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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143149
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20220926BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20220926BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20220926BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01H13/04 A
H01H13/52 F
H01H9/02 B
H01H9/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043517
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】桐原 靖彦
【テーマコード(参考)】
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5G052AA05
5G052AA22
5G052AA24
5G052BB01
5G052HA02
5G052HB05
5G052JA02
5G052JA07
5G052JB05
5G052JC06
5G052JC16
5G206AS02N
5G206AS02P
5G206AS02Z
5G206AS09H
5G206AS09N
5G206AS38H
5G206AS38J
5G206AS38N
5G206AS45H
5G206AS45Q
5G206FS32K
5G206FU03
5G206GS27
5G206HS16
5G206HW19
5G206KS15
5G206KS57
5G206NS05
5G206PS07
5G206QS02
5G206RS04
5G206RS15
5G206RS24
5G206RS35
(57)【要約】
【課題】部品点数及び組付工数の増加を抑制する。
【解決手段】スイッチ装置10では、ケース20に、スイッチ機構40が収容されると共に、第1ターミナル30及び第2ターミナル32が一体的に設けられている。また、ケース20の前端部には、筒状のボビン部21が形成されており、ケース20の後端部には、コネクタ部28が形成されている。そして、アンテナ線60が、ボビン部21のアンテナ線収容部21Aの内部においてボビン部21の周方向に巻き回されており、アンテナ線60の一端部60Aが第1ターミナル30に接続され、アンテナ線60の他端部60Bが第2ターミナル32に接続されている。これにより、例えば、アンテナ線を巻き回すためのボビン部、及びコネクタ部をケースとは別部品として構成し、これら別部品をケースに組付ける場合と比較して、部品点数及び組付工数を削減することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケースと、
前記ケースの内部に収容され、前記ケースの一端側に操作可能に露出されたノブと、前記ノブが操作されることで作動するスイッチ部と、前記スイッチ部が搭載される基板と、を含んで構成されたスイッチ機構と、
前記ケースに一体に形成され、前記ケースの一端部を構成する筒状のボビン部と、
前記ケースに一体に形成され、前記ケースの他端部を構成するコネクタ部と、
前記ボビン部に巻き回されたアンテナ線と、
前記ケースに一体的に設けられ、前記アンテナ線が接続されたアンテナ側接続部を有するターミナルと、
を備えたスイッチ装置。
【請求項2】
前記ケースには、筒状のベゼルが固定されており、
前記ベゼルは、
前記ノブにおける前記ケースの一端側に操作可能に露出された部分を前記ケースの径方向外側から覆うノブカバー部と、
前記アンテナ側接続部を前記ケースの径方向外側から覆う接続カバー部と、
を有している請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記コネクタ部は、前記ケースの他端側へ開放された有底筒状に形成されており、
前記基板が、前記コネクタ部に対して前記ケースの一端側に配置されている請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記ターミナルは、前記基板に接続される基板側接続部を有しており、
前記基板側接続部が、前記コネクタ部の底壁から前記ケースの一端側へ突出している請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記ノブは、前記ケースの軸方向にスライド可能に構成され且つシール部を有するスライダを含んで構成されており、
前記ベゼルの内周部には、前記ベゼルの内部を軸方向に区画するストッパ部が設けられており、前記ストッパ部には、前記スライダの一端部が挿通された挿通孔が形成されており、
前記シール部が、前記挿通孔の縁部を前記ケースの他端側から塞いでいる請求項2~請求項4の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチ機構は、前記基板に対して前記ケースの一端側に隣接して配置されたラバーコンタクトを有しており、
前記基板が、前記ケースに固定され、前記スライダが前記ラバーコンタクトに対して前記ケースの一端側に隣接して配置され、
前記シール部が、前記ストッパ部に当接している請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記ノブは、前記スライダに対して前記ケースの一端側に配置された被操作部を有しており、
前記被操作部は、前記ノブカバー部の径方向内側に配置され、
