(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142847
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】害虫駆除装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/08 20060101AFI20220926BHJP
A01M 1/10 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A01M1/08
A01M1/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043076
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000101938
【氏名又は名称】イカリ消毒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 一彦
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA13
2B121DA15
2B121DA38
2B121EA21
2B121EA30
2B121FA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸引装置が大型化してしまうことがなく、広範囲に飛翔する害虫を効率的に吸引する害虫駆除装置を提供すること。
【解決手段】吸引装置11と、一端側に吸引口16を備え、他端側に前記吸引装置11が接続された吸引管12と、前記吸引口16の内部に配置された誘虫装置13とを備える害虫駆除装置10である。誘虫装置13は、誘虫灯であって、光源20と、光を透過する材質で形成され、前記光源20の外側を覆う光源カバー21とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置と、
一端側に吸引口を備え、他端側に前記吸引装置が接続された吸引管と、
前記吸引口の内部に配置された誘虫装置と
を備える害虫駆除装置。
【請求項2】
前記誘虫装置は、誘虫灯であって、
光源と、
光を透過する材質で形成され、前記光源の外側を覆う光源カバーと
を有する請求項1に記載の害虫駆除装置。
【請求項3】
前記誘虫装置が配置された前記吸引管の延びる方向に見たときに、前記吸引装置は前記誘虫装置と重ならないように配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の害虫駆除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫駆除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫を誘引して駆除するための害虫駆除装置として、特許文献1には、誘虫灯によって害虫を誘引しつつ、ファンを備えた吸引装置によって管の吸引口から害虫を吸引する害虫駆除装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された害虫駆除装置において、害虫を管の吸引口から吸引するためには、所定の吸引力(風速)が必要である。しかし、広範囲に飛翔する害虫を捕獲するために吸引力を大きくしようとすると、吸引装置が大型化してしまう問題があった。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態は、広範囲に飛翔する害虫を効率的に吸引する害虫駆除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの実施形態は、吸引装置と、一端側に吸引口を備え、他端側に前記吸引装置が接続された吸引管と、前記吸引口の内部に配置された誘虫装置とを備える害虫駆除装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の幾つかの実施形態によれば、広範囲に飛翔する害虫を効率的に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の害虫駆除システム100の説明図である。
【
図2】
図2Aは、本実施形態の害虫駆除装置10の鉛直断面を示す図である。
図2Bは、本実施形態の害虫駆除装置10を下から見た様子を示す図である。
【
図3】
図3Aは、本実施形態の害虫駆除装置10の水平断面を示す図である。
図3Bは、本実施形態の害虫駆除装置10の別の鉛直断面を示す図である。
【
図5】
