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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142831
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】浴室用泡供給装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 5/16 20060101AFI20220926BHJP
   E03C 1/046 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A47K5/16
E03C1/046
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043052
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝俊
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BC30
2D060CC20
(57)【要約】
【課題】コンプレッサの振動が外部へ伝わるのを抑制できる浴室用泡供給装置を提供する。
【解決手段】浴室用泡供給装置1は、ケース10、流路20、及びコンプレッサ30を備えている。ケース10は、水流入口10Aと泡流出口10Bとが形成されている。流路20は、水流入口10Aと泡流出口10Bとを連結する。コンプレッサ30は、ケース10の左右方向の中央部に内蔵され、流路20に圧縮空気を送り込む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流入口と泡流出口とが形成されたケースと、
前記水流入口と前記泡流出口とを連結する流路と、
前記ケースの左右方向の中央部に内蔵され、前記流路に圧縮空気を送り込むコンプレッサと、
を備えている浴室用泡供給装置。
【請求項2】
前記コンプレッサは前記ケースの上下方向の中央部に内蔵されている請求項1に記載の浴室用泡供給装置。
【請求項3】
前記コンプレッサよりも上側であって、前記ケースの上部に内蔵されており、貯留した液体洗浄剤を前記流路に供給するタンクを備えている請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の浴室用泡供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴室用泡供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の泡供給装置を開示している。この泡供給装置は、筐体を備えている。筐体は、水供給口及び吐出口を形成している。筐体の内部には、水供給口と吐出口とを連結する流路が設けられている。この泡供給装置は、水供給口から筐体内部に水を流入させ、内部の流路を流通させる過程で水から泡を生成し、吐出口から吐出する。この泡供給装置では、泡を生成するために圧縮空気が用いられる。圧縮空気は、コンプレッサ等の圧縮気体供給部から供給される。コンプレッサ等の圧縮気体供給部は、筐体の外部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-198641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室用泡供給装置では、圧縮空気を生成するためのコンプレッサを筐体に内蔵したいという要望がある。しかしながら、コンプレッサは、駆動時に振動が生じるため、この振動が外部に伝わると、使用者が不快に感じてしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、コンプレッサの振動が外部へ伝わるのを抑制できる浴室用泡供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る浴室用泡供給装置は、水流入口と泡流出口とが形成されたケースと、前記水流入口と前記泡流出口とを連結する流路と、前記ケースの左右方向の中央部に内蔵され、前記流路に圧縮空気を送り込むコンプレッサと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る浴室用泡供給装置を模式的に示す図である。
図2】実施形態に係る浴室用泡供給装置を示す正面図である。
図3】実施形態に係る浴室用泡供給装置を示す右側面図である。
図4】実施形態に係る浴室用泡供給装置を示す平面図である。
図5】実施形態に係る浴室用泡供給装置を示す底面図である。
図6】実施形態に係る浴室用泡供給装置を示す背面図である。
図7図2におけるVII-VII線断面図である。
図8】実施形態に係る流路及びベースプレートを示す斜視図である。
図9】実施形態に係るバッテリーユニット及び第2蓋部材を示す斜視図である。
図10図7における領域Xを拡大した図である。
図11】実施形態に係るタンクを示す左側断面図である。
図12】実施形態に係る操作部及びベースプレートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1から図7に示す浴室用泡供給装置1(以下、単に泡供給装置1ともいう)は、流入した水を泡状にして流出する装置である。浴室用泡供給装置1は、浴室内に設置される。泡供給装置1は、浴室の壁面Wに着脱自在に取り付けられる。
【0009】
以下の説明において、前後方向は、泡供給装置1が壁面Wに取り付けられた状態において、壁面Wの正面方向を前方、その反対方向を後方と定義する。上下方向及び左右方向は、壁面Wに取り付けられた状態で壁面Wの正面から見た泡供給装置1の方向をそのまま上下方向及び左右方向とする。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向をそれぞれ前方、左方、及び上方とする。
【0010】
図1に示すように、泡供給装置1は、ケース10、流路20、コンプレッサ30、バッテリーユニット40、タンク50、制御部60、及び操作部70を備えている。泡供給装置1は、ケース10の内側空間に、流路20、コンプレッサ30、バッテリーユニット40、タンク50、及び制御部60のそれぞれを収納している。操作部70は、ケース10に回転自在に支持されている。操作部70は、使用者に回転操作されることによって、後述する三方弁22の切り替え操作をする。
【0011】
