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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142895
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】合成樹脂製の蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65D43/08 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043150
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 和晃
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】
本願発明は、容器本体に嵌合させた際に、嵌合時の音や感触等から嵌合の不具合を確認しやすく、容器本体の開口が歪むことを防止できる、合成樹脂製の蓋体を提供する。
【解決手段】
天面110と、当該天面110の外周111から下方へ延びる側辺部(130、140)と、角部150を備えた合成樹脂製の蓋体100であって、角部150を挟んで両側に隣接する側辺部(130、140)には、内側へ突出する凸リブ(134、144)がそれぞれ形成されており、凸リブ(134、144)同士は、角部150を挟んで互いに離間していると共に、上下方向に同じ高さに又は異なる高さに配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と、当該天面の外周から下方へ延びる側辺部と、角部を備えた合成樹脂製の蓋体であって、
前記角部を挟んで両側に隣接する前記側辺部には、内側へ突出する凸リブがそれぞれ形成されており、
前記凸リブ同士は、前記角部を挟んで互いに離間していると共に、上下方向に同じ高さに又は異なる高さに配置されていることを特徴とする合成樹脂製の蓋体。
【請求項2】
前記凸リブは、前記側辺部において前記角部寄りに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製の蓋体。
【請求項3】
前記凸リブは、当該凸リブが設けられた前記側辺部において、上下方向に、少なくとも2つ以上設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製の蓋体。
【請求項4】
前記側辺部は、平面視で外側へ膨らむ形状をしていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の合成樹脂製の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、合成樹脂製の蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜やご飯等の食品を収容する合成樹脂製の容器本体と、当該容器本体に嵌合可能な合成樹脂製の蓋体が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
また、近年の環境問題から、脱プラスチックやプラスチック削減を目指すため、合成樹脂製の容器本体の代わりに、紙製の容器本体の利用が検討されている。例えば、非特許文献1に示すように、壁面が上に広がって形成された紙製の容器本体が知られている。そして、この紙製の容器本体には、一般的に、非特許文献1や特許文献1に示すような合成樹脂製の蓋体が載せられており、さらに、蓋体が不用意に外れないように、蓋体と容器本体とを留めるためのテープ等が併用されている。
【0004】
ただ、従来のように、紙製の容器本体に合成樹脂製の蓋体を載せて取り付ける場合は、合成樹脂製の容器本体に合成樹脂製の蓋体を嵌合させる場合と比較して、嵌合時の抵抗が小さく、嵌合時の音や感触等から、嵌合の不具合を確認することが難しいという問題があった。一方、特許文献2に示すような合成樹脂製の蓋体では、紙製の容器本体と噛み合うように、蓋体の内側の全周にわたり突起が形成されているので、嵌合時の抵抗が大きくなっている。しかし、紙製の容器本体の開口全体に突起が噛み合って嵌合されてしまうので、紙製の容器本体の開口が歪んでしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60―172643
【特許文献2】実開昭50―47801