図5は、吸引管12による害虫1の吸引の様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
吸引装置と、一端側に吸引口を備え、他端側に前記吸引装置が接続された吸引管と、前記吸引口の内部に配置された誘虫装置とを備える害虫駆除装置が明らかとなる。このような害虫駆除装置によれば、広範囲に飛翔する害虫を効率的に吸引することができる。
【0012】
前記誘虫装置は、誘虫灯であって、光源と、光を透過する材質で形成され、前記光源の外側を覆う光源カバーとを有することが望ましい。これにより、吸引管と誘虫装置との隙間に害虫の誘導路を形成しやすくすることができる。
【0013】
前記誘虫装置が配置された前記吸引管の延びる方向に見たときに、前記吸引装置は前記誘虫装置と重ならないように配置されることが望ましい。これにより、吸引口の内部に配置された誘虫装置を容易に取り外すことができる。
【0014】
===本実施形態===
<害虫駆除システム100>
図1は、本実施形態の害虫駆除システム100の説明図である。
【0015】
以下では、
図1に示す鉛直方向、水平方向に従って説明を行うことがある。なお、鉛直方向を、「上下方向」と呼ぶことがある。そして、害虫駆除装置10を処理水槽60に設置したときの鉛直上方を「上方向」又は「上側」と、鉛直下方を「下方向」又は「下側」と呼ぶことがある。
【0016】
害虫駆除システム100は、害虫を駆除するための設備である。本実施形態の害虫駆除システム100は、例えば、水処理施設に設置される。
図1は、水処理施設の処理水槽60に設置された害虫駆除システム100を示している。但し、害虫駆除システム100は、水処理施設以外の場所に設置されても良い。害虫駆除システム100は、例えば、オフィスビルの排水層や汚水槽に設置されても良い。
【0017】
また、本実施形態の害虫駆除システム100は、水処理施設の処理水槽に発生するユスリカ等(例えば、セスジユスリカ、ウスイロユスリカ、ハイイロユスリカ等)を駆除するための設備である。ユスリカは、川や用水路などに発生するハエ目ユスリカ科に属する昆虫である。また、ユスリカは、水処理施設の処理水槽等、汚水が存在する場所では、大量に発生することがある。そして、ユスリカは、住宅の窓ガラスや洗濯物等に多数寄り付き、シミを付けて汚染するため、害虫とされている。ユスリカ等の害虫は、光が存在する方向に近づく性質、すなわち走光性を有している。このため、ユスリカ等を駆除するためには、後述する誘虫灯を使用した誘虫装置により、ユスリカ等を誘引して捕獲し駆除することが有利である。但し、害虫駆除システム100は、ユスリカ等以外の害虫を駆除するための設備であっても良い。
【0018】
害虫駆除システム100は、害虫駆除装置10と、給水装置30と、制御部40とを有する。なお、害虫駆除システム100は、害虫駆除装置10、給水装置30及び制御部40以外の装置を有しても良い。
【0019】
害虫駆除装置10は、害虫を吸引して捕獲する装置である。
図1に示すように、本実施形態の害虫駆除装置10は、処理水槽60の上部に配置されている。具体的には、害虫駆除装置10は、処理水槽60の天井部材61の上に配置されている。なお、天井部材61に形成された開口62から下方向(処理水槽60の側)に、害虫駆除装置10の吸引管12が延び出ている。
【0020】
また、
図1に示すように、本実施形態の害虫駆除システム100は、2体の害虫駆除装置10を有している。それぞれの害虫駆除装置10は、1つの処理水槽60に配置されている。但し、害虫駆除システム100が有する害虫駆除装置10の数や配置態様は、
図1に示す場合に限られない。害虫駆除システム100が有する害虫駆除装置10は1体であっても良いし、3体以上であっても良い。また、複数の処理水槽60にそれぞれ害虫駆除装置10が配置されても良い。
【0021】
害虫駆除装置10は、後述する水エジェクタ方式の吸引装置11を備えている。このため、害虫駆除装置10に対して給水、排水を行うために、給水管63と、排水管64とが接続されている。給水管63は、害虫駆除装置10に給水を行う管である。また、排水管64は、害虫駆除装置10から排水を行う管である。
図1に示すように、害虫駆除装置10からの排水は、処理水槽60に流される。但し、害虫駆除装置10からの排水は、処理水槽60とは別の水層に流されても良い。また、害虫駆除装置10に対して給電や電気信号の授受を行うために、電線管65が接続されている。
【0022】
その他の害虫駆除装置10の詳細な構成については、後述する。
【0023】