ケース10は、水流入口10Aと泡流出口10Bとを形成している。流路20は、水流入口10Aと泡流出口10Bを連結する。コンプレッサ30は、ケース10に内蔵され、流路20に圧縮空気を送り込む。バッテリーユニット40は、ケース10に内蔵され、コンプレッサ30に電力を供給する。タンク50は、ケース10に内蔵され、液体洗浄剤を貯留する。制御部60は、ケース10に内蔵され、コンプレッサ30の運転制御を実行する。
【0012】
図2から図7に示すように、ケース10は、上面10Cから前面10Dを経て下面10Eにかけて、及び前面10Dから左右の側面10Fにかけて、全体として外側方向に丸みを帯びて膨らんでいる。ケース10の後面10Gは平坦な面をなしている。ケース10は、正面視において、上下方向を長手方向とする長方形状をなしている。ケース10は、フロントカバー11、ベースプレート12、及びインナーカバー13を有している。
【0013】
フロントカバー11は、上下面、左右面、及び前面が曲面状に連続する表面を有する立体形状をなしている。フロントカバー11の上面はケース10における上面10Cを構成する。フロントカバー11の下面はケース10における下面10Eを構成する。フロントカバー11の左右の側面は、ケース10における左右の側面10Fを構成する。フロントカバー11の前面はケース10における前面10Dを構成する。フロントカバー11の後面は開放されている。ベースプレート12はフロントカバー11の後面開口を閉塞する平板状をなしている。ケース10は、ベースプレート12の後面を壁面Wに対向させて壁面Wに取り付けられる。
【0014】
フロントカバー11の前面、すなわちケース10の前面10Dには第1開口11Aが形成されている(図2図3参照)。第1開口11Aは、ケース10の内部にバッテリーユニット40を出し入れするための開口である。第1開口11Aは、フロントカバー11の上下方向の中心よりも下側において前方に開口している。第1開口11Aには第1蓋部材14が着脱自在に嵌められている。
【0015】
第1開口11Aは、正面視において、左右方向を長手方向とする長方形状をなしている(図2参照)。第1開口11Aにおいて、長方形の各辺に相当する外形部分は、外側方向に膨らむ丸みを帯びている。第1開口11Aの上側縁部は、左右方向の中央部が最も上方に位置し、左右方向外側に向かうにつれてなだらかに下方に傾斜している。
【0016】
第1開口11Aの周縁部には凸部11Bが設けられている。凸部11Bは、第1開口11Aの周縁部に沿って外側方向、すなわち前方に突出した形態である。フロントカバー11の表面から凸部11Bの先端までの高さ、すなわち凸部11Bの突出高さは、第1開口11Aの全周に亘って同等である。したがって、凸部11Bの突出端面の面形状は、環状であって、曲面形状をなすフロントカバー11の表面に沿った曲面形状をなしている。第1開口11Aの上側縁部は、下側縁部よりも前方に位置している(図6参照)。
【0017】
フロントカバー11は、上端から第1開口11Aの上側までの部分にかけて、下方に向けて前方(正面の方向)に傾斜している(図3参照)。フロントカバー11は、左右中央部から左右方向外側に向けて、後方(正面とは反対の背面方向)に傾斜している(図4参照)。したがって、フロントカバー11の表面に付着した水は、表面を伝って落下する際、左右中央部に形成された第1開口11Aを避けるように、左右方向外側への流下を促される。
【0018】
フロントカバー11は上部開口11C、下部開口11D、及び側部開口11Eを形成している。上部開口11Cは、フロントカバー11の上面、すなわちケース10の上面10Cに形成されている(図4参照)。上部開口11Cは平面視台形状をなしている。上部開口11Cの後端は後方に開放されている。上部開口11Cには上蓋部材15が着脱自在に嵌められている。上蓋部材15は、タンク50における後述する洗浄剤補充部51を覆う。上蓋部材15は、フロントカバー11に嵌め込まれた状態において、フロントカバー11の上面とともにケース10の上面10Cを構成する。
【0019】
下部開口11Dはフロントカバー11の下面に形成されている(図5参照)。下部開口11Dは底面視台形状をなしている。下部開口11Dの後端は後方に開放されている。下部開口11Dには下蓋部材16が着脱自在に嵌められている。下蓋部材16は、水流入口10A及び泡流出口10Bの周囲を覆う。下蓋部材16は一対の貫通孔16A,16Bを形成している。一対の貫通孔16A,16Bは、前後方向に並んで形成されている。一対の貫通孔16A,16Bの開口周縁部は下方に突出している(図2図3参照)。一対の貫通孔16A,16Bには水流入口10A及び泡流出口10Bを形成する管継手F1,F2が貫通する。これら貫通孔16A,16Bの内周面と管継手F1,F2の外周面との間には隙間が形成されている。
【0020】
側部開口11Eは、フロントカバー11の左右の側面にそれぞれ形成されている(図2図3参照)。各側部開口11Eは、後方に開放されたU字状の開口形状をなしている。各側部開口11Eにはサイドカバー17が嵌められている。サイドカバー17には、操作部70における後述するアーム部72の回転軸が貫通している。サイドカバー17は、フロントカバー11を取り外した場合でもベースプレート12側に残る。
【0021】
ケース10において、フロントカバー11の前面上部には残量確認窓11Fが形成されている(図2参照)。残量確認窓11Fは、ケース10内に配置されるタンク50の後述する残量ゲージ53を視認可能に開口している。残量確認窓11Fは、フロントカバー11の左右方向中心において、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されている。
【0022】
ベースプレート12は平板状をなしている(図6図7参照)。ベースプレート12の後面には図示しないマグネットシートが貼り付けられる。ベースプレート12の後面は、ケース10における後面10Gを構成する。ベースプレート12は、泡供給装置1が壁面Wに取り付けられる際には、マグネットシートを介して壁面Wに接触する。
【0023】
ベースプレート12は凹部12A及び切欠き部12Bを有している。凹部12Aは、ベースプレート12の左右方向の中心であって上下方向の中心よりも上側において、前方側に窪んで形成されている。凹部12Aには、壁面Wに取り付けられる落下防止フックFが収まる。凹部12Aには、落下防止フックFに係止される係止部12Cが設けられている。切欠き部12Bは、ベースプレート12の上端部を下方に切欠いて形成されている。切欠き部12Bには、タンク50の後述する開口51Bが露出する。
【0024】
