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特開2022-142912無線通信装置、無線通信方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142912
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20220926BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20220926BHJP
【FI】
H04W48/16 110
H04B1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043181
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 聡
(72)【発明者】
【氏名】深澤 正臣
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭久
(72)【発明者】
【氏名】田上 勝詞
【テーマコード(参考)】
5K011
5K067
【Fターム(参考)】
5K011BA03
5K011CA05
5K011KA15
5K011LA04
5K067AA23
5K067BB12
5K067CC02
5K067EE02
5K067HH22
5K067JJ12
5K067JJ17
(57)【要約】
【課題】信号を受信しているチャンネルを適切にスキャンすること。
【解決手段】無線通信装置は、他の無線通信装置から送信される電波を受信する受信部と、1周期で受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うスキャン部と、受信チャンネルごとにスキャン部で通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するカウント部と、予め設定された第1所定時間内において、検出回数が予め設定された規定回数を超えた受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、規定回数を超えない受信チャンネルの1周期内における探索回数よりも多くなるように設定する設定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線通信装置から送信される電波を受信する受信部と、
1周期で前記受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、前記受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うスキャン部と、
前記受信チャンネルごとに前記スキャン部で通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するカウント部と、
予め設定された第1所定時間内において、前記検出回数が予め設定された規定回数を超えた前記受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの前記1周期内における探索回数よりも多くなるように設定する設定部と、
を備える、無線通信装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記検出回数が前記規定回数を超えた前記受信チャンネルの前記1周期あたりの探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの探索回数の少なくとも2倍に設定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記設定部は、予め設定された第2所定期間経過後、前記複数の受信チャンネルの前記1周期あたりの探索回数を同一に設定する、
請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
他の無線通信装置から送信される電波を受信するステップと、
1周期で受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、前記受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うステップと、
前記受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するステップと、
予め設定された第1所定時間内において、前記検出回数が予め設定された規定回数を超えた前記受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの前記1周期内における探索回数よりも多くなるように設定するステップと、
を含む、無線通信方法。
【請求項5】
他の無線通信装置から送信される電波を受信するステップと、
1周期で受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、前記受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うステップと、
前記受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するステップと、