前記被操作部の外周部と前記ストッパ部とが前記ケースの一端側から見てラップしている請求項5又は請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記ベゼルは、アンテナカバー部を有しており、前記ボビン部に巻き回されたアンテナ線が前記アンテナカバー部によって前記ケースの径方向外側から覆われている請求項2~請求項7の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記ノブは、前記ベゼルの径方向内側に配置された被操作部を有しており、
前記被操作部と、前記ボビン部及び前記アンテナカバー部と、が前記ケースの軸方向にずれて配置されている請求項8に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記ボビン部が位置する前記ケースの一端側の内周壁は、前記被操作部の外形よりも径方向内側に位置する請求項9に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のスイッチ装置では、筒状のホルダ(ケース)の一端部にアンテナホルダが組付けられており、アンテナホルダには、アンテナ線が巻き回されている。そして、アンテナ線の両端部が、ケース内においてケースの他端側へ引き出されている。また、ケースの他端部には、ターミナルベースが組付けられており、アンテナ線の両端部が、ターミナルベースのターミナルに接続されている。これにより、スイッチ装置において、携帯機側とのトランスポンダ通信機能を有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-167260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記スイッチ装置は、上述のように、アンテナ線をアンテナホルダに巻き回し、このアンテナホルダをホルダに組付ける構造を成している。このため、部品点数及び組付工数が増加するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、部品点数及び組付工数の増加を抑制できるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、筒状のケースと、前記ケースの内部に収容され、前記ケースの一端側に操作可能に露出されたノブと、前記ノブが操作されることで作動するスイッチ部と、前記スイッチ部が搭載される基板と、を含んで構成されたスイッチ機構と、前記ケースに一体に形成され、前記ケースの一端部を構成する筒状のボビン部と、前記ケースに一体に形成され、前記ケースの他端部を構成するコネクタ部と、前記ボビン部に巻き回されたアンテナ線と、前記ケースに一体的に設けられ、前記アンテナ線が接続されたアンテナ側接続部を有するターミナルと、を備えたスイッチ装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ケースには、筒状のベゼルが固定されており、前記ベゼルは、前記ノブにおける前記ケースの一端側に操作可能に露出された部分を前記ケースの径方向外側から覆うノブカバー部と、前記アンテナ側接続部を前記ケースの径方向外側から覆う接続カバー部と、を有しているスイッチ装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記コネクタ部は、前記ケースの他端側へ開放された有底筒状に形成されており、前記基板が、前記コネクタ部に対して前記ケースの一端側に配置されているスイッチ装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ターミナルは、前記基板に接続される基板側接続部を有しており、前記基板側接続部が、前記コネクタ部の底壁から前記ケースの一端側へ突出しているスイッチ装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ノブは、前記ケースの軸方向にスライド可能に構成され且つシール部を有するスライダを含んで構成されており、前記ベゼルの内周部には、前記ベゼルの内部を軸方向に区画するストッパ部が設けられており、前記ストッパ部には、前記スライダの一端部が挿通された挿通孔が形成されており、前記シール部が、前記挿通孔の縁部を前記ケースの他端側から塞いでいるスイッチ装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記スイッチ機構は、前記基板に対して前記ケースの一端側に隣接して配置されたラバーコンタクトを有しており、前記基板が、前記ケースに固定され、前記スライダが前記ラバーコンタクトに対して前記ケースの一端側に隣接して配置され、前記シール部が、前記ストッパ部に当接しているスイッチ装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ノブは、前記スライダに対して前記ケースの一端側に配置された被操作部を有しており、前記被操作部は、前記ノブカバー部の径方向内側に配置され、前記被操作部の外周部と前記ストッパ部とが前記ケースの一端側から見てラップしているスイッチ装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ベゼルは、アンテナカバー部を有しており、前記ボビン部に巻き回されたアンテナ線が前記アンテナカバー部によって前記ケースの径方向外側から覆われているスイッチ装置である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ノブは、前記ベゼルの径方向内側に配置された被操作部を有しており、前記被操作部と、前記ボビン部及び前記アンテナカバー部と、が前記ケースの軸方向にずれて配置されているスイッチ装置である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ボビン部が位置する前記ケースの一端側の内周壁は、前記被操作部の外形よりも径方向内側に位置するスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0016】
