(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142947
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】作業ロボット
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20220926BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20220926BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220926BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A01B69/00 303J
A01D34/64 M
A01B69/00 303M
A01B69/00 303C
G05D1/02 S
G05D1/02 H
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043235
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】石平 大祐
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA09
2B043BB11
2B043DC03
2B043EA37
2B043EB15
2B043EC16
2B043ED03
2B043ED12
2B083AA02
2B083BA18
5H181AA27
5H181BB08
5H181CC23
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG06
5H301LL01
5H301LL06
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】障害物が存在する領域における作業効率の低下を抑制できる作業ロボットを提供する。
【解決手段】作業ロボット1は、走行装置3と、衝突センサ5、6と、制御装置7と、を備える。制御装置7は、第1衝突センサ5と第2衝突センサ6から受信する信号に基づいて、作業ロボット1が障害物9と衝突したか否かを判定するとともに、作業ロボット1が障害物9と作業ロボット1の中心部Cよりも左側で衝突した又は作業ロボット1が障害物9と作業ロボット1の中心部Cよりも右側で衝突したかの衝突の方向を判定し、走行装置3を制御する。制御装置7は、作業ロボット1が障害物9と衝突したと判定した場合に、衝突の方向と反対側に作業ロボット1の向きの変更を行い前進するように走行装置3を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域を自律的に走行しながら所定の作業を行う作業ロボットであって、
前記作業ロボットの前進、後進、及び、向きの変更を行う走行装置と、
前記作業ロボットと障害物との衝突に関する信号を出力する衝突センサと、
前記衝突センサから受信する信号に基づいて、前記作業ロボットが障害物と衝突したか否かを判定するとともに、前記作業ロボットが該障害物と前記作業ロボットの中心部よりも左側で衝突した又は前記作業ロボットが該障害物と前記作業ロボットの中心部よりも右側で衝突したかの衝突の方向を判定し、前記走行装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記作業ロボットが障害物と衝突したと判定した場合に、前記衝突の方向と反対側に前記作業ロボットの向きの変更を行い前進するように前記走行装置を制御することを特徴とする、作業ロボット。
【請求項2】
前記制御装置は、前記衝突の方向と反対側であって、前記作業ロボットと障害物との衝突時の前記作業ロボットの進行方向に対して90度未満の角度で前記作業ロボットの向きの変更を行うように前記走行装置を制御することを特徴とする、請求項1記載の作業ロボット。
【請求項3】
前記制御装置は、前記作業ロボットが前進中に障害物と衝突した場合に、前記作業ロボットを所定の距離だけ後進させ、前記衝突の方向と反対側であって、前記作業ロボットと障害物との衝突時の前記作業ロボットの進行方向に対して90度未満の角度で前記作業ロボットの向きの変更を行うように前記走行装置を制御することを特徴とする、請求項2記載の作業ロボット。
【請求項4】
前記制御装置は、前記作業ロボットが前進中に障害物と衝突した場合に、前記作業ロボットを所定の距離だけ後進させ、前記衝突の方向と反対側であって、前記作業ロボットと障害物との衝突時の前記作業ロボットの進行方向に対して90度未満の角度で前記作業ロボットの向きの変更を行い、第1方向へ前進後に、前記作業ロボットと障害物との衝突時の前記作業ロボットの進行方向に延びた経路に復帰するために前記作業ロボットの向きを変更するように前記走行装置を制御することを特徴とする、請求項3記載の作業ロボット。
【請求項5】
前記衝突センサは、磁石と、該磁石が発生させる磁界の強さを検知する検知部を有し該磁界の強さに対応する信号を出力するホールセンサと、を有し、
前記ホールセンサの前記検知部は、前記磁石のN極とS極とを通る直線に平行な方向において、N極側端部とS極側端部との間の位置に配置され、
