(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143137
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】容器用蓋材
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65D47/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043489
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田窪 陽子
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 薫
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA09
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器を傾けた際に容器の開口端部と蓋材の突出部との間で液体がせき止められることを抑制する。
【解決手段】蓋面部100は、容器1側とは反対側に突出した突出部110を有する。周壁部150は、蓋面部100の外縁から容器1側に立設され、開口端部20と係合する係合突起部151を有する。突出部110は、突出部110の先端に位置し、開口部112を有する天面部111、および、天面部111と周壁部150とを互いに接続し、突出部110の外周側に位置する外周側面部113を含む。周壁部150と外周側面部113との境界B1は、開口端部20の内周21より外周側に位置している。係合突起部151は、仮想平面Pvに直交する方向から見て、開口部112の外周側に位置しつつ、蓋面部100の仮想中心100cと開口部112の仮想中心112cとを結ぶ径方向に対して直交する幅方向における開口部112が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側に突出した開口端部を有する有底筒状の容器を覆う容器用蓋材であって、
前記開口端部上の仮想平面に沿って延在して前記開口端部の内側を塞ぎ、容器側とは反対側に突出した突出部を有する蓋面部と、
前記蓋面部の外縁から前記容器側に立設され、前記開口端部と係合する係合突起部を有する周壁部とを備え、
前記突出部は、前記突出部の先端に位置し、開口部を有する天面部、および、該天面部と前記周壁部とを互いに接続し、前記突出部の外周側に位置する外周側面部を含み、
前記周壁部と前記外周側面部との境界は、前記開口端部の内周より外周側に位置しており、
前記係合突起部は、前記仮想平面に直交する方向から見て、前記開口部の外周側に位置しつつ、前記蓋面部の仮想中心と前記開口部の仮想中心とを結ぶ径方向に対して直交する幅方向における前記開口部が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている、容器用蓋材。
【請求項2】
前記係合突起部は、前記仮想平面に直交する方向から見て、前記幅方向における前記突出部が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている、請求項1に記載の容器用蓋材。
【請求項3】
前記外周側面部は、前記開口端部の外周より外側の位置から前記仮想平面に直交する方向に沿って延在している、請求項1または請求項2に記載の容器用蓋材。
【請求項4】
前記蓋面部は、前記仮想平面より前記容器側に凹んだ底面部をさらに有し、
前記仮想平面に直交する方向における前記天面部と前記底面部との高低差は、15mm以上25mm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器用蓋材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
容器蓋部の構成を開示した先行文献として、特許第5941042号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された容器蓋部は、外縁に延出する円周リムを含んだ円盤状部材と、突出部材とを備える。円周リムは、環状内側壁と、環状外側壁と、環状頂壁とを備える。環状内側壁、環状外側壁および環状頂壁によって、飲料容器の縁を保持するための溝が形成されている。突出部材は、容器蓋部において上方に向かって延設される。突出部材は、頂部に設けられた開口と、開口を介して容器から液体を注ぎ出す飲み口を備える。飲み口は、環状外側壁とは別に設けられており、環状内側壁および環状外側壁の各々から距離をあけて容器蓋部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された容器蓋部においては、飲み口から液体を注ぎ出すために容器を傾けた場合、容器の開口端部と突出部材との間に位置する容器蓋部の一部によって液体がせき止められるため、せき止められている液体を注ぎ出すためには、容器を水平以上に傾ける必要がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、容器を傾けた際に容器の開口端部と蓋材の突出部との間で液体がせき止められることを抑制できる、容器用蓋材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく容器用蓋材は、外周側に突出した開口端部を有する有底筒状の容器を覆う。