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特開2022-143010計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法
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  • 特開-計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法 図1
  • 特開-計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法 図2
  • 特開-計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法 図3
  • 特開-計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法 図4
  • 特開-計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法 図5
  • 特開-計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143010
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】計測器用重錘、計測器、および、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
G01F23/284
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043320
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000233790
【氏名又は名称】株式会社ノーケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】府川 球一
(72)【発明者】
【氏名】武田 亮吾
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014FC10
(57)【要約】
【課題】重錘本体の取付位置の調整が容易に行なえる計測器用重錘を提供する。
【解決手段】計測器用重錘3は、重錘本体10と、ワイヤ20とを備える。重錘本体10には、第1開口部11および第2開口部12が設けられるとともに、これら第1開口部11および第2開口部12を結ぶ貫通孔形状の挿通路13が設けられる。ワイヤ20は、第1取付端と第2取付端22とを有する。挿通路13にワイヤ20の第2取付端22側の部分の少なくとも一部が挿入されるとともに、第1開口部11からワイヤ20の第1取付端側の部分が引き出された状態においてワイヤ20が重錘本体10に固定されることにより、重錘本体10が、ワイヤ20に取付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測器本体と共に用いられる計測器用重錘であって、
重錘本体と、
一端が計測器本体または外部の部材に取付けられる第1取付端として構成されるとともに、他端が前記重錘本体に取付けられる第2取付端として構成されたワイヤとを備え、
前記重錘本体には、第1開口部および第2開口部が設けられるとともに、これら第1開口部および第2開口部を結ぶ貫通孔形状の挿通路が設けられ、
前記挿通路に前記ワイヤの前記第2取付端側の部分の少なくとも一部が挿入されるとともに、前記第1開口部から前記ワイヤの前記第1取付端側の部分が引き出された状態において前記ワイヤが前記重錘本体に固定されることにより、前記重錘本体が、前記ワイヤに取付けられている、計測器用重錘。
【請求項2】
前記挿通路に達するように前記重錘本体に固定用ネジ孔が設けられ、
前記固定用ネジ孔に固定用ネジが螺合され、
前記固定用ネジと前記挿通路を規定する部分の前記重錘本体の壁面とによって前記挿通路に挿入された部分の前記ワイヤが挟み込まれることにより、前記ワイヤが、前記重錘本体に固定されている、請求項1に記載の計測器用重錘。
【請求項3】
前記ワイヤの前記第2取付端側の端部が、前記挿通路に収容されている、請求項2に記載の計測器用重錘。
【請求項4】
前記ワイヤの前記第2取付端側の端部が、前記第2開口部から前記重錘本体の外部に引き出され、
