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  • 特開-車両のフレーム構造 図1
  • 特開-車両のフレーム構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142886
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車両のフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B62D25/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043137
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】本間 友基
(72)【発明者】
【氏名】東野 和幸
(72)【発明者】
【氏名】市川 勝崇
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BA13
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB18
3D203BB20
3D203CA23
3D203CA34
(57)【要約】
【課題】構成の複雑化及び高重量化を回避しつつ、前方衝突に対する上下キック部の変形及び破損を抑制できる車両のフレーム構造を提供する。
【解決手段】車両の前後方向に延在する左右一対のサイドレール2,2を備えた車両のフレーム構造1であって、サイドレール2は、車両の前方側に位置して前輪6及びキャブ7を支持するフロントサイドレール11と、フロントサイドレール11の後方側に位置して後輪及び荷台8を支持するリアサイドレール12と、リアサイドレール12をフロントサイドレール11に対して一段低く接続する上下キック部13と、を有し、フロントサイドレール11の前方部分11aには、車両の幅方向に切欠部30が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延在する左右一対のサイドレールを備えた車両のフレーム構造であって、
前記サイドレールは、
前記車両の前方側に位置して前輪及びキャブを支持するフロントサイドレールと、
前記フロントサイドレールの後方側に位置して後輪及び荷台を支持するリアサイドレールと、
前記リアサイドレールを前記フロントサイドレールに対して一段低く接続する上下キック部と、を有し、
前記フロントサイドレールの前方部分には、前記車両の幅方向に切欠部が設けられている車両のフレーム構造。
【請求項2】
前記フロントサイドレールは、前記車両の幅方向の外側に位置するアウターレールと、前記車両の幅方向の内側に位置するインナーレールとの結合によって断面矩形の中空部材となっており、
前記切欠部は、前記インナーレールの角部に形成されている請求項1記載の車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記インナーレールの上面側には、前記切欠部を跨いで前記車両の前後方向に延在するフランジ部が設けられている請求項2記載の車両のフレーム構造。
【請求項4】
前記フロントサイドレールにおける前記切欠部よりも後方側の部分同士を結ぶように前記車両の幅方向に設けられる第1のクロスメンバを更に備える請求項1~3のいずれか一項記載の車両のフレーム構造。
【請求項5】
前記フロントサイドレールにおける前記切欠部よりも後方側の部分と、前記リアサイドレールの前方部分とを接続するサスペンションメンバを更に備える請求項1~4のいずれか一項記載の車両のフレーム構造。
【請求項6】
前記リアサイドレールには、レール間隔を前記フロントサイドレールのレール間隔よりも大きくすることによってフレーム幅を広くした幅広部が前記上下キック部に隣接して設けられており、
前記幅広部は、前記リアサイドレールの前方部分と、前記リアサイドレールの前方部分の先端同士を結ぶように前記車両の幅方向に設けられる第2のクロスメンバとを含んで構成され、