上記構成のスイッチ装置によれば、部品点数及び組付工数の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は、本実施の形態に係るスイッチ装置を示す第1方向一方側から見た側面図であり、(B)は、(A)のスイッチ装置を前側から見た正面図である。
図2図1(B)に示されるスイッチ装置の第1方向一方側から見た縦断面図(図1(B)の2-2線断面図)である。
図3図1(B)に示されるスイッチ装置の第2方向一方側から見た縦断面図(図1(B)の3-3線断面図)である。
図4図1(B)に示されるスイッチ装置の第1方向一方側部分の内部を示す第1方向他方側から見た縦断面図(図1(B)の4-4線断面図)である。
図5図1(A)に示されるスイッチ装置の分解斜視図である。
図6図5に示されるケースの前側から見た正面図である。
図7図1(A)に示されるベゼルをケースから取外した状態におけるケースの接続用凹部周辺を拡大して示す第1方向一方側から見た側面図である。
図8図7に示されるケースの第2方向一方側から見た側面図である。
図9図1(B)に示される意匠パネル及びノブベースをスライダから取外した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るスイッチ装置10について説明する。本実施の形態のスイッチ装置10は、車両(自動車)のインストールメントパネル等に配置されて、車両のエンジン(パワーユニット)を始動又は停止させるための装置として構成されている。図1(A)及び(B)に示されるように、スイッチ装置10は、全体として略円柱状に形成されている。そして、以下の説明では、スイッチ装置10の軸方向一方側(図1(A)の矢印A方向側)をスイッチ装置10の前側とし、スイッチ装置10の軸方向他方側(図1(A)の矢印B方向側)をスイッチ装置10の後側としている。また、前側から見た正面視で、前後方向に対して直交する方向を第1方向(図1(B)の矢印C及び矢印Dを参照)とし、第1方向に対して直交する方向を第2方向(図1(B)の矢印E及び矢印Fを参照)としている。
【0019】
図1図5に示されるように、スイッチ装置10は、スイッチ装置10の外郭を構成するケース20と、ケース20に収容されたスイッチ機構40と、ケース20のボビン部21に巻き回されたアンテナ線60と、ケース20に組付けられたベゼル70と、を含んで構成されている。以下、スイッチ装置10の各構成について説明する。
【0020】
(ケース20について)
図1図6に示されるように、ケース20は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。ケース20の外周部には、第1方向両側部分において、一対の固定片20Aが形成されている。固定片20Aは、第2方向から見て、前側へ向かうに従いケース20の径方向外側へ傾斜しており、固定片20Aの後端部がケース20に接続されている。そして、固定片20Aが、車両のインストールメントパネル等に係合されて、ケース20(すなわち、スイッチ装置10)が車両に固定されている。
【0021】
ケース20の前端部(一端部)には、後述するアンテナ線60を巻き回すためのボビン部21が一体に形成されている。ボビン部21は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、正面視で、第1方向を長辺とする略楕円状に形成されている(図6参照)。具体的には、ボビン部21の長辺が、ケース20の直径と略一致しており、ボビン部21の短辺が、ケース20の直径よりも小さく設定されている。また、ボビン部21の中心軸が、ケース20の中心軸に対して第2方向一方側(図6の矢印E方向側)にずれて配置されている。具体的には、ボビン部21の第2方向一方側の周壁が、ケース20の第2方向一方側の周壁に接続されており、ボビン部21の第2方向他方側の周壁が、ケース20の第2方向他方側の周壁に対してケース20の径方向内側に配置されている。
【0022】
ボビン部21の第2方向他方側の周壁は、後側へ延出しており、ケース20の内部に配置されている。ボビン部21の第2方向他方側の周壁から後側へ延出された壁部は、内壁20Bとして構成されており、内壁20Bによってケース20の内部が区画されている。そして、ケース20の内部におけるボビン部21の内部と連通された部分が、後述するスイッチ機構40を収容するスイッチ機構収容部20Cとして構成されている。
【0023】
ボビン部21の外周部には、アンテナ線収容部21Aが形成されている。アンテナ線収容部21Aは、ボビン部21の径方向外側へ開放され且つボビン部21の周方向に延在された溝状に形成されると共に、ボビン部21の周方向全周に亘って延在されている。
【0024】
スイッチ機構収容部20Cの内周面には、第1方向両側部分において、後述するスライダ52をガイドするための一対の第1ガイドレール22が設けられている。一対の第1ガイドレール22は、前後方向に延在されると共に、第2方向に離間している。これにより、一対の第1ガイドレール22の間には、第1ガイド溝22Aが形成されており、第1ガイド溝22Aは、第1方向内側へ開放されると共に、前後方向に貫通している。
【0025】
また、スイッチ機構収容部20Cの内周面には、第2方向両側部分において、後述するスライダ52をガイドするための一対の第2ガイドレール23がそれぞれ形成されている。一対の第2ガイドレール23は、前後方向に延在されると共に、第1方向に離間している。これにより、一対の第2ガイドレール23の間には、第2ガイド溝23Aが形成されており、第2ガイド溝23Aは、第2方向内側へ開放されると共に、前後方向に貫通している。
【0026】
図5図7、及び図8に示されるように、ケース20の外周面には、第1方向一方側(図5及び図8の矢印C方向側)で且つ第2方向一方側の部分において、接続用凹部24が形成されている。接続用凹部24は、第2方向他方側へ下がった凹状に形成されると共に、第2方向一方側から見て、前後方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、接続用凹部24は、ボビン部21に対して後側に隣接して配置されている。さらに、ケース20の外周部には、アンテナ線収容部21Aと接続用凹部24との間において、連通溝25が形成されている。連通溝25は、ケース20の径方向外側へ開放されると共に、前後方向に貫通しており、接続用凹部24の内部とアンテナ線収容部21Aの内部とが連通溝25によって連通されている。
