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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142850
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ラベル、包装材及び包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043079
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】東 広樹
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA21
3E013BB09
3E013BC04
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF25
3E013BF32
3E013BF36
3E013BF41
3E013BG15
(57)【要約】
【課題】電子レンジで加熱された包装容器の内容物から発生する水蒸気等を排出するタイミングを早めることが可能なラベル等を提供する。
【解決手段】加熱によって収縮する熱収縮性フィルム6を有する基材層11と、該基材層11の片面に形成された粘着剤層6とを備えるラベルであって、基材層11は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層として紙層8を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱によって収縮する熱収縮性フィルムを有する基材層と、該基材層の片面に形成された粘着剤層とを備えるラベルであって、
前記基材層は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層を備える、
ことを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記発熱物質が、極性溶媒である、
請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記発熱物質が、発熱インクである、
請求項1に記載のラベル。
【請求項4】
前記含有層が、前記熱収縮性フィルムの少なくとも片面に設けられている、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項5】
前記含有層が、前記発熱物質を含有する紙層である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項6】
前記含有層が、前記発熱物質を含有する粘着剤層である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項7】
前記含有層が、前記発熱物質を塗布した塗布層である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項8】
前記含有層が、前記発熱物質を印刷した印刷層である、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項9】
前記基材層は、前記含有層を複数備え、複数の前記含有層が、前記発熱物質を含有する紙層、前記発熱物質を含有する粘着剤層、前記発熱物質を塗布した塗布層、及び、前記発熱物質を印刷した印刷層のうちの少なくともいずれか2つの層である、
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項10】
前記基材層は、前記含有層を覆うラミネート層を備える、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項11】
加熱によって生じる蒸気を排出するための蒸気抜き部を有する包装材であって、
前記請求項1ないし10のいずれか一項に記載のラベルが、前記蒸気抜き部を覆うように貼着されている、
ことを特徴とする包装材。
【請求項12】
当該包装材が、内容物を収容する容器本体の開口を塞ぐ蓋体を構成する、
請求項11に記載の包装材。
【請求項13】
前記請求項12に記載の包装材と、内容物を収容する前記容器本体とを備える、
ことを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ等を使用して加熱処理される食品等を包装する包装容器や包装袋等の包装体、この包装体を構成する蓋や包装用フィルム等の包装材、及び、この包装材に貼着されるラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジでそのまま加熱調理することができるように、各種の食材や加工食品等の内容物を包装用フィルム等で構成された包装袋内に密封したり、内容物を収容した包装容器の開口部を包装用フィルム等で密封した食品が多く販売されている。
【0003】
この種の食品をそのまま電子レンジで加熱調理すると、内容物から生じる水蒸気等によって包装袋や包装容器の内圧が過剰に上昇し、包装袋を構成する包装用フィルムや、包装容器の開口部を密封する包装用フィルムが破裂し、収容されている内容物が外部に飛散することになる。
【0004】
