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  • 特開-車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143199
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20220926BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043596
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】井手 慎之助
(72)【発明者】
【氏名】本間 友基
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB32
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD35
3D235EE02
3D235FF06
3D235FF09
3D235HH08
(57)【要約】
【課題】走行安定性が高められた車両を提供する。
【解決手段】車両1は、車両前後方向に沿って延在し、前部10、中間部20及び後部30を車両前後方向における前側からこの順に有する支持部材2と、モータ5及び充電器7を含み、支持部材2に搭載された高電圧部品と、充電器7を介して充電され、モータ5に供給するための電力を蓄えるバッテリ8であって、中間部20に搭載されたバッテリ8と、を備える。支持部材2は、前部10が中間部20よりも車両上下方向における上側に位置するように、前部10と中間部20との間の境界部分Pにおいて曲げられている。高電圧部品は、前部10に搭載された前側高電圧部品と、後部30に搭載された後側高電圧部品と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に沿って延在し、前部、中間部及び後部を前記車両前後方向における前側からこの順に有する支持部材と、
モータ及び充電器を含み、前記支持部材に搭載された高電圧部品と、
前記充電器を介して充電され、前記モータに供給するための電力を蓄えるバッテリであって、前記中間部に搭載された前記バッテリと、を備え、
前記支持部材は、前記前部が前記中間部よりも車両上下方向における上側に位置するように、前記前部と前記中間部との間の境界部分において曲げられており、
前記高電圧部品は、前記前部に搭載された前側高電圧部品と、前記後部に搭載された後側高電圧部品と、を含む、車両。
【請求項2】
前記支持部材は、前記車両前後方向に延在して互いに向かい合う一対のサイドレールを有し、
前記前側高電圧部品の少なくとも一部は、前記一対のサイドレールの間に配置されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記支持部材は、前記車両前後方向に延在して互いに向かい合う一対のサイドレールを有し、
前記後側高電圧部品の少なくとも一部は、前記一対のサイドレールの間に配置されている、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記前側高電圧部品は、前記モータであり、前記後側高電圧部品は、前記充電器である、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記支持部材は、車両幅方向から見た場合に、前記中間部及び前記後部において真っ直ぐに延在している、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、バッテリ及び充電器を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された車両では、車両前部における運転席の下側に走行用モータが配置され、車両中央部におけるフロアパネルの下側にバッテリが配置されている。車両前部には、サスペンションユニットが起立した状態で収納されるサスペンションタワーが設けられており、バッテリを充電するための充電器は、サスペンションタワーの上部に形成された高電圧側ユニット室内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-131981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような車両では、高電圧部品がサスペンションタワーの上部に配置されているため、車両の重心が高くなり、走行安定性が低下するおそれがある。そこで、本発明は、走行安定性が高められた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両は、車両前後方向に沿って延在し、前部、中間部及び後部を車両前後方向における前側からこの順に有する支持部材と、モータ及び充電器を含み、支持部材に搭載された高電圧部品と、充電器を介して充電され、モータに供給するための電力を蓄えるバッテリであって、中間部に搭載されたバッテリと、を備え、支持部材は、前部が中間部よりも車両上下方向における上側に位置するように、前部と中間部との間の境界部分において曲げられており、高電圧部品は、前部に搭載された前側高電圧部品と、後部に搭載された後側高電圧部品と、を含む。
