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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143029
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】管継手収容保護カバー
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043351
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛士
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA03
3H024AB07
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】
流体管の配管経路の途中に管継手を配置して、熱に起因する流体管の線膨張を途中で遮断する配管構造において、前記流体管の管径等に対応して、軸方向に沿った長さの異なる複数の管継手を配置可能にすることである。
【解決手段】
管継手収容保護カバーC1 の基台V1 上に配置された直状管継手A1 により2本の流体管P1 ,P2 が接続され、当該基台V1 における前記直状管継手A1 の両端部に近接するようにして、第1及び第2の移動規制体R1 ,R2 を前記各流体管P1 ,P2 を跨いで前記基台V1 に取着され、当該第1及び第2の移動規制体R1 ,R2 は、前記直状管継手A1 の軸方向の長さに対応して、前記基台V1 に対して取着位置が変更可能な構成とした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の流体管を直線状に連結した管継手を収容可能な収容空間が内部に形成されたカバー本体を備えた管継手収容保護カバーであって、
前記カバー本体には、収容された管継手を軸方向に沿って挟むようにして、当該管継手の軸方向の両端部にそれぞれ当接して、当該管継手の当該当接位置を超える移動を規制する2つの当接部がそれぞれ設けられ、
前記2つの当接部のうち少なくとも1つの当接部は、前記カバー本体に設けられた被取着部に取着可能な取着部を備え、前記管継手の軸方向の移動を規制するために前記カバー本体と別体に形成された移動規制体に形成され、
前記移動規制体の取着部の配置位置は、前記流体管の軸方向に沿った複数の異なる位置に変更可能であることを特徴とする管継手収容保護カバー。
【請求項2】
流体管を連結した管継手を収容可能な収容空間が内部に形成されたカバー本体を備えた管継手収容保護カバーであって、
前記管継手の軸方向への移動を規制するために、前記カバー本体とは別体に形成されて、当該カバー本体に設けられた被取着部に取着可能な取着部を有する移動規制体を備え、
前記移動規制体には、前記流体管の熱による線膨張に起因して、当該流体管における前記管継手との接続端部が仮想延長先に移動するのを防止するために、当該管継手に当接して、当該管継手の移動を規制する当接部が設けられ、
前記カバー本体の収容空間内における前記移動規制体の当接部の配置位置は、前記仮想延長先において異なる複数の位置に変更可能であることを特徴とする管継手収容保護カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、互いに組み付けられて内部に前記収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、
前記移動規制体は、前記管継手、及び当該管継手に接続される流体管の少なくとも一方を跨ぐようにして、前記基台に設けられた被取着部に取着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の管継手収容保護カバー。
【請求項4】
前記基台の被取着部は、前記当接部の配置位置を変更可能な方向に沿って延びるガイド部と、当該ガイド部の延びる方向に沿って形成された複数の被係止部と、を備え、
前記移動規制体は、前記ガイド部に沿っていて、前記移動規制体が前記管継手に近接する方向にスライド移動が可能な状態で前記カバー本体に組付け可能であり、
前記取着部は、前記被係止部に係止して、前記移動規制体が前記管継手から離間する方向にスライド移動するのを防止する係止部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手収容保護カバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、互いに組み付けられて内部に前記収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、
前記基台には、前記移動規制体の当接部の配置位置を変更できる範囲を示し、前記管継手の配置位置の目安となる指標部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手収容保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管が給湯時に熱により線膨張して悪影響が発生するのを防止すべく、その途中に配置した管継手により前記線膨張を中間遮断する配管構造において、当該管継手を収容する保護カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、浴室に設置される湯水混合栓には、給水と給湯との2本の流体管(多くは、樹脂で製作されている)が接続されており、いずれの配管も常温で行うため、給湯用の流体管は、給湯時には、熱による線膨張が発生して、途中に蛇行が発生したり、或いは途中の蛇行が少なくて、累積線膨張が、終端に接続された水栓類の直前の部分に集約されることがある。この場合には、流体管における当該水栓との接続部に発生する大きな加熱負荷により大きく熱変形されることで、当該接続部に損傷を来すことがある。
【0003】
上記現象の発生防止のために、特許文献1の明細書の段落「0033」に開示されているように、管(本発明の「流体管」)1cを収容保護している直状ダクト4d(本発明における「流体管保護カバー」)の基台の一対の保持部4bの途中を部分的に切除して、流体管に一体に設けられた規制体3を前記切除部の間に、前記一対の保持部4bの切除端面に当接させた状態で収容配置して、当該規制体3の部分で、管1cの熱による線膨張を遮断することで、管1cの全体の累積線膨張が、当該管1cの先端部に集約されるのを防止している。しかし、前記規制体3の収容位置を正確に定めること、及び当該規制体3の長さに対応させて、前記一対の保持部4bを切除することは難しく、切除長が長すぎた場合には、超過長さの範囲内において、規制体3は移動してしまうので、管1cの線膨張の遮断という本来の機能を果し得ない。