【0027】
図7及び図8に示されるように、接続用凹部24の底面には、前後一対の巻回部26F,26Rが形成されている。一対の巻回部26F,26Rは、第2方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、前後方向に所定の間隔を空けて配置されている。巻回部26F,26Rの先端部には、張出部26Aが形成されており、張出部26Aは、巻回部26F,26Rから第1方向他方側へ張出されている。
【0028】
図2図4、及び図6に示されるように、ケース20の後端部には、スイッチ機構収容部20C内において、後述する基板42を固定するための基板固定部27が設けられている。基板固定部27は、前側へ開放された略有底楕円筒状に形成されて、所定の位置において、ケース20の周壁に接続されている。これにより、基板固定部27の底壁が、ケース20の後壁を構成している。基板固定部27の周壁には、複数(本実施の形態では、2箇所)の固定ボス27A(図6参照)が形成されており、固定ボス27Aは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、基板固定部27の底壁から前側へ突出している。
【0029】
基板固定部27の底壁には、コネクタ部28が設けられている。コネクタ部28は、後側へ開放された略有底矩形筒状に形成されている。そして、コネクタ部28の底部(前部)が基板固定部27の底壁よりも前側へ突出しており、コネクタ部28の開口側部分(後部)がケース20よりも後側へ突出している。コネクタ部28の底壁(前壁)には、後述する基板用ターミナル43を挿通させるための複数(本実施の形態では、10箇所)の孔部28Aが貫通形成されている。コネクタ部28では、第1方向に並ぶ5箇所の孔部28Aを1列とし、2列の孔部28Aが第2方向に並んで配置されている。
【0030】
図4図8に示されるように、ケース20は、「ターミナル」としてのアンテナ線用第1ターミナル30(以下、単に第1ターミナル30と称する)と、「ターミナル」としてのアンテナ線用第2ターミナル32(以下、単に第2ターミナル32と称する)と、を有している。第1ターミナル30及び第2ターミナル32は、インサート成形によって、ケース20と一体的に形成されている。
【0031】
第1ターミナル30は、略長尺板状に形成され、所定の形状に屈曲されており、第1ターミナル30の長手方向両端部を除く部分が、ケース20に埋設されている。具体的には、第1ターミナル30の一端側部分が、接続用凹部24に埋設されている。また、第1ターミナル30の一端部は、アンテナ側接続部30Aとして構成されている。そして、アンテナ側接続部30Aが、接続用凹部24から第2方向一方側へ突出している。より詳しくは、アンテナ側接続部30Aは、第1方向を板厚方向とした略I字形板状に形成されており、アンテナ側接続部30Aには、前後方向外側へ開放された前後一対の切欠部30A1(図7参照)が形成されている。また、アンテナ側接続部30Aは、前側の巻回部26Fに対して第1方向一方側で且つ後側に配置されている。
【0032】
一方、第1ターミナル30の他端部は、基板側接続部30B(図8参照)として構成されており、基板側接続部30Bは、前後方向を長手方向とする略矩形棒状に形成されている。また、基板側接続部30Bは、コネクタ部28の底壁からケース20の軸方向に沿って前側へ延出されている。
【0033】
第2ターミナル32は、第1ターミナル30と同様に、略長尺板状に形成され、所定の形状に屈曲されており、第2ターミナル32の長手方向両端部を除く部分が、ケース20に埋設されている。具体的には、第2ターミナル32の一端側部分が、接続用凹部24に埋設されている。また、第2ターミナル32の一端部は、アンテナ側接続部32Aとして構成されており、アンテナ側接続部32Aは、接続用凹部24から第2方向一方側へ突出している。より詳しくは、アンテナ側接続部32Aは、アンテナ側接続部30Aと同様に、第1方向を板厚方向とした略I字形板状に形成されており、アンテナ側接続部32Aには、前後方向外側へ開放された前後一対の切欠部32A1(図7参照)が形成されている。また、アンテナ側接続部32Aは、後側の巻回部26Rに対して第1方向一方側で且つ前側に配置されると共に、アンテナ側接続部30Aの後側に配置されている。
【0034】
一方、第2ターミナル32の他端部は、基板側接続部32B(図8参照)として構成されており、基板側接続部32Bは、前後方向を長手方向とする略矩形棒状に形成されている。また、基板側接続部32Bは、基板固定部27の底壁からケース20の軸方向に沿って前側へ延出されている。
【0035】
(スイッチ機構40について)
図2図6に示されるように、スイッチ機構40は、ケース20のスイッチ機構収容部20C内に収容されている。スイッチ機構40は、基板42と、ラバーコンタクト48と、「ノブ」としてのノブアッシー50と、を含んで構成されている。
【0036】
(基板42について)
基板42は、前後方向を板厚方向とする略円板状に形成されている。基板42の外形は、ボビン部21の内周面の外形よりも小さく設定されている。そして、基板42が、前側からボビン部21内に挿入され、スイッチ機構収容部20C内に収容されると共に、基板固定部27の前側に隣接して配置されている。また、固定ボス27Aに螺合された固定ネジSCによって、基板42が基板固定部27に固定されている。
【0037】
基板42の後面には、コネクタ部28の孔部28Aに対応する位置において、10本の基板用ターミナル43が設けられている。基板用ターミナル43は、前後方向に延在されており、基板用ターミナル43の前端部が基板42に実装されている。そして、基板用ターミナル43の長手方向中間部が、コネクタ部28の孔部28Aを挿通して、基板用ターミナル43の後端部が、コネクタ部28の内部に配置されている。これにより、コネクタ部28に外部コネクタ(図示省略)が接続されることで、基板42が基板用ターミナル43によって車両の制御部(図示省略)に電気的に接続される構成になっている。