予め設定された第1所定時間内において、前記検出回数が予め設定された規定回数を超えた前記受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの前記1周期内における探索回数よりも多くなるように設定するステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の受信チャンネルを有する無線通信装置において、チャンネルのスキャンに要する待機時間を減らすことのできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-164496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の受信チャンネルをスキャンする場合、チャンネル数が多くなると、あるチャンネルで信号を受信していても、チャンネルを順番にスキャンするため、信号を受信していることを検出するまでに時間が掛かることがある。その結果、信号を受信したとしても、信号の最初の部分が受信できずに、音声の頭の部分を聞くことのできない、所謂音声の頭切れが起こる可能性がある。チャンネルが検出した信号を適切にスキャンすることのできる技術が望まれている。
【0005】
本発明は、信号を受信しているチャンネルを適切にスキャンすることのできる無線通信装置、無線通信方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線通信装置は、他の無線通信装置から送信される電波を受信する受信部と、1周期で前記受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、前記受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うスキャン部と、前記受信チャンネルごとに前記スキャン部で通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するカウント部と、予め設定された第1所定時間内において、前記検出回数が予め設定された規定回数を超えた前記受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの前記1周期内における探索回数よりも多くなるように設定する設定部と、を備える。
【0007】
本発明に係る無線通信方法は、他の無線通信装置から送信される電波を受信するステップと、1周期で受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、前記受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うステップと、前記受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するステップと、予め設定された第1所定時間内において、前記検出回数が予め設定された規定回数を超えた前記受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの前記1周期内における探索回数よりも多くなるように設定するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、他の無線通信装置から送信される電波を受信するステップと、1周期で受信部に予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、前記受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する探索処理を複数周期行うステップと、前記受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した検出回数をカウントし、記憶部に記憶するステップと、予め設定された第1所定時間内において、前記検出回数が予め設定された規定回数を超えた前記受信チャンネルについて、1周期内における探索回数を、前記規定回数を超えない前記受信チャンネルの前記1周期内における探索回数よりも多くなるように設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信号を受信しているチャンネルを適切にスキャンすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係るスキャン処理を説明するための図である。
図3図3は、第1実施形態に係る通信キャリアのカウント結果を説明するための図である。
図4図4は、第1実施形態に係る通信キャリアの探索シーケンスを変更する方法を説明するための図である。
図5図5は、第1実施形態に係る探索シーケンスを変更後のスキャン処理を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係る無線通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態に係る通信キャリアのカウント結果を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る通信キャリアの探索シーケンスを変更する方法を説明するための図である。
図9図9は、第2実施形態に係る探索シーケンスを変更後のスキャン処理を説明するための図である。