このため、加熱時に袋面や容器の蓋部に自然に蒸気抜き用の孔が形成されるようにした技術が、従来から種々提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、熱収縮性フィルムを有するラベルを、容器の蓋体に形成された蒸気抜き部を覆うように貼着しておき、容器ごと電子レンジで加熱した場合に、熱収縮性フィルムが熱によって収縮して蒸気抜き部が開口し、容器内から生じる水蒸気等を外部へ排出させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-7703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように食品を収納した容器を、電子レンジで加熱した場合に、食品から発生する水蒸気等を、蒸気抜き部を開口させて排出させる技術は種々提案されているが、用途によっては、電子レンジによって加熱を開始してから早いタイミングで水蒸気等を排出させたい場合がある。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、電子レンジ等で加熱を開始してから早いタイミングで水蒸気等を排出させることが可能なラベル、包装材及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0010】
(1)本発明に係るラベルは、加熱によって収縮する熱収縮性フィルムを有する基材層と、該基材層の片面に形成された粘着剤層とを備えるラベルであって、前記基材層は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層を備える。
【0011】
本発明に係るラベルを、例えば、各種の食材や加工食品等の内容物を収容した包装容器や包装袋を構成する包装材に、その蒸気抜き部を覆うように貼着し、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、当該ラベルの基材層の熱収縮性フィルムが熱によって収縮することによって、包装材の蒸気抜き部を開口させて、内容物から生じた水蒸気等を当該ラベル外へ排出することができる。
【0012】
本発明に係るラベルによると、熱収縮性フィルムを有する基材層は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層を備えている。この含有層に含まれる発熱物質は、電子レンジ等によるマイクロ波を吸収して発熱するので、この発熱が、基材層の熱収縮性フィルムの加熱を促進し、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを収縮させることができる。
【0013】
これによって、包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、当該ラベルの基材層の熱収縮性フィルムを早期に熱収縮させて、包装容器や包装袋を構成する包装材に形成された蒸気抜き部を開口させて、内容物から生じた水蒸気等を早期に排出することができる。
【0014】
(2)本発明の一実施態様では、前記発熱物質が、極性溶媒である。
【0015】
この実施態様によると、含有層に含有されている極性溶媒は、電子レンジ等によるマイクロ波を吸収して発熱するので、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、極性溶媒の発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が促進され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記発熱物質が、発熱インクである。
【0017】
この実施態様によると、含有層に含有されている発熱インクは、電子レンジ等によるマイクロ波を吸収して発熱するので、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、発熱インクの発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が促進され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0018】
(4)本発明の好ましい実施態様では、前記含有層が、前記熱収縮性フィルムの少なくとも片面に設けられている。
【0019】
この実施態様によると、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層は、基材層の熱収縮性フィルムの片面に設けられているので、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、熱収縮性フィルムの片面に設けられている含有層の発熱物質の発熱によって、熱収縮性フィルムが効率的に加熱され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0020】
(5)本発明の一実施態様では、前記含有層が、前記発熱物質を含有する紙層である。
【0021】
この実施態様によると、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、紙層に含有されている発熱物質が発熱するので、この紙層の発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が促進され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0022】
