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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143044
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/34 20060101AFI20220926BHJP
   F16F 9/508 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F16F9/34
F16F9/508
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043372
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 康介
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA54
3J069CC09
3J069CC13
3J069DD50
3J069EE10
3J069EE64
(57)【要約】
【課題】減衰力の立ち上がりの遅れを抑制することができる緩衝器を提供する。
【解決手段】シリンダ15と、シリンダ15内と連通可能に設けられるリザーバ室18と、シリンダ15内に設けられシリンダ15内をロッド側室とボトム側室49とに画成するピストンと、シリンダ15の一端に設けられ、ボトム側室49とリザーバ室18とを画成するボトムバルブ25と、一端側がシリンダ15内でピストンに固定され他端側がシリンダ外に延出されるピストンロッドと、ピストンの移動により減衰力を発生する減衰力発生機構と、を有し、ボトムバルブ25は、シリンダ15内のボトム側室49とリザーバ室18との間に設けられ内径の異なる部分が内壁155,156に形成される筒状の通路部材71と、内壁155,156に対し変位可能に設けられる可動部材201,203と、可動部材201,203の移動に対し抵抗を与える抵抗部材202,204と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内と連通可能に設けられるリザーバ室と、
前記シリンダ内に摺動可能に設けられ前記シリンダ内をロッド側室とボトム側室とに画成するピストンと、
前記シリンダの一端に設けられ、前記ボトム側室と前記リザーバ室とを画成するボトムバルブと、
一端側が前記シリンダ内で前記ピストンに固定され他端側が前記シリンダ外に延出されるピストンロッドと、
前記ピストンの移動により減衰力を発生する減衰力発生機構と、
を有する緩衝器であって、
前記ボトムバルブは、
前記シリンダ内の前記ボトム側室と前記リザーバ室との間に設けられ内径の異なる部分が内壁に形成される筒状の通路部材と、
前記内壁に対し変位可能に設けられる可動部材と、
前記可動部材の移動に対し抵抗を与える抵抗部材と、
を有する緩衝器。
【請求項2】
前記通路部材は、
前記ピストンロッドが前記シリンダからの延出量を増やす伸び行程において前記リザーバ室から前記ボトム側室に作動流体を流す第1通路を形成すると共に内径の異なる部分が形成される第1内壁と、
前記ピストンロッドが前記シリンダからの延出量を減らす縮み行程において前記ボトム側室から前記リザーバ室に作動流体を流す第2通路を形成すると共に内径の異なる部分が形成される第2内壁と、を有し、
前記ボトムバルブは、
前記第1内壁に対し変位可能に設けられる第1可動部材と、
前記第1可動部材の移動に対し抵抗を与える第1抵抗部材と、
前記第2内壁に対し変位可能に設けられる第2可動部材と、
前記第2可動部材の移動に対し抵抗を与える第2抵抗部材と、
を有する請求項1記載の緩衝器。
【請求項3】
前記第1可動部材と前記第2可動部材とは外径が異なり、
前記第1内壁と前記第2内壁とは内径が異なる請求項2記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器において、所望の減衰力特性を得るための構造が種々提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-173140号公報
【特許文献2】特開2012-154406号公報
【特許文献3】特開2011-247371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝器において、減衰力の立ち上がりの遅れを抑制する要望がある。
【0005】
したがって、本発明は、減衰力の立ち上がりの遅れを抑制することができる緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る一の態様は、ボトムバルブが、シリンダ内のボトム側室とリザーバ室との間に設けられ内径の異なる部分が内壁に形成される筒状の通路部材と、前記内壁に対し変位可能に設けられる可動部材と、前記可動部材の移動に対し抵抗を与える抵抗部材と、を有する、構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、減衰力の立ち上がりの遅れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1実施形態の緩衝器を示す断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の緩衝器の要部を示す断面図である。
図3】本発明に係る第2実施形態の緩衝器の要部を示す断面図である。
図4】本発明に係る第3実施形態の緩衝器の要部を示す断面図である。
図5】本発明に係る第3実施形態の緩衝器の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を図1および図2を参照しつつ以下に説明する。
【0010】
第1実施形態の緩衝器11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられる緩衝器(Shock Absorber)であり、具体的には自動車のストラット型サスペンションに用いられる緩衝器である。図1に示すように、緩衝器11は、円筒状のシリンダ15と、シリンダ15よりも大径でシリンダ15の外周側に設けられる有底筒状の外筒16とを有する複筒式の緩衝器である。外筒16とシリンダ15との間は、リザーバ室18となっている。
【0011】
外筒16は、金属製の一部材からなる一体成形品であり、円筒状の側壁部21と、側壁部21の軸方向の一端側を閉塞する底部22と、側壁部21の底部22とは反対側の開口23とを有している。
【0012】
緩衝器11は、シリンダ15および外筒16の軸方向の一端部に設けられるボトムバルブ25と、シリンダ15および外筒16の軸方向の他端部に設けられるロッドガイド26と、を有している。シリンダ15は、軸方向の一端部が、ボトムバルブ25に嵌合されており、このボトムバルブ25を介して外筒16の底部22に係合している。また、シリンダ15は、軸方向の他端部が、ロッドガイド26に嵌合されており、ロッドガイド26を介して外筒16の側壁部21に係合している。この状態で、シリンダ15は、外筒16に対して径方向に位置決めされている。ボトムバルブ25は、シリンダ15内とリザーバ室18とを連通可能に画成している。
【0013】
緩衝器11は、ロッドガイド26の軸方向における底部22とは反対側に、円環状のシール部材41を有している。このシール部材41も、ロッドガイド26と同様に側壁部21の内周部に嵌合されている。側壁部21の底部22とは反対の端部には、側壁部21をカール加工等の加締め加工によって径方向内方に塑性変形させて加締め部43が形成されている。シール部材41は、この加締め部43とロッドガイド26とに挟持されている。シール部材41は、外筒16の開口23を閉塞するものであり、具体的にはオイルシールである。なお、シール部材41をシールワッシャで構成しても良い。
【0014】
緩衝器11は、シリンダ15内に摺動可能に設けられるピストン45を有している。ピストン45は、シリンダ15内をロッド側室48とボトム側室49とに画成している。ロッド側室48は、シリンダ15内のピストン45とロッドガイド26との間に設けられ、ボトム側室49は、シリンダ15内のピストン45とボトムバルブ25との間に設けられている。ボトム側室49は、ボトムバルブ25によって、リザーバ室18と画成されている。シリンダ15内のロッド側室48およびボトム側室49には作動流体としての油液Lが充填されており、リザーバ室18には作動流体としてのガスGと油液Lとが充填されている。よって、緩衝器11は、油圧緩衝器である。
