(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143129
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】建築現場用スイーパー
(51)【国際特許分類】
E01H 1/04 20060101AFI20220926BHJP
E01H 1/05 20060101ALI20220926BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20220926BHJP
A47L 11/24 20060101ALI20220926BHJP
A47L 11/283 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E01H1/04
E01H1/05
B08B1/04
A47L11/24
A47L11/283
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043479
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】517261338
【氏名又は名称】株式会社スマートロボティクス
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 悠介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 大徹
【テーマコード(参考)】
2D026
3B116
【Fターム(参考)】
2D026AA02
2D026AB01
3B116AA31
3B116AB51
3B116BA02
3B116BA13
3B116BA35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建築現場での使用に適したスイーパーを提供する。
【解決手段】スイーパー1は走行用の前後車輪7,9を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体3と、掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備する。スイーパー本体3の前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシ17が配される。一対のディスクブラシ17には一対のモータ19の駆動軸がそれぞれ接続される。スイーパー本体3の中心線を挟んでブラシ毛材が互いに部分的に重なるように一対のモータ19が取付板61に取り付けられる。一対のディスクブラシ17及び一対のモータ19の自重により一対のディスクブラシ17が前傾した姿勢で一対のディスクブラシ17の毛先が床面に押し付けられるように、取付板61はその後端おいてスイーパー本体3の前方部に蝶番を介して回動自在に取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の前後車輪を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体と、
前記掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備し、
前記スイーパー本体の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシが配され、
前記一対のディスクブラシには一対のモータの駆動軸がそれぞれ接続され、
前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシがその後方部分において部分的に重なり、且つ前記ディスクブラシの毛先に沿うように掃上板が傾設され、
前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシにより前記掃上板の上面に沿って掃き上げられた前記建築廃棄物を後方に送り出すとともに、前記床面上の粉塵を捕集するために円柱形のローラーブラシが架設され、
前記ダストボックスは、前板上部に受入口が開口された箱形状を有しており、前記ローラーブラシで送り出された前記建築廃棄物及び前記捕集された粉塵を前記受入口から受け入れ、後方の前記ダストボックス内に落下させるように、前記ローラーブラシの後方に前記スイーパー本体に装着され、
前記スイーパー本体の中心線を挟んで前記ブラシ毛材が互いに部分的に重なるように前記一対のモータが単一の取付板に共通して取り付けられ、
前記一対のディスクブラシ及び前記一対のモータの自重により前記一対のディスクブラシが前傾した姿勢で前記一対のディスクブラシの毛先が前記床面に押し付けられるように、前記取付板はその後端おいて前記スイーパー本体の前方部に蝶番を介して回動自在に取り付けられる、スイーパー。
