(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142950
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】建物用樹脂部材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/70 20060101AFI20220926BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E04B1/70 C
E04B1/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043239
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】竹本 真唯
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DB01
2E001DB02
2E001FA21
2E001GA01
2E001HA22
2E001HD11
2E001JC03
(57)【要約】
【課題】圧縮強度を維持しつつ圧縮弾性率を向上させる。
【解決手段】基礎パッキン30及び補助部材は、建物の基礎1と土台2との間に配置される建物用樹脂部材であって、オレフィン系樹脂、無機フィラー及びセルロースファイバーを含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎と土台との間に配置される建物用樹脂部材であって、
オレフィン系樹脂、無機フィラー及びセルロースファイバーを含有することを特徴とする建物用樹脂部材。
【請求項2】
マレイン酸変性オレフィン樹脂系の相溶化剤が添加されてなることを特徴とする請求項1に記載の建物用樹脂部材。
【請求項3】
前記セルロースファイバーの含有比が25重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物用樹脂部材。
【請求項4】
前記セルロースファイバーの含有比が3重量%以上17重量%以下の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の建物用樹脂部材。
【請求項5】
前記建物用樹脂部材が、基礎パッキンであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の建物用樹脂部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎と土台との間に配置される建物用樹脂部材に関し、特に、基礎パッキン、基礎パッキンのアンカーボルト孔内に配置される補助部材等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基礎と土台を絶縁して木造住宅などの建物の耐久性を高めるために、基礎パッキン(建物用樹脂部材)を用いた工法が主流となっている。この種の基礎パッキンは、土台をはじめとする居住空間を構成する構造物の荷重を長期に亘って支える必要があり、さらに地震による居住空間の損壊を防ぐために、耐久性及び耐震安全性に富んだ設計がなされている。このような基礎パッキンとしては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム等の無機フィラー(無機質充填剤)を添加することで圧縮強度及び圧縮弾性率を向上させたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-215809号公報
【特許文献2】特開2018-3323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今の木造住宅の資産価値の低減等の目的でより耐久性を図るべく、基礎パッキンにおいても更なる圧縮弾性率、耐クリープ特性の向上が望まれている。上記特許文献1,2に記載の基礎パッキンにおいては、オレフィン系樹脂に炭酸カルシウム等の無機フィラーを添加してなるものであり、無機フィラーの添加量を増やしていくと、圧縮弾性率は向上する。しかしながら、無機フィラーだけを添加する場合は、所定の添加量を超えてからは圧縮強度が減少に転じる。このため、圧縮強度が所望の値以上となるように維持しようとすると、無機フィラーの添加量が制限され、圧縮弾性率の上限もおのずと決まってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、圧縮強度を維持しつつ圧縮弾性率を向上させることが可能な建物用樹脂部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建物用樹脂部材は、建物の基礎と土台との間に配置される建物用樹脂部材であって、オレフィン系樹脂、無機フィラー及びセルロースファイバーを含有する。