【0015】
緩衝器11は、一端側がシリンダ15内でピストン45に固定され、他端側が外筒16の開口23を介してシリンダ15および外筒16から外部に延出されるピストンロッド51を有している。ピストンロッド51には、ピストン45がナット53によって連結されている。ピストンロッド51は、ロッドガイド26およびシール部材41を通ってシリンダ15および外筒16から外部へと延出している。ピストンロッド51は、ロッドガイド26に案内されて、シリンダ15および外筒16に対して、ピストン45と一体に軸方向に移動する。
【0016】
シール部材41は、外筒16の開口23とピストンロッド51との間を閉塞して、シリンダ15内の油液Lと、リザーバ室18内のガスGおよび油液Lとが外部に漏出するのを規制する。
【0017】
ピストン45には、軸方向に貫通する通路55および通路56が形成されている。通路55,56は、ロッド側室48とボトム側室49とを連通可能となっている。緩衝器11は、ピストン45に当接することで通路55を閉塞可能な円環状のディスクバルブ57を、ピストン45の軸方向における底部22とは反対側に有している。また、緩衝器11は、ピストン45に当接することで通路56を閉塞可能な円環状のディスクバルブ58を、ピストン45の軸方向における底部22側に有している。ディスクバルブ57,58は、ピストン45とともにピストンロッド51に連結されている。通路55は、ボトム側室49に常時開口しており、通路56は、ロッド側室48に常時開口している。
【0018】
ディスクバルブ57は、ピストン45とで減衰力発生機構59を構成している。ディスクバルブ57は、ピストンロッド51がシリンダ15および外筒16内からの延出量を減らす縮み側に移動しピストン45がボトム側室49を狭める方向に移動してボトム側室49の圧力がロッド側室48の圧力よりも所定値以上高くなると通路55を開いてボトム側室49の油液Lを通路55を介してロッド側室48に流すことになり、その際に減衰力を発生させる。よって、減衰力発生機構59は縮み側の減衰力発生機構である。減衰力発生機構59は、ピストン45およびディスクバルブ57のうちの少なくとも一方に、ディスクバルブ57が通路55を最も閉塞した状態でも通路55を介してロッド側室48とボトム側室49とを連通させる図示略の固定オリフィスを有している。
【0019】
ディスクバルブ58は、ピストン45とで減衰力発生機構60を構成している。ディスクバルブ58は、ピストンロッド51がシリンダ15および外筒16からの延出量を増やす伸び側に移動しピストン45がロッド側室48を狭める方向に移動してロッド側室48の圧力がボトム側室49の圧力よりも所定値以上高くなると通路56を開いてロッド側室48の油液Lを通路56を介してボトム側室49に流すことになり、その際に減衰力を発生させる。よって、減衰力発生機構60は伸び側の減衰力発生機構である。減衰力発生機構60は、ピストン45およびディスクバルブ58のうちの少なくとも一方に、ディスクバルブ58が通路56を最も閉塞した状態でも通路56を介してロッド側室48とボトム側室49とを連通させる図示略の固定オリフィスを有している。
【0020】
ボトムバルブ25は、シリンダ15の軸方向におけるロッドガイド26とは反対側に嵌合されると共に外筒16の底部22に当接する通路部材71を有している。通路部材71は、シリンダ15に嵌合されて固定されると共に外筒16の底部22に当接する基端側部材72と、シリンダ15内に配置されて基端側部材72の軸方向における底部22とは反対側に固定される先端側部材73と、先端側部材73と基端側部材72との間に設けられる隔壁部材74とを有している。
【0021】
図2に示すように、基端側部材72は、有孔円板状の底板部81と、底板部81の外周側から底板部81の軸方向に沿って突出する複数の脚部82と、底板部81の径方向における中間位置から底板部81の軸方向に沿って脚部82とは反対側に突出する円筒状の基端側筒状部83とを有している。複数の脚部82は、底板部81の周方向に間隔をあけて複数設けられている。基端側部材72は、図1に示すように、複数の脚部82において外筒16の底部22に当接する。
【0022】
図2に示すように、底板部81は、軸方向における基端側筒状部83側にあって基端側筒状部83よりも径方向内側で広がる平面状の底面91と、軸方向における複数の脚部82側にあって複数の脚部82よりも径方向内側で広がる平面状の基端側弁座面92とを有している。底面91と基端側弁座面92とは、底板部81の中心軸線に直交しており、互いに平行に広がっている。
【0023】
基端側筒状部83の外周部には、軸方向の底板部81側の端部に設けられた円筒面状の大径外周面101と、大径外周面101の軸方向における底板部81とは反対側の端縁部から径方向内方に広がる中間段面102と、中間段面102の径方向内側の端縁部から軸方向における大径外周面101とは反対方向に延出する、大径外周面101の外径よりも外径が小径の円筒面状の中間外周面103と、中間外周面103の軸方向における中間段面102とは反対側の端縁部から径方向内方に広がる端側段面104と、端側段面104の径方向内側の端縁部から軸方向における中間外周面103とは反対方向に延出する、中間外周面103の外径よりも外径が小径の円筒面状の小径外周面105と、が設けられている。基端側部材72は、大径外周面101においてシリンダ15に嵌合している。
【0024】
基端側筒状部83の内周部は、軸方向の底板部81側の端部に設けられる円筒面状の基端側内壁面111と、基端側内壁面111の軸方向における底板部81とは反対側の端縁部から縮径しつつ底板部81とは反対方向に延出するテーパ状の縮径テーパ内壁面112と、縮径テーパ内壁面112の軸方向における基端側内壁面111とは反対側の端縁部から基端側内壁面111とは反対方向に延出する、基端側内壁面111の内径よりも内径が小径の円筒面状の小径内壁面113と、を有している。
【0025】
また、基端側筒状部83の内周部は、小径内壁面113の軸方向における縮径テーパ内壁面112とは反対側の端縁部から径方向外方に広がる平面状の座面114と、座面114の径方向外側の端縁部から軸方向における小径内壁面113とは反対方向に延出する円筒面状の中間内壁面115と、中間内壁面115の軸方向における座面114とは反対側の端縁部から軸方向において座面114とは反対方向に拡径しつつ延出するテーパ状の拡径テーパ内壁面116と、拡径テーパ内壁面116の軸方向における中間内壁面115とは反対側の端縁部から軸方向において中間内壁面115とは反対方向に延出する、中間内壁面115の内径よりも内径が大径の円筒面状の大径内壁面117と、を有している。座面114は、小径内壁面113の中心軸線に直交して広がる平面状である。
【0026】
基端側筒状部83は、軸方向における底板部81とは反対側の端部に、大径内壁面117の軸方向における底板部81とは反対側の端縁部と、小径外周面105の軸方向における底板部81とは反対側の端縁部とを結んで広がる平面状の突端面118を有している。端側段面104および突端面118は、小径外周面105の中心軸線に直交して広がる平面状である。
【0027】
底板部81には、径方向の中央に底板部81を軸方向に貫通する基端側貫通穴121が形成されている。基端側貫通穴121は、底面91および基端側弁座面92と直交する。また、底板部81には、その径方向における基端側貫通穴121と基端側内壁面111との間位置に、底板部81を軸方向に貫通する内側通路穴122が形成されている。内側通路穴122は、底板部81の周方向に等間隔をあけて複数形成されており、底面91および基端側弁座面92に直交する。基端側筒状部83および底板部81には、これらの径方向における中間内壁面115と基端側内壁面111との間に、基端側筒状部83および底板部81を軸方向に貫通する外側通路穴123が形成されている。外側通路穴123は、基端側筒状部83および底板部81の周方向に等間隔をあけて複数形成されており、座面114および基端側弁座面92に直交する。外側通路穴123は、一端が座面114に開口し、他端が基端側弁座面92の径方向における内側通路穴122と脚部82との間に開口している。