図10図10は、第2実施形態に係る無線通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1を用いて、第1実施形態に係る無線通信装置の構成例について説明する。図1は、第1実施形態に係る構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、無線通信装置10は、通信部12と、操作部14と、マイク16と、スピーカ18と、表示部20と、記憶部22と、制御部24と、を含む。無線通信装置10は、例えば、携帯型の無線通信装置、スマートフォン、タブレット端末などを含むが、これらに限定されない。
【0014】
通信部12は、遠距離無線通信を実行する機能を有する。遠距離無線通信としては、例えば、APCO-P25(Association of Public safety Communications Officials international Project 25)およびNXDN(登録商標)といったデジタル業務無線が挙げられる。遠距離無線通信は、携帯電話網等による通信であってもよい。通信部12は、受信部12aと、送信部12bとを有する。
【0015】
受信部12aは、他の無線通信装置からの音声信号を含む各種の電波を受信する。受信部12aは、受信可能な電波の周波数が複数設定されている。受信部12aが受信可能な電波の周波数は、チャンネルとも呼ばれる。
【0016】
送信部12bは、他の無線通信装置に対して音声信号を含む各種の電波を送信する。
【0017】
操作部14は、無線通信装置10に対する各種の操作を受け付ける。操作部14は、例えば、ボタン、スイッチ、レバー、テンキー、タッチパネル、およびPTT(Push to Talk)ボタンなどを含む。
【0018】
マイク16は、無線通信装置10の周囲の音声を収音する。マイク16は、例えば、ユーザの音声を収音して音声信号に変換する。
【0019】
スピーカ18は、種々の音声を出力する。スピーカ18は、例えば、他の無線通信装置10から受信した音声信号を、音声として出力する。
【0020】
表示部20は、各種の情報を表示する。表示部20は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイを含む。表示部20は、例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光部を含む。なお、表示部20は、操作部14としてタッチパネル等を用いて、操作部14を一体的に構成してもよい。
【0021】
記憶部22は、各種の情報を記憶するメモリである。記憶部22は、例えば、制御部24の演算内容およびプログラムなどの情報を記憶する。記憶部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0022】
制御部24は、無線通信装置10の各部の動作を制御する。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部22などに記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部24は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部24は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0023】
制御部24は、スキャン部30と、カウント部32と、設定部34と、操作制御部36と、音声信号取得部38と、出力制御部40と、を備える。
【0024】
スキャン部30は、受信チャンネルに割り当てられた受信周波数のスキャンを実行する。スキャン部30は、例えば、受信部12aに予め設定された複数の受信チャンネルを順次切り替えて、予め設定された全ての受信チャンネルごとに通信キャリアの有無を探索する。スキャン部30は、例えば、予め設定された全ての受信周波数ごとに通信キャリアの有無を探索する処理を1周期として、複数周期にわたってスキャンを実行する。第1実施形態に係るスキャン部30の具体的な処理については、後述する。
【0025】
カウント部32は、受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した回数をカウントする。カウント部32は、例えば、スキャン部30が複数周期にわたってスキャンを実行した場合、複数周期で受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した回数をカウントする。カウント部32は、受信チャンネルごとのカウント結果を、記憶部22に記憶させる。第1実施形態に係るカウント部32の具体的な処理については、後述する。
【0026】
設定部34は、スキャン処理の探索シーケンスを設定する。設定部34は、例えば、カウント部32の受信チャンネルごとに通信キャリアを検出した回数のカウント結果に基づいて、スキャン部30がスキャンをする受信チャンネルのうち、1周期において所定の受信チャンネルをスキャンする回数を変更する。本実施形態に係る設定部34の具体的な処理については、後述する。
【0027】
操作制御部36は、操作部14が受け付けた各種の操作に関する操作情報を取得する。音声信号取得部38は、マイク16から音声信号を取得する。出力制御部40は、スピーカ18を制御して、各種の音声を出力させる。出力制御部40は、表示部20を制御して、各種の情報を表示させる。
【0028】
[スキャン処理]
次に、第1実施形態に係るスキャン処理について説明する。以下では、受信部12aに予め設定された受信周波数は、10個であるものして説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0029】