前記磁石に対する前記ホールセンサの検知部の位置は、前記作業ロボットと障害物との衝突に基づいて前記平行な方向に変化可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の作業ロボット。
【請求項6】
2つの前記衝突センサを備え、
前記2つの前記衝突センサの一方である第1衝突センサの前記磁石は、そのN極とS極とを通る直線が、前記作業ロボットの中心部を通り且つ前記作業ロボットの前後方向に沿って延びる中心線と略平行になるように配置されており、
前記2つの前記衝突センサの他方である第2衝突センサの前記磁石は、そのN極とS極とを通る直線が前記中心線と略直交するように配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の作業ロボット。
【請求項7】
前記第2衝突センサの前記磁石及び前記ホールセンサは、前記中心線上に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の作業ロボット。
【請求項8】
前記走行装置及び前記制御装置が設けられる本体と、前記本体を覆うカバーと、を備え、
前記磁石は、前記カバーに設けられており、
前記ホールセンサは、前記本体に設けられていることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の作業ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の領域を自律的に走行しながら所定の作業を行う作業ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
自律的に走行しながら作業を行う作業ロボットが知られている。例えば、プログラムに基づいて所定の領域を走行しながら、芝刈を行うロボット芝刈機が普及している。また、走行しながら床面上のゴミを吸引して除去するロボット掃除機や、ゴルフ場の地面に散在している多数のゴルフボールを回収するボールピッカー等も知られている。
【0003】
このような作業ロボットは、領域内の障害物(例えば、木、柵、壁、家具等)と衝突した場合に、その障害物を迂回して走行及び作業を継続することが求められる。これに対し、特許文献1では、接触検知機構を備えた自走式作業機が提案されている。当該作業機は、接触検知機構が障害物への接触を検知した場合に、進行方向を変更して障害物を迂回するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の作業機は、障害物を迂回するために進行方向を変更した結果、領域内の既に作業を完了している部分を再び走行するおそれがある。作業の進行に寄与しないこのような走行は、領域全体に対する作業の完了に長時間を要する原因となり、従来の作業ロボットは、この点で改善の余地を残していた。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、障害物が存在する領域における作業効率の低下を抑制できる作業ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、所定の領域を自律的に走行しながら所定の作業を行う作業ロボットであって、作業ロボットの前進、後進、及び、向きの変更を行う走行装置と、作業ロボットと障害物との衝突に関する信号を出力する衝突センサと、衝突センサから受信する信号に基づいて、作業ロボットが障害物と衝突したか否かを判定するとともに、作業ロボットが障害物と作業ロボットの中心部よりも左側で衝突した又は作業ロボットが障害物と作業ロボットの中心部よりも右側で衝突したかの衝突の方向を判定し、走行装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、作業ロボットが障害物と衝突したと判定した場合に、衝突の方向と反対側に作業ロボットの向きの変更を行い前進するように走行装置を制御する。
【0008】
このように構成された作業ロボットは、障害物と衝突した場合に、衝突の方向と反対側に向きの変更を行い前進する。ここで、「衝突の方向」とは、作業ロボットの前進方向に向かって作業ロボットの中心部よりも左側及び右側のいずれが障害物と衝突したかを示す。つまり、作業ロボットは、作業ロボットの中心部よりも左側が障害物と衝突した場合は、右側に向きの変更を行い、作業ロボットの中心部よりも右側が障害物と衝突した場合は、左側に向きの変更を行う。これにより、作業ロボットは、障害物を確実に迂回しつつ、所定の領域内の既に作業を完了している部分に進入し難いようにその迂回経路を設定し、作業効率の低下を抑制することが可能になる。
【0009】
以下の説明では、理解を容易にするため、障害物との衝突時の作業ロボットの進行方向を「衝突時進行方向」と称し、障害物よりも衝突時進行方向側を「奥側」、その反対側を「手前側」と称することがある。
【0010】
上記作業ロボットにおいて、制御装置は、衝突の方向と反対側であって、作業ロボットと障害物との衝突時の作業ロボットの進行方向に対して90度未満の角度で作業ロボットの向きの変更を行うように走行装置を制御してもよい。
【0011】
このように構成された作業ロボットは、障害物と衝突した場合に、衝突時進行方向に対して90度未満の角度で向きを変更する。これにより、作業ロボットは、障害物との衝突後、それまで位置していた手前側から奥側へと移動するため、所定の領域内の既に作業を完了している部分に進入する可能性が低くなる。この結果、所定の領域全体に対する作業を迅速に完了させることが可能になる。