図7に示すように、インナーカバー13は、フロントカバー11とベースプレート12とによって形成される空間内に配置される。インナーカバー13は、ベースプレート12の前面に取り付けられている。インナーカバー13の内部の空間には、コンプレッサ30、バッテリーユニット40、制御部60等の電気部品が配置されている(図1及び図2参照)。
【0025】
インナーカバー13は、後面が開放された箱状をなしている。インナーカバー13とベースプレート12との間の接続は、図示しないシール部材によって水密性が保持されている。インナーカバー13の前面には開口13Aが形成されている。この開口13Aには後述する収納部43が後方から嵌め込まれている。収納部43にはバッテリーユニット40が着脱自在に収納される。収納部43は、フロントカバー11における第1開口11Aに対応して、第1開口11Aの後方に配置されている。
【0026】
図7に示すように、ケース10は、水流入口10A及び泡流出口10Bを形成している。本実施形態の場合、水流入口10A及び泡流出口10Bは、ケース10の下面10Eにおいて下方に開口している。水流入口10A及び泡流出口10Bは、前後に並んで配置されている。水流入口10A及び泡流出口10Bは、それぞれ管継手F1,F2によって形成されている。管継手F1,F2は一体化されており、ベースプレート12の前面下端に固定されている。管継手F1には、給水ホース等、給水源に連通する図示しない流路形成部材が接続される。管継手F2には、先端にシャワーヘッドが取り付けられたシャワーホース等が取り付けられる。
【0027】
図1に示すように、流路20は、ケース10内に形成され、水流入口10Aと泡流出口10Bとを連結している。本実施形態の場合、流路20は、図8に示すように、ホースや管継手等によって形成されている。流路20は、水流入口10Aから流入した水を流通させ、その過程で液体洗浄剤と圧縮空気とを混合して泡を生成し、泡流出口10Bから流出する。液体洗浄剤及び圧縮空気は、流路20の途中において合流する第1連結路50A及び第2連結路30Aからそれぞれ供給される。第1連結路50Aは一端がタンク50に連結されている。第2連結路30Aは、一端がコンプレッサ30に連結されている。
【0028】
流路20には、減圧弁21、三方弁22、流量センサ23、アスピレータ24、及び発泡器25が設けられている。これら減圧弁21、三方弁22、流量センサ23、アスピレータ24、及び発泡器25は、内部に流路20の一部を形成しているといえる。減圧弁21、三方弁22、流量センサ23、アスピレータ24、及び発泡器25は、この順に、流路20の上流側である水流入口10Aから下流端である泡流出口10Bまでの間に配置されている。
【0029】
図8に示すように、流路20は、概略的に分けると、水流入口10Aから三方弁22に至る流路20A、三方弁22からアスピレータ24に至る流路20B、アスピレータ24から発泡器25に至る流路20C、及び発泡器25から泡流出口10Bに至る流路20Dの4つの区間に分割される。
【0030】
減圧弁21は流路20Aに設けられている。本実施形態の場合、減圧弁21は、水流入口10Aを形成する管継手F1と一体に設けられている(図7参照)。減圧弁21は、ケース10の左右方向の中心であってケース10内の空間の下端部に配置されている。減圧弁21は、ベースプレート12の前面に固定されている。減圧弁21は、給水源から導入される水の圧力を所定の大きさに減圧する。これによって、アスピレータ24における水圧が一定に保持され、液体洗浄剤の吸引量が一定に保たれる。
【0031】
図8に示すように、流路20Aは、減圧弁21から右方に延びている。流路20Aは、ケース10右側部において上方に屈曲し、フロントカバー11とインナーカバー13の間を上方に延びている。流路20Aは、ケース10の上下方向中央部よりもやや上寄りの位置において左方に屈曲し、ケース10の前後方向中央部を左方に延びて三方弁22に接続されている。
【0032】
三方弁22は、泡流出口10Bから流出する形態を水及び泡のいずれか一方に切り替える。図3に示すように、三方弁22の3つの流出入口は、上流側の減圧弁21から連なる流路20A、下流側の流量センサ23に至る流路20B、及び発泡器25に直接至るバイパス流路BPにそれぞれ接続されている(図1参照)。三方弁22は、流路20Aと流路20Bとを連通した状態、及び流路20Aとバイパス流路BPとを連通した状態のいずれか一方の状態に切り替え自在である。三方弁22は、ケース10の上下方向の中心よりも上側であって、ケース10の左右方向の中心よりも左側に配置されている。
【0033】
本実施形態の場合、三方弁22は、三方の流出入口と操作軸とが十字状に並んでいる。三方弁22は、上方から見た平面視において、前後左右に十字状をなしている。詳細には、三方弁22には、流路20Aが右方から接続され、流路20Bが後方から接続され、バイパス流路BPが前方から接続されている。三方弁22の操作軸は左方に延びている。三方弁22は、操作軸の操作によって、流路20Aと流路20Bとを連通した状態と、流路20Aとバイパス流路BPとを連通した状態と、の2つの状態に切り替える。流路20Aと流路20Bとを連通した状態では、泡流出口10Bからは泡が流出する。流路20Aとバイパス流路BPとを連通した状態では、泡流出口10Bからは水が流出する。
【0034】
三方弁22は、操作部70における後述する軸受部73に固定されている。軸受部73はベースプレート12の前面に固定されている。したがって、三方弁22は、軸受部73を介してベースプレート12に間接的に固定されているといえる。三方弁22の操作軸には操作部70が接続されている。三方弁22はボール状弁体を用いたいわゆるボールバルブである。三方弁22は、操作軸を回転操作することによってボール状弁体を回転させ、流路の切り替えを行う。
【0035】
三方弁22は、ボール状弁体を用いたことによって、流路の切り替え過程において、流路20Aと、流路20B及びバイパス流路BPの両方と、を連通した状態にすることができる。三方弁22は、流路を完全に閉塞してしまうことなく徐々に切り替える。このため、切り替えに際しても流路20を流通する水の流れが止まることがない。例えば、水流入口10Aから流入する水として給湯器からの湯を用いる場合には、流路の切り替え時に水の流れが止まってしまうと給湯器も止まってしまい、切り替え完了後には加温されていない水が流通してしまう。これに対し、ボール状弁体を用いた三方弁22の場合には、給湯器を止めることなく切り替えを行うことができ、流路20に加温された湯を安定して流通させることができる。
【0036】
流路20Bは、三方弁22から後方に延びている。流路20Bは、ベースプレート12の前方において右方に屈曲し、ベースプレート12の前面に沿って右方に延びている。流路20Bは、ケース10右側部において上方に屈曲し、アスピレータ24の右側端部に接続されている。