前記サスペンションメンバは、前記第2のクロスメンバを介して前記リアサイドレールの前方部分と接続されている請求項5記載の車両のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリから供給される電力によって走行する車両のフレーム構造に関する技術として、例えば特許文献1に記載のフレーム構造がある。この従来のフレーム構造は、一対のサイドレールが車幅方向において互いに対向するように設けられたラダーフレームと、一対のサイドレール間に配置され、当該一対のサイドレール間のそれぞれに連結される電力供給ユニットとを備えている。一対のサイドレールのそれぞれには、ウェブの両端に所定幅のフランジが設けられている。フランジには、車幅方向において電力供給ユニットの少なくとも一つの角部と対応する位置に狭窄部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-14208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のフレーム構造では、サイドレールが略一直線状をなしている。このため、車両の前方衝突時には、サイドレールに対して軸圧縮方向の入力となり、変形に対して有利な構造となっている。一方、近年では、車両の積載量の確保等の観点から車両の低床化が要請されてきている。かかる要請に対し、サイドレールに上下キック部を設けることで、荷台下方に位置するフレーム後方部分をキャブ下方に位置するフレーム前方部分に対して一段低くするフレーム構成を採用することが検討されている。
【0005】
しかしながら、フレームに上下キック部を設ける構成では、上下キック部の剛性が不足し易く、車両の前方衝突時に上下キック部が変形或いは破損し易いという課題があった。上下キック部に対して補強部品などの別部材を追加すれば当該部分を補強することは可能であるが、この場合には、部品点数の増加による構成の複雑化や車両の高重量化を招くこととなる。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、構成の複雑化及び高重量化を回避しつつ、前方衝突に対する上下キック部の変形及び破損を抑制できる車両のフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る車両のフレーム構造は、車両の前後方向に延在する左右一対のサイドレールを備えた車両のフレーム構造であって、サイドレールは、車両の前方側に位置して前輪及びキャブを支持するフロントサイドレールと、フロントサイドレールの後方側に位置して後輪及び荷台を支持するリアサイドレールと、リアサイドレールをフロントサイドレールに対して一段低く接続する上下キック部と、を有し、フロントサイドレールの前方部分には、車両の幅方向に切欠部が設けられている。
【0008】
この車両のフレーム構造では、フロントサイドレールの前方部分において、車両の幅方向に切欠部が設けられている。この切欠部により、車両の前方衝突の際に、フロントサイドレールにおける切欠部よりも前方の部分が積極的に潰れ易くなっており、衝撃吸収の効率を向上することができる。したがって、補強部品などの別部材の追加による構成の複雑化及び高重量化を回避しつつ、前方衝突に対する上下キック部の変形及び破損を抑制できる。
【0009】
フロントサイドレールは、車両の幅方向の外側に位置するアウターレールと、車両の幅方向の内側に位置するインナーレールとの結合によって断面矩形の中空部材となっており、切欠部は、インナーレールの角部に形成されていてもよい。切欠部をインナーレールの角部に形成することで、フロントサイドレールの剛性の担保と前方衝突時の潰れ易さとの両立が図られる。また、前方衝突によって潰れる部分が車両の幅方向の外側に広がることを抑制できる。これにより、衝撃吸収の効率の低下を抑制できる。
【0010】
インナーレールの上面側には、切欠部を跨いで車両の前後方向に延在するフランジ部が設けられていてもよい。これにより、前方衝突によって潰れる部分が車両の上方に広がることを抑制できる。したがって、フロントサイドレールの上方に位置するキャブへの衝突の影響を緩和することができる。
【0011】
フロントサイドレールにおける切欠部よりも後方側の部分同士を結ぶように車両の幅方向に設けられる第1のクロスメンバを更に備えていてもよい。この第1のクロスメンバの配置により、前方衝突によってフロントサイドレールが車両の幅方向に広がることを抑制できる。これにより、前方衝突の際にフロントサイドレールにおける切欠部よりも前方の部分がより効率的に潰れるため、衝撃吸収の効率を一層高めることができる。
【0012】
フロントサイドレールにおける切欠部よりも後方側の部分と、リアサイドレールの前方部分とを接続するサスペンションメンバを更に備えていてもよい。この場合、前方衝突の際にフロントサイドレールに加わる衝突エネルギーを、サスペンションメンバを介してリアサイドレールに分散することができる。したがって、上下キック部の変形及び破損を一層確実に抑制できる。また、前方衝突の際にフロントサイドレールが車両の上方に広がることを抑制できるため、フロントサイドレールの上方に位置するキャブへの衝突の影響をより確実に緩和することができる。