容器用蓋材は、蓋面部と、周壁部とを備える。蓋面部は、開口端部上の仮想平面に沿って延在して開口端部の内側を塞ぎ、容器側とは反対側に突出した突出部を有する。周壁部は、蓋面部の外縁から容器側に立設され、開口端部と係合する係合突起部を有する。突出部は、天面部および外周側面部を含む。天面部は、突出部の先端に位置し、開口部を有する。外周側面部は、天面部と周壁部とを互いに接続し、突出部の外周側に位置する。周壁部と外周側面部との境界は、開口端部の内周より外周側に位置している。係合突起部は、上記仮想平面に直交する方向から見て、開口部の外周側に位置しつつ、蓋面部の仮想中心と開口部の仮想中心とを結ぶ径方向に対して直交する幅方向における開口部が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている。
【0007】
本発明の一形態においては、係合突起部は、上記仮想平面に直交する方向から見て、上記幅方向における突出部が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている。
【0008】
本発明の一形態においては、外周側面部は、開口端部の外周より外側の位置から上記仮想平面に直交する方向に沿って延在している。
【0009】
本発明の一形態においては、蓋面部は、上記仮想平面より容器側に凹んだ底面部をさらに有する。上記仮想平面に直交する方向における天面部と底面部との高低差は、15mm以上25mm以下である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器を傾けた際に容器の開口端部と蓋材の突出部との間で液体がせき止められることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の容器用蓋材を矢印II方向から見た上面図である。
【
図3】
図1の容器用蓋材をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】
図3に示す容器用蓋材のIV部を拡大して示す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る容器用蓋材の構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態3に係る容器用蓋材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態に係る容器用蓋材について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、図面においては、容器の開口端部上の仮想平面に直交する方向から見て蓋面部の仮想中心と開口部の仮想中心とを結ぶ径方向をX軸方向、上記仮想平面に直交する方向をY軸方向、上記仮想平面において上記径方向に直交する方向をZ軸方向とする。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1の容器用蓋材を矢印II方向から見た上面図である。
図3は、
図1の容器用蓋材をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【0014】
図1および
図3に示すように、本発明の実施の形態1に係る容器1は、たとえば、紙コップである。なお、容器1は、紙コップに限定されず、樹脂製コップなどであってもよい。
【0015】
容器1は、本体部10と、開口端部20とを備える。本体部10は、有底筒状の形状を有している。また、本体部10の形状は、有底円筒状に限定されず、有底角筒状などであってもよい。
【0016】
図3に示すように、開口端部20は、紙コップなどの開口した端部に設けられるフランジ部分である。開口端部20は、たとえば、カールフランジ形状を有している。
【0017】
開口端部20は、本体部10の底部とは反対側の端部に位置している。開口端部20は、外周側に突出している。具体的には、本実施の形態における開口端部20は、XZ平面上において本体部10の外周側に突出している。
【0018】
図1~
図3に示すように、容器用蓋材2は、容器1を覆っている。容器用蓋材2は、蓋面部100と、周壁部150とを備える。
【0019】
容器用蓋材2は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート若しくはポリ乳酸などのポリエステル系、ポリスチレン若しくはスチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系、ポリエチレン若しくはポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、またはナイロンなどのポリアミド系などの樹脂により構成されている。具体的には、容器用蓋材2は、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリスチレン、またはポリプロピレンなどから構成される樹脂製シートを真空成形または圧空成形により成形して得られる。樹脂製シートの厚さは、たとえば、0.15mm以上0.5mm以下であり、好ましくは0.2mm以上0.3mm以下である。なお、容器用蓋材2は、これらの樹脂の1種類のシートから構成されていてもよく、2種類以上を積層したシートにより構成されていてもよい。