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社折兼「weeco vol.2」電子カタログ(2020年11月4日発行)「テーパーボックス11―11 未晒」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、容器本体に嵌合させた際に、嵌合時の音や感触等から嵌合の不具合を確認しやすく、容器本体の開口が歪むことを防止できる、合成樹脂製の蓋体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る合成樹脂製の蓋体は、天面と、当該天面の外周から下方へ延びる側辺部と、角部を備えた合成樹脂製の蓋体であって、前記角部を挟んで両側に隣接する前記側辺部には、内側へ突出する凸リブがそれぞれ形成されており、前記凸リブ同士は、前記角部を挟んで互いに離間していると共に、上下方向に同じ高さに又は異なる高さに配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、容器本体の角部の両側を、蓋体の両側の凸リブで挟むように係合することで、嵌合時の感触が強く伝わり、さらに、嵌合時の音も認識しやすく、嵌合時の音や感触等から嵌合の不具合を確認しやすいのである。さらに、蓋体の両側の凸リブは、角部を挟んで互いに離間しているので、蓋体の角部に対応する容器本体の角部に当接することがなく、蓋体を容器本体に嵌合させても、容器本体の開口の形状が歪むことを防止できる。
【0010】
さらに、本願発明の請求項2に係る合成樹脂製の蓋体は、前記凸リブは、前記側辺部において前記角部寄りに設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、側辺部において、凸リブが設けられていない部分では、蓋体と容器本体とをテープ止めやサイドシュリンク等で密閉させやすい。
【0012】
さらに、本願発明の請求項3に係る合成樹脂製の蓋体は、前記凸リブは、当該凸リブが設けられた前記側辺部において、上下方向に、少なくとも2つ以上設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、上下に配置された凸リブが、容器本体の壁面とより広い面積で係合するので、蓋体と容器本体との嵌合がより強固になる。
【0014】
さらに、本願発明の請求項4に係る合成樹脂製の蓋体は、前記側辺部は、平面視で外側へ膨らむ形状をしていることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、嵌合時に、容器本体の壁面が外側に膨らむように湾曲した形状を維持しやすいため、蓋体の側辺部と容器本体の壁面とが互いに強く当接でき、互いの係合を強く維持できる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の合成樹脂製の蓋体は、容器本体に嵌合させた際に、嵌合時の音や感触等から嵌合の不具合を確認しやすく、容器本体の開口が歪むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、本願発明の実施形態1に係る蓋体の平面図、(b)は、蓋体の角部周辺を拡大した斜視図である。
図2】(a)は、蓋体の正面図、(b)は、図1(a)のA-A端面図、(c)は、図1(a)のB-B端面図である。
図3】(a)は、容器本体の平面図、(b)は、容器本体の正面図、(c)は、C-C端面図である。
図4】(a)は、包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の角部付近を拡大した斜視図である。
図5】(a)は、包装用容器の正面図、(b)は、図4(a)のD―D端面図、(c)は、図4(a)のE―E端面図、(d)は、図4(a)のF―F端面図である。
図6】(a)は、本願発明の実施形態2に係る蓋体の平面図、(b)は、蓋体の角部周辺を拡大した斜視図である。
図7】(a)は、蓋体の正面図、(b)は、蓋体の側面図である。
図8】(a)は、図6(a)のG―G端面図、(b)は、図6(a)のH-H端面図である。
図9】(a)は、容器本体の平面図、(b)は容器本体の正面図、(c)は容器本体の側面図である。
図10】(a)は、図9(a)のI-I端面図、(b)は、図9(a)のJ-J端面図である。
図11】(a)は、包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の角部付近を拡大した斜視図である。
図12】(a)は、包装用容器の正面図、(b)は、包装用容器の側面図である。