【0038】
また、第1ターミナル30の基板側接続部30B及び第2ターミナル32の基板側接続部32Bが、基板42に接続されている(図6参照)。これにより、後述するアンテナ線60が第1ターミナル30及び第2ターミナル32によって車両の制御部に電気的に接続される構成になっている。
【0039】
基板42の前面(一側面)における第2方向一方側の部分には、一対のスイッチ部としての固定接点44が設けられており、固定接点44は、第1方向に離間して並んで配置されている。基板42の前面には、一対の固定接点44の間において、一対のインジケータ用LED45が設けられている。一対のインジケータ用LED45は、第2方向に並んで配置されている。また、基板42の前面には、一対のインジケータ用LED45の第2方向他方側において、照明用LED46が設けられている。そして、インジケータ用LED45及び照明用LED46は、発光された光を前側へ照射する構成になっている。
【0040】
(ラバーコンタクト48について)
ラバーコンタクト48は、正面視で基板42に対応する略円形状に形成されると共に、後側へ開放された凹状に形成されている。そして、基板42が、後側からラバーコンタクト48内に収容されて、ラバーコンタクト48が基板42の前側に隣接して配置されている。また、後述するスライダ52によって、ラバーコンタクト48の前側への移動が制限されている。
【0041】
ラバーコンタクト48には、基板42における一対の固定接点44に対応する位置において、一対のコンタクト部48Aが形成されている。コンタクト部48Aは、ラバーコンタクト48から前側へ隆起した略ドーム形状に形成されており、コンタクト部48Aの内部には、スイッチ部としての可動接点49(図4参照)が設けられている。そして、コンタクト部48Aが後側(固定接点44側)へ押圧されることで、コンタクト部48Aが後側へ変位して、スイッチ機構40のスイッチ部が作動する構成になっている。具体的には、可動接点49が固定接点44に接触して、スイッチ機構40がONするように構成されている。
【0042】
ラバーコンタクト48には、インジケータ用LED45に対応する位置において、インジケータ用筒部48Bが形成されている。インジケータ用筒部48Bは、略矩形筒状に形成されて、ラバーコンタクト48から前側へ突出している。さらに、ラバーコンタクト48には、照明用LED46に対応する位置において、照明用筒部48Cが形成されている。照明用筒部48Cは、略矩形筒状に形成されて、ラバーコンタクト48から前側へ突出している。
【0043】
(ノブアッシー50について)
ノブアッシー50は、スライダ52と、レンズ54と、ノブベース56と、「被操作部」としての意匠パネル58と、を含んで構成されている。
【0044】
(スライダ52について)
スライダ52は、前後方向を軸方向とする筒状に形成されている。スライダ52は、スイッチ機構収容部20Cの内部において、ラバーコンタクト48の前側に配置されており、スライダ52の前端部が、ボビン部21から前側へ突出している。
【0045】
スライダ52の第1方向両側の外周部には、ケース20の第1ガイド溝22Aに対応する位置において、第1スライドリブ52Aがそれぞれ形成されている。第1スライドリブ52Aは、前後方向に延在されると共に、第1ガイド溝22A内に前後方向にスライド可能に挿入されている。また、スライダ52の第2方向両側の外周部には、ケース20の第2ガイド溝23Aに対応する位置において、第2スライドリブ52Bが形成されている。第2スライドリブ52Bは、前後方向に延在されると共に、第2ガイド溝23A内に前後方向にスライド可能に挿入されている。これにより、スライダ52が、ケース20に前後方向にスライド可能に連結されている。そして、スライダ52のケース20への連結状態では、正面視で、照明用LED46及び照明用筒部48Cが、スライダ52の内側に配置されている。
【0046】
また、スライダ52の後端部内には、ラバーコンタクト48のコンタクト部48Aに対応する位置において、一対のスイッチ押圧部52C(図4参照)が形成されている(図4では、1箇所のスイッチ押圧部52Cのみが図示されている)。スイッチ押圧部52Cは、コンタクト部48Aの前側に隣接して配置されている。これにより、スライダ52によって、ラバーコンタクト48の前側への移動が制限されている。また、スイッチ押圧部52Cは、前後方向において、コンタクト部48Aの外周部に若干ラップするように配置されている。
【0047】
スライダ52の前部における外周部には、「シール部」としてのフランジ部52Dが形成されており、フランジ部52Dは、前後方向を板厚方向とするプレート状に形成されて、スライダ52の径方向外側に突出している。すなわち、フランジ部52Dは、前後方向を板厚方向とする略リング形板状に形成されている。フランジ部52Dの外形は、ボビン部21と相似形を成す楕円形状に形成されている。そして、フランジ部52Dがボビン部21内に配置されており、フランジ部52Dの前面がボビン部21の前面と面一に配置されている。
【0048】
また、スライダ52の第2方向一方側の部分には、第1方向中央部において、後述するレンズ54を収容するためのレンズ収容部52Eが形成されている。レンズ収容部52Eは、前後方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されると共に、正面視で、インジケータ用LED45と重なる位置に配置されている。
【0049】
(レンズ54について)
