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特開2022-143201情報処理装置および方法、並びに、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143201
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置および方法、並びに、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043599
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】川名 陽方
(72)【発明者】
【氏名】近藤 茜
(72)【発明者】
【氏名】清水 至
(72)【発明者】
【氏名】坂本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】町田 渓太朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
(57)【要約】
【課題】よりユーザの個性に応じてユーザの行為を制御することができるようにする。
【解決手段】ユーザのパワーに基づいて、そのユーザの行為を制御する方法を設定する。例えば、ユーザの地位および資産の内の少なくともいずれか一方に基づいて、ユーザのパワーの大きさを判定し、判定したパワーの大きさに基づいてその方法を設定する。本開示は、例えば、情報処理装置、電子機器、情報処理方法、またはプログラム等に適用することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する制御部
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザの地位および資産の内の少なくともいずれか一方に基づいて、前記ユーザの前記パワーの大きさを判定し、判定した前記パワーの大きさに基づいて前記方法を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに前記ユーザの前記行為の目的に基づいて前記方法を設定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記方法として、画像および音声の内の少なくともいずれか一方を前記ユーザに提示することにより前記ユーザの前記行為を制御する方法を設定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが大きく、かつ、前記ユーザの前記行為が他者の為の行為である場合、前記方法として、前記ユーザの前記パワーを低減させる方法を設定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記方法として、前記画像および前記音声の内の少なくともいずれか一方を用いて前記ユーザより大きな前記パワーを有する存在を前記ユーザに提示することにより前記ユーザの前記パワーを低減させる方法を設定する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記方法として、ローテンポおよび低音よりの音楽、若しくは、寒色系の画像、またはその両方を前記ユーザに提示する方法を設定する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが小さく、かつ、前記ユーザの前記行為が前記ユーザ自身の為の行為である場合、前記方法として、前記ユーザの前記パワーを増大させる方法を設定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記方法として、前記画像および前記音声の内の少なくともいずれか一方を用いて前記ユーザの前記パワーを前記ユーザ自身により強く認識させることにより前記ユーザの前記パワーを増大させる方法を設定する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記方法として、アップテンポおよび高音よりの音楽、若しくは、暖色系の画像、またはその両方を前記ユーザに提示する方法を設定する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが大きく、かつ、前記ユーザの前記行為が前記ユーザ自身の為の、商品またはサービスの購入である場合、前記方法として、より高額な商品またはサービスを前記ユーザに提示する方法を設定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが小さく、かつ、前記ユーザの前記行為が他者の為の、商品またはサービスの購入である場合、前記方法として、より高額な商品またはサービスを前記ユーザに提示する方法を設定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記画像および前記音声の内の少なくともいずれか一方を用いて、前記制御部により設定された前記方法に応じた情報を前記ユーザに提示する情報提示部をさらに備える
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、さらに前記ユーザの前記行為の履歴に基づいて前記方法を設定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記ユーザによる前記行為を受け付け、前記ユーザの情報として、前記行為の前記履歴を取得するユーザ情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザの前記行為の前記履歴に基づいて前記方法を設定する
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、さらに、前記ユーザの状況、前記ユーザの音声、および前記ユーザの視線の内の少なくともいずれか1つに基づいて前記方法を設定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記ユーザを監視し、前記ユーザの状況、前記ユーザの音声、および前記ユーザの視線の内の少なくともいずれか1つを取得するユーザ監視部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザ監視部により取得された前記ユーザの状況、前記ユーザの音声、および前記ユーザの視線の内の少なくともいずれか1つに基づいて前記方法を設定する
請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、さらに、前記ユーザの前記行為を制御するタイミングを設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項19】
ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する
情報処理方法。
【請求項20】
コンピュータを、
ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する制御部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および方法、並びに、プログラムに関し、特に、よりユーザの個性に応じてユーザの行為を制御することができるようにした情報処理装置および方法、並びに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常生活のあらゆる場面において、個人(個性)に合わせた介入(パーソナリゼーション)が求められている。どんなユーザへ、どのタイミングで、どんな介入をするか、効率的な介入方法は有用である。
【0003】
個性を示すパラメータとしてパワーがある。パワーとは、例えば権力や資産等のように、他人や貴重なリソースに対して多くのコントロールを持っていることである。
【0004】
このような個人が有するパワーがその個人の行為に及ぼす影響について、実験が行われた(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の実験においては、「オークションでいくら払うか」を通し、個人が有するパワーに応じて、物事の価値(自分/他人についての物の価値)をどう評価するかが検証された。
【0005】
この実験により、パワーが大きな者は、パワーが小さい者に比べて、自分の為のオークションに対してより高額な提示を行うことがわかった。また、パワーが小さい者は、パワーが大きな者に比べて、他人の為のオークションに対してより高額な提示を行うことがわかった。つまり、個人が有するパワーが、その個人の行為に影響を及ぼすことがわかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Derek D. Rucher (Northwestern Univ.) et al, CONSUMER RESARCH, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来、個人の行為への介入方法(すなわち、個人の行為を制御する方法)として、個人が有するパワーを考慮することはなかった。
【0008】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、よりユーザの個性に応じてユーザの行為を制御することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の一側面の情報処理装置は、ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する制御部を備える情報処理装置である。
【0010】
本技術の一側面の情報処理方法は、ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する情報処理方法である。
【0011】
本技術の一側面のプログラムは、コンピュータを、ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する制御部として機能させるためのプログラムである。
【0012】
本技術の一側面の情報処理装置および方法、並びに、プログラムにおいては、ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法が設定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パワーの例について説明する図である。
図2】パワーの例について説明する図である。
図3】パワーの例について説明する図である。
図4】情報処理装置の主な構成例を示すブロック図である。
図5】パワーの導出方法の例を示すブロック図である。
図6】介入処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図7】介入内容決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図8】ファンコミュニティアプリへの適用例を説明する図である。
図9】車両レンタルプラン提案サービスへの適用例について説明する図である。
図10】コンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.パワーに基づくユーザ行為に対する制御
2.第1の実施の形態(情報処理装置)
3.第2の実施の形態(適用例1)
4.第3の実施の形態(適用例2)
5.第4の実施の形態(適用例3)
6.第5の実施の形態(適用例4)
7.付記
【0015】
<1.パワーに基づくユーザ行為に対する制御>
<パワー>
従来、日常生活のあらゆる場面において、個人(個性)に合わせた介入(パーソナリゼーション)が求められている。どんなユーザへ、どのタイミングで、どんな介入をするか、効率的な介入方法は有用である。
【0016】
例えば、非特許文献1等において、個性を示すパラメータとしてパワーが提案されている。パワーとは、人々の社会的階層のアーキテクチャにおける重要な基盤である。パワーは、個人が自分自身についてどのように感じるかだけでなく、他者とどのように関係し、知覚するかに、広範囲に及ぶ影響を与える。パワーは、自己または他者が焦点を合わせる程度に影響を与える。パワーが他人のニーズを満たすために他者の重要性を低下させる。
【0017】
換言するに、パワーが小さな人は、目標を達成しニーズを満たすために、他の人に注意を払わなければならないが、パワーが大きな人はそうではない。また、全体として、パワーが大きな人は他の人よりも自分自身に関心がある。
【0018】
<パワーと自己との関係>
パワーが大きな人は、自分の考えに大きく依存する。例えば、パワーが大きな人は、グループディスカッションで自分の意見の表現が多い。そして、パワーが大きな人は、他者の態度や表現による影響が少ない。例えば、パワーが大きな立場にある看守が、パワーが小さな立場にある囚人よりも重要であるかのように振る舞う。
【0019】
<パワーと他者との関係>
パワーが大きな人は、他者への感心が低減する。パワーが大きな人は、他者の視覚的視点を採用する可能性が低く、他人の感情を判断する際の精度が低い。権力は、他の人々の興味を推定する際の精度を低下させ、他者を評価する際のステレオタイプへの依存度を高める。パワーが大きな人は、自分の目標を達成することに力を入れているため、他者を単に自分の個人的な目標への手段とみなす傾向がある。
【0020】
<パワーの例>
組織では、通常、上司は従業員よりもリソースと人の両方をより強力に制御することができる。同様に、教室では、教授は成績の形で学生を管理し、知識の形でより多くのリソースを所有する。
【0021】
<介入の例>
権力が人々の日常生活に浸透するにつれて、権力の状態や「無力さ」は、状況や役割の単純な変化によって、あるいは個人が権力を所有または欠乏した過去の事例を思い出させることによっても容易に活性化される。
【0022】
<パワーによる影響の検証>
非特許文献1においては、このような個人が有するパワーがその個人の行為に及ぼす影響についての実験が開示されている。この非特許文献1に記載の実験においては、「オークションでいくら払うか」を通し、個人が有するパワーに応じて、物事の価値(自分/他人についての物の価値)をどう評価するかが検証されている。
【0023】
この実験において、パワーとは、例えば権力や資産等のように、他人や貴重なリソースに対して多くのコントロールを有することである。そして、オークションにおいて商品に対していくら払うかを、他者よりも大きなパワーを持つ場合と、他者よりも小さなパワーを持つ場合とのそれぞれのケースについて、実験の参加者に提示させ、その金額が比較された。