図13】(a)は、図11(a)のK―K端面図、(b)は、図11(a)のL―L端面図である。
【符号の説明】
【0018】
110 天面
111 外周
130 側辺部
134 凸リブ
140 側辺部
144 凸リブ
150 角部

【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、合成樹脂製の蓋体の開口面を下にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことであり、「横」とは水平方向に向かう方向のことである。
【0020】
<実施形態1>
まず、図1及び図2には、本願発明の実施形態1に係る蓋体100を示す。なお、図1(a)は、蓋体100の平面図、図1(b)は、蓋体100の角部周辺を拡大した斜視図、図2(a)は、蓋体100の正面図、図2(b)は、図1(a)のA-A端面図、図2(c)は、図1(a)のB-B端面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、蓋体100は下方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な天面110と、天面110の外周111の一方側から斜め下方へ向けて延出する側辺部130と、天面110の外周111の他方側から斜め下方へ向けて延出する側辺部140とを備える。そして、一方側の側辺部130と他方側の側辺部140は、角部150を挟んで互いに連結されている。また、一方側の側辺部130と他方側の側辺部140のぞれぞれは、図1(a)に示すように、平面視で外側に膨らむように湾曲した形状をしている。また、天面110の外周111の隅にズレ防止部121が、天面110の表面から上方へ突出するように設けられおり、後述する容器本体200を段積みした際に、段積みされた上方の容器本体200が、下方の蓋体100の上で横ずれしないようにしている。
【0022】
さらに、側辺部130は、後述する容器本体200の開口端部に当接する段状の当接部131と、容器本体200の開口端部に覆い被さるスカート部132と、スカート部132の下端から側方へ延出する鍔部133とを備え、側辺部130のスカート部132には、内側へ突出する凸リブ134が設けられている。また、図2(c)に示すように、スカート部132の凸リブ134が設けられていない部分は、下方へ垂下している。この凸リブ134は、側辺部130の延出方向に沿って短尺状に形成されると共に、角部150に隣接するように角部150寄りのみに形成されている。なお、凸リブ134は、角部150寄りにのみ短尺状に形成されているが、これに限定されず、凸リブ134は、側辺部130の延出方向に沿って、側辺部130の両端まで延びるように長尺状に形成されてもよい。
【0023】
また、一方側の側辺部130と同様に、図1(b)に示すように、他方側の側辺部140も、後述する容器本体200の開口端部に当接する段状の当接部141と、容器本体200の開口端部に覆い被さるスカート部142と、スカート部142の下端から側方へ延出する鍔部143とを備え、側辺部140のスカート部142には、内側へ突出する凸リブ144が設けられている。この凸リブ144は、側辺部140の延出方向に沿って短尺状に形成されると共に、角部150に隣接するように角部150寄りのみに形成されている。なお、凸リブ144は、角部150寄りにのみ短尺状に形成されているが、これに限定されず、凸リブ144は、側辺部140の延出方向に沿って、側辺部140の両端まで延びるように長尺状に形成されてもよい。
【0024】
また、一方側の側辺部130と他方側の側辺部140は、角部150を挟んで両側に隣接しており、それぞれに設けられた凸リブ134と凸リブ144は、角部150を挟んで互いに離間している。つまり、凸リブ134と凸リブ144は、角部150を横断するように形成されておらず、凸リブ134と凸リブ144は、角部150に重ならないように角部150を避けるように、角部150の両側に形成されている。さらに、凸リブ134が配置されている高さH1(言い換えると、側辺部130の下端からの高さH1)は、凸リブ144が配置されている高さH2(言い換えると、側辺部140の下端からの高さH2)と等しく、凸リブ134と凸リブ144は、上下方向に同じ高さに配置されている。
【0025】
なお、蓋体100は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視正方形、平面視五角形など、蓋体100は角部150を備えた平面視多角形であれば、任意の形状とすることが出来る。なお、蓋体100は角部150を備えた平面視多角形であれば、任意の形状とすることが出来るが、少なくとも1つの角部150の両側において、互いに隣接する側辺部のそれぞれに凸リブを備えている。