図2を用いて、第1実施形態に係るスキャン処理について説明する。図2は、第1実施形態に係るスキャン処理を説明するための図である。
【0030】
図2に示すように、スキャン部30は、スキャン処理が開始されると、第1チャンネルをスキャンする(ステップS10)。次に、スキャン部30は、第2チャンネルをスキャンする(ステップS12)。次に、スキャン部30は、第3チャンネルをスキャンする(ステップS14)。次に、スキャン部30は、第4チャンネルをスキャンする(ステップS16)。次に、スキャン部30は、第5チャンネルをスキャンする(ステップS18)。次に、スキャン部30は、第6チャンネルをスキャンする(ステップS20)。次に、スキャン部30は、第7チャンネルをスキャンする(ステップS22)。次に、スキャン部30は、第8チャンネルをスキャンする(ステップS24)。次に、スキャン部30は、第9チャンネルをスキャンする(ステップS26)。次に、スキャン部30は、第10チャンネルをスキャンする(ステップS28)。すなわち、スキャン部30は、第1チャンネルから第10チャンネルまでを順にスキャンする。第1チャンネルから第10チャンネルは、それぞれ、異なる受信周波数が設定されていてもよいし、同じ受信周波数が設定されているチャンネルがあってもよい。スキャン部30は、第1チャンネルから第10チャンネルまでを順にスキャンする処理を1周期として、複数周期にわたってスキャン処理を実行する。
【0031】
カウント部32は、スキャン部30が第1チャンネルから第10チャンネルをスキャンした結果、通信キャリアが検出された回数をチャンネルごとにカウントする。カウント部32は、複数周期にわたってスキャン部30が第1チャンネルから第10チャンネルをスキャンした結果、通信キャリアが検出された回数をチャンネルごとにカウントする。カウント部32は、第1チャンネルから第10チャンネルごとに通信キャリアが検出された回数を記憶部22に記憶する。
【0032】
図3を用いて、第1実施形態に係る通信キャリアのカウント結果について説明する。図3は、第1実施形態に係る通信キャリアのカウント結果を説明するための図である。
【0033】
図3は、所定時間内におけるチャンネルごとの通信キャリアのカウント結果22aを示す。カウント結果22aに示すように、第1チャンネルの検出回数は、1回である。第2チャンネルの検出回数は、0回である。第3チャンネルの検出回数は、4回である。第4チャンネルの検出回数は、2回である。第5チャンネルの検出回数は、3回である。第6チャンネルの検出回数は、2回である。第7チャンネルの検出回数は、0回である。第8チャンネルの検出回数は、10回である。第9チャンネルの検出回数は、3回である。第10チャンネルの検出回数は、1回である。
【0034】
設定部34は、所定時間内において、通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルがあるか否かを判定する。所定時間は、例えば、30秒、1分、10分、30分、60分などユーザが任意に設定することができる。所定時間は、例えば、無線通信装置10が電波を受信する頻度に応じて設定すればよい。所定時間は、例えば、無線通信装置10が頻繁に電波を受信するのであれば比較的短めに設定し、無線通信装置10が電波を受信する頻度が低ければ比較的長めに設定するとよい。ここでの所定時間は、第1所定時間とも呼ばれる。所定回数は、例えば、10回、50回、100回などユーザが任意に設定することができる。第1実施形態では、設定部34は、所定時間内において、通信キャリアの検出回数が10回以上のチャンネルがあるか否かを判定する。図3に示すように、設定部34は、第8チャンネルの通信キャリアの検出回数が10回であることを検出する。この場合、設定部34は、無線通信装置10では、第8チャンネルの通信が多いと判断する。ただし、検出回数が10回以上のチャンネルが複数ある場合は、最も検出回数の多いチャンネルを選択すればよい。
【0035】
[探索シーケンス変更方法]
図4を用いて、第1実施施形態に係る通信キャリアの探索シーケンスを変更する方法について説明する。図4は、第1実施形態に係る通信キャリアの探索シーケンスを変更する方法を説明するための図である。
【0036】
図4に示すように、設定部34は、通信が多いチャンネルと判定された第8チャンネルを起点として、各チャンネルに番号を付ける。設定部34は、第8チャンネルに「1」を付ける。設定部34は、第9チャンネルに「2」を付ける。設定部34は、第10チャンネルに「3」を付ける。設定部34は、第1チャンネルに「4」を付ける。設定部34は、第2チャンネルに「5」を付ける。設定部34は、第3チャンネルに「6」を付ける。設定部34は、第4チャンネルに「7」を付ける。設定部34は、第5チャンネルに「8」を付ける。設定部34は、第6チャンネルに「9」を付ける。設定部34は、第7チャンネルに「10」を付ける。
【0037】
設定部34は、チャンネル数を2で割って中心番号を算出する。第1実施形態では、チャンネル数は10なので、設定部34は、「10÷2=5」のように、中心番号を5と算出する。
【0038】
設定部34は、第8チャンネルを起点として付けた番号において、中心番号の後に第8チャンネルを追加して、1周期で第8チャンネルを2回スキャンするように探索シーケンスを変更する。図4に示す例では、設定部34は、第2チャンネルの後ろに第8チャンネルを追加して、1周期で第8チャンネルを2回スキャンするように探索シーケンスを変更する。すなわち、設定部34は、チャンネル数に基づいて、探索シーケンスを変更する。
