(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143133
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】合成光生成装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20220926BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20220926BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20220926BHJP
H01S 5/0225 20210101ALI20220926BHJP
H01S 5/02325 20210101ALI20220926BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20220926BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
G02B6/125 301
H01S5/0225
H01S5/02325
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043484
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】300081763
【氏名又は名称】セーレンKST株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100217869
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 邦久
(72)【発明者】
【氏名】姫野 明
(72)【発明者】
【氏名】堀井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
(72)【発明者】
【氏名】岩端 一樹
(72)【発明者】
【氏名】矢部 勇多
(72)【発明者】
【氏名】勝山 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥治
(72)【発明者】
【氏名】中尾 慧
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5F142
5F173
【Fターム(参考)】
2H137AB11
2H137AB12
2H137AC06
2H137BA44
2H137BA45
2H137BA48
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB14
2H137BB17
2H137BB25
2H137BB33
2H137BC02
2H137CA34
2H137CA72
2H137EA11
2H147AA04
2H147AB04
2H147AB06
2H147AB17
2H147AC02
2H147BE01
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2H147BE15
2H147CA08
2H147CA28
2H147CA30
2H147CB03
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2H147EA13C
2H147FA03
2H147FC01
5F142AA82
5F142AA84
5F142CB14
5F142CB22
5F142DB18
5F142DB22
5F142FA30
5F142GA21
5F173MA10
5F173MB03
5F173MC01
5F173MC02
5F173MC21
5F173ME32
5F173ME44
5F173ME47
5F173MF03
5F173MF04
5F173MF26
5F173MF40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型化を可能とすると共に製造コストを低減する、レーザダイオードの出力が安定した合成光生成装置を提供する。
【解決手段】光検出器5を光導波路3のオーバークラッド層の上に配設し、光導波路3からの漏洩光を検出してフィードバック制御することにより、光源2の出力を安定させることができる合成光生成装置100であって、光合波器4の光の伝搬方向に部品点数は増加しないことから小型化が可能であり、また、光導波路3のオーバークラッド層の上から発生する漏洩光を検出することから検出器5の位置調整も容易であるため、製造コストを低減することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と前記光源から出射される光を入射する光導波路から構成される光源回路、および複数の前記光源回路から出射される光を合波する光合波器を備える合成光生成装置であって、前記光導波路からの漏洩光を検出する光検出器を前記光導波路のオーバークラッド層上に配設することを特徴とする合成光生成装置。
【請求項2】
前記光検出器の下面に設けられた電極と接続するため、前記光導波路上に電極が設けられている、請求項1に記載された合成光生成装置。
【請求項3】
前記検出器が複数の受光領域を含む、請求項1または2に記載された合成光生成装置。
【請求項4】