【0026】
また、蓋体100は、約0.1mmから1.00mm程度の合成樹脂シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形など)されたものであり、例えば、合成樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等からなるシートや、これらのシートを一軸又は二軸延伸させた延伸シートを用いることができる。
【0027】
次に、図3には、本願発明の蓋体100によって被蓋される容器本体200を示す。なお、図3(a)は容器本体200の平面図、図3(b)は、容器本体200の正面図、図3(c)は、C-C端面図である。
【0028】
図3に示すように、容器本体200は上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な底面210と、底面210の外周211の一方側から斜め上方へ向けて延出する壁面230と、底面210の外周211の他方側から斜め上方へ向けて延出する壁面240とを備える。そして、一方側の壁面230と他方側の壁面240は、角部250を挟んで互いに連結されている。また、一方側の壁面230は、図3(a)に示すように、平面視で外側に膨らむように湾曲した形状をしており、一方側の壁面240も、図3(a)に示すように、平面視で外側に膨らむように湾曲した形状をしている。壁面(230、240)が、外側へ膨らむように湾曲しているので、容器本体200内に水分を含む収容物が収容された際に、外側への液漏れを防止できる。
【0029】
なお、容器本体200は、蓋体100と対応するように平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視正方形、平面視五角形など、蓋体100によって被蓋できるように、蓋体100の形状に合わせて任意の形状とすることが出来る。また、両側の壁面230と壁面240は、同じ高さとなっている。また、容器本体200は、厚さが約0.15mmから8.0mm程度の紙製シートを、図3に示すような立体的な形状に折り曲げて形成されたものであり、例えば、紙製シートとしては、紙の種類は特に限定されないが、所望の用途に応じて、クラフト紙、白ボール、マニラボール、カップ原紙、カード紙、アイボリー紙等の板紙、および、前記板紙の片面、若しくは両面に熱可塑性樹脂層を設けた積層体を用いることができる。
【0030】
では次に、本願発明の蓋体100を容器本体200へ嵌合させた包装用容器300について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4(a)は、包装用容器300の平面図、図4(b)は、包装用容器300の角部付近を拡大した斜視図、図5(a)は、包装用容器300の正面図、図5(b)は、図4(a)のD―D端面図、図5(c)は、図4(a)のE―E端面図、図5(d)は、図4(a)のF―F端面図である。
【0031】
図4及び図5に示すように、蓋体100が容器本体200の上から被せられて、蓋体100の角部150が容器本体200の角部250に嵌まり込むように取り付けられる。その際、図5(b)に示すように、蓋体100の一方の側辺部130の凸リブ134が、容器本体200の壁面230に外側から当接する。そして、蓋体100の凸リブ134が、容器本体200の壁面230を内側に押し付けるように係合する。同様に、図5(c)に示すように、蓋体100の他方の側辺部140の凸リブ144が、容器本体200の壁面240に外側から当接する。そして、蓋体100の凸リブ144が、容器本体200の壁面240を内側に押し付けるように係合する。
【0032】
そのため、蓋体100の角部150を挟んで両側に配置された凸リブ134と凸リブ144が、容器本体200の角部250の両側の壁面230と壁面240を、外側から挟むように係合しているので、蓋体100が容器本体200から不用意に外れないように、しっかりと嵌合された状態となっているのである。その際、容器本体200は紙製であっても、折り曲げられた角部250は強度が高いので、その強度が高い角部250の両側を、蓋体100の凸リブ134と凸リブ144とで挟むように係合することで、嵌合時の感触が強く伝わり、さらに、嵌合時の音も認識しやすく、嵌合時の音や感触等から嵌合の不具合を確認しやすいのである。
【0033】