【0020】
図3に示すように、蓋面部100は、開口端部20上の仮想平面Pv(XZ平面)に沿って延在して開口端部20の内側を塞いでいる。蓋面部100は、突出部110と、リム120と、基準面部130と、底面部140と、底面接続部141とを含む。なお、蓋面部100が仮想平面Pvに沿って延在するとは、上述した蓋面部100の構成要素が仮想平面Pvに沿って配置されていることを意味するものであり、上記の構成要素の一部に仮想平面Pvに沿って延在していない部分が含まれていてもよい。たとえば、後述する天面部および外周側面部の各々は、仮想平面Pvに沿って延在していない。
【0021】
突出部110は、蓋面部100において、容器1側とは反対側に突出している。
図2および
図3に示すように、本実施の形態における突出部110は、蓋面部100におけるX軸方向の一方側かつZ軸方向の中央に設けられ、仮想平面PvよりY軸方向の一方側に突出している。
【0022】
突出部110は、天面部111と、外周側面部113とを含む。本実施の形態における突出部110は、内周側面部114と、1対の接続面部115a,115bとをさらに含む。突出部110は、先細の形状を有している。
【0023】
天面部111は、突出部110の先端に位置している。天面部111は、開口部112を有している。天面部111は、Y軸方向から見て、半円形状を有している。開口部112は、Y軸方向から見て、半円形状を有し、天面部111の縁より内側の全体に位置している。なお、開口部112の形状は、半円形状に限られず、楕円形状などであってもよい。容器1の内部に収容されている液体は、開口部112を通じて外部に注ぎ出すことができる。
【0024】
図2に示すように、Z軸方向における開口部112の幅Wは、たとえば、10mm以上15mm以下である。X軸方向における開口部112の最大長さLは、たとえば、5mm以上6mm以下である。
【0025】
外周側面部113は、突出部110の外周側に位置している。外周側面部113は、天面部111と周壁部150とを互いに接続している。
図2に示すように、外周側面部113は、Y軸方向から見て、天面部111の円弧形状の縁と周壁部150の一部の円弧形状の縁とを互いに接続している。
【0026】
図2および
図3に示すように、内周側面部114は、天面部111と底面接続部141とを互いに接続している。
図2に示すように、1対の接続面部115a,115bは、外周側面部113と内周側面部114とを互いに接続している。具体的には、一方の接続面部115aは、外周側面部113および内周側面部114の各々のZ軸方向の一方の端部同士を接続している。他方の接続面部115bは、外周側面部113および内周側面部114の各々のZ軸方向の他方の端部同士を接続している。1対の接続面部115a,115bは、天面部111のZ軸方向の両端部と、Z軸方向において突出部110の両側に位置する基準面部130とをそれぞれ互いに接続している。
【0027】
図1~
図3に示すように、リム120は、蓋面部100の外縁において突出部110が位置していない部分にC字状に設けられている。リム120は、基準面部130の外周縁から立設され、仮想平面Pv上で曲折して仮想平面Pvに沿って外周側に延在している。リム120の外周縁は、周壁部150と接続されている。
図3に示すように、リム120と周壁部150とによって開口端部20が囲まれている。Y軸方向においてリム120が開口端部20に当接することによって、容器1に対して容器用蓋材2のY軸方向の位置が固定される。
【0028】
図2に示すように、基準面部130は、Y軸方向から見て、C字形状に形成されている。基準面部130は、突出部110、リム120および底面接続部141の各々と接続されている。具体的には、基準面部130の外周縁は、リム120と接続されている。基準面部130の周方向の両端部は、突出部110と接続されている。基準面部130の内周縁は、底面接続部141と接続されている。
【0029】
図3に示すように、基準面部130は、仮想平面Pvに対して、Y軸方向の他方側に位置している。Y軸方向における基準面部130の位置は、Y軸方向における開口端部20の位置と略同一である。
【0030】
底面部140は、仮想平面Pvより容器1側に凹んでいる平面である。本実施の形態における底面部140は、基準面部130より容器1側に凹んでいる。底面部140には、図示しない通気孔が設けられている。通気孔によって、容器1の内部の液体を開口部112から注ぎ出しやすくすることができる。
【0031】
底面部140は、底面部140の外縁から立設された底面接続部141によって、内周側面部114および基準面部130に接続されている。内周側面部114と底面接続部141とは、滑らかに連続している。
【0032】