前記重錘本体から引き出された部分の前記第2取付端に、結び目が設けられるか、あるいは、かしめ用金具が取付けられ、これら結び目またはかしめ用金具が前記重錘本体のうちの前記第2開口部側の端部に当て留めされることにより、前記ワイヤが、前記重錘本体に固定されている、請求項1に記載の計測器用重錘。
【請求項5】
計測器本体と、
請求項1から4のいずれかに記載の計測器用重錘とを備えた、計測器。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の計測器用重錘において、前記ワイヤに対する前記重錘本体の取付位置を調整する取付位置調整方法であって、
前記ワイヤの前記第2取付端側の部分の少なくとも一部が前記挿通路に挿入された状態から、前記ワイヤのうち、切除すべき余剰部を少なくとも含む部分が、前記第2開口部から前記重錘本体の外部に露出するように、前記ワイヤの一部が前記重錘本体から引き出されるステップと、
前記第2開口部から前記重錘本体の外部に引き出された部分の前記ワイヤのうちの前記余剰部が切除されるステップと、
前記ワイヤが前記重錘本体に固定されることにより、前記重錘本体が前記ワイヤに取付けられるステップとを備える、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法。
【請求項7】
前記ワイヤのうちの前記余剰部が切除されるステップの後であって前記重錘本体が前記ワイヤに取付けられるステップの前に、前記ワイヤの前記第2取付端側の端部が前記挿通路に収容されるステップをさらに備える、請求項6に記載の計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法。
【請求項8】
前記ワイヤの一部が前記重錘本体から引き出されるステップにおいて、前記余剰部のみが前記第2開口部から前記重錘本体の外部に引き出され、
前記余剰部が切除されるステップが、前記重錘本体が前記ワイヤに取付けられるステップが実施された後に行なわれる、請求項6に記載の計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測器用重錘(以下、単に重錘とも称する)およびこれを備えた計測器に関し、さらには、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2003-4505号公報(特許文献1)の図3に開示される電極式液面計のように、計測器本体と計測器用重錘とが共に用いられることが想定された計測器が知られている。計測器用重錘としては、種々の構成のものが知られているが、当該特許文献1に開示されるように、金属製のワイヤと、当該ワイヤに取付けられた金属製の重錘本体とによって構成されたものがある。
【0003】
ここで、上記特許文献1に開示された電極式液面計は、計測器本体に具備された複数のセンサヘッドが計測器用重錘のワイヤの所定位置に組付けられたものであり、計測器用重錘のワイヤの一端は、当該電極式液面計が設置されるタンク等に取付けられ、計測器用重錘のワイヤの他端は、重錘本体に取付けられる。
【0004】
また、ガイドパルス式や静電容量式の液面計のように、計測器用重錘のワイヤの一端が計測器本体に取付けられるとともに、計測器用重錘のワイヤの他端が重錘本体に取付けられることにより、ワイヤ自体がセンサヘッドとして機能するように構成された計測器も知られている。
【0005】
図5は、従来例に係る液面計の重錘ならびに当該重錘に具備された重錘本体を示す模式断面図である。また、図6は、図5に示す重錘における重錘本体の取付位置調整方法を説明するための模式断面図である。
【0006】
図5(A)に示すように、重錘103は、金属製の略円柱状の重錘本体110と、金属製の撚り線からなるワイヤ120とを備えている。図5(A)および図5(B)に示すように、重錘本体110には、開口部111が設けられるとともに、当該開口部111に通じる穴形状の挿通路113が設けられており、開口部111とは反対側に位置する挿通路113の端部には、穴形状の挿通路113の底面112が位置している。図5(A)に示すように、挿通路113には、開口部111側からワイヤ120の先端122側の部分が挿入されており、ワイヤ120の先端122は、挿通路113の上述した底面112に当て留めされている。
【0007】
この状態において、重錘本体110に設けられた複数の固定用ネジ孔114の各々にイモネジ(六角穴付き止めねじ)115が捩じ込まれることにより、挿通路113に挿入された部分のワイヤ120が重錘本体110に固定されている。これにより、重錘本体110が、ワイヤ120に取付けられることになる。