【0039】
図5を用いて、第1実施形態に係る探索シーケンスを変更後のスキャン処理について説明する。図5は、第1実施形態に係る探索シーケンスを変更後のスキャン処理を説明するための図である。
【0040】
図5に示すように。スキャン部30は、スキャン処理が開始されると、第1チャンネルをスキャンする(ステップS30)。次に、スキャン部30は、第2チャンネルをスキャンする(ステップS32)。次に、スキャン部30は、第8チャンネルをスキャンする(ステップS34)。次に、スキャン部30は、第3チャンネルをスキャンする(ステップS36)。次に、スキャン部30は、第4チャンネルをスキャンする(ステップS38)。次に、スキャン部30は、第5チャンネルをスキャンする(ステップS40)。次に、スキャン部30は、第6チャンネルをスキャンする(ステップS42)。次に、スキャン部30は、第7チャンネルをスキャンする(ステップS44)。次に、スキャン部30は、第8チャンネルをスキャンする(ステップS46)。次に、スキャン部30は、第9チャンネルをスキャンする(ステップS48)。次に、スキャン部30は、第10チャンネルをスキャンする(ステップS50)。
【0041】
図5に示すように、スキャン部30は、変更後の探索シーケンスでは、通信が多いチャンネルと判定された第8チャンネルを1周期で2回スキャンする。これにより、第8チャンネルで通信をする場合に、音声の頭切れを防ぐことができる。
【0042】
設定部34は、所定時間経過後に各チャンネルの通信キャリアの検出回数をリセットする。ここでの所定時間は、第2所定時間とも呼ばれる。第2所定時間は、ユーザが任意に設定してよい。具体的には、設定部34は、図3に示すカウント結果の各チャンネルの通信キャリアの検出回数を0回にする。このとき、設定部34は、図5に示した探索シーケンスは元に戻さずに、1周期で第8チャンネルを2回スキャンする探索シーケンスを維持する。設定部34は、検出回数をリセットした後に、所定時間内に通信キャリアを10回検出した新たなチャンネルが現れた場合に、1周期で第8チャンネルを2回スキャンする探索シーケンスを終了し、図3図4とに示した処理と同様にして、新たなチャンネルを2回スキャンする探索シーケンスに変更する。
【0043】
なお、図3から図5に示した処理では、通信が多いと判定されたチャンネルを1周期で2回スキャンするように探索シーケンスを変更したが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本発明では、通信が多いと判定されたチャンネルを1周期で3回以上スキャンするように、探索シーケンスを変更してもよい。
【0044】
[処理内容]
図6を用いて、第1実施形態に係る無線通信装置の処理内容について説明する。図6は、第1実施形態に係る無線通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0045】
制御部24は、スキャン処理を開始する(ステップS100)。具体的には、スキャン部30は、ユーザからの操作に従って、受信部12aに設定されている全てのチャンネルについて、順次、通信キャリアの有無を検出するためにスキャンを実行する。そして、ステップS102に進む。
【0046】
制御部24は、チャンネルごとに通信キャリアの検出回数をカウントする(ステップS102)。具体的には、カウント部32、スキャン部30が複数の周期にわたってスキャンを行うので、スキャンを実行した結果、チャンネルごとの通信キャリアの検出回数をカウントして、カウント結果を記憶部22に記憶する。そして、ステップS104に進む。
【0047】
制御部24は、第1所定時間経過したか否かを判定する(ステップS104)。第1所定時間経過したと判定された場合(ステップS104;Yes)、ステップS106に進む。第1所定時間経過したと判定されない場合(ステップS104;No)、ステップS112に進む。
【0048】
ステップS104でYesと判定された場合、制御部24は、通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルがあるか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、設定部34は、カウント部32のカウント結果に基づいて、第1所定時間内における通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルがあるか否かを判定する。通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルがあると判定された場合(ステップS106;Yes)、ステップS108に進む。通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルがあると判定されなかった場合(ステップS106;No)、ステップS112に進む。
【0049】
ステップS106でYesと判定された場合、制御部24は、探索シーケンスを変更する(ステップS108)。具体的には、設定部34は、ステップS106で検出回数が規定回数以上であると判定されたチャンネルが1周期でスキャンされる回数を他のチャンネルよりも多くなるように、探索シーケンスを変更する。そして、ステップS110に進む。
【0050】