【0006】
この車両では、支持部材が、前部が中間部よりも車両上下方向における上側に位置するように、前部と中間部との間の境界部分において曲げられている。これにより、収納スペースが不足し易い前部において収納スペースを大きく確保することができる。また、支持部材の中間部にバッテリが搭載されると共に、前部に前側高電圧部品が搭載され、後部に後側高電圧部品が搭載されている。これにより、車両の重心を低くすることが可能となり、走行安定性を高めることが可能となる。
【0007】
支持部材は、車両前後方向に延在して互いに向かい合う一対のサイドレールを有し、前側高電圧部品の少なくとも一部は、一対のサイドレールの間に配置されていてもよい。この場合、車両の重心を一層低くすることが可能となる。
【0008】
支持部材は、車両前後方向に延在して互いに向かい合う一対のサイドレールを有し、後側高電圧部品の少なくとも一部は、一対のサイドレールの間に配置されていてもよい。この場合、車両の重心を一層低くすることが可能となる。また、例えば車両後部に荷物を積載する場合に、荷物の出し入れを容易化することができる。
【0009】
前側高電圧部品は、モータであり、後側高電圧部品は、充電器であってもよい。このような構成においても、車両の重心を低くして走行安定性を高めることが可能となる。
【0010】
支持部材は、車両幅方向から見た場合に、中間部及び後部において真っ直ぐに延在していてもよい。この場合、例えば車両後部に荷物を積載する場合に、荷台スペースを大きく確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走行安定性が高められた車両を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る車両の構造を車両上下方向の上側から見た平面図である。
図2】実施形態に係る車両の構造を車両幅方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。上下方向は車両上下方向における上下方向を意味し、前後方向は車両前後方向における前後方向を意味し、内外方向は車両幅方向における内外方向を意味する。車両上下方向、車両前後方向、車両幅方向をそれぞれ単に上下方向、前後方向、幅方向ともいう。
【0014】
図1及び図2に示される車両1は、後述するモータ5を駆動源として備える電気自動車として構成されている。車両1は、例えばトラック又はバス等の商用車であるが、これに限定されず、例えば大型車両、中型車両、普通乗用車、小型車両又は軽車両等のいずれであってもよい。車両1は、駆動源としてエンジンを更に備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0015】
図1及び図2に示されるように、車両1は、支持部材2を備えている。支持部材2は、車体を支持するフレームであり、全体として前後方向に沿って延在している。支持部材2は、車両前部(フロントモジュール)を構成する前部10と、車両中央部(センターモジュール)を構成する中間部20と、車両後部(リアモジュール)を構成する後部30と、を有している。前部10、中間部20及び後部30は、前後方向における前側からこの順に並んでいる。
【0016】
前部10は、一対の第1サイドレール11と、クロスメンバ12と、を有している。中間部20は、一対の第2サイドレール21と、クロスメンバ22,23と、を有している。後部30は、一対の第3サイドレール31と、クロスメンバ32と、を有している。
【0017】
一対の第1サイドレール11は、前後方向に延在しており、幅方向において互いに向かい合っている。各第1サイドレール11は、前後方向に真っ直ぐに延在する本体部11aと、本体部11aから後側に延在する延在部11bと、を有している。延在部11bの後端は、中間部20のクロスメンバ22に接続されている。延在部11bは、後側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して、真っ直ぐに延在している。クロスメンバ12は、幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第1サイドレール11の前端に接続されている。