(6)本発明の他の実施態様では、前記含有層が、前記発熱物質を含有する粘着剤層である。
【0023】
この実施態様によると、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、粘着剤層に含有されている発熱物質が発熱するので、この粘着剤層の発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が促進され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0024】
また、この粘着剤層を、基材層の片面に形成された粘着剤層とし、この粘着剤層によって、包装容器等の包装材に、その蒸気抜き部を覆うように貼着した場合に、電子レンジ等でマイクロ波加熱すると、粘着剤層は、その発熱によって粘着力が低下して剥離し易くなるので、熱収縮性フィルムを有する基材層の包装材からの剥離が円滑に行われる。
【0025】
(7)本発明の一実施態様では、前記含有層が、前記発熱物質を塗布した塗布層である。
【0026】
この実施態様によると、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、塗布層に含有されている発熱物質が発熱するので、この塗布層の発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が促進され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0027】
(8)本発明の他の実施態様では、前記含有層が、前記発熱物質を印刷した印刷層である。
【0028】
この実施態様によると、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、印刷層に含有されている発熱物質が発熱するので、この印刷層の発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が促進され、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0029】
(9)本発明の更に他の実施態様では、前記基材層は、前記含有層を複数備え、複数の前記含有層が、前記発熱物質を含有する紙層、前記発熱物質を含有する粘着剤層、前記発熱物質を塗布した塗布層、及び、前記発熱物質を印刷した印刷層のうちの少なくともいずれか2つの層である。
【0030】
この実施態様によると、基材層は、発熱物質を含有する紙層、粘着剤層、塗布層、及び、印刷層のうちの少なくともいずれか2つの層を備えているので、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、複数の各含有層に含有されている発熱物質がそれぞれ発熱するので、これら含有層の発熱によって、基材層の熱収縮性フィルムの加熱が一層促進され、電子レンジ等で加熱を開始してからより早期に熱収縮性フィルムを熱収縮させることができる。
【0031】
(10)本発明の好ましい実施態様では、前記基材層は、前記含有層を覆うラミネート層を備える。
【0032】
この実施態様によると、含有層を覆うラミネート層を備えているので、このラミネート層によって、含有層を安定に保持することができ、また、塗布層等に含有された発熱物質の揮発を防止することができる。
【0033】
(11)本発明に係る包装材は、加熱によって生じる蒸気を排出するための蒸気抜き部を有する包装材であって、上記(1)ないし(10)のいずれかのラベルが、前記蒸気抜き部を覆うように貼着されている。
【0034】
本発明に係る包装材によると、当該包装材によって、例えば、各種の食材や加工食品等の内容物を収容した包装容器や包装袋を構成した場合、内容物を収容した包装容器や包装袋を、電子レンジを用いて加熱処理したときに、当該包装材の蒸気抜き部を覆うラベルの熱収縮性フィルムが、加熱を開始してから早期に熱収縮し、当該包装材の蒸気抜き部を開口させて、内容物から生じた水蒸気等を早期に排出することができる。
【0035】
(12)本発明の他の実施態様では、当該包装材が、内容物を収容する容器本体の開口を塞ぐ蓋体を構成する。
【0036】
この実施態様によると、包装容器を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物等から生じる水蒸気等によって、包装容器の内圧が過剰に上昇するのが防止されて、包装容器の容器本体から蓋体が外れるのを防止することができる。
【0037】
(13)本発明に係る包装体は、上記(12)の包装材と、内容物を収容する前記容器本体とを備える。
【0038】
本発明に係る包装体によると、当該包装体である包装容器を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、内容物等から生じる水蒸気等によって、包装容器の内圧が過剰に上昇するのが防止されて、蓋体が容器本体から外れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、熱収縮性フィルムを有する基材層は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層を備えているので、電子レンジ等でマイクロ波加熱した場合に、含有層の発熱物質が発熱し、基材層の熱収縮性フィルムの加熱を促進することができ、電子レンジ等で加熱を開始してから早期に熱収縮性フィルムを収縮させることができる。