【0028】
底面91、基端側弁座面92、大径外周面101、中間段面102、中間外周面103、端側段面104、小径外周面105、基端側内壁面111、縮径テーパ内壁面112、小径内壁面113、座面114、中間内壁面115、拡径テーパ内壁面116、大径内壁面117、突端面118および基端側貫通穴121は、中心軸線を一致させている。内側通路穴122および外側通路穴123は、この中心軸線に平行である。
【0029】
先端側部材73は、有孔円板状の蓋板部131と、蓋板部131の外周側から蓋板部131の軸方向に沿って突出して基端側部材72の基端側筒状部83に嵌合する円筒状の先端側筒状部132とを有している。
【0030】
蓋板部131は、軸方向の先端側筒状部132側にあって先端側筒状部132よりも径方向内側で広がる平面状の天井面135と、軸方向の先端側筒状部132とは反対側にある平面状の先端側弁座面136と、を有している。天井面135と先端側弁座面136とは、蓋板部131の中心軸線に直交しており、互いに平行に広がっている。
【0031】
先端側筒状部132の内周部は、軸方向の蓋板部131側に設けられる円筒面状の先端側内壁面141と、先端側内壁面141の軸方向における蓋板部131とは反対側の端縁部から径方向外方に広がる平面状の突当面142と、突当面142の径方向外側の端縁部から軸方向における先端側内壁面141とは反対側に延出する、先端側内壁面141の内径よりも内径が大径の円筒面状の嵌合内壁面143と、を有している。先端側筒状部132は、軸方向における蓋板部131とは反対側の端部に、嵌合内壁面143の軸方向における突当面142とは反対側の端縁部と、先端側筒状部132の円筒面状の円筒状外周面145の軸方向における蓋板部131とは反対側の端縁部とを結んで広がる平面状の端面144を有している。先端側内壁面141は、その内径が基端側筒状部83の大径内壁面117の内径と同等になっている。円筒状外周面145は、軸方向における端面144とは反対側の端縁部から縮径しつつ端面144とは反対方向に延出するテーパ状の面取面146を介して先端側弁座面136に繋がっている。突当面142および端面144は、嵌合内壁面143に直交して広がる平面状である。
【0032】
蓋板部131には、径方向の中央に蓋板部131を軸方向に貫通する先端側貫通穴151が形成されている。先端側貫通穴151は、天井面135と先端側弁座面136とに直交する。また、蓋板部131には、その径方向における先端側貫通穴151と先端側内壁面141との間位置に、蓋板部131を軸方向に貫通する通路穴152が形成されている。通路穴152は、蓋板部131の周方向に等間隔をあけて複数形成されており、天井面135と先端側弁座面136とに直交する。
【0033】
天井面135、先端側弁座面136、先端側内壁面141、突当面142、嵌合内壁面143、端面144、円筒状外周面145、面取面146および先端側貫通穴151は、中心軸線を一致させている。通路穴152は、この中心軸線に平行である。
【0034】
通路部材71は、基端側部材72の基端側筒状部83の小径外周面105に、先端側部材73の先端側筒状部132が嵌合内壁面143において嵌合されることになり、その際に、基端側部材72の突端面118に、先端側部材73の突当面142が当接する。このように嵌合された状態で、基端側部材72の大径内壁面117と、先端側部材73の先端側内壁面141とが同一の連続する円筒面となり、基端側部材72の中間外周面103と、先端側部材73の円筒状外周面145とが同一の円筒面に配置される。通路部材71は、底板部81および蓋板部131を有する有底かつ有蓋であって、基端側筒状部83および先端側筒状部132を有する筒状である。
【0035】
通路部材71は、基端側部材72の中間内壁面115と、これとは内径の異なる拡径テーパ内壁面116と、これらとは内径の異なる大径内壁面117および先端側内壁面141とが、第1内壁155(内壁)を構成している。言い換えれば、通路部材71は、内径の異なる、中間内壁面115と拡径テーパ内壁面116と大径内壁面117および先端側内壁面141とが、第1内壁155に形成されている。
【0036】
通路部材71は、基端側部材72の基端側内壁面111と、これとは内径の異なる縮径テーパ内壁面112と、これらとは内径の異なる小径内壁面113とが、第2内壁156(内壁)を構成している。言い換えれば、通路部材71は、内径の異なる、基端側内壁面111と縮径テーパ内壁面112と小径内壁面113とが、第2内壁156に形成されている。
【0037】
隔壁部材74は、筒状であり、軸方向一端に設けられる小径筒状部161と、これよりも大径で軸方向他端に設けられる大径筒状部162と、これらを繋ぐテーパ状のテーパ筒状部163とを有している。
【0038】
小径筒状部161は、径方向外側の円筒面状の小径外径面171と、径方向内側の円筒面状の小径内径面172と、軸方向のテーパ筒状部163とは反対側の平面状の小端面173とを有している。小端面173は、小径外径面171および小径内径面172に直交して広がっている。大径筒状部162は、径方向外側の円筒面状の大径外径面181と、径方向内側の円筒面状の大径内壁面182と、軸方向のテーパ筒状部163とは反対側の平面状の大端面183とを有している。大端面183は、大径外径面181および大径内壁面182に直交して広がっている。大径外径面181は小径外径面171よりも大径であり、大径内壁面182は小径内径面172よりも大径である。テーパ筒状部163は、大径外径面181および小径外径面171の互いに近接する端縁部同士を結ぶテーパ外周面191と、小径内径面172の軸方向における大径内壁面182側の端縁部からテーパ外周面191と同様のテーパで大径内壁面182側に延出するテーパ内周面192と、テーパ内周面192の軸方向における大径内壁面182側の端縁部から径方向外方に広がって大径内壁面182の軸方向におけるテーパ内周面192側の端縁部に繋がる平面状の内段面193とを有している。小端面173と大端面183と内段面193とは平行に広がっている。
【0039】
小径外径面171、小径内径面172、小端面173、大径外径面181、大径内壁面182、大端面183、テーパ外周面191、テーパ内周面192および内段面193は、中心軸線を一致させている。
【0040】
小径筒状部161の内径すなわち小径内径面172の径は、基端側貫通穴121および先端側貫通穴151の内径と同等である。大径筒状部162の内径すなわち大径内壁面182の径は、小径内壁面113の径と同等である。
【0041】
隔壁部材74は、基端側部材72および先端側部材73の内部に配置されており、大径筒状部162の大端面183において基端側部材72の座面114に当接し、小径筒状部161の小端面173において先端側部材73の天井面135に当接している。
【0042】
ボトムバルブ25は、先端側部材73の先端側筒状部132の内側に配置される第1可動部材201(可動部材)と、先端側筒状部132の内側に配置されて第1可動部材201と蓋板部131との間に介装される第1コイルスプリング202(抵抗部材,第1抵抗部材)と、基端側部材72の基端側筒状部83の内側に配置される第2可動部材203(可動部材)と、基端側筒状部83の内側に配置されて第2可動部材203と底板部81との間に介装される第2コイルスプリング204(抵抗部材,第2抵抗部材)と、を有している。
【0043】
第1可動部材201は、円環状をなしており、隔壁部材74の外周側に嵌合されている。第1可動部材201は、軸方向一側の有孔円板状の主板部211と、主板部211の外周縁部から軸方向一側に延出する円筒状の筒状弁部212と、を有している。主板部211は、その内周部に、軸方向における筒状弁部212とは反対側の小径内周面221と、小径内周面221の軸方向における筒状弁部212側の端縁部から拡径しつつ筒状弁部212側に延出するテーパ状の部材テーパ面222とを有している。筒状弁部212は、その内周部に、部材テーパ面222の軸方向における小径内周面221とは反対側の端縁部から小径内周面221とは反対側に延出する、小径内周面221よりも大径の大径内周面223を有している。第1可動部材201は、その外周面である部材外周面224が、主板部211および筒状弁部212にわたって一定径の円筒面からなっている。