【0024】
この実験により、パワーが大きな者は、パワーが小さい者に比べて、自分の為のオークションに対してより高額な提示を行うことがわかった。また、パワーが小さい者は、パワーが大きな者に比べて、他人の為のオークションに対してより高額な提示を行うことがわかった。
【0025】
<個人の行為に対する制御>
つまり、個人が有するパワーが、その個人の行為に影響を及ぼすことがわかった。しかしながら、従来、個人の行為への介入方法(すなわち、個人の行為を制御する方法)として、個人が有するパワーを考慮することはなかった。そのため、よりユーザの個性に応じた方法で、ユーザの行為に介入する(すなわち、ユーザの行為を制御する)ことは困難であった。
【0026】
<パワーに基づく制御>
そこで、ユーザのパワーに基づいてユーザの行為を制御する。例えば、情報処理方法において、ユーザのパワーに基づいて、そのユーザの行為を制御する方法を設定するようにする。例えば、情報処理装置において、ユーザのパワーに基づいて、そのユーザの行為を制御する方法を設定する制御部を備えるようにする。例えば、プログラムにおいて、コンピュータを、ユーザのパワーに基づいて、そのユーザの行為を制御する方法を設定する制御部として機能させるようにする。
【0027】
このようにすることにより、よりユーザの個性に応じてユーザの行為を制御することができる。
【0028】
<2.第1の実施の形態>
<パワー>
本開示において、パワーは上述のように定義する。すなわち、パワーは、自己または他者のリソースをコントロールする力のことを示す。例えば図1に示されるような権力や階級(例えば、他人を支配する力、社会的地位、部下の人数等)がパワーの要素となり得る。
【0029】
また、例えば図2に示されるような経済的な自由度(例えば、金銭、土地、家屋等のような保有資産の豊富度)や、時間的な自由度(例えば性格や生活様式等)がパワーの要素となり得る。
【0030】
さらに、例えば図3に示されるような野心の大きさ(例えば、志、目標、夢等の大きさ)や、自己開示力や自己顕示欲の大きさがパワーの要素となり得る。
【0031】
<パワーに基づく介入例>
<コーチング>
パワーが小さい人は自己肯定感が低い可能性がある。そこで、パワーが小さい人に対しては、パワーを増大させる介入を行う。例えば、試合前や試験前において、パワーの低い選手や生徒に対して、ルーティーンの提示や簡単なタスクの提示等の介入を行う。この介入により、その選手や生徒のパフォーマンスの向上を期待することができる。
【0032】
<マナー順守>
パワーが大きい人は他者への関心が少ない傾向がある。そこで、パワーの大きい人に対しては、パワーを低減させる介入を行う。このようにすることにより、他者、他者の所有物、共有物、または公共物等の価値を正しく(高く)評価させることができる。例えばカーシェアリング等のシェアリングエコノミーサービスにおいて、パワーが大きいユーザに対して、パワーを低減させる介入を行う。このようにすることにより、そのユーザに、他者も共存する状況下でマナーを守らせるようにすることができる。また、オンラインコミュニティ等において、パワーの大きいユーザに対してこのような介入を行う。このようにすることにより、他者等への攻撃的な行為を抑制させることができる。これにより、サービスの円滑化を図ることができる。
【0033】
<リピート率の向上>
また、自分がそのサービスを受けたことに高い価値があるとユーザに思わせるような介入を行ってもよい。例えば、ユーザに対して、そのユーザが受けたサービス、担当者、他人の物が、より価値が高いものだと思わせるように介入を行ってもよい。また、ユーザがレコメンド入力する場合に、他のユーザに対する評価が高くなるように介入を行ってもよい。このような介入により、ユーザによるサービス等に対する評価を向上させることができ、事後評価時のリピート率アップを期待することができる。
【0034】
<対話AIエージェントによる機能>
また、AIを用いた対話型のサービスにおいて、エージェントが、上述のようにユーザのパワーに基づく介入を行ってもよい。例えば、エージェントが、必要に応じて、パワーが小さいユーザに対してパワーを増大させる介入を行うようにしてもよい。また、エージェントが、必要に応じて、パワーが大きい人に対してパワーを低減させる介入を行うようにしてもよい。
【0035】
<情報処理装置の構成>
図4は、本技術を適用した情報処理装置の主な構成例を示す図である。図4に示される情報処理装置100は、ユーザ131による入力を受け付けたり、ユーザ131に対して情報を提示したりすることにより、ユーザ131に対してサービスを提供する装置である。そして、そのサービス提供の際、情報処理装置100は、ユーザ131に対して、適宜、ユーザ131のパワーに基づく介入を行う。つまり、情報処理装置100は、ユーザ131のパワーに基づいて、ユーザ131の行為を制御し得る。
【0036】
図4に示されるように、情報処理装置100は、ユーザ監視部111、ユーザ情報取得部112、アプローチ決定部113、および、情報提示部114を有する。また、情報処理装置100は、入力デバイス121および入出力デバイス122を有する。
【0037】
ユーザ監視部111は、例えば、入力デバイス121を用いてユーザ131を監視し、ユーザ131の状況、ユーザ131の音声、ユーザ131の視線等の情報を取得する。例えば、ユーザ監視部111は、ユーザ131の動きを監視することができる。例えば、ユーザ監視部111が、入力デバイス121から供給される情報に基づいて、ユーザ131の位置、人数、姿勢、顔や視線の向き、または、手指のジェスチャ等を監視してもよいし、これらの内の複数を監視してもよいし、これら以外の事象を監視してもよい。
【0038】
また、ユーザ監視部111が、上述のような監視の結果に基づいて、ユーザの行動履歴を生成してもよい。また、ユーザ監視部111が、入力デバイス121において検出された画像、音声、生体情報等に基づいて、ユーザ131の特定(個人認証)を行ってもよい。
【0039】
ユーザ監視部111は、取得したユーザ131およびそのユーザ131の周辺に関する情報をアプローチ決定部113に供給する。
【0040】
入力デバイス121は、センサデバイスを有し、そのセンサデバイスにより、入力デバイス121を用いてユーザ131およびその周辺の内の少なくともいずれか一方を監視し、ユーザ131に関する情報若しくはユーザ131の周辺に関する情報、またはその両方を検出する。
【0041】
なお、このセンサデバイスはどのような情報を検出するものであってもよい。例えば、入力デバイス121は、画像を検出するカメラを有してもよい。また、入力デバイス121は、音声を検出するマイクロホンを有してもよい。また、入力デバイス121は、偏光センサであってもよい。また、入力デバイス121は、ToF(Time of Flight)センサであってもよい。また、入力デバイス121は、所謂サーモカメラのような熱を検出する熱センサであってもよい。また、入力デバイス121は、ユーザ131の視線方向を検出するアイトラッカであってもよい。また、入力デバイス121は、複数のマイクロホンからなるマイクアレイであってもよい。また、入力デバイス121は、ユーザ131の心拍を検出する心拍センサであってもよい。また、入力デバイス121は、ユーザ131の脈拍を検出するリストバンド型の脈拍センサであってもよい。