【0008】
このような構成の重錘103は、予めワイヤ120を冗長に構成しておくことにより、当該重錘103を具備した計測器が設置されるタンク等の条件に応じてワイヤ120の長さを任意に調整することができるものである。
【0009】
すなわち、当該重錘103を具備した計測器をタンク等に設置するに際しては、まず計測器が設置されるタンク等を実寸することにより、ワイヤ120の必要な長さが決定され、これに基づいてワイヤ120の切除すべき余剰部の長さが算出される。
【0010】
次に、図6(A)に示す状態から、図6(B)に示すように、複数のイモネジ115が緩められた状態とされ、その後、図6(C)に示すように、ワイヤ120の先端122側の部分が重錘本体110の開口部111から図中に示す矢印DR101方向に向けて引き出されることにより、ワイヤ120が重錘本体110の挿通路113から引き抜かれる。
【0011】
次に、図6(D)に示すように、引き出されたワイヤ120の長さが上述した必要な長さとなるようにワイヤ120が所定位置にて切断され、これによりワイヤ120の余剰部123が取り除かれる。
【0012】
次に、図6(E)に示すように、切断後のワイヤ120の先端122が重錘本体110の開口部111を介して図中に示す矢印DR102方向に向けて差し込まれ、これによりワイヤ120が重錘本体110の挿通路113に挿入される。その際、ワイヤ120の先端122が、重錘本体110の挿通路113の底面112に当て留めされるようにする。
【0013】
そして、図6(F)に示すように、複数のイモネジ115が捩じ込まれた状態とされるこでワイヤ120が重錘本体110に固定され、これにより重錘本体110がワイヤ120に取付けられることになる。
【0014】
以上の手順を経ることにより、計測器が設置されるタンク等の条件に応じてワイヤ120の長さが任意に調整できることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003-4505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述した従来例に係る液面計の重錘においては、以下のような問題があった。
【0017】
第一に、上述した従来例に係る液面計の重錘103にあっては、重錘本体110の取付位置の調整の際に、重錘本体110の挿通路113から一旦引き抜いたワイヤ120を再び重錘本体110の挿通路13に差し込む必要があるため、この差し込み作業が煩雑であるという問題がある。この問題は、単にワイヤ120を重錘本体110の挿通路113に差し込むことが手間であるというばかりでなく、以下のような困難性を伴う場合がある。
【0018】
すなわち、図6(D)に示すように、切断に際しては、ワイヤ120が切断刃からの荷重を受けて変形し、結果としてワイヤ120の端部が変形してその外形が大きくなることがある。このような状況においては、外形が大きくなったワイヤ120の端部が重錘本体110の開口部111や固定用ネジ孔114に引っ掛かることになり、上述した差し込み作業が大幅に困難になってしまう。特に、ワイヤ120が撚り線にて構成されている場合には、当該撚り線がワイヤ120の端部において解れてしまうことがあり、上述した問題が顕著に生じ得る。
【0019】
第二に、重錘本体110の取付位置の調整の際に、予め切除すべきワイヤ120の余剰部123の長さを算出しておくことが必要になるが、上述した従来例に係る液面計の重錘103にあっては、挿通路113の長さや重錘本体110の長さを考慮した上でこの余剰部123の長さを算出する必要があり、その計算が面倒であるという問題がある。
【0020】
第三に、上述した従来例に係る液面計の重錘103にあっては、重錘本体110の取付位置の調整の際に、切断後のワイヤ120の先端122を重錘本体110の挿通路113の底面112に当て留めすることが必要であるが、これが確実に当て留めされているか否かを外部から視認することができないため、場合によってはワイヤ120の挿入が不十分となり、結果として調整すべき長さに重錘103の全長が合わなくなる問題が発生する。その場合には、重錘本体110がタンク等の底面にまで達しないことになり、計測可能な範囲が狭まってしまうことに繋がる。
【0021】
このように、上述した従来例に係る液面計の重錘は、容易に重錘本体の取付位置の調整が行えるものとは言い難く、その改善が強く求められていた。なお、このような問題は、液面計の重錘に限って生じるものではなく、計測器本体と共に用いられる計測器用重錘であれば、基本的にどのようなものにおいても生じ得る問題である。