制御部24は、通信キャリアの検出回数をリセットする(ステップS110)。具体的には、設定部34は、第2所定期間経過後に、カウント部32のチャンネルごとの通信キャリアの検出回数を0にする。そして、ステップS112に進む。
【0051】
ステップS104でNo、ステップS106でNo、またはステップS110の後、制御部24は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS112)。具体的には、制御部24は、電波の受信を行わない旨の操作を受け付けた場合、無線通信装置10の電源をオフにする操作を受け付けた場合に処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS112;No)、図6の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS112;Yes)、ステップS100に進む。
【0052】
上述のとおり、第1実施形態では、通信が多いと判定されたチャンネルの1周期のスキャンの回数を多くすることができる。これにより、第1実施形態では、通信が多いと判定されたチャンネルで受信した音声信号の頭切れを防止することができる。したがって、第1実施形態では、通信が多いと判定されたチャンネルで適切に音声通話をすることができる。
【0053】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、1周期でスキャンする回数を多くするチャンネルが複数である場合の処理を説明する。具体的には2つのチャンネルについて、1周期でスキャンする回数を多くする。第2実施形態に係る無線通信装置の構成は、図1に示す無線通信装置10の構成と同一なので、説明を省略する。
【0054】
図7を用いて、第2実施形態に係る通信キャリアのカウント結果について説明する。図7は、第2実施形態に係る通信キャリアのカウント結果を説明するための図である。
【0055】
図7は、所定時間内におけるチャンネルごとの通信キャリアのカウント結果22bを示す。カウント結果22bに示すように、第1チャンネルの検出回数は、1回である。第2チャンネルの検出回数は、0回である。第3チャンネルの検出回数は、4回である。第4チャンネルの検出回数は、2回である。第5チャンネルの検出回数は、10回である。第6チャンネルの検出回数は、2回である。第7チャンネルの検出回数は、0回である。第8チャンネルの検出回数は、10回である。第9チャンネルの検出回数は、3回である。第10チャンネルの検出回数は、1回である。
【0056】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、設定部34は、所定時間内において、通信キャリアの検出回数が10回以上のチャンネルがあるか否かを判定する。図6に示すように、設定部34は、第5チャンネルおよび第8チャンネルの通信キャリアの検出回数が10回であることを検出する。この場合、設定部34は、無線通信装置10では、第5チャンネルおよび第8チャンネルの通信が多いと判断する。ただし、検出回数が10回以上のチャンネルが3つ以上ある場合は、検出回数の多い上位2つのチャンネルを選択すればよい。
【0057】
[探索シーケンス変更方法]
設定部34は、第5チャンネルおよび第8チャンネルの1周期のスキャンの回数を多くするように探索シーケンスを変更する。まず、設定部34は、1つ目のチャンネルについて、この場合、第8チャンネルを第1実施例と同様に図3および図4で示した処理に従って、1周期のスキャンの回数を多くするように探索シーケンスを変更する。
【0058】
次いで、第2実施施形態に係る2つ目のチャンネルの通信キャリアの探索シーケンスを変更する方法について図8を用いて説明する。図8は、第2実施形態に係る2つ目のチャンネルの通信キャリアの探索シーケンスを変更する方法を説明するための図である。
【0059】
図8に示すように、設定部34は、通信が多いチャンネルと判定された2つ目の第5チャンネルの1周期のスキャン回数を増やすために、第5チャンネルを起点として、各チャンネルに番号を付ける。設定部34は、第5チャンネルに「1」を付ける。設定部34は、第6チャンネルに「2」を付ける。設定部34は、第7チャンネルに「3」を付ける。設定部34は、第8チャンネルに「4」を付ける。設定部34は、第9チャンネルに「5」を付ける。設定部34は、第10チャンネルに「6」を付ける。設定部34は、第1チャンネルに「7」を付ける。設定部34は、第2チャンネルに「8」を付ける。設定部34は、第3チャンネルに「9」を付ける。設定部34は、第4チャンネルに「10」を付ける。
【0060】
設定部34は、チャンネル数を2で割って中心番号を算出する。第2実施形態では、チャンネル数は10なので、設定部34は、「10÷2=5」のように、中心番号を5と算出する。
【0061】
設定部34は、第5チャンネルを起点として付けた番号において、中心番号の後に第5チャンネルを追加して、1周期で第5チャンネルを2回スキャンするように探索シーケンスを変更する。図8に示す例では、設定部34は、第9チャンネルの後ろに第5チャンネルを追加して、1周期で第5チャンネルを2回スキャンするように探索シーケンスを変更する。
【0062】
図9を用いて、第2実施形態に係る探索シーケンスを変更後のスキャン処理について説明する。図9は、第2実施形態に係る探索シーケンスを変更後のスキャン処理を説明するための図である。
【0063】