【0007】
これによると、建物の基礎と土台との間に配置される建物用樹脂部材において、圧縮強度が所望の強度以上となるように維持しつつも圧縮弾性率を効果的に向上させることができる。また、セルロースファイバーを含有することによって得られた建物用樹脂部材は、建物用樹脂部材をリサイクルするために、一旦ペレット状にしてから、再度、建物用樹脂部材に再生した場合でもその圧縮強度、圧縮弾性率の低減がほとんど見られない。このため、繰り返しリサイクルすることが可能となる。さらに、無機フィラーに加えてセルロースファイバーも含有しているため、オレフィン系樹脂自体の含有量を減らすことが可能となる。つまり、樹脂の使用量を削減することが可能となり、環境にやさしくなる。
【0008】
本発明において、マレイン酸変性オレフィン樹脂系の相溶化剤が添加されてなることが好ましい。これにより、無機フィラー及びセルロースファイバーがオレフィン系樹脂により均一に混ざったものとなる。このため、圧縮強度、圧縮弾性率がより一層向上する。
【0009】
また、本発明において、前記セルロースファイバーの含有比が25重量%以下であることが好ましい。セルロースファイバーの含有比が高くなり過ぎると、オレフィン系樹脂と無機フィラーとの中で均一に分散させて混合することが難しくなり、これにより、建物用樹脂部材の圧縮弾性率及び圧縮強度が所望の値以上となるものの、品質にバラツキが生じてしまう。本発明においてはセルロースファイバーの含有比が25重量%以下であるため、品質が安定する。
【0010】
また、本発明において、前記セルロースファイバーの含有比が3重量%以上17重量%以下の範囲であることがより好ましい。これにより、建物用樹脂部材の圧縮弾性率を向上させつつ、圧縮強度が所望の強度以上となるようにより確実に維持することができる。
【0011】
また、本発明において、前記建物用樹脂部材が、基礎パッキンであることが好ましい。これにより、基礎パッキンの圧縮弾性率を向上させつつ圧縮強度を維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建物用樹脂部材によると、建物の基礎と土台との間に配置される建物用樹脂部材において、圧縮強度が所望の強度以上となるように維持しつつも圧縮弾性率を効果的に向上させることができる。また、セルロースファイバーを含有することによって得られた建物用樹脂部材は、建物用樹脂部材をリサイクルするために、一旦ペレット状にしてから、再度、建物用樹脂部材に再生した場合でもその圧縮強度、圧縮弾性率の低減がほとんど見られない。このため、繰り返しリサイクルすることが可能となる。さらに、無機フィラーに加えてセルロースファイバーも含有しているため、オレフィン系樹脂自体の含有量を減らすことが可能となる。つまり、樹脂の使用量を削減することが可能となり、環境にやさしくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建物用樹脂部材としての基礎パッキン及び補助部材が用いられた建物構造の部分斜視図である。
【
図2】
図1に示す基礎パッキン、及び、基礎パッキンに取り付けられた補助部材の要部斜視図である。
【
図3】
図1に示す基礎パッキン、及び、基礎パッキンに取り付けられた補助部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る建物用樹脂部材としての基礎パッキン及び補助部材が用いられた建物構造100について、
図1を参照しつつ以下に説明する。
【0015】
本実施形態における建物構造100は、
図1に示すように、長尺な基礎1(例えば、布基礎)と、複数の基礎パッキン30と、木製の土台2と、補助部材10(
図2参照)とを含んでなる。複数の基礎パッキン30は、基礎1の延在方向に沿って長尺に延在し、基礎1上においてその長辺方向Aに連結して配置されている。土台2は、基礎1とで複数の基礎パッキン30を挟むように基礎パッキン30上に配置され、長辺方向Aに長尺に形成されている。
【0016】
基礎1は、フーチング1aと、フーチング1aから上方に立設された立ち上がり部1bとで構成されている。土台2及び複数の基礎パッキン30は、基礎1に植設されたアンカーボルト、角座金及びナット(ともに図示せず)によって立ち上がり部1b上に固定されている。
【0017】