【0022】
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、重錘本体の取付位置の調整が容易に行なえる計測器用重錘、および、これを備えた計測器、ならびに、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に基づく計測器用重錘は、計測器本体と共に用いられるものであって、重錘本体と、ワイヤとを備えている。上記ワイヤは、その一端が計測器本体または外部の部材に取付けられる第1取付端として構成されているとともに、その他端が上記重錘本体に取付けられる第2取付端として構成されているものである。上記重錘本体には、第1開口部および第2開口部が設けられているとともに、これら第1開口部および第2開口部を結ぶ貫通孔形状の挿通路が設けられている。上記本発明に基づく計測器用重錘にあっては、上記挿通路に上記ワイヤの上記第2取付端側の部分の少なくとも一部が挿入されるとともに、上記第1開口部から上記ワイヤの上記第1取付端側の部分が引き出された状態において上記ワイヤが上記重錘本体に固定されることにより、上記重錘本体が、上記ワイヤに取付けられている。
【0024】
上記本発明に基づく計測器用重錘にあっては、上記挿通路に達するように上記重錘本体に固定用ネジ孔が設けられているとともに、当該固定用ネジ孔に固定用ネジが螺合されていてもよく、これにより、上記固定用ネジと上記挿通路を規定する部分の上記重錘本体の壁面とによって上記挿通路に挿入された部分の上記ワイヤが挟み込まれることにより、上記ワイヤが、上記重錘本体に固定されていてもよい。
【0025】
上記本発明に基づく計測器用重錘にあっては、上記ワイヤの上記第2取付端側の端部が、上記挿通路に収容されていてもよい。
【0026】
上記本発明に基づく計測器用重錘にあっては、上記ワイヤの上記第2取付端側の端部が、上記第2開口部から上記重錘本体の外部に引き出されるとともに、上記重錘本体から引き出された部分の上記第2取付端に、結び目が設けられるか、あるいは、かしめ用金具が取付けられていてもよく、これにより、これら結び目またはかしめ用金具が上記重錘本体のうちの上記第2開口部側の端部に当て留めされることにより、上記ワイヤが、上記重錘本体に固定されていてもよい。
【0027】
本発明に基づく計測器は、計測器本体と、上述した本発明に基づく計測器用重錘とを備えたものである。
【0028】
本発明に基づく計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法は、上述した本発明に基づく計測器用重錘において、上記ワイヤに対する上記重錘本体の取付位置を調整する方法であって、上記ワイヤの上記第2取付端側の部分の少なくとも一部が上記挿通路に挿入された状態から、上記ワイヤのうち、切除すべき余剰部を少なくとも含む部分が、上記第2開口部から上記重錘本体の外部に露出するように、上記ワイヤの一部が上記重錘本体から引き出されるステップと、上記第2開口部から上記重錘本体の外部に引き出された部分の上記ワイヤのうちの上記余剰部が切除されるステップと、上記ワイヤが上記重錘本体に固定されることにより、上記重錘本体が上記ワイヤに取付けられるステップとを備えている。
【0029】
上記本発明に基づく計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法は、さらに、上記ワイヤのうちの上記余剰部が切除されるステップの後であって上記重錘本体が上記ワイヤに取付けられるステップの前に、上記ワイヤの上記第2取付端側の端部が上記挿通路に収容されるステップを備えていてもよい。
【0030】
上記本発明に基づく計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法にあっては、上記ワイヤの一部が上記重錘本体から引き出されるステップにおいて、上記余剰部のみが上記第2開口部から上記重錘本体の外部に引き出されるとともに、上記余剰部が切除されるステップが、上記重錘本体が上記ワイヤに取付けられるステップが実施された後に行なわれてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、重錘本体の取付位置の調整が容易に行なえる計測器用重錘、および、これを備えた計測器、ならびに、計測器用重錘における重錘本体の取付位置調整方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態に係る液面計の設置状態を示す模式図である。
