされ、検出電極フィルム41が表示部2に貼り合わされていると、電気力線は下方に向かって延び、マイクロレンズアレイ3の上方の電気力線の本数が少なくなる。
一方、第2実施形態のホバータッチセンサ1は、検出電極411が駆動電極421より上側に配置されていることにより、電気力線は上方に向かって延びるため、マイクロレンズアレイ3の上方(空中検知面5側)に放出される電気力線の本数が多くなり、駆動電極421が検出電極411より上側にあるときと比べて、検出感度が向上する。換言すれば、電気力線の本数は電界の強さに比例するため、検出電極411が駆動電極421より上側に配置されると、マイクロレンズアレイ3の上方に発生する電界の強さが大きくなり、空中検知面5で感度よくタッチ入力することができる。また、第2実施形態の電極間の間隔は第1実施形態よりも大きいため、マイクロレンズアレイ3の上方に放出される電気力線の本数が第1実施形態よりも多くなり、第1実施形態と比べて、検出感度が向上する。つまり、第1実施形態よりも感度よく、空中検知面5でタッチ入力することができる。
【0037】
(変形例1)
図6を参照して、ホバータッチセンサ8は、検出電極フィルム41がマイクロレンズアレイ3の下面3bに貼り合わされ、駆動電極フィルム42が表示部2の上面2aに貼り合わされたものであってもよい。このようなホバータッチセンサ8では、検出電極411がマイクロレンズアレイ3の下面3bにあるため、使用者から電極パターンが見えにくい。
【0038】
(変形例2)
図7を参照して、ホバータッチセンサ9は、駆動電極421が表示部2の内部に組み込まれ、検出電極フィルム41がマイクロレンズアレイ3の下面3bに貼り合わされたものであってもよい。
駆動電極421は、例えば表示部2が液晶ディスプレイであって、液晶ディスプレイのTFT基板上の電極を、駆動電極421と共用することができる。このようにすると、配線を追加する必要がなく、狭額縁化が可能となる。また、駆動電極421は、液晶ディスプレイの最上部にある偏光板の下に配置されたガラス基板に形成してもよい。
また、駆動電極421が表示部2の内部に形成されていることにより、例えば図6のホバータッチセンサ8と比べると、電極間の間隔は大きくなるため、検出距離が長くなる。また、表示部2に駆動電極フィルム42を貼り合わせた場合と比べると、フィルム422の分だけ厚みが小さくなる。
【0039】
(変形例3)
図8を参照して、ホバータッチセンサ10は、マイクロレンズアレイ3と表示部2との間に、低屈折率層6を有してもよい。低屈折率層6は、マイクロレンズアレイ3と表示部2との間を全て満たしている。低屈折率層6は、屈折率が低く、誘電率も低い層である。低屈折率層6の材料としては、例えばフッ素系樹脂を用いることができる。
低屈折率層6があることにより、表示部2から発せられた光が、表示部2と低屈折率層6との界面、及び低屈折率層6と駆動電極フィルム42との界面で反射されにくくなる。そのため、低屈折率層6がない場合と比べて、表示部2から発せられた光がマイクロレンズアレイ3に届きやすくなる。換言すれば、表示部2から発せられた光が、マイクロレンズアレイ3によって集光されやすくなり、空中検知面5に表示される画像の鮮明度が向上する。
また、低屈折率層6がない場合、つまりマイクロレンズアレイ3と表示部2との間に空気層が存在する場合には、空気層に含まれる水蒸気が凝縮し、内部結露が生じるおそれがある。一方、図8に示すように低屈折率層6があると、空気層がないことにより、内部結露が起きにくくなる。
また、低屈折率層6があることにより、ホバータッチセンサ10の物理的強度が向上する。低屈折率層6は誘電率が低いため、絶縁層としても機能する。
【0040】
なお、上記した実施形態及び変形例では、電極フィルム41,42を構成するフィルム412,422がマイクロレンズアレイ3に貼り合わされているが、同様の効果を奏すれば、電極411,421がマイクロレンズアレイ3に向けて貼り合わされていてもよい。例えば、図1(b)に示すように、検出電極411がマイクロレンズアレイ3の上面3aに向けて、駆動電極421がマイクロレンズアレイ3の下面3bに向けて、それぞれ貼り合わされていてもよい。また、電極411,421のいずれかがマイクロレンズアレイ3に向けて貼り合わされていてもよい。
【0041】
また、上記した実施形態及び変形例において、ホバータッチセンサは、最上部に加飾パネルを備えてもよい。マイクロレンズアレイ3は、両面に微細な凸レンズが2次元状に配列された、1枚のマイクロレンズアレイであってもよい。
【0042】
更に、図8において、低屈折率層6がマイクロレンズアレイ3と表示部2との間を全て満たしているが、空中検知面5に表示される画像の鮮明度に影響を及ぼさなければ、マイクロレンズアレイ3と表示部2との間に、空気層や他の層があってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のホバータッチセンサは、例えば、タブレット端末、携帯電話、腕時計型端末、パーソナルコンピュータ、音楽プレイヤ、固定電話機、ウェアラブル装置、券売機、現金自動払い出し機(ATM)、デジタルサイネージなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1,7,8,9,10:ホバータッチセンサ
2 :表示部
2a :上面
3 :マイクロレンズアレイ
3a :上面
3b :下面
3c :貼合面
4 :静電容量式タッチセンサ
41 :検出電極フィルム
411 :検出電極
412 :フィルム
42 :駆動電極フィルム
421 :駆動電極
422 :フィルム
43 :粘着剤層
5 :空中検知面
6 :低屈折率層
100 :ホバータッチセンサ
200 :表示部
300 :マイクロレンズアレイ
400 :静電容量式タッチセンサ
401 :基板
402 :電極
500 :空中検知面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9