【0018】
一対の第2サイドレール21は、前後方向に真っ直ぐに延在しており、幅方向において互いに向かい合っている。幅方向における一対の第2サイドレール21の間の間隔は、幅方向における一対の第1サイドレール11の間の間隔よりも広い。これにより、後述するバッテリ8の配置スペースを大きく確保することができる。クロスメンバ22は、幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第2サイドレール21の前端に接続されている。クロスメンバ23は、幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第2サイドレール21の後端に接続されている。クロスメンバ22,23は、前後方向において互いに向かい合っている。
【0019】
一対の第3サイドレール31は、前後方向に真っ直ぐに延在しており、幅方向において互いに向かい合っている。幅方向における一対の第3サイドレール31の間の間隔は、幅方向における一対の第1サイドレール11の間の間隔と略等しく、幅方向における一対の第2サイドレール21の間の間隔よりも狭い。各第3サイドレール31は、中間部20のクロスメンバ23に接続されている。クロスメンバ32は、幅方向に真っ直ぐに延在しており、各第3サイドレール31の後端に接続されている。
【0020】
図2を参照しつつ、幅方向から見た場合における各部の位置関係について説明する。延在部11bが設けられていることにより、前部10は、中間部20よりも車両上下方向における上側に位置している。より具体的には、一対の第1サイドレール11の本体部11aの上縁は、一対の第2サイドレール21の上縁よりも上側に位置している。すなわち、支持部材2は、前部10が中間部20よりも上側に位置するように、前部10と中間部20との間の境界部分Pにおいて曲げられている。これにより、支持部材2は、前部10と中間部20との間に段差部Sが形成された段差フレーム構造を有している。この例では延在部11bが傾斜して延在しているが、延在部11bは上下方向に真っ直ぐに延在していてもよい。すなわち、支持部材2は、境界部分Pにおいて90度に屈曲させられていてもよい。或いは、延在部11bは、湾曲して延在していてもよい。
【0021】
幅方向から見た場合に、中間部20及び後部30は、平坦に形成されている。すなわち、一対の第2サイドレール21の上縁は、一対の第3サイドレール31の上縁と同一平面上に位置している。換言すれば、支持部材2は、幅方向から見た場合に、中間部20及び後部30において(中間部20及び後部30の全体にわたって)、真っ直ぐに延在している。
【0022】
支持部材2は、車室を構成する車体(図示省略)を支持している。車体は、例えば、底壁(床面)が支持部材2上に位置するように配置されている。車両前部には、例えば運転席が設けられている。運転席には、運転者が着座可能なシート、及び車両1の操舵のためのステアリングホイール等が設けられている。車両中央部及び車両後部には、例えば、荷物又は乗客を積載するためのスペースが設けられている。車両後部には、荷物を出し入れするための出入口、又は乗客が乗り降りするための乗降口が設けられている。車両前部、車両中央部及び車両後部は、それぞれ、上下方向から見た場合に前部10、中間部20及び後部30と重なる部分である。
【0023】
また、支持部材2は、前輪3に接続された車軸3a、及び後輪4に接続された車軸4aを支持している。この例では車両1は前輪駆動であり、前輪3が駆動輪である。車軸3aは前部10において支持されており、車軸4aは後部30において支持されている。車軸3aは第1サイドレール11よりも下側に位置しており、車軸4aは第3サイドレール31よりも上側に位置している。車軸4aが第3サイドレール31よりも上側に位置していることで、支持部材2が中間部20及び後部30にわたって真っ直ぐに延在するレイアウトを採用し易くなっている。
【0024】
車両1は、モータ5と、インバータ6と、充電器7と、バッテリ8と、を更に備えている。図1及び図2では、モータ5、インバータ6、充電器7及びバッテリ8の各々の配置箇所が破線で示されている。
【0025】
インバータ6は、バッテリ8から供給される直流電流を交流電流に変換する。モータ5は、インバータ6により生成された交流電流により動作する。充電器7は、バッテリ8を充電するために用いられる。充電時には、例えば外部の充電用ケーブルが充電器7に接続され、充電器7を介してバッテリ8が充電される。バッテリ8にはモータ5に供給するための電力が蓄えられている。モータ5、インバータ6及び充電器7は、高電圧が印加される高電圧部品である。高電圧部品には例えば200V以上の高電圧が印加される。
