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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143136
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】建築現場用スイーパー
(51)【国際特許分類】
   E01H 1/04 20060101AFI20220926BHJP
   E01H 1/05 20060101ALI20220926BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20220926BHJP
   A47L 11/24 20060101ALI20220926BHJP
   A47L 11/283 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E01H1/04
E01H1/05
B08B1/04
A47L11/24
A47L11/283
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043488
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】517261338
【氏名又は名称】株式会社スマートロボティクス
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 悠介
(72)【発明者】
【氏名】石川 直生
(72)【発明者】
【氏名】上原 正志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 大徹
【テーマコード(参考)】
2D026
3B116
【Fターム(参考)】
2D026AA02
2D026AB01
3B116AA31
3B116AB51
3B116BA02
3B116BA13
3B116BA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建築現場での使用に適したスイーパーを提供する。
【解決手段】スイーパー1は、走行用の前後車輪7,9を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体3と、掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックス5とを具備し、スイーパー本体3の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシ17が本体の中心線を挟んでブラシ毛材が互いに部分的に重なるように配される。スイーパー本体3には前方右側の障害物を検知するための超音波式の複数の第1の距離センサと、前方左側の障害物を検知するための超音波式の複数の第2の距離センサが装備される。第1の距離センサの感度中心線は平面視において他の第1の距離センサの感度中心線に対して交差する。第2の距離センサの感度中心線はは平面視において他の第2の距離センサの感度中心線に対して交差する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の前後車輪を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体と、
前記掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備し、
前記スイーパー本体の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシが前記スイーパー本体の中心線を挟んで前記ブラシ毛材が互いに部分的に重なるように配され、
前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシがその後方部分において部分的に重なり、且つ前記ディスクブラシの毛先に沿うように掃上板が傾設され、
前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシにより前記掃上板の上面に沿って掃き上げられた前記建築廃棄物を後方に送り出すとともに、前記床面上の粉塵を捕集するために円柱形のローラーブラシが架設され、
前記ダストボックスは、前板上部に受入口が開口された箱形状を有しており、前記ローラーブラシで送り出された前記建築廃棄物及び前記捕集された粉塵を前記受入口から受け入れ、後方の前記ダストボックス内に落下させるように、前記ローラーブラシの後方に前記スイーパー本体に装着され、
前記スイーパー本体には前方右側の障害物を検知するための超音波式の複数の第1の距離センサ(S5,S6,S7,S8)が装備され、
前記スイーパー本体には前方左側の障害物を検知するための超音波式の複数の第2の距離センサ(S13,S14,S15,S16)が装備され、
前記スイーパー本体にはまっすぐ前方の障害物を検知するための超音波式の2つの第3の距離センサ(S17,S18)が装備され、
前記第1の距離センサのうち特定の第1の距離センサ(S6)は平面視及び正面視において感度中心線が他の少なくとも2つの第1の距離センサ(S7,S8)の感度中心線に対して交差するように配置され、
前記第2の距離センサのうち特定の第2の距離センサ(S14)は平面視及び正面視において感度中心線が他の少なくとも2つの第2の距離センサ(S15,S16)の感度中心線に対して交差するように配置される、スイーパー。