図3に示すように、仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)における天面部111と底面部140との高低差Hは、たとえば15mm以上25mm以下である。容器1の内容物が飲料用の液体である場合に、突出部110の先端を人が口でくわえた状態で容器1を傾けて容器1の内部の液体を飲む際、この高低差Hによって底面部140が鼻と干渉することを抑制することができる。
【0033】
周壁部150は、蓋面部100の外縁から容器1側に立設されている。具体的には、周壁部150は、Y軸方向において、外周側面部113およびリム120に接続され、容器1側に立設されている。周壁部150の上端は、仮想平面Pv内に位置している。
【0034】
図4は、
図3に示す容器用蓋材のIV部を拡大して示す断面図である。
図4に示すように、周壁部150と外周側面部113との境界B1は、開口端部20の内周21より外周側に位置している。具体的には、本実施の形態における境界B1は、仮想平面Pv上に位置する開口端部20の頂部23より外周側に位置している。なお、境界B1は、周壁部150の上端と外周側面部113の下端との境界である。
【0035】
外周側面部113は、開口端部20の外周22より外側の位置から仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)に沿って延在している。本実施の形態における外周側面部113は、境界B1からY軸方向の一方側に向かうにしたがって蓋面部100の内周側に緩やかに湾曲している。本実施の形態における容器用蓋材2は、Y軸方向に重ねて積層可能に形成されている。なお、外周側面部113が仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)に沿って延在するとは、外周側面部113がY軸方向に平行である場合に限られず、Y軸方向から見て、外周側面部113の上端が開口端部20の内周21より僅かに内周側に位置する程度に、外周側面部113が内周側に緩やかに傾斜していてもよい。
【0036】
図1~
図4に示すように、周壁部150は、係合突起部151と、嵌合突起部152と、フランジ部153とを含む。
図1に示すように、嵌合突起部152は、周壁部150の周方向に互いに間隔をあけつつ複数設けられている。嵌合突起部152は、周壁部150の周方向に沿って延在しつつ周壁部150の内周側に突出している。嵌合突起部152とリム120との間に、開口端部20が嵌合する。フランジ部153は、周壁部150において、容器1側の端部の全周に亘って設けられており、外周側に延出している。
【0037】
係合突起部151は、周壁部150の周方向に沿って延在しつつ周壁部150の内周側に突出している。係合突起部151は、開口端部20と係合する。具体的には、係合突起部151は、開口端部20の外周側の下側から開口端部20と当接して係合する。係合突起部151は、仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)から見て、開口部112の外周側に位置している。すなわち、本実施の形態における係合突起部151は、開口部112のX軸方向の一方側に位置している。
【0038】
図2に示すように、係合突起部151は、蓋面部100の仮想中心100cと開口部112の仮想中心112cとを結ぶ径方向(X軸方向)に対して直交する幅方向(Z軸方向)における開口部112が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている。すなわち、係合突起部151は、周壁部150のX軸方向の一端側において、Z軸方向における開口部112の幅Wの範囲内に位置する周壁部150に連続して形成されている。
図1に示すように、本実施の形態における係合突起部151は、仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)から見て、幅方向(Z軸方向)における突出部110が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている。なお、係合突起部151は、Y軸方向から見て、仮想中心100cと仮想中心112cとを結ぶ仮想線を中心とした周壁部150の周長の1/12以上の範囲に形成されることが好ましく、周壁部150の周長の1/6以上1/3以下の範囲に形成されることがより好ましい。
【0039】
なお、開口部112の仮想中心112cは、開口部112の幅方向(Z軸方向)における両端の中間位置を通過して径方向(X軸方向)に延在する中心線と、開口部112の径方向(X軸方向)における両端の中間位置を通過して幅方向(Z軸方向)に延在する中心線との、交点位置とする。
【0040】
本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2においては、周壁部150と外周側面部113との境界B1が、開口端部20の内周21より外周側に位置していることによって、容器1を傾けた際に容器1の開口端部20と容器用蓋材2の突出部110との間で液体がせき止められることを抑制することができる。また、係合突起部151が仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)から見て、開口部112の外周側に位置しつつ、蓋面部100の仮想中心100cと開口部112の仮想中心112cとを結ぶ径方向(X軸方向)に対して直交する幅方向(Z軸方向)における開口部112が位置する領域の全長に亘って連続して形成されていることによって、容器1を傾けた際に、開口部112の外周側の位置の開口端部20と周壁部150との間から液体が漏れ出ることを抑制することができる。