前記複数の光源回路における光源が少なくとも赤色、緑色および青色の3色のレーザダイオードである、請求項1~3のいずれかに記載された合成光生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と前記光源から出射される光を入射する光導波路から構成される光源回路、および複数の前記光源回路から出射される光を合波する光合波器を備える合成光生成装置であって、前記光導波路からの漏洩光を検出する光検出器が前記光導波路のオーバークラッド層上に配設される合成光生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、眼鏡型端末や携帯型プロジェクタ等の画像投影装置の光源として用いられる合成光生成装置において、複数のレーザダイオードを光源として用いた光合波器が知られている(特許文献1を参照)。前記光合波器は、シリコン基板上に公知の化学気相成長法(CVD)やスパッタリング法等を用いて低屈折率および高屈折率のシリコン酸化膜を積層形成した後、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、さらに低屈折率シリコン酸化膜を積層形成しオーバークラッド層にするという工程を経て製造される。
【0003】
ここで、上記光源であるレーザダイオードは、温度、湿度、静電気、電源ノイズ等の使用時の環境により変化又は劣化することが知られており、前記劣化の問題に対し、レーザダイオードの出射光側と反対の背面側に光検出器を設けて、前記背面側に出射する光を検出し、フィードバック制御することにより、レーザダイオードの出力を安定させる光通信モジュールが知られている(特許文献2を参照)。
【0004】
しかし、前記光通信モジュールのようにレーザダイオードの背面側に光検出器を設ける場合、光合波器の光の伝搬方向に部品点数が増加し、合成光生成装置を小型化することに限界が生じるという問題がある。また、背面側出射光の径が小さいことから、前記光検出器の受光領域との位置調整に手間がかかり、製造コストが増大するという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-195603号公報
【特許文献2】特開平10-253857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型化を可能とすると共に製造コストを低減する、レーザダイオードの出力が安定した合成光生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
光源と前記光源から出射される光を入射する光導波路から構成される光源回路、および複数の前記光源回路から出射される光を合波する光合波器を備える合成光生成装置であって、前記光導波路からの漏洩光を検出する光検出器を前記光導波路のオーバークラッド層上に配設することを特徴とする合成光生成装置を提供する。
【0008】
前記光検出器の下面に設けられた電極と接続するため、前記光導波路上に電極が設けられていることが好ましい。
【0009】
前記検出器が複数の受光領域を含むことが好ましい。
【0010】
前記複数の光源回路における光源が少なくとも赤色、緑色および青色の3色のレーザダイオードであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光検出器を光導波路のオーバークラッド層上に配設し、前記光導波路のオーバークラッド層から上方に漏洩する漏洩光を検出してフィードバック制御することにより、光源の出力を安定させることができる合成光生成装置であって、光合波器の光の伝搬方向に部品点数は増加しないことから小型化が可能であり、また、光導波路から漏洩する漏洩光を検出することから検出器の位置調整も容易であるため、製造コストを低減する合成光生成装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施例1の合成光生成装置における光源回路の拡大斜視図である。
【
図3】
図2の光源回路を右手前側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【実施例0014】
図1は、実施例1の合成光生成装置100の斜視図であり、前記合成光生成装置100は、光源2と前記光源から出射される光を入射する光導波路3から構成される光源回路101、および3つの光源回路101から出射される光を合波する光合波器4を備えており、さらに、前記光導波路3からの漏洩光を検出するために、3つの光検出器5を、それぞれ前記光導波路3のオーバークラッド層上に配設している。ここで、前記光源2は基板1の上には存在していないが、前記基板1を前記光源2の方向に拡大延長すると共に台座を形成し、当該台座の上に前記光源2を配設してもよい。
【0015】
また、前記光検出器5に対応する光導波路3の上の面には、それぞれ2個一組となった光導波路上面電極7が設けられており、前記光導波路のオーバークラッド層上の上面電極7はLSI等の半導体加工技術により形成される金属パターンや導電性インクを用いた印刷等の公知の方法で設けることができる。前記光導波路の上面電極7の形態は任意の形態を用いることができるが、それぞれ2個一組の前記上面電極7の少なくとも1個は、製造コスト低減の点から、他の前記上面電極7の1個と一体化していることが好ましい。