【0012】
上記作業ロボットにおいて、制御装置は、作業ロボットが前進中に障害物と衝突した場合に、作業ロボットを所定の距離だけ後進させ、衝突の方向と反対側であって、作業ロボットと障害物との衝突時の作業ロボットの進行方向に対して90度未満の角度で作業ロボットの向きの変更を行うように走行装置を制御してもよい。
【0013】
このように構成された作業ロボットは、障害物と衝突した場合に、所定の距離だけ後進するため、作業ロボットの進路を阻んでいる障害物から離間することができる。これにより、比較的小さな角度で向きを変更した場合でも障害物を迂回することが可能になり、この結果、迂回経路が無為に長くなることを抑制できる。
【0014】
上記作業ロボットにおいて、制御装置は、作業ロボットが前進中に障害物と衝突した場合に、作業ロボットを所定の距離だけ後進させ、衝突の方向と反対側であって、作業ロボットと障害物との衝突時の作業ロボットの進行方向に対して90度未満の角度で作業ロボットの向きの変更を行い、第1方向へ前進後に、作業ロボットと障害物との衝突時の作業ロボットの進行方向に延びた経路に復帰するために作業ロボットの向きを変更するように走行装置を制御してもよい。
【0015】
このように構成された作業ロボットは、障害物を迂回しつつ、衝突時進行方向に延びる経路に復帰することにより、迂回経路が無為に長くなることを抑制できる。
【0016】
上記作業ロボットにおいて、衝突センサは、磁石と、磁石が発生させる磁界の強さを検知する検知部を有し磁界の強さに対応する信号を出力するホールセンサと、を有し、ホールセンサの検知部は、磁石のN極とS極とを通る直線に平行な方向において、N極側端部とS極側端部との間の位置に配置され、磁石に対するホールセンサの検知部の位置は、作業ロボットと障害物との衝突に基づいて平行な方向に変化可能であってもよい。
【0017】
このように構成された作業ロボットは、障害物と衝突した場合に、磁石に対するホールセンサの検知部の位置が変化する。検知部は、N極側端部とS極側端部との間の位置に配置されているため、検知部の位置がそこからN極側に変化した場合とS極側に変化した場合とでは、検知部が検知する磁界の強さの変化(上昇又は低下)が互いに逆になる。したがって、制御装置は、このときの信号の変化に基づいて、作業ロボットが障害物と衝突したと判定することが可能になる。
【0018】
上記作業ロボットは、2つの衝突センサを備え、2つの衝突センサの一方である第1衝突センサの磁石は、そのN極とS極とを通る直線が、作業ロボットの中心部を通り且つ作業ロボットの前後方向に沿って延びる中心線と略平行になるように配置されており、2つの衝突センサの他方である第2衝突センサの磁石は、そのN極とS極とを通る直線が中心線と略直交するように配置されていてもよい。
【0019】
このように構成された作業ロボットは、前後方向において障害物と衝突した場合は、第1衝突センサが出力する信号が変化し、左右方向において障害物と衝突した場合は、第2衝突センサが出力する信号が変化する。したがって、制御装置は、各信号に基づいて、前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて作業ロボットが障害物と衝突したか否かを判定することが可能になる。
【0020】
上記作業ロボットにおいて、第2衝突センサの磁石及びホールセンサは、中心線上に配置されていてもよい。
【0021】
作業ロボットの構造にロール方向(つまり、中心線回りの方向)の歪が生じている場合であっても、作業ロボットの中心線上の部分は、作業ロボットの他の部分に比べてその歪量は小さい。上記作業ロボットは、この中心線上に第2衝突センサを配置することにより、作業ロボットの構造の歪が第2衝突センサに与える悪影響を抑制し、左右方向における作業ロボットと障害物との衝突の判定精度を向上させることが可能になる。
【0022】
上記作業ロボットは、走行装置及び制御装置が設けられる本体と、本体を覆うカバーと、を備え、磁石は、カバーに設けられており、ホールセンサは、本体に設けられていてもよい。
【0023】
このように構成された作業ロボットは、ホールセンサが設けられている本体から、カバーに設けられた磁石に延びる給電線や信号線を配設する必要が無い。このため、衝突センサ周辺の構成を簡易なものとし、その信頼性を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、障害物が存在する領域における作業効率の低下を抑制できる作業ロボットを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態に係る作業ロボットを示す概略図である。
【
図2】第1ホールセンサ及び第2ホールセンサが出力する信号の特性を示すグラフである。
【
図3】作業ロボットと障害物との衝突を平面視で示す説明図である。
【
図4】作業ロボットの迂回経路の第1形態を平面視で示す説明図である。
【
図5】作業ロボットの迂回経路の第2形態を平面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照しながら、一実施形態に係る作業ロボット1(以下「ロボット1」という。)の概略について説明する。