【0041】
本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2においては、係合突起部151が仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)から見て、幅方向(Z軸方向)における突出部110が位置する領域の全長に亘って連続して形成されていることにより、容器1を傾けた際に、突出部110の外周側の位置の開口端部20と周壁部150との間から液体が漏れ出ることを抑制することができる。
【0042】
本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2においては、外周側面部113が開口端部20の外周22より外側の位置から仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)に沿って延在していることによって、容器1を傾けた際に容器1の開口端部20と容器用蓋材2の突出部110との間で液体がせき止められることを抑制することができる。ひいては、容器1を水平方向から大きく傾けることなく容器1の内部の液体を注ぎ出すことができる。
【0043】
本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2においては、仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)における天面部111と底面部140との高低差Hが15mm以上25mm以下であることによって、突出部110の先端をくわえた状態で容器1を傾けて容器1の内部の液体を飲む際、底面部140と鼻が干渉することを抑制することができる。
【0044】
本実施の形態における容器用蓋材2は、嚥下障害者が容器1の内部の液体を飲む際の負担を軽減することができる。具体的には、突出部110が上述の形状を有することによって、嚥下障害者は、突出部110の先端をくわえた状態で、容器1の内部の液体を飲むことができるため、口を窄める必要がない。また、容器1を傾けることによって、容器1の内部の液体を開口部112から飲む際、容器1の開口端部20と容器用蓋材2の突出部110との間で液体をせき止めることが抑制されているため、容器1を水平以上に傾けることなく、液体を注ぎ出すことができる。よって、嚥下障害者が首を後ろに傾けて呷った姿勢で液体を飲む必要がなくなり、楽な姿勢で飲むことが可能となる。
【0045】
本実施の形態における容器用蓋材2は、嚥下障害者向け飲料として粘性を有する液体でも容易に注ぎ出すことができる。具体的には、容器用蓋材2は、50mPa・s以上300mPa・s以下の粘度を有する液体も容易に注ぎ出すことができる。容器1を傾けた際に、突出部110が上述の形状を有することによって、開口端部20と突出部110との間で液体がせき止められることが抑制されているため、上述した粘度を有している液体であっても、容器1を水平方向から大きく傾けることなく、液体を容易に注ぎ出すことができる。
【0046】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る容器用蓋材について説明する。本発明の実施の形態2に係る容器用蓋材は、突出部および周壁部の構成が本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2と異なるため、本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0047】
図5は、本発明の実施の形態2に係る容器用蓋材の構成を示す断面図である。
図5に示すように、本実施の形態に係る容器用蓋材2Aは、蓋面部200と、周壁部250とを備える。
【0048】
蓋面部200は、突出部210と、リムと、基準面部と、底面部と、底面接続部とを含む。突出部210は、天面部111と、外周側面部213とを含む。
【0049】
外周側面部213は、天面部111と周壁部250とを互いに接続している。外周側面部213は、突出部210の外周側に位置している。
【0050】
周壁部250は、蓋面部200の外縁から容器1側に立設されている。具体的には、周壁部250は、Y軸方向において、外周側面部213およびリムに接続されて、容器1側に立設されている。周壁部250の上端は、仮想平面Pv内に位置している。
【0051】
周壁部250と外周側面部213との境界B2は、開口端部20の内周21より外周側に位置している。具体的には、本実施の形態における境界B2は、開口端部20の頂部23に接している。なお、境界B2は、周壁部250の上端と外周側面部213の下端との境界である。外周側面部213は、開口端部20の頂部23の直上の位置から仮想平面Pvに直交する方向に沿って延在している。なお、外周側面部213が仮想平面Pvに直交する方向(Y軸方向)に沿って延在するとは、外周側面部213がY軸方向に平行である場合に限られず、Y軸方向から見て、外周側面部213の上端が開口端部20の内周21より僅かに内周側に位置する程度に、外周側面部213が内周側に緩やかに傾斜していてもよい。