【0044】
第1可動部材201は、主板部211の軸方向における筒状弁部212とは反対側の背端面225が平面状であり、筒状弁部212の軸方向における主板部211とは反対側の弁端面226も平面状である。これら背端面225および弁端面226は互いに平行に広がっており、小径内周面221は背端面225に直交し、大径内周面223は弁端面226に直交している。
【0045】
小径内周面221、部材テーパ面222、大径内周面223、部材外周面224、背端面225および弁端面226は、中心軸線を一致させている。
【0046】
第1可動部材201は、小径内周面221の径が、隔壁部材74の小径筒状部161を若干の隙間をもって嵌合可能なように小径外径面171の径よりも若干大径である。また、大径内周面223の径が、隔壁部材74の大径筒状部162を若干の隙間をもって嵌合可能なように大径外径面181の径よりも若干大径である。また、部材外周面224の径が、基端側部材72の中間内壁面115の内側に若干の隙間をもって嵌合可能なように中間内壁面115の径よりも若干小径である。また、部材テーパ面222が、隔壁部材74のテーパ外周面191と同等のテーパとなっている。
【0047】
第1可動部材201は、筒状弁部212の弁端面226において、基端側部材72の座面114に当接して、外側通路穴123内の通路を閉塞するようになっている。このとき、筒状弁部212は、基端側部材72の中間内壁面115と、隔壁部材74の大径外径面181とに嵌合している。また、第1可動部材201は、筒状弁部212の弁端面226を基端側部材72の座面114から離し、基端側部材72の中間内壁面115からも離すと、外側通路穴123内の通路を開放する。
【0048】
第1コイルスプリング202は、隔壁部材74の小径筒状部161と先端側部材73の先端側筒状部132との径方向の間位置に配置されており、軸方向の一端部が先端側部材73の天井面135に当接し、軸方向の他端部が第1可動部材201の背端面225に当接する。第1コイルスプリング202は、第1可動部材201を、基端側部材72の座面114に当接させて外側通路穴123内の通路を閉塞するように付勢する。
【0049】
第2可動部材203は、有孔円板状をなしており、有孔円板状の板状弁部231と、板状弁部231の内周縁部から軸方向一側に突出する筒状突出部232と、を有している。板状弁部231は、その外周部に、円筒面状の弁外周面241を有している。板状弁部231の軸方向における筒状突出部232とは反対側の端面242は平面状であり、板状弁部231の軸方向における筒状突出部232側の中間面243も平面状である。これら端面242および中間面243は互いに平行をなして広がっている。
【0050】
筒状突出部232は、その外周部に、軸方向において板状弁部231から離れるほど小径となるテーパ外周面245が設けられている。筒状突出部232の軸方向における板状弁部231とは反対側の頂端面246は平面状であり、端面242および中間面243と平行に広がっている。第2可動部材203は、その内周部の弁内周面247が、板状弁部231および筒状突出部232にわたって一定径の円筒面からなっている。第2可動部材203の弁内周面247は、端面242および頂端面246に直交している。第2可動部材203の弁外周面241は、端面242および中間面243に直交している。
【0051】
弁外周面241、端面242、中間面243、テーパ外周面245、頂端面246および弁内周面247は、中心軸線を一致させている。
【0052】
第2可動部材203は、板状弁部231の外径すなわち弁外周面241の径が、基端側部材72の小径内壁面113の内側に若干の隙間をもって嵌合可能なように小径内壁面113の径よりも若干小径である。
【0053】
第2可動部材203は、板状弁部231の弁外周面241において、基端側部材72の小径内壁面113の内側に嵌合することで、基端側部材72との隙間を閉塞するようになっている。また、第2可動部材203は、板状弁部231の弁外周面241を、基端側部材72の小径内壁面113から底板部81側に離すと、基端側部材72との隙間を開放する。
【0054】
第2コイルスプリング204は、第2可動部材203の筒状突出部232と基端側部材72の基端側筒状部83との径方向の間位置に配置されており、軸方向の一端部が基端側部材72の底面91に当接し、軸方向の他端部が第2可動部材203の板状弁部231の中間面243に当接する。第2コイルスプリング204は、第2可動部材203を、板状弁部231が弁外周面241において基端側部材72の小径内壁面113に嵌合し、基端側部材72との隙間を閉塞する位置に位置するように付勢する。
【0055】
ボトムバルブ25は、先端側部材73の先端側弁座面136に当接する第1ディスクバルブ251と、基端側部材72の基端側弁座面92に当接する第2ディスクバルブ252と、これら第1ディスクバルブ251および第2ディスクバルブ252を通路部材71に取り付けるボルト部材253およびナット部材254と、を有している。
【0056】
第1ディスクバルブ251は複数枚の有孔円板状の単板ディスクが軸方向に積層されて構成されており、これら単板ディスクは先端側部材73の先端側弁座面136から軸方向に離れるほど外径が小径となっている。第1ディスクバルブ251は、先端側弁座面136に当接して通路穴152内の通路を閉塞すると共に、この先端側弁座面136から離れると通路穴152内の通路を開放する。
【0057】
第2ディスクバルブ252は複数枚の有孔円板状の単板ディスクが軸方向に積層されて構成されており、これら単板ディスクは基端側部材72の基端側弁座面92から軸方向に離れるほど外径が小径となっている。第2ディスクバルブ252は、基端側弁座面92に当接して内側通路穴122内の通路を閉塞すると共に、この基端側弁座面92から離れると内側通路穴122内の通路を開放する。第2ディスクバルブ252は、外側通路穴123内の通路を閉塞することはない。
【0058】
ボルト部材253は、頭部261と、頭部261の径方向の中央位置から軸方向に延びる円柱状の軸部262とを有しており、軸部262の軸方向における頭部261とは反対側の外周部にオネジ263が形成されている。ボルト部材253は、軸部262の軸方向における頭部261とは反対側の端面から軸方向の中間所定位置まで穿設される軸方向穴266と、軸方向穴266の軸方向における頭部261側の端部に交差して軸部262を径方向に貫通する径方向穴267とを有している。ナット部材254は、内周部にメネジが形成されている。
【0059】
以上のボトムバルブ25は、例えば、以下のように組み立てられる。
【0060】
ボルト部材253の軸部262に、まず、第2ディスクバルブ252をその内周部において嵌合させて頭部261に載置させ、次に、軸部262に、基端側部材72を基端側貫通穴121において嵌合させて底板部81を第2ディスクバルブ252に載置させる。次に、軸部262を径方向内側に挿通させるようにして第2コイルスプリング204を基端側部材72の基端側筒状部83の径方向内側に挿入して底板部81に載置させる。次に、第2可動部材203を、軸部262を径方向内側に嵌合させながら、基端側部材72の基端側筒状部83の径方向内側に嵌合させ板状弁部231において第2コイルスプリング204に当接させる。
【0061】
次に、隔壁部材74を、大径筒状部162およびテーパ筒状部163の径方向内側に軸部262を挿通させ、小径筒状部161の径方向内側に軸部262を嵌合させることによって、大径筒状部162において基端側部材72の座面114に載置させる。次に、第1可動部材201を、その径方向内側に隔壁部材74の小径筒状部161を嵌合させて筒状弁部212を基端側筒状部83の座面114に載置させる。次に、隔壁部材74の小径筒状部161を径方向内側に挿通させるようにして第1コイルスプリング202を第1可動部材201の主板部211に載置させる。次に、先端側部材73を、その蓋板部131の先端側貫通穴151に軸部262を嵌合させると共に、先端側筒状部132を基端側筒状部83に嵌合させる。次に、第1ディスクバルブ251をその内周部に軸部262を嵌合させて、蓋板部131に載置させる。この状態で、第1ディスクバルブ251から突出する軸部262のオネジ263にナット部材254を螺合させて締め付ける。すると、基端側部材72の突端面118に、先端側部材73の突当面142が当接する。また、このとき、隔壁部材74は、小端面173が先端側部材73の天井面135に当接し、大端面183が基端側部材72の座面114に当接する。