給水装置30は、害虫駆除装置10の吸引装置11に給水する装置(ポンプ)である。給水装置30と、害虫駆除装置10とは、給水管63で接続されている。
【0024】
制御部40は、害虫駆除装置10及び給水装置30の稼働を制御する装置である。制御部40と、害虫駆除装置10とは、電線管65で接続されている。また、制御部40と、給水装置30とは、電線管65で接続されている。本実施形態では、制御部40は、害虫駆除装置10及び給水装置30の稼働についてのON/OFFを制御することができる。例えば、害虫駆除装置10に不図示の集計カウンタ(センサ)が設けられており、飛翔する害虫の数に応じて害虫駆除装置10及び給水装置30の稼働についてのON/OFFを制御することができる。例えば、制御部40は、飛翔する害虫の数が所定の数以上であるときに、害虫駆除装置10及び給水装置30を稼働させる(ON)ことができる。また、例えば、制御部40は、飛翔する害虫の数が所定の数未満であるときに、害虫駆除装置10及び給水装置30の稼働を停止させる(OFF)ことができる。制御部40は、害虫駆除装置10及び給水装置30に対して、その他の制御を行っても良い。
【0025】
<害虫駆除装置10>
図2Aは、本実施形態の害虫駆除装置10の鉛直断面を示す図である。
図2Bは、本実施形態の害虫駆除装置10を下から見た様子を示す図である。
図3Aは、本実施形態の害虫駆除装置10の水平断面を示す図である。
図3Bは、本実施形態の害虫駆除装置10の別の鉛直断面を示す図である。
図4は、吸引装置11の説明図である。
【0026】
害虫駆除装置10は、吸引装置11と、吸引管12と、誘虫装置13とを有する。
【0027】
吸引装置11は、吸引作用を発生させる装置である。具体的には、吸引装置11は、吸引装置11の下側に位置する空間であるチャンバ14に負圧状態を発生させる。チャンバ14は、吸引管12と連通するように形成されており、チャンバ14内が負圧状態となった際に、チャンバ14と連通する吸引管12の内部も負圧状態となる。これにより、吸引管12の吸引口16から害虫が空気と共に吸引されることになる。
【0028】
本実施形態では、吸引装置11として、水エジェクタ方式の吸引装置を使用している。
図4は、このような水エジェクタ方式の吸引装置11の説明図である。水エジェクタ方式の吸引装置は、水をノズルから高圧で噴射することにより、ノズル周辺の空気が吸引されて圧力が低下する現象を利用し、負圧状態を発生させる装置である。
図4の左側から水が供給され(A)、
図4の右側に向けて高速で排出される(B)。ここで、ノズル19において高圧の水が噴射されることにより、ノズル19周辺の空気が吸引される(C)。本実施形態では、ノズル19の下部にチャンバ14を連通させることにより、チャンバ14内にも負圧を発生させ、空気が吸引されることになる。なお、水処理施設に配置される害虫駆除装置10の場合、必要な大量の水を確保しやすいので、吸引装置11として水エジェクタ方式を採用することが有利である。但し、吸引装置11として、水エジェクタ方式以外の吸引装置を使用しても良い。例えば、吸引装置11は、ファンや、ブロアなど、空気を吸引する吸引装置であっても良い。
【0029】
吸引管12は、害虫を誘引する際の誘導路を形成する部材である。吸引管12は、チャンバ14の下部に連通するように形成されている。吸引管12は、下方向(処理水槽60の側)に延び出るように形成されており、下側端部において吸引口16が形成されている。吸引口16は、害虫を吸引するための吸引管12における開口である。
【0030】
誘虫装置13は、害虫を誘引する装置である。本実施形態では、誘虫装置13は、光で害虫を誘引する誘虫灯である。但し、誘虫装置13は、誘虫灯とは別の、害虫を誘引するための装置であっても良い。例えば、誘虫装置13は、匂い、フェロモン又は音などを使用して害虫を誘引する装置であっても良い。
【0031】
誘虫装置13は、光源20と、光源カバー21とを有する。
【0032】
光源20は、誘虫灯の光源である。本実施形態では、光源20は、紫外光、特に害虫が好む波長365nm付近を含む光を出射する光源である。例えば、光源20は、波長365nm付近にピークを有する光を出射する紫外光ランプである。但し、光源20は、これに限られず、紫外光ランプ以外であっても良い。
【0033】
光源カバー21は、光源20の外側を覆う部材である。光源カバー21が光源20を覆うことにより、水処理施設の処理水槽60のような水が存在する場所において、光源20に水が飛散することから保護することができる。なお、光源カバー21は、光を透過する材質で形成されている。例えば、光源カバー21は、ガラスにより形成されている。これにより、光源カバー21により外側を覆われた状態でも、光源20の光を外に出射できる。光源カバー21は、光を透過する材質であれば、ガラス以外の材料により形成されても良い。また、誘虫装置13は、光源カバー21を有さなくても良い。
