(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143210
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】通信処理方法、プログラム、通信システム、通信制御装置、および、集約基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 48/20 20090101AFI20220926BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20220926BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20220926BHJP
【FI】
H04W48/20
H04W16/28
H04W48/16 132
H04W48/16 133
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043610
(22)【出願日】2021-03-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】玉井 森彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067KK02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多様な通信のトラヒックが混在する通信ネットワークにおいて、品質要求を考慮しつつ分散基地局に通信フローを適切に割り当て、通信品質の劣化を防止する。
【解決手段】通信システム1000において、集約基地局は、分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する。通信制御装置は、サーバが提供しようとしているアプリケーションがどのようなQoS要求をしているかを通信パケットのヘッダから判断し、それに対応するQoSフロー識別子を設定する。設定したQoSフロー識別子に基づいて、分散基地局の役割分担(指向性の決定)を行う。そして、集約基地局が、分散基地局の指向性に基づいて、各分散基地局が担当する通信フローの通信パケットをできるだけ多く対応する分散基地局に送信する。したがって、優先度の高い通信フローが優先され、優先度の低い通信フローが犠牲になり、通信品質が劣化することを適切に防止することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のアプリケーションを提供するサーバと、通信制御装置と、集約基地局と、複数の分散基地局とを含む通信システムで用いられる通信処理方法であって、
前記集約基地局が、前記集約基地局に管理される前記分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する指向性設定ステップと、
前記通信制御装置が、前記サーバから送信される通信パケットのヘッダを解析し、前記サーバが前記アプリケーションを提供するために必要とするQoS要求を特定し、特定したQoS要求を満たす通信フローを設定するためのQoSフロー識別子を決定するQoSフロー識別子決定ステップと、
前記集約基地局が、前記通信制御装置から送信される各通信フローの通信パケットを解析することで、当該通信パケットの通信フローのQoSフロー識別子を取得し、取得したQoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定し、特定したQoS特性に基づいて、前記通信制御装置から受信した通信パケットを送信する分散基地局を決定する振り分け処理を実行する振り分け処理ステップと、
前記集約基地局が、前記通信制御装置から受信した通信パケットを、前記振り分け処理により決定された送信先の分散基地局に送信するデータ送信ステップと、
を備える通信処理方法。
【請求項2】
前記指向性設定ステップで設定される通信フローの指向性は、
(1)高速大容量通信を実現するQoS要求を満たす通信フローであるeMBB通信フローを多く扱う指向性であるeMBB指向性と、
(2)高信頼低遅延通信を実現するQoS要求を満たす通信フローであるURLLC通信フローを多く扱う指向性であるURLLC指向性と、
を含み、
前記集約基地局は、前記eMBB指向性を設定された分散基地局を、前記eMBB通信フローを多く処理するように制御するとともに、前記URLLC指向性を設定された分散基地局を、前記URLLC通信フローを多く処理するように制御する、
請求項1に記載の通信処理方法。
【請求項3】
前記通信制御装置が、前記QoSフロー識別子と当該QoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定することができるQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを、前記集約基地局に送信するQoSフロー識別子-QoSプロファイル対応情報送信ステップ
をさらに備える請求項1または2に記載の通信処理方法。
【請求項4】
前記指向性設定ステップは、
前記集約基地局が、前記分散基地局の通信相手となっている端末装置の通信ログ情報を、前記分散基地局から取得し、前記通信ログに基づいて、1つの端末装置と通信する確率が高い前記分散基地局のペアを検出し、当該検出結果に基づいて、前記分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する、
請求項1から3のいずれかに記載の通信処理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の通信処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
所定のアプリケーションを提供するサーバと、通信制御装置と、集約基地局と、複数の分散基地局とを含む通信システムであって、
前記集約基地局は、
当該集約基地局に管理される前記分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する指向性設定ステップを実行し、
前記通信制御装置は、
前記サーバから送信される通信パケットのヘッダを解析し、前記サーバが前記アプリケーションを提供するために必要とするQoS要求を特定し、特定したQoS要求を満たす通信フローを設定するためのQoSフロー識別子を決定するQoSフロー識別子決定ステップを実行し、
前記集約基地局は、
前記通信制御装置から送信される各通信フローの通信パケットを解析することで、当該通信パケットの通信フローのQoSフロー識別子を取得し、取得したQoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定し、特定したQoS特性に基づいて、前記通信制御装置から受信した通信パケットを送信する分散基地局を決定する振り分け処理を実行する振り分け処理ステップと、
前記通信制御装置から受信した通信パケットを、前記振り分け処理により決定された送信先の分散基地局に送信するデータ送信ステップと、
を実行する、
通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載の通信システムに用いられる通信制御装置であって、
前記サーバから送信される通信パケットのヘッダを解析し、前記サーバが前記アプリケーションを提供するために必要とするQoS要求を特定し、特定したQoS要求を満たす通信フローを設定するためのQoSフロー識別子を決定するQoSフロー識別子決定ステップと、
前記QoSフロー識別子と当該QoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定することができるQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを、前記集約基地局に送信するQoSフロー識別子-QoSプロファイル対応情報送信ステップと、
を実行する通信制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の通信システムに用いられる集約基地局であって、
当該集約基地局に管理される前記分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する指向性設定ステップと、
前記通信制御装置から送信される各通信フローの通信パケットを解析することで、当該通信パケットの通信フローのQoSフロー識別子を取得し、取得したQoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定し、特定したQoS特性に基づいて、前記通信制御装置から受信した通信パケットを送信する分散基地局を決定する振り分け処理を実行する振り分け処理ステップと、
前記通信制御装置から受信した通信パケットを、前記振り分け処理により決定された送信先の分散基地局に送信するデータ送信ステップと、
を実行する集約基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に、品質要求を考慮しつつ分散基地局に通信フローを割り当てるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
5G(第5世代移動通信システム)では、スマートフォン、IoTデバイス、ロボット、スマートカーなどの多種多様なデバイスがネットワークに接続されることから、様々なQoS要求(QoS:Quality of Service)を持つアプリケーションのトラフィックを収容することが求められる。
【0003】
5Gの標準アーキテクチャでは、多様なQoS要求が混在したトラフィック全体から、個々の通信フロー(同一のQoS要求とみなせる通信パケットの集合)を識別し、通信フローごとに、その通信フローのQoS要求に応じた無線リソースを割り当てるための仕組みが用意されている。5GにおけるQoS要求上の大きな種別として、eMBB(高速大容量通信、eMBB:Enhanced Mobile Broadband)とURLLC(高信頼低遅延通信、URLLC:Ultra Reliable Low Latency Communication)がある。
【0004】
5G規格に準拠した通信システム(5G通信システム)において、異なるタイプのトラフィックを効率良く処理することが重要であり、例えば、特許文献1には、5G通信システムにおける異なるタイプのトラフィックを物理層(PHYレイヤー)で多重化する技術の開示がある。特許文献1の技術を用いることで、例えば、eMBBの通信フローとURLLCの通信フローとが混在したトラフィックを収容する基地局において、それぞれのトラフィックを無線リソース上に多重化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、異なるタイプのトラフィックを物理層で多重化しているだけなので、以下のような問題が生じる。
【0007】