【0062】
ボトムバルブ25は、基端側部材72、隔壁部材74および先端側部材73が互いに固定された状態になる。また、第1ディスクバルブ251は内周部が先端側部材73に固定された状態になり、第2ディスクバルブ252は内周部が基端側部材72に固定された状態になる。隔壁部材74の大径内壁面182と、基端側部材72の小径内壁面113とが同一の連続する円筒面となる。隔壁部材74の大径内壁面182も、基端側内壁面111、縮径テーパ内壁面112および小径内壁面113と共に第2内壁156を構成する。
【0063】
第1可動部材201は、基端側部材72、隔壁部材74および先端側部材73に対して軸方向に移動可能であり、第1コイルスプリング202で基端側部材72の方向に付勢されている。第2可動部材203は、基端側部材72、隔壁部材74およびボルト部材253に対して軸方向に移動可能であり、第2コイルスプリング204で隔壁部材74の方向に付勢されている。
【0064】
ボトムバルブ25は、第1可動部材201と、先端側部材73と、基端側部材72の基端側筒状部83の一部と、隔壁部材74とで囲まれた範囲が、第1室281となっている。この第1室281は、通路部材71の第1内壁155と軸方向の位置を重ね合わせて第1内壁155の径方向内側に形成されている。この第1室281は、先端側部材73の通路穴152内の通路に常時連通している。この第1室281内に第1コイルスプリング202が配置されている。
【0065】
また、ボトムバルブ25は、第2可動部材203と隔壁部材74とボルト部材253の軸部262とで囲まれた範囲が中間室282となっている。ボルト部材253の軸方向穴266および径方向穴267内の通路は中間室282に常時連通している。
【0066】
また、ボトムバルブ25は、第2可動部材203と基端側部材72とで囲まれた範囲が、第2室283となっている。この第2室283は、通路部材71の第2内壁156と軸方向の位置を重ね合わせて第2内壁156の径方向内側に形成されている。基端側部材72の内側通路穴122内の通路が、第2室283に常時連通している。この第2室283内に第2コイルスプリング204が配置されている。
【0067】
ボトムバルブ25は、図1に示すように、外筒16内に配置されて、通路部材71の複数の脚部82において底部22に載置される。また、ボトムバルブ25は、基端側部材72にシリンダ15が嵌合される。この状態で、ボトムバルブ25は、外筒16の底部22との間に底室284を形成する。この底室284は、隣り合う脚部82間の通路を介して、外筒16とシリンダ15との間に連通している。底室284は、リザーバ室18の一部となっている。これにより、ボトムバルブ25は、その通路部材71が、シリンダ15内のボトム側室49と、底室284を含むリザーバ室18との間に設けられることになる。
【0068】
図2に示すように、リザーバ室18の底室284は、基端側部材72の外側通路穴123内の通路に常時連通している。ボルト部材253の軸方向穴266および径方向穴267内の通路はボトム側室49に常時連通しており、よって、中間室282もボトム側室49に常時連通している。
【0069】
第1可動部材201は、第1コイルスプリング202の付勢力によって弁端面226が基端側部材72の座面114に当接する。すると、第1可動部材201は、リザーバ室18の底室284および外側通路穴123内の通路と、第1室281との連通を遮断する。このとき、第1可動部材201は、第1内壁155の中間内壁面115、拡径テーパ内壁面116、大径内壁面117および先端側内壁面141と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する。また、このとき、第1可動部材201は、筒状弁部212が、第1内壁155の中間内壁面115および隔壁部材74の大径外径面181に嵌合する。
【0070】
この状態から、第1可動部材201が、第1コイルスプリング202の付勢力に抗して、隔壁部材74の小径筒状部161および大径筒状部162を摺動して蓋板部131側に移動すると、弁端面226が基端側部材72の座面114から離間する。そして、第1可動部材201は、第1内壁155の中間内壁面115から軸方向に離間すると、第1内壁155の拡径テーパ内壁面116、大径内壁面117および先端側内壁面141との径方向の隙間を介して、リザーバ室18の底室284および外側通路穴123内の通路と、第1室281とを連通させる。このように、第1可動部材201は、第1内壁155に対し軸方向に変位可能に設けられており、第1コイルスプリング202は、第1可動部材201の移動に対し抵抗を与える抵抗部材である。
【0071】
第1室281は、第1ディスクバルブ251が先端側部材73の蓋板部131に当接して通路穴152内の通路を閉塞している状態ではボトム側室49との連通が遮断される。第1室281は、第1ディスクバルブ251の外周側の部分が蓋板部131から離れて通路穴152内の通路を開くとボトム側室49に連通する。
【0072】
第2可動部材203は、第2コイルスプリング204の付勢力によって、板状弁部231が、弁外周面241において第2内壁156の小径内壁面113に嵌合している。これにより、第2可動部材203は、中間室282と第2室283との連通を遮断する。このとき、第2可動部材203は、板状弁部231が、第2内壁156の小径内壁面113と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する。なお、第2可動部材203は、軸方向に移動して、板状弁部231が、弁外周面241において第2内壁156の大径内壁面182に嵌合する場合もある。この場合も、第2可動部材203は、中間室282と第2室283との連通を遮断する。
【0073】
中間室282と第2室283との連通を遮断する状態から、第2可動部材203が、第2コイルスプリング204の付勢力に抗して、ボルト部材の253の軸部262を摺動して底板部81側に移動すると、板状弁部231が、第2内壁156の小径内壁面113に対して軸方向にずれる。そして、第2可動部材203は、板状弁部231が、第2内壁156の小径内壁面113から軸方向に離れると、板状弁部231と、第2内壁156の縮径テーパ内壁面112および基端側内壁面111との径方向の隙間を介して、ボトム側室49と、軸方向穴266および径方向穴267内の通路と、中間室282とを、第2室283に連通させる。このように、第2可動部材203は、第2内壁156に対し軸方向に変位可能に設けられており、第2コイルスプリング204は、第2可動部材203の移動に対し抵抗を与える抵抗部材である。
【0074】
第2室283は、第2ディスクバルブ252が基端側部材72の底板部81に当接して内側通路穴122内の通路を閉塞している状態ではリザーバ室18の底室284との連通が遮断される。第2室283は、第2ディスクバルブ252の外周側の部分が底板部81から離れて内側通路穴122内の通路を開くとリザーバ室18の底室284に連通する。
【0075】
以上の構成のボトムバルブ25は、ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を増やす伸び行程において、ピストン45がロッド側室48に移動して、ボトム側室49の圧力がリザーバ室18の圧力よりも所定値以上下がると、第1ディスクバルブ251が蓋板部131から離れて通路穴152内の通路を開いて、第1室281を通路穴152内の通路を介してボトム側室49に連通させる。これにより、第1室281内の圧力が下がり、第1可動部材201が、第1コイルスプリング202の付勢力に抗して蓋板部131側に移動して、筒状弁部212と、第1内壁155の拡径テーパ内壁面116、大径内壁面117および先端側内壁面141との径方向の隙間を介して、リザーバ室18の底室284および外側通路穴123内の通路と、第1室281とを連通させる。これにより、リザーバ室18の底室284の油液Lが、外側通路穴123内の通路と、第1可動部材201と第1内壁155との径方向の隙間と、第1室281と、通路穴152内の通路と、第1ディスクバルブ251と通路穴152内の通路との間の通路と、からなる第1通路291を介してボトム側室49に流れる。