【請求項2】
前記他の少なくとも2つの第1の距離センサ(S7,S8)の感度中心線は平面視及び正面視において互いに交差せず、前記他の少なくとも2つの第2の距離センサ(S15,S16)の感度中心線は平面視及び正面視において互いに交差しない、請求項1記載のスイーパー。
【請求項3】
前記他の少なくとも2つの第1の距離センサ(S7,S8)の感度中心線は、平面視において互いに平行であり、前記他の少なくとも2つの第2の距離センサ(S15,S16)の感度中心線は、平面視において互いに平行である、請求項2記載のスイーパー。
【請求項4】
前記特定の第1の距離センサ(S6)の感度中心線は平面視及び正面視において前記他の少なくとも2つの第2の距離センサ(S15,S16)の感度中心線に対して交差し、
前記特定の第2の距離センサ(S14)の感度中心線は平面視及び正面視において前記他の少なくとも2つの第1の距離センサ(S7,S8)の感度中心線に対して交差する、請求項2記載のスイーパー。
【請求項5】
前記第1、第2の距離センサは、側面視において感度中心線が前傾するように配置される、請求項4記載のスイーパー。
【請求項6】
前記第3の距離センサ(S17,S18)の一方の第3の距離センサ(S18)は平面視において感度中心線が前記スイーパー本体の中心線に対して平行であって、側面視において感度中心線が前記スイーパー本体の中心線に対して平行になるように配置され、
前記第3の距離センサ(S17,S18)の他方の第3の距離センサ(S17)は平面視において感度中心線が前記スイーパー本体の中心線に対して平行であって、側面視において感度中心線が前傾するように配置される、請求項5記載のスイーパー。
【請求項7】
前記第1の距離センサの感度中心線が側面視において前記スイーパー本体の走行面に達する位置が互いに相違する、請求項6記載のスイーパー。
【請求項8】
前記スイーパー本体には右側方の障害物の有無を検知するための超音波式の複数の第4の距離センサ(S1,S2,S3,S4)が装備され、
前記スイーパー本体には左側方の障害物の有無を検知するための超音波式の複数の第5の距離センサ(S9,S10,S11,S12)が装備される、請求項1記載のスイーパー。
【請求項9】
走行用の前後車輪を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体と、
前記掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備し、
前記スイーパー本体の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシが前記スイーパー本体の中心線を挟んで前記ブラシ毛材が互いに部分的に重なるように配され、
前記スイーパー本体には前方右側の障害物を検知するための超音波式の複数の第1の距離センサ(S5,S6,S7,S8)が装備され、
前記スイーパー本体には前方左側の障害物を検知するための超音波式の複数の第2の距離センサ(S13,S14,S15,S16)が装備され、
前記第1の距離センサのうち特定の第1の距離センサ(S6)は平面視において感度中心線が他の少なくとも2つの第1の距離センサ(S7,S8)の感度中心線に対して交差するように配置され、
前記第2の距離センサのうち特定の第2の距離センサ(S14)は平面視において感度中心線が他の少なくとも2つの第2の距離センサ(S15,S16)の感度中心線に対して交差するように配置される、スイーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、建築現場用スイーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な自律走行型のスイーパーが存在する。多くのスイーパーは、主に床面上の粉塵等比較的細かく軽いゴミを吸引し、収容する。一方、建築現場で発生するゴミ(建築廃棄物)としては、粉塵はもちろんではあるが、それとともにコンクリート塊、木材等の端材、金属片、金属くず、ガラス片、ガラスくずなど、比較的大きく比較的重いものがある。
【0003】
そのためこれら建築廃棄物を吸引により集積し、収容することは困難であった。
【0004】
また、建設廃棄物はその物量が多く、従来のスイーパーのダストボックスの容積ではすぐに満杯になってしまう。仮に大容量のダストボックスを備えていたとしても、建築廃棄物を満載したダストボックスは非常に重くなり、建築廃棄物をダストボックスからゴミ集積所へ移し替える作業は容易ではない。そして建設作業時にはスイーパーを作業場所から離れた場所に移送させる必要があるが、重く大きなスイーパーを人力で移送することも容易ではない。
【0005】
さらに、前方に壁等の障害物が存在するときに方向転換するためにスイーパーの前方部分には距離センサが装備されている。距離センサとしては、粉塵の多い建築現場では多くの場合、超音波式センサが採用されている。超音波式センサは周知の通り振動子面積等に応じたそれ固有の指向特性を有している。例えば音圧が最も高い感度中心線を中心に10°程度の音圧半減角の範囲が実用域である。従って死角を解消するには膨大な数の距離センサを上下左右に分散して配置させる必要があるが、コスト面だけでなく、センサの設置領域の制限があり、現実的ではない。特に柱体の角、パイプなどが死角に入ってしまいスイーパーが走行不能な事態に陥ってしまうこともあった。
【0006】