一つの基地局の無線リソース上でeMBBの通信フローとURLLCの通信フローとを同時に収容しようとする場合、URLLCの通信フローでは低遅延性が求められることから、eMBBの通信フローよりも優先的に無線リソースを割り当てる必要がある。その一方で、URLLCの通信フローを優先すると、eMBBの通信フローに割り当て可能な無線リソース量が不十分となり、eMBBの通信フローの実効品質が低下するという問題が生じる。特許文献1の技術では、異なるタイプのトラフィックを物理層で多重化しているだけなので、このような問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、通信ネットワークにおいて、多様な通信のトラヒックが混在する状況においても、品質要求を考慮しつつ分散基地局に通信フローを適切に割り当て、URLLCの通信フローを優先することで犠牲となるeMBBの通信フローが発生する可能性をできるだけ軽減することができる通信システム、通信処理方法、および、プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明は、所定のアプリケーションを提供するサーバと、通信制御装置と、集約基地局と、複数の分散基地局とを含む通信システムで用いられる通信処理方法である。通信処理方法は、指向性設定ステップと、QoSフロー識別子決定ステップと、振り分け処理ステップと、データ送信ステップと、を備える。
【0010】
指向性設定ステップでは、集約基地局が、集約基地局に管理される分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する。
【0011】
QoSフロー識別子決定ステップでは、通信制御装置が、サーバから送信される通信パケットのヘッダを解析し、サーバがアプリケーションを提供するために必要とするQoS要求を特定し、特定したQoS要求を満たす通信フローを設定するためのQoSフロー識別子を決定する。
【0012】
振り分け処理ステップでは、集約基地局が、通信制御装置から送信される各通信フローの通信パケットを解析することで、当該通信パケットの通信フローのQoSフロー識別子を取得し、取得したQoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定し、特定したQoS特性に基づいて、通信制御装置から受信した通信パケットを送信する分散基地局を決定する振り分け処理を実行する。
【0013】
データ送信ステップでは、集約基地局が、通信制御装置から受信した通信パケットを、振り分け処理により決定された送信先の分散基地局に送信する。
【0014】
この通信処理方法では、集約基地局が、集約基地局に管理される分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定し、通信制御装置が、サーバが提供しようとしているアプリケーションがどのようなQoS要求をしているかを通信パケットのヘッダ(例えば、ToS値を含むヘッダ)から判断し、それに対応するQoSフロー識別子を設定する。そして、この通信処理方法では、通信制御装置が設定したQoSフロー識別子に基づいて、例えば、RANの分散基地局の役割分担(指向性(例えば、eMBB指向、URLLC指向)の決定)を行うことができる。そして、この通信処理方法では、集約基地局が、分散基地局の指向性に基づいて、各分散基地局が担当する通信フロー(各分散基地局ができるだけ多く扱う通信フロー)の通信パケットをできるだけ多く対応する分散基地局に送信することができる。したがって、優先度の高い通信フロー(例えば、URLLC通信フロー)が優先され、優先度の低い通信フロー(例えば、eMBB通信フロー)が犠牲になり、通信品質が劣化することを適切に防止することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明であって、指向性設定ステップで設定される通信フローの指向性は、
(1)高速大容量通信を実現するQoS要求を満たす通信フローであるeMBB通信フローを多く扱う指向性であるeMBB指向性と、
(2)高信頼低遅延通信を実現するQoS要求を満たす通信フローであるURLLC通信フローを多く扱う指向性であるURLLC指向性と、
を含む。
【0016】
そして、集約基地局は、eMBB指向性を設定された分散基地局を、eMBB通信フローを多く処理するように制御するとともに、URLLC指向性を設定された分散基地局を、URLLC通信フローを多く処理するように制御する。
【0017】
これにより、この通信処理方法では、eMBB指向の分散基地局と、URLLC指向の分散基地局を設定することができ、できるだけ多くのeMBB通信フローをeMBB指向の分散基地局に送信することができるとともに、できるだけ多くのURLLC通信フローをURLLC指向の分散基地局に送信することができる。したがって、優先度の高い通信フローであるURLLC通信フローが優先され、優先度の低い通信フローであるeMBB通信フローが犠牲になり、通信品質が劣化することを適切に防止することができる。
【0018】
第3の発明は、第1または第2の発明であって、通信制御装置が、QoSフロー識別子と当該QoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定することができるQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを、集約基地局に送信するQoSフロー識別子-QoSプロファイル対応情報送信ステップをさらに備える。
【0019】
これにより、この通信処理方法では、QoSフロー識別子とQoSプロファイルとの対応情報を、通信制御装置から集約基地局に送信することができ、集約基地局は、QoSフロー識別子とQoSプロファイルとの対応情報を記憶保持することができる。そして、集約基地局は、QoSフロー識別子とQoSプロファイルとの対応情報を参照し、通信制御装置から送信されてくる通信パケットに設定されているQoSフロー識別子を調べることで、当該通信パケットがどのようなQoS要求の通信フローであるかを特定できる。その結果、集約基地局は、通信制御装置から受信した通信パケットを、どの指向性の分散基地局に送信(転送)すればよいかを適切に決定することができる。
【0020】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明であって、指向性設定ステップでは、集約基地局が、分散基地局の通信相手となっている端末装置の通信ログ情報を、分散基地局から取得し、通信ログに基づいて、1つの端末装置と通信する確率が高い分散基地局のペアを検出し、当該検出結果に基づいて、分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する。
【0021】
これにより、この通信処理方法では、指向性が同じ分散基地局が偏ることを適切に防止できる。つまり、この通信処理方法では、異なる種別の通信フローの通信が多い場合であっても、適切に分散基地局の指向性を決定することができ、指向性により役割分担された分散基地局により通信を行うことで、通信の品質劣化を効果的に防止することができる。
【0022】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明である通信処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0023】
これにより、第1から第4のいずれかの発明と同様の効果を奏する通信処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを実現することができる。
【0024】
第6の発明は、所定のアプリケーションを提供するサーバと、通信制御装置と、集約基地局と、複数の分散基地局とを含む通信システムである。
【0025】
集約基地局は、当該集約基地局に管理される分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する指向性設定ステップを実行する。
【0026】
通信制御装置は、サーバから送信される通信パケットのヘッダを解析し、サーバがアプリケーションを提供するために必要とするQoS要求を特定し、特定したQoS要求を満たす通信フローを設定するためのQoSフロー識別子を決定するQoSフロー識別子決定ステップを実行する。
【0027】
集約基地局は、通信制御装置から送信される各通信フローの通信パケットを解析することで、当該通信パケットの通信フローのQoSフロー識別子を取得し、取得したQoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定し、特定したQoS特性に基づいて、通信制御装置から受信した通信パケットを送信する分散基地局を決定する振り分け処理を実行する振り分け処理ステップと、通信制御装置から受信した通信パケットを、振り分け処理により決定された送信先の分散基地局に送信するデータ送信ステップと、を実行する。
【0028】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する通信システムを実現することができる。
【0029】
第7の発明は、第6の発明である通信システムに用いられる通信制御装置であって、QoSフロー識別子決定ステップと、QoSフロー識別子-QoSプロファイル対応情報送信ステップとを実行する。
【0030】
QoSフロー識別子決定ステップでは、通信制御装置は、サーバから送信される通信パケットのヘッダを解析し、サーバがアプリケーションを提供するために必要とするQoS要求を特定し、特定したQoS要求を満たす通信フローを設定するためのQoSフロー識別子を決定する。
【0031】
QoSフロー識別子-QoSプロファイル対応情報送信ステップでは、通信制御装置は、QoSフロー識別子と当該QoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定することができるQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを、集約基地局に送信する。
【0032】
これにより、第3の発明と同様の効果を奏する通信制御装置を実現することができる。
【0033】
第8の発明は、第6の発明である通信システムに用いられる集約基地局であって、指向性設定ステップと、振り分け処理ステップと、データ送信ステップとを実行する。
【0034】
指向性設定ステップでは、集約基地局は、当該集約基地局に管理される分散基地局の取り扱う通信フローの指向性を設定する。
【0035】
振り分け処理ステップでは、集約基地局は、通信制御装置から送信される各通信フローの通信パケットを解析することで、当該通信パケットの通信フローのQoSフロー識別子を取得し、取得したQoSフロー識別子に対応するQoS特性を特定し、特定したQoS特性に基づいて、通信制御装置から受信した通信パケットを送信する分散基地局を決定する振り分け処理を実行する。
【0036】
データ送信ステップでは、集約基地局は、通信制御装置から受信した通信パケットを、振り分け処理により決定された送信先の分散基地局に送信する。