【0013】
リアサイドレールには、レール間隔をフロントサイドレールのレール間隔よりも大きくすることによってフレーム幅を広くした幅広部が上下キック部に隣接して設けられており、幅広部は、リアサイドレールの前方部分と、リアサイドレールの前方部分の先端同士を結ぶように車両の幅方向に設けられる第2のクロスメンバとを含んで構成され、サスペンションメンバは、第2のクロスメンバを介してリアサイドレールの前方部分と接続されていてもよい。
【0014】
このような幅広部は、例えば車両が電動車両である場合のバッテリ等の配置スペースの確保と、車両の低床化による積載量の確保との両立に資する。一方、幅広部を構成する第2のクロスメンバを介してサスペンションメンバをリアサイドレールの前方部分と接続することで、前方衝突の際の第2のクロスメンバの変形或いは破損を抑制できる。これにより、配置スペース内の車載物の保護が図られる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、構成の複雑化及び高重量化を回避しつつ、前方衝突に対する上下キック部の変形及び破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態に係る車両フレーム構造の要部を示す平面図である。
図2図1の側面図である。
図3】フロントサイドレールの前方部分の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る車両のフレーム構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態に係る車両のフレーム構造の要部を示す平面図である。また、図2は、図1の側面図である。図1及び図2に示す車両のフレーム構造1は、例えばトラック等の大型車両に適用される構造体であり、ラダーフレーム構造をなしている。車両は、例えばバッテリの電力によってモータを駆動して走行する電動車両であってもよい。
【0019】
車両のフレーム構造1は、車両の前後方向に延在する左右一対のサイドレール2,2と、車両の幅方向に延在してサイドレール2,2同士を接続する複数のクロスメンバ3,4,5とを含んで構成されている。サイドレール2,2及びクロスメンバ3,4,5は、いずれも金属製の長尺部材によって構成されている。
【0020】
サイドレール2,2は、左右で略対称の形状及び配置となっている。サイドレール2は、車両の前方側に位置して前輪6及びキャブ7を支持するフロントサイドレール11と、フロントサイドレール11の後方側に位置して後輪(不図示)及び荷台8を支持するリアサイドレール12と、リアサイドレール12をフロントサイドレール11に対して一段低く接続する上下キック部13とを有している。また、サイドレール2には、板バネ等の懸架装置によって前輪6を支持するサスペンションメンバ9が設けられている。
【0021】
フロントサイドレール11の前方部分11a,11aの先端同士は、クロスメンバ3によって連結されている。また、フロントサイドレール11の前方部分11a,11a同士は、クロスメンバ3よりも後方側でクロスメンバ(第1のクロスメンバ)4によって連結されている。左右のフロントサイドレール11,11間の空間には、例えば車両のモータ、インバータ、ギアといった各種の部品が配置されている。
【0022】
リアサイドレール12には、レール間隔をフロントサイドレール11,11のレール間隔よりも大きくすることによってフレーム幅を広くした幅広部Kが設けられている。本実施形態では、幅広部Kは、左右のリアサイドレール12の前方部分12a,12aと、リアサイドレール12の前方部分12a,12aの先端同士を結ぶクロスメンバ5(第2のクロスメンバ)と、クロスメンバ5よりも後方側でリアサイドレール12,12の後方部分の先端同士を結ぶクロスメンバ(不図示)によって、上下キック部13に隣接して設けられている。幅広部Kは、平面視で矩形をなしている。幅広部Kの内側の空間には、例えば車両の動力源となる高電圧バッテリが配置されている。
【0023】