【0037】
流量センサ23は流路20Bに設けられている。流量センサ23は、ケース10の左右方向中央部よりも右寄りの位置において、ベースプレート12の前面に固定されている。流量センサ23は、流路20Bを流通する水の流量を検知する。流量センサ23の検知結果は制御部60に送信され、コンプレッサ30の運転制御に利用される。
【0038】
アスピレータ24は、負圧によってタンク50内の液体洗浄剤を吸引する。アスピレータ24は、ベンチュリ効果を利用して負圧を発生させる。アスピレータ24は、三方弁22よりも上方であって前後方向後ろ寄りの位置に配置されている(図7参照)。アスピレータ24は円筒状に形成されている。アスピレータ24は、中心軸を左右方向に沿わせて配置されている。アスピレータ24は、右側端部から左側端部へ向けて流れる流路を形成している。アスピレータ24は、ベースプレート12の前面に固定されている。
【0039】
図8に示すように、アスピレータ24には第1合流部24Aが設けられている。第1合流部24Aには第1連結路50Aが接続されている。第1連結路50Aは、タンク50に連結しており、タンク50内に貯留されている液体洗浄剤を流通する。アスピレータ24は、上流側の流路20Bから流入した水に対して、負圧によって第1合流部24Aから吸引した液体洗浄剤を混合する。アスピレータ24において液体洗浄剤が混合された水は、下流側の流路20Cに流出する。アスピレータ24の下流側端部には逆流防止弁が設けられている。第1連結路50Aの下流側端部には、図示しない絞り及び逆流防止弁が設けられている。
【0040】
図8に示すように、流路20Cは、アスピレータ24の左側端部から左方に延びて前方に屈曲している。流路20Cは、クランク状に屈曲しつつ前方に延び、発泡器25の外周面に接続されている。
【0041】
発泡器25は、水と液体洗浄剤の混合流体に圧縮空気を更に混合し、水、液体洗浄剤、及び圧縮空気の混合流体、すなわち泡を生成する。発泡器25は円筒状に形成され、中心軸を左右方向に沿わせて配置されている。発泡器25は、三方弁22と同等の高さ位置であって、三方弁22及びアスピレータ24よりも前方に配置されている。発泡器25において、流路20Cは左側端部の外周面に接続され、流路20Dは右端面に接続されている。発泡器25の左端面にはバイパス流路BPが接続されている。バイパス流路BPは、樹脂製のL字状管継手によって形成されている。発泡器25は、この管継手によって三方弁22に固定されている。すなわち、発泡器25は、L字状管継手、三方弁22、及び軸受部73を介して、ベースプレート12に固定されている。
【0042】
発泡器25には第2合流部25Aが設けられている。第2合流部25Aには第2連結路30Aが連結されている。第2連結路30Aは、上流端においてコンプレッサ30に連結されている。第2連結路30Aには、コンプレッサ30において生成された圧縮空気が流通する。発泡器25は、第2連結路30Aを流通した圧縮空気が第2合流部25Aから送り込まれる。発泡器25は、第2合流部25Aから送り込まれる圧縮空気を、流路20Cから流入する水と液体洗浄剤の混合流体に混合する。発泡器25は、水と液体洗浄剤と圧縮空気の混合流体を、内部を流通させる過程で撹拌する。発泡器25においてよく混ぜ合わされた水、液体洗浄剤、及び圧縮空気の混合流体は、下流側の流路20Dに流出され、泡流出口10Bから流出する。第2連結路30Aの途中には、図示しない逆流防止弁が設けられている。
【0043】
図8に示すように、流路20Dは、発泡器25の右端部に接続されている。流路20Dは、発泡器25の右端部から下方に屈曲し、流路20Aの前方においてフロントカバー11とインナーカバー13の間を下方に延び、泡流出口10Bに連通している。
【0044】
コンプレッサ30はケース10に内蔵されている(図1図2参照)。コンプレッサ30は、ケース10の左右方向の中央部に配置されている。コンプレッサ30は、ケース10の上下方向においても中央部に配置されている。コンプレッサ30は、ケース10におけるインナーカバー13内の空間に配置されている。コンプレッサ30は、インナーカバー13の上面壁を隔てて、発泡器25の下方に配置されている。コンプレッサ30は、インナーカバー13内における上部に配置される。
【0045】
コンプレッサ30は電気駆動式である。コンプレッサ30を駆動する電力は、コンプレッサ30と同様にインナーカバー13内に配置されたバッテリーユニット40から供給される。コンプレッサ30は、インナーカバー13内に配置された制御部60によって制御される。これらコンプレッサ30と、バッテリーユニット40及び制御部60を接続する電線はインナーカバー13内のみに配索されている。
【0046】
上述のとおり、コンプレッサ30には第2連結路30Aが連結されている。第2連結路30Aは、インナーカバー13内部のコンプレッサ30から、インナーカバー13外部の第2合流部25Aへ、図示しない防水グロメットが嵌め込まれた貫通孔を貫通して延伸している。
【0047】
バッテリーユニット40は、コンプレッサ30の下方に配置されている(図1図2参照)。図9及び図10に示すように、バッテリーユニット40は、電池本体41と、この電池本体41を内部に収納したバッテリーケース42と、を有している。本実施形態の場合、電池本体41は、リチウムイオン電池等の二次電池を採用している。バッテリーケース42は、上下に分割可能であり、内部に収納される電池本体41を交換することができる。
【0048】
バッテリーユニット40は収納部43に収納される。収納部43は、インナーカバー13の内部に配置される(図7参照)。収納部43は、前端部に第2開口43Aを形成した有底の角筒状をなしている。バッテリーユニット40は、収納部43に対して、第2開口43Aから前後方向に出し入れされる。図10に示すように、収納部43の前端部は、インナーカバー13における開口13Aの内周に嵌め込まれるとともに、シール部材を介して開口13Aの周縁後面に水密に取り付けられる。第2開口43Aの奥面には、シール溝43Bが形成されている。シール溝43Bにはシール部材Pが収納されている。
【0049】
第2開口43Aには第2蓋部材44が嵌め込まれる。第2蓋部材44は第2開口43Aを水密状に塞ぐ。図9及び図10に示すように、第2蓋部材44は、筒状部44A及びフランジ部44Bを有している。筒状部44Aは、第2蓋部材44が第2開口43Aを塞ぐ際に、第2開口43Aの内周に嵌め込まれる。筒状部44Aは左右方向を長手方向とする角筒状をなしている。筒状部44Aの先端面44Cは、シール部材Pに接触する。フランジ部44Bは筒状部44Aの前端から外方にフランジ状に拡がっている。フランジ部44Bは、第2蓋部材44が第2開口43Aを塞ぐ際に、第2開口43Aの周縁前面に突き当てられる。