【0026】
モータ5及びインバータ6は、支持部材2の前部10に搭載されている。すなわち、この例では、モータ5及びインバータ6が、前部10に搭載された前側高電圧部品である。より具体的には、モータ5及びインバータ6は、各第1サイドレール11に固定されている。上下方向から見た場合、モータ5及びインバータ6の全体が一対の第1サイドレール11の間に位置している。幅方向から見た場合、モータ5の一部及びインバータ6の一部が第1サイドレール11の本体部11aと重なっている。すなわち、モータ5の一部及びインバータ6の一部は、一対の第1サイドレール11の本体部11aの間に配置されている。また、インバータ6の他の一部は、一対の第1サイドレール11の延在部11bの間に配置されている。モータ5は、インバータ6よりも前側に配置されている。
【0027】
充電器7は、支持部材2の後部30に搭載されている。すなわち、この例では、充電器7が、後部30に搭載された後側高電圧部品である。より具体的には、充電器7は、各第3サイドレール31に固定されている。上下方向から見た場合、充電器7の全体が一対の第3サイドレール31の間に位置している。幅方向から見た場合、充電器7の一部が第3サイドレール31と重なっている。すなわち、充電器7の一部は、一対の第3サイドレール31の間に配置されている。充電器7は、後輪4の車軸4aよりも後側に配置されている。
【0028】
バッテリ8は、支持部材2の中間部20に搭載されている。より具体的には、バッテリ8は、各第2サイドレール21及びクロスメンバ22,23に固定されている。上下方向から見た場合、バッテリ8の全体が一対の第2サイドレール21の間に位置している。幅方向から見た場合、バッテリ8の一部が第2サイドレール21と重なっている。すなわち、バッテリ8の一部は、一対の第2サイドレール21の間に配置されている。インバータ6とバッテリ8との間には、高電圧ボックス(図示省略)が更に配置されている。高電圧ボックス内には、リレー、ヒューズ、バッテリECU(Electronic Control Unit)、DC-DCコンバータ等の高電圧部品(EV用補機)が収容されている。
[作用及び効果]
【0029】
車両1では、支持部材2が、前部10が中間部20よりも車両上下方向における上側に位置するように、前部10と中間部20との間の境界部分Pにおいて曲げられている。これにより、配置される部品が多く収納スペースが不足し易い前部10において収納スペースを大きく確保することができる。特に、車両1が前輪駆動である場合には、前部10に駆動用の部品が多く配置されるため、前部10において収納スペースが不足し易い。また、支持部材2の中間部20にバッテリ8が搭載されると共に、前部10にモータ5(前側高電圧部品)が搭載され、後部30に充電器7(後側高電圧部品)が搭載されている。これにより、車両1の重心を低くすることが可能となり、走行安定性を高めることが可能となる。また、前部10にモータ5及びインバータ6を配置することで、動力系統の近くに駆動ユニットを配置することができ、駆動機構を簡素化することができる。
【0030】
モータ5の一部が、一対の第1サイドレール11の間に配置されている。これにより、車両1の重心を一層低くすることが可能となる。
【0031】
充電器7の一部が、一対の第3サイドレール31の間に配置されている。これにより、車両1の重心を一層低くすることが可能となる。また、例えば車両後部に荷物を積載する場合に、荷物の出し入れを容易化することができる。
【0032】
支持部材2が、車両幅方向から見た場合に、中間部20及び後部30において真っ直ぐに延在している。これにより、例えば車両後部に荷物を積載する場合に、荷台スペースを大きく確保することができる。
【0033】
本発明は上記実施形態に限られない。例えば、前部10に前側高電圧部品として充電器7が配置され、後部30に後側高電圧部品としてモータ5及びインバータ6が配置されてもよい。或いは、前部10に前側高電圧部品としてモータ5、インバータ6及び充電器7が配置され、後部30に後側高電圧部品として他の高電圧部品が配置されてもよい。インバータ6は省略されてもよい。幅方向における一対の第2サイドレール21の間の間隔は、幅方向における一対の第1サイドレール11の間の間隔と等しくてもよい。第1サイドレール11、第2サイドレール21及び第3サイドレール31は、単一の部材により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…車両、2…支持部材、5…モータ(前側高電圧部品)、7…充電器(後側高電圧部品)、8…バッテリ、10…前部、11…第1サイドレール、20…中間部、30…後部、31…第3サイドレール、P…境界部分。
図1
図2