図2図1に示す重錘ならびに当該重錘に具備された重錘本体の模式断面図である。
図3図1に示す重錘における重錘本体の取付位置調整方法の一例を説明するための模式断面図である。
図4】第1ないし第4変形例に係る重錘の模式断面図である。
図5】従来例に係る液面計の重錘ならびに当該重錘に具備された重錘本体を示す模式断面図である。
図6図5に示す重錘における重錘本体の取付位置調整方法を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、計測器およびこれに具備される計測器用重錘としてのガイドパルス式液面計およびこれに具備される重錘に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0034】
図1は、実施の形態に係るガイドパルス式液面計の設置状態を示す模式図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態に係るガイドパルス式液面計1について説明する。
【0035】
図1に示すように、ガイドパルス式液面計1は、液体40を貯留するタンク30に設置される。ガイドパルス式液面計1は、計測器本体2と、重錘3とを備えている。計測器本体2は、タンク30の天板に組付けられている。計測器本体2は、概ねタンク30の天板上に位置しており、その下端部のみがタンク30内に位置している。重錘3は、計測器本体2の下端部に取付けられており、これにより計測器本体2からタンク30の内部に向けて垂下している。
【0036】
重錘3は、重錘本体10と、ワイヤ20とを備えている。重錘本体10は、たとえば金属製の部材からなり、ワイヤ20は、たとえば金属製の撚り線にて構成されている。ワイヤ20の延在方向の一端は、第1取付端21として構成されており、当該第1取付端21は、計測器本体2に取付けられている。一方、ワイヤ20の延在方向の他端は、第2取付端22(図2(A)等参照)として構成されており、当該第2取付端22は、重錘本体10に取付けられている。
【0037】
ガイドパルス式液面計1は、計測器本体2からワイヤ20に対して短波長のパルス信号を送信し、この短波長のパルス信号が液体40の液面に対応する部分のワイヤ20において反射する性質(すなわち、特性インピーダンスの変化点で反射する性質)を利用して計測器本体2にてその反射波を受信し、短波長のパルス信号の送信からこの反射波の受信までに要した時間に基づいて液面のレベルを検知するものである。そのため、ガイドパルス式液面計1においては、計測器本体2と共に用いられる重錘3のワイヤ20が、いわゆるセンサヘッド(プローブ)として利用されるものである。
【0038】
図2(A)および図2(B)は、それぞれ図1に示す重錘ならびに当該重錘に具備された重錘本体の模式断面図である。次に、これら図2(A)および図2(B)を参照して、本実施の形態に係る重錘3の構成について詳細に説明する。
【0039】
図2(A)および図2(B)に示すように、重錘本体10は、細長の略円柱状の外形を有している。重錘本体10の上面および下面には、それぞれ第1開口部11および第2開口部12が設けられており、これら第1開口部11および第2開口部12を結ぶように、重錘本体10には、その軸方向に沿って延びる貫通孔形状の挿通路13が設けられている。
【0040】
また、重錘本体10の所定位置には、複数の固定用ネジ孔14が設けられている。複数の固定用ネジ孔14の各々は、重錘本体10の軸方向と直交する方向に延びており、挿通路13に達している。複数の固定用ネジ孔14の各々の内壁面には、雌ネジ部が設けられている。
【0041】
図2(A)に示すように、ワイヤ20は、その一部が重錘本体10の挿通路13に挿入されている。より詳細には、重錘本体10の挿通路13には、ワイヤ20のうちの上述した第2取付端22側の部分が挿入されている。ここで、本実施の形態においては、ワイヤ20の第2取付端22の端部22aが重錘本体10の挿通路13に収容されており、当該端部22aは、重錘本体10のうちの第2開口部12が設けられた側の端部に達している。
【0042】
一方で、ワイヤ20は、その一部が重錘本体10の第1開口部11から重錘本体10の外部に引き出されている。ここで、重錘本体10から外部に引き出された部分は、上述した第2取付端22側の部分以外の部分であり、この部分には、ワイヤ20の第1取付端21側の部分が含まれる。