【0004】
また、特許文献1の明細書の段落「0041」には、規制体3として直状管継手302を使用して、当該直状管継手302の両側にそれぞれ管1cを接続すると共に、当該直状管継手302は、管1cを収容する2本の直状ダクト4dの接続部に配置されるダクト接続具4jに収容配置され、直状ダクト4dの端部を前記直状管継手302に係合させて、当該直状ダクト4dに対して直状管継手302が移動するのを防止している。また、直状ダクト4dに対して直状管継手302が移動するのを規制する他の手段として、その段落「0045」には、ダクト接続具4jにおける接続基台4kに、底板4nの端部から内側に突出して形成された制止部4aを前記直状管継手302に係合させて、当該直状管継手302の移動を制止する例も示されている。
【0005】
上記した直状管継手302を用いて熱による管1cの線膨張を遮断するには、ダクト接続具4jに接続される2本の直状ダクト4dの各端部は、直状管継手302の大きさに合致するように、当該ダクト接続具4j内に入り込ませる必要がある。また、ダクト接続具4jの底板に制止部を形成する場合にも、直状管継手302の配置長さの範囲内に形成する必要があり、その長さの直状管継手しか対応できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-219905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、流体管の配管経路の途中に管継手を配置して、熱に起因する流体管の線膨張を途中で遮断する配管構造において、前記流体管の管径等に対応して、軸方向に沿った長さの異なる複数の管継手を配置可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、2本の流体管を直線状に連結した管継手を収容可能な収容空間が内部に形成されたカバー本体を備えた管継手収容保護カバーであって、
前記カバー本体には、収容された管継手を軸方向に沿って挟むようにして、当該管継手の軸方向の両端部にそれぞれ当接して、当該管継手の当該当接位置を超える移動を規制する2つの当接部がそれぞれ設けられ、
前記2つの当接部のうち少なくとも1つの当接部は、前記カバー本体に設けられた被取着部に取着可能な取着部を備え、前記管継手の軸方向の移動を規制するために前記カバー本体と別体に形成された移動規制体に形成され、
前記移動規制体の取着部の配置位置は、前記流体管の軸方向に沿った複数の異なる位置に変更可能であることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、2本の流体管は、カバー本体に収容された管継手を介して連結され、前記カバー本体には、収容された管継手を軸方向に沿って挟むようにして、当該管継手の軸方向の両端部にそれぞれ当接して、当該管継手の当該当接位置を超える移動を規制する2つの当接部がそれぞれ設けられているので、前記流体管に給湯されることで、当該流体管が熱により線膨張した場合には、前記管継手は、最上流側の流体管の供給源、及び最下流側の水栓類の各接続構造、或いは流体管の途中における屈曲部の存否等の諸条件により、上流側又は下流側のいずれかの方向に、当該流体管と一体となって軸方向に移動させられるが、当該移動量が設定値を超えると、前記管継手の移動側の端部は、カバー本体に設けられた2つの当接部のいずれか一方に当接することで、これを超える移動が規制(阻止)される。これにより、管継手を介して接続された2本の流体管に及んでいる各線膨張は、当該管継手の部分で遮断されて、一方の流体管の線膨張が他方の流体管に及ばなくなる。この結果、複数本の流体管の各線膨張が、当該流体管の一箇所(例えば、最も下流側の水栓類との接続部)に集約されて、当該流体管の特定の一箇所が線膨張に起因する過大負荷により損傷される不具合を防止できる。
【0010】
また、当該カバー本体に設けられた2つの当接部のうち少なくとも1つの当接部は、前記カバー本体に設けられた被取着部に取着可能な取着部を備え、前記管継手の移動を規制するために前記カバー本体と別体に形成された移動規制体に設けられ、前記移動規制体の取着部の配置位置は、前記流体管の軸方向に沿った複数の異なる位置に変更可能となっている。従って、管径の異なる流体管に対応して軸方向に沿った長さの異なる別の管継手をカバー本体内に収容する場合には、前記移動規制体の取着部の配置位置の変更により、カバー本体に設けられる2つの当接部の軸方向に沿った間隔が変更されて、当該別の管継手を軸方向に沿った移動を規制した状態で収容することが可能となり、同一のカバー本体内に、軸方向に沿った長さの異なる複数の管継手の配置が可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、流体管を連結した管継手を収容可能な収容空間が内部に形成されたカバー本体を備えた管継手収容保護カバーであって、
前記管継手の軸方向への移動を規制するために、前記カバー本体とは別体に形成されて、当該カバー本体に設けられた被取着部に取着可能な取着部を有する移動規制体を備え、
前記移動規制体には、前記流体管の熱による線膨張に起因して、当該流体管における前記管継手との接続端部が仮想延長先に移動するのを防止するために、当該管継手に当接して、当該管継手の移動を規制する当接部が設けられ、
前記カバー本体の収容空間内における前記移動規制体の当接部の配置位置は、前記仮想延長先において異なる複数の位置に変更可能であることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明が対象としている管継手は、2本の流体管を直線状に接続する直状管継手に限られず、2本の流体管を所定の角度で屈曲させて連結するエルボ状管継手も含まれる。また、管継手を用いた流体管の配管構造によって、流体管の熱による線膨張により管継手の移動方向は、予め判明している場合が多く、当該管継手の移動を規制する側に前記移動規制体を配置して、当該移動規制体をカバー本体に対して取着することで、カバー本体内において、流体管の熱による線膨張に起因して当該移動規制体が設定値を超えて当該流体管の仮想延長先に移動するのを規制できる。また、前記カバー本体の収容空間内における前記移動規制体の当接部の配置位置は、前記仮想延長先において異なる複数の位置に変更可能であるので、管径の異なる流体管に対応して軸方向に沿った長さの異なる別の管継手をカバー本体内に収容する場合には、前記仮想延長先に向かう方向に沿った最適位置に、当該移動規制体を配置することで、同一のカバー本体内に、軸方向に沿った長さの異なる複数の移動規制体が配置可能となる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記カバー本体は、互いに組み付けられて内部に前記収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、