【0050】
図9及び図10に示すように、第2蓋部材44は保持部材45を有している。保持部材45は、第2開口43Aを水密状に塞いだ状態の第2蓋部材44の位置を保持する。保持部材45は、第2蓋部材44におけるフランジ部44Bの前面において、バッテリーユニット40を出し入れする方向に対して交差する方向に摺動自在に取り付けられている。
【0051】
本実施形態の場合、保持部材45は上下一対設けられている。一対の保持部材45は、第2蓋部材44に対して上下方向に摺動自在である。一対の保持部材45は保持部45A及び解除操作部45Bを有している。保持部45Aは、インナーカバー13の開口13Aの周縁前面に設けられた保持爪13Bに係止する。解除操作部45Bは、保持部45Aが保持爪13Bに保持された状態を解除する際に操作される。解除操作部45Bは、保持部材45の前面から前方に突出する板状をなしている。一対の保持部材45において、各解除操作部45Bは、上下方向に対向している。
【0052】
一対の保持部材45のうち、上側の保持部材45は、上側に移動した位置が保持位置であり、下側に移動した位置が保持解除位置である。下側の保持部材45は、下側に移動した位置が保持位置であり、上側に移動した位置が保持解除位置である。一対の保持部材45は、それぞれ弾性部材によって保持位置側に付勢されている。一対の保持部材45を保持解除位置に移動させる際には、弾性部材の弾性力に抗して解除操作部45Bを操作する。具体的には、一対の保持部材45において互いに対向して配置されている各解除操作部45Bを上下方向で摘むように操作する。これによって、一対の保持部材45における各保持部45Aがインナーカバー13側の各保持爪13Bに係止した状態が解除される。各解除操作部45Bを上下方向で摘んだ状態のまま前方に引き出すことで、第2蓋部材44を第2開口43Aから取り外すことができる。
【0053】
図10に示すように、一対の保持部材45は、それぞれが保持位置にある状態において、第1蓋部材14における一対の規制片14Aによって保持解除位置への移動が規制される。一対の規制片14Aは、第1蓋部材14の後面から後方に突出する板状をなしている。一対の規制片14Aは、上下方向において対向している。一対の規制片14Aの間隔は、一対の保持部材45が保持位置にある状態における各解除操作部45Bの間隔よりも狭い。一対の規制片14Aは、第2蓋部材44が第2開口43Aを閉塞し、且つ一対の保持部材45が保持位置にある状態において、第1蓋部材14が第1開口11Aに嵌め込まれた状態では、一対の保持部材45において対向する各解除操作部45Bの間に配置される。したがって、第1蓋部材14を第1開口11Aに嵌め込むことによって、一対の保持部材45のそれぞれが保持解除位置へ不意に移動してしまうのが防止され、第2開口43Aが水密状に塞いだ第2蓋部材44の位置が確実に保持される。
【0054】
本実施形態の場合、第2蓋部材44はバッテリーケース42に取り付けられている。このため、第2蓋部材44は、バッテリーユニット40を収納部43に出し入れする際には、バッテリーユニット40と一体に着脱される。図9及び図10に示すように、第2蓋部材44は複数の係合部44Dを有している。各係合部44Dは、第2蓋部材44におけるフランジ部44Bの後面から後方に突出している。各係合部44Dは、バッテリーケース42側に設けられる係合爪42Aに対してスナップフィットによって係止される。
【0055】
タンク50はケース10内における最上部に配置される(図1及び図2参照)。タンク50は、図11に示すように、上下2分割の部材を組み合わせて形成されている。タンク50の底面は、後部よりも前部が深く形成されている。
【0056】
タンク50は、洗浄剤補充部51、洗浄剤流出部52、及び残量ゲージ53を有している。洗浄剤補充部51は、タンク50の左右中央の後部において上方に延びる筒状に形成されている。洗浄剤補充部51には図示しないストレーナが取り付けられており、液体洗浄剤を補充する際の異物等の混入が防止される。洗浄剤補充部51の周囲には受け面51Aが形成されている。受け面51Aは、後方に向かって下方に傾斜している。受け面51Aは、後端において開口51Bから後方に開放されている。開口51Bは、ケース10内に収納された状態のタンク50において、ベースプレート12の切欠き部12Bから後方に開放されている(図2参照)。
【0057】
洗浄剤流出部52は、タンク50の前部下面から下方に延びる筒状をなしている。洗浄剤流出部52の上端はタンク50の前部底面に開口している。洗浄剤流出部52は、洗浄剤流出部52には第1連結路50Aが連結される。残量ゲージ53は、タンク50の左右中央の前端から前方に突出して設けられている。残量ゲージ53の前端面53Aは、ケース10内に収納された状態のタンク50において、残量確認窓11Fから露出する部分である。残量ゲージ53は、透光性を有する樹脂で形成されており、タンク50内を視認可能である。残量ゲージ53の前端面53Aは、フロントカバー11における残量確認窓11Fが形成された部分の傾斜と同等に傾斜している。タンク50は、その全体が透光性を有する材料で形成された形態であってもよいし、残量ゲージ53の前端部分を含んだ部分のみが部分的に透光性を有する材料で形成された形態であってもよい。
【0058】
制御部60は、制御部60に接続されたコンプレッサ30の動作制御を実行する。制御部60は、例えばコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などのメモリ等を有して電気基板に実装された形態である。制御部60は、ケース10の左右中央部よりも左側に配置されている(図1図2参照)。詳細には、制御部60は、インナーカバー13内であって、コンプレッサ30及びバッテリーユニット40の左側に配置されている。上述のように、流路20は、ケース10における左右中央よりも右側を上下に通っている。このように、制御部60は、流路20から離して配置されている。
【0059】
操作部70は、三方弁22を操作する。図12に示すように、操作部70は、把持部71、アーム部72、及び軸受部73を有している。把持部71及びアーム部72はケース10の外側に配置されている。軸受部73は、ケース10内に配置されている。
【0060】