【0040】
これによって、包装容器や包装袋を、電子レンジ等を用いて加熱処理した場合に、ラベルの基材層の熱収縮性フィルムを早期に熱収縮させて、包装容器や包装袋を構成する包装材に形成された蒸気抜き部を開口させて、内容物から生じた水蒸気等を早期に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は本発明の一実施形態に係る包装容器の平面図である。
図2図2図1のA-A線に沿う概略断面図である。
図3図3図2のラベル5付近を拡大した概略断面図である。
図4図4は熱収縮性フィルムが熱収縮してラベルが剥離した状態を示す図3に対応する概略断面図である。
図5図5は本発明の他の実施形態のラベルの概略断面図である。
図6図6は本発明の更に他の実施形態のラベルの概略断面図である。
図7図7は本発明の他の実施形態のラベルの概略断面図である。
図8図8は本発明の更に他の実施形態のラベルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装体としての包装容器1の平面図であり、図2は、図1のA-A線に沿う概略断面図である。
【0044】
この実施形態の包装容器1は、電子レンジ調理食品等の図示しない内容物が収容された容器本体2と、この容器本体2の上部開口3を塞ぐ包装材としてのトップシール用フィルム4と、このトップシール用フィルム4に貼着されたラベル5とを備えている。
【0045】
容器本体2は、上部開口3の周囲に鍔状のフランジ部2aを備えており、このフランジ部2aの上面に、トップシール用フィルム4がヒートシールされて密封されている。
【0046】
この実施形態の包装容器1は、そのまま電子レンジで加熱する際に発生した水蒸気によって包装容器1が破裂しないように、平面視矩形のトップシール用フィルム4の上面の1つの角部には、例えば、図1に示すように、破線Bで示される位置まで、矢印Cで示すように、トップシール用フィルム4を剥がすことを促す図示しない表記が印刷されている。
【0047】
すなわち、この包装容器1では、当該包装商品を購入した消費者は、トップシール用フィルム4の1つの角部を剥がして蒸気抜き口を形成した後、包装容器1を電子レンジで加熱する。
【0048】
しかし、消費者が、うっかりしてトップシール用フィルム4の角部を剥がすのを忘れて、包装容器1を電子レンジで加熱すると、包装容器1が破裂することになる。
【0049】
このため、この実施形態の包装容器1では、包装容器1を、トップシール用フィルム4の角部を剥がすことなく、そのまま電子レンジで加熱しても発生した水蒸気等を排出できるように、次のように構成している。
【0050】
トップシール用フィルム4の中央部には、トップシール用フィルム4の角部を剥がすことなく、そのまま電子レンジで加熱した場合に、発生した蒸気を排出するための蒸気抜き部として、平面視円形の蒸気抜き孔4aが形成されている。
【0051】
この蒸気抜き孔4aを覆うように、平面視長方形のラベル5が、トップシール用フィルム4に貼着されている。
【0052】
この実施形態では、ラベル5は、後述のように電子レンジ等で加熱されて、蒸気抜き孔4aを開口するようにトップシール用フィルム4から剥離されるが、その際、トップシール用フィルム4から完全に剥離してしまわないように、長手方向の一方(図1では左方)寄りの略半分の領域で、蒸気抜き孔4aを覆うようにしている。
【0053】
図3は、図2のラベル5付近を拡大した概略断面図である。
【0054】
このラベル5は、基材層11と、この基材層11の片面に形成された第1粘着剤層7とを備えており、ラベル5は、第1粘着剤層7によってトップシール用フィルム4に、蒸気抜き孔4aを塞ぐように貼着されている。
【0055】
基材層11は、加熱によって収縮する熱収縮性フィルム6と、この熱収縮性フィルム6の上面の一部に配置された紙層8と、この紙層8及び熱収縮性フィルム6上に形成された第2粘着剤層9と、熱収縮性フィルム6との間で紙層8をラミネートするラミネート層10とを備えている。
【0056】
熱収縮性フィルム6及びラミネート層10は、平面視長方形であって、同じ外形サイズである。
【0057】
紙層8は、図1の仮想線で示すように、平面視正方形であって、熱収縮性フィルム6やラミネート層10に比べて、その外形サイズが1/2未満である。この紙層8は、平面視で蒸気抜き孔4aに重なるように熱収縮性フィルム6上に配置されている。
【0058】
熱収縮性フィルム6は、加熱によって収縮するシュリンクフィルムであり、この熱収縮性フィルム6は、後述のように、当該包装商品を購入した消費者が、トップシール用フィルム4の1つの角部を剥がすのを忘れて、包装容器1をそのまま電子レンジで加熱したときに、収縮変形し、当該ラベル5の蒸気抜き孔4aを覆っている部分を、トップシール用フィルム4から剥離させて、蒸気抜き孔4aを開口させるものである。
【0059】