さらに、蓋体100の両側の凸リブ134と凸リブ144は、角部150を挟んで互いに離間しているので、蓋体100の角部150に対応する容器本体200の角部250に当接することがない。そのため、蓋体100を容器本体200に嵌合させても、容器本体200の開口の形状(特に、角部250周辺)が歪むことを防止できるのである。また、蓋体100の両側の凸リブ134と凸リブ144は、角部150を挟んで互いに離間しているので、蓋体100を開閉する際に、容器本体200の尖った部分である角部250に引っかかりにくく、蓋体100の開閉が容易である。
【0034】
また、蓋体100の両側の凸リブ134と凸リブ144が、容器本体200の角部250の両側を外側から挟む(又は、摘まむ)ように内側に押すので、容器本体200の角部250は「くの字」状に僅かに曲げられる、又は、「くの字」状に曲げられる方向に応力がかかる。そのため、角部250の座屈強度が一時的に高められることから、嵌合時の感触が強く伝わり、さらに、嵌合時の音も認識しやすく、また、容器本体200の開口の形状(特に、角部250周辺)が歪むことを防止できるのである。
【0035】
なお、蓋体100は、角部150の両側の凸リブ134と凸リブ144によって、容器本体200にしっかりと嵌合できるため、容器本体200には、蓋体100の凸リブ134と凸リブ144に係合するための特別な構造(例えば、凸リブ134が嵌まり込む溝など)を設ける必要がない。具体的には、容器本体200の壁面230や壁面240は、凹凸がない平面となっているが、角部150の両側の凸リブ134と凸リブ144によって、容器本体200にしっかりと嵌合できている。なお、凸リブ134と凸リブ144は、内側に突出していれば、任意の形状とすることができる。例えば、容器本体200の壁面230や壁面240が凹凸のない平面となっている場合は、図5(b)及び(c)に示すように、凸リブ134と凸リブ144は、壁面230や壁面240と面接触して係合できるように傾斜面状に形成してもよい。なお、蓋体100が嵌合している容器本体200は紙製であるが、これに限定されず、容器本体200は合成樹脂など任意の素材から構成されていてよい。
【0036】
また、蓋体100を容器本体200に被せて取り付けた際は、図5(b)及び(c)に示すように、蓋体100の当接部131と当接部141が、容器本体200の開口端部231と開口端部241にそれぞれ当接しているので、蓋体100が容器本体200上に安定して被せられた状態を維持できる。さらに、図5(b)に示すように、当接部131の下側には、内側へ突出した凸リブ134によって窪み部135が形成されており、その窪み部135に容器本体200の開口端部231が入り込んでいる。そのため、窪み部135に入り込んだ容器本体200の開口端部231は、当接部131と凸リブ134とで囲まれて上下左右にズレにくく、蓋体100が容器本体200に被せられた状態を安定して維持できる。同様に、図5(c)に示すように、当接部141の下側には、内側へ突出した凸リブ144によって窪み部145が形成されており、その窪み部145に容器本体200の開口端部241が入り込んでいる。そのため、窪み部145に入り込んだ容器本体200の開口端部241は、当接部141と凸リブ144とで囲まれて上下左右にズレにくく、蓋体100が容器本体200に被せられた状態を安定して維持できる。
【0037】
また、凸リブ134は角部150寄りにのみ設けられているので、図5(d)に示すように、凸リブ134が設けられていない部分(図5では、スカート部132)は、容器本体200の壁面230に係合しておらず、壁面230を内側に押さえつけるように当接していない。そのため、凸リブ134が設けられていない部分(図5では、スカート部132)と壁面230との間には、互いに係合していない箇所、いわゆる遊びが出来ている。同様に、凸リブ144が設けられていない部分(スカート部142)と壁面240との間には、互いに係合していない箇所、いわゆる遊びが出来ている。
【0038】
しかしながら、蓋体100の角部150の両側の凸リブ134と凸リブ144によって、容器本体200としっかり嵌合しているので、蓋体100が容器本体200から不用意に外れることはないのである。また、図5(d)に示すように、凸リブ134が設けられていない部分(図5では、スカート部132)では、蓋体100と容器本体200とをテープ止めやサイドシュリンクで密閉させることもできる。その際、凸リブ134が設けられていない部分と壁面230との間には、互いに係合していない箇所、いわゆる遊びが出来ているため、蓋体100と容器本体200とをテープ止めやサイドシュリンクを行いやすいように、その遊びを利用して、容器本体200の壁面230や蓋体100の側辺部130を無理なく僅かに変形させることも出来る。