【0016】
前記光源2には、レーザダイオードや端面発光型LED等を用いることができるが、レーザダイオードを用いることが好ましい。また、前記光源2の色は、少なくとも赤色、緑色および青色を用いるが、さらに黄色、紫色等の他の色を追加して用いてもよい。
【0017】
前記光導波路3および前記光合波器4は、シリコン等を用いた基板1の上に、公知の化学気相成長法およびエッチング加工等を用い、アンダークラッド層9a(図示せず、後述する
図3を参照)、光導波路3、オーバークラッド層9b(図示せず、後述する
図3を参照)を積層することにより製造される。ここで、前記光導波路3および前記光合波器4は、別々の工程で製造してもよいが、製造コスト低減の面から1つの工程で同時に製造することが好ましい。
【0018】
光源回路101は、光源2と前記光源2から出射される光を入射する光導波路3から構成され、前記光合波器4は、3つの光源回路101から出射される光を入射し、波長依存性を適切に設計した方向性結合器やマッハツェンダー干渉計、若しくはそれらの組み合わせ等を利用して合波した後、1つの合波光として出射する。ここで、前記光合波器4の合波の形態は任意の形態を用いることができる。
【0019】
前記光導波路3において、光は反射を繰り返しながら進行するが、反射されずにアンダークラッド層9aやオーバークラッド層9bに透過する漏洩光が一定の割合で漏洩する。
【0020】
前記光検出器5には、下面に受光領域6を有するフォトダイオード等が用いられ、前記受光領域6が前記導波路3のオーバークラッド層9bから上方に漏洩する漏洩光を検出し、公知のフィードバック回路(図示しない)を用いて、光源2をフィードバック制御することにより、光源2からの出力光を安定化させる。
【0021】
また、前記光検出器5の下面には、前記光導波路の上面電極7に対応する、それぞれ2個一組となった光検出器電極8が設けられており、前記光導波路上面電極7および前記光検出器電極8として、それぞれ2個ずつある電極は、前記光検出器5を配設しただけで、少なくとも1個の電極が通電する位置に設けられるが、2個一組の電極が通電する位置に設けられることが好ましい。少なくとも1個の電極のみが通電する場合、それぞれ他方の1個の電極の通電する位置は特に制限されない。
【0022】
図2は、実施例1の合成光生成装置100における光源回路101の拡大斜視図である。光導波路上面電極7および光検出器電極8の図示は省略した。ここで、光源2および光導波路3は直接接続され、前記光源2から出射された光の80%以上を前記光導波路3に入射することが好ましいが、より多くの光を入射することを目的として光源2および光導波路3の間にレンズを用いてもよい。前記光導波路3のオーバークラッド層9b(図示せず、後述する
図3を参照)の上には、下面に受光領域6を有する光検出器5が配設されている。
【0023】
前記光導波路3からは、周囲の全方向に対して漏洩光が一定の割合で漏洩しており、前記光検出器5は、常に前記光導波路3のオーバークラッド層9bから上方に漏洩する漏洩光をモニタしている。そして、前記光源2が使用時の環境等により劣化して、出力光が低下した場合、前記漏洩光も同様の割合で低下することから、公知のフィードバック回路(図示しない)を用いて、前記光源2の出力光が安定するようにフィードバック制御を行う。
【0024】
図3は、
図2の光源回路101を右手前側から見た側面図であり、シリコン基板1の上にアンダークラッド層9a、光導波路3、オーバークラッド層9bが積層され、さらにその上に、2つの光導波路上面電極7が設けられ、前記光導波路上面電極7は、銀ペーストや共晶はんだ等の接合材10を介して、それぞれ2つの光検出器電極8に接続している。ここで、光導波路上面電極7および光検出器電極8は、漏洩光の検出を阻害しない位置に設けられている必要がある。また、漏洩光を効率よく光検出器5に導くため、検出器5の下面の受光領域6とオーバークラッド層9bの間の空間を封止剤や接着剤として用いられる透明樹脂で充填する構成をとることもできる。屈折率がオーバークラッド層9bより大きい封止剤や接着剤を用いれば、光をさらに効率よく光検出器5に導くために望ましい。
【0025】
図4は、実施例2の合成光生成装置100の斜視図であり、実施例1が3つの光検出器5を用いているのに対し、3つの受光領域6を有する一体化した光検出器5を用いる点が異なっている。前記光検出器5を一体化することにより、本発明の合成光生成装置の製造コストをより低減することができる。
【0026】
本発明の合成光生成装置100は、光導波路3のオーバークラッド層9bから上方に漏洩する漏洩光を検出して光源2をフィードバック制御することにより、光源2からの出力光を安定化させることができる。合成光生成装置100の小型化について、光の伝搬方向の長さを短縮することが最も大きな課題であり、合成光生成装置100の厚みは小さいことから、部品として光検出器5を追加しても装置の小型化への影響は少ない。また、また、光導波路3から発生する漏洩光を検出することから、光検出器5の位置調整も容易であるため、製造コストは得に増大しない。
本発明の合成光生成装置は、眼鏡型端末や携帯型プロジェクタ等の画像投影装置の光源として用いることができ、小型化を可能とすると共に製造コストを低減する、レーザダイオードの出力が安定した合成光生成装置である。