【0076】
このとき、第1可動部材201は、筒状弁部212が、拡径テーパ内壁面116と軸方向の位置を重ね合わせる状態では、軸方向の位置によって拡径テーパ内壁面116との間の流路断面積が変化することになり、蓋板部131側に近づくほど流路断面積が大きくなる。また、このとき、第1ディスクバルブ251は、変形量によって通路穴152内の通路との間の流路断面積が変化することになり、変形量が大きくなるほど流路断面積が大きくなる。
【0077】
以上により、第1通路291は、ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を増やす伸び行程においてリザーバ室18からボトム側室49に作動流体としての油液Lを流すことになり、通路部材71の第1内壁155は、この第1通路291を形成している。ボトムバルブ25は、この第1内壁155に対し変位可能に設けられる第1可動部材201と、第1可動部材201の移動に対し抵抗を与える第1コイルスプリング202とを有している。第1可動部材201は、任意の質量マスを持つものとされ、ばね下(車輪側)の加速度と第1コイルスプリング202の持つばね定数によって移動距離が変化する。第1通路291と、第1通路291に設けられた第1可動部材201、第1コイルスプリング202および第1ディスクバルブ251とが、伸び行程において、減衰力を発生させる伸び側の第1減衰力発生機構295(減衰力発生機構)を構成している。
【0078】
ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を減らす縮み行程において、ピストン45がボトム側室49側に移動して、ボトム側室49の圧力がリザーバ室18の圧力よりも所定値以上上がると、軸方向穴266および径方向穴267内の通路と、中間室282の圧力も上がることになって、第2可動部材203が、第2コイルスプリング204の付勢力に抗して底板部81側に移動して、板状弁部231と、第2内壁156の縮径テーパ内壁面112および基端側内壁面111との径方向の隙間を介して、ボトム側室49と、軸方向穴266および径方向穴267内の通路と、中間室282とを、第2室283に連通させる。これにより、第2室283の圧力が上がり、第2ディスクバルブ252が底板部81から離れて内側通路穴122内の通路を開いて、第2室283を内側通路穴122内の通路を介してリザーバ室18の底室284に連通させる。これにより、ボトム側室49の油液Lが、軸方向穴266および径方向穴267内の通路と、中間室282と、板状弁部231と第2内壁156との径方向の隙間と、第2室283と、内側通路穴122内の通路と、内側通路穴122内の通路と第2ディスクバルブ252と間の通路と、からなる第2通路292を介して、リザーバ室18に流れる。
【0079】
このとき、第2可動部材203は、縮径テーパ内壁面112と軸方向の位置を重ね合わせる状態では、軸方向の位置によって縮径テーパ内壁面112との間の流路断面積が変化することになり、底板部81に近づくほど流路断面積が大きくなる。また、このとき、第2ディスクバルブ252は、変形量によって内側通路穴122内の通路との間の流路断面積が変化することになり、変形量が大きくなるほど流路断面積が大きくなる。
【0080】
以上により、第2通路292は、ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を減らす縮み行程においてボトム側室49からリザーバ室18に作動流体としての油液Lを流すことになり、通路部材71の第2内壁156は、この第2通路292を形成している。ボトムバルブ25は、この第2内壁156に対し変位可能に設けられる第2可動部材203と、第2可動部材203の移動に対し抵抗を与える第2コイルスプリング204とを有している。第2可動部材203は、任意の質量マスを持つものとされ、ばね下(車輪側)の加速度と第2コイルスプリング204の持つばね定数によって移動距離が変化する。第2通路292と、第2通路292に設けられた第2可動部材203、第2コイルスプリング204および第2ディスクバルブ252とが、縮み行程において、減衰力を発生させる縮み側の第2減衰力発生機構296(減衰力発生機構)を構成している。
【0081】
ここで、第1可動部材201の外径と第2可動部材203の外径とは異なっており、第1可動部材201の外径の方が、第2可動部材203の外径よりも大径となっている。すなわち、第1可動部材201の部材外周面224の径の方が、第2可動部材203の弁外周面241の外径よりも大径となっている。
【0082】
また、これに合わせて、第1内壁155の内径と第2内壁156の内径とが異なっており、第1内壁155の内径の方が第2内壁156の内径よりも大径となっている。第1内壁155は、その最小内径である中間内壁面115の径の方が、第2内壁156の最小内径である小径内壁面113の径よりも大径であり、第2内壁156の最大内径である基端側内壁面111の径よりも大径である。
【0083】
第1コイルスプリング202と第2コイルスプリング204とは、第1コイルスプリング202のばね定数K1よりも第2コイルスプリング204のばね定数K2の方が大きい関係となっており、縮み行程に比べて伸び行程における負圧特性を緩和するようになっている。
【0084】
特許文献1には、バルブ・極微直列接続の構造が開示されている。特許文献2には、加速度感応ボデーバルブ構造が開示されている。特許文献3にも、加速度感応ボデーバルブ構造が開示されている。従来の構造は、ピストンの下部に伸び側および縮み側の直列構造とするオリフィス機能を設けた弾性変形をするリーフ弁要素を持つことで、極微低速域から望ましい特性を得るものとしている。また、ボデー部にピストンロッド側へ向かう方向への所定の加速度以上の加速度が作用すると、開弁して流路を連通させる構造をもつことで、圧力ではなく加速度感応機能によりインパクトショックを効果的に低減可能な機能を有している。しかし、直列構造の背反として伸び行程および縮み行程、特に行程反転時には減衰力の立ち上がりの遅れが懸念される。
【0085】
第1実施形態の緩衝器11は、ボトムバルブ25が、シリンダ15内のボトム側室49とリザーバ室18との間に設けられ内径の異なる部分が第1内壁155に形成される筒状の通路部材71と、第1内壁155に対し変位可能に設けられる第1可動部材201と、第1可動部材201の移動に対し抵抗を与える第1コイルスプリング202と、を有するため、伸び行程において、特に縮み行程から伸び行程に行程が反転する際に減衰力の立ち上がりの遅れを抑制することができ、円滑に減衰力を発生させることができる。また、伸び行程において、ピストン速度が極微低速の領域から加速度感応が機能する構造となる。したがって、乗り心地向上に寄与できる。しかも、伸び行程において、極微低速で機能する構造と加速度感応機能を設けた場合に必要となる2機構分の構造が不要になる。
【0086】
また、第1実施形態の緩衝器11は、ボトムバルブ25が、シリンダ15内のボトム側室49とリザーバ室18との間に設けられ内径の異なる部分が第2内壁156に形成される筒状の通路部材71と、第2内壁156に対し変位可能に設けられる第2可動部材203と、第2可動部材203の移動に対し抵抗を与える第2コイルスプリング204と、を有するため、縮み行程において、特に伸び行程から縮み行程に行程が反転する際に減衰力の立ち上がりの遅れを抑制することができ、円滑に減衰力を発生させることができる。また、縮み行程において、ピストン速度が極微低速の領域から加速度感応が機能する構造となる。したがって、乗り心地向上に寄与できる。しかも、縮み行程において、極微低速で機能する構造と加速度感応機能を設けた場合に必要となる2機構分の構造が不要になる。
【0087】