【0052】
周壁部250は、係合突起部151と、嵌合突起部と、フランジ部153と、凹面部254とを含む。
【0053】
凹面部254は、周壁部250におけるY軸方向の一方側の端部に設けられている。凹面部254は、開口端部20の外周22の形状に沿って外周22から頂部23まで湾曲しつつY軸方向に延在し、外周側面部213と接続されている。凹面部254は、周壁部250の周方向に沿って延在し、周壁部250の内周側に凹面を有している。凹面部254は、周壁部250の周方向において、係合突起部151が設けられている範囲に設けられている。凹面部254は、開口端部20と係合する。具体的には、凹面部254は、開口端部20の外周側の上側から開口端部20と当接して係合する。係合突起部151と凹面部254とによって、開口端部20を上下から挟み込むように開口端部20と係合することができる。
【0054】
本発明の実施の形態2に係る容器用蓋材2Aにおいては、周壁部250と外周側面部213との境界B2が、開口端部20の内周21より外周側に位置していることによって、容器1を傾けた際に容器1の開口端部20と容器用蓋材2Aの突出部210との間で液体がせき止められることを抑制することができる。また、係合突起部151および凹面部254の各々が、Y軸方向から見て、開口部112の外周側に位置しつつ、Z軸方向における開口部112が位置する領域の全長に亘って連続して形成されていることによって、容器1を傾けた際に、開口部112の外周側の位置の開口端部20と周壁部250との間から液体が漏れ出ることを効果的に抑制することができる。
【0055】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る容器用蓋材について説明する。本発明の実施の形態3に係る容器用蓋材は、突出部および係合突起部の構成が本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2と異なるため、本発明の実施の形態1に係る容器用蓋材2と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0056】
図6は、本発明の実施の形態3に係る容器用蓋材の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、容器用蓋材2Bは、蓋面部300と、周壁部350とを備える。蓋面部300は、突出部310と、リム320と、基準面部330と、底面部340とを含む。
【0057】
本実施の形態における突出部310は、蓋面部300におけるX軸方向の一方側に設けられ、Y軸方向の一方側に突出している。突出部310は、天面部111と、外周側面部313と、内周側面部314と、1対の接続面部315a,315bとを含む。
【0058】
天面部111は、突出部310の先端に位置している。天面部111は、開口部112を有している。
【0059】
外周側面部313は、突出部310の外周側に位置している。外周側面部313は、天面部111と周壁部350とを互いに接続している。外周側面部313は、周壁部350の周長の約1/3の範囲において、周壁部350と境界B3において接続されている。
【0060】
周壁部350は、蓋面部300の外縁から容器1側に立設されている。周壁部350は、係合突起部351と、嵌合突起部352と、フランジ部353とを含む。
【0061】
本実施の形態においては、係合突起部351は、Y軸方向から見て、Z軸方向における突出部310が位置する領域において、周壁部350の周方向に互いに間隔をあけながら複数配置されて開口端部と係合している。複数の係合突起部351のうちの一つは、周壁部350のZ軸方向における開口部112が位置する領域の全長に亘って連続して形成されている。
【0062】
本発明の実施の形態3に係る容器用蓋材2Bにおいては、Z軸方向における突出部310が位置する領域が実施の形態1より大きいため、Z軸方向における突出部310が位置する領域において係合突起部351を周壁部350の周方向に互いに間隔をあけながら複数配置することにより、係合突起部351の延在長さが過度に長くならないようにして、係合突起部351と容器の開口端部とを係合させる際に必要な力が過度に高くならないようにすることができる。
【0063】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 容器、2,2A,2B 容器用蓋材、10 本体部、20 開口端部、21 内周、22 外周、23 頂部、100,200,300 蓋面部、100c,112c 仮想中心、110,210,310 突出部、111 天面部、112 開口部、113,213,313 外周側面部、114,314 内周側面部、115a,115b,315a,315b 接続面部、120,320 リム、130,330 基準面部、140,340 底面部、141 底面接続部、150,250,350 周壁部、151,351 係合突起部、152,352 嵌合突起部、153,353 フランジ部、254 凹面部、B1,B2,B3 境界、Pv 仮想平面。