【請求項2】
前記一対のディスクブラシ及び前記一対のモータの自重により前記一対のディスクブラシの毛先が前記床面に押し付けられる基準姿勢が固定されるように前記取付板を前記スイーパー本体に対して留める留め具が前記取付板及び前記スイーパー本体に設けられる、請求項1記載のスイーパー。
【請求項3】
前記取付板の回動を前記基準姿勢を含む所定の可動範囲で制限するための制限構造を有する、請求項2記載のスイーパー。
【請求項4】
前記基準姿勢においては、前記床面の鉛直軸に対して前記ディスクブラシの回転中心線が27°で交差する、請求項3記載のスイーパー。
【請求項5】
前記可動範囲の下方限界においては、前記床面の鉛直軸に対して前記ディスクブラシの回転中心線が39°で交差する、請求項3記載のスイーパー。
【請求項6】
前記可動範囲の上方限界においては、前記床面の鉛直軸に対して前記ディスクブラシの回転中心線が22°で交差する、請求項3記載のスイーパー。
【請求項7】
走行用の前後車輪を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体と、
前記掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備し、
前記スイーパー本体の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシが配され、
前記一対のディスクブラシには一対のモータの駆動軸がそれぞれ接続され、
前記スイーパー本体の中心線を挟んで前記ブラシ毛材が互いに部分的に重なるように前記一対のモータが取付板に取り付けられ、
前記一対のディスクブラシ及び前記一対のモータの自重により前記一対のディスクブラシが前傾した姿勢で前記一対のディスクブラシの毛先が前記床面に押し付けられるように、前記取付板はその後端おいて前記スイーパー本体の前方部に蝶番を介して回動自在に取り付けられる、スイーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、建築現場用スイーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な自律走行型のスイーパーが存在する。多くのスイーパーは、主に床面上の粉塵等比較的細かく軽いゴミを吸引し、収容する。一方、建築現場で発生するゴミ(建築廃棄物)としては、粉塵はもちろんではあるが、それとともにコンクリート塊、木材等の端材、金属片、金属くず、ガラス片、ガラスくずなど、比較的大きく比較的重いものがある。
【0003】
そのためこれら建築廃棄物を吸引により集積し、収容することは困難であった。
【0004】
また、建設廃棄物はその物量が多く、従来のスイーパーのダストボックスの容積ではすぐに満杯になってしまう。仮に大容量のダストボックスを備えていたとしても、建築廃棄物を満載したダストボックスは非常に重くなり、建築廃棄物をダストボックスからゴミ集積所へ移し替える作業は容易ではない。そして建設作業時にはスイーパーを作業場所から離れた場所に移送させる必要があるが、重く大きなスイーパーを人力で移送することも容易ではない。
【0005】
さらに建築廃棄物を吸引では無く回転ブラシで掻き集めることも考えられるが、掃除対象であるコンクリートスラブの表面は配管スペース、溝、支柱受けなどの構造上の凹凸が存在し、完全に平板ではないため、それら凹凸の特に溝内の建築廃棄物をブラシで掻き出し、それをダストボックスに回収することは容易ではない。
【0006】
このように建築現場ではそれに対応したスイーパーが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
建築現場での使用に適したスイーパーが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係るスイーパーは、走行用の前後車輪を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体と、前記掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備する。前記スイーパー本体の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシが配される。前記一対のディスクブラシには一対のモータの駆動軸がそれぞれ接続される。前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシがその後方部分において部分的に重なり、且つ前記ディスクブラシの毛先に沿うように掃上板が傾設される。