【0043】
重錘本体10の複数の固定用ネジ孔14の各々には、固定用ネジとしてのイモネジ(六角穴付き止めねじ)15が螺合されている。より詳細には、イモネジ15は、その周面に雄ネジ部を有しており、この雄ネジ部が固定用ネジ孔14の内壁面に設けられた雌ネジ部に螺合している。これにより、挿通路13に挿入された部分のワイヤ20が、イモネジ15の先端と挿通路13を規定する部分の重錘本体10の壁面とによって挟み込まれることにより、ワイヤ20が、重錘本体10に固定されている。
【0044】
以上により、本実施の形態に係る重錘3においては、重錘本体10の挿通路13にワイヤ20の第2取付端22側の部分が挿入されるとともに、重錘本体10の第1開口部11からワイヤ20の第1取付端21側の部分が引き出された状態においてワイヤ20が重錘本体10に固定されており、これによって重錘本体10がワイヤ20に取付けられている。
【0045】
図3は、図1に示す重錘における重錘本体の取付位置調整方法を説明するための模式断面図である。以下、この図3を参照して、本実施の形態に係る重錘における重錘本体の取付位置調整方法について説明する。なお、図3(A)ないし図3(F)は、当該取付位置調整方法の具体的な手順を時系列に従って並べたものである。
【0046】
図1に示す重錘3において、ワイヤ20に対する重錘本体10の取付位置を調整するに際しては、まず、ガイドパルス式液面計1が設置されるタンク30を実寸することにより、ワイヤ20の必要な長さが決定され、これに基づいてワイヤ120の切除すべき余剰部の長さが算出される。なお、ワイヤ120は、予め冗長に構成されていることが必要である。
【0047】
ここで、上述したように、本実施の形態に係る重錘3においては、ワイヤ20の第2取付端22側の端部22aが、重錘本体10のうちの第2開口部12が設けられた側の端部と同じ位置に配置されるものであるため、ワイヤ20の切除すべき余剰部の長さは、実際のワイヤ20の長さから、タンク30を実寸することによって決定したワイヤ20の必要な長さを減算することで直ちに導き出せる。すなわち、ワイヤ20の切除すべき余剰部の長さの決定には、挿通路113の長さや重錘本体110の長さを考慮する必要がないため、その計算が非常に容易である。
【0048】
次に、図3(A)に示す状態から、図3(B)に示すように、複数のイモネジ115が緩められた状態とされる。これにより、イモネジ15の先端と挿通路13を規定する部分の重錘本体10の壁面とによるワイヤ20の挟み込みが解除され、ワイヤ20が重錘本体10に対して相対的に移動できるようになる。
【0049】
次に、図3(C)に示すように、ワイヤ20のうちの第2取付端22側の部分が、図中矢印DR1方向に向けて第2開口部12から重錘本体10の外部へと引き出される。このとき、第2開口部12から重錘本体10の外部へと引き出された部分のワイヤ20の長さが、上述した切除すべき余剰部の長さよりも長くなるようにする。これにより、ワイヤ20の第2取付端22側の端部22aが、挿通路13の外部に配置されることになるとともに、ワイヤ20のうちの切除すべき余剰部も、挿通路13の外部に配置されることになる。
【0050】
次に、図3(D)に示すように、引き出された部分のワイヤ20がその所定位置において切断されることにより、ワイヤ20の余剰部123が切除される。これにより、切断後のワイヤ20においては、第2取付端22側の端部22aが、この切断箇所に位置することになる。
【0051】
次に、図3(E)に示すように、第2開口部12から重錘本体10の外部へと引き出された部分のワイヤ20が、重錘本体10の第2開口部12を介して図中に示す矢印DR2方向に向けて引き込まれ、これによりワイヤ20の第2取付端22側の端部22aが重錘本体10の挿通路13に収容されるとともに、当該端部22aが、重錘本体10のうちの第2開口部12が設けられた側の端部と同じ位置に配置される。このとき、重錘本体10の挿通路13に収容されるワイヤ20の第2取付端22側の端部22aは、外部から視認可能であるため、その位置決めを容易に行なうことができる。
【0052】
また、上述したワイヤ20の切断の際には、ワイヤ20が切断刃からの荷重を受けて変形し、結果としてワイヤ20の第2取付端22側の端部22aが変形してその外形が大きくなることがあるが、ワイヤ20が重錘本体10の挿通路13に引き込まれる際に、当該端部22aが重錘本体10の第2開口部12によって絞られることになるため、容易にこれを挿通路13に収容することができる。