図1は、ロボット1を示す概略図である。
図1(a)は、ロボット1の平面図であり、後述するカバー8を破線で示している。
図1(b)は、ロボット1の側面図であり、カバー8は、後述する中心線CLを通る平面における断面が示されている。
【0027】
<ロボットの構成>
ロボット1は、所定の領域で生育している芝を刈る芝刈機である。ロボット1は、本体2と、カバー8と、を備えている。本体2は、ケーシング20と、走行装置3と、カッタ4と、第1ホールセンサ51と、第2ホールセンサ61と、制御装置7と、を有している。
【0028】
走行装置3は、ケーシング20の外部に配置されている一対の前輪31、一対の後輪32や、ケーシング20の内部に収容されている駆動部33を有している。駆動部33は、モータやギアボックス等から成り、不図示のバッテリから供給される電力によって駆動する。駆動部33は、一対の後輪32を同方向に回転駆動させることにより、ロボット1を前進又は後進させる。さらに、駆動部33は、一方の後輪の回転を停止させ、他方の後輪の回転駆動させる又は一方の後輪の回転速度と他方の後輪の回転速度とを互いに異ならせる又は一対の後輪32を互いに異なる方向に回転駆動させることで、ロボット1を左旋回又は右旋回させ、ロボット1の向きの変更を行う。
【0029】
尚、以下の説明では、ロボット1が前進する方向を「前」、ロボット1が後進する方向を「後」と称する。また、前を向いた場合の左方を「左」、前を向いた場合の右方を「右」と称する。
【0030】
カッタ4は、芝と対向するように、本体2の下部に配置されている。バッテリから供給される電力により不図示のモータが駆動するとカッタ4が回転し、カッタ4の下方の芝を所定の長さで切断する。鉛直方向におけるカッタ4の位置を調整することにより、切断される芝の長さを調整することができる。
【0031】
第1ホールセンサ51及び第2ホールセンサ61は、磁界の強さを検知し、それを信号に変換して出力するアナログ出力タイプの磁気センサである。第1ホールセンサ51は、第1衝突センサ5の構成の一部であり、第2ホールセンサ61は、第2衝突センサ6の構成の一部である。第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61は、それぞれ検知部51a,61aを有しており、この検知部51a,61aにおける磁界の強さに対応する信号を生成し、外部に出力する。
図1(a)に示すように、検知部51a,61aは、平面視で中心部Cを通り且つロボット1の前後方向に沿って延びる中心線CL上に配置されている。また、検知部51aは中心部Cよりも前方に配置され、検知部61aは中心部Cよりも後方に配置されている。第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61は、検知部51a,61aを上方に向けるようにして、ケーシング20の上部に配置されている。
【0032】
制御装置7は、走行装置3やカッタ4を制御する電子機器であり、不図示の演算部や記憶部を有している。演算部は、記憶部に予め記憶されているプログラムに従って演算を行い、制御信号を生成する。制御装置7は、この制御信号を走行装置3の駆動部33やカッタ4に送信することにより、ロボット1の前進、後進、停止、向きの変更や、カッタ4のON/OFFを制御する。また、制御装置7は、第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61のそれぞれが出力する信号を受信し、これらの信号に基づいて後述する判定を行う。
【0033】
カバー8は、ロボット1の外装部材であり、衝撃に強い樹脂材料等を用いて形成されている。
図1(b)に示すように、カバー8は本体2を上方から覆うように配置されており、不図示の連結部材により、本体2に対して連結されている。連結部材はゴム等の弾性材料により形成されている。このため、カバー8に外力が作用すると、その外力の方向及び大きさに応じて連結部材が弾性変形し、その変形量だけ、カバー8が本体2に対して移動可能となる。例えば、カバー8は、前方、後方、左方、及び右方のそれぞれに20mm程度移動可能となるように、本体2に対して連結されている。
【0034】
図1(b)に示すように、カバー8の下部のうち、前端部寄りの部位に磁石固定部81が設けられ、後端部寄りの部位に磁石固定部82が設けられている。磁石固定部81,82は下方に突出しており、それぞれの下端部に第1磁石52、第2磁石62を固定している。第1磁石52は第1衝突センサ5の構成の一部であり、第2磁石62は第2衝突センサ6の構成の一部である。
【0035】
第1磁石52は、そのN極とS極とを通る直線M1が、平面視で中心線CLと略一致するとともに、略水平となるように固定されている。また、第2磁石62は、そのN極とS極とを通る直線M2が、平面視で中心線CLと略直交するとともに、略水平となるように固定されている。
【0036】
また、カバー8が本体2に対して連結されることにより、第1磁石52は、第1ホールセンサ51の検知部51aの近傍に配置され、第2磁石62は、第2ホールセンサ61の検知部61aの近傍に配置される。詳細には、カバー8に外力が作用していない場合に、第1ホールセンサ51の検知部51aは、第1磁石52の直線M1に平行な方向において、N極側端部52nとS極側端部52sとの間の中央部52cと対向する位置に配置される。また、第2ホールセンサ61の検知部61aは、第2磁石62の直線M2に平行な方向において、N極側端部62nとS極側端部62sとの間の中央部62cと対向する位置に配置される。つまり、第1ホールセンサ51は、検知部51aの位置における、主に第1磁石52が形成する磁界の強さに対応する信号を出力し、第2ホールセンサ61は、検知部61aの位置における、主に第2磁石62が形成する磁界の強さに対応する信号を出力する。