前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシにより前記掃上板の上面に沿って掃き上げられた前記建築廃棄物を後方に送り出すとともに、前記床面上の粉塵を捕集するために円柱形のローラーブラシが架設される。前記ダストボックスは、前板上部に受入口が開口された箱形状を有しており、前記ローラーブラシで送り出された前記建築廃棄物及び前記捕集された粉塵を前記受入口から受け入れ、後方の前記ダストボックス内に落下させるように、前記ローラーブラシの後方に前記スイーパー本体に装着される。前記スイーパー本体の中心線を挟んで前記ブラシ毛材が互いに部分的に重なるように前記一対のモータが単一の取付板に共通して取り付けられる。前記一対のディスクブラシ及び前記一対のモータの自重により前記一対のディスクブラシが前傾した姿勢で前記一対のディスクブラシの毛先が前記床面に押し付けられるように、前記取付板はその後端おいて前記スイーパー本体の前方部に蝶番を介して回動自在に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は本実施形態に係るスイーパーの斜視図である。
【
図6】
図6は
図1のスイーパー本体からダストボックスを取り外した状態を示す図である。
【
図7】
図7は
図1のダストボックスを取り外したスイーパー本体を示す斜視図である。
【
図8】
図8は
図1のスイーパーのディスクブラシの可動範囲を示す側面図である。
【
図9】
図9は
図8のディスクブラシが床面の凹凸に追従する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る建築現場用のスイーパーを説明する。
図1乃至
図3には本実施形態に係るスイーパー1の外観を示し、
図4は
図3のE-E断面図を示し、
図5には本実施形態に係るスイーパー1の断面略図を示している。スイーパー1は、建築現場の床面上を自走しながら、床面に散在されるコンクリート塊、木材等の端材、金属片、金属くず、ガラス片、ガラスくずなどの比較的大きく比較的重いゴミ(建築廃棄物)を掻き集めるスイーパー本体3を有する。スイーパー本体3には、スイーパー本体3により掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックス5が着脱自在(detachable)に嵌め込まれる(
図6、
図7参照)。
【0011】
スイーパー本体3は、シャーシ15を有する。シャーシ15の左右には、建築現場の不整地走行に適するように、自走用の前後の駆動車輪7,9に履帯(クローラー)11を掛け渡した移動機構13が装備される。移動機構13により、
図2、
図5において紙面左側に向かう方向を進行方向としてスイーパー本体3が走行する。
【0012】
スイーパー本体3の進行方向の前方部には一対のモータ19が、その回転軸(駆動軸)の中心線DSが側面視において床面に垂直な鉛直線に対して前傾する姿勢で配置される。一対のモータ19の回転軸には、柔軟性を有する合成樹脂製のブラシ毛材が円錐台形状に基材18に植毛された一対のディスクブラシ17がそれぞれ接続されている。一対のディスクブラシ17はそれら円錐台の中心線RRがモータ19の回転中心線DSに一致するようにモータ19の回転軸に直結される。なお、説明の便宜上、回転中心線RRとそれに揃うモータ19の回転中心線DSとを回転中心線RAと総称するものとする。スイーパー1を床面に接地させたとき、ディスクブラシ17の前方のブラシ毛材は湾曲して床面に密接する。
【0013】
一対のモータ19は単一の取付板61に共通して取り付けられている。一対のモータ19の回転中心線DSは板面に直交する。一対のモータ19の間隔は、一対のディスクブラシ17の相対位置が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLを挟んで互いのブラシ毛材が部分的に重なるように設定されている。
【0014】
取付板61はその後端おいてスイーパー本体3の前方の張出部71に蝶番69を介して回動自在に取り付けられる。それにより一対のディスクブラシ17及び一対のモータ19、さらに取付板61の自重により、一対のディスクブラシ17が蝶番69を支点として取付板61が回動して前傾姿勢のままで、それらの毛先が床面に押し付けられる。取付板61、モータ19及びディスクブラシ17の回動の支点、つまり蝶番69のピンの位置を、回転中心線RA上ではなく、それより後方にずらしたことにより、支点からディスクブラシ17の毛先前端までの回動半径Rを長くすることができる(
図2参照)。回動半径Rを長くすることにより、ディスクブラシ17の床面の凹凸に対する追従性が向上するとともに、ディスクブラシ17のブラシ毛先がより深い溝底面に到達できるようになる(