【0039】
なお、凸リブ134及び凸リブ144は、角部150寄りにのみ短尺状に形成されているが、これに限定されず、凸リブ134及び凸リブ144の少なくとも一方を、側辺部の延出方向に沿って、側辺部の両端まで延びるように長尺状に形成してもよい。例えば、凸リブ134が角部150寄りにのみ短尺状に形成されている場合は、凸リブ134と壁面230との係合面積が狭くなるので、凸リブ134と壁面230との係合を強くするために、凸リブ134の深さ(突出高さ)D1を0.7mmと深く設定している。一方、凸リブ134が、長尺状に形成されている場合は、凸リブ134と壁面230との係合面積が広くなって、全体として係合が強いため、凸リブ134の深さD1を0.5mmと浅く設定している。長尺状に形成された凸リブ134の深さD1を浅くすることで、蓋体100と容器本体200の嵌合時に、浅い凸リブ134が容器本体200の開口を広い範囲で内側に軽く押さえるので、容器本体200の開口の形状が歪むことを効果的に防止できるのである。なお、凸リブ144の深さD1と形状も、上記凸リブ134と同様に適宜変更できる。
【0040】
また、凸リブ134は、側辺部130に1段設けられている、すなわち、上下方向に1つ設けられているが、これに限定されず、側辺部130に2段以上、すなわち、上下方向に2つ以上設けてもよい。凸リブ134を、上下方向に2つ以上設けることで、上下に配置された凸リブ134が壁面230とより広い面積で係合するので、蓋体100と容器本体200との嵌合がより強固になる。同様に、凸リブ144は、側辺部140に1段設けられている、すなわち、上下方向に1つ設けられているが、これに限定されず、側辺部140に2段以上、すなわち、上下方向に2つ以上設けてもよい。このように、角部150の両側に位置する凸リブの一方又は両方は、各凸リブが設けられた側辺部において、上下方向に2つ以上設けてもよいのである。
【0041】
また、蓋体100の側辺部130と側辺部140は、容器本体200の壁面230と壁面240のそれぞれの形状に合わせて、平面視で外側に膨らむように湾曲した形状をしている。そのため、蓋体100と容器本体200を嵌合させても、容器本体200の壁面230と壁面240は、蓋体100の側辺部130と側辺部140によって内側に過度に押さえつけられて変形することがなく、容器本体200の開口の形状が歪むことを防止できるのである。また、嵌合時に、容器本体200の壁面230と壁面240が外側に膨らむように湾曲した形状を維持しやすいため、蓋体100の側辺部130と側辺部140と、容器本体200の壁面230と壁面240とが互いに強く当接でき、互いの係合を強く維持できる。
【0042】
なお、蓋体100の側辺部130と側辺部140は、平面視で外側に膨らむように湾曲した形状をしているが、これに限定されず、側辺部130と側辺部140の少なくとも一方が、平面視で直線状に延出するなど、任意の形状であってもよい。同様に、容器本体200の開口端部231と開口端部241は、平面視で外側に膨らむように湾曲した形状をしているが、これに限定されず、開口端部231と開口端部241の少なくとも一方が、平面視で直線状に延出するなど、任意の形状であってもよい。
【0043】
また、容器本体200の壁面230と壁面240は、蓋体100の側辺部130と側辺部140と強く係合できるように、外側に向けて傾斜しているが、これに限定されず、容器本体200の壁面230と壁面240は、蓋体100の側辺部130と側辺部140とそれぞれ係合できるのであれば、垂直に立設する、又は、さらに外側に大きく傾斜するなど、任意の形状であってもよい。また、容器本体200の壁面230と壁面240は、凹凸のない平面となっているが、これに限定されず、蓋体100の側辺部130と側辺部140と係合できるのであれば、多段の傾斜面を備えるなど、任意の形状であってもよい。また、蓋体100を容器本体200に嵌合させた際に、蓋体100の当接部が容器本体200の開口端部に当接して、蓋体100が傾かないように安定して嵌合させているが、これに限定されず、蓋体100の天面110の一部を容器本体200の開口端部に当接させて、蓋体100が傾かないように安定して嵌合させてもよい。また、蓋体100の4つの角部150全てにおいて、各角部150の両側の側辺部のそれぞれに凸リブを設けているが、これに限定されず、蓋体100の少なくとの一つの角部150において、角部150の両側の側辺部のそれぞれに凸リブを設けてもよい。