【0042】
なお、入力デバイス121がセンサデバイスを複数有していてもよい。また、入力デバイス121が複数種類のセンサデバイスを有していてもよい。例えば、入力デバイス121が、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)等であってもよい。
【0043】
入力デバイス121は、そのセンサデバイスにより検出された情報をユーザ監視部111に供給する。つまり、ユーザ監視部111に供給される情報の種類は任意である。例えば、画像であってもよいし、音声であってもよいし、それら以外であってもよい。また、複数種類の情報が入力デバイス121からユーザ監視部111に供給されるようにしてもよい。例えば、画像および音声が、入力デバイス121からユーザ監視部111に供給されるようにしてもよい。
【0044】
ユーザ情報取得部112は、ユーザ131が入出力デバイス122を操作して入力した情報を取得する。つまり、ユーザ情報取得部112は、入出力デバイス122を介してユーザ131による行為(入出力デバイス122の操作)を受け付け、その行為に関する情報を取得する。このユーザ情報取得部112が取得する、ユーザ131の行為に関する情報の内容は任意である。例えば、ユーザ131の属性(ユーザ131の個人情報)等、ユーザ131が入力した情報が含まれていてもよい。また、ユーザ131による入出力デバイス122の操作内容(どのボタンを押したかやどの選択肢を選んだか等)を示す情報が含まれていてもよい。例えば、ユーザ情報取得部112が、そのユーザ131による入出力デバイス122の操作履歴を、ユーザ131の行為の履歴として取得するようにしてもよい。もちろん、これら以外の情報が含まれていてもよい。ユーザ情報取得部112は、取得した情報(ユーザ131が入力した情報)をアプローチ決定部113に供給する。
【0045】
入出力デバイス122は、情報の入出力が可能な、ユーザ131に対するユーザインタフェースとなり得るデバイスを有する。つまり、ユーザ131に対して情報を提供したり、ユーザ131により入力された情報を受け付けたりする。
【0046】
例えば、入出力デバイス122は、情報提示部114から供給される情報を、画像や音声等として、ユーザ131に提示する。このユーザ131に提示される情報は任意であり、例えば、熱や振動等、画像や音声以外であってもよい。また、入出力デバイス122は、ユーザ131による操作を受け付けたり、ユーザ131により入力された画像や音声を受け付けたりする。入出力デバイス122は、受け付けた情報をユーザ情報取得部112に供給する。この入出力デバイス122により受け付けられる情報は任意である。つまり、入出力デバイス122は、例えばモニタやスピーカ等のような、情報の出力機能と、例えばキーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、カメラ、マイクロホン等のような、情報の入力機能との両方を有する。
【0047】
例えば、入出力デバイス122が、スマートフォンやタブレットデバイス等の携帯型端末装置を有してもよい。また、入出力デバイス122が、モニタ、キーボード、マウス、マイクロホン等を有するパーソナルコンピュータを有してもよい。もちろん、これら以外のデバイスを有してもよい。
【0048】
アプローチ決定部113は、ユーザ131のパワーに基づくユーザ131に対する介入の方法(ユーザ131による行為の制御方法)を設定する。例えば、アプローチ決定部113は、ユーザ監視部111から供給される情報を取得する。この情報は、上述したように、ユーザ131に関する情報若しくはユーザ131の周辺に関する情報、またはその両方である。
【0049】
また、アプローチ決定部113は、ユーザ情報取得部112から供給される情報を取得する。この情報は、上述したようにユーザ131が入出力デバイス122を操作して入力した情報である。例えば、ユーザ131の個性やユーザ131による行為に関する情報等がその情報に含まれ得る。
【0050】
さらに、アプローチ決定部113は、情報処理装置100の外部から一般外部データ123を取得し得る。この一般外部データ123は、介入方法の設定に用いられる情報であり、情報処理装置100の外部から供給される。なお、この一般外部データ123には、どのような情報が含まれていてもよい。つまり、一般外部データ123は、介入方法の設定に用いられる情報であれば、その内容は任意である。
【0051】
アプローチ決定部113は、取得したこれらの情報に基づいて、ユーザ131のパワーを導出し、その導出したパワーに基づいて、ユーザ131による行為への介入(ユーザ131による行為の制御)の方法を設定する。
【0052】
例えば、アプローチ決定部113は、取得したこれらの情報により示される、ユーザ131の地位および資産の内の少なくともいずれか一方に基づいて、ユーザ131のパワーの大きさを判定し、判定したパワーの大きさに基づいて介入の方法を設定してもよい。
【0053】
また、アプローチ決定部113は、取得したこれらの情報により示される、ユーザ131の行為の目的に基づいて介入の方法を設定してもよい。さらに、アプローチ決定部113は、取得したこれらの情報により示される、ユーザ131の行為の履歴に基づいて介入の方法を設定してもよい。また、アプローチ決定部113は、取得したこれらの情報により示される、ユーザ131の状況、ユーザ131の音声、およびユーザ131の視線の内の少なくともいずれか1つに基づいて介入の方法を設定してもよい。
【0054】
そして、アプローチ決定部113は、設定した方法で介入を行うように、必要な情報を情報提示部114に供給する。この情報は任意の情報により構成され得る。例えば、画像が含まれていてもよいし、音声が含まれていてもよいし、その両方が含まれていてもよい。つまり、アプローチ決定部113は、その介入の方法として、画像および音声の内の少なくともいずれか一方をユーザ131に提示する方法を設定してもよい。
【0055】
また、その際、アプローチ決定部113は、介入のタイミング(情報の提示のタイミング)を制御してもよい。例えば、アプローチ決定部113は、設定したタイミングにおいて情報を情報提示部114に供給し、提示させてもよい。
【0056】
情報提示部114は、ユーザ131に対する情報の提供に関する処理を行う。例えば、情報提示部114は、アプローチ決定部113から供給される情報を取得し、ユーザ131に対してその情報の提示を行う。例えば、情報提示部114は、画像および音声の内の少なくともいずれか一方を用いて、アプローチ決定部113により設定された介入の方法に応じた情報をユーザ131に提示してもよい。例えば、情報提示部114が、視覚情報を提示するプロジェクタや、音声を出力するスピーカ等といった、出力デバイスを有していてもよい。また、情報提示部114が、入出力デバイス122を用いてその情報の提示を行ってもよい。例えば、情報提示部114が、アプローチ決定部113から供給される情報を入出力デバイス122に供給し、その情報を、画像や音声等としてユーザ131に対して提示させてもよい。
【0057】