図9(c)参照)。
【0015】
図8(a)に示すように、蝶番69のピンの位置(回動支点)からディスクブラシ17の毛先前端までの回動半径Rは、一対のディスクブラシ17及び一対のモータ19、さらに取付板61の自重により、一対のディスクブラシ17が蝶番69を支点として回動して毛先が床面に押し付けられて安定した静的姿勢(基準姿勢)、換言すると、一対のディスクブラシ17及び一対のモータ19、さらに取付板61の重さと回動半径Rとにより決まるモーメントが、ディスクブラシ17のブラシ束の湾曲により生じる復元力(反力)に対して釣り合うときの基準姿勢において、床面の鉛直軸に対してディスクブラシ17の回転中心線RAが27°で交差するように、ディスクブラシ17、モータ19及び取付板61の重さ、さらにディスクブラシ17の半径を固有値として、回動半径Rが予め設計されている。
【0016】
図7に示すように、取付板61をスイーパー本体3に対して留める留め具63,65が取付板61とスイーパー本体3とにそれぞれに設けられている。留め具63は取付板61に装着された可動フック構造を有し、留め具63を手動により後傾させて、スイーパー本体3の張出部71から前方に突設されたフック受け構造を有する留め具65に引っ掛けることにより、取付板61の回動が禁止され、基準姿勢で固定される。留め具63を手動により前傾させて、留め具65から外すことにより、回動禁止状態が解除されて、取付板61の回動が許可される。
【0017】
なお、本スイーパー1は図示しない制御部の制御により、比較的凹凸の少ない床面を広範囲にわたり掃除するのに適した部屋掃除モードと、線条凹部、つまり溝の内側をその線条方向に沿って掃除するのに適した溝掃除モードとで選択的に動作することが可能となっている。部屋掃除モードでは、取付板61を固定し、一方、溝掃除モードでは、取付板61の固定を解除して取付板61を回動自在に設けることが好ましい。
【0018】
図2(a)はスイーパー1の側面図を示し、
図2(b)は
図2(a)の部分拡大図である。取付板61にはその回動を基準姿勢を含む所定の可動範囲で制限するための制限構造73が設けられている。制限構造73として任意の構造が採用されるが、例えば取付板61の後縁に連結される上方当接板74と下方当接板76とからなる。取付板61とともに上方当接板74と下方当接板76が回動し、スイーパー本体3の張出部71の前縁に当接することにより、その回動が係止される。取付板61に対する上方当接板74と下方当接板76それぞれの交差角が予め設定されており、下方当接板76の交差角により可動範囲の下限(下方限界)が既定され、上方当接板74の交差角により可動範囲の上限(上方限界)が既定される。可動範囲の下方限界では、
図8(b)に示すように、床面の鉛直軸に対してディスクブラシ17の回転中心線RAが39°で交差する。可動範囲の上方限界では、
図8(c)に示すように、床面の鉛直軸に対してディスクブラシ17の回転中心線RAが22°で交差する。
【0019】
建築廃棄物をスイーパー本体3の両側から中心線CLに掃き寄せるように、図示しないモータドライバは、平面視において、一対のディスクブラシ17を互いに逆方向に回転させる。左側のディスクブラシ17は時計回りに回転し、右側のディスクブラシ17は反時計回りに回転する。
【0020】
スイーパー本体3の内部であって、一対のディスクブラシ17の後方には、一対のディスクブラシ17の後方部分が部分的に重なり、且つ一対のディスクブラシ17の前傾した毛先面に沿うように掃上板21が後方が前方よりも高い姿勢で傾設される(前傾)。一対のディスクブラシ17及び掃上板21の前傾姿勢は、一対のディスクブラシ17の回転により、建築廃棄物を中心線CLに掃き寄せると、建築廃棄物を掃上板21に沿って掃き上げる機能とを兼用することを実現している(
図4、
図5参照)。
【0021】
スイーパー本体3の内部であって、掃上板21の後方には、円柱形のローラーブラシ23がその回転軸が中心線CLに直交する向きで架設される。ローラーブラシ23は円筒又は円柱形の支材の周面に柔軟性を有する合成樹脂製のブラシ毛材が密集して横断面放射状に植毛されてなる。スイーパー1を床面に接地させたとき、ローラーブラシ23の下部において床面に接地するブラシ毛材は湾曲して床面に密接する。図示しないモータドライバは、ローラーブラシ23のモータを駆動する。ローラーブラシ23は床面に接するブラシ毛材が進行方向に抗う方向に回転する。それにより床面上の粉塵はローラーブラシ23のブラシ毛材により捕集され、掃き上げられる。一対のディスクブラシ17により掃き寄せられ、掃上板21に沿って掃き上げられた建築廃棄物は、ローラーブラシ23の上部においてブラシ毛材により後方に送り出される。
【0022】