【0037】
上述したように、カバー8は連結部材の変形量だけ本体2に対して移動可能であり、カバー8が移動すると、第1磁石52及び第2磁石62も移動する。これにより、第1ホールセンサ51の検知部51aと第1磁石52との位置関係、及び、第2ホールセンサ61の検知部61aと第2磁石62との位置関係に、変化が生じる。換言すると、第1磁石52、第2磁石62に対する検知部51a,61aの位置が変化する。
【0038】
図2は、第1磁石52、第2磁石62に対する検知部51a,61aの位置に基づいて、第1ホールセンサ51や第2ホールセンサ61が出力する信号の特性を示すグラフである。当該グラフの横軸は、直線M1に沿う方向における、中央部52cから検知部51aまでの距離(又は、直線M2に沿う方向における、中央部62cから検知部61aまでの距離)Lを示している。ここでは、中央部52c(又は中央部62c)と対向する位置を原点(0)とし、そこからN極側の位置を正、S極側の位置を負として示している。
【0039】
第1ホールセンサ51が出力する信号の電圧は、
図2に示すように距離Lに応じて連続的に変化する。まず、第1ホールセンサ51は、その検知部51aが中央部52cと対向する位置にある場合(つまり、距離L=0の場合)に、出力する信号の電圧が2.5[V]となるように設定されている。カバー8が本体2に対して移動し、これに伴って検知部51aが第1磁石52のN極側に相対的に移動した場合(つまり、距離Lが正の値の場合)、第1ホールセンサ51が出力する信号の電圧が低下する。一方、検知部51aが第1磁石52のS極側に相対的に移動した場合(つまり、距離Lが負の値の場合)、第1ホールセンサ51が出力する信号の電圧が上昇する。このような電圧の変化の傾向は、第2ホールセンサ61が出力する信号についても同様であり、ここではその説明を省略する。
【0040】
<制御装置による判定>
次に、
図3を参照しながら、制御装置7が行う判定について説明する。
図3は、ロボット1と障害物9との衝突を平面視で示す説明図である。
図3(a)は、前進中のロボット1と障害物9との衝突を示し、
図3(b)は、後進中のロボット1と障害物9との衝突を示している。
【0041】
制御装置7は、第1ホールセンサ51や第2ホールセンサ61から受信する信号に基づいて、「衝突判定」と「衝突方向判定」とを行うように構成されている。「衝突判定」は、ロボット1が、木や柵等の障害物と衝突したか否かを判定するために行われる。「衝突方向判定」は、ロボット1の中心部Cよりも左側及び右側のいずれが障害物と衝突したかを判定するために行われる。換言すると、「衝突方向判定」は、ロボット1と障害物との衝突が、ロボット1の中心線CLよりも左側の部分が障害物と衝突した「左衝突判定」と、ロボット1の中心線CLよりも右側の部分が障害物と衝突した「右衝突判定」と、のいずれであるかを判定するために行われる。「衝突方向判定」は、さらに、ロボット1と障害物との衝突が、ロボット1の中心部Cよりも前側の部分が障害物と衝突した「前衝突判定」と、ロボット1の中心部Cよりも後側の部分が障害物と衝突した「後衝突判定」と、のいずれであるかを判定するためにも行われる。
【0042】
図3(a)は、前進中に、左前部分83において障害物9と衝突したロボット1を示している。左前部分83は、カバー8のうち中心部Cよりも前側の一部であって、中心線CLよりも左側に位置している。この衝突により、障害物9から左前部分83に、右後方向への外力F1が作用する。二点鎖線8aは、外力F1を受けて本体2に対して右後方向に移動したカバー8を示している。
【0043】
カバー8の移動に伴い、カバー8の磁石固定部81,82に固定されている第1磁石52や第2磁石62も、本体2に対して右後方向に移動する。この結果、第1ホールセンサ51の検知部51aと第1磁石52との位置関係、及び、第2ホールセンサ61の検知部61aと第2磁石62との位置関係に、変化が生じる。
【0044】
詳細には、上記衝突の前は第1磁石52の中央部52cと対向していた検知部51aは、上記衝突の後、中央部52cよりもN極側に位置することになる。さらに、上記衝突の前は第2磁石62の中央部62cと対向していた検知部61aは、上記衝突の後、中央部62cよりもN極側に位置することになる。換言すると、上記衝突後、検知部51aは中央部52cよりもN極側に相対的に移動し、検知部61aは中央部62cよりもN極側に相対的に移動する。この結果、第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61がそれぞれ出力する信号の電圧は、上記衝突の前に比べて低下する。
【0045】
制御装置7は、第1ホールセンサ51が出力する信号の電圧が、予め定められた閾値よりも小さくなった場合に、ロボット1の中心部Cよりも前側が障害物と衝突したと判定する(前衝突判定)。さらに、制御装置7は、第2ホールセンサ61が出力する信号の電圧が、予め定められた閾値よりも小さくなった場合に、ロボット1の中心部Cよりも左側が障害物と衝突したと判定する(左衝突判定)。