レンズ54は、光を透過可能な透明の樹脂材によって構成されている。レンズ54は、第2方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺板状に形成されている。そして、レンズ54が、スライダ52のレンズ収容部52Eに後側から挿入されて、爪嵌合によってスライダ52に組付けられている。レンズ54の前端部(一端部)は、インジケータ部54Aとして構成されており、インジケータ部54Aは、スライダ52から前側へ突出している。一方、レンズ54の後端部は、スライダ52から後側へ突出して、ラバーコンタクト48のインジケータ用筒部48B内に配置されている。
【0050】
(ノブベース56について)
ノブベース56は、ベースプレート56Aを有しており、ベースプレート56Aは、前後方向を板厚方向とする略円板状に形成されて、ケース20と同軸上に配置されている。ベースプレート56Aの第1方向一方側及び他方側の部分には、それぞれ連結片56Bが形成されている。連結片56Bは、略第1方向を板厚方向として、ベースプレート56Aから後側へ延出されている。そして、ベースプレート56Aがスライダ52の前側に配置されて、連結片56Bが、スライダ52の内側においてスライダ52に相対移動不能に組付けられている。これにより、ノブベース56が、スライダ52と前後方向に一体にスライド可能に構成されている。
【0051】
ベースプレート56Aには、レンズ54のインジケータ部54Aと対応する位置において、レンズ孔56Cが貫通形成されている。そして、インジケータ部54Aが、レンズ孔56C内を後側から挿通している。また、ベースプレート56Aの略中央部には、照明孔56Dが貫通形成されている。照明孔56Dは、略矩形状に形成されて、正面視で、照明用LED46と重なる位置に配置されている。
【0052】
(意匠パネル58について)
意匠パネル58は、光を透過可能な樹脂材によって構成されている。また、意匠パネル58は、正面視でベースプレート56Aに対応した円形状に形成されると共に、後側へ開放された凹状に形成されている。そして、意匠パネル58は、2色成形によってベースプレート56Aに一体的に固定されている。
【0053】
意匠パネル58には、レンズ54のインジケータ部54Aに対応する位置において、インジケータ孔58Aが貫通形成されている。そして、インジケータ部54Aが、インジケータ孔58A内に後側から挿入されて、インジケータ孔58Aから前側へ露出している。これにより、インジケータ用LED45によって発光された光が、レンズ54によって前側へ導かれて、インジケータ部54Aが照明するようになっている。
【0054】
また、意匠パネル58には、文字や記号等によって構成された表示マーク58Bが形成されており、表示マーク58Bは、ベースプレート56Aの照明孔56Dの前側に位置している。この表示マーク58Bは、例えば、意匠パネル58の前面に黒色塗装を行い、表示マーク58Bに対応するシンボルをレーザー加工等によって抜くことによって形成される。これにより、照明用LED46によって発光された光が、スライダ52及び照明孔56Dを通過して、表示マーク58Bが照明されるように構成されている。
【0055】
また、前述したケース20のボビン部21の内周面が、正面視で、意匠パネル58の外形の径方向内側に配置されている。
【0056】
さらに、意匠パネル58は、スイッチ装置10の前端部を構成し、車両のキャビン側へ操作可能に露出されている。これにより、操作者が、意匠パネル58を後側へ押圧操作することで、ノブアッシー50が後側へスライドして、ラバーコンタクト48のコンタクト部48Aが作動する構成になっている。
【0057】
(アンテナ線60について)
図2図5図7、及び図8に示されるように、アンテナ線60は、ケース20のボビン部21のアンテナ線収容部21Aにおいて、ボビン部21の周方向に沿って巻き回されている。また、アンテナ線60の一端部60A及び他端部60Bが、ケース20の連通溝25内に配策されて、連通溝25からケース20の接続用凹部24内へ延出されている。
【0058】
図7及び図8に示されるように、アンテナ線60の一端部60Aは、前側の巻回部26Fに巻き回されている。また、巻回部26Fに巻き回されたアンテナ線60の一端部60Aは、第1ターミナル30のアンテナ側接続部30A側へ引き出されて、アンテナ側接続部30Aに接続されている。具体的には、一端部60Aが、アンテナ側接続部30Aにおける切欠部30A1の部位で巻き回されると共に、アンテナ側接続部30Aに半田付けされている。これにより、アンテナ側接続部30A及び前側の巻回部26Fが、対を成すと共に、アンテナ線60の一端部60Aに対して接続処理をする部位として構成されている。
【0059】
一方、アンテナ線60の他端部60Bは、後側の巻回部26Rに巻き回されている。また、巻回部26Rに巻き回されたアンテナ線60の他端部60Bは、第2ターミナル32のアンテナ側接続部32A側へ引き出されて、アンテナ側接続部32Aに接続されている。具体的には、他端部60Bが、アンテナ側接続部32Aにおける切欠部32A1の部位で巻き回されると共に、アンテナ側接続部32Aに半田付けされている。これにより、アンテナ側接続部32A及び後側の巻回部26Rが、対を成すと共に、アンテナ線60の他端部60Bに対して接続処理をする部位として構成されている。
【0060】
(ベゼル70について)
図1図5、及び図9に示されるように、ベゼル70は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。具体的には、ベゼル70は、ベゼル70の前部を構成するノブカバー部71と、ベゼル70の後部を構成するアンテナカバー部72と、を含んで構成されている。また、アンテナカバー部72の外周部が、ノブカバー部71の外周部に対して径方向内側へ一段下がって配置されている。
【0061】
そして、ベゼル70が、ケース20の前端部に外挿されて、アンテナカバー部72が爪嵌合によってケース20に相対移動不能に組付けられている。具体的には、アンテナカバー部72が、ケース20のボビン部21の径方向外側に配置されて、アンテナ線収容部21Aを径方向外側から覆うと共に、ノブカバー部71が、意匠パネル58の径方向外側に所定の隙間を空けて配置されている。これにより、アンテナカバー部72によってアンテナ線60が覆われると共に、ボビン部21及びアンテナカバー部72が、意匠パネル58に対して後側にずれて配置されている。