<パワーの導出方法>
パワーには、主観的に感じるパラメータと客観的に判断されるパラメータがある。ユースケースに応じて、どちらかまたは両方のパラメータを用いる。
【0058】
例えば、主観的に感じるパラメータには、会社で実施されるストレスチェックなどのアンケート結果、慢性的・長期的ストレスがある(かつ、その理由が人間関係と推定できる)、BIG5などの性格診断結果、他人を支配したい正確か否か、支配欲、これが満たされているか、スマートスピーカでセンシングされる対話履歴、会社等での行動ログ等がある。これらのいずれかを適用しても良いし、複数を組み合わせて適用しても良い。また、これら以外のパラメータを適用しても良い。
【0059】
また、客観的に判断されるパラメータには、例えば、一般的な社会的地位情報(顧客情報等から)、ソーシャルスコア(発言の影響力、フォロア数)、ソーシャルグラフ、クレジットスコア、購買履歴、スマートスピーカでセンシングされる対話履歴、会社等での行動ログ等がある。これらのいずれかを適用しても良いし、複数を組み合わせて適用しても良い。また、これら以外のパラメータを適用しても良い。
【0060】
また、自分および周囲を含めた他人の行動特性より、各個人のパワーや関係性を推定してもよい。例えば、図5のAに示されるように多人数が1か所に集結していたり、図5のBに示されるように横一列に並んでいたりする場合、個人の間のパワーの差は比較的小さいと推定することができる。これに対して、例えば図5のCに示されるように、一部の人間のみ(例えば1名のみ)が他よりも地位等が高い場合、個人の間のパワーの差が比較的大きいと推定することができる。もちろん、これらは一例であり、各個人のパワーや関係性の推定の根拠とする情報は任意である。
【0061】
<介入の方法>
アプローチ決定部113による、パワーに基づくユーザ131による行為への介入の方法は任意である。例えば、アプローチ決定部113は、ユーザ131のパワーを低減させるように介入を行ってもよい。例えば、アプローチ決定部113は、ユーザ131が自分を支配する対象を想起するように、介入を行ってもよい。例えば、ユーザ131に、上司、奥さん、または親を思い浮かべさせてもよい。また、アプローチ決定部113は、ユーザ131がリソースの制御を行うことができないと感じさせるように、介入を行ってもよい。例えば、AIエージェントがユーザ131をたしなめてもよい。また、アプローチ決定部113は、より上位の存在をユーザ131に対して提示してもよい。例えば、ゲームで、より上位ランキングのプレイヤの状況を見せてもよい。また、少し上のランキングのプレイヤとマッチングしてもよい。介入の方法は任意であり、ストレスをかける以外の方法にであってもよい。例えば、見方を変えさせる介入を行ってもよい。
【0062】
また、例えば、アプローチ決定部113は、ユーザ131のパワーを増大させるように介入を行ってもよい。例えば、アプローチ決定部113は、ユーザ131が様々なものをコントロールできていることをユーザ131自身に認識させてもよい。例えば、ユーザ131に、簡単な問題を解かせたり、簡単なタスクをやらせたりしてもよい。また、AIエージェントが対話によって、支配される感を出すようにしたり、言うことを聞かせるようにしたり、命令をユーザ131にさせて聞いたりしてもよい。
【0063】
また、例えば、アプローチ決定部113は、ユーザ131が他者に対して影響力があるとユーザ131自身に認識させるように、介入を行ってもよい。例えば、ユーザ131にアドバイスをさせて、そのアドバイスが役に立つとユーザ131自身に思わせたり、そのアドバイスが他者に影響を与えるとたりユーザ131自身に感じさせたりしてもよい。また、ソーシャルスコアを可視化して、繋がりがあることを見せてもよい。例えば、「イイね」の提示を行ってもよい。
【0064】
<介入処理の流れ>
図6のフローチャートを参照して、情報処理装置100が実行する介入処理の流れの例を説明する。
【0065】
介入処理が開始されると、情報処理装置100のユーザ監視部111は、ステップS101において、入力デバイス121を介してユーザ131の周辺等の外部環境を認識する。
【0066】
ステップS102において、ユーザ情報取得部112は、入出力デバイス122を介してユーザの行動および状況を認識する。
【0067】
ステップS103において、アプローチ決定部113は、ステップS101およびステップS102において取得した情報に基づいて、ユーザ131のパワーを推定する。
【0068】
ステップS104において、アプローチ決定部113は、ステップS103において推定したユーザ131のパワーに基づいて、介入の必要があるか否かを判定する。介入の必要がないと判定された場合、処理はステップS102に戻る。
【0069】
また、ステップS104において介入の必要があると判定された場合、処理はステップS105に進む。
【0070】
ステップS105において、アプローチ決定部113は、ステップS103において推定したユーザ131のパワーに基づいて、介入の方法を決定する。
【0071】
ステップS106において、アプローチ決定部113は、介入のタイミングであるか否かを判定する。介入のタイミングでないと判定された場合、待機する。介入のタイミングであると判定された場合、処理はステップS107に進む。
【0072】
ステップS107において、情報提示部114は、ステップS105において決定された介入内容を反映させた提示を行う。ステップS107の処理が終了すると介入処理が終了する。
【0073】
<介入内容決定処理の流れ>
図7のフローチャートを参照して、図6のステップS105において実行される介入内容決定処理の流れの例を絶命する。
【0074】
介入内容決定処理が開始されると、ステップS151において、アプローチ決定部113は、パワーがあるか否かを判定する。パワーがある(つまり、パワーが大きい)と判定された場合、処理はステップS152に進む。
【0075】
ステップS152において、アプローチ決定部113は、ユーザ131が行おうとしている行為が、自分向けの購入か否かを判定する。
【0076】
自分向けの購入(すなわちユーザ131自身のための購入)であると判定された場合、処理はステップS153に進む。自分向けの購入の場合、パワーが大きい者はパワーが小さい者に比べて高額の商品(またはサービス)を購入するという傾向がある。そこで、アプローチ決定部113は、ステップS153において、パワーが強いユーザ131の要望により適合しそうな(ユーザ131が購入しそうな)、より高額商品(またはサービス)の提案を行うように決定する。
【0077】
このようにすることにより、ユーザ131が自分のためにより高額の商品(またはサービス)を購入することを期待することができる。ステップS153の処理が終了すると、介入内容決定処理が終了し、処理は図6に戻る。
【0078】
また、ステップS152において、他人向けの購入であると判定された場合、処理はステップS154に進む。他人向けの購入の場合、パワーが大きい者はパワーが小さい者に比べて低額の商品(またはサービス)を購入するという傾向がある。そこで、アプローチ決定部113は、ステップS154において、ユーザ131のパワーを低減させるように介入を行うように決定する。
【0079】