前記移動規制体は、前記管継手、及び当該管継手に接続される流体管の少なくとも一方を跨ぐようにして、前記基台に設けられた被取着部に取着されることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記移動規制体は、前記管継手、及び当該管継手に接続される流体管の少なくとも一方を跨ぐようにして、前記基台に設けられた被取着部に取着されるので、熱による流体管の線膨張に起因して、当該管継手自体又は流体管における当該管継手との接続部が浮き上がろうとした場合には、前記移動規制体により当該浮き上がりを防止できて、基台に対して蓋体の組付けが緩んだり、甚だしい場合には、基台に対して蓋体が外されるのを防止できる。また、前記管継手、及び当該管継手に接続される流体管の少なくとも一方を跨ぐようにして前記基台に取着された移動規制体により、流体管における管継手との接続部、及び管継手の双方の横方向への大きな移動も、併せて規制できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記基台の被取着部は、前記当接部の配置位置を変更可能な方向に沿って延びるガイド部と、当該ガイド部の延びる方向に沿って形成された複数の被係止部と、を備え、
前記移動規制体は、前記ガイド部に沿っていて、前記移動規制体が前記管継手に近接する方向にスライド移動が可能な状態で前記カバー本体に組付け可能であり、
前記取着部は、前記被係止部に係止して、前記移動規制体が前記管継手から離間する方向にスライド移動するのを防止する係止部を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明によれば、移動規制体の取着部に設けられた係止部と、カバー本体の被取着部にガイド部の延びる方向に沿って設けられた複数の被係止部のうち特定の被係止部とを係止させることで、カバー本体に対して移動規制体を、配置位置を変更可能にして簡単に取着できる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記カバー本体は、互いに組み付けられて内部に前記収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、
前記基台には、前記移動規制体の当接部の配置位置を変更できる範囲を示し、前記管継手の配置位置の目安となる指標部が形成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、基台に形成された指標部により、当該基台に対する移動規制体及び管継手の双方の配置位置を目視により定められるため、複数本の流体管を管継手を介して接続する作業、及び基台に対する移動規制体の取着作業を誤りなく確実に、しかも迅速に行える。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、カバー本体に設けられた2つの当接部のうち少なくとも1つの当接部は、前記カバー本体に設けられた被取着部に取着可能な取着部を備え、前記管継手の移動を規制するために前記カバー本体と別体に形成された移動規制体に設けられ、前記移動規制体の取着部の配置位置は、前記流体管の軸方向に沿った複数の異なる位置に変更可能となっている。従って、管径の異なる流体管に対応して軸方向に沿った長さの異なる別の管継手をカバー本体内に収容する場合には、前記移動規制体の取着部の配置位置の変更により、カバー本体に設けられる2つの当接部の軸方向に沿った間隔が変更されて、当該別の管継手を軸方向に沿った移動を規制した状態で収容することが可能となり、同一のカバー本体内に、軸方向に沿った長さの異なる複数の管継手の配置が可能となる。
【0020】
また、請求項3の発明は、カバー本体は、互いに組み付けられて内部に前記収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、移動規制体は、管継手、及び当該管継手に接続される流体管の少なくとも一方を跨ぐようにして、前記基台に設けられた被取着部に取着されるので、熱による流体管の線膨張に起因して、当該管継手自体が浮き上がろうとした場合には、前記移動規制体により当該浮き上がりを防止できて、基台に対して蓋体の組付けが緩んだり、甚だしい場合には、基台に対して蓋体が外されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例1の管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に対して第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 を用いて直状管継手A1 が所定位置に配置収容された状態の斜視図である。
図2】同じく組付け途中の斜視図である。
図3】同じく組付け状態を底面側から見た斜視図である。
図4】(a),(b)は、それぞれ管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に対する第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の組付けの前後を示す側面図である。
図5】管継手収容保護カバーC1 を構成する基台V1 と蓋体L1 の分離状態の斜視図である。
図6】同じく底面側から見た基台V1 と蓋体L1 の分離状態の斜視図である。
図7】(a),(b)は、それぞれ管継手収容保護カバーC1 の基台V1 の平面図及び底面図である。
図8】(a)~(e)は、それぞれ図7(a)のX1 -X1 線~X5 -X5 線の端面図である。
図9】管継手収容保護カバーC1 の基台V1 の板厚方向の中間部の平面断面図〔図8(b)のY-Y線断面図〕である。
図10】(a),(b)は、第1移動規制体R1 を異なる方向から見た斜視図であり、(c),(d)は、それぞれ第1移動規制体R1 の正面図及び底面図である。
図11】(a),(b)は、第2移動規制体R2 を異なる方向から見た斜視図であり、(c),(d)は、それぞれ第2移動規制体R2 の正面図及び底面図である。
図12】基台V1 に第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 が組み付けられた状態の斜視図である。
図13】(a),(b)は、管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に対する第1移動規制体R1 の組付け途中、及び組付け状態の横断面図である。