スイーパー本体3の内部であって、ローラーブラシ23の後方にはガイド板25が、後方に向かって下がる後傾姿勢で設置される。ガイド板25の先端縁は、例えば櫛形状をなしている。ローラーブラシ23により捕集された粉塵はガイド板25の先端縁で掻き落とされる。
【0023】
ローラーブラシ23により後方に送り出された建築廃棄物は、ガイド板25に受け渡され、その上面を滑り、後方に誘導される。ローラーブラシ23により捕集され、ガイド板25の先端で掻き落とされた粉塵も、ガイド板25を滑り、後方に誘導される。ガイド板25で後方に誘導された建築廃棄物や粉塵は、ダストボックス5に受け入れられ、落下し、収容される。建築廃棄物は、掃上板21に沿って掃き上げられる(
図4、
図5参照)。一対のディスクブラシ17で建築廃棄物を掃上板21に沿って上方に掃き上げるので、ダストボックス5を高く構成することができ、その容量を増大させることができる。
【0024】
ダストボックス5は、建築廃棄物及び粉塵の受入口27として前板の上部が開口された直方体様の箱形状を有している。ダストボックス5の前後の長さはスイーパー本体3の約半分の長さを有している。ダストボックス5の左右の幅はスイーパー本体3の幅とほぼ同等である。ダストボックス5の高さはスイーパー本体3と同等又はそれより高く構成されている。スイーパー本体3にはダストボックス5を着脱自在に嵌め込むための窪み(嵌込部)60(
図7参照)が、移動機構13の上方に設けられている。スイーパー本体3の嵌込部60に嵌め込んだ状態でダストボックス5の上面及び後端上面は露出しており、露出したダストボックス5の上面には後述のハンドル33が取り付けられ、また後端上面には後述の台座43が取り付けられている。ダストボックス5はスイーパー本体3の嵌込部29に嵌め込まれ、固定具31により固定される。固定具31を解除したとき、スイーパー本体3からダストボックス5を取り外し、分離することが可能である。
【0025】
ディスクブラシ17及びローラーブラシ23をスイーパー本体3の前方部に集設し、それらの後方にダストボックス5及び移動機構13を配置したことにより、ダストボックス5をスイーパー本体3の約半分の長さのサイズに構成することが可能となり、それによりダストボックス5の容量を増大させることを可能としており、それとともにスイーパー本体3の底部と床面との間に建設廃棄物が侵入して走行不能になる事態を抑えることが可能になる。
【0026】
またダストボックス5を移動機構13の上方に設置することにより、耐荷重性能を向上させて、収容する建築廃棄物の増量を許容することができ、さらに建築廃棄物がダストボックス5にどのように落下しようともダストボックス5及び建築廃棄物の全体の重心が移動機構13の前後輪7,9の間に位置するので、スイーパー1の姿勢変動を抑えることができる。
【0027】
ダストボックス5にはその上部表面においてハンドル33が装着されている。ハンドル33は、折り畳み可能なように、ダストボックス5に固定されるハンドル部分35と、ハンドル部分35に蝶番39により連結されるハンドル部分37とに2分割されている。スイーパー1の前後範囲に収まるように、折り畳まれたハンドル33の全長はスイーパー1の全長よりも短く構成される。それによりハンドル33を折り畳むことにより、ハンドル33はスイーパー1の走行を妨害しない。ハンドル33を展開することにより、ハンドル33は伸長する。ハンドル33の伸長状態はフック構造の留め具41とフック受け42により係止される。作業員はハンドル33を把持して、スイーパー本体3から分離したダストボックス5をそれ単独で運搬することができ、またスイーパー本体3にダストボックス5を装着した状態で、スイーパー本体3をダストボックス5とともに、つまりスイーパー1の全体を運搬することもできる。
【0028】
ダストボックス5の後端部には台座43が設けられる。台座43は角錐台形の台座本体45を有する。台座本体45の一側面には車輪46が取り付けられる。台座本体45の底部にはゴム等の弾性材による4つの脚部47が取り付けられる。台座本体45はダストボックス5の後方部上面に蝶番49を介して回動自在に取り付けられる。台座本体45をダストボックス5の上部に跳ね上げて、退避させることができる。ダストボックス5の後方部上面にはフック構造の留め具51が取り付けられ、台座本体45の底部のフック受け部(図示しない)に引っ掛けることによりダストボックス5の後方部上面に台座43を留めることができる。それにより台座43はスイーパー1の走行を妨害しない。
【0029】