【0044】
<実施形態2>
次に、図6から図8には、本願発明の実施形態2に係る蓋体100Aを示す。なお、実施形態2の蓋体100Aに係る構成は、図1及び図2に示す実施形態1に係る蓋体100と、全体形状、及び、凸リブの配置が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る蓋体100と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。なお、図6(a)は、実施形態2に係る蓋体100Aの平面図、図6(b)は、蓋体100Aの角部周辺を拡大した斜視図、図7(a)は、蓋体100Aの正面図、図7(b)は、蓋体100Aの側面図、図8(a)は、図6(a)のG―G端面図、図8(b)は、図6(a)のH-H端面図である。
【0045】
図6及び図7に示すように、蓋体100Aは下方に開口した浅皿型形状であり、平面視略正方形の平坦な天面110Aと、天面110Aの外周111Aの一方側から斜め下方へ向けて延出する側辺部130Aと、天面110Aの外周111Aの他方側から斜め下方へ向けて延出する側辺部140Aとを備える。一方側の側辺部130Aと他方側の側辺部140Aは、角部150Aを挟んで互いに連結されている。また、天面110Aの外周111Aの隅にズレ防止部121Aが、天面110Aの表面から上方へ突出するように設けられている。
【0046】
さらに、側辺部130Aの上端側には、内側へ突出する凸リブ134Aが設けられており、この凸リブ134Aは、側辺部130Aの延出方向に沿って、側辺部130Aの両端まで延びるように直線状に形成されている。同様に、側辺部140Aの下端側には、内側へ突出する凸リブ144Aが設けられており、この凸リブ144Aは、側辺部140Aの延出方向に沿って、側辺部140Aの両端まで延びるように直線状に形成されている。
【0047】
また、一方側の側辺部130Aと他方側の側辺部140Aは、角部150Aを挟んで両側に隣接しており、それぞれに設けられた凸リブ134Aと凸リブ144Aは、角部150Aを挟んで互いに離間している。さらに、凸リブ134Aが配置されている高さH3(言い換えると、側辺部130Aの下端からの高さH3)は、凸リブ144Aが配置されている高さH4(言い換えると、側辺部140Aの下端からの高さH4)よりも大きく、凸リブ134Aと凸リブ144Aは、上下方向に異なる高さに配置されている。
【0048】
次に、図9及び図10には、本願発明の実施形態2に係る蓋体100Aによって被蓋される容器本体200Aを示す。なお、図9(a)は容器本体200Aの平面図、図9(b)は容器本体200Aの正面図、図9(c)は容器本体200Aの側面図、図10(a)は、図9(a)のI-I端面図、図10(b)は、図9(a)のJ-J端面図である。なお、実施形態2に係る容器本体200Aの構成は、図3に示す実施形態1に係る容器本体200と、全体形状、及び、壁面の構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1に係る容器本体200と基本的に同一なので、詳細な説明は省略する。
【0049】
図9に示すように、容器本体200Aは上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略正方形の平坦な底面210Aと、底面210Aの外周211Aの一方側から斜め上方へ向けて延出する壁面230Aと、底面210Aの外周211Aの他方側から斜め上方へ向けて延出する壁面240Aとを備える。そして、一方側の壁面230Aと他方側の壁面240Aは、角部250Aを挟んで互いに連結されている。また、一方側の壁面230Aの開口端部231Aは外側に折り返されており、当該壁面230Aの高さと、他方側の壁面240Aの高さは等しくなっている。
【0050】
では次に、本願発明の実施形態2に係る蓋体100Aを容器本体200Aへ嵌合させた包装用容器300Aについて、図11から図13を参照して説明する。なお、図11(a)は、包装用容器300Aの平面図、図11(b)は、包装用容器300Aの角部付近を拡大した斜視図、図12(a)は、包装用容器300Aの正面図、図12(b)は、包装用容器300Aの側面図、図13(a)は、図11(a)のK―K端面図、図13(b)は、図11(a)のL―L端面図である。
【0051】