【0053】
そして、図3(F)に示すように、複数のイモネジ115が捩じ込まれた状態とされる。これにより、挿通路13に挿入された部分のワイヤ20がイモネジ15の先端と挿通路13を規定する部分の重錘本体10の壁面とによって挟み込まれることになり、ワイヤ120が重錘本体110に固定される。
【0054】
以上の手順を経ることにより、ワイヤ20に対する重錘本体10の取付位置の調整が完了する。
【0055】
上述した本実施の形態に係る重錘3およびこれを備えたガイドパルス式液面計1ならびに本実施の形態に係る重錘の取付位置調整方法とすることにより、以下の効果を得ることができる。
【0056】
第一に、本実施の形態に係る重錘3およびこれを備えたガイドパルス式液面計1ならびに本実施の形態に係る重錘の取付位置調整方法とすることにより、ワイヤ20に対する重錘本体10の取付位置の調整の際に、ワイヤ20を重錘本体10の挿通路13から一旦引き抜く必要がなくなる。そのため、再びこれを重錘本体10の挿通路13に差し込む作業もなくなるため、作業が大幅に容易化する。
【0057】
また、上述したように、切断に際してワイヤ20の端部22aが変形してその外形が大きくなったとしても、これを挿通路13に容易に収容することができるため、困難な作業を何ら伴わないこととなる。したがって、この意味においても、作業が大幅に容易化することになる。
【0058】
第二に、本実施の形態に係る重錘3およびこれを備えたガイドパルス式液面計1ならびに本実施の形態に係る重錘の取付位置調整方法とすることにより、ワイヤ20に対する重錘本体10の取付位置の調整の際に、上述したように、ワイヤ20の切除すべき余剰部23の長さを、実際のワイヤ20の長さから、タンク30を実寸することによって決定したワイヤ20の必要な長さを減算することで直ちに導き出せる。そのため、この点においても、作業が大幅に容易化することになる。
【0059】
第三に、本実施の形態に係る重錘3およびこれを備えたガイドパルス式液面計1ならびに本実施の形態に係る重錘の取付位置調整方法とすることにより、上述したように、切断後のワイヤ20の第2取付端22側の端部22aを外部から視認しつつ重錘本体10のうちの第2開口部12が設けられた側の端部と同じ位置に配置させることが可能になる。そのため、より高精度にワイヤ20に対する重錘本体10の取付位置を調整できるため、結果として調整すべき長さに重錘3の全長を合わせ込むことが容易化する。したがって、この重錘3の全長の合わせ込みが不十分となって、ガイドパルス式液面計1の計測可能な範囲が狭まってしまうことが未然に防止可能となる。
【0060】
このように、本実施の形態に係る重錘3およびこれを備えたガイドパルス式液面計1ならびに本実施の形態に係る重錘の取付位置調整方法とすることにより、従来よりも重錘本体の取付位置の調整が飛躍的に容易に行なえることになる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、図3(C)に示すように、ワイヤ20のうちの第2取付端22側の部分が第2開口部12から重錘本体10の外部へと引き出される際に、引き出された部分のワイヤ20の長さが切除すべき余剰部23の長さよりも長くなるようにした場合を例示して説明を行なったが、これを切除すべき余剰部23の長さと同じにしてもよい。このようにしつつ、重錘本体10のうちの第2開口部12が位置する部分に沿ってワイヤ20を切断することとすれば、ワイヤ20を引き戻す作業が不要になり、さらに作業が容易化する。加えて、その場合に、ワイヤ20の切断に先立って、イモネジ15を捩込むことでワイヤ20を重錘本体10に固定することとすれば、切断の際にワイヤ20と重錘本体10とが位置ズレすることもなくなり、ワイヤ20の全長の合わせ込みがより確実に行なえることになる。
【0062】
図4(A)ないし図4(D)は、それぞれ上述した実施の形態に基づいた第1ないし第4変形例に係る重錘の模式断面図である。以下、これら図4(A)ないし図4(D)を参照して、第1ないし第4変形例に係る重錘3A~3Dについて説明する。なお、第1ないし第4変形例に係る重錘3A~3Dは、上述した実施の形態に係るガイドパルス式液面計1に、上述した実施の形態に係る重錘3に代えて具備されるものであり、これら第1ないし第4変形例に係る重錘3A~3Dにおける重錘の取付位置調整方法も、上述した実施の形態に係る重錘の取付位置調整方法に準じたものとなる。
【0063】