基礎パッキン30は、通常、鉛直方向Cの厚さが20mm程度である。また、幅は120mm程度で、土台2の幅に合わせて定められる。長手方向Aの長さは、910mm程度と長尺で、これを直列に連結し、また、場合によっては、適当に切断して使用される。なお、長手方向の長さが、100~220mm程度と短い短尺の基礎パッキンであってもよい。
本発明における建物用樹脂部材としての基礎パッキン及び補助部材は、合成樹脂製であり、材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(オレフィン系樹脂)、炭酸カルシウム(無機フィラー)及びセルロースファイバーを含有している。
【0018】
本発明における建物用樹脂部材に含まれる無機フィラーとしては、炭酸カルシウムが用いられているが、例えば、タルク、シリカ、クレー等公知の無機フィラーを広く用いることができる。また、本発明における建物用樹脂部材に含まれるオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が用いられているが、例えば、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等の公知の単独重合体、共重合体を広く用いることができる。
【0019】
また、本発明における建物用樹脂部材に含まれるセルロースファイバーの含有比は、25重量%以下であることが望ましく、より好適には、3重量%以上17重量%以下が望ましい。
【0020】
【0021】
上記の表1には、試験サンプルとして10×10×20mmの直方体の樹脂ブロックをオレフィン系樹脂としてポリプロピレン樹脂、無機フィラーとして炭酸カルシウム、及びセルロースファイバーを用いて成形し、これに含まれる無機フィラーとしての炭酸カルシウムとセルロースファイバーの含有比を種々変化させたときの、10種類の樹脂ブロックの圧縮強度、及び、圧縮弾性率を示す。なお、樹脂ブロックがポリプロピレン樹脂と炭酸カルシウムだけを含み、セルロースファイバーを含んでいないときの圧縮強度は、炭酸カルシウムの含有比が0~55重量%程度までは41MPa程度と大きな変化はない。そして、炭酸カルシウムの含有比が55重量%程度を超えてからは、炭酸カルシウムの含有比が増加するに連れて、樹脂ブロックの圧縮強度がどんどん減少する傾向にある。
【0022】
基礎パッキン30または補助部材10の圧縮強度は小さくなりすぎると、荷重や地震により加わる応力に耐えきれず、耐久性や耐震安全性の面で保証が困難となり、所望の圧縮強度として、38MPa程度が必要となる。これ以上の圧縮強度を有することで、基礎パッキン、補助部材の耐久性、耐震安全性を保証することができる。表1より、実施例1~実施例10は、いずれも圧縮強度が38MPa以上となり、良好な結果となった。表1より、セルロースファイバーの含有比が25重量%以下であると、炭酸カルシウムの含有比にかかわらず、圧縮強度が所望の値以上有する。これより、本実施形態における樹脂ブロックに含まれるセルロースファイバーの含有比は1重量%以上25重量%以下であることが望ましい。この結果、基礎パッキン30もしくは補助部材10の圧縮強度が所望の値以上となるように確実に維持することができる。
【0023】
また、表1に示すように、実施例1,2,4,5より、セルロースファイバーの含有比が3~11重量%であるときの樹脂ブロックの圧縮強度が、炭酸カルシウムだけを含む基礎パッキンの圧縮強度以上となる。また、実施例7より、セルロースファイバーの含有比が17重量%であるときの樹脂ブロックの圧縮強度は、炭酸カルシウムだけを含む樹脂ブロックの圧縮強度と同等となる。また、実施例8~10より、セルロースファイバーの含有比が8~14重量%であるときの樹脂ブロックの圧縮強度が、炭酸カルシウムだけを含む樹脂ブロックの圧縮強度以上となる。これらから、炭酸カルシウムの含有比にかかわらず、セルロースファイバーの含有比が3重量%以上17重量%以下の範囲にある樹脂ブロックにおいては、炭酸カルシウムだけを含む樹脂ブロックの圧縮強度以上となる。これにより、基礎パッキン30の圧縮強度が所望の値以上となるようにより確実に維持することができる。
【0024】