この熱収縮性フィルム6は、例えば、一軸延伸のポリスチレンフィルム(OPS)である。
【0060】
この熱収縮性フィルム6は、一軸延伸のポリスチレンフィルムに限らず、例えば、熱収縮性PETフィルム、熱収縮性PE(ポリエチレン)フィルム、熱収縮性PP(ポリプロピレン)フィルム、熱収縮性PV(ポリ塩化ビニル)フィルム、あるいは、PS(ポリスチレン)とPET(ポリエチレンテレフタレート)の積層系であるハイブリッド熱収縮性フィルム等を使用することができ、一軸延伸に限らず、二軸延伸の熱収縮性フィルムを使用してもよい。
【0061】
この熱収縮性フィルム6上に配置されている紙層8は、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層であり、電子レンジによる加熱の際に、紙層8が発熱し、熱収縮性フィルム6の加熱を促進して、熱収縮性フィルム6を早期に収縮させるものである。
【0062】
マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質は、例えば、極性溶媒や発熱インクなどである。
【0063】
極性溶媒としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなどを挙げることができる。
【0064】
発熱インクは、マイクロ波を吸収して発熱する導電性材料を含んでおり、この導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、銀、アルミニウム、ITO(酸化インジウム錫)などを挙げることができる。
【0065】
この実施形態の紙層8は、上質紙に発熱物質を含浸させたものであって、この発熱物質としてグリセリンを使用している。
【0066】
この紙層8は、上記のように熱収縮性フィルム6上に配置されており、第2粘着剤層9を介してラミネート層10によって覆われて、安定に保持されている。
【0067】
平面視正方形の紙層8は、図1に示すように、平面視長方形のラベル5の長手方向の一方側(図1の左方側)において、上下及び左の3辺の外側の領域が、第2粘着剤層9を介してラミネート層10で覆われているが、この3辺の外側の領域は、後述のように、電子レンジで加熱されたときに、紙層8と共に、トップシール用フィルム4から剥離する部分である。このため、紙層8の3辺の外側の領域は、この剥離を妨げないように、出来るだけ小さな領域としている。
【0068】
ラミネート層10は、ラミネートフィルムで構成されており、その材質は特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等からなる。
【0069】
紙層8と熱収縮性フィルム6との間には、粘着剤層は存在していないので、加熱された熱収縮性フィルム6は、紙層8に妨げられることなく、加熱によって円滑に収縮することができる。
【0070】
第1,第2粘着剤層7,9を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤などが挙げられる。
【0071】
この粘着剤は、重合体を乳化させて水中に分散させた水系粘着剤であるのが好ましく、この実施形態では、アクリル系粘着剤である。
【0072】
なお、容器本体2及びトップシール用フィルム4は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂から構成されている。
【0073】
当該包装商品を購入した消費者が、トップシール用フィルム4の1つの角部を剥がすのを忘れて、包装容器1をそのまま電子レンジで加熱すると、容器本体2aの内容物から生じる水蒸気等による内圧が急激に上昇するが、本実施形態のラベル5では、熱収縮性フィルム6の片面に配置される紙層8が、マイクロ波を吸収して発熱するグリセリンを含有しているので、紙層8のグリセリンが電子レンジのマイクロ波を吸収して発熱する。これによって、この紙層8の下面の熱収縮性フィルム6の加熱が促進され、熱収縮性フィルム6が早期に熱収縮する。
【0074】
すなわち、熱収縮性フィルム6の紙層8の下に位置する部分が、紙層8の発熱、及び、蒸気抜き孔4aからの水蒸気等による内圧の上昇を受けて収縮方向である図3の左右方向へ第1粘着剤層7を伴って熱収縮する。その結果、図4に示すように、収縮して歪むと共に皺が生じて、トップシール用フィルム4から剥離する。これによって、トップシール用フィルム4の中央の蒸気抜き孔4aが開口し、容器本体2の内容物から生じる水蒸気等を早期に排出することができ、包装容器1の破裂を防止することができる。
【0075】
また、紙層8は、上記のように、その外形サイズが、熱収縮性フィルム6の1/2未満であって、平面視で蒸気抜き孔4aに重なるように配置されているので、熱収縮性フィルム6は、この紙層8の下に位置する部分の熱収縮が大きく、この部分が、その周縁部と共に、トップシール用フィルム4から剥離するが、残余の部分は、トップシール用フィルム4から剥離することなく、貼着された状態のままとなる。したがって、消費者が、剥離しない限り、ラベル5がトップシール用フィルム4から剥がれ落ちたりすることがない。
【0076】