図4(A)に示す第1変形例に係る重錘3Aは、上述した実施の形態に係る重錘3と比較した場合に、イモネジ15に代えてビス(なべ小ねじ)16を具備するものである。このビス16を用いた場合にも、重錘本体10の挿通路13に挿入された部分のワイヤ20がビス16の先端と挿通路13を規定する部分の重錘本体10の壁面とによって挟み込まれることにより、ワイヤ20を重錘本体10に固定することができる。
【0064】
図4(B)に示す第2変形例に係る重錘3Bは、上述した実施の形態に係る重錘3と比較した場合に、重錘本体10に固定用ネジ孔14が設けられておらず、またイモネジ15も具備していない。これら固定用ネジ孔14およびイモネジ15に代えて、本変形例に係る重錘3Bにあっては、ワイヤ20を重錘本体10に固定する手段として、ワイヤ20の第2取付端22側に設けられた結び目24が用いられている。
【0065】
結び目24は、重錘本体10から引き出された部分のワイヤ20の第2取付端22に設けられており、本変形例に係る重錘3Bにあっては、この結び目24が重錘本体10のうちの第2開口部12側の端部に当て留めされることにより、ワイヤ20が、重錘本体10に固定されている。
【0066】
図4(C)に示す第3変形例に係る重錘3Cは、上述した実施の形態に係る重錘3と比較した場合に、重錘本体10に固定用ネジ孔14が設けられておらず、またイモネジ15も具備していない。これら固定用ネジ孔14およびイモネジ15に代えて、本変形例に係る重錘3Cにあっては、ワイヤ20を重錘本体10に固定する手段として、ワイヤ20の第2取付端22側に取付けられたかしめ用金具25が用いられている。
【0067】
かしめ用金具25は、重錘本体10から引き出された部分のワイヤ20の第2取付端22に取付けられており、本変形例に係る重錘3Cにあっては、このかしめ用金具25が重錘本体10のうちの第2開口部12側の端部に当て留めされることにより、ワイヤ20が、重錘本体10に固定されている。
【0068】
図4(D)に示す第4変形例に係る重錘3Dは、上述した第3変形例に係る重錘3Cと比較した場合に、重錘本体10のうちの第2開口部12側の端部に凹部17が設けられており、この凹部17にかしめ用金具25が収容されている。これに伴い、第2開口部12は、凹部17の底面に位置しており、このかしめ用金具25が重錘本体10のうちの第2開口部12側の端部に当て留めされることにより、ワイヤ20が、重錘本体10に固定されている。
【0069】
これら第1ないし第4変形例に係る重錘3Dとした場合にも、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果をえることが可能になる。
【0070】
なお、ワイヤ20を重錘本体10に固定する手段としては、これらの他にも各種のものが使用でき、上述した実施の形態ならびにその変形例において開示した手段に限定されるものではない。
【0071】
また、上述した実施の形態ないしその変形例においては、ガイドパルス式液面計およびこれに具備される重錘に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象は、これに限定されるものではない。たとえば、計測器用重錘のワイヤをセンサヘッドとして利用するものとしては、上述したガイドパルス式液面計の他にも、静電容量式液面計等があり、また、計測器用重錘のワイヤに複数のセンサヘッドを取付けて使用するものとしては、電極式液面計やフロート式液面計等があり、これらのいずれにおいても本発明の適用が可能である。
【0072】
さらには、液面計の他にも、たとえばタンク内に収容された粉体の量を検知するセンサ等、計測器本体と計測器用重錘とが共に用いられるように構成された計測器は種々知られており、計測器本体と計測器用重錘とが共に用いられる計測器であれば、どのようなものにも本発明の適用が可能である。
【0073】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0074】
1 ガイドパルス式液面計、2 計測器本体、3,3A~3D 重錘、10 重錘本体、11 第1開口部、12 第2開口部、13 挿通路、14 固定用ネジ孔、15 イモネジ、16 ビス、17 凹部、20 ワイヤ、21 第1取付端、22 第2取付端、22a 端部、23 余剰部、24 結び目、25 かしめ用金具、30 タンク、40 液体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6