【0037】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する集約基地局を実現することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、通信ネットワークにおいて、多様な通信のトラヒックが混在する状況においても、品質要求を考慮しつつ分散基地局に通信フローを適切に割り当て、URLLCの通信フローを優先することで犠牲となるeMBBの通信フローが発生する可能性をできるだけ軽減することができる通信システム、通信処理方法、および、プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】第1実施形態に係る通信システム1000の概略構成図。
【
図2】第1実施形態に係る通信制御装置1の概略構成図。
【
図3】第1実施形態に係る集約基地局CU1の概略構成図。
【
図4】第1実施形態に係る集約基地局、分散基地局および端末装置を用いて実現される多重接続機能(Dual connectivity機能)について説明するための図。
【
図5】通信システム1000の動作を説明するための図。
【
図6】通信システム1000で実行される処理のシーケンス図。
【
図7】通信システム1000で実行される処理のシーケンス図。
【
図8】通信システム1000で実行される処理のシーケンス図。
【
図9】通信システム1000で実行される振り分け処理のフローチャート。
【
図11】ToS値の設定について説明するための図。
【
図12】ToS値、5QI値、QFI値について説明するための図。
【
図13】無線リソースの表現について説明するための図。
【
図14】無線リソースの表現について説明するための図。
【
図15】無線リソースの表現について説明するための図。
【
図16】従来技術(分散基地局を指向性分散基地局に設定しない場合)における各分散基地局の無線リソースの状況を模式的に示す図。
【
図17】分散基地局を指向性分散基地局に設定する場合における各分散基地局の無線リソースの状況を模式的に示す図。
【
図18】分散基地局と端末装置との通信の運用ログに基づいて、各分散基地局の指向性(eMBB指向、URLLC指向)を決定する方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0041】
<1.1:通信システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る通信システム1000の概略構成図である。
【0042】
図2は、第1実施形態に係る通信制御装置1の概略構成図である。
【0043】
図3は、第1実施形態に係る集約基地局CU1の概略構成図である。
【0044】
図4は、第1実施形態に係る集約基地局、分散基地局および端末装置を用いて実現される多重接続機能(Dual connectivity機能)について説明するための図である。
【0045】
通信システム1000は、
図1に示すように、M個(M:自然数)のサーバである第1サーバSvr1~第MサーバSvrMと、例えば、交換局Cntr1内に設置される通信制御装置1と、RAN(Radio Access Network)と、複数の端末装置(
図1では、n個(n:自然数)の端末装置UE1~UEn)とを備える。第1サーバSvr1~第MサーバSvrMおよび通信制御装置1は、ネットワークNW1(例えば、インターネット)に接続されており、それぞれのサーバおよび/または装置と、互いに通信可能である。
【0046】
また、RANは、
図1に示すように、集約基地局CU1と、集約基地局CU1に接続される分散基地局DU1~DUm(m:自然数)とにより構成される。なお、RANは、
図1では、1つの集約基地局CU1を備えるものであるが、これに限定されることはなく、複数の集約基地局、および、当該複数の集約基地局のそれぞれに接続される1または複数の分散基地局を備えるものであってもよい。
【0047】
また、通信制御装置1と、RANの集約基地局CU1とは、ネットワーク(不図示)(例えば、携帯電話通信網(例えば、4G/LTE通信網や5G通信網(5G:第5世代移動通信システム)))を介して接続されるものであってもよい。
【0048】
第1サーバSvr1~第MサーバSvrMは、それぞれ、所定のアプリケーションを提供するサーバであり、ネットワークNW1に接続されている。第1サーバSvr1~第MサーバSvrMは、それぞれ、端末装置(例えば、
図1では、端末装置UE1~UEn)との間に通信コネクションを確立させて、端末装置からの要求に応じたアプリケーションを提供するサーバ(アプリケーションサーバ)である。第1サーバSvr1~第MサーバSvrMは、それぞれ、ネットワークNW1、通信制御装置1、RANを介して、端末装置と通信を行うことができる。
【0049】
(1.1.1:通信制御装置の構成)
通信制御装置1は、例えば、交換局Cntr1(例えば、5G(第5世代移動通信システム)の伝送網と、外部のネットワーク(例えば、インターネット)とを接続し、通信を行うための交換局)内に設置される装置(例えば、5Gコア装置)であり、ネットワークNW1およびRANと通信可能に接続されている。そして、通信制御装置1は、ネットワークNW1、RAN、サーバ、および/または、端末装置間での通信を制御する機能を有している。
【0050】
通信制御装置1は、
図2に示すように、第1通信インターフェースIF11と、データ通信処理部11と、C-plane信号処理部12と、U-plane信号処理部13と、記憶部14と、第2通信インターフェースIF12と、バスBus1とを備える。そして、
図2に示すように、データ通信処理部11と、C-plane信号処理部12と、U-plane信号処理部13と、記憶部14とは、バスBus1に接続されており、それぞれ、バスBus1を介して、データ、および/または、信号(制御信号等)を送受信することができる。なお、データ通信処理部11、C-plane信号処理部12、U-plane信号処理部13、および、記憶部14の一部または全部は、バスを介することなく、直接接続されて、データ、制御信号等を送受信するものであってもよい。
【0051】
第1通信インターフェースIF11は、ネットワークNW1を介して、外部の装置(外部のサーバ(第1サーバSvr1~第MサーバSvrM))とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。また、第1通信インターフェースIF11は、
図2に示すように、データ通信処理部11と接続されている。
【0052】
第1通信インターフェースIF11は、ネットワークNW1に接続されるサーバ、通信装置等とデータ通信を行うための通信インターフェースである。第1通信インターフェースIF11は、外部(ネットワークNW1)から受信したデータを、データ通信処理部11で処理できる形式のデータに変換し、変換したデータをデータ通信処理部11に出力する。また、第1通信インターフェースIF11は、通信制御装置1から外部(ネットワークNW1)へ送信するデータ(データ通信処理部11から出力されるデータ)を、外部(ネットワークNW1)へ送信できる形式のデータ(信号)に変換し、変換したデータ(信号)を外部(ネットワークNW1)へ送信する。
【0053】
データ通信処理部11は、第1通信インターフェースIF11から出力されるデータを入力し、当該データに対して、所定のデータ通信処理(例えば、IPパケットのヘッダ解析処理、受信データから所定のデータを取得する処理等)を実行する。データ通信処理部11は、データ通信処理により取得したデータのうち、C-plane信号処理に必要となるデータを、バスBus1を介して、C-plane信号処理部12に出力し、また、データ通信処理により取得したデータのうち、U-plane信号処理に必要となるデータを、バスBus1を介して、U-plane信号処理部13に出力する。また、データ通信処理部11は、データ通信処理により取得したデータのうち、通信制御装置1で記憶保持しておく必要のあるデータを、バスBus1を介して、記憶部14に出力し、当該データを記憶部14に記憶させる。
【0054】
なお、「C-plane」とは、Control planeのことであり、通信システム(例えば、無線通信システム)において、通信の制御を行うデータ、信号、その手順、または、仕組みを表す。また、「U-plane」とは、User planeのことであり、通信システム(例えば、無線通信システム)において、ユーザが送受信するデータ、その手順、または、仕組みを表す。
【0055】
また、データ通信処理部11は、通信制御装置1の各機能部から出力されるデータを、バスBus1を介して入力する。データ通信処理部11は、入力したデータに対して、所定のデータ通信処理(例えば、IPヘッダの付与処理やネットワークNW1に送信できる形式のデータに変換する処理等)を実行する。そして、データ通信処理部11は、上記のデータ通信処理により取得したデータを、第1通信インターフェースIF11に出力する。
【0056】
なお、データ通信処理部11により実行されるデータ通信処理には、外部のアプリケーションサーバから受信した通信パケットのヘッダ(例えば、IPヘッダ)を解析し、当該通信パケットのToS値(ToS:Type of Service)(RFC2474(RFC:Request for Comments)により規定されるToS値)を取得する処理が含まれる。
【0057】
C-plane信号処理部12は、第2通信インターフェースIF12を介してRANとC-planeデータを送受信するための処理(C-plane信号処理)を行う。
【0058】
また、C-plane信号処理部12は、C-plane制御を行うのに必要なデータを、データ通信処理部11から入力する。また、C-plane信号処理部12は、C-plane信号処理により取得したデータであって、データ通信処理部11によるデータ通信処理に必要なデータを、データ通信処理部11に出力する。
【0059】
また、C-plane信号処理部12は、C-plane信号処理により取得したデータのうち、通信制御装置1で記憶保持しておく必要のあるデータを、バスBus1を介して、記憶部14に出力し、当該データを記憶部14に記憶させる。
【0060】
U-plane信号処理部13は、第2通信インターフェースIF12を介してRANとU-planeデータを送受信するための処理(U-plane信号処理)を行う。
【0061】
また、U-plane信号処理部13は、U-plane信号処理を行うために必要なデータを、第1通信インターフェースIF11、データ通信処理部11、バスBus1を介して、入力する。そして、U-plane信号処理部13は、入力したデータに対して、所定のU-plane信号処理を実行する。
【0062】
また、U-plane信号処理部13は、U-plane信号処理により取得したデータであって、データ通信処理部11によるデータ通信処理に必要なデータを、データ通信処理部11に出力する。
【0063】
また、U-plane信号処理部13は、U-plane信号処理により取得したデータのうち、通信制御装置1で記憶保持しておく必要のあるデータを、バスBus1を介して、記憶部14に出力し、当該データを記憶部14に記憶させる。
【0064】
なお、U-plane信号処理には、以下の処理が含まれる。