把持部71は、操作部70の操作時において操作者に把持されることを想定した部分である。把持部71は左右方向に延伸して設けられている。把持部71は、ケース10の左右幅と同等の長さで左右方向に延びている。把持部71は、図12の実線で示すケース10の上面10Cよりも上方の位置と、図12の2点鎖線で示すケース10の前面10Dよりも前方の位置と、の間を往復移動自在である。以下においては、把持部71がケース10の上方にある状態を操作部70の第1位置、把持部71がケース10の前方にある状態を操作部70の第2位置として説明する。操作部70は、第1位置と第2位置との間を往復移動自在である。
【0061】
本実施形態の場合、把持部71は、ケース10を左右方向に通過する回転軸A周りの円弧状の軌跡上を往復移動する。把持部71は、操作部70が第1位置と第2位置との間のいずれの位置にある場合でも、左右方向に延びた姿勢が維持される。把持部71は、操作部70が第1位置にある状態では、上方に凸となる形態で湾曲している。把持部71は、操作部70が第2位置にある状態では、前方に凸となる形態で湾曲している。把持部71は、操作部70が第1位置にある状態において、ケース10の上面10Cよりも上方且つケース10の前面10Dよりも後方に位置する。把持部71は、操作部70が第2位置にある状態においては、ケース10の前面10Dよりも前方且つケース10の上面10Cよりも下方に位置する。
【0062】
アーム部72は一対設けられている。アーム部72は、把持部71が回転軸Aの延びる左右方向に沿って延びているのに対し、回転軸Aに交差する方向に延びている。具体的には、アーム部72は、把持部71に連結されており、把持部71の両端から回転軸Aに交差する方向に延びている。一対のアーム部72は、外側方向に向かって凸となる形態で湾曲している。一対のアーム部72は、回転軸A上において、一対の軸受部73に回転自在に支持されている。詳細には、アーム部72は、サイドカバー17を貫通する図示しない回転軸をケース10内に延伸している。軸受部73はこのアーム部72から延びる回転軸を回転自在に支持している。
【0063】
把持部71とアーム部72との境界部となる接続部分は湾曲している。具体的には、把持部71とアーム部72との境界部は、共に湾曲して形成されている把持部71及びアーム部72の曲率よりも大きな曲率で湾曲している。これによって、把持部71及びアーム部72は、連続するアーチ状に連なって形成されている(図2参照)。操作部70を操作する際には、把持部71を把持するのみならず、把持部71から連なるアーム部72や、把持部71とアーム部72との境界部を把持して操作することも可能である。
【0064】
把持部71及びアーム部72は、ケース10の外周面から間隔を空けてそれぞれ配置されている。その間隔は、平均的な成人が把持部71及びアーム部72を把持した際に、把持した手とケース10の外周面との間に隙間が確保される程度に設定されている。把持部71及びアーム部72は、操作部70が第1位置と第2位置との間を往復移動する間のいずれの位置においても、ケース10の外周面から間隔を空けた状態が維持される。このように、把持部71及びアーム部は、ケース10の外周面から間隔を空けて配置されているためしっかりと握ることができ、操作部70の回転操作が容易である。
【0065】
一対の軸受部73は、ベースプレート12の前面にそれぞれ取り付けられている。一対の軸受部73は、ケース10内において左右に分かれて配置されている。各軸受部73は、ケース10の外側から延びるアーム部72の回転軸をケース10の内側で支持している。一対の軸受部73の一方(図12では、左側の軸受部73)には三方弁22が固定されている。三方弁22の操作軸は、一対のアーム部72の回転軸と連結されている。三方弁22は、操作部70が操作されることによって流路を切り替える。
【0066】
本実施形態の場合、操作部70が第1位置にある状態において、三方弁22は、流路20における流路20Aとバイパス流路BPとを連通した状態とする。これによって、泡供給装置1は、泡流出口10Bから水を流出する。これに対し、操作部70が第2位置にある状態においては、三方弁22は、流路20Aと流路20Bとを連通した状態とする。これによって、泡供給装置1は、泡流出口10Bから泡を流出する。
【0067】
上記構成の浴室用泡供給装置1の設置例について説明する。泡供給装置1は、浴室の壁面Wにマグネットシートの磁力によって取り付けられる。設置に際しては、泡供給装置1を壁面Wのどの位置に取り付けるか、マグネットによって仮付けする。これによって、泡供給装置1の使用に際しての高さ位置や、水流入口10Aに接続する給水ホース、泡流出口10Bに接続するシャワーホース等の取り回しに無理がないか等を確認する。
【0068】
泡供給装置1の取付位置が確定したら、一旦取り外し、その位置に合わせて壁面Wに落下防止フックFを取り付ける。落下防止フックFは、両面テープ等を用いて壁面Wに取り付ける。落下防止フックFに係止部12Cを係止し、マグネットによって壁面Wに泡供給装置1を固定する。このように、泡供給装置1は、従来のように装置本体とコンプレッサとを別々に設置したり、コンプレッサから装置本体に圧縮空気を供給するためのホースを取り回したり等の作業が不要である。泡供給装置1は、コンプレッサ30をケース10に内蔵したことによって、従来と比較して極めて容易に設置することができる。
【0069】
上記構成の浴室用泡供給装置1の作用について説明する。泡供給装置1において、泡流出口10Bから水を流出させる場合には、操作部70が第1位置にある状態にする。上述のように、操作部70の第1位置とは、把持部71がケース10の上面10Cよりも上方にある状態である。この状態で給水源からの水を供給する。すると、水流入口10Aから流路20A内に水が流入する。流路20A内に流入した水は、減圧弁21を経て三方弁22に到達する。このとき、操作部70が第1位置にある状態としていることから、三方弁22は、流路20Aとバイパス流路BPとを連通した状態となっている。したがって、流路20Aから三方弁22に流入した水は、バイパス流路BPを経て発泡器25、流路20Dの順に流通し、そのまま泡流出口10Bから流出する。これによって、水のみのシャワー浴を行うことができる。
【0070】
泡供給装置1から泡を流出させる場合は、操作部70を第1位置から第2位置に移動させる。操作部70の操作に際しては、把持部71を把持して操作するとよい。例えば、操作部70を第1位置から第2位置に移動操作する場合には、ケース10の上面10Cよりも上方に位置する把持部71を把持し、そのまま前方斜め下方に向けて引き下ろす。これによって、把持部71は左右方向に延びた姿勢を維持したまま、ケース10の前面10Dよりも前方の位置に移動する。操作部70は、把持部71及びアーム部72の境界部を湾曲させ、把持部71及びアーム部72を連続的に連結している。したがって、操作部70は、アーム部72やアーム部72と把持部71との境界部を把持して操作部70を操作する場合であっても、好適に操作することが可能である。