図14】(a),(b)は、管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に対する第2移動規制体R2 の組付け途中、及び組付け状態の横断面図である。
図15】(a),(b)は、それぞれ管継手収容保護カバーC1 に直状管継手A2 を収容配置する場合における基台V1 に対する第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2'及び当該管継手A2 の配置状態を示す斜視図である。
図16】(a)は、基台V1 の長手方向の端部に偏在して配置された直状管継手A2 の部分の拡大図であり、(b)は、第2移動規制体R2'の部分の横断面図である。
図17】本発明の実施例2の管継手収容保護カバーC2 の基台V2 に対して移動規制ピンD2 又は第1移動規制体R1'と第2移動規制体R2'を用いて収容配置された状態の斜視図である。
図18】(a)は、本発明の実施例3の管継手収容保護カバーC3 の蓋体L3 を下方からみた斜視図であり、(b)は、管継手収容保護カバーC3 の収容空間Kに直状管継手A2 が収容配置された状態の斜視図である。
図19】(a),(b)は、それぞれ本発明の実施例4の管継手収容保護カバーC4 の基台V4 に対して第1及び第2の各移動規制体R11,R12を取着する前後の斜視図であり、(c)は、(a)のZ-Z線断面図である。
図20】(a)~(c)は、第1及び第2の各移動規制体R11,R12を反転させて基台V4 に対して取着することで、第1及び第2の各移動規制体R11,R12の各当接面の間隔が異なることを示す側面図である。
図21】建物壁Wの出済部Bに配置されるエルボ状の管継手A3 が、本発明の実施例5の管継手収容保護カバーC5 に収容された状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、複数の最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例0023】
本発明の実施例1の管継手収容保護カバーC1 及びその使用状態が、図1図14に示されている。最初に、管継手収容保護カバーC1 の構成について説明し、次に、管径の異なる2本の流体管P1 ,P2 を直線状に接続する直状管継手A1 の軸方向に沿った移動を規制して、当該直状管継手A1 を前記管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に組み付ける構造について説明する。
【0024】
ここで、実施例1の管継手収容保護カバーC1 に収容保護される直状管継手A1 は、管径の異なる2本の流体管P1 ,P2 を直線的に接続するものであるが、本発明の管継手収容保護カバーの収容保護対象の管継手は、異径の流体管を直線接続するものに限られず、同径の流体管を直線接続する直状管継手、平面部或いは建物壁の出隅部において屈曲配管するのに使用されるエルボ状の管継手も含まれる。なお、実施例1において、2本の異径の流体管を、その途中で直状管継手A1 で接続する必要性は、給湯源側においては、大径の流体管が配管される場合において、浴室の湯水混合栓の側においては、当該湯水混合栓に対して接続可能な小径の流体管の使用が不可欠となり、このような配管事情の下で発生する。
【0025】
管継手収容保護カバーC1 は、図5図9に示されるように、前記流体管P1 ,P2 が配管される配管面Uに固定される基台V1 と、当該基台V1 に一体に組み付けられて、内部に直状管継手A1 を収容可能な収容空間K(図13及び図14参照)を形成する蓋体L1 とから成る。当該基台V1 及び蓋体L1 は、いずれも樹脂の射出成形により形成される。基台V1 は、その上面に設置される直状管継手A1 の軸方向(流体管P1 ,P2 の管軸方向)に沿って長辺を有するほぼ長方形厚板状であり、正確には、長手方向に沿って広幅部1、幅変化部2及び狭幅部3との計3つの部分が連続しており、上板部4の幅方向(短手方向)の中央部には、長手方向の全長に亘って凹部5が形成され、当該凹部5の底部には、底板部6が長手方向の全長に亘って形成されている。前記底板部6における幅変化部2及び狭幅部3に対応する部分は、第1移動規制体R1 を長手方向(基台V1 に配置された直状管継手A1 の軸方向)に沿ってスライドガイドさせるための第1ガイド孔7が両側に形成されているため狭幅底板部6aとなっていると共に、前記底板部6における前記広幅部1の各軸方向に沿った中央部は、第2移動規制体R2 を長手方向に沿ってスライドガイドさせるための第2ガイド孔8が両側に形成されているが、前記狭幅底板部6aよりも幅の広い広幅底板部6bとなっている。前記狭幅底板部6a及び広幅底板部6bにおける長手方向の中央部から最も離れた部分の両側には、第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の各取着部42を挿入可能にするために、前記各ガイド孔7,8よりも幅広の第1及び第2の各組付け孔11,12が、前記第1及び第2の各ガイド孔7,8に連通し、しかも前記上板部4及び底板部6の双方を貫通してそれぞれ形成されている。
【0026】
また、上板部4における第1及び第2のガイド孔7,8が形成されている部分は、図8(b),(c)に示されるように、全厚に亘って肉部が残っていて、板厚方向に沿った下半部(底板部6の側)は、当該上板部4の内端面4a〔図8(b),(c)参照〕に対してアンダーカット状となって引っ込んで形成され、当該アンダーカット状となった部分に、それぞれ第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の第1及び第2の各係止部46,47と係止される多数の鋸刃状の第1及び第2の各被係止部13,14が、前記上板部4に対して平行に形成されている。前記上板部4における前記第1及び第2の各ガイド孔7,8に臨む部分は、他の部分よりも厚肉に形成されて、後述の第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の各嵌着板部44a,44bが外側に嵌着されることで、当該各移動規制体R1 ,R2 を取着可能とする第1及び第2の各被取着板部19,20〔図8(b),(c)参照〕となっている。第1及び第2の各被係止部13,14は、図9に示されるように、いずれも、一対で1組となって対向配置されていて、管径の異なる2本の流体管P1 ,P2 を接続する構造の直状管継手A1 の使用に対応して、一対1組の第1及び第2の各被係止部13,14の対向間隔は異なっている。