(1)RAN(集約基地局CU1)に対して、QFI(QoS Flow Identifier)(QoSフロー識別子)とQoS Profileとの対応についての情報を通知する処理(この処理は、PDUセッションの確立時に実行される)。
(2)データ通信処理部11により取得されたToS値に対応するQFIを付与した通信パケットのRAN(集約基地局CU1)への送信処理(QFIを付与した通信フローにより通信処理)。
【0065】
記憶部14は、データを記憶する機能部である。記憶部14は、バスBus1に接続されており、通信制御装置1の各機能部から指令に基づいて、データの書き込み処理、および/または、データの読み出し処理を行う。
【0066】
第2通信インターフェースIF12は、RAN(RAN内の装置)とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。また、第2通信インターフェースIF12は、
図2に示すように、C-plane信号処理部12、および、U-plane信号処理部13と接続されている。
【0067】
第2通信インターフェースIF12は、外部(RAN)から受信したC-planeデータをC-plane信号処理部12に出力し、また、C-plane信号処理部12から出力されるC-planeデータを入力し、当該U-planeデータを外部(RAN)へ送信する。
【0068】
また、第2通信インターフェースIF12は、外部(RAN)から受信したU-planeデータをU-plane信号処理部13に出力し、また、U-plane信号処理部13から出力されるU-planeデータを入力し、当該U-planeデータを外部(RAN)へ送信する。
【0069】
(1.1.2:集約基地局の構成)
集約基地局CU1は、1または複数の分散基地局(DU:Distributed Unit)(
図1では、分散基地局DU1からDUm)を集約(統括)する基地局(集約基地局CU(Central Unit))であり、CU-DU機能分離の通信ネットワークを実現するための基地局(集約基地局)である。なお、CU-DU機能分離の通信ネットワークでは、例えば、端末装置と基地局との間のプロトコルスタックを、上位層から下位層へ順番に、
(1)SDAP層(SDAP:Service Data Adaptation Protocol)、
(2)PDCP層(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)、
(3)RLC層(RLC:Radio Link Control)、
(4)MAC層(MAC:Medium Access Control)、
(5)PHY層(物理層)、
と規定した場合に、(A)集約基地局(CU)が、(1)SDAP層、および、(2)PDCP層の機能を分担し(当該機能を実行し)、(B)分散基地局(DC)が、(3)RLC層、(4)MAC層、(5)PHY層の機能を分担する(当該機能を実行する)。
【0070】
集約基地局CU1は、
図1に示すように、通信制御装置1および分散基地局DU1~DUmのそれぞれと通信可能に接続されている。集約基地局CU1は、分散基地局DU1~DUmのそれぞれに対して無線ベアラ(無線通信によるサービス回線)を割り当てる。つまり、集約基地局CU1は、分散基地局DU1~DUmと、無線ベアラとのマッピング処理を行う。なお、1つの無線ベアラには、複数の通信フロー(同一QoSを要求する通信データ(通信パケット群))を含めることが可能である。なお、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データ(C-planeデータ、U-planeデータ)に基づいて、PDUセッション(PDU:Protocol Data Unit)(通信制御装置1、集約基地局CU1、分散基地局DU1~DUm、端末装置間のセッション)を確立させ、分散基地局DU1~DUmのそれぞれに対して無線ベアラ(無線通信によるサービス回線)を割り当てる。なお、通信システム1000において、無線ベアラは、異なる品質に対しては異なるものを用意して運用されるので、例えば、分散基地局ごとに、eMBB用の無線ベアラと、URLLC用の無線ベアラとを割り当てる(eMBB用の無線ベアラ、および、URLLC用の無線ベアラの両方を割り当てる)ことができるものとする。
【0071】
そして、集約基地局CU1は、無線ベアラ単位で、分散基地局DU1~DUmのそれぞれと通信を行う。
【0072】
集約基地局CU1は、
図3に示すように、CN側通信インターフェースIF21(CN:Core Network)と、CU用C-plane信号処理部21と、CU用U-plane信号処理部22と、記憶部23と、DU側通信インターフェースIF22と、バスBus2とを備える。そして、
図3に示すように、CU用C-plane信号処理部21と、CU用U-plane信号処理部22と、記憶部23とは、バスBus2に接続されており、それぞれ、バスBus2を介して、データ、および/または、信号(制御信号等)を送受信することができる。なお、CU用C-plane信号処理部21、CU用U-plane信号処理部22、および、記憶部23の一部または全部は、バスを介することなく、直接接続されて、データ、制御信号等を送受信するものであってもよい。
【0073】
CN側通信インターフェースIF21は、通信制御装置1(コアネットワークの装置(例えば、5Gコア装置))とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。また、CN側通信インターフェースIF21は、
図3に示すように、CU用C-plane信号処理部21、および、CU用U-plane信号処理部22と接続されている。
【0074】
CN側通信インターフェースIF21は、通信制御装置1から受信したC-planeデータをCU用C-plane信号処理部21に出力し、また、CU用C-plane信号処理部21から出力されるC-planeデータを入力し、当該U-planeデータを外部(通信制御装置1)へ送信する。
【0075】
また、CN側通信インターフェースIF21は、通信制御装置1から受信したU-planeデータをCU用U-plane信号処理部22に出力し、また、CU用U-plane信号処理部22から出力されるU-planeデータを入力し、当該U-planeデータを外部(通信制御装置1)へ送信する。
【0076】
CU用C-plane信号処理部21は、CN側通信インターフェースIF21を介して通信制御装置1とC-planeデータを送受信するための処理(CU用C-plane信号処理)を行う。また、CU用C-plane信号処理部21は、DU側通信インターフェースIF22を介して分散基地局DU1~DUmとC-planeデータを送受信するための処理(CU用C-plane信号処理)を行う。
【0077】
また、CU用C-plane信号処理部21は、CU用C-plane信号処理により取得したデータのうち、集約基地局CU1で記憶保持しておく必要のあるデータを、バスBus2を介して、記憶部23に出力し、当該データを記憶部23に記憶させる。
【0078】
CU用U-plane信号処理部22は、CN側通信インターフェースIF21を介して通信制御装置1とU-planeデータを送受信するための処理およびU-planeデータを用いた処理(CU用U-plane信号処理)を行う。また、CU用U-plane信号処理部22は、DU側通信インターフェースIF22を介して分散基地局DU1~DUmとU-planeデータを送受信するための処理およびU-planeデータを用いた処理(CU用U-plane信号処理)を行う。
【0079】
また、CU用U-plane信号処理部22は、CU用U-plane信号処理により取得したデータのうち、集約基地局CU1で記憶保持しておく必要のあるデータを、バスBus2を介して、記憶部23に出力し、当該データを記憶部23に記憶させる。
【0080】
なお、CU用U-plane信号処理には、以下の処理が含まれる。
(1)分散基地局の割り当て処理(分散基地局の指向性を決定する処理)
(2)通信制御装置1から、QFI(QoS Flow Identifier)とQoS Profileとの対応についての情報の通知を受ける処理(この処理は、PDUセッションの確立時に実行される)。
(3)通信制御装置1から、所定の通信フローの通信パケットを受信する処理。
(4)通信制御装置1から受信した通信データの解析処理(所定の通信フローの通信パケットで設定されているQFIの取得処理等)
(5)通信制御装置1から受信した通信データ(通信フロー)のQFIに基づいて、送信先の分散基地局を決定し、決定した分散基地局にデータ送信する処理。
【0081】
記憶部23は、データを記憶する機能部である。記憶部23は、バスBus2に接続されており、集約基地局CU1の各機能部から指令に基づいて、データの書き込み処理、および/または、データの読み出し処理を行う。
【0082】
DU側通信インターフェースIF22は、分散基地局DU1~DUmとデータ送受信を行うための通信インターフェースである。また、DU側通信インターフェースIF22は、
図3に示すように、CU用C-plane信号処理部21、および、CU用U-plane信号処理部22と接続されている。
【0083】
DU側通信インターフェースIF22は、分散基地局DUi(i:自然数、1≦i≦m)から受信したC-planeデータをCU用C-plane信号処理部21に出力し、また、CU用C-plane信号処理部21から出力されるC-planeデータを入力し、当該U-planeデータを外部(分散基地局DUi)へ送信する。
【0084】
また、DU側通信インターフェースIF22は、分散基地局DUiから受信したU-planeデータをCU用U-plane信号処理部22に出力し、また、CU用U-plane信号処理部22から出力されるU-planeデータを入力し、当該U-planeデータを外部(分散基地局DUi)へ送信する。
【0085】
(1.1.3:分散基地局の構成)
分散基地局DU1~DUmは、それぞれ、集約基地局CU1と通信可能に接続されている。また、分散基地局DU1~DUmは、それぞれ、1または複数の端末装置と通信可能に接続することができる。分散基地局DU1~DUmは、それぞれ、集約基地局CU1から受信した通信データを、当該通信データの宛先(例えば、ヘッダに記載されている宛先)の端末装置に送信する。また、分散基地局DU1~DUmは、それぞれ、端末装置から受信した通信データを集約基地局CU1に送信する。なお、分散基地局DU1~DUmは、それぞれ、多重接続機能(Dual connectivity機能)を有しており、1つの端末装置に対して、複数の分散基地局から同時に異なる通信フローによる通信を行うことができる。多重接続機能(Dual connectivity機能)により、例えば、
図4に示すように、集約基地局CU1から端末装置UE3に対して、2つの分散基地局DU1および分散基地局DU2により、2つの異なる通信フローによる通信を行うことができる。