【0046】
図3(b)は、後進中に、右後部分84において障害物9と衝突したロボット1を示している。右後部分84は、カバー8のうち中心部Cよりも後側の一部であって、中心線CLよりも右側に位置している。この衝突により、障害物9から右後部分84に、左前方向への外力F2が作用する。二点鎖線8bは、外力F2を受けて本体2に対して左前方向に移動したカバー8を示している。
【0047】
カバー8の移動に伴い、カバー8の磁石固定部81,82に固定されている第1磁石52や第2磁石62も、本体2に対して左前方向に移動する。この結果、第1ホールセンサ51の検知部51aと第1磁石52との位置関係、及び、第2ホールセンサ61の検知部61aと第2磁石62との位置関係に、変化が生じる。
【0048】
詳細には、上記衝突の前は第1磁石52の中央部52cと対向していた検知部51aは、上記衝突の後、中央部52cよりもS極側に位置することになる。さらに、上記衝突の前は第2磁石62の中央部62cと対向していた検知部61aは、上記衝突の後、中央部62cよりもS極側に位置することになる。換言すると、上記衝突後、検知部51aは中央部52cよりもS極側に相対的に移動し、検知部61aは中央部62cよりもS極側に相対的に移動する。この結果、第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61がそれぞれ出力する信号の電圧は、上記衝突の前に比べて上昇する。
【0049】
制御装置7は、第1ホールセンサ51が出力する信号の電圧が、予め定められた閾値よりも大きくなった場合に、ロボット1の中心部Cよりも後側が障害物と衝突したと判定する(後衝突判定)。さらに、制御装置7は、第2ホールセンサ61が出力する信号の電圧が、予め定められた閾値よりも大きくなった場合に、ロボット1の中心部Cよりも右側が障害物と衝突したと判定する(右衝突判定)。
【0050】
<迂回経路の第1形態>
次に、
図4を参照しながら、障害物9と衝突したロボット1の迂回経路の一形態について説明する。
図4は、ロボット1の迂回経路の第1形態を平面視で示す説明図であり、領域ARにおいて芝を刈りながら前進しているロボットが点P1に到達したとき、その左前部分83が障害物9と衝突した例を示している。
【0051】
尚、以下の説明では、障害物9との衝突時のロボット1の進行方向を「衝突時進行方向」と称するとともに、障害物9よりも衝突時進行方向側を「奥側」、その反対側を「手前側」と称する。
【0052】
ロボット1の左前部分83が障害物9と衝突すると、上述したように、障害物9から左前部分83に右後方向への外力が作用し、カバー8、第1磁石52及び第2磁石62が本体2に対して右後方向に移動する。この結果、第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61がそれぞれ出力する信号の電圧は、上記衝突の前に比べて低下する。制御装置7は、この電圧の変化に基づき、ロボット1の中心部Cよりも前側且つ左側が障害物と衝突したと判定する。
【0053】
次に、制御装置7は、ロボット1を点P1から点P2に移動させるように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、矢印A1で示すように、障害物9との衝突時のロボット1の中心線CL1に沿ってロボット1を所定距離だけ後進させる。符号CL21は、点P2に到達したロボット1の中心線を示している。
【0054】
次に、制御装置7は、衝突の方向と反対側である右側にロボット1の向きを変更するように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、一対の後輪32を互いに異なる方向に回転駆動させるとともに、一対の前輪31の舵角を適宜調整し、平面視で角度θ1だけロボット1を右旋回させる。角度θ1は、90度未満であり、符号CL22は、向きの変更を完了したロボット1の中心線を示している。向きの変更を完了したロボット1が向いている方向は、本発明の「第1方向」の一例である。
【0055】
次に、制御装置7は、ロボット1を点P2から点P3に移動させるように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、矢印A2で示すように、中心線CL22に沿ってロボット1を所定距離だけ前進させる。点P3は、障害物9の側方であって障害物9との間にロボット1の外形寸法よりも大きい隙間を隔てた位置に設定される。これにより、ロボット1は、障害物9と再度衝突することなく、障害物9の側方に到達する。符号CL31は、点P3に到達したロボット1の中心線を示している。
【0056】
次に、制御装置7は、ロボット1の向きを左側に変更するように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、一方の後輪の回転を停止させ、他方の後輪の回転駆動させる又は一方の後輪の回転速度と他方の後輪の回転速度とを互いに異ならせる又は一対の後輪32を互いに異なる方向に回転駆動させることで、平面視で角度θ2だけロボット1を左旋回させる。角度θ2は角度θ1よりも大きく、符号CL32は、向きの変更を完了したロボット1の中心線を示している。