表1より、樹脂ブロックの圧縮弾性率は、炭酸カルシウム及びセルロースファイバーの含有比の合計が増加するに連れて増加する。つまり、実施例1,2,4,5,6,3,7,8,10,9の順に圧縮弾性率が増加する。また、実施例1,2の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は1300MPaとなり、実施例3の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は1400MPaとなり、実施例4~6の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は、1500MPaとなり、実施例7の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は、1700MPaとなり、実施例8の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は、1900MPaとなり、実施例9の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は、2100MPaとなり、実施例10の炭酸カルシウムと同じ含有比の炭酸カルシウムとポリプロピレン樹脂とでなる樹脂ブロックの圧縮弾性率は、2200MPaである。これより、各実施例1~10における圧縮弾性率は、セルロースファイバーを含まず、炭酸カルシウムの含有比が同じ樹脂ブロックの圧縮弾性率よりも高くなり、向上したものとなった。また、実施例1~10の樹脂ブロックをサンプルとして用いてクリープ試験を100時間行い、その結果を用いて100年後までの歪み量を推定計算したところ、すべてのサンプルにおいて100年後1mm以下の基準を達成するものであった。このことから、各実施例1~10のものが十分な耐久性を備えていることが判った。
【0025】
なお、基礎パッキンまたは補助部材に含まれるオレフィン系樹脂の含有比が30重量%未満とならないように(換言すると、炭酸カルシウム及びセルロースファイバーの含有比の合計が70重量%未満となるように)、炭酸カルシウム及びセルロースファイバーの含有比を決定する必要がある。これは、樹脂の含有比が少なすぎると割れやすくなり、耐久性、耐震安全性が損なわれてしまうからである。このように基礎パッキン30または補助部材10の圧縮弾性率は、炭酸カルシウムに加えてセルロースファイバーをオレフィン系樹脂に添加(含有)することで、オレフィン系樹脂に対する炭酸カルシウム、あるいは炭酸カルシウム及びセルロースファイバーの含有比率を高くすることができて、炭酸カルシウムだけを含有する基礎パッキンまたは補助部材の圧縮弾性率より向上させることができ、耐クリープ特性を向上することが可能となる。なお、圧縮弾性率が高いものほど、耐クリープ特性が高くなることがクリープ試験の結果が示していた。このため、基礎パッキン30及び補助部材10の使用時間が長くなるに連れて、その形状が変形するのを抑制することが可能となり、耐久性が向上する。
【0026】
本実施形態における基礎パッキン30には、長手方向A及び鉛直方向Cに直交する幅方向Bに抜ける多数の通気孔32が形成されている。基礎パッキン30は、使用時に鉛直方向Cに圧縮荷重を受けるので、通気孔32の形成に際しては、必要とする圧縮強度が確保されるように設計されている。本実施形態における通気孔32の断面形状は4角形とし、隣接させて多数連続状に形成されている。さらに、各通気孔32は、上下いずれかの壁面に開放部33が形成されている。即ち、各通気孔32は、長手方向Aに隣接する2つの側壁34と、上下いずれか一方の壁35との3方囲繞形態であり、残りの一方は開放部33で、ここでは自由に通気が可能である。これにより、通気面積が増加し、換気性能を高めることができ、かつ、上下に接する基礎1や土台2の接触面を乾燥させることができる。また、開放部33は、長手方向A及び幅方向Bに沿って、上下交互に形成されている。これにより、開放部33の形成に伴う、基礎パッキン30の撓み強度の低下を抑制できる。
【0027】
基礎パッキン30には、
図3に示すように、アンカーボルトを通すために鉛直方向Cに貫通する複数の孔36が形成されている。孔36は、長手方向Aに沿って複数形成されている。また、基礎パッキン30の長手方向Aの両端には、連結用の凸部37及び凹部38がそれぞれ形成されていて、基礎パッキン30同士を直列状に繋げて使用できるようになっている。
【0028】
補助部材10は、
図2及び
図3に示すように、孔36内に配置可能な略直方体形状を有し、基礎パッキン30の孔36内であって例えば土台2上に配置される柱(不図示)の直下に配置される。これにより、鉛直方向の圧縮荷重を基礎パッキン30と補助部材10とで効果的に受けることが可能となる。補助部材10の幅方向Bの両側面には、幅方向Bに沿って突出する突出部17が形成されている。突出部17は、基礎パッキン30の開放部33に嵌合可能に形成されている。本実施形態における補助部材10においても、基礎パッキン30と同様の材質から構成されている。つまり、ポリプロピレン樹脂(オレフィン系樹脂)、無機フィラー及びセルロースファイバーを含有している。また、補助部材10に含まれるセルロースファイバーの含有比は、基礎パッキン30のときと同じでよい。