図4の場合、多重接続機能(Dual connectivity機能)により、(1)第1の通信フローFlow1による通信が、集約基地局CU1、分散基地局DU1、および、端末装置UE3の間で実現されており、かつ、(2)第2の通信フローFlow2による通信が、集約基地局CU1、分散基地局DU2、および、端末装置UE3の間で実現されている。なお、多重接続機能(Dual connectivity機能)により、同時接続される通信フローの数は、「3」以上であってもよい。
【0086】
(1.1.4:端末装置)
複数の端末装置(
図1では、n個(n:自然数)の端末装置UE1~UEn)は、それぞれ、RANの分散基地局DU1~DUmのうちの自端末装置に割り当てられた分散基地局と通信可能に接続される(例えば、無線通信可能に接続される)。複数の端末装置は、それぞれ、通信制御装置1、集約基地局CU1、分散基地局との間において、PDUセッションを確立させることができる。そして、複数の端末装置は、それぞれ、通信制御装置1、集約基地局CU1、分散基地局との間において、通信フロー単位(QoSフロー単位(同一QoSを要求する通信パケット群の単位))で通信を行うことができる。また、複数の端末装置(
図1では、n個(n:自然数)の端末装置UE1~UEn)は、それぞれ、多重接続機能(Dual connectivity機能)により、同時接続される通信フローによる通信を行うことができるものであってもよい。
【0087】
<1.2:通信システムの動作>
以上のように構成された通信システム1000の動作について、以下、説明する。
【0088】
図5は、通信システム1000の動作を説明するための図である。
【0089】
図6~
図8は、通信システム1000で実行される処理のシーケンス図である。
【0090】
図9は、通信システム1000で実行される振り分け処理のフローチャートである。
【0091】
なお、説明便宜のため、
図5に示すように、通信システム1000には、2つのサーバである第1サーバSvr1および第2サーバSvr2が含まれ、6つの端末装置UE1~UE6が含まれているものとする。そして、端末装置UE1~UE6は、それぞれ、多重接続機能(Dual connectivity機能)により、同時接続される通信フローによる通信を行うことができるものとする。
【0092】
また、第1サーバSvr1は、高速大容量通信を必要とするアプリケーションを提供するサーバであり、第2サーバSvr2は、高信頼低遅延通信を必要とするアプリケーションを提供するサーバであるものとする。そして、第1サーバSvr1は、端末装置UE1~UE6に対して、アプリケーションを提供し、かつ、第2サーバSvr2も、端末装置UE1~UE6に対して、アプリケーションを提供するものとする。
【0093】
また、通信システム1000は、5G規格に準拠する通信システム(5G通信システム)であるものとする。
【0094】
上記のような場合について、通信システム1000の動作を説明する。
【0095】
以下では、
図6~
図9のシーケンス図、フローチャートを参照しながら、通信システム1000の動作を説明する。
【0096】
(ステップS1):
ステップS1において、集約基地局CU1は、分散基地局の割り当て処理を実行する。具体的には、以下のように処理を行う。
【0097】
集約基地局CU1は、集約基地局CU1と通信可能に接続されている分散基地局(
図5の場合、分散基地局DU1~DU3)の指向性(eMBB指向、URLLC指向)を決定する。つまり、集約基地局CU1は、集約基地局CU1と通信可能に接続されている分散基地局(
図5の場合、分散基地局DU1~DU3)のうち、どの分散基地局をeMBB指向の分散基地局とし、どの分散基地局をURLLC指向の分散基地局とするかを決定する。この分散基地局の指向性の決定は、例えば、ランダムに決定する(割り当てる)ようにしてもよいし、各分散基地局の設置位置、各分散基地局と通信可能な端末装置(
図5の場合は、端末装置UE1~UE6)の位置等を考慮して、決定してもよい(割り当ててもよい)。
【0098】
ここでは、説明便宜のため、
図5に示すように、集約基地局CU1は、(1)分散基地局1および分散基地局DU3をeMBB指向の分散基地局に設定し、(2)分散基地局DU2をURLLC指向の分散基地局に設定したものとして、以下、説明する。
【0099】
(ステップS2):
ステップS2において、第1サーバSvr1および第2サーバSvr2は、提供しようとしているアプリケーションに基づいて、ToS値を決定する。ToS値は、
図10に示すように、例えば、RFC791で規定されているIPヘッダのToSフィールドの値によって決定することができる。
【0100】
(1)第1サーバSvr1は、高速大容量通信を必要となるアプリケーションを提供するので、高速大容量通信を実現するQoS要求を行う必要がある。この場合、第1サーバSvr1は、ToSフィールドに含まれるDSCP値(DSCP:Differentiated Services codepoint)(RFC2474で規定)を、高速大容量通信を実現するサービスに対応するサービスクラスのDSCP値(例えば、サービスクラスが「High Throughput Data」のDSCP値である「001010」)に設定する(
図10、
図11を参照)。つまり、第1サーバSvr1は、
ToS値=001010(サービスクラス:「High Throughput Data」)
に設定し、当該ToS値のIPパケットを生成し、当該IPパケットを含む通信パケット(通信制御装置1へ送信するための通信パケット)を生成する。
【0101】
(2)第2サーバSvr2は、高信頼低遅延通信を必要となるアプリケーションを提供するので、高信頼低遅延通信を実現するQoS要求を行う必要がある。この場合、第2サーバSvr2は、ToSフィールドに含まれるDSCP値(DSCP:Differentiated Services codepoint)(RFC2474で規定)を、高速大容量通信を実現するサービスに対応するサービスクラスのDSCP値(例えば、サービスクラスが「Low-Latency Data」のDSCP値である「010010」)に設定する(
図10、
図11を参照)。つまり、第2サーバSvr2は、
ToS値=010010(サービスクラス:「Low-Latency Data」)
に設定し、当該ToS値のIPパケットを生成し、当該IPパケットを含む通信パケット(通信制御装置1へ送信するための通信パケット)を生成する。
【0102】
(ステップS3):
ステップS3において、第1サーバSvr1および第2サーバSvr2は、ステップS1で設定したToS値を有する通信パケットを通信制御装置1に送信する。
【0103】
通信制御装置1は、第1サーバSvr1および第2サーバSvr2から送信される通信パケットを受信し、受信した通信パケットの解析処理(受信データ解析処理)を実行する(例えば、通信制御装置1のデータ通信処理部11により当該解析処理が実行される)。
【0104】
そして、通信制御装置1は、受信した通信パケットの解析処理により取得したToS値から、(1)第1サーバSvr1が高速大容量通信を実現するQoS要求をしており、(2)第2サーバSvr2が高信頼低遅延通信を実現するQoS要求をしていることを把握する。
【0105】
(ステップS4、S41、S42):
ステップS4において、PDUセッション確立処理(PDU:Protocol Data Unit)が実行される。つまり、第1サーバSvr1および第2サーバSvr2がQoS要求する通信を実現するために、通信制御装置1、集約基地局CU1、分散基地局、端末装置間で、通信フロー(同一QoS要求の通信パケットの集合)、無線ベアラ(分散基地局ごとに設定される通信経路であって、複数の通信フローを含むことができる)の設定を行い、PDUセッションを確立させる処理を行う。なお、PDUセッション確立処理は、U-plane機能の実現をする処理であり、通信制御装置1のU-plane信号処理部13、集約基地局CU1のCU用U-plane信号処理部22により所定の処理が実行され、また、分散基地局、端末装置において所定のU-plane信号処理が実行されることで、PDUセッション確立処理が実行される。
【0106】
また、通信制御装置1は、QFIとQoS Profile(以下、「QoSプロファイル」という)との対応情報の生成処理を行う(ステップS41)。これについて、
図12を用いて説明する。
【0107】
5G通信システムでは、通信フローごとにQFIが付与され、1つのQFIに対応するQoSプロファイルが決定される。つまり、QFIとQoSプロファイルが1:1に対応する。そして、QoSプロファイルには、5QIが含まれており、この5QIにより、QoS特性が決定される(3GPP TS 23.501で仕様が規定されている)。
図12の右図は、標準5QI値と対応するQoS特性を示した表を示した図である。
【0108】
つまり、QoSプロファイルの5QI値を決定すれば、QoS特性を決定することができ、そして、QFIとQoSプロファイルとの対応付けを決定すれば、QFIにより、QoS特性が決まることになる。
【0109】
したがって、通信制御装置1は、QFIとQoSプロファイルとの対応付けを決定し、決定したQFIとQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを生成する(ステップS41)。また、通信制御装置1は、第1サーバSvr1および第2サーバSvr2から送信される通信データから取得したToS値から、第1サーバSvr1および第2サーバSvr2のQoS要求を満たすQoS特性を決定し、当該QoS特性の5QI値を決定し、さらに、QFIの値を決定する。例えば、
図12に示すように、
(1)高速大容量通信(eMBB)が要求されている場合(ToS値が「001010」である場合)、通信制御装置1は、5QIおよびQFIを、
5QI=6、QFI=6
と設定する。
(2)高信頼低遅延通信(URLLC)が要求されている場合(ToS値が「010010」である場合)、通信制御装置1は、5QIおよびQFIを、
5QI=82、QFI=10
と設定する。
【0110】
なお、5QIの値と、QFIの値とは、必ずしも一致しなくてもよい(同じ値になるとは限らない)。
【0111】
したがって、上記のように設定した場合、通信制御装置1は、第1サーバSvr1からの通信データ(ToS値が「001010」にされている通信データ)に対しては、QFI=6(5QI=6)の通信フローを設定する(QFI=6の通信フロー(eMBB通信フロー)により通信することを決定する)。
【0112】
また、上記のように設定した場合、通信制御装置1は、第2サーバSvr2からの通信データ(ToS値が「010010」にされている通信データ)に対しては、QFI=10(5QI=82)の通信フローを設定する(QFI=10の通信フロー(URLLC通信フロー)により通信することを決定する)。
【0113】
通信制御装置1は、上記の設定情報を、記憶部14で記憶保持する。
【0114】
通信制御装置1は、上記により生成したQFIとQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを、集約基地局CU1に送信する(ステップS42)。
【0115】
集約基地局CU1は、通信制御装置1から送信されるQFIとQoSプロファイルとの対応情報を含むデータを受信し、受信したQFIとQoSプロファイルとの対応情報を記憶保持する(記憶部23に記憶させる)(ステップS42)。