【0062】
また、ベゼル70は、前述したケース20の接続用凹部24を塞ぐ接続カバー部73を有している。接続カバー部73は、ベゼル70の径方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、接続カバー部73が、アンテナカバー部72における第1方向一方側及び第2方向一方側の後端部から後側へ延出されて、ケース20の接続用凹部24を径方向外側から塞いでいる。これにより、アンテナ側接続部30A及びアンテナ側接続部32Aに接続されたアンテナ線60の一端部60A及び他端部60Bが接続カバー部73によって視認不能に構成されている。
【0063】
また、ベゼル70の内周部には、ストッパ部74が形成されている。ストッパ部74は、前後方向を板厚方向とするプレート状に形成されており、ストッパ部74の外周部がノブカバー部71の後端部の内周面に接続されている。これにより、ストッパ部74によって、ベゼル70の内部が、前後方向に区画されている。ストッパ部74には、挿通孔74Aが貫通形成されている。そして、前述したスライダ52の前端部が、挿通孔74A内を挿通して、ストッパ部74よりも前側に突出している。これにより、意匠パネル58及びノブベース56のベースプレート56Aが、ストッパ部74よりも前側に配置されている。また、スライダ52のフランジ部52Dが、ストッパ部74の後面に当接して、挿通孔74Aの縁部を後側から塞いでいる。具体的には、ラバーコンタクト48の弾性力によって、フランジ部52Dがストッパ部74に押し付けられて、フランジ部52D及びストッパ部74が面で当接している。これにより、スライダ52の前側への移動がストッパ部74によって制限されている。
【0064】
(作用効果)
次に、本実施の形態のスイッチ装置10の作用及び効果について説明する。
【0065】
上記のように構成されたスイッチ装置10の非操作状態では、ノブアッシー50が初期位置に配置されている。そして、ノブアッシー50の意匠パネル58が後側へ押圧操作されると、ノブアッシー50が後側へスライドする。これにより、スライダ52のスイッチ押圧部52Cが、ラバーコンタクト48の一対のコンタクト部48Aを押圧する。よって、一対のコンタクト部48Aの可動接点49が基板42の固定接点44に接触して、スイッチ機構40が車両の制御部にオン信号を出力する。一方、ノブアッシー50に対する操作を解除すると、ラバーコンタクト48のコンタクト部48Aの復元力によって、スライダ52が前側へスライドする。これにより、ノブアッシー50が初期位置に復帰する。
【0066】
そして、車両の制御部は、操作者の所有する携帯機と通信により接続し、当該携帯機との認証が完了した状態で、スイッチ装置10が操作されることで、車両のエンジン(パワーユニット)を始動又は停止させる。また、スイッチ装置10は、アンテナ線60を有している。このため、操作者の所有する携帯機の電池が消耗して、携帯機との通信が不能になるときには、トランスポンダ通信を行うことで、携帯機との通信をすることができる。詳しくは、携帯機をスイッチ装置10の意匠パネル58にかざすと、スイッチ装置10のコイル状のアンテナ線60から送信される起動電波を携帯機が受信し、携帯機のトランスポンダ内のコイル部による電波のやりとりで携帯機が車両の認証装置に向けてID信号を送信することによって車両の認証装置と携帯機との通信を行うことができる。
【0067】
ここで、ケース20には、スイッチ機構40が収容されると共に、第1ターミナル30及び第2ターミナル32が一体的に設けられている。また、ケース20の前端部には、筒状のボビン部21が形成されており、ケース20の後端部には、コネクタ部28が形成されている。そして、アンテナ線60が、ボビン部21のアンテナ線収容部21Aの内部においてボビン部21の周方向に巻き回されており、アンテナ線60の一端部60Aが第1ターミナル30に接続され、アンテナ線60の他端部60Bが第2ターミナル32に接続されている。これにより、例えば、アンテナ線を巻き回すためのボビン部、及びコネクタ部をケースとは別部品として構成し、これら別部品をケースに組付ける場合と比較して、部品点数及び組付工数を削減することができる。
【0068】
また、ケース20には、ベゼル70が固定されている。ベゼル70は、ノブアッシー50の意匠パネル58をケース20の径方向外側から覆うノブカバー部71と、第1ターミナル30のアンテナ側接続部30A及び第2ターミナル32のアンテナ側接続部32Aをケース20の径方向外側から覆う接続カバー部73と、を有している。これにより、意匠パネル58を覆うベゼル70を活用して、第1ターミナル30及び第2ターミナル32とアンテナ線60との接続部を塞ぐことができる。すなわち、第1ターミナル30及び第2ターミナル32とアンテナ線60との接続部を塞ぐカバー部を別途設ける必要がなくなる。したがって、スイッチ装置10の部品点数の削減に一層寄与することができる。
【0069】
また、コネクタ部28は、後側へ開放された有底筒状に形成されて、ケース20の後端部を構成している。さらに、基板42の外形は、ボビン部21の内周面の外形よりも小さく設定されており、基板42が、コネクタ部28に対して前側に配置されている。このため、コネクタ部28をケース20の後端部に一体に形成した構成にしても、基板42を、前側からボビン部21内に挿入して、ケース20内に組付けることができる。そして、基板42を、ケース20のスイッチ機構収容部20C内において、コネクタ部28の前側に近接して配置して、ケース20に固定することができる。
【0070】
また、第1ターミナル30の基板側接続部30B及び第2ターミナル32の基板側接続部32Bは、コネクタ部28の底壁から前側へ突出して、基板42に接続されている。すなわち、基板側接続部30B及び基板側接続部32Bの延在方向と、基板42のケース20への組付方向と、が一致している。これにより、第1ターミナル30及び第2ターミナル32をケース20に一体に形成しても、第1ターミナル30及び第2ターミナル32を基板42に容易に接続することができる。