【0034】
本実施形態の害虫駆除装置10では、
図2A及び
図2Bに示すように、吸引管12の内壁17と、誘虫装置13の光源カバー21との間に、誘導路18が形成される。誘導路18は、吸引口16から吸引された害虫がチャンバ14まで誘導される通路である。
図2Bに示すように、誘導路18は誘虫装置13の周りに設けられている。なお、誘虫装置13が光源カバー21を有さない場合(例えば、誘虫装置13が光源20のみを有してる場合)、吸引管12の内壁17と、誘虫装置13の光源20との間が誘導路18として機能することになる。
【0035】
<害虫駆除装置における吸引力>
本実施形態のような、吸引管12の吸引口16から害虫を吸引する害虫駆除装置10において、害虫を吸引管12の吸引口16から吸引するためには、所定の吸引力が必要である。ここでは、害虫駆除装置10における吸引力を、吸引口16における風速で定義する。例えば、広範囲に飛翔する害虫を捕獲するために吸引力を大きくしようとすると、吸引口16における風速を大きくする必要がある。ここで、吸引装置11を高性能の吸引装置に変更すれば、より高い吸引作用を発生させることができる。しかし、この場合、吸引装置11が大型化してしまい、また高価となってしまう。
【0036】
一方、吸引装置11を高性能の吸引装置に変更しなくても(吸引装置11を大型化しなくても)、単に吸引口16の面積を小さくすれば、吸引力を高めることができる。吸引装置11による空気の吸引量(ここでは、単位時間当たりに吸引する空気の体積)が一定の場合、吸引口16の面積を小さくすれば、吸引口16における風速が大きくなるからである。しかし、この場合、吸引口16の径が小さくなるので、飛翔する害虫を捕獲できる範囲が小さくなってしまう。
【0037】
そこで、本実施形態の害虫駆除装置10では、
図2A及び
図3Bに示すように、誘虫装置13は、吸引口16の内部に配置されている。仮に、誘虫装置13が吸引口16の内部に配置されていない場合(例えば、誘虫装置13が吸引口16の外部の近傍に配置されている場合)、吸引口16の面積は、吸引管12の内部全てが吸引口16となる。これと比べると、
図2Bに示すように、本実施形態では、誘虫装置13が吸引口16の内部に配置されているので、誘虫装置13が占める面積の分、吸引口16の面積が小さくなる。したがって、誘虫装置13が吸引口16の内部に配置されていない場合と比べると、本実施形態の害虫駆除装置10は、吸引装置11の吸引量を変更しなくても、吸引口16での風速が大きくなる。また同時に、吸引口16の径を小さくする必要がないので、飛翔する害虫を捕獲できる範囲が小さくなってしまうことを抑制できる。したがって、本実施形態の害虫駆除装置10によれば、広範囲に飛翔する害虫を効率的に吸引することができる。
【0038】
もっとも、吸引口16の面積を小さくするためには、誘虫装置13とは別の部材(例えば、単にスペーサ)を吸引口16の内部に配置しても良い。しかし、誘虫装置13は、害虫を誘引する装置であるため、吸引口16の近傍に配置することが有利である。このため、本実施形態の害虫駆除装置10のように、誘虫装置13を吸引口16の内部に配置すれば、害虫を誘引する点と、吸引口16における吸引力を向上させる点との両方において、有利である。
【0039】
図2Bに示すように、本実施形態の害虫駆除装置10では、誘虫装置13(具体的には光源カバー21)と、吸引管12の内壁17との間の隙間が吸引口16となる。例えば、本実施形態の害虫駆除装置10では、誘虫装置13と、吸引管12の内壁17との間の隙間の大きさは、3mmで形成される。また、本実施形態の害虫駆除装置10では、吸引口16での風速は、5~7m/s程度である。しかし、吸引口16のサイズや吸引口16での風速はこれに限られない。
【0040】
なお、吸引口16から吸引された害虫は、誘虫装置13(具体的には光源カバー21)と、吸引管12の内壁17との間の空間である誘導路18を通ってチャンバ14に達する。前述した本実施形態の害虫駆除装置10では、誘虫装置13は光源20の外側に光源カバー21を有する。このため、光源20の形状に依らずに誘導路18を形成することができる。したがって、本実施形態の害虫駆除装置10によれば、吸引管12と誘虫装置13との隙間に害虫の誘導路18を形成しやすくすることができる。
【0041】