留め具51を外したとき、台座43をダストボックス5の後端面側に回動し、下ろすことができる。ダストボックス5の後端面にはダストボックス5の後端面側に下ろした台座43を留める留め具48が設けられている。作業者は、固定具31を解除してスイーパー本体3からダストボックス5を取り外すとともに、台座43をダストボックス5の後端側に回動し、留め具48で留める。そしてハンドル33を把持して、徐々に持ち上げて、台座43の車輪46を接地させる。この持ち上げる動作の中では脚部47より先に車輪46を接地するように脚部47と車輪46とが構成され、配置されている。
【0030】
車輪46を接地させてハンドル33を引っ張ることにより、車輪46の転動により建築廃棄物等を満載したダストボックス5をそれ単独で楽に運搬することができる。さらに直立するまで持ち上げることにより、車輪46が床面から離れ、脚部47が接地し、スイーパー本体3から取り外したダストボックス5をそれ単独で床面上に直立安置することができる。
【0031】
またスイーパー本体3にダストボックス5を装着したままで、ハンドル33を把持し持ち上げ、台座43の車輪46を接地させて、移動させることにより、車輪46の転動によりスイーパー1を楽に運搬することができる。さらに直立するまで持ち上げて、車輪46を床面から離し、脚部47を接地させることにより、スイーパー1全体を床面上に直立安置することができる。
【0032】
図8(a)、
図9(a)に示すように、基準姿勢においては、比較的凹凸の少ない床面を広範囲にわたり掃除するのに適している。部屋全体を掃除するときには、取付板61を固定することが好ましい。取付板61の固定を解除したときには、取付板61は可動範囲内で自由に回動することができ、床面の凹凸に追従することができる。
【0033】
図8(b)、
図9(b)に示すように、床面に溝縁部のような凸部が存在するときには、取付板61は基準姿勢から上方に回動する。この過程で、ディスクブラシ17は床面から凸部への境界の隅の建築廃棄物を掻き集めることができ、さらに凸部の高さに応じて上方に回動し、その頂部の建築廃棄物を掻き集めることができる。可動範囲の上方限界を22°、基準姿勢から上方に5°だけ回動可能としたことにより、ディスクブラシ17の毛先面が床面に水平又は水平に近い姿勢になることはなく、ディスクブラシ17の前方の毛先が床面から離れること無く、常に床面に接するので、建築廃棄物に対してはそれらを中心線CLに掻き寄せる機能を常に発揮することができ、ディスクブラシ17の毛先面と床面との間に建築廃棄物が挟まって運転停止する事態を避けることができる。
【0034】
図8(c)、
図9(c)に示すように、溝部のような凹部が存在するときには、取付板61は基準姿勢から下方に回動する。可動範囲の下方限界を39°、基準姿勢から下方に12°だけ回動可能としたことにより、より深い溝の底部までディスクブラシ17の毛先を到達させて、溝内の建築廃棄物を掻き寄せることができ、しかもディスクブラシ17の毛先面が床面に垂直又は垂直に近い姿勢になることはないので、溝内の建築廃棄物に対してはそれらを中心線CLに掻き寄せる機能を常に発揮することができる。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、ダストボックスを大容量すること、スイーパー本体から分離してダストボックスだけを搬送すること及びその搬送負担を低減すること、スイーパー全体として搬送するその負担を低減すること、走行不能事態の発生可能性を抑えること、ダストボックス単体で容易に且つ専有面積を極小化して安置すること、スイーパー全体で容易に且つ専有面積を極小化して安置すること等の建築現場に好適な機能を装備したスイーパーをその構造を複雑化することなく無く実現することができる。さらにディスクブラシを傾動自在に設けたことにより、床目の凹凸に追従して、床面と凸部戸の境界や溝底部の建築廃棄物を掃き寄せ、収集することができる。しかもディスクブラシの可動範囲を最適化したことにより、より深い溝底部まで建築廃棄物を掃き寄せ、収集することができるとともに、ディスクブラシは前傾に復帰できない事態やディスクブラシと床面との間に建築廃棄物が挟まって掃き寄せ不能な事態や走行不能事態に陥ることを抑えることができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0037】
1…スイーパー、3…スイーパー本体、5…ダストボックス、7,9…駆動車輪、11…履帯、13…移動機構、15…シャーシ、19…モータ、17…ディスクブラシ、21…掃上板、23…ローラーブラシ、25…ガイド板、31…固定具、33…ハンドル、35,37…ハンドル部分、39…蝶番、41…留め具、42…フック受け、43…台座、45…台座本体、46…車輪、47…脚部、48…留め具、49…蝶番、51…留め具、61…取付板、63,65…留め具、69…蝶番、71…張出部、73…制限構造、74…上方当接板、76…下方当接板。