【0029】
実施例1~10の樹脂ブロックの成形は、セルロースファイバーを添加する以外は通常の基礎パッキン30及び補助部材10を製造する方法と同様とした。まず、粒状のポリプロピレン樹脂(オレフィン系樹脂)ペレットと、無機フィラー(炭酸カルシウム粉末)と、セルロースファイバーとが所定の割合となるように準備する。そして、これらポリプロピレン樹脂ペレットと、無機フィラー(炭酸カルシウム粉末)と、セルロースファイバーとに、必要に応じて相溶化剤を添加して混合する。本実施形態においては、相溶化剤として、マレイン酸変性オレフィン樹脂系を採用する。より詳細には、三洋化成工業社製のユーメックス1010及びユーメックス1001、理研ビタミン社製のリケエイドMG-250P及びMG-400P、化薬アクゾ社製のカヤブリッド006PPなどを使用することができる。
【0030】
この後、ポリプロピレン樹脂ペレットと、無機フィラー(炭酸カルシウム粉末)と、セルロースファイバーとの混合物を、金型に充填する。そして、所定時間、加圧加熱し、その後、冷却する。冷却した後に、脱型することで、樹脂ブロックを成形した。
【0031】
以上に述べたように、本実施形態における基礎パッキン30及び補助部材10によると、建物の基礎1と土台2との間に配置される基礎パッキン30及び補助部材10(建物用樹脂部材)において、オレフィン系樹脂に無機フィラーだけが添加されてなるものよりも、圧縮強度が所望の強度以上となるように維持しつつも圧縮弾性率を効果的に向上させることができる。また、セルロースファイバーを含有することによって得られた基礎パッキン30及び補助部材10は、これらをリサイクルするために、一旦ペレット状にしてから、再度、基礎パッキン30及び補助部材10に再生した場合でもその圧縮強度及び圧縮弾性率の低減がほとんど見られない。このため、繰り返しリサイクルすることが可能となる。さらに、無機フィラーに加えてセルロースファイバーも含有しているため、オレフィン系樹脂自体の含有量を減らすことが可能となる。つまり、樹脂の使用量を削減することが可能となり、環境にやさしくなる。
【0032】
また、基礎パッキン30及び補助部材10を製造する際には、ポリプロピレン樹脂ペレットと、無機フィラー(炭酸カルシウム粉末)と、セルロースファイバーとに、マレイン酸変性オレフィン樹脂系の相溶化剤を添加してもよい。これにより、無機フィラー及びセルロースファイバーがオレフィン系樹脂により均一に混ざったものとなる。このため、基礎パッキン30及び補助部材10の圧縮強度、圧縮弾性率がばらつきにくくなる。この結果、圧縮強度、圧縮弾性率がより一層向上するとともに品質をより一層向上することができる。
【0033】
また、基礎パッキン30及び補助部材10に含まれるセルロースファイバーの含有比が25重量%以下である。これにより、基礎パッキン30及び補助部材10(建物用樹脂部材)の圧縮弾性率を向上させつつ、圧縮強度が所望の強度以上となるように確実に維持することができる。
【0034】
また、基礎パッキン30及び補助部材10に含まれるセルロースファイバーの含有比が、3重量%以上17重量%以下の範囲である。これにより、基礎パッキン30及び補助部材10(建物用樹脂部材)の圧縮弾性率をより効果的に向上させつつ、圧縮強度が所望の強度以上となるようにより確実に維持することができる。
【0035】
また、本発明は、比較的多くの樹脂を使用する基礎パッキンにより好ましく適用することができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、建物用樹脂部材(基礎パッキン30及び補助部材10)が、オレフィン系樹脂、無機フィラー及びセルロースファイバーを含有しており、圧縮強度が所望の強度以上となれば、セルロールファイバーの含有比はどのような重量%(オレフィン系樹脂の最低含有比を除いた含有比)であってもよく、セルロールファイバーの含有比が25重量%を超えていてもよく、特に限定されない。また、建物用樹脂部材(基礎パッキン30及び補助部材10)は、マレイン酸変性オレフィン樹脂系の相溶化剤が添加されていてもよい。さらに、材料の一部とされるオレフィン系樹脂として再生樹脂を用いる場合に残留する可能性のある顔料、着色料、この他の多様な不純物が含まれていても、建物用樹脂部材に必要な圧縮強度及び圧縮弾性率が得られる範囲であればかまわない。
【符号の説明】
【0037】
1 基礎
2 土台
10 補助部材(建物用樹脂部材)
30 基礎パッキン(建物用樹脂部材)