【0116】
なお、ステップS41、S42の処理は、ステップS4のPDUセッション確立処理を実行する中で実行するようにしてもよい。また、通信システム1000において、ステップS4の処理(PDUセッション確立処理)、および、ステップS41、S42の処理は、ステップS2の処理の前に実行されるものであってもよい。通信システム1000では、通信制御装置1が、各アプリケーションの通信データがどのようなToS値を設定されて送信されてくるかを事前に知らなくとも、QFIとQoSプロファイルとの対応付けを行う処理を実行することは可能であるので、上記のように、通信システム1000において、ステップS4の処理(PDUセッション確立処理)、および、ステップS41、S42の処理を、ステップS2の処理の前に実行するようにしてもよい。
【0117】
(ステップS51):
ステップS51において、第1サーバSvr1は、提供しようとしているアプリケーション(高速大容量アプリケーション)に基づいて設定したToS値(=001010)を有する通信データを生成し、生成した通信データを通信制御装置1に送信する。
【0118】
通信制御装置1は、第1サーバSvr1から送信された通信データを受信する。
【0119】
(ステップS52):
ステップS52において、通信制御装置1は、第1サーバSvr1から受信した通信データに対して、通信データ解析処理を実行する。つまり、通信制御装置1は、第1サーバSvr1から受信した通信パケットの解析処理を実行し(例えば、通信制御装置1のデータ通信処理部11が当該解析処理を実行し)、第1サーバSvr1が設定したToS値が「001010」であることを認識する。
【0120】
(ステップS53、S54):
ステップS53において、通信制御装置1は、通信データ解析処理により取得したToS値(=001010)に対応するQFIを決定し、決定したQFIを、集約基地局CU1に送信する送信パケットに付与する(QFIを設定する)処理(QFI付与処理)を行う。通信データ解析処理により取得したToS値が「001010」であるので、通信制御装置1は、記憶部14に記憶保持されているToS値とQFI値の対応データを参照し、当該ToS値に対応するQFIの値を「6」に決定する(QFI=6、5QI=6と決定する)。そして、通信制御装置1は、決定したQFIの値(QFI=6)の通信フロー、すなわち、eMBB通信フローにより、通信が実行されるようにする。つまり、通信制御装置1は、第1サーバSvr1から受信したデータに、QFIの値が「6」に設定されたヘッダ(5G用ヘッダ)を付与した通信パケット(eMBB通信フローの通信パケット(5G通信用パケット))を生成し、生成した通信パケットを集約基地局CU1に送信する(ステップS54)。
【0121】
そして、集約基地局CU1は、通信制御装置1から送信される通信パケット(eMBB通信フローの通信パケット(5G通信用パケット))を受信する(ステップS54)。
【0122】
(ステップS55):
ステップS55において、集約基地局CU1は、振り分け処理を実行する。具体的な処理について、
図9の振り分け処理のフローチャート(ステップSA1~SA8)を参照しながら、説明する。
【0123】
(ステップSA1):
ステップSA1において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データ(5G通信用パケット)の解析処理を実行する。つまり、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データ(5G通信用パケット)のヘッダから、当該通信データのQFIの値が「6」であることを認識する。そして、集約基地局CU1は、記憶部23に記憶保持されているQFIとQoSプロファイルとの対応情報を参照し、QFI=6の通信データのQoSプロファイルが、5QI値が「6」であり、それに対応するQoS特性から、QFI=6の通信データが、高速大容量通信を要求する通信フロー(eMBB通信フロー)の通信データであることを認識する。
【0124】
(ステップSA2):
ステップSA2において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置が複数の分散基地局と通信可能であるかを判定する。集約基地局CU1は、送信先の端末装置と分散基地局(分散基地局DU1~DU3のそれぞれ)との間でのU-plane信号、C-plane信号の送受信状況を判断し、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置が複数の分散基地局と通信可能であるかを判定する。
【0125】
そして、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置が複数の分散基地局と通信可能であると判定された場合、処理をステップSA4に進め、一方、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置が複数の分散基地局と通信可能ではないと判定された場合、処理をステップSA3に進める。
【0126】
(ステップSA3):
ステップSA3において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置と通信可能な分散基地局を特定し、特定した分散基地局から送信先の端末装置にデータ送信されるようにする。つまり、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを上記で特定した分散基地局に送信し、さらに、当該分散基地局が受信した通信データを送信先の端末装置へ送信するように、分散基地局を制御する(分散基地局に指示する)。
【0127】
(ステップSA4):
ステップSA4において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データのQFI値がeMBB通信フローに対応する値(eMBB指向の値)であるかを判定する。
【0128】
そして、通信制御装置1から受信した通信データのQFI値がeMBB通信フローに対応する値(eMBB指向の値)であると判定された場合、処理をステップSA5に進め、一方、通信制御装置1から受信した通信データのQFI値がeMBB通信フローに対応する値(eMBB指向の値)ではないと判定された場合、処理をステップSA6に進める。
【0129】
(ステップSA5):
ステップSA5において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを、eMBB指向の分散基地局に設定されている分散基地局であって、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置と通信可能な分散基地局を特定し、特定した分散基地局から送信先の端末装置にデータ送信されるようにする。つまり、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを上記で特定した分散基地局(eMBB指向の分散基地局)に送信し、さらに、当該分散基地局が受信した通信データを送信先の端末装置へ送信するように、分散基地局を制御する(分散基地局に指示する)。
【0130】
(ステップSA6):
ステップSA6において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データのQFI値がURLLC通信フローに対応する値(URLLC指向の値)であるかを判定する。
【0131】
そして、通信制御装置1から受信した通信データのQFI値がURLLC通信フローに対応する値(URLLC指向の値)であると判定された場合、処理をステップSA7に進め、一方、通信制御装置1から受信した通信データのQFI値がURLLC通信フローに対応する値(URLLC指向の値)ではないと判定された場合、処理をステップSA8に進める。
【0132】
(ステップSA7):
ステップSA7において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを、URLLC指向の分散基地局に設定されている分散基地局であって、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置と通信可能な分散基地局を特定し、特定した分散基地局から送信先の端末装置にデータ送信されるようにする。つまり、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを上記で特定した分散基地局(URLLC指向の分散基地局)に送信し、さらに、当該分散基地局が受信した通信データを送信先の端末装置へ送信するように、分散基地局を制御する(分散基地局に指示する)。
【0133】
(ステップSA8):
ステップSA8において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データの送信先の端末装置と通信可能な分散基地局を特定し、特定した分散基地局から送信先の端末装置にデータ送信されるようにする。つまり、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを上記で特定した分散基地局に送信し、さらに、当該分散基地局が受信した通信データを送信先の端末装置へ送信するように、分散基地局を制御する(分散基地局に指示する)。
【0134】
以上により、集約基地局CU1は、振り分け処理を実行する。
【0135】
ステップS55の場合、QFIの値が「6」である(通信制御装置1から受信した通信パケットはeMBB通信フローの通信パケットであると判定される)ので、ステップSA5の処理が実行され、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを特定した分散基地局(eMBB指向の分散基地局)に送信し、さらに、当該分散基地局が受信した通信データを送信先の端末装置へ送信するように、分散基地局を制御する(分散基地局に指示する)。
【0136】
(ステップS56):
ステップS56において、集約基地局CU1は、振り分け処理で決定された分散基地局へ、通信制御装置1から受信した通信データを送信する。
図7の場合、集約基地局CU1が通信制御装置1から受信した通信データは、eMBB通信フローの通信データであるので、当該通信データは、集約基地局CU1から、eMBB指向の分散基地局に送信される。そして、当該通信データを受信したeMBB指向の分散基地局は、当該通信データを、送信先の通信端末に送信(転送)する。つまり、eMBB通信フローの通信データは、できるだけ多くeMBB指向の分散基地局に送信され、当該eMBB指向の分散基地局から、送信先の端末装置へと送信(転送)される。
【0137】
なお、eMBB指向基地局が、送信先の端末装置と通信できない状況にある場合、集約基地局CU1が通信制御装置1から受信した通信データは、eMBB指向に設定されていない分散基地局(
図7の場合は、URLLC指向の分散基地局)に送信される。そして、当該通信データを受信した分散基地局は、当該通信データを、送信先の通信端末に送信(転送)する。