鋸刃状の各被係止部13,14は、第1及び第2の各組付け孔11,12に挿入された後に、前記各ガイド孔7,8に沿ってスライドさせることで、自身の第1及び第2の各係止部46,47が、特定の被係止部13,14と係止された各移動規制体R1 ,R2 が後退するのを防止するため直角三角形状に形成されて、ストッパ機能を果たしている。直角三角形状の鋸刃状の多数の第1及び第2の各被係止部13,14は、第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 がそれぞれ基台V1 の長手方向の両端部から中央部に向かうスライドのみが可能であって、その反対のスライドは不能となるように、直角三角形状をした鋸刃状の第1及び第2の各被係止部13,14は、互いに反転させた配置となっている(図9参照)。鋸刃状の第1及び第2の各被係止部13,14は、基台V1 に対して第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 を取着させるための第1及び第2の各被取着部として機能する。なお、図5図9において、9は、基台V1 の幅方向の両端部に長手方向に沿って連続して設けられた側板部を示す。
【0027】
また、基台V1 の上板部4における前記第2組付け孔12に近い各コーナー部には、前記直状管継手A1 とは異なる別の直状管継手A2 に対する移動規制を行うために、前記第2移動規制体R2 を取着するための第3被取着部15が形成されている。第3被取着部15は、上板部4の隣接する前記各コーナー部に、当該基台V1 の長手方向に沿って形成された起立板部16と、当該起立板部16に上端部において内側に向け、しかも僅かに下方に向けて傾斜して一体に設けられた被取着板部17と、当該被取着板部17の基台V1 の長手方向に沿って外端部に、当該基台V1 の短手方向に沿って内側に突出して形成されて、第2移動規制体R2 の取着部の外端面を当接させることで、当該第2移動規制体R2 が第3被取着部15から外れるのを防止するストッパ板部18とで構成される。
【0028】
基台V1 の底板部6の直上には、直状管継手A1 等の自身の軸方向に沿った長さの異なる複数の直状管継手が配置され、当該直状管継手の配置位置の目安を示すと共に、当該基台V1 に対して組み付けられる第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の当接面43,43’(図10及び図11参照)の配置位置の変更が可能な範囲を示す2本の直線状の指標線21が当該基台V1 の短手方向に沿って形成されている。2本の指標線21は、底板部6の長手方向に沿って前記第1及び第2の各組付け孔11,12に対して内側に形成されている。また、基台V1 の上板部4における前記一対の第2ガイド孔8の内方の形成端部には、直状管継手A2 の軸方向の移動を規制する一対の移動規制ピンD1 が立設されている。基台V1 の計4つの各コーナー部における上板部4の裏面側には、蓋体L1 の各係止部38と係止される被係止部23が凹状となって当該基台V1 の長手方向に沿って形成されている。なお、底板部6には、複数のビス下孔24が形成され、基台V1 の長手方向の両端部には、管継手収容保護カバーC1 の両端に接続される各流体管保護カバーC01, C02の各基台V01, V02の当該基台V1 に対する幅方向の位置決めを行うための位置決め片25,26がそれぞれ形成され、底板部6の幅方向の中央部には、幅方向中央線27が全長に亘って形成されている。
【0029】
一方、基台V1 に覆蓋状態で一体に組み付けられて、当該基台V1 と協働して内部の収容空間Kに直状管継手A1 ,A2 を収容配置する蓋体L1 は、図5及び図6に示されるように、平面視で前記基台V1 に対応した形状を有していて、対向配置される一対の側板部31の上端部が天板部32で連結されることで、長手方向の両端部に、流体管保護カバーC01, C02と接続される接続口33a,33bがそれぞれ形成されている。よって、蓋体L1 は、接続口33a,33bを介して流体管保護カバーC01,C02に接続される大サイズ部34と小サイズ部35とが、漸次サイズが変化するサイズ変化部36を介して接続された形状となっている。大サイズ部34と小サイズ部35と各側板部31の内側面であって、しかも両側板部31で形成される開口37に臨む部分には、前記基台V1 の各被係止部23に係止される係止部38が内方に突出して形成されている。
【0030】
次に、図10図14を参照して、前記基台V1 に組み付けられる直状管継手A1 の第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 について説明する。各移動規制体R1 ,R2 は、いずれも樹脂の射出成形により形成され、直状管継手A1 の両端部にそれぞれ連結されている流体管P1 ,P2 の熱膨張により、当該直状管継手A1 が自身の軸方向に移動されるのを規制して、前記流体管P1 ,P2 の熱による線膨張が、接続されている別の流体管に伝播されるのを遮断して、累積線膨張が一箇所に集約されるのを規制する部材である。第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 は、一対一組となって使用され、対向間隔の異なる第1及び第2の各被係止部13,14の部分に、前記基台V1 に設置される直状管継手A1 の軸方向の長さに対応して、当該直状管継手A1 の軸方向に沿って配置間隔を調整可能にして組み付けられる。
【0031】
図10に示される第1移動規制体R1 は、図1及び図13に示されるように、小径の流体管P1 を跨ぐようにして前記基台V1 に組み付けられ、正面視でU字サドル状をなしている規制体本体41の一対の先端部に、前記基台V1 の第1被係止部13に係止されて、その第1被取着板部19に嵌着されることで、当該第1被取着板部19に一体に取着される取着部42がそれぞれ設けられている。U字状の規制体本体41は、前記基台V1 に対する組付けを可能にするために、その開口幅が狭くなる方向に対して弾性変形可能である。
【0032】
規制体本体41の一方の端面は、基台V1 に組み付けられた状態で、直状管継手A1 の端部に当接可能な当接面43となっている。前記取着部42は、規制体本体41における互いに平行となっている各平行部41aの先端部に、いずれも僅かに内方に入り込んで形成され、当該各平行部41aの先端部に、当該平行部41aの長手方向に沿って所定間隔をおいて一対の嵌着板部44a,44bが外側に向けて平行となって設けられている。前記平行部41aの最先端に設けられた嵌着板部44aは、当該平行部41aの幅と同一長さであって、当該幅内に形成されているが、別の嵌着板部44bは、取着の安定性の確保のために、当該平行部41aの幅よりも長く形成されて、規制体本体41の前記当接面43と反対側の端面から突出している。規制体本体41の一対の平行部41aの長手方向に沿って所定間隔をおいて設けられた一対の嵌着板部44a,44bの間の隙間は、前記基台V1 の第1被取着板部19に挿入状態で嵌着される嵌着溝45となっている。規制体本体41の各最先端部に一体に形成された前記各嵌着板部44aにおける前記当接面43の側には、基台V1 の一対の第1被係止部13と係止される突起状の第1係止部46がそれぞれ外方に突設されている。