上下キック部13は、フロントサイドレール11の後方部分11bに連続して緩やかに下方に傾斜し、幅広部Kのクロスメンバ5に接続されている。すなわち、上下キック部13は、幅広部Kのクロスメンバ5を介してリアサイドレール12の前方部分12aに接続されている。上下キック部13により、リアサイドレール12がフロントサイドレール11に対して一段低くなることで、荷台8の位置を下げることが可能となる。これにより、車両の積載量の確保が図られている。
【0024】
サスペンションメンバ9は、リアサイドレール12の高さに配置され、フロントサイドレール11よりも車両の幅方向のやや内側で車両の前後方向に延在している。サスペンションメンバ9の前方部分9aは、フロントサイドレール11に向かって車両の幅方向の外側に延びており、当該前方部分9aの先端は、アンカーによってフロントサイドレール11の前方部分11aに接続されている。サスペンションメンバ9の後方部分9bは、フロントサイドレール11の後方部分11bに懸架すると共に、幅広部Kのクロスメンバ5に接続されている。すなわち、サスペンションメンバ9の後方部分9bは、幅広部Kのクロスメンバ5を介してリアサイドレール12の前方部分12aに接続されている。
【0025】
続いて、上述したフロントサイドレール11の構成について更に詳細に説明する。図3は、フロントサイドレールの前方部分の構成を示す斜視図である。同図に示すように、フロントサイドレール11は、車両の幅方向の外側に位置するアウターレール21と、車両の幅方向の内側に位置するインナーレール22とを結合することによって構成されている。
【0026】
アウターレール21は、側板23と、側板23の上下端にそれぞれ設けられたフランジ部24,25とを有し、断面C字状をなしている。インナーレール22は、アウターレール21と同様に、側板26と、側板26の上下端にそれぞれ設けられたフランジ部27,28とを有し、断面C字状をなしている。フロントサイドレール11は、アウターレール21のフランジ部24,25上にインナーレール22のフランジ部27,28を重ねた状態でこれらを結合することにより、断面矩形の中空部材となっている。
【0027】
このフロントサイドレール11の前方部分11aには、車両の幅方向に切欠部30が設けられている。切欠部30は、フロントサイドレール11の先端から一定の間隔をもってインナーレール22の角部に形成されている。図3の例では、側板26と上側のフランジ部27とがなす角部22a、及び側板26と下側のフランジ部28とがなす角部22bの双方に矩形の切欠部30,30が設けられている。切欠部30の位置では、インナーレール22側からフロントサイドレール11の内部空間が露出した状態となっている。車両の前後方向に対する2つの切欠部30,30の位置は、互いに等しくなっている。また、車両の前後方向に対する2つの切欠部30,30の幅も互いに等しくなっている。
【0028】
インナーレール22の上面側のフランジ部27は、切欠部30を跨いで車両の前後方向に延在している。より具体的には、このフランジ部27は、フロントサイドレール11の先端から切欠部30を超えて延びている。切欠部30よりも後方側では、フランジ部27の幅が徐々に小さくなっている。フランジ部27が無い後方部分では、インナーレール22が側板26及び下面側のフランジ部28のみで構成されている。したがって、切欠部30のよりも後方側では、フロントサイドレール11の上面は、アウターレール21の上面側のフランジ部24のみによって形成されている。
【0029】
また、図1及び図2に示すように、上述したクロスメンバ4は、フロントサイドレール11における切欠部30よりも後方側の部分同士を結ぶように車両の幅方向に設けられている。さらに、本実施形態では、上述したサスペンションメンバ9の前方部分9aとフロントサイドレール11の前方部分11aとの接続位置P1が、フロントサイドレール11とクロスメンバ4との接続位置P2と一致している。切欠部30と接続位置P1,P2とは、隣接していてもよく、一定の間隔をもって離間していてもよい。
【0030】
以上説明したように、車両のフレーム構造1では、フロントサイドレール11の前方部分11aにおいて、車両の幅方向に切欠部30が設けられている。この切欠部30により、車両の前方衝突の際に、フロントサイドレール11における切欠部30よりも前方の部分が積極的に潰れ易くなっており、衝撃吸収の効率を向上することができる。したがって、補強部品などの別部材の追加による構成の複雑化及び高重量化を回避しつつ、前方衝突に対する上下キック部13の変形及び破損を抑制できる。
【0031】