また床面に桟木材を適宜配置してスイーパーが走行する区域や走行禁止エリアを設定することも試みられている。しかし桟木材を建築廃棄物、ポール、柱体の角部等と区別することは難しく、建築廃棄物が残留してしなう事態や、走行区域が過剰に狭くなり、また走行禁止エリアに侵入してしまう事態も生じえる。また、桟木材を壁面等と区別することも難しく、そのため建築廃棄物が集まりがちな隅を良好に掃除できないこともあった。
【0007】
このように建築現場ではそれに対応したスイーパーが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
建築現場での使用に適したスイーパーが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係るスイーパーは、走行用の前後車輪を有し、床面を自走しながら建築廃棄物を掻き集めるスイーパー本体と、前記掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックスとを具備する。前記スイーパー本体の進行方向前方部にはブラシ毛材が円錐台形を成す一対のディスクブラシが前記スイーパー本体の中心線を挟んで前記ブラシ毛材が互いに部分的に重なるように配される。前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシがその後方部分において部分的に重なり、且つ前記ディスクブラシの毛先に沿うように掃上板が傾設される。前記スイーパー本体内には、前記ディスクブラシにより前記掃上板の上面に沿って掃き上げられた前記建築廃棄物を後方に送り出すとともに、前記床面上の粉塵を捕集するために円柱形のローラーブラシが架設される。前記ダストボックスは、前板上部に受入口が開口された箱形状を有しており、前記ローラーブラシで送り出された前記建築廃棄物及び前記捕集された粉塵を前記受入口から受け入れ、後方の前記ダストボックス内に落下させるように、前記ローラーブラシの後方に前記スイーパー本体に装着される。前記スイーパー本体には前方右側の障害物を検知するための超音波式の複数の第1の距離センサが装備される。前記スイーパー本体には前方左側の障害物を検知するための超音波式の複数の第2の距離センサが装備される。前記スイーパー本体にはまっすぐ前方の障害物を検知するための超音波式の2つの第3の距離センサが装備される。前記第1の距離センサのうち特定の第1の距離センサ(S6)は平面視及び正面視において感度中心線が他の少なくとも2つの第1の距離センサ(S7,S8)の感度中心線に対して交差するように配置される。前記第2の距離センサのうち特定の第2の距離センサ(S14)は平面視及び正面視において感度中心線が他の少なくとも2つの第2の距離センサ(S15,S16)の感度中心線に対して交差するように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本実施形態に係るスイーパーの斜視図である。
図2図2図1のスイーパーの側面図である。
図3図3図1のスイーパー本体からダストボックスを取り外した状態を示す斜視図である。
図4図4図1のスイーパーの縦断面図である。
図5図5図1のスイーパーの縦断面略図である。
図6図6図1のスイーパーを前下方から見た斜視図である。
図7図7図1のスイーパー本体の平面図である。
図8図8図1のスイーパーの正面図である。
図9図9図1のスイーパー本体の左側面図及び右側面図である。
図10図10は本実施形態の距離センサの検知基準距離の違いを示す側面図である。
図11図11は本実施形態の距離センサの配置により死角大幅に減少する状態を示す平面図である。
図12図12は本実施形態に係るスイーパーの走行区域を示す図である。
図13図13は本実施形態の距離センサによる浅木材と壁面との区別を示す側面図である。
図14図14は本実施形態に係るスイーパーによる壁面と浅木材との角部の認識例とそのときの走行軌道を示す図である。
図15図15は本実施形態に係るスイーパーによる壁面と壁面との角部の認識例とそのときの走行軌道を示す図である。
図16図16は本実施形態に係るスイーパーによる段差の認識例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る建築現場用のスイーパーを説明する。
図1図2には本実施形態に係るスイーパー1の外観を示している。図3にはスイーパー本体3からダストボックス5を取り外した状態を示している。図4はスイーパー1の縦断面図を示し、図5にはスイーパー1の縦断面略図を示している。スイーパー1は、建築現場の床面上を自走しながら、床面に散在されるコンクリート塊、木材等の端材、金属片、金属くず、ガラス片、ガラスくずなどの比較的大きく比較的重いゴミ(建築廃棄物)を掻き集めるスイーパー本体3を有する。スイーパー本体3には、スイーパー本体3により掻き集められた建築廃棄物を収容するダストボックス5が着脱自在(detachable)に嵌め込まれる。
【0012】
スイーパー本体3は、シャーシ15を有する。シャーシ15の左右には、建築現場の不整地走行に適するように、自走用の前後の駆動車輪7,9に履帯(クローラー)11を掛け渡した移動機構13が装備される。移動機構13により、図2において紙面左側に向かう方向を進行方向としてスイーパー本体3が走行する。
【0013】