【0138】
そして、S51~S56の処理が繰り返し実行されることで、第1サーバSvr1から、送信先の端末装置(サービスを受ける端末装置)に、高速大容量通信を必要とするアプリケーションを実現するための通信データがされ、当該アプリケーションが送信先の端末装置に提供される。
【0139】
(ステップS61):
ステップS61において、第2サーバSvr2は、提供しようとしているアプリケーション(高信頼低遅延アプリケーション)に基づいて設定したToS値(=010010)を有する通信データを生成し、生成した通信データを通信制御装置1に送信する。
【0140】
通信制御装置1は、第2サーバSvr2から送信された通信データを受信する。
【0141】
(ステップS62):
ステップS62において、通信制御装置1は、第2サーバSvr2から受信した通信データに対して、通信データ解析処理を実行する。つまり、通信制御装置1は、第2サーバSvr2から受信した通信パケットの解析処理を実行し(例えば、通信制御装置1のデータ通信処理部11が当該解析処理を実行し)、第2サーバSvr2が設定したToS値が「010010」であることを認識する。
【0142】
(ステップS63、S64):
ステップS63において、通信制御装置1は、通信データ解析処理により取得したToS値(=010010)に対応するQFIを決定し、決定したQFIを、集約基地局CU1に送信する送信パケットに付与する(QFIを設定する)処理(QFI付与処理)を行う。通信データ解析処理により取得したToS値が「010010」であるので、通信制御装置1は、記憶部14に記憶保持されているToS値とQFI値の対応データを参照し、当該ToS値に対応するQFIの値を「10」に決定する(QFI=10、5QI=82と決定する)。そして、通信制御装置1は、決定したQFIの値(QFI=10)の通信フロー、すなわち、URLLC通信フローにより、通信が実行されるようにする。つまり、通信制御装置1は、第2サーバSvr2から受信したデータに、QFIの値が「10」に設定されたヘッダ(5G用ヘッダ)を付与した通信パケット(eMBB通信フローの通信パケット(5G通信用パケット))を生成し、生成した通信パケットを集約基地局CU1に送信する(ステップS54)。
【0143】
そして、集約基地局CU1は、通信制御装置1から送信される通信パケット(URLLC通信フローの通信パケット(5G通信用パケット))を受信する(ステップS64)。
【0144】
(ステップS65):
ステップS65において、集約基地局CU1は、振り分け処理を実行する。
【0145】
(ステップSA1):
ステップSA1において、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データ(5G通信用パケット)の解析処理を実行する。つまり、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データ(5G通信用パケット)のヘッダから、当該通信データのQFIの値が「6」であることを認識する。そして、集約基地局CU1は、記憶部23に記憶保持されているQFIとQoSプロファイルとの対応情報を参照し、QFI=10の通信データのQoSプロファイルが、5QI値が「82」であり、それに対応するQoS特性から、QFI=10の通信データが、高信頼低遅延通信を要求する通信フロー(URLLC通信フロー)の通信データであることを認識する。
【0146】
ステップSA2~SA8の処理については、ステップS55の説明でした処理と同様である。
【0147】
集約基地局CU1は、ステップSA1~SA8の処理を実行することで、振り分け処理を実行する。
【0148】
ステップS65の場合、QFIの値が「10」である(通信制御装置1から受信した通信パケットはURLLC通信フローの通信パケットであると判定される)ので、ステップSA7の処理が実行され、集約基地局CU1は、通信制御装置1から受信した通信データを特定した分散基地局(URLLC指向の分散基地局)に送信し、さらに、当該分散基地局が受信した通信データを送信先の端末装置へ送信するように、分散基地局を制御する(分散基地局に指示する)。
【0149】
(ステップS66):
ステップS66において、集約基地局CU1は、振り分け処理で決定された分散基地局へ、通信制御装置1から受信した通信データを送信する。
図8の場合、集約基地局CU1が通信制御装置1から受信した通信データは、URLLC通信フローの通信データであるので、当該通信データは、集約基地局CU1から、URLLC指向の分散基地局に送信される。そして、当該通信データを受信したURLLC指向の分散基地局は、当該通信データを、送信先の通信端末に送信(転送)する。つまり、URLLC通信フローの通信データは、できるだけ多くURLLC指向の分散基地局に送信され、当該URLLC指向の分散基地局から、送信先の端末装置へと送信(転送)される。
【0150】
なお、URLLC指向基地局が、送信先の端末装置と通信できない状況にある場合、集約基地局CU1が通信制御装置1から受信した通信データは、URLLC指向に設定されていない分散基地局(
図8の場合は、eMBB指向の分散基地局)に送信される。そして、当該通信データを受信した分散基地局は、当該通信データを、送信先の通信端末に送信(転送)する。
【0151】
そして、S61~S66の処理が繰り返し実行されることで、第2サーバSvr2から、送信先の端末装置(サービスを受ける端末装置)に、高信頼低遅延通信を必要とするアプリケーションを実現するための通信データがされ、当該アプリケーションが送信先の端末装置に提供される。
【0152】
通信システム1000において、上記のように処理することで、通信ネットワークにおいて、多様な通信のトラヒックが混在する状況においても、品質要求を考慮しつつ分散基地局に通信フローを適切に割り当て、URLLCの通信フローを優先することで犠牲となるeMBBの通信フローが発生する可能性をできるだけ軽減することができる。
【0153】
ここで、一例を挙げて、通信システム1000で、URLLCの通信フローを優先することで犠牲となるeMBBの通信フローが発生する可能性をできるだけ軽減することができることについて説明する。
図5に示す場合について、説明する。
図5の場合、以下のように無線ベアラ、通信フローが設定されているものとする。
(1)集約基地局CU1から分散基地局DU1(eMBB指向分散基地局)に対して無線ベアラWbr1e(eMBB用の無線ベアラ)および無線ベアラWbr1u(URLLC用の無線ベアラ)が設定されており、URLLC用無線ベアラWbr1uには、1つのURLLC通信フロー(これを「Wbr1u.URLLC_flow(1)」と表記する)が含まれており、eMBB用無線ベアラWbr1eには、3つのeMBB通信フロー(これらを「Wbr1e.eMBB_flow(1)」、「Wbr1e.eMBB_flow(2)」、「Wbr1e.eMBB_flow(3)」と表記する)とが含まれる。
(2)集約基地局CU1から分散基地局DU2(URLLC指向分散基地局)に対して無線ベアラWbr2u(URLLC用の無線ベアラ)が設定されており、URLLC用無線ベアラWbr2uには、4つのURLLC通信フロー(これらを「Wbr2u.URLLC_flow(1)」、「Wbr2u.URLLC_flow(2)」、「Wbr2u.URLLC_flow(3)」、「Wbr2u.URLLC_flow(4)」と表記する)が含まれる。
(3)集約基地局CU1から分散基地局DU3(eMBB指向分散基地局)に対して無線ベアラWbr3e(eMBB用の無線ベアラ)および無線ベアラWbr3u(URLLC用の無線ベアラ)が設定されており、URLLC用無線ベアラWbr3uには、1つのURLLC通信フロー(これを「Wbr3u.URLLC_flow(1)」と表記する)が含まれており、eMBB用無線ベアラWbr3eには、3つのeMBB通信フロー(これらを「Wbr1e.eMBB_flow(1)」、「Wbr1e.eMBB_flow(2)」、「Wbr1e.eMBB_flow(3)」と表記する)とが含まれる。
(U1)端末装置UE1は、分散基地局DU1(eMBB指向分散基地局)からeMBB通信フローWbr1e.eMBB_flow(1)により、eMBBの通信を行う(eMBBの通信パケットを受信する)。また、端末装置UE1は、分散基地局DU1(eMBB指向分散基地局)からURLLC通信フローWbr1u.URLLC_flow(1)により、URLLCの通信を行う(URLLCの通信パケットを受信する)。
(U2)端末装置UE2は、分散基地局DU1(eMBB指向分散基地局)からeMBB通信フローWbr1e.eMBB_flow(2)により、eMBBの通信を行う(eMBBの通信パケットを受信する)。また、端末装置UE1は、分散基地局DU2(URLLC指向分散基地局)からURLLC通信フローWbr2u.URLLC_flow(1)により、URLLCの通信を行う(URLLCの通信パケットを受信する)。
(U3)端末装置UE3は、分散基地局DU1(eMBB指向分散基地局)からeMBB通信フローWbr1e.eMBB_flow(3)により、eMBBの通信を行う(eMBBの通信パケットを受信する)。また、端末装置UE1は、分散基地局DU2(URLLC指向分散基地局)からURLLC通信フローWbr2u.URLLC_flow(2)により、URLLCの通信を行う(URLLCの通信パケットを受信する)。
(U4)端末装置UE4は、分散基地局DU2(URLLC指向分散基地局)からURLLC通信フローWbr2u.URLLC_flow(3)により、URLLCの通信を行う(URLLCの通信パケットを受信する)。また、端末装置UE4は、分散基地局DU3(eMBB指向分散基地局)からeMBB通信フローWbr3e.eMBB_flow(1)により、eMBBの通信を行う(eMBBの通信パケットを受信する)。
(U5)端末装置UE5は、分散基地局DU2(URLLC指向分散基地局)からURLLC通信フローWbr2u.URLLC_flow(4)により、URLLCの通信を行う(URLLCの通信パケットを受信する)。また、端末装置UE5は、分散基地局DU3(eMBB指向分散基地局)からeMBB通信フローWbr3e.eMBB_flow(2)により、eMBBの通信を行う(eMBBの通信パケットを受信する)。
(U6)端末装置UE6は、分散基地局DU2(eMBB指向分散基地局)からURLLC通信フローWbr3u.URLLC_flow(1)により、URLLCの通信を行う(URLLCの通信パケットを受信する)。また、端末装置UE6は、分散基地局DU3(eMBB指向分散基地局)からeMBB通信フローWbr3e.eMBB_flow(3)により、eMBBの通信を行う(eMBBの通信パケットを受信する)。
【0154】
また、
図13に示すように、縦に周波数領域の単位をとり、横に時間領域の単位をとった矩形により無線リソース(例えば、分散基地局の無線リソース)を表現する。
図13に示すように、周波数領域の単位をリソースブロック(RB)単位で設定し、1リソースブロックが12個のサブキャリア分であるものとする。また、