例えば、アプローチ決定部113は、その介入として、情報提示部114が画像および音声の内の少なくともいずれか一方をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。例えば、アプローチ決定部113は、その画像および音声の内の少なくともいずれか一方を用いて、ユーザ131が持っているよりも大きなパワーを持つ存在(例えば、自然、神、超常現象、宇宙等)をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。
【0080】
また、例えば、アプローチ決定部113は、テンションの上がりづらい音楽(例えばローテンポの音楽や低音よりの音楽等)をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。さらに、アプローチ決定部113は、寒色系の画像をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。もちろん、アプローチ決定部113が、その両方をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。ステップS154の処理が終了すると、介入内容決定処理が終了し、処理は図6に戻る。
【0081】
このようにすることにより、ユーザ131が他人のためにより高額の商品(またはサービス)を購入することを期待することができる。
【0082】
また、ステップS151において、パワーがない(つまり、パワーが小さい)と判定された場合、処理はステップS155に進む。ステップS155において、アプローチ決定部113は、自分向けの購入か否かを判定する。
【0083】
自分向けの購入であると判定された場合、処理はステップS156に進む。自分向けの購入の場合、パワーが小さい者はパワーが大きい者に比べて低額の商品(またはサービス)を購入するという傾向がある。そこで、アプローチ決定部113は、ステップS156において、ユーザ131のパワーを増大させるように介入を行う。
【0084】
例えば、アプローチ決定部113は、その介入として、情報提示部114が画像および音声の内の少なくともいずれか一方をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。例えば、アプローチ決定部113は、その画像および音声の内の少なくともいずれか一方を用いて、ユーザ131のパワーをユーザ131自身により強く認識させることにより、ユーザ131のパワーを増大させるように決定してもよい。例えば、アプローチ決定部113は、その画像および音声の内の少なくともいずれか一方を用いて、ユーザ131に簡単な問題を解かせたり、肯定的な評価を行ったりするように決定してもよい。
【0085】
また、アプローチ決定部113は、テンションの上がりやすい音楽(例えばアップテンポの音楽や高音よりの音楽等)を、ユーザ131に対して提示するように決定してもよい。さらに、アプローチ決定部113は、暖色系の画像をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。もちろん、アプローチ決定部113が、その両方をユーザ131に対して提示するように決定してもよい。ステップS156の処理が終了すると、介入内容決定処理が終了し、処理は図6に戻る。
【0086】
このようにすることにより、ユーザ131が自分のためにより高額の商品(またはサービス)を購入することを期待することができる。
【0087】
また、ステップS155において、他人向けの購入であると判定された場合、処理はステップS157に進む。他人向けの購入の場合、パワーが小さい者はパワーが大きい者に比べて高額の商品(またはサービス)を購入するという傾向がある。そこで、アプローチ決定部113は、ステップS157において、パワーが小さいユーザ131の要望により適合しそうな(ユーザ131が購入しそうな)、より高額商品(またはサービス)の提案を行うように決定する。ステップS157の処理が終了すると、介入内容決定処理が終了し、処理は図6に戻る。
【0088】
このようにすることにより、ユーザ131が他人のためにより高額の商品(またはサービス)を購入することを期待することができる。
【0089】
<3.第2の実施の形態>
<適用例1>
以上においては、一般的な購買システムにおける適用例について説明したが、本技術は任意のシステムに適用することができる。例えば、スタジアムの座席販売のダイナミック・プライシングに本技術を適用してもよい。例えば、パワーが大きい人は、自分のために価値を払う傾向にあるので、価格を強気に設定するといった介入を行っても良い。また、パワーが小さい人は、他人のために価値を払う傾向にあるので、他人の席も含めた購買である場合は、値段設定を高くするといった介入を行っても良い。
【0090】
また、本技術は、広告分野(ターゲティング、内容)のシステムに適用してもよい。本技術は、例えば、家、自動車、旅行等といった、消費財以外の商品やサービス販売産業のシステムにも適用することができる。また、本技術は、他者向け購入が考えられる商品を扱うサービスのシステムにも適用することができる。さらに、本技術は、オンラインショッピングサイトのレコメンデーションや店頭接客時の情報提供支援等のシステムにも適用することができる。
【0091】
<4.第3の実施の形態>
<適用例2>
また、例えば、ファンコミュニティのアプリケーションに本技術を適用してもよい。例えば、図8に示されるように、コミュニティ内で、たまに参加して適度に盛り上がりたい人や毎日より深いレベルで語り合いたい人をパワーレベルとして分類し、同じパワーレベル同士の人でグループを作成するようにしてもよい。パワーレベルは、例えば、ブロックチェーンや仮想通貨の使用金額等に基づいて分けるようにしてもよい。
【0092】
このようにすることにより、例えば、コミュニティが出来上がりすぎて、後から参加する人が気後れしてしまう等といった、所謂コアファンと称される以前から参加している思い入れが強いファンによる後から参加する人たちへの悪影響を防ぐことで、新規参入の障壁を下げることができる。また、ゲームの場合、開始してから(ゲーム世界)でないとグループ分けできないが、ファンコミュニティはサービス加入前に(現実世界において)グループ分けを行うことができ、ゲームのマッチングよりも早期にグループ分けを行うことができる。このようにすることにより、コミュニティの活発化や参加人数の増加を期待することができる。
【0093】
<5.第4の実施の形態>
<適用例3>
また、車両レンタルプランの提案や変更に本技術を適用してもよい。例えば、車両をレンタルする際に、図9に示されるように、店舗(システム)が客に対してレンタルプランを提示するとする。その場合に、店舗(システム)が、先にユーザのパワーを把握し、そのパワーに応じて車両レンタルのプランを提案したり変更したりしてもよい。
【0094】
例えば、パワーの小さい人は、先を譲りやすく、車間距離が広く、他の車両に割り込まれる傾向がある。また、それらにより渋滞が起こりやすい可能性がある。これに対して、パワーの大きい人は、先を譲らず、車間距離が狭く、接触事故を起こしやすい可能性がある。また、パワーが大きい人は、高級車を選択する傾向がある。このように、パワーの大きさに基づいて、ユーザの自分や他人の価値に対する評価を想定し、ユーザが、他人(別の車両・歩行者・交通法規)に対して謙虚に振る舞うか、そうではないかといった想定を行う。このようなパワーに基づく傾向を前提とし、店舗(システム)が、ユーザへ提示するプランを決定する。なお、パワーの推定方法は任意である。例えば、ユーザの運転傾向等に基づいてパワーを推定してもよいし、ユーザの個人情報等に基づいて推定してもよい。