【0033】
一方、図11に示される第2移動規制体R2 は、大径の流体管P2 を跨ぐようにして、同一の基台V1 の第2被取着板部20に取着され、跨ぐ対象の流体管P2 の管径が異なるのみであって、その基本構造は、第1移動規制体R1 と同等であるので、同一の部分には、既述の第1移動規制体R1 に使用の符号と同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。第2移動規制体R2 は、大径の流体管P2 を跨いで、基台V1 における一対の第1被取着板部19の間隔よりも広い一対の第2被取着板部20に取着されるために、規制体本体41’は、U字の開口側を拡開させた変則U字状をなしていて、規制体本体41’のハの字形部41'bの各下端部に取着部42が一体に設けられている。当該取着部42の嵌着板部44aに設けられた係止部は、基台V1 の第2被係止部14に係止される第2係止部47となっている。第2移動規制体R2 は、第1移動規制体R1 が跨ぐ流体管P1 の軸心よりも高い位置に軸心が配置される別の流体管P2 を跨いだ状態で配置されて、2本の角流体管P1 ,P2 の間に、大きな軸心の高さの差異が存在し、流体管P1 に対して高い位置に軸心が配置されている流体管P2 の当該軸心が、熱膨張により一定位置よりも下方に下がらないようにするために、規制体本体41’のハの字形部41'bの内面側における前記各取着部42に近接した部分に、内方に向けて大きな膨出部48が形成され、当該膨出部48と残りの一般肉厚部とが接続されている。
【0034】
次に、図12図14を参照して、基台V1 に対する第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の取着(組付け)について説明する。図12は、図1及び図4に示されるように、基台V1 に配置される直状管継手A1 の軸方向の両端部に近接させて第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 を取着する例である。
【0035】
図1及び図4(b)に示されるように、基台V1 の2本の指標線21の間に、直状管継手A1 を配置して、2本の流体管P1 ,P2 を直線状に接続する場合には、図2及び図4(a)に示されるように、基台V1 の第1及び第2の各組付け孔11,12から、図13(a)及び図14(a)に示されるように、各規制体本体41,41’を、その開口幅が狭くなるように弾性変形させた状態で、各先端部の各取着部42を第1及び第2の各組付け孔11,12に挿入した後に、当該各移動規制体R1 ,R2 を、第1及び第2の各ガイド孔7,8に沿って当該基台V1 の長手方向の中心側に移動させて、適宜位置で停止させて、各規制体本体41,41’を弾性変形させるために加えていた力を開放させる。これにより、図13(b)及び図14(b)に示されるように、各規制体本体41,41’の各先端部に設けられた一対の第1及び第2の各係止部46,47が、それぞれ基台V1 の一対の第1及び第2の各被係止部13,14に係止されることで、第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 は、基台V1 に一体に取着される。
【0036】
このため、基台V1 に一体に取着された第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の間隔S(図12参照)は、当該基台V1 の2本の指標線21の間に設置される直状管継手の軸方向の長さに対応して自在に変更でき、この点が、本発明の最大の特徴となる。図9に示されるように、基台V1 に設けられた第1及び第2の各被係止部13,14は、直角三角形状の鋸刃状に形成されていて、基台V1 の長手方向の両端部の第1及び第2の各組付け孔11,12に各取着部42が挿入された第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 は、当該基台V1 の長手方向の中心に向けたスライドは可能であるが、その逆のスライドは、各被係止部13,14の鋸刃形状がストッパとして機能して不能となるので、当該各移動規制体R1 ,R2 は、これに対して各流体管P1 ,P2 の熱による線膨張に起因する大きな力が直状管継手A1 を介して作用しても、移動しないので、当該直状管継手A1 の部分で前記線膨張を遮断できる。
【0037】
そして、配管作業時には、図2及び図4(b)に示されるように、サイズの異なる各流体管保護カバーC01, C02の各基台V01, V02の間に、管継手収容保護カバーC1 の基台V1 を配置して、各基台V01, V02に収容されたサイズの異なる各流体管P1 ,P2 の両端部を、管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に配置された直状管継手A1 に接続した状態において、前記基台V1 の第1及び第2の各組付け孔11,12に、第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の各先端部の各取着部42を挿入した後に、図1及び図4(a)に示されるように、各移動規制体R1 ,R2 を配置済の直状管継手A1 の両端部に近接する位置までスライドさせる。
【0038】
これにより、管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に配置された直状管継手A1 の両端部に近接して第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 が、各流体管P1 ,P2 を跨いだ状態で配置されることで、給湯時において、流体管P1 ,P2 が熱により線膨張すると共に、当該流体管P1 ,P2 に接続されている別の流体管の線膨張が当該流体管P1 ,P2 に伝播されて、線膨張が集約されることで、前記直状管継手A1 がいずれかの側に移動しても、第1及び第2の移動規制体R1 ,R2 のいずれかの当接面43,43’に当接して、それ以上の同方向への移動は規制されて、連続した複数の流体管の熱による線膨張は、当該直状管継手A1 の部分で遮断される。また、第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 は、各流体管P1 ,P2 を跨いだ状態で配置されることで、熱による線膨張により各流体管P1 ,P2 の端部が浮き上がったり、或いは側方にずれたりしても、当該浮上がり、又は側方へのずれは、各移動規制体R1 ,R2 で規制されるので、特に、各流体管P1 ,P2 の浮上がりにより、基台V1 と蓋体L1 との組付けが緩んだり、甚だしい場合には、当該組付けが解除されるのを防止できる。