また、チャンバ14に達した害虫は、チャンバ14の上部に配置された吸引装置11に吸引される。前述した吸引装置11では、毎分100リットル程度の高圧の水がノズル19から排出される。このため、本実施形態では、吸引装置11において、害虫を高圧の水によって殺虫することが可能である。害虫の死骸は、排出される水と共に排水管64を流れ、処理水槽60に排出される。これにより、害虫駆除装置10は、捕虫した害虫を格納する箱が不要である。したがって、害虫駆除装置10を小型化することが可能である。
【0042】
さらに、
図3Aに示すように、誘虫装置13が配置された吸引管12の延びる方向(鉛直方向)に見たときに、吸引装置11は誘虫装置13に対して、水平方向にずれた位置に配置されている。すなわち、吸引装置11は誘虫装置13に対して重ならないように配置されている。これにより、例えばメンテナンス等の目的で、誘虫装置13を害虫駆除装置10から取り外す(引き上げる)際、誘虫装置13が吸引装置11に干渉することを抑制することができる。したがって、本実施形態の害虫駆除装置10によれば、吸引口16の内部に配置された誘虫装置13を容易に取り外すことができる。
【0043】
<吸引管12による吸引方法>
図5は、吸引管12による害虫1の吸引の様子を説明する図である。
【0044】
図5では、害虫1が広範囲に飛翔している。そして、誘虫装置13に誘引されるようにして、たまたま吸引口16に近づいた害虫1が、吸引口16に吸引されることになる。なお、本実施形態では、吸引口16での風速は、このように吸引口16に近づいた害虫1を吸入できる程度の風速であれば足りる。
【0045】
また、本実施形態では、吸引口16は誘虫装置13の周りに配置されているので、
図5で見たときの全ての角度(360度)から害虫1を吸引することができる。これにより、広範囲に飛翔する害虫1を効率的に吸引することができる。
【0046】
水処理施設における害虫駆除では、誘虫装置により害虫を誘引し、誘引された害虫に殺虫剤等の薬剤を噴霧して殺虫することもできる。しかし、水処理施設という場所を考慮すると、薬剤を使用することを避ける害虫駆除装置が求められていた。本実施形態の害虫駆除装置10は、誘虫装置13により害虫を誘引し、吸引装置11により害虫を吸引するので、薬剤を噴霧する必要がない。このため、薬剤の使用が避けられるべき水処理施設等においても害虫駆除装置を使用することができる。
【0047】
<小括>
本実施形態の害虫駆除装置10は、
図2及び
図3に示すように、吸引装置11と、一端側に吸引口16を備え、他端側に吸引装置11が接続された吸引管12と、吸引口16の内部に配置された誘虫装置13とを備える。このような害虫駆除装置10によれば、
図5に示すように、広範囲に飛翔する害虫1を効率的に吸引することができる。
【0048】
また、誘虫装置13は、
図2A及び
図3Bに示すように、誘虫灯であって、光源20と、光を透過する材質で形成され、光源20の外側を覆う光源カバー21とを有する。これにより、吸引管12と誘虫装置13との隙間に害虫1の誘導路18を形成しやすくすることができる。
【0049】
また、
図3に示すように、誘虫装置13が配置された吸引管12の延びる方向(鉛直方向)に見たときに、吸引装置11は誘虫装置13と重ならないように配置される。これにより、
図3に示すように、吸引口16の内部に配置された誘虫装置13を容易に取り外すことができる。
【0050】
===その他===
<誘導路18について>
図2Bに示すように、鉛直方向に見たときに、誘虫装置13は、吸引管12のほぼ中央に位置している。しかし、吸引管12に対する誘虫装置13の位置はこれに限られない。例えば、吸引管12の内壁17に誘虫装置13が接するように配置されても良い。これによっても、誘虫装置13が吸引口16の内部に配置されていない場合と比べると、吸引口16の面積が小さくなるので、吸引口16での風速が大きくなる。したがって、広範囲に飛翔する害虫1を効率的に吸引することができる。
【0051】
図2Bに示すように、鉛直方向に見たときに、吸引管12は環状に形成されている。しかし、吸引管12の形状はこれに限られない。例えば、吸引管12は四角環状に形成されても良い。
【0052】
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 害虫
10 害虫駆除装置
11 吸引装置
12 吸引管
13 誘虫装置
14 チャンバ
16 吸引口
17 内壁
18 誘導路
19 ノズル
20 光源
21 光源カバー
30 給水装置
40 制御部
60 処理水槽
61 天井部材
62 開口
63 給水管
64 排水管
65 電線管
100 害虫駆除システム