【0095】
このようにすることにより、例えば、事故リスクの増大を抑制するように、プランの提案を行うことができる。過去にサービスを使用したユーザであれば予め運転傾向がわかるが、そうではないユーザについても、事前に運転傾向を予測することができる。
【0096】
<6.第5の実施の形態>
<適用例4>
また、複数人のパワー差を考慮したエージェントによる介入を行ってもよい。例えば、パワーの大きい人とパワーの小さい人とエージェントといった組み合わせや、複数人とシステム(店舗)とエージェントといった組み合わせのような、複数人とエージェントが存在する状況において、パワーを考慮した介入を行ってもよい。
【0097】
例えば、無人店舗にパワーの小さい夫とパワーの大きい妻の夫婦が買い物に来た場合、自分向けの買い物か、他人向けの買い物かで、提示の仕方を変えるようにしてもよい。例えば、パワーが大きい方の判断を推薦したり、高い金額を提示したりしてもよい。
【0098】
また、メールの送受信システム等において、パワーが大きい人から小さい人へメール送る場合にシステムが介入し、パワー間の差を埋めるようにしてもよい。例えば、介入によりパワーの小さい人のパワーを上げることで、コミュニケーションを活発化させてもよい。また、複数人によるネットワークを介した会話や会議を実現するシステムにおいて、会話中のコンテクストを拾って、その2人の会話をサポートする情報の提示を行ってもよい。
【0099】
<7.付記>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0100】
図10は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0101】
図10に示されるコンピュータ900において、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903は、バス904を介して相互に接続されている。
【0102】
バス904にはまた、入出力インタフェース910も接続されている。入出力インタフェース910には、入力部911、出力部912、記憶部913、通信部914、およびドライブ915が接続されている。
【0103】
入力部911は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部912は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部913は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部914は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ915は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア921を駆動する。
【0104】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU901が、例えば、記憶部913に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース910およびバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM903にはまた、CPU901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0105】
コンピュータが実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア921に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア921をドライブ915に装着することにより、入出力インタフェース910を介して、記憶部913にインストールすることができる。
【0106】
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部914で受信し、記憶部913にインストールすることができる。
【0107】
その他、このプログラムは、ROM902や記憶部913に、あらかじめインストールしておくこともできる。
【0108】
<本技術を適用可能な構成の例>
本技術は、任意の構成に適用することができる。例えば、本技術は、電子機器やシステムに適用され得る。
【0109】
また、例えば、本技術は、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ(例えばビデオプロセッサ)、複数のプロセッサ等を用いるモジュール(例えばビデオモジュール)、複数のモジュール等を用いるユニット(例えばビデオユニット)、または、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット(例えばビデオセット)等、装置の一部の構成として実施することもできる。
【0110】
また、例えば、本技術は、複数の装置により構成されるネットワークシステムにも適用することもできる。例えば、本技術を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングとして実施するようにしてもよい。例えば、コンピュータ、AV(Audio Visual)機器、携帯型情報処理端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の任意の端末に対して、画像(動画像)に関するサービスを提供するクラウドサービスにおいて本技術を実施するようにしてもよい。
【0111】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、および、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0112】
<本技術を適用可能な分野・用途>
本技術を適用したシステム、装置、処理部等は、例えば、交通、医療、防犯、農業、畜産業、鉱業、美容、工場、家電、気象、自然監視等、任意の分野に利用することができる。また、その用途も任意である。
【0113】
例えば、本技術は、観賞用コンテンツ等の提供の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。また、例えば、本技術は、交通状況の監理や自動運転制御等、交通の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、セキュリティの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、例えば、本技術は、機械等の自動制御の用に供されるシステムやデバイスに適用することができる。さらに、例えば、本技術は、農業や畜産業の用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。また、本技術は、例えば火山、森林、海洋等の自然の状態や野生生物等を監視するシステムやデバイスにも適用することができる。さらに、例えば、本技術は、スポーツの用に供されるシステムやデバイスにも適用することができる。