スイーパー本体3の進行方向の前方部には一対のモータ19が、その回転軸(駆動軸)の中心線DSが側面視において床面に垂直な鉛直線に対して前傾する姿勢で配置される。一対のモータ19の回転軸には、柔軟性を有する合成樹脂製のブラシ毛材が円錐台形状に基材18に植毛された一対のディスクブラシ17がそれぞれ接続されている。一対のディスクブラシ17はそれら円錐台の中心線RRがモータ19の回転中心線DSに一致するようにモータ19の回転軸に直結される。なお、説明の便宜上、回転中心線RRとそれに揃うモータ19の回転中心線DSとを回転中心線RAと総称するものとする。スイーパー1を床面に接地させたとき、ディスクブラシ17の前方のブラシ毛材は湾曲して床面に密接する。
【0014】
一対のモータ19は単一の取付板61に共通して取り付けられている。一対のモータ19の回転中心線DSは取付板61の板面に直交する。一対のモータ19の間隔は、一対のディスクブラシ17の相対位置が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLを挟んで互いのブラシ毛材が部分的に重なるように設定されている。
【0015】
取付板61はその後端おいてスイーパー本体3の前方の張出部71に蝶番69を介して回動自在に取り付けられる。それにより一対のディスクブラシ17及び一対のモータ19、さらに取付板61の自重により、一対のディスクブラシ17が蝶番69を支点として取付板61が回動して前傾姿勢のままで、それらの毛先が床面に押し付けられる。取付板61、モータ19及びディスクブラシ17の回動の支点、つまり蝶番69のピンの位置を、回転中心線RA上ではなく、それより後方にずらしたことにより、支点からディスクブラシ17の毛先前端までの回動半径Rを長くすることができる。
【0016】
取付板61をスイーパー本体3に対して留める留め具63,65が取付板61とスイーパー本体3とにそれぞれに設けられている。留め具63は取付板61に装着された可動フック構造を有し、留め具63を手動により後傾させて、スイーパー本体3の張出部71から前方に突設されたフック受け構造を有する留め具65に引っ掛けることにより、取付板61の回動が禁止され、基準姿勢で固定される。留め具63を手動により前傾させて、留め具65から外すことにより、回動禁止状態が解除されて、取付板61の回動(傾動)が許可される。
【0017】
なお、本スイーパー1は図示しない制御部の制御により、比較的凹凸の少ない床面を広範囲にわたり掃除するのに適した部屋掃除モードと、線条凹部、つまり溝の内側をその線条方向に沿って掃除するのに適した溝掃除モードとで選択的に動作することが可能となっている。部屋掃除モードでは、取付板61を固定し、一方、溝掃除モードでは、取付板61の固定を解除して取付板61を回動自在に設けることが好ましい。
【0018】
取付板61にはその回動を基準姿勢を含む所定の可動範囲で制限するための制限構造73が設けられている。制限構造73として任意の構造が採用されるが、例えば取付板61の後縁に連結される上方当接板と下方当接板とからなる。取付板61とともに上方当接板と下方当接板が回動し、スイーパー本体3の張出部71の前縁に当接することにより、その回動が係止される。取付板61に対する上方当接板と下方当接板それぞれの交差角が予め設定されており、下方当接板76の交差角により可動範囲の下限(下方限界)が既定され、上方当接板74の交差角により可動範囲の上限(上方限界)が既定される。
【0019】
建築廃棄物をスイーパー本体3の両側から中心線CLに掃き寄せるように、図示しないモータドライバは、平面視において、一対のディスクブラシ17を互いに逆方向に回転させる。左側のディスクブラシ17は時計回りに回転し、右側のディスクブラシ17は反時計回りに回転する。
【0020】
スイーパー本体3の内部であって、一対のディスクブラシ17の後方には、一対のディスクブラシ17の後方部分が部分的に重なり、且つ一対のディスクブラシ17の前傾した毛先面に沿うように掃上板21が後方が前方よりも高い姿勢で傾設される(前傾)。一対のディスクブラシ17及び掃上板21の前傾姿勢は、一対のディスクブラシ17の回転により、建築廃棄物を中心線CLに掃き寄せると、建築廃棄物を掃上板21に沿って掃き上げる機能とを兼用することを実現している(図4図5参照)。
【0021】
スイーパー本体3の内部であって、掃上板21の後方には、円柱形のローラーブラシ23がその回転軸が中心線CLに直交する向きで架設される。ローラーブラシ23は円筒又は円柱形の支材の周面に柔軟性を有する合成樹脂製のブラシ毛材が密集して横断面放射状に植毛されてなる。スイーパー1を床面に接地させたとき、ローラーブラシ23の下部において床面に接地するブラシ毛材は湾曲して床面に密接する。図示しないモータドライバは、ローラーブラシ23のモータを駆動する。ローラーブラシ23は床面に接するブラシ毛材が進行方向に抗う方向に回転する。それにより床面上の粉塵はローラーブラシ23のブラシ毛材により捕集され、掃き上げられる。一対のディスクブラシ17により掃き寄せられ、掃上板21に沿って掃き上げられた建築廃棄物は、ローラーブラシ23の上部においてブラシ毛材により後方に送り出される。
【0022】
スイーパー本体3の内部であって、ローラーブラシ23の後方にはガイド板25が、後方に向かって下がる後傾姿勢で設置される。ガイド板25の先端縁は、例えば櫛形状をなしている。ローラーブラシ23により捕集された粉塵はガイド板25の先端縁で掻き落とされる。
【0023】