図13に示すように、時間領域の単位をタイムスロット単位で設定し、1タイムスロットが7個のミニスロット(14個のシンボルに相当)分であるものとする。なお、この設定は、一例であり、他の形式で無線リソースを表現してもよい。
【0155】
図13のように無線リソースの表現形式を採用した場合において、eMBB通信フローのリソース割り当て単位を、
図14に示すように、1RB×1タイムスロット(=1RB×7ミニスロット)とする(一例)。
【0156】
また、
図13のように無線リソースの表現形式を採用した場合において、URLLC通信フローのリソース割り当て単位を、
図14に示すように、1RB×1ミニスロットとする(一例)。
【0157】
図16は、従来技術(分散基地局を指向性分散基地局に設定しない場合)における各分散基地局の無線リソースの状況を模式的に示す図である。なお、
図16において、端末装置UE1~UE6は、それぞれ、(1)eMBB通信フローのリソース割り当て単位1つ分のデータ(eMBB通信フローの通信データ)と、(2)URLLC通信フローのリソース割り当て単位4つ分のデータ(URLLC通信フロー通信データ)とを、分散基地局から受信している状態を示しているものとする。
【0158】
この場合において、
図16に示すように、分散基地局DU1~DU3は、それぞれ、(1)eMBB通信フローのリソース割り当て単位2つ分のデータ(eMBB通信フローの通信データ)と、(2)URLLC通信フローのリソース割り当て単位8つ分のデータ(URLLC通信フロー通信データ)と、に相当する無線リソースを使用している。なお、
図16において、上段の無線リソースの使用状態を示す矩形の図は、説明便宜のため、
図13~
図15の無線リソースを表現する図とは、縦横比を変えて表示している。
【0159】
図16において点線の丸で示した部分は、eMBB通信フロー用に割り当てられたリソースが、URLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされている部分である。
図16から分かるように、
図16の場合、eMBB通信フロー用に割り当てられたリソースのうち、12RB×1ミニスロット分のリソースが、URLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされている。
【0160】
URLLCの通信フローでは低遅延性が求められることから、eMBBの通信フローよりも優先的に無線リソースを割り当てられるので、上記のようにURLLC通信フロー用のリソースを優先して割り当てることで、URLLC通信フローの通信を保証できるが、その一方で、URLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされた部分に相当するeMBB通信フローの通信パケットはエラーが生じやすくなる。そして、エラーが生じた部分のシンボル列(またはパケット全体)は再送されるが、再送により余分に無線リソースが消費されることになる。また、再送の際に使用される無線リソースは、特別に高い優先度で割り当てられるため、その無線リソースをURLLC通信フローのリソースとして割り当てることはできない。したがって、eMBB通信フロー用に割り当てられたリソースが、URLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされている部分が多いと通信品質が劣化する。
【0161】
次に、
図17に示す場合(eMBB指向分散基地局、URLLC分散基地局を設定した場合)について説明する。
図17に示す場合、分散基地局DU1および分散基地局DU3は、eMBB指向の分散基地局に設定されており、分散基地局DU2は、URLLC指向の分散基地局に設定されている。したがって、この場合、URLLC指向の分散基地局DU2に、できる限り多くのURLLC通信フローの通信が割り振られる。そして、eMBB指向の分散基地局DU1およびDU3に、できる限り多くのeMBB通信フローの通信が割り振られる。したがって、従来技術と異なり、eMBB通信フローが、URLLC通信フローを優先することで犠牲になることが少ない。
【0162】
図17において点線の丸で示した部分は、eMBB通信フロー用に割り当てられたリソースが、URLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされている部分である。
図17から分かるように、
図17の場合、eMBB通信フロー用に割り当てられたリソースのうち、6RB×1ミニスロット分のリソースが、URLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされている。従来技術を用いた場合(
図16)よりも、eMBB通信フロー用に割り当てられたリソースのうちURLLC通信フロー用に割り当てるために上書きされている部分がかなり少ない。
【0163】
通信システム1000では、eMBB指向分散基地局、URLLC分散基地局を設定するので通信品質の劣化を適切に防止できる。つまり、通信システム1000では、各分散基地局が、「できるだけeMBB通信フローを多く収容する分散基地局」、または、「できるだけURLLC通信フローを多く収容する分散基地局」となるように役割分担を行うので、URLLC通信フローを優先することで犠牲となるeMBB通信フローが発生する可能性を劇的に低減させることができる。その結果、通信品質の劣化を適切に防止できる。
【0164】
以上のように、通信システム1000では、サーバが提供しようとしているアプリケーションがどのようなQoS要求をしているかをToS値から判断し、それに対応するQFIを設定し、設定したQFIに基づいて、RANの分散基地局の役割分担(指向性(eMBB指向、URLLC指向)の決定)を行う。そして、通信システム1000では、集約基地局CU1が、分散基地局の指向性に基づいて、各分散基地局が担当する通信フロー(各分散基地局ができるだけ多く扱う通信フロー)の通信パケットをできるだけ多く対応する分散基地局に送信する。したがって、優先度の高い通信フロー(例えば、URLLC通信フロー)が優先され、優先度の低い通信フロー(例えば、eMBB通信フロー)が犠牲になり、通信品質が劣化することを適切に防止することができる。
【0165】
≪変形例≫
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0166】
上記実施形態では、集約基地局CU1は、集約基地局CU1と通信可能に接続されている分散基地局(
図5の場合、分散基地局DU1~DU3)の指向性(eMBB指向、URLLC指向)を決定するときに、ランダムに決定する場合、予め手動で設定することを想定した場合について説明した。本変形例の通信システムでは、分散基地局と端末装置との通信の運用ログに基づいて、各分散基地局の指向性(eMBB指向、URLLC指向)を決定する。これ以外について、本変形例の通信システムは、第1実施形態の通信システム1000と同様である。
【0167】
【0168】
図18は、分散基地局と端末装置との通信の運用ログに基づいて、各分散基地局の指向性(eMBB指向、URLLC指向)を決定する方法を説明するための図であり、本変形例の通信システムに含まれる3つの分散基地局A、B、Cと6つの端末装置UE1~UE6を模式的に示した図である。
【0169】
図18では、UE1~UE3が、分散基地局AおよびBのペアで接続されることが多く(接続される確率が大きく)、UE4~UE6が、分散基地局BおよびCのペアで接続されることが多い(接続される確率が大きい)ものとする。
【0170】
このような場合、本変形例の通信システムの集約基地局CU1(集約基地局CU1が分散基地局AからCを統括(制御)する集約基地局であるものとする)は、分散基地局A~Cから、各分散基地局がどの端末装置と通信しているかのログ情報を収集することができる。したがって、集約基地局CU1は、当該ログ情報を参照することで、特定の端末装置が、分散基地局のどのペアで接続される確率が高いかを知ることができる。
【0171】
本変形例の通信システムの集約基地局CU1は、各分散基地局がどの端末装置と通信しているかを示すログ情報に基づいて、ペアで接続されやすい分散基地局同士は、互いに異なる指向性の分散基地局となるように設定する。
【0172】
図18の場合、UE1~UE3が、分散基地局AおよびBのペアで接続されることが多く(接続される確率が大きく)、UE4~UE6が、分散基地局BおよびCのペアで接続されることが多い(接続される確率が大きい)ことがログ情報から知ることができるので、当該ログ情報に基づいて、集約基地局CU1は、ペアで接続されやすい分散基地局である分散基地局A、Bが、互いに異なる指向性の分散基地局となるように設定し、かつ、ペアで接続されやすい分散基地局である分散基地局B、Cが、互いに異なる指向性の分散基地局となるように設定する。
【0173】
例えば、
図18の場合、集約基地局CU1は、ログ情報に基づいて、
(1)分散基地局Aを、eMBB指向分散基地局に、
(2)分散基地局Bを、URLLC指向分散基地局に、
(3)分散基地局Cを、eMBB指向分散基地局に、
設定する。
【0174】
これにより、本変形例の通信システムでは、異なる種別の通信フローの通信が多い場合であっても、適切に分散基地局の指向性を決定することができ、指向性により役割分担された分散基地局により通信を行うことで、通信の品質劣化を効果的に防止することができる。
【0175】
[他の実施形態]
上記実施形態(変形例を含む)で説明した通信システム1000、および/または、通信制御装置1、集約基地局CU1において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0176】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0177】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0178】
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0179】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0180】
例えば、上記実施形態の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、
図19に示したハードウェア構成(例えば、CPU(GPUを含む)、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0181】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0182】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0183】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0184】
1000 通信システム
Svr1 第1サーバ
Svr2 第2サーバ
1 通信制御装置
CU1 集約基地局
DU1~DUm 分散基地局
UE1~UEn 端末装置