また、伸び行程で減衰力を発生させる第1減衰力発生機構295と、縮み行程で減衰力を発生させる第2減衰力発生機構296とが並列構造となっていて、独立に調整可能であるため、伸び行程および縮み行程のそれぞれで円滑に減衰力を発生させることができる。
【0088】
また、第1可動部材201と第2可動部材203とは外径が異なっており、第1内壁155と第2内壁156とは内径が異なっているため、伸び行程と縮み行程とで減衰力特性を異ならせることができる。
【0089】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態を主に図3に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0090】
第2実施形態の緩衝器11Aにおいては、図3に示すように、第1実施形態のボトムバルブ25とは一部異なるボトムバルブ25Aが用いられる。ボトムバルブ25Aは、通路部材71とは一部異なる通路部材71Aを有しており、通路部材71Aは、基端側部材72とは一部異なる基端側部材72Aと、先端側部材73とは一部異なる先端側部材73Aとを有している。
【0091】
先端側部材73Aは、先端側筒状部132とは一部異なる先端側筒状部132Aを有している。蓋板部131は、天井面135よりも径が大きい天井面135Aを有している。先端側筒状部132Aは、円筒面状の先端側内壁面141にかえてテーパ状のテーパ内壁面141Aを有している。テーパ内壁面141Aは、天井面135Aの径方向外側の縁部から縮径しつつ突当面142Aの内周縁部まで延出している。突当面142Aは突当面142よりも内径が大きくなっている。
【0092】
基端側部材72Aは、基端側筒状部83とは一部異なる基端側筒状部83Aを有している。基端側筒状部83Aは、円筒面状の大径内壁面117にかえてテーパ状のテーパ内壁面117Aを有している。テーパ内壁面117Aは、拡径テーパ内壁面116の軸方向における中間内壁面115とは反対側の端縁部から軸方向において中間内壁面115とは反対側に拡径しつつ突端面118Aの内周縁部まで延出している。突端面118Aは突端面118よりも内径が大きくなっている。
【0093】
基端側部材72Aおよび先端側部材73Aが組み立てられた状態で、テーパ内壁面141Aおよびテーパ内壁面117Aは、連続する同一のテーパ面を構成することになる。第1内壁155Aは、第1内壁155に対してテーパ内壁面141Aおよびテーパ内壁面117Aを有する点が相違している。テーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aは、座面114から軸方向に離れるほど大径となるテーパ面となっている。
【0094】
これにより、テーパ内壁面141Aおよびテーパ内壁面117Aの径方向内側に、第1室281とは径方向外側の形状が異なる第1室281Aが形成されることになる。よって、第1通路291Aも、第1通路291に対して第1室281とは異なる第1室281Aを有する点が相違しており、第1減衰力発生機構295Aも、第1減衰力発生機構295に対して第1室281とは異なる第1室281Aを有する点が相違している。
【0095】
基端側筒状部83Aは、第2内壁156とは一部異なる第2内壁156Aを有している。第2内壁156Aは、テーパ状の縮径テーパ内壁面112および円筒面状の基端側内壁面111にかえて、テーパ状のテーパ内壁面112Aを有している。テーパ内壁面112Aは、底面91の径方向外側の縁部から縮径しつつ小径内壁面113の方向に延出して、小径内壁面113の軸方向における底面91側の端縁部まで延びている。テーパ内壁面112Aは、小径内壁面113から軸方向に離れるほど大径となるテーパ面となっている。
【0096】
これにより、テーパ内壁面112Aの径方向内側に、第2室283とは径方向外側の形状が異なる第2室283Aが形成されることになる。よって、第2通路292Aも、第2通路292に対して第2室283とは異なる第2室283Aを有する点が相違しており、第2減衰力発生機構296Aも、第2減衰力発生機構296に対して第2室283とは異なる第2室283Aを有する点が相違している。
【0097】
以上の構成の第2実施形態のボトムバルブ25Aは、ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を増やす伸び行程において、第1可動部材201が、第1コイルスプリング202の付勢力に抗して蓋板部131側に移動すると、筒状弁部212と、第1内壁155Aの拡径テーパ内壁面116、テーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aとの径方向の隙間を介して、リザーバ室18の底室284および外側通路穴123内の通路と、第1室281Aとを連通させる。このとき、第1可動部材201は、筒状弁部212が、拡径テーパ内壁面116、テーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aと軸方向の位置を重ね合わせる状態では、軸方向の位置によって、拡径テーパ内壁面116、テーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aとの間の流路断面積が変化することになり、蓋板部131側に近づくほど流路断面積が大きくなる。これにより、第1可動部材201の蓋板部131側への移動量が増加するに従い第1通路291Aを流れる油液Lの流量を増加させるチョーク特性を得ることができる。
【0098】
ボトムバルブ25Aは、ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を減らす縮み行程において、第2可動部材203が、第2コイルスプリング204の付勢力に抗して底板部81側に移動すると、板状弁部231と、第2内壁156Aのテーパ内壁面112Aとの径方向の隙間を介して、ボトム側室49と、軸方向穴266および径方向穴267内の通路と、中間室282とを、第2室283Aに連通させる。このとき、第2可動部材203は、板状弁部231が、テーパ内壁面112Aと軸方向の位置を重ね合わせる状態では、軸方向の位置によってテーパ内壁面112Aとの間の流路断面積が変化することになり、底板部81に近づくほど流路断面積が大きくなる。これにより、第2可動部材203の底板部81側への移動量が増加するに従い第2通路292Aを流れる油液Lの流量を増加させるチョーク特性を得ることができる。
【0099】
なお、テーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aを、上記とは逆に、天井面135Aの径方向外側の縁部から拡径しつつ延出するテーパ面としても良い。このように構成すれば、第1可動部材201の蓋板部131側への移動量が増加するに従い第1通路291Aを流れる油液Lの流量を減少させるチョーク特性を得ることができる。
【0100】
以上のように、第1内壁155Aにテーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aを形成するため、テーパ内壁面117Aおよびテーパ内壁面141Aのテーパを調整することによって、伸び側の減衰力を容易に調整することが可能となる。また、第2内壁156Aにテーパ内壁面112Aを形成するため、テーパ内壁面112Aのテーパを調整することによって、縮み側の減衰力を容易に調整することが可能となる。
【0101】
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態を主に図4および図5に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0102】
第3実施形態の緩衝器11Bにおいては、図4に示すように、第1実施形態のボトムバルブ25とは一部異なるボトムバルブ25Bが用いられる。ボトムバルブ25Bは、通路部材71とは一部異なる通路部材71Bを有しており、通路部材71Bは、基端側部材72とは一部異なる基端側部材72Bと、先端側部材73とは一部異なる先端側部材73Bとを有している。
【0103】