ローラーブラシ23により後方に送り出された建築廃棄物は、ガイド板25に受け渡され、その上面を滑り、後方に誘導される。ローラーブラシ23により捕集され、ガイド板25の先端で掻き落とされた粉塵も、ガイド板25を滑り、後方に誘導される。ガイド板25で後方に誘導された建築廃棄物や粉塵は、ダストボックス5に受け入れられ、落下し、収容される。建築廃棄物は、掃上板21に沿って掃き上げられる(図4参照)。一対のディスクブラシ17で建築廃棄物を掃上板21に沿って上方に掃き上げるので、ダストボックス5を高く構成することができ、その容量を増大させることができる。
【0024】
ダストボックス5は、建築廃棄物及び粉塵の受入口27として前板の上部が開口された直方体様の箱形状を有している。ダストボックス5の前後の長さはスイーパー本体3の約半分の長さを有している。ダストボックス5の左右の幅はスイーパー本体3の幅とほぼ同等である。ダストボックス5の高さはスイーパー本体3と同等又はそれより高く構成されている。スイーパー本体3にはダストボックス5を着脱自在に嵌め込むための窪み(嵌込部)60(図3(b)参照)が、移動機構13の上方に設けられている。スイーパー本体3の嵌込部60に嵌め込んだ状態でダストボックス5の上面及び後端上面は露出しており、露出したダストボックス5の上面には後述のハンドル33が取り付けられ、また後端上面には後述の台座43が取り付けられている。ダストボックス5はスイーパー本体3の嵌込部29に嵌め込まれ、固定具31により固定される。固定具31を解除したとき、スイーパー本体3からダストボックス5を取り外し、分離することが可能である。
【0025】
ディスクブラシ17及びローラーブラシ23をスイーパー本体3の前方部に集設し、それらの後方にダストボックス5及び移動機構13を配置したことにより、ダストボックス5をスイーパー本体3の約半分の長さのサイズに構成することが可能となり、それによりダストボックス5の容量を増大させることを可能としており、それとともにスイーパー本体3の底部と床面との間に建設廃棄物が侵入して走行不能になる事態を抑えることが可能になる。
【0026】
またダストボックス5を移動機構13の上方に設置することにより、耐荷重性能を向上させて、収容する建築廃棄物の増量を許容することができ、さらに建築廃棄物がダストボックス5にどのように落下しようともダストボックス5及び建築廃棄物の全体の重心が移動機構13の前後車輪7,9の間に位置するので、スイーパー1の姿勢変動を抑えることができる。
【0027】
ダストボックス5にはその上部表面においてハンドル33が装着されている。ハンドル33は、折り畳み可能なように、ダストボックス5に固定されるハンドル部分35と、ハンドル部分35に蝶番39により連結されるハンドル部分37とに2分割されている。スイーパー1の前後範囲に収まるように、折り畳まれたハンドル33の全長はスイーパー1の全長よりも短く構成される。それによりハンドル33を折り畳むことにより、ハンドル33はスイーパー1の走行を妨害しない。ハンドル33を展開することにより、ハンドル33は伸長する。ハンドル33の伸長状態はフック構造の留め具41とフック受け42により係止される。作業員はハンドル33を把持して、スイーパー本体3から分離したダストボックス5をそれ単独で運搬することができ、またスイーパー本体3にダストボックス5を装着した状態で、スイーパー本体3をダストボックス5とともに、つまりスイーパー1の全体を運搬することもできる。
【0028】
ダストボックス5の後端部には台座43が設けられる。台座43は角錐台形の台座本体45を有する。台座本体45の一側面には車輪46が取り付けられる。台座本体45の底部にはゴム等の弾性材による4つの脚部47が取り付けられる。台座本体45はダストボックス5の後方部上面に蝶番49を介して回動自在に取り付けられる。台座本体45をダストボックス5の上部に跳ね上げて、退避させることができる。ダストボックス5の後方部上面にはフック構造の留め具51が取り付けられ、台座本体45の底部のフック受け部(図示しない)に引っ掛けることによりダストボックス5の後方部上面に台座43を留めることができる。それにより台座43はスイーパー1の走行を妨害しない。
【0029】
留め具51を外したとき、台座43をダストボックス5の後端面側に回動し、下ろすことができる。ダストボックス5の後端面にはダストボックス5の後端面側に下ろした台座43を留める留め具48が設けられている。作業者は、固定具31を解除してスイーパー本体3からダストボックス5を取り外すとともに、台座43をダストボックス5の後端側に回動し、留め具48で留める。そしてハンドル33を把持して、徐々に持ち上げて、台座43の車輪46を接地させる。この持ち上げる動作の中では脚部47より先に車輪46を接地するように脚部47と車輪46とが構成され、配置されている。
【0030】
車輪46を接地させてハンドル33を引っ張ることにより、車輪46の転動により建築廃棄物等を満載したダストボックス5をそれ単独で楽に運搬することができる。さらに直立するまで持ち上げることにより、車輪46が床面から離れ、脚部47が接地し、スイーパー本体3から取り外したダストボックス5をそれ単独で床面上に直立安置することができる。
【0031】
またスイーパー本体3にダストボックス5を装着したままで、ハンドル33を把持し持ち上げ、台座43の車輪46を接地させて、移動させることにより、車輪46の転動によりスイーパー1を楽に運搬することができる。さらに直立するまで持ち上げて、車輪46を床面から離し、脚部47を接地させることにより、スイーパー1全体を床面上に直立安置することができる。
【0032】