図9に示すように。スキャン部30は、スキャン処理が開始されると、第1チャンネルをスキャンする(ステップS60)。次に、スキャン部30は、第2チャンネルをスキャンする(ステップS62)。次に、スキャン部30は、第8チャンネルをスキャンする(ステップS64)。次に、スキャン部30は、第3チャンネルをスキャンする(ステップS66)。次に、スキャン部30は、第4チャンネルをスキャンする(ステップS68)。次に、スキャン部30は、第5チャンネルをスキャンする(ステップS70)。次に、スキャン部30は、第6チャンネルをスキャンする(ステップS72)。次に、スキャン部30は、第7チャンネルをスキャンする(ステップS74)。次に、スキャン部30は、第8チャンネルをスキャンする(ステップS76)。次に、スキャン部30は、第9チャンネルをスキャンする(ステップS78)。次に、スキャン部30は、第5チャンネルをスキャンする(ステップS80)。次に、スキャン部30は、第10チャンネルをスキャンする。
【0064】
図9に示すように、スキャン部30は、変更後の探索シーケンスでは、通信が多いチャンネルと判定された第5チャンネルおよび第8チャンネルを1周期で2回スキャンする。これにより、第5チャンネルまたは第8チャンネルで通信をする場合に、音声の頭切れを防ぐことができる。
【0065】
設定部34は、所定時間経過後に各チャンネルの通信キャリアの検出回数をリセットする。具体的には、設定部34は、図7に示すカウント結果の各チャンネルの通信キャリアの検出回数を0回にする。このとき、設定部34は、図9に示した探索シーケンスは元に戻さずに、1周期で第5チャンネルおよび第8チャンネルを2回スキャンする探索シーケンスを維持する。設定部34は、検出回数をリセットした後に、所定時間内に通信キャリアを10回検出したチャンネルが新たに2つ現れた場合に、1周期で第5チャンネルおよび第8チャンネルを2回スキャンする探索シーケンスを終了し、図7図8とに示した処理と同様にして、新たな2つのチャンネルを2回スキャンする探索シーケンスに変更する。
【0066】
なお、図7から図9に示した処理では、通信が多いと判定された2つのチャンネルの1周期のスキャン回数を多くするように探索シーケンスを変更したが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本発明では、通信が多いと判定された3つ以上のチャンネルの1周期のスキャン回数を多くするように、探索シーケンスを変更してもよい。3つ目以降のチャンネルにおいても図8で説明した方法と同様にすればよい。1周期のスキャン回数を多くするチャンネル数の上限は、例えば、受信部12aに設定されているチャンネル数に応じて、設定すればよい。
【0067】
[処理内容]
図10を用いて、第2実施形態に係る無線通信装置の処理内容について説明する。図10は、第2実施形態に係る無線通信装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS200からステップS206の処理は、それぞれ、図6に示すステップS100からステップS106の処理と同一なので、説明を省略する。
【0069】
ステップS206でYesと判定された場合、制御部24は、通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルは複数であるか否かを判定する(ステップS208)。具体的には、設定部34は、カウント部32のカウント結果に基づいて、第1所定時間内における通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルは複数であるか否かを判定する。通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルが複数であると判定された場合(ステップS208;Yes)、ステップS210に進む。通信キャリアの検出回数が規定回数以上のチャンネルが複数であると判定されなかった場合(ステップS208;No)、ステップS212に進む。
【0070】
ステップS208でYesと判定された場合、制御部24は、複数のチャンネルについて探索シーケンスを変更する(ステップS210)。具体的には、設定部34は、通信キャリアの検出回数が規定回数以上であると判定された複数のチャンネルのそれぞれが1周期でスキャンされる回数を他のチャンネルよりも多くなるように、探索シーケンスを変更する。そして、ステップS214に進む。
【0071】
ステップS212からステップS216の処理は、それぞれ、図6に示すステップS108からステップS112の処理と同一なので、説明を省略する。
【0072】
上述のとおり、第2実施形態では、通信が多いと判定された複数のチャンネルのそれぞれについて1周期のスキャンの回数を多くすることができる。これにより、第2実施形態では、通信が多いと判定された複数のチャンネルのいずれかで受信した音声信号の頭切れを防止することができる。したがって、第2実施形態では、通信が多いと判定されたチャンネルで適切に音声通話をすることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
10 無線通信装置
12 通信部
12a 受信部
12b 送信部
14 操作部
16 マイク
18 スピーカ
20 表示部
22 記憶部
24 制御部
30 スキャン部
32 カウント部
34 設定部
36 操作制御部
38 音声信号取得部
40 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10