【0071】
操作部70が第2位置にある状態では、三方弁22は、流路20Aと流路20Bとを連通した状態となっている。したがって、流路20Aから三方弁22に流入した水は、流路20Bに流入する。すると、流路20Bに配置された流量センサ23によって水の流れが検知される。流量センサ23は、流路20Bに水が流れていることを表す信号を制御部60に送信する。制御部60は、流量センサ23からの信号を受けてコンプレッサ30の駆動制御を実行する。これによって、コンプレッサ30は圧縮空気を生成し、第2合流部25Aから流路20に圧縮空気を送り込む。
【0072】
流路20Bを流通した水はアスピレータ24に流入する。アスピレータ24においては、水の流れによるベンチュリ効果を利用した負圧によって、第1合流部24Aから液体洗浄剤が混合される。液体洗浄剤は、第1連結路50Aを経てタンク50から供給される。アスピレータ24を通過し、流路20Cを流通した水と液体洗浄剤の混合流体は、発泡器25に流入する。発泡器25においては、第2合流部25Aから圧縮空気が混合される。圧縮空気は、第2連結路30Aを経てコンプレッサ30から供給される。発泡器25は、水と液体洗浄剤と圧縮空気の混合流体を撹拌したのち、流路20Dへと流出する。そして、流路20Dを流通した水と液体洗浄剤と圧縮空気の混合流体は、泡流出口10Bから泡として流出する。所望量の泡を流出させたら、操作部70を第1位置に戻して泡の供給を停止するとともに、給水源からの水の供給を停止する。
【0073】
泡供給装置1は、コンプレッサ30をケース10に内蔵したことによって、例えばコンプレッサがケースの外部に設けられている場合とは異なり、ケース10とコンプレッサ30とを別々に設置する必要がない。泡供給装置1は、コンプレッサ30をケース10に内蔵したことによって、圧縮空気を導入するためのホース等をケース10の外部において配索する必要もない。このため、泡供給装置1は設置が容易である。
【0074】
コンプレッサ30は、ケース10における左右中央部に内蔵されているため、駆動時の振動が外部へ伝わるのを抑制するのに好適であるとともに、駆動音の外部への漏洩の抑制も図ることができる。コンプレッサ30は、ケース10内における上下方向においても中央部に内蔵されているため、振動の外部への伝播が更に抑制される。
【0075】
泡供給装置1は、タンク50、第1連結路50A、第2連結路30A、及び発泡器25を備え、これらをケース10に内蔵している。このため、泡供給装置1は、ケース10の外部において液体洗浄剤を供給するための配管や他の流路等を配索する必要がなく、設置が一層容易である。
【0076】
コンプレッサ30は、バッテリーユニット40から供給される電力によって駆動される。このバッテリーユニット40は、コンプレッサ30と同様にケース10に内蔵されているため、コンプレッサ30への電力供給配線をケース10の外部において配索する必要がない。このため、泡供給装置1は、設置が容易である。
【0077】
バッテリーユニット40は二次電池を採用しており、充電して繰り返し使用することができる。充電に際してバッテリーユニット40をケース10内の収納部43から取り出す場合には、まず、フロントカバー11前面の第1開口11Aから第1蓋部材14を取り外す。第1蓋部材14を取り外したことで第2蓋部材44が露出する。この第2蓋部材44の前面の一対の保持部材45における解除操作部45Bを摘み、第2蓋部材44を第2開口43Aから取り外す。第2蓋部材44は、バッテリーユニット40におけるバッテリーケース42と一体化されているため、第2蓋部材44を取り外すことでバッテリーユニット40を一緒に取り出すことができる。
【0078】
バッテリーユニット40の充電完了後は、上記手順と反対に、第2開口43Aから収納部43にバッテリーユニット40を挿入する。バッテリーユニット40を収納部43の奥まで挿入することによって、バッテリーユニット40と一体の第2蓋部材44における筒状部44Aの先端面44Cがシール部材Pに接触する。これによって第2開口43Aが水密状に塞がれる。このとき、第2蓋部材44は、一対の保持部材45によって水密状に塞いだ位置が保持される。最後に、第1蓋部材14を第1開口11Aに嵌め込む。
【0079】
上述のように、バッテリーユニット40は、ケース10に内蔵された収納部43に収納される。収納部43は、前面に開口する第2開口43Aからバッテリーユニット40を出し入れする。第2開口43Aは、第2蓋部材44によって水密状に塞がれる。このため、バッテリーユニット40に対する防水性が高められる。
【0080】
第2蓋部材44は、一対の保持部材45によって第2開口43Aを水密状に塞いだ位置が保持される。このため、収納部43における第2開口43Aの水密性を良好に保持することができ、収納部43内に収納されるバッテリーユニット40に対する防水性を一層向上させることができる。
【0081】
第1開口11Aの周縁部には凸部11Bが形成されており、この凸部11Bは、前方に突出している。このため、ケース10の表面を伝う水が第1開口11Aからケース10内に侵入するのが抑制される。第1開口11Aの上側縁部は、左右方向の中央部が最も上方に位置し、左右方向外側に向かうにつれてなだらかに下方に傾斜しているため、第1開口11Aへの水の侵入が更に抑制される。第1開口11Aの上側縁部は、下側縁部よりも前方に位置しているため、第1開口11Aからケース10内に水が侵入するのが殊更抑制される。
【0082】
第1開口11Aはケース10の前面10Dにおける左右中央部に形成されており、ケース10の前面10Dは、上端から第1開口11Aの上側までが下方に向けて前方に傾斜しており且つ左右中央部から左右方向外側に向けて後方に傾斜している。このため、ケース10の表面を伝って流下する水は、左右中央部に集まり難く、左右方向外側への流下が促される。このため、第1開口11Aからケース10内に水が侵入するのが更に抑制される。
【0083】