本実施形態では、フロントサイドレール11は、車両の幅方向の外側に位置するアウターレール21と、車両の幅方向の内側に位置するインナーレール22との結合によって断面矩形の中空部材となっている。そして、切欠部30は、インナーレール22の角部22a,22aに形成されている。このように切欠部30をインナーレール22の角部22a,22aに形成することで、フロントサイドレール11の剛性の担保と前方衝突時の潰れ易さとの両立が図られる。また、前方衝突によって潰れる部分が車両の幅方向の外側に広がることを抑制できる。これにより、衝撃吸収の効率の低下を抑制できる。
【0032】
本実施形態では、インナーレール22の上面側に切欠部30を跨いで車両の前後方向に延在するフランジ部27が設けられている。これにより、前方衝突によって潰れる部分が車両の上方に広がることを抑制できる。したがって、フロントサイドレール11の上方に位置するキャブ7への衝突の影響を緩和することができる。
【0033】
本実施形態では、フロントサイドレール11における切欠部30よりも後方側の部分同士を結ぶように、車両の幅方向にクロスメンバ4が設けられている。このクロスメンバ4の配置により、前方衝突によってフロントサイドレール11,11が車両の幅方向に広がることを抑制できる。これにより、前方衝突の際にフロントサイドレール11における切欠部30よりも前方の部分がより効率的に潰れるため、衝撃吸収の効率を一層高めることができる。
【0034】
本実施形態では、フロントサイドレール11における切欠部30よりも後方側の部分と、リアサイドレール12の前方部分12aとを接続するサスペンションメンバ9が設けられている。これにより、前方衝突の際にフロントサイドレール11に加わる衝突エネルギーを、サスペンションメンバ9を介してリアサイドレール12に分散することができる。したがって、上下キック部13の変形及び破損を一層確実に抑制できる。また、前方衝突の際にフロントサイドレール11が車両の上方に広がることを抑制できるため、フロントサイドレール11の上方に位置するキャブ7への衝突の影響をより確実に緩和することができる。
【0035】
本実施形態では、リアサイドレール12において、レール間隔をフロントサイドレール11,11のレール間隔よりも大きくすることによってフレーム幅を広くした幅広部Kが上下キック部13に隣接して設けられている。そして、サスペンションメンバ9は、幅広部Kのクロスメンバ5を介してリアサイドレール12の前方部分12aと接続されている。幅広部Kは、例えば車両が電動車両である場合のバッテリ等の配置スペースの確保と、車両の低床化による積載量の確保との両立に資する。一方、幅広部Kを構成するクロスメンバ5を介してサスペンションメンバ9をリアサイドレール12の前方部分12aと接続することで、前方衝突の際のクロスメンバ5の変形或いは破損を抑制できる。これにより、配置スペース内の車載物の保護が図られる。
【0036】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、フロントサイドレール11の前方部分11aにおいて、インナーレール22側に切欠部30が設けられているが、アウターレール21側に切欠部30が設けられていてもよい。切欠部30は、必ずしも角部22a,22bの双方に設けられている必要はなく、角部22a,22bの一方のみに設けられていてもよい。切欠部30は、角部22a,22bではなく、側板26に設けられていてもよい。フロントサイドレール11は、必ずしもアウターレール21とインナーレール22とによって構成されている必要はなく、一つの中空部材によって構成されていてもよい。
【0037】
サスペンションメンバ9の前方部分9aとフロントサイドレール11の前方部分11aとの接続位置P1は、必ずしもフロントサイドレール11とクロスメンバ4との接続位置P2と一致していなくてもよい。例えばサスペンションメンバ9の前方部分9aとフロントサイドレール11の前方部分9aとの接続位置P1は、フロントサイドレール11とクロスメンバ4との接続位置P2よりも後方側に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…車両のフレーム構造、2…サイドレール、4…クロスメンバ(第1のクロスメンバ)、5…クロスメンバ(第2のクロスメンバ)、6…前輪、7…キャブ、8…荷台、9…サスペンションメンバ、11…フロントサイドレール、11a…前方部分、12…リアサイドレール、12a…前方部分、13…上下キック部、21…アウターレール、22…インナーレール、22a,22b…角部、27…フランジ部、30…切欠部、K…幅広部。
図1
図2
図3