【0071】
また、スライダ52の外周部には、フランジ部52Dが形成されている。さらに、ベゼル70の内部には、ストッパ部74が形成されており、ストッパ部74によってベゼル70の内部が前後方向に区画されている。そして、スライダ52の前端部が、ストッパ部74の挿通孔74A内を挿通しており、スライダ52のフランジ部52Dが、挿通孔74Aの縁部を後側から塞いでいる。これにより、例えば、水等の液体がベゼル70の挿通孔74Aからケース20の内部へ浸入することを抑制できる。すなわち、フランジ部52Dをシール部として機能させて、ケース20内に配置された基板42に対する防水性を確保することができる。
【0072】
また、スイッチ機構40では、基板42が、ケース20に固定されており、基板42の前側にラバーコンタクト48が隣接して配置されている。また、ラバーコンタクト48の前側には、スライダ52が隣接して配置されている。そして、スライダ52のフランジ部52Dが、ベゼル70のストッパ部74に後側から当接している。これにより、スイッチ機構40を収容した状態のケース20にベゼル70を組付けることで、前後方向におけるラバーコンタクト48及びスライダ52の位置を決めることができる。したがって、シール部として機能するフランジ部52D及びストッパ部74を活用して、スイッチ機構40の位置を決めることができる。
【0073】
また、ノブアッシー50の意匠パネル58が、ベゼル70のノブカバー部71の内側に配置されており、前側から見て、意匠パネル58の外周部とストッパ部74とが重なっている。これにより、スイッチ装置10の外観を構成する意匠パネル58の後側にストッパ部74を配置しつつ、基板42に対する防水性を確保することができる。
【0074】
また、ベゼル70のアンテナカバー部72は、ケース20のボビン部21の径方向外側に配置され、ボビン部21に巻き回されたアンテナ線60がアンテナカバー部72によってケース20の径方向外側から覆われている。これにより、意匠パネル58を覆うベゼル70を活用して、アンテナ線60を覆うことができる。したがって、スイッチ装置10の部品点数の削減に一層寄与することができる。
【0075】
また、ノブアッシー50の意匠パネル58が、ベゼル70のノブカバー部71の径方向内側に配置されている。そして、意匠パネル58が、ケース20のボビン部21及びベゼル70のアンテナカバー部72に対して、前側へずれた位置に配置されている。これにより、ベゼル70の形状の自由度を上げることができる。
【0076】
すなわち、仮に、前後方向において、ボビン部21と意匠パネル58とが重なるように配置した場合(以下、この場合を比較例のスイッチ装置という)には、ボビン部21が意匠パネル58の径方向外側に配置されることになる。このため、ベゼル70によってボビン部21及びアンテナ線60を覆うためには、ベゼル70のノブカバー部71を後側へ開放された断面U字形状に形成する必要がある。このため、ベゼル70の形状が制約されて、ベゼル70の形状の自由度が低下する傾向になる。
【0077】
これに対して、本実施の形態では、上述のように、意匠パネル58が、ボビン部21及びアンテナカバー部72に対して、前側へずれた位置に配置されている。すなわち、ベゼル70において、意匠パネル58を径方向外側から覆うノブカバー部71と、ボビン部21を径方向外側から覆うアンテナカバー部72と、を前後方向にずらして配置することができる。これにより、ノブカバー部71における形状の自由度を、上記比較例のスイッチ装置と比べて上げることができる。
【0078】
また、上記比較例のスイッチ装置では、ボビン部21を意匠パネル58の径方向外側に配置するため、ボビン部21を径方向外側から覆うベゼル70の外径が大きくなる傾向になる。これに対して、本実施の形態のスイッチ装置10では、上述のように、意匠パネル58とボビン部21とが、前後方向にずれた位置に配置されている。また、正面視で、意匠パネル58の外形の内側に、ボビン部21の内周面が配置されている。これにより、ベゼル70の径方向の大型化を抑制することができると共に、ひいてはスイッチ装置10の径方向の大型化を抑制することができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、第1ターミナル30及び第2ターミナル32は、樹脂製のケース20にインサート成形されて一体的に形成されているが、これに限定されるものではなく、圧入などの周知の固定方法によりケース20に固定されるようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態においては、ボビン部21は、正面視で略楕円状に形成されているが、円状としてもよく、その場合、ボビン部21をケース20と同軸上に配置してもよい。
【0081】
また、本実施形態においては、ボビン部21を、意匠パネル58に対して軸方向の後方側にずらして配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ケース20を前側に延ばして形成し、ボビン部21を、軸に対して直交する方向から見て意匠パネル58と重なる位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 スイッチ装置
20 ケース
21 ボビン部
28 コネクタ部
30 アンテナ線用第1ターミナル(ターミナル)
30A アンテナ側接続部
30B 基板側接続部
32 アンテナ線用第2ターミナル(ターミナル)
32A アンテナ側接続部
32B 基板側接続部
40 スイッチ機構
44 固定接点(スイッチ部)
49 可動接点(スイッチ部)
50 ノブアッシー(ノブ)
52 スライダ
52D フランジ部(シール部)
58 意匠パネル(被操作部)
60 アンテナ線
70 ベゼル
71 ノブカバー部
72 アンテナカバー部
73 接続カバー部
74 ストッパ部
74A 挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9