図11から図13に示すように、蓋体100Aが容器本体200Aの上から被せられて、蓋体100Aの角部150Aが容器本体200Aの角部250Aに嵌まり込むように取り付けられる。その際、図13(a)に示すように、蓋体100Aの側辺部130Aの凸リブ134Aが、容器本体200Aの壁面240Aに外側から当接する。そして、蓋体100Aの凸リブ134Aが、容器本体200Aの壁面240Aを内側に押し付けるように係合する。同様に、図13(b)に示すように、蓋体100Aの側辺部140Aの凸リブ144Aが、容器本体200Aの壁面240Aに外側から当接する。そして、蓋体100Aの凸リブ144Aが、容器本体200Aの壁面230Aを内側に押し付けるように係合する。そのため、蓋体100Aの角部150Aを挟んで両側に配置された凸リブ134Aと凸リブ144Aが、容器本体200Aの角部250Aの両側の壁面230Aと壁面240Aに外側から挟むように係合しているので、蓋体100Aが容器本体200Aから不用意に外れないように、しっかりと嵌合された状態となっているのである。その際、容器本体200Aは紙製であっても、折り曲げられた角部250Aは強度が高いので、その強度が高い角部250Aの両側を、蓋体100Aの凸リブ134Aと凸リブ144Aとで挟むようにすることで、嵌合時の感触が強く伝わり、さらに、嵌合時の音も認識しやすく、嵌合時の音や感触等から嵌合の不具合を確認しやすいのである。
【0052】
また、図13(b)に示すように、蓋体100Aの凸リブ144Aが、壁面230Aの折り返された開口端部231Aの下側に係止しているので、蓋体100Aが容器本体200Aから不用意に外れないように、しっかりと嵌合された状態を維持できる。このように、蓋体100Aは、容器本体200Aの折り返された開口端部231Aを備える壁面230Aと、折り返されていない開口端部241Aを備える壁面240Aにしっかりと係合できるように、壁面230Aと壁面240Aに対応して、凸リブ134Aと凸リブ144Aを上下方向に異なる高さに配置している。そのため、図13(a)に示すように、上方に位置している凸リブ134Aは、壁面240Aにしっかりと係合している。一方、図13(b)に示すように、下方に位置している凸リブ144Aは、壁面230Aにしっかりと係合しているのである。なお、図13(a)に示すように、壁面240Aの開口端部241Aが、蓋体100Aの天面110Aの一部に当接し、図13(b)に示すように、壁面230Aの開口端部231Aの上端が、蓋体100Aの天面110Aの一部に当接しているので、蓋体100Aが容器本体200Aに被せられた状態を傾かないように安定して維持できる。
【0053】
さらに、蓋体100Aの両側の凸リブ134Aと凸リブ144Aは、角部150Aを挟んで互いに離間しているので、蓋体100Aの角部150Aに対応する容器本体200Aの角部250Aに当接することがない。そのため、蓋体100Aを容器本体200Aに嵌合させても、容器本体200Aの開口の形状(特に、角部250A周辺)が歪むことを防止できるのである。
【0054】
また、凸リブ134Aは、側辺部130Aに1段設けられている、すなわち、上下方向に1つ設けられているが、これに限定されず、側辺部130Aに2段以上、すなわち、上下方向に2つ以上設けてもよい。同様に、凸リブ144Aは、側辺部140Aに1段設けられている、すなわち、上下方向に1つ設けられているが、これに限定されず、側辺部140Aに2段以上、すなわち、上下方向に2つ以上設けてもよい。このように、角部150Aの両側に位置する凸リブの一方又は両方は、各凸リブが設けられた側辺部において、上下方向に2つ以上設けてもよいのである。さらに、側辺部において上下に配置された2つ以上の凸リブが、壁面とより広い面積で係合するので、蓋体100Aと容器本体200Aとの嵌合がより強固になる。
【0055】
また、容器本体200Aのように、折り返された開口端部231Aを有する壁面230Aと、折り返されていない開口端部241Aを有する壁面240Aを備えている場合、蓋体100Aを嵌合する際は、上方に位置している凸リブ134Aが、壁面240Aに係合し、下方に位置している凸リブ144Aが、壁面230Aに係合できるように、蓋体100Aの取付方向を確認する必要がある。しかし、各側辺部において、凸リブが上下方向に2つ以上設けられていると、少なくとも上側の凸リブ又は下側の凸リブが、壁面230Aと壁面240Aのいずれにも係合できるため、蓋体100Aの取付方向を確認する必要がないのである。
【0056】
なお、本願発明の合成樹脂製の蓋体は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13