以上のように本実施形態によれば、熱収縮性フィルム6上には、マイクロ波を吸収して発熱するグリセリンを含有した紙層8が配置されているので、当該包装商品を購入した消費者が、トップシール用フィルム4の1つの角部を剥がすのを忘れて、包装容器1をそのまま電子レンジで加熱したときに、紙層8のグリセリンが電子レンジのマイクロ波を吸収して発熱し、紙層8の下の熱収縮性フィルム6の加熱が促進される。これによって、熱収縮性フィルム6が早期に熱収縮して、トップシール用フィルム4の蒸気抜き孔4aが開口し、容器本体2の内容物から生じる水蒸気等を早期に排出することができる。
【0077】
なお、熱収縮後のラベル5が、トップシール用フィルム4から完全に剥離してもよい場合には、例えば、図5に示すラベル5aのように、基材層11aの紙層8aを、ラベル5の長手方向の他方側(図5の右側)へ延長して、その外形サイズを大きくしてもよい。
【0078】
上記各実施形態では、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層は、紙層8だけであったが、本発明の他の実施形態として、含有層を更に設けてもよい。
【0079】
含有層として粘着剤層、例えば、第1粘着剤層7に、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有させてもよい。
【0080】
すなわち、図3に示される第1粘着剤層7に、発熱物質として、例えば、グリセリンを含有させてもよい。
【0081】
これによって、当該包装商品を購入した消費者が、トップシール用フィルム4の1つの角部を剥がすのを忘れて、包装容器1をそのまま電子レンジで加熱すると、紙層8のグリセリンが電子レンジのマイクロ波を吸収して発熱すると共に、第1粘着剤層7に含有されたグリセリンが電子レンジのマイクロ波を吸収して発熱する。
【0082】
したがって、熱収縮性フィルム6は、その上下の紙層8及び第1粘着剤層7の発熱によって、加熱が一層促進され、熱収縮性フィルム6が一層早期に熱収縮する。その際、第1粘着剤層7は、その発熱によって粘着力が低下して剥離し易くなるので、ラベル5のトップシール用フィルム4からの剥離が円滑に行われる。
【0083】
上記各実施形態では、紙層8や粘着剤層7に、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有させたが、本発明の実施形態として、例えば、図6の概略断面図に示すように、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含む塗料を、コータ等で塗布した塗布層12を形成してもよい。この図6のラベル5bでは、基材層11bは、上記図3の紙層8に代えて、マイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含む塗布層12を備えている。
【0084】
また、本発明の他の実施形態として、塗布層12に代えて、インクジェットプリンタ等によって、マイクロ波を吸収して発熱する発熱インクによって、熱収縮性フィルム6上に印刷して、含有層としての印刷層を形成してもよい。
【0085】
上記各実施形態では、ラミネート層10を設けたが、本発明の他の実施形態として、例えば、図7に示すラベル5cに示すように、ラミネート層10を省略してもよい。この図7のラベル5cでは、基材層11cの第2粘着剤層9aは、熱収縮性フィルム6と紙層8との間に形成され、紙層8の上面が露出している。
【0086】
また、上記各実施形態では、紙層8,8aは、いずれも熱収縮性フィルム6の上面側に設けたが、例えば、図8に示されるラベル5dに示すように、紙層8は、熱収縮性フィルム6の下面側に設けてもよい。この図8のラベル5dでは、基材層11dは、ラミネート層を備えていない。
【0087】
上記各実施形態のマイクロ波を吸収して発熱する発熱物質を含有する含有層としての紙層、粘着剤層、塗布層、印刷層は、適宜組合せてもよく、例えば、含有層として、紙層と塗布層とを備える構成としてもよいし、粘着剤層と印刷層とを備える構成としてもよく、紙層と粘着剤層と塗布層とを備える構成としてもよい。
【0088】
上記実施形態では、消費者が、包装容器1のトップシール用フィルム4の一部を剥がして蒸気抜き口を形成した後に、電子レンジが加熱する包装容器に適用して説明したが、本発明のラベルは、電子レンジで加熱する前に、消費者が、蒸気抜き口を形成する必要のない包装容器に適用してもよい。
【0089】
上記実施形態では、容器本体2は、その上部開口3を、トップシール用フィルム4によって封止したが、他の実施形態として、トップシール用フィルム4に代えて、板状の蓋体によって封止してもよい。この場合、蓋体に蒸気抜き部を形成し、この蒸気抜き部を覆うように、ラベルを貼着すればよい。
【0090】
また、包装容器1に限らず、例えば、包装フィルムを重ねて合せて、その周縁部をヒートシールして構成した包装袋などに適用してもよい。この場合、包装袋に蒸気抜き部を形成し、この蒸気抜き部を覆うように、ラベルを貼着すればよい。
【符号の説明】
【0091】
1 包装容器
2 容器本体
3 上部開口
4 トップシール用フィルム
4a 蒸気抜き孔
5,5a,5b,5c,5d ラベル
6 熱収縮性フィルム
7 第1粘着剤層
8,8a 紙層
9,9a 第2粘着剤層
10 ラミネート層
11,11a,11b,11c,11d 基材層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8