図6図7図8図9(a)、図9(b)に示すように、スイーパー本体3には、前方、右側、左側の障害物を検知するために超音波式の複数の距離センサS1-S18が装備されている。距離センサS1-S18は送波器と受波器とを別体で分離装備しているものとして図示しているが、単一の送受波器を装備するものであってもよい。以下説明では、距離センサS1-S18各々の「感度中心線」との用語を用いるが、感度中心線とは送波器と受波器とを別体で設ける場合には送波器の振動面の中心点を通り振動面に垂直な中心線と、受波器の中心線との中央線として定義され、送受波器の場合にはその振動面の中心線として定義される。
【0033】
距離センサS1-S8は、スイーパー本体3の右側の障害物を検知するために配置されている。距離センサS9-S16はスイーパー本体3の左側の障害物を検知するために配置されている。距離センサS17、S18はスイーパー本体3のまっすぐ前方の障害物を検知するために配置されている。以下詳細に説明する。
【0034】
図7に示すように距離センサS1は、その感度中心線(1)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに直交し、図8図9(a)に示すように正面視及び側面視においては水平基準線HLに対してやや下向きに傾斜するようにスイーパー本体3の後部に配置される。距離センサS2は、その感度中心線(2)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに直交し、正面視においては水平基準線HLに平行になるようにスイーパー本体3の前部に配置される。距離センサS3は、その感度中心線(3)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに対してやや前向きに傾斜し、正面視及び側面視においてほぼ下向きになるようにスイーパー本体3の中央部に配置される。距離センサS4は、その感度中心線(4)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに対してやや前向きに傾斜し、正面視及び側面視においてやや下向きに傾斜するようにスイーパー本体3の中央部に配置される。
【0035】
距離センサS8は、その感度中心線(8)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに直交し、図8図9(b)に示すように正面視及び側面視においては水平基準線HLに対してやや下向きに傾斜するようにスイーパー本体3の後部に配置される。距離センサS10は、その感度中心線(10)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに直交し、正面視においては水平基準線HLに平行になるようにスイーパー本体3の前部に配置される。距離センサS11は、その感度中心線(11)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに対してやや前向きに傾斜し、正面視及び側面視においてほぼ下向きになるようにスイーパー本体3の中央部に配置される。距離センサS11は、その感度中心線(11)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに対してやや前向きに傾斜し、正面視及び側面視においてやや下向きに傾斜するようにスイーパー本体3の中央部に配置される。
【0036】
距離センサS5-S8(第1の距離センサ)は前方右側の障害物を検知するために配備されている。距離センサS13-S16(第2の距離センサ)は前方左側の障害物を検知するために配備されている。
【0037】
距離センサS5-S8は感度中心線(5)-(8)が平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに対して左側に少し傾斜するように配置される。距離センサS5はその感度中心線(5)が中心線CLに対して40°の角度で右方に傾斜するようにスイーパー本体3の前端部の右側に設置される。距離センサS7、S8は感度中心線(7)、(8)が中心線CLに対して20°の角度で右方に傾斜し、互いに平行になるようにスイーパー本体3の前端部の中央付近に一定の間隔を隔てて設置される。
【0038】
距離センサS6(特定の距離センサ)はその感度中心線(6)が中心線CLに対して52.5°の角度で右方に傾斜し、且つ他の少なくとも2つの距離センサS7、S8の感度中心線(7)、(8)に対して交差し、好ましくは他の3つの距離センサS5、S7、S8の感度中心線(5)、(7)、(8)の感度中心線(5)、(7)、(8)及び前方左側の障害物を検知する距離センサS14-S16の感度中心線(14)-(16)に対して交差するように、スイーパー本体3の前端部の距離センサS5とは反対側の左側に設置される。
【0039】
前方左側用の距離センサS13-S16についても同様である。距離センサS13-S16の感度中心線(13)-(16)は、平面視においてスイーパー本体3の中心線CLに対して左側に少し傾斜する。距離センサS13はその感度中心線(13)が中心線CLに対して40°の角度で左方に傾斜するようにスイーパー本体3の前端部の左側に設置される。距離センサS15、S16は感度中心線(15)、(16)が中心線CLに対して20°の角度で左方に傾斜し、互いに平行になるようにスイーパー本体3の前端部の中央付近に一定の間隔を隔てて設置される。
【0040】