【0039】
上記のようにして、第1及び第2の各移動規制体R1 ,R2 の取着後には、各流体管保護カバーC01, C02の各基台V01, V02に各蓋体L01, L02を組み付け、その後に、図1に示されるように、管継手収容保護カバーC1 の基台V1 に対して蓋体L1 を組み付けると、その収容空間Kに直状管継手A1 が収容される。なお、図1において、91は、各流体管P1 ,P2 に被服されている円筒状の断熱材を示し、92は、各蓋体L01, L02の内面に配置された厚板状の断熱材を示す。
【0040】
次に、図15及び図16を参照して、前記基台V1 に配置された直状管継手A2 の移動規制構造について説明する。直状管継手A2 は、前記流体管P2 よりも管径の大きな流体管P3 と前記流体管P1 とを接続するもので、円筒状の大径部51と同形状の小径部52とが、截頭円錐状の径変化部53を介して接続された管継手であって、大径部51及び小径部52の内部に、それぞれ管継手A2 及び同A1 の各端部が挿入されて接続される。直状管継手A2 は、前記流体管P3 を跨いで基台V1 に取着されるものであって、基台V1 の長手方向の一方に偏在して配置される。即ち、当該直状管継手A2 は、その大径部51の端部が基台V1 の第3被取着部15に近接された状態で、当該基台V1 に配置され、直状管継手A2 の大径部51と接続されている大径の流体管P3 の端部は、基台V1 の第3被取着部15に取着された第2移動規制体R2'が跨いで配置されると共に、当該直状管継手A2 の径変化部53には、一対の移動規制ピンD1 が近接して配置されるので、前記第2移動規制体R2'の一対の移動規制ピンD1 とが協働して、直状管継手A2 の軸方向への移動が規制される。また、直状管継手A2 の小径部52に接続された流体管P1 には、当該直状管継手A2 から所定長だけ離れた位置において、基台V1 の一対の第1被取着板部19に取着された第1移動規制体R1 が跨いだ状態で配置されることで、管継手収容保護カバーC1 内において熱による線膨張により当該流体管P1 の浮上がり及び横移動の双方が規制される。上記したように、実施例1では、移動規制体R1 ,R2 (R2') の当接面(当接部)43,43’の配置位置は、流体管P1 ,P2 における管継手A1,A2 との接続部が仮想延長先に向かう方向に沿った異なる複数の位置で変更可能となっている。なお、図16(b)において、Jは、配管面Uに対して基台V1 を固定しているビスを示す。なお、実施例1ては、流体管P3 を跨いで基台V1 の第3被取着部15に取着される前記第2移動規制体R2'と、基台V1 の第2ガイド孔8の部分でスライドさせることで、前記流体管P2 を跨いで当該基台V1 の第2被取着板部20の所定箇所に取着される第2移動規制体R2 とを別体で構成したが、両第2移動規制体R2',R2 を共用化させて、弾性変形により左右一対の取着部12の間隔を変更させることで、上記した異なる2つの部分に取着可能となる。
【実施例0041】
図17には、本発明の実施例2の管継手収容保護カバーC2 の基台V2 に対して一対の移動規制ピンD2 又は第1移動規制体R1'と第2移動規制体R2'' を用いて収容配置された状態の斜視図が示されている。基台V2 の全体形状は、前記基台V1 と同等であって、その幅方向の中央部に長手方向に連続して凹部61が形成され、当該基台V2 の上板部62における前記凹部61の両側には、一対1組となって間隔の異なる複数組(実施例2では4組)のピン挿入孔63a~63dが長手方向に沿って一定間隔をおいて多数形成されている。U字状の移動規制ピンD2 の各先端部は、最も内側の一対のピン挿入孔63aに挿入されることで、前記基台V2 に起立して組み付けられて、直状管継手A1 の小径接続部の側の端部(端面)に当接する。一方、U字状の第2移動規制体R2'’の各先端部は、前記一対のピン挿入孔63aの間隔よりも広い一対のピン挿入孔63cに挿入されて、直状管継手A1 の小径接続部の側の端部(端面)に当接する。これにより、管径の異なる2本の流体管P1 ,P2 を接続していて、基台V2 の長手方向の中央部に配置される直状管継手A1 は、一対の移動規制ピンD2 と第2移動規制体R2'' とにより、各流体管P1 ,P2 の熱による線膨張に起因する軸方向への移動を規制できる。また、一対の移動規制ピンD2 に替えて、最も内側の一対のピン挿入孔63aに各先端部が挿入されるU字状の第1移動規制体R1'を用いることも可能である。
【0042】
前記直状管継手A1 に対して軸方向に沿った長さ、或いは流体管を挿入する開口径が異なる別の直状管継手を同一の基台V2 に配置するには、当該別の直状管継手に対応して、基台V2 に形成された多数のピン挿入孔63a~63dのうち、当該基台V1 の幅方向及び長手方向の双方に沿った適宜の二対のピン挿入孔を選択して、基台V2 に対して移動規制体又は移動規制ピンを組み付けることで対応可能となる。当該基台V2 の計4箇所の各コーナー部には、前記基台V1 と同様に凹状の被係止部64が形成されていて、実施例1の管継手収容保護カバーC1 と同様にして、前記基台V2 に対して実施例1の蓋体L1 と同形状の蓋体(図示せず)が組み付けられる。
【実施例0043】
図18に示される実施例3の管継手収容保護カバーC3 は、実施例1の管継手収容保護カバーC1 の基台V1 と、当該基台V1 に一体に組み付けられる蓋体L3 とから成り、当該基台V1 に配置される前記直状管継手A2 の移動を規制している。前記基台V1 には、図15(b)で示される位置と同一の位置に直状管継手A2 が配置され、当該基台V1 に組み付けられる蓋体L3 の内面における前記直状管継手A2 の大径部51の端面に対して近接して対応する部分、及び径変化部53に対応する部分に、フランジ状の移動規制板65,66がそれぞれ形成され、当該各移動規制板65,66により、基台V1 に配置された直状管継手A2 が、当該直状管継手A2 で連結された2本の流体管P1 ,P2 の熱に起因する線膨張によりいずれかの方向に移動するのを規制している。移動規制板65は、U字板状をなしていて、移動規制板66は、一対の板体で構成されている。なお、図示は省略するが、蓋体L3 に対して移動規制板65,66は、蓋体L3 への取付位置(収容空間内での配置位置)を変更可能となっている。
【0044】