先端側部材73Bは、先端側筒状部132とは一部異なる先端側筒状部132Bを有している。先端側筒状部132Bは、円筒面状の先端側内壁面141にかえて凹凸状の凹凸内壁面141Bを有している。図5に示すように、凹凸内壁面141Bは、天井面135の径方向外側の縁部から縮径しつつ突当面142の方向に延出する縮径テーパ面302と、縮径テーパ面302の内周縁部から突当面142の方向に延出する小径円筒面303と、小径円筒面303の突当面142側の端縁部から拡径しつつ突当面142の方向に延出する拡径テーパ面304と、拡径テーパ面304の径方向外側の縁部から突当面142の方向に延出する、小径円筒面303よりも大径の大径円筒面305とを有しており、この大径円筒面305の突当面142側の縁部から上記と同様の縮径テーパ面302が突当面142の方向に延出している。
【0104】
このような、縮径テーパ面302、小径円筒面303、拡径テーパ面304および大径円筒面305の組が、天井面135から順に複数組、具体的には3組設けられ、天井面135から最も離れた組の大径円筒面305の一部が突当面142の内周縁部まで延出している。
【0105】
基端側部材72Bは、基端側筒状部83とは一部異なる基端側筒状部83Bを有している。基端側筒状部83Bは、円筒面状の大径内壁面117にかえて凹凸状の凹凸内壁面117Bを有している。凹凸内壁面117Bは、突端面118の内周縁部から座面114の方向に延出する大径円筒面305の残りの一部と、この部分の座面114側の端縁部から縮径しつつ座面114の方向に延出する上記と同様の縮径テーパ面302と、縮径テーパ面302の内周縁部から座面114の方向に延出する上記と同様の小径円筒面303と、小径円筒面303の座面114側の端縁部から拡径しつつ座面114の方向に延出する上記と同様の拡径テーパ面304と、拡径テーパ面304の径方向外側の縁部から座面114の方向に拡径テーパ内壁面116の径方向外側の端縁部まで延出する上記と同様の大径円筒面305とを有している。
【0106】
基端側部材72Bおよび先端側部材73Bが組み立てられた状態で、凹凸内壁面141Bおよび 凹凸内壁面117Bは連続する同様の凹凸面を構成することになる。第1内壁155Bは、第1内壁155に対して凹凸内壁面141Bおよび 凹凸内壁面117Bを有する点が相違している。
【0107】
これにより、第1内壁155Bの径方向内側に、第1室281とは径方向外側の形状が異なる第1室281Bが形成されることになる。よって、第1通路291Bも、第1通路291に対して第1室281とは異なる第1室281Bを有する点が相違しており、第1減衰力発生機構295Bも、第1減衰力発生機構295に対して第1室281とは異なる第1室281Bを有する点が相違している。
【0108】
基端側筒状部83Bは、第2内壁156とは一部異なる第2内壁156Bを有している。第2内壁156Bは、円筒面状の基端側内壁面111にかえて、凹凸状の凹凸内壁面111Bを有している。凹凸内壁面111Bは、底面91の径方向外側の縁部から小径内壁面113の方向に延出する大径円筒面311と、大径円筒面311の小径内壁面113側の端縁部から縮径しつつ小径内壁面113の方向に延出する縮径テーパ面312と、縮径テーパ面312の内周縁部から小径内壁面113の方向に延出する、大径円筒面311よりも小径の小径円筒面313と、小径円筒面313の小径内壁面113側の端縁部から拡径しつつ小径内壁面113の方向に延出する拡径テーパ面314と、を有しており、この拡径テーパ面314の径方向外側の端縁部から上記と同様の大径円筒面311が小径内壁面113の方向に延出している。
【0109】
このような、大径円筒面311、縮径テーパ面312、小径円筒面313および拡径テーパ面314の組が、底面91から順に複数組、具体的には3組設けられ、底面91から最も離れた組の拡径テーパ面314の径方向外側の端縁部から上記と同様の大径円筒面311が、縮径テーパ内壁面112の径方向外側の端縁部まで延びている。
【0110】
これにより、凹凸内壁面111Bの径方向内側に、第2室283とは径方向外側の形状が異なる第2室283Bが形成されることになる。よって、第2通路292Bも、第2通路292に対して第2室283とは異なる第2室283Bを有する点が相違しており、第2減衰力発生機構296Bも、第2減衰力発生機構296に対して第2室283とは異なる第2室283Bを有する点が相違している。
【0111】
以上の構成の第3実施形態においては、ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を増やす伸び行程において、第1可動部材201が、第1コイルスプリング202の付勢力に抗して蓋板部131側に移動すると、第1可動部材201と、第1内壁155Bの凹凸内壁面141Bおよび 凹凸内壁面117Bとの径方向の隙間を介して、リザーバ室18の底室284および外側通路穴123内の通路と、第1室281Bとを連通させる。このとき、第1可動部材201は、軸方向の位置によって凹凸内壁面141Bおよび 凹凸内壁面117Bとの間の流路断面積が変化することになる。
【0112】
ピストンロッド51がシリンダ15からの延出量を減らす縮み行程において、第2可動部材203が、第2コイルスプリング204の付勢力に抗して底板部81側に移動すると、板状弁部231と、第2内壁156の凹凸内壁面111Bとの径方向の隙間を介して、ボトム側室49と、軸方向穴266および径方向穴267内の通路と、中間室282とを、第2室283Bに連通させる。このとき、第2可動部材203の板状弁部231は、軸方向の位置によって凹凸内壁面111Bとの間の流路断面積が変化することになる。
【0113】
以上に述べた実施形態の第1の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内と連通可能に設けられるリザーバ室と、前記シリンダ内に摺動可能に設けられ前記シリンダ内をロッド側室とボトム側室とに画成するピストンと、前記シリンダの一端に設けられ、前記ボトム側室と前記リザーバ室とを画成するボトムバルブと、一端側が前記シリンダ内で前記ピストンに固定され他端側が前記シリンダ外に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により減衰力を発生する減衰力発生機構と、を有する緩衝器であって、前記ボトムバルブは、前記シリンダ内の前記ボトム側室と前記リザーバ室との間に設けられ内径の異なる部分が内壁に形成される筒状の通路部材と、前記内壁に対し変位可能に設けられる可動部材と、前記可動部材の移動に対し抵抗を与える抵抗部材と、を有する。これにより、減衰力の立ち上がりの遅れを抑制することができる。
【0114】
第2の態様は、第1の態様において、前記通路部材は、前記ピストンロッドが前記シリンダからの延出量を増やす伸び行程において前記リザーバ室から前記ボトム側室に作動流体を流す第1通路を形成すると共に内径の異なる部分が形成される第1内壁と、前記ピストンロッドが前記シリンダからの延出量を減らす縮み行程において前記ボトム側室から前記リザーバ室に作動流体を流す第2通路を形成すると共に内径の異なる部分が形成される第2内壁と、を有し、前記ボトムバルブは、前記第1内壁に対し変位可能に設けられる第1可動部材と、前記第1可動部材の移動に対し抵抗を与える第1抵抗部材と、前記第2内壁に対し変位可能に設けられる第2可動部材と、前記第2可動部材の移動に対し抵抗を与える第2抵抗部材と、を有する。
【0115】
第3の態様は、第2の態様において、前記第1可動部材と前記第2可動部材とは外径が異なり、前記第1内壁と前記第2内壁とは内径が異なる。
【符号の説明】
【0116】
11,11A,11B 緩衝器
15 シリンダ
18 リザーバ室
48 ロッド側室
49 ボトム側室
45 ピストン
25,25A,25B ボトムバルブ
51 ピストンロッド
59,60 減衰力発生機構
295,295A,295B 第1減衰力発生機構(減衰力発生機構)
296,296A,296B 第2減衰力発生機構(減衰力発生機構)
155,155A,155B 第1内壁
156,156A,156B 第2内壁
71,71A,71B 通路部材
201 第1可動部材(可動部材)
203 第2可動部材(可動部材)
202 第1コイルスプリング(抵抗部材,第1抵抗部材)
204 第2コイルスプリング(抵抗部材,第2抵抗部材)
図1
図2
図3
図4
図5