距離センサS14(特定の距離センサ)はその感度中心線(14)が中心線CLに対して52.5°の角度で左方に傾斜し、且つ他の少なくとも2つの距離センサS15、S16の感度中心線(15)、(16)に対して交差し、好ましくは他の3つの距離センサS13、S15、S16の感度中心線(13)、(15)、(16)及び前方右側の障害物を検知する距離センサS6-S8の感度中心線(6)-(8)に対して交差するように、スイーパー本体3の前端部の右側に設置される。
【0041】
さらに平面視において、距離センサS6,S8,S14,S16,S17,S18はそれらの感度中心線(6),(8)、(14),(16),(17),(18)が、スイーパー本体3の中心線CL上の一点で交差するように配置されている。
【0042】
図8に示すように、距離センサS5-S8の感度中心線(5)-(8)は、正面視において水平基準線HLに対して右側に少し傾斜する。距離センサS6(特定の距離センサ)は感度中心線(6)が他の少なくとも2つの距離センサS7、S8の感度中心線(7)、(8)に対して交差するように設置される。距離センサS13-S16の感度中心線(13)-(16)は、正面視において水平基準線HLに対して左側に少し傾斜する。距離センサS14(特定の距離センサ)は感度中心線(14)が他の少なくとも2つの距離センサS15、S16の感度中心線(15)、(16)に対して交差するように設置される。さらに平面視において、距離センサS6,S8,S14,S16,S17はそれらの感度中心線(6),(8)、(14),(16),(17)が一点で交差するように配置されている。
【0043】
図9(a)、図10(a)に示すように、側面視において、距離センサS5、S6はそれらの感度中心線(5)、(6)がスイーパー本体3の前端から距離(検知基準距離)AD2を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられる。距離センサS5、S6はスイーパー本体3の前端から距離AD2以内に接近した障害物を検知する。距離センサS7はその感度中心線(7)がスイーパー本体3の前端から、距離AD2より短い距離AD1を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられる。距離センサS7はスイーパー本体3の前端から距離AD1以内に接近した障害物を検知する。距離センサS8はその感度中心線(8)がスイーパー本体3の前端から、距離AD2より長い距離AD3を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられる。距離センサS8はスイーパー本体3の前端から距離AD3以内に接近した障害物を検知する。なお、距離センサS17はその感度中心線(17)がスイーパー本体3の前端から、距離AD3よりさらに長い距離AD4を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられ、距離AD4以内に接近した障害物を検知する。
【0044】
図9(b)、図10(b)に示すように、側面視において、距離センサS13、S14はそれらの感度中心線(13)、(14)がスイーパー本体3の前端から距離AD2を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられ、スイーパー本体3の前端から距離AD2以内に接近した障害物を検知する。距離センサS15はその感度中心線(15)がスイーパー本体3の前端から、距離AD2より短い距離AD1を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられ、距離AD1以内に接近した障害物を検知する。距離センサS16はその感度中心線(16)がスイーパー本体3の前端から、距離AD2より長い距離AD3を隔てて床面に到達する前傾角度で取り付けられ、距離AD3以内に接近した障害物を検知する。
【0045】
図11に示すように、前方距離センサS5-S8、S13-S16、S17、S18のうち距離センサS6(特定の距離センサ)の感度中心線(6)は少なくとも2つの距離センサS7、S8の感度中心線(7)、(8)に対して交差し、同様に距離センサS14(特定の距離センサ)の感度中心線(14)は少なくとも2つの距離センサS15、S16の感度中心線(15)、(16)に対して交差するので、前方について広範囲(広角)に建築廃棄物、さらにポール及び柱体等の障害物を検知することができ、且つそれらが感度中心線(5)、(7)、(8)の間や感度中心線(13)、(15)、(16)の間に入り込んだとしても、検知することができ、検知不能な死角を大幅に減少させることができる。
【0046】
また、より多くの距離センサS6、S8、S14、S16の感度中心線(6)、(8)、(14)、(16)を真正面の距離センサS17の感度中心線(17)上の交点C1で交差させることにより、その交点C1付近の死角をほぼ解消させることができ、それによりスイーパー1が正面から障害物に衝突する事態を効果的に回避することができる。
【0047】
さらにスイーパー1の真正面の交点C1の左右両側であって、当該交点C1よりも少し遠方の交点C2,C3において、距離センサS6、S7の感度中心線(6)、(7)を交差させ、距離センサS14、S15の感度中心線(14)、(15)を交差させたことにより、それら交点C1,C2,C3の死角がほぼ解消することから,スイーパー1がその場で旋回したときに障害物に接触する事態を効果的に回避することができる。