前記管継手収容保護カバーC3 は、基台V1 と蓋体L3 とが一体に組み付けられる構成であるが、図1に示されているように、当該蓋体L3 の長手方向の両端部は、2本の流体管P1 ,P2 を収容する各流体管保護カバーC01, C02の各蓋体L01, L02の外側に覆蓋される構造であるので、各蓋体L01, L02に対して係止構造により容易に外れない構成とすることで、当該蓋体L3 のみで、管継手収容保護カバーとすることも可能である。
【実施例0045】
図19に、本発明の実施例4の管継手収容保護カバーC4 を構成する基台V4 及び当該基台V4 に取着される第1及び第2の各移動規制体R11,R12が示されており、図20には、その作用説明図が示されている。前記基台V4 は、全体形状は、実施例1の基台V1 と同等であって、当該基台V1 と同様に、幅方向の中央部に凹部71が全長に亘って形成されて、当該凹部71の底板部72は、狭幅底板部72aと広幅底板部72bとが幅変化部72cを介して接続されている。前記狭幅底板部72aと広幅底板部72bの各部分には、上板部73における当該狭幅底板部72aと広幅底板部72bに臨む部分が、それぞれ平面視で方形状に欠落されることで、前記各移動規制体R11,R12の長手方向(基台V4 に取着された状態で直状管継手A1 の軸方向)に沿った一端部に偏在して設けられた各取着部74が嵌着状態で取着される嵌着板部75,76が形成されている。第1及び第2の各移動規制体R11,R12の両端面は、いずれも直状管継手A1 の各端部が当接可能な当接面77a,77b(78a,78b)となっている。第1及び第2の各移動規制体R11,R12は、平面視で半回転させることで、直状管継手A1 に対して前記各当接面77a,77b(78a,78b)が前後反転した状態で、当該基台V1 の嵌着板部75,76に取着可能となっている。
【0046】
従って、図20に示されるように、基台V1 に配置される直状管継手の軸方向の長さに対応して、第1及び第2の各移動規制体R11,R12のいずれか一方又は双方を平面視で半回転させることで、対向配置される第1及び第2の各移動規制体R11,R12の各当接面77a,77b(78a,78b)の間隔(S1 ~S3 )〔S2 <S1 <S3 〕を自在に調整できる。
【実施例0047】
図21には、建物壁Wの出隅部Bに配置されるエルボ状の管継手A3 が、実施例5の管継手収容保護カバーC5 に移動規制されて収容された状態が示されている。出隅部Bは、建物壁Wの直交する2つの壁表面W1 ,W2 の交差部に形成される。管継手収容保護カバーC5 は、前記出隅部Bに配置されるL字板状の基台V5 と、当該基台V5 に一体に組み付けられる蓋体L5 とから成る。移動規制体R3 は、U字状の規制体本体81の開口が狭くなる方向に弾性変形可能であって、当該規制体本体81の各先端部に係止爪82が外側に向けてそれぞれ形成されている。
【0048】
L字板状の前記基台V5 の基板部83の幅方向の両側には、それぞれ立壁部84が当該基台V5 の長手方向(流体管P1 の配管方向)に沿って立設され、前記基台V5 の計4箇所に存在する各立壁部84の基端部には、前記移動規制体R3 の各係止爪82を係止可能な係止孔85が長手方向の所定長に亘って形成されている。各壁表面W1 ,W2 に配管された2本の流体管P1 は、出隅部Bの部分でエルボ状の管継手A3 を介して接続されている。基台V5 上に配置された前記管継手A3 の両端部は、前記移動規制体R3 が跨がって配置されて、その各先端部の係止爪82は、当該移動規制体R3 の開口が狭くなるように弾性変形された状態で開放させることで、基台V5 の各立壁部84の基端部に形成された係止孔85に挿入されて係止される。
【0049】
このため、2本の流体管P1 の一方の熱による線膨張が他方の流体管P2 に及んでも、当該線膨張に起因して発生する膨張力は、エルボ状の管継手A3 を屈曲した軸方向に沿って二等分割した場合において、一方の分割部がいずれか一方の壁表面W1 (W2 )から離間するように作用するが、当該一方の分割部の壁表面W1 (W2 )からの離間は、当該一方の分割部を跨いでいる移動規制体R3 の規制体本体81により離間規制(移動規制)されるので、前記線膨張は、出隅部Bの部分で遮断されて、他の流体管P1 には及ばなくなる。前記係止孔85は、基台V5 の長手方向に沿って所定長だけ形成されているので、サイズの異なるエルボ状の管継手の移動規制には、その係止位置をずらしたり、サイズの異なるU字状の移動規制体を使用することで、同一の基台V5 に、複数のサイズの異なるエルボ状の管継手を移動規制して収容可能となる。
【0050】
なお、前記管継手収容保護カバーC5 の基台V5 及び蓋体L5 を同一平面内において90°で屈曲させることで、前記エルボ状の管継手A3 を用いて、2本の流体管を同一の壁表面上において、屈曲させて配管することが可能となる。
【0051】
なお、管継手に当接する部位の組み合わせは、図2に記載の符号を援用すると、「配置位置平行可能な移動規制体R1 と同様の移動規制体R2 との組み合わせ」や「配置位置変更可能な移動規制体R2 と配置位置不動の移動規制ピンD1 との組み合わせ」に限られず、「配置位置変更可能な移動規制体R1 と配置位置不動の移動規制ピンD1 との組み合わせ」でもよいし、「配置位置変更可能な移動規制体R1 と流体管保護カバーC02の基台V02の端面との組み合わせ」や「配置位置変更可能な移動規制体R2 と流体管保護カバーC01の基台V01の端面との組み合わせ」により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ,A2 :直状管継手
3 :エルボ状の管継手
1 ~C5 :管継手収容保護カバー
1 ~D3 :移動規制ピン(移動規制体)
K:収容空間
1 ,L3 ,L5 :蓋体(カバー本体)
1 ~P3 :流体管
1 ,R1', R11:第1移動規制体
2 ,R2', R2'' ,R12:第2移動規制体
R3 :移動規制体
S,S1 ~S3 :一対の移動規制体の配置間隔
U:配管面
1 ~V5 :基台(カバー本体)
W:建物壁
1 ,W2 :壁表面
7:基台の第1ガイド孔(ガイド部)
8:基台の第2ガイド孔(ガイド部)
13:基台の第1被係止部(被係止部)
14:基台の第2被係止部(被係止部)
17:基台の被取着板部
21:指標線(指標部)
41,41’:規制体本体
42:移動規制体の取着部
43,43’:移動規制体の当接面(当接部)
46:移動規制体の第1係止部
47:移動規制体の第2係止部
77a,77b:第1移動規制体の当接面
78a,78b:第2移動規制体の当接面
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