上述のように、コンプレッサ30は、ケース10内における上下方向の中央部に内蔵されている。ケース10内において、コンプレッサ30の上方にはタンク50が配置され、コンプレッサ30の下方にはバッテリーユニット40が配置されている。このため、コンプレッサ30の駆動時において、振動が外部へ伝わるのを一層抑制することができる。これに加えて、駆動音の外部への漏洩を更に抑制することができる。コンプレッサ30は、ケース10内のインナーカバー13内に配置されている。このため、駆動音の外部への漏洩が更に抑制される。泡供給装置1では、コンプレッサ30とともにバッテリーユニット40及び制御部60もインナーカバー13内に配置している。このため、コンプレッサ30の駆動に係る電気配線をインナーカバー13内にて完結させる構成を実現することができる。インナーカバー13は、内部の空間を水密状に保持している。このようなインナーカバー13内に配置されることで、コンプレッサ30、バッテリーユニット40、及び制御部60は、防水性の向上が図られている。
【0084】
上述のように、コンプレッサ30は、ケース10内における上下方向の中央部に内蔵されている。ケース10内において、コンプレッサ30の上側にはタンク50が配置されている。このため、コンプレッサ30の振動がケース10の上方に伝播するのが抑制される。コンプレッサ30の下方にはバッテリーユニット40が配置されている。このため、コンプレッサ30の振動がケース10の下方に伝播するのが抑制される。
【0085】
以上のように、実施形態1に係る浴室用泡供給装置1は、ケース10、流路20、及びコンプレッサ30を備えている。ケース10は、水流入口10Aと泡流出口10Bとが形成されている。流路20は、水流入口10Aと泡流出口10Bとを連結する。コンプレッサ30は、ケース10の左右方向の中央部に内蔵され、流路20に圧縮空気を送り込む。この構成によれば、コンプレッサ30をケース10の左右両方の壁面から離して配置することができるので、コンプレッサ30の駆動時の振動がケース10の左右方向の外部へ伝わるのを抑制することができる。
【0086】
泡供給装置1において、コンプレッサ30は、ケース10の上下方向の中央部に内蔵されている。この構成によれば、コンプレッサ30をケース10の上下両方の壁面から離して配置することができるので、コンプレッサ30の駆動時の振動がケース10の上下方向へ伝わるのを抑制することができる。
【0087】
泡供給装置1において、タンク50は、コンプレッサ30よりも上側であって、ケース10の上部に内蔵されている。この構成によれば、タンク50によってコンプレッサ30の駆動時の振動を吸収することができるので、コンプレッサ30の振動のケース10上方への伝播を抑制することができる。
【0088】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0089】
本開示に係る「浴室」とは、浴槽を備えたもののみならず、シャワーブース等のように浴槽を備えないものであってもよい。
【0090】
本開示に係る「水」とは、いわゆる水のみならず、水を加温した湯等を含むものであり、その温度は特に問わない。
【0091】
液体洗浄剤を用いて泡を生成する場合、液体洗浄剤の成分等は特に限定されない。液体洗浄剤としては、例えば、液体石鹸等の洗浄効果を有するもののみならず、トリートメント剤等のスキンケア効果を有するものであってもよい。
【0092】
本開示に係るケースの構成、形状、大きさ等は上記実施形態に限定されない。ケース内における各構成要素の配置も特に問わない。
【0093】
本開示に係る流路の構成、流路を流通する過程における泡の生成形態等は、上記実施形態に限定されない。
【0094】
コンプレッサの種類やコンプレッサによる圧縮空気の生成形態等は、上記実施形態に限定されない。コンプレッサは、に代えて、圧縮空気を貯留するタンクを備えるようにしてもよい。コンプレッサ等の圧縮空気供給手段はケースに内蔵されていなくてもよい。
【0095】
タンクを備える場合、その構成、形状、大きさ等は上記実施形態に限定されない。タンクは、ケースの外部に配置されていてもよい。
【0096】
電池を備える場合、その種類、数、大きさ等は特に限定されない。電池としては、実施形態において例示したリチウムイオン電池に限らず、例えば、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の他の種類の二次電池であってもよいし、アルカリ乾電池等の一次電池であってもよい。電池に代えて、商用電源から電力を供給するようにしてもよい。電池等の電力供給手段は、ケースに内蔵されていなくてもよい。
【0097】
電池は、例えば、ケースに第1開口を形成することなく、フロントカバーをベースプレートに対して着脱自在に設けることによって電池を出し入れするようにしてもよい。すなわち、ケースに第1開口を形成することは必須でない。
【0098】
第1開口をケースに形成する場合、その形状、大きさ、ケースにおける形成位置等は上記実施形態に限定されない。第1蓋部材の構成等も特に問わない。
【0099】
収納部を備える場合、その構成、形状、大きさ、ケース内における配置等は実施形態に限定されない。第2開口の形状、大きさ、形成位置等も特に問わない。第2蓋部材の構成等の特に問わない。
【0100】
切替部は、実施形態において例示したボール状弁体を有する三方弁に限定されない。切替部を備える場合、その構成、種類、泡流出口から流出する流体の種類の切り替え形態等は特に限定されない。
【0101】
切替部は、例えば、モータ等のアクチュエータによって駆動するものであってもよい。この場合、操作部は、単に電気信号を送信するためのスイッチを操作するものであればよい。
【0102】
操作部を備える場合、その構成、形状、大きさ、操作形態等は、実施形態において例示したものに限定されない。操作部は、例えば、アーム部を備えず把持部のみを備えた操作部、アーム部が把持部における一方の端部のみに設けられて片持ち状に軸支された操作部、1つのアーム部が把持部における中央部に接続された操作部、把持部を備えずアーム部のみを備えた操作部等、如何様な形態であってもよい。操作部は、例えば、直線状の軌跡上を往復移動するものであってもよい。操作部は、例えば、単に電気信号の送信操作を行うものであってもよい。
【0103】
操作部が回転操作されるものである場合、その回転軸は上記実施形態のものに限定されない。この回転軸としては、例えば、上下方向、前後方向等、左右方向以外の方向に沿った回転軸であってもよい。この場合、把持部の延伸方向としては、回転軸に沿った方向のみならず、回転軸に対して交差する方向、回転軸に対してねじれの位置となる方向であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…浴室用泡供給装置、10…ケース、10A…水流入口、10B…泡流出口、20,20A,20B,20C,20D…流路、30…コンプレッサ、50…タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12