【0048】
また、上述したように本実施形態では、比較的凹凸の少ない床面を広範囲にわたり掃除するのに適した部屋掃除モードと、溝の内側をその線条方向に沿って掃除するのに適した溝掃除モードとで選択的に動作することが可能となっており、それら各モードでスイーパー1の走行区域を複数の浅木材を適宜配置させることで設定させることを可能としている(図12参照)。
【0049】
そのためには浅木材と壁とを識別するとともに、浅木材と壁それぞれまでの距離を認知する必要があるが、本実施形態では図13に示すように、前方距離センサS5-S8、S13-S16、S17、S18のうち距離センサS18をその感度中心線(18)が水平になるように配置し、他の距離センサS5-S8(S13-S16)をそれらの感度中心線(5)-(8)((13)-(16))の前傾角度が相違するように配置したことにより、浅木材と壁とを明瞭に識別するとともに、浅木材と壁それぞれまでの距離を認知することを簡易化している。
【0050】
典型的には距離センサの出力値をそれぞれの検知距離に応じた参照値とコンパレータで比較し、検知距離が検知基準距離未満になったときに、信号処理上の状態を変化させる回路構成を採用する。また浅木材に対しては距離AD3まで接近したときに方向転換し、壁面に対しては距離AD1まで接近したときに方向転換することが予め設定されていると仮定する。この場合、前方距離センサS5-S8、S13-S16、S17、S18のうち、距離センサS8、S16、S17が状態変化を示し、他の距離センサは状態変化を示さないときに、図示しない制御部はその障害物が浅木材であり、距離AD3まで接近したことを認識することができる。一方、前方距離センサS5-S8、S13-S16、S17、S18の全てが状態変化を示したときに、制御部はその障害物が壁であり、距離AD1まで接近したことを認識することができる。
【0051】
具体的な動作例を説明する。例えば図14(a)に示すように、スイーパー1は例えば距離センサS10により壁面に対して所定距離まで接近しながら壁面に沿って移動する。そして図14(b)に示すように、距離センサS10により壁面を検知し、さらに距離センサS17により前方であって所定距離の位置に障害物が存在することを検知した上で、距離センサS18では障害物を検知しないとき、それら検知結果の組み合わせにより、前方の障害物が浅木材であること、さらに壁面と浅木材との角部であることを認識することができる。図14(c)に示すように、前方の障害物が浅木材であり、壁面と浅木材との角部であるとの認識結果に従って浅木材に対して所定距離の間隔を維持しながら壁面から離れる方向に旋回し、進入禁止エリアへの進入を回避することができる。
【0052】
また、図15(a)に示すように、スイーパー1は例えば距離センサS10により壁面に対して所定距離まで接近しながら壁面に沿って移動する。そして距離センサS10により壁面を検知し、さらに図15(b)に示すように、距離センサS17と距離センサS18とにより共に前方であって所定距離の位置に障害物が存在することを検知するとき、それら検知結果の組み合わせにより、前方の障害物が壁面であり、それらの角部であることを認識することができる。壁面の角部であることを認識したときには、図15(c)に示すように、スイーパー1は所定距離だけ後退し、そして図15(d)に示すように、前方の壁面までディスクブラシが17の毛先が壁面に到達するまで最接近する。後退と最接近とを1回又は所定回数繰り返す。その後、図15(e)に示すように、スイーパー1は90°旋回し、壁面に沿って移動する。それにより壁面の角部を好適に掃除することができる。
【0053】
図16に示すように、床面には段差スラブと呼ばれるユニットバスを入れるための凹みや玄関の段差が存在することがあり、この段差の存在は感度中心が左右側部から前傾した例えば距離センサS3,S11の検知距離が各々から床面までの所定距離を超過することにより検知することができる。スイーパー1は段差も進入禁止エリアとして認識し、適宜停止及び旋回して落下を回避することができる。
【0054】
以上のように本実施形態によれば、ダストボックスを大容量すること、スイーパー本体から分離してダストボックスだけを搬送すること及びその搬送負担を低減すること、スイーパー全体として搬送するその負担を低減すること、走行不能事態の発生可能性を抑えること、ダストボックス単体で容易に且つ専有面積を極小化して安置すること、スイーパー全体で容易に且つ専有面積を極小化して安置すること等の建築現場に好適な機能を装備したスイーパーをその構造を複雑化することなく無く実現することができる。さらにディスクブラシを傾動自在に設けたことにより、床目の凹凸に追従して、床面と凸部戸の境界や溝底部の建築廃棄物を掃き寄せ、収集することができる。
【0055】
さらに本実施形態では、上記死角を減少させる等の様々な作用効果を、膨大な数の距離センサを稠密に配備させることなく実現することを可能としている。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…スイーパー、3…スイーパー本体、5…ダストボックス、7,9…駆動車輪、11…履帯、13…移動機構、15…シャーシ、19…モータ、17…ディスクブラシ、21…掃上板、23…ローラーブラシ、25…ガイド板、S1-S18…距離センサ。
図1
図2
図3
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