【0057】
次に、制御装置7は、ロボット1を点P3から点P4に移動させるように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、矢印A3で示すように、中心線CL32に沿ってロボット1を所定距離だけ前進させる。点P4は、障害物9よりも奥側に位置しており、中心線CL1の延長線上に設定される。符号CL41は、点P4に到達したロボット1の中心線を示している。
【0058】
次に、制御装置7は、ロボット1の向きを右側に変更するように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、一対の後輪32を互いに異なる方向に回転駆動させるとともに、一対の前輪31の舵角を適宜調整し、平面視で角度θ3だけロボット1を右旋回させる。符号CL42は、向きの変更を完了したロボット1の中心線を示している。中心線CL42は、中心線CL1の延長線上に設定される。
【0059】
次に、制御装置7は、矢印A4で示すように、ロボット1の中心線CL42に沿ってロボット1を前進させる。これにより、ロボット1は、領域AR内の障害物9よりも奥側の部分において芝を刈るように動作する。
【0060】
<作用効果>
次に、ロボット1に基づく作用効果について説明する。
【0061】
このように構成されたロボット1は、障害物9と衝突した場合に、衝突の方向と反対側に向きの変更を行い前進する。つまり、ロボット1は、ロボット1の中心部Cよりも左側が障害物9と衝突した場合は、右側に向きの変更を行い、ロボット1の中心部Cよりも右側が障害物9と衝突した場合は、左側に向きの変更を行う。これにより、ロボット1は、障害物9を確実に迂回しつつ、領域AR内の既に作業を完了している部分に進入し難いようにその迂回経路を設定し、作業効率の低下を抑制することが可能になる。
【0062】
また、制御装置7は、衝突の方向と反対側であって、ロボット1と障害物9との衝突時のロボット1の進行方向に対して90度未満の角度でロボット1の向きの変更を行うように走行装置3を制御する。
【0063】
このように構成されたロボット1は、障害物9と衝突した場合に、衝突時進行方向に対して90度未満の角度θ1で向きを変更する。これにより、ロボット1は、障害物9との衝突後、それまで位置していた手前側から奥側へと移動するため、領域AR内の既に作業を完了している部分に進入する可能性が低くなる。この結果、領域AR全体に対する作業を迅速に完了させることが可能になる。
【0064】
また、制御装置7は、ロボット1が前進中に障害物9と衝突した場合に、ロボット1を所定の距離だけ後進させ、衝突の方向と反対側であって、ロボット1と障害物9との衝突時のロボット1の進行方向に対して90度未満の角度でロボット1の向きの変更を行うように走行装置3を制御する。
【0065】
このように構成されたロボット1は、障害物9と衝突した場合に、所定の距離だけ後進するため、ロボット1の進路を阻んでいる障害物9から離間することができる。これにより、比較的小さな角度θ1で向きを変更した場合でも障害物9を迂回することが可能になり、この結果、迂回経路が無為に長くなることを抑制できる。
【0066】
また、制御装置7は、ロボット1が前進中に障害物9と衝突した場合に、ロボット1を所定の距離だけ後進させ、衝突の方向と反対側であって、ロボット1と障害物9との衝突時のロボット1の進行方向に対して90度未満の角度でロボット1の向きの変更を行い、第1方向へ前進後に、ロボット1と障害物9との衝突時のロボット1の進行方向に延びた経路に復帰するためにロボット1の向きを変更するように走行装置3を制御する。
【0067】
このように構成されたロボット1は、障害物9を迂回しつつ、衝突時進行方向に延びる経路に復帰することにより、迂回経路が無為に長くなることを抑制できる。
【0068】
また、第1衝突センサ5、第2衝突センサ6は、それぞれ、第1磁石52、第2磁石62と、第1磁石52、第2磁石62が発生させる磁界を検知する検知部51a,61aを有し磁界の強さに対応する信号を出力する第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61と、を有している。第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61の検知部51a,61aは、第1磁石52、第2磁石62のN極とS極とを通る直線M1,M2に平行な方向において、N極側端部52n,62nとS極側端部52s,62sとの間の位置に配置される。第1磁石52、第2磁石62に対する第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61の検知部51a,61aの位置は、ロボット1と障害物9との衝突に基づいて平行な方向に変化可能である。
【0069】
このように構成されたロボット1は、障害物9と衝突した場合に、第1磁石52、第2磁石62に対する第1ホールセンサ51、第2ホールセンサ61の検知部51a,61aの位置が変化する。検知部51a,61aは、N極側端部52n,62nとS極側端部52s,62sとの間の中央部52c,62cと対向する位置に配置されているため、検知部51a,61aの位置がそこからN極側に変化した場合とS極側に変化した場合とでは、検知部51a,61aが検知する磁界の強さの変化(上昇又は低下)が互いに逆になる。したがって、制御装置7は、このときの信号の変化に基づいて、ロボット1が障害物と衝突したと判定することが可能になる。