【0114】
<その他>
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0115】
例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0116】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行されるようにしてもよい。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0117】
また、例えば、1つのフローチャートの各ステップを、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合、その複数の処理を、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0118】
また、例えば、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0119】
また、例えば、本技術に関する複数の技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0120】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する制御部
を備える情報処理装置。
(2) 前記制御部は、前記ユーザの地位および資産の内の少なくともいずれか一方に基づいて、前記ユーザの前記パワーの大きさを判定し、判定した前記パワーの大きさに基づいて前記方法を設定する
(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記制御部は、さらに前記ユーザの前記行為の目的に基づいて前記方法を設定する
(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記制御部は、前記方法として、画像および音声の内の少なくともいずれか一方を前記ユーザに提示することにより前記ユーザの前記行為を制御する方法を設定する
(3)に記載の情報処理装置。
(5) 前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが大きく、かつ、前記ユーザの前記行為が他者の為の行為である場合、前記方法として、前記ユーザの前記パワーを低減させる方法を設定する
(4)に記載の情報処理装置。
(6) 前記制御部は、前記方法として、前記画像および前記音声の内の少なくともいずれか一方を用いて前記ユーザより大きな前記パワーを有する存在を前記ユーザに提示することにより前記ユーザの前記パワーを低減させる方法を設定する
(5)に記載の情報処理装置。
(7) 前記制御部は、前記方法として、ローテンポおよび低音よりの音楽、若しくは、寒色系の画像、またはその両方を前記ユーザに提示する方法を設定する
(6)に記載の情報処理装置。
(8) 前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが小さく、かつ、前記ユーザの前記行為が前記ユーザ自身の為の行為である場合、前記方法として、前記ユーザの前記パワーを増大させる方法を設定する
(4)乃至(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9) 前記制御部は、前記方法として、前記画像および前記音声の内の少なくともいずれか一方を用いて前記ユーザの前記パワーを前記ユーザ自身により強く認識させることにより前記ユーザの前記パワーを増大させる方法を設定する
(8)に記載の情報処理装置。
(10) 前記制御部は、前記方法として、アップテンポおよび高音よりの音楽、若しくは、暖色系の画像、またはその両方を前記ユーザに提示する方法を設定する
(9)に記載の情報処理装置。
(11) 前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが大きく、かつ、前記ユーザの前記行為が前記ユーザ自身の為の、商品またはサービスの購入である場合、前記方法として、より高額な商品またはサービスを前記ユーザに提示する方法を設定する
(4)乃至(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
(12) 前記制御部は、前記ユーザの前記パワーが小さく、かつ、前記ユーザの前記行為が他者の為の、商品またはサービスの購入である場合、前記方法として、より高額な商品またはサービスを前記ユーザに提示する方法を設定する
(4)乃至(11)のいずれかに記載の情報処理装置。
(13) 前記画像および前記音声の内の少なくともいずれか一方を用いて、前記制御部により設定された前記方法に応じた情報を前記ユーザに提示する情報提示部をさらに備える
(4)乃至(12)のいずれかに記載の情報処理装置。
(14) 前記制御部は、さらに前記ユーザの前記行為の履歴に基づいて前記方法を設定する
(3)乃至(13)のいずれかに記載の情報処理装置。
(15) 前記ユーザによる前記行為を受け付け、前記ユーザの情報として、前記行為の前記履歴を取得するユーザ情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザの前記行為の前記履歴に基づいて前記方法を設定する
(14)に記載の情報処理装置。
(16) 前記制御部は、さらに、前記ユーザの状況、前記ユーザの音声、および前記ユーザの視線の内の少なくともいずれか1つに基づいて前記方法を設定する
(3)乃至(15)のいずれかに記載の情報処理装置。
(17) 前記ユーザを監視し、前記ユーザの状況、前記ユーザの音声、および前記ユーザの視線の内の少なくともいずれか1つを取得するユーザ監視部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザ監視部により取得された前記ユーザの状況、前記ユーザの音声、および前記ユーザの視線の内の少なくともいずれか1つに基づいて前記方法を設定する
(16)に記載の情報処理装置。
(18) 前記制御部は、さらに、前記ユーザの前記行為を制御するタイミングを設定する
(1)乃至(17)のいずれかに記載の情報処理装置。
(19) ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する
情報処理方法。
(20) コンピュータを、
ユーザのパワーに基づいて、前記ユーザの行為を制御する方法を設定する制御部
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0121】
100 情報処理装置, 111 ユーザ監視部, 112 ユーザ情報取得部, 113 アプローチ決定部, 114 情報提示部, 121 入力デバイス, 122 入出力デバイス, 123 一般外部データ, 131 ユーザ, 900 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10