【0070】
また、ロボット1は、2つの衝突センサ(第1衝突センサ5及び第2衝突センサ6)を備えている。第1衝突センサ5の第1磁石52は、そのN極とS極とを通る直線M1が、ロボット1の中心部Cを通り且つロボット1の前後方向に沿って延びる中心線CLと略平行になるように配置されている。第2衝突センサ6の第2磁石62は、そのN極とS極とを通る直線M2が中心線CLと略直交するように配置されている。
【0071】
このように構成されたロボット1は、前後方向において障害物9と衝突した場合は、第1衝突センサ5が出力する信号が変化し、左右方向において障害物9と衝突した場合は、第2衝突センサ6が出力する信号が変化する。したがって、制御装置7は、各信号に基づいて、前後方向及び左右方向のそれぞれにおいてロボット1が障害物9と衝突したか否かを判定することが可能になる。
【0072】
また、第2衝突センサ6の第2磁石62及び第2ホールセンサ61は、中心線CL上に配置されている。
【0073】
ロボット1の構造にロール方向(つまり、中心線CL回りの方向)の歪が生じている場合であっても、ロボット1の中心線CL上の部分は、ロボット1の他の部分に比べてその歪量は小さい。ロボット1は、この中心線CL上に第2衝突センサ6を配置することにより、ロボット1の構造の歪が第2衝突センサ6に与える悪影響を抑制し、左右方向におけるロボット1と障害物9との衝突の判定精度を向上させることが可能になる。
【0074】
また、ロボット1は、走行装置3及び制御装置7が設けられる本体2と、本体2を覆うカバー8と、を備えている。第1磁石52及び第2磁石62は、カバー8に設けられており、第1ホールセンサ51及び第2ホールセンサ61は、本体2に設けられている。
【0075】
このように構成されたロボット1は、第1ホールセンサ51及び第2ホールセンサ61が設けられている本体2から、カバー8に設けられた第1磁石52や第2磁石62に延びる給電線や信号線を配設する必要が無い。このため、第1ホールセンサ51及び第2ホールセンサ61周辺の構成を簡易なものとし、その信頼性を向上させることが可能になる。
【0076】
<迂回経路の第2形態>
次に、
図5を参照しながら、障害物9と衝突したロボット1の迂回経路の別形態について説明する。
図5は、ロボット1の迂回経路の第2形態を平面視で示す説明図であり、領域ARにおいて芝を刈りながら前進しているロボットが点P1に到達したとき、その左前部分83が障害物9と衝突した例を示している。
【0077】
この迂回経路の第2形態は、手前側から奥側へと移動する際の経路が、上述した第1形態のものと異なる。第2形態のうち第1形態と実質的に同一の要素については、説明を適宜省略する。
【0078】
ロボット1の中心部Cよりも前側且つ左側が障害物と衝突したと判定した制御装置7は、ロボット1を点P1から点P5に移動させるように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、矢印A5で示すように、障害物9との衝突時のロボット1の中心線CL1に沿ってロボット1を所定距離だけ後進させる。符号CL51は、点P5に到達したロボット1の中心線を示している。
【0079】
次に、制御装置7は、衝突の方向と反対側である右側にロボット1の向きを変更するように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、平面視で角度θ4だけロボット1を右旋回させる。角度θ4は、90度未満であり、符号CL52は、向きの変更を完了したロボット1の中心線を示している。向きの変更を完了したロボット1が向いている方向は、本発明の「第1方向」の一例である。
【0080】
次に、制御装置7は、ロボット1を点P5から点P6に移動させるように、走行装置3を制御する。詳細には、制御装置7は、矢印A6で示すように、ロボット1を略円弧状の経路に沿って前進させる。当該経路は、障害物9との間にロボット1の外形寸法よりも大きい隙間を隔てた位置に設定される。また、点P6は、障害物9よりも奥側に位置しており、中心線CL1の延長線上に設定される。符号CL61は、点P6に到達したロボット1の中心線を示している。
【0081】
次に、制御装置7は、平面視で角度θ5だけロボット1を右旋回させる。符号CL62は、向きの変更を完了したロボット1の中心線を示している。中心線CL62は、障害物9との衝突時のロボット1の中心線CL1の延長線上に設定される。
【0082】
次に、制御装置7は、ロボット1の中心線CL62に沿って、矢印A7で示すようにロボット1を前進させる。これにより、ロボット1は、領域AR内の障害物9よりも奥側の部分において芝を刈るように動作する。
【0083】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 作業ロボット
2 本体
3 走行装置
5 第1衝突センサ
51 第1ホールセンサ
51a 検知部
52 第1磁石
52n N極側端部
52s S極側端部
52c 中央部
6 第2衝突センサ
61 第2ホールセンサ
61a 検知部
62 第2磁石
62n N極側端部
62s S極側端部
62c 中央部
7 制御装置
8 カバー
9 障害物
AR 領域