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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143245
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】床用目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043666
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA00
2E001FA53
2E001PA04
2E001PA08
(57)【要約】
【課題】目地上を移動する人や物を安定して支持し得る床用目地カバー装置を提案する。
【解決手段】目地に差し渡された目地カバー体を支持する伸縮保持体7は、複数のリンク片がパンタグラフ状に枢結されて目地幅方向へ伸縮可能に形成された伸縮リンク体31と、目地幅方向に伸縮可能な伸縮支持梁51とを備え、前記伸縮リンク体31は、前記目地カバー体を構成する各カバー板が枢支される一方、前記伸縮支持梁51は、前記伸縮リンク体31の下方に配設されて、該伸縮リンク体31を摺動可能に支持するものである。かかる構成にあっては、例えば、比較的狭い幅の通路に配設される場合に、伸縮保持体7の配設数が制限されたとしても、目地カバー板を安定して支持できる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する建造物の床相互間の目地に差し渡され、該目地の幅方向に並列された複数のカバー板を備えた目地カバー体と、
目地幅方向へ伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の側縁に夫々枢支されると共に、前記目地カバー体の各カバー板が回動可能に連結された複数の伸縮保持体と
を備えてなる床用目地カバー装置において、
前記伸縮保持体は、
複数のリンク片がパンタグラフ状に枢結されて、目地幅方向へ伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の側縁に夫々枢結されると共に、前記目地カバー体の各カバー板が枢支された伸縮リンク体と、
目地幅方向へ伸縮可能に形成され、前記伸縮リンク体の下方に設けられて、両端部が両建造物の側縁に夫々枢結された伸縮支持梁と
を備え、前記伸縮リンク体が下方の伸縮支持梁によって摺動可能に支持されたものであることを特徴とする床用目地カバー装置。
【請求項2】
伸縮支持梁は、
目地幅方向に沿って配設された中支持梁体と、
一端部が両建造物の側縁に夫々枢結されると共に、他端部が前記中支持梁体の左右両側に目地幅方向へ相対的に摺動可能に夫々連結され、該中支持梁体を支持する左右一対の側支持梁体と
を備えたものであり、
前記中支持梁体は、
目地幅方向に沿う中央杆部と、
前記中央杆部から左右両側へ夫々突設された回動軸に、回動自在に連結された左右の中回転ローラと、
上下方向に間隙をおいて目地幅方向に沿って延成された上下一対の案内部により構成され、前記中央杆部の左右両側に夫々配設された中案内レールと
を備え、
前記側支持梁体は、
一端部が前記建造物の側縁に枢結された、目地幅方向に沿う側梁杆部と、
前記側梁杆部から左右一側へ突設された回動軸に回動自在に連結され、前記中案内レールを構成する上下の案内部間に、目地幅方向へ相対的に移動可能に嵌合される側回転ローラと、
前記側梁杆部の、前記側回転ローラと同じ左右一側に配設され、上下方向に間隙をおいて目地幅方向に沿って延成された上下一対の案内部により構成されて、当該案内部間に前記中回転ローラが目地幅方向へ相対的に移動可能に嵌合される側案内レールと
を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の床用目地カバー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する建造物の床相互間の目地を覆う床用目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震による被害を最小限に留めるために、緩衝機能を備えた免震装置によって下部を支持した建造物が多く建設されている。こうした免震構造の建造物間には、地震による変位を吸収し得る比較的広幅の目地が形成されており、かかる目地を覆う床用目地カバー装置が配設されている。
【0003】
床用目地カバー装置として、例えば特許文献1の構成が提案されている。この構成は、目地を介して隣接する建造物の側壁に両端部が枢支された複数のパンタグラフ状の伸縮リンクと、両建造物の側壁に両端部が枢支された複数の伸縮可能な支持体とが、目地の長手方向に所定間隔をおいて並設され、さらに、目地幅方向に所定間隔をおいて並列されて、各伸縮リンクに枢支され且つ各支持体に摺動可能に乗載される複数の支持バーと、各支持バーに夫々固定されて目地を覆う複数の目地プレートとを備えたものである。かかる従来構成は、支持体によって、複数の目地プレートの重量と該目地プレート上を通過する人や物の重量とを支えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-248466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、床用目地カバー装置は、隣接する建造物の床間に設置され、目地を覆う目地プレートによって、該目地と交差する通路の一部を構成する。そして、前記通路の幅に応じて、目地プレートの長さ(目地長手方向の長さ)が設定される。これにより、比較的幅の広い通路を構成する場合には、目地プレートを支持する前記支持体の配設数が増える一方、比較的幅の狭い通路を構成する場合には、前記支持体の配設数が制限される。ここで、伸縮リンクは、前述したように、目地プレートを夫々固定する支持バーを枢支するものであることから、比較的幅の狭い通路を構成する場合にあっても、少なくとも二個配設される。一方で、前記支持体の配設数は、比較的幅の狭い通路の場合に少なくなる。しかし、支持体の配設数を減少すると、前記支持バーを安定して支持し難くなると共に該支持バーおよび目地プレートを支えるために伸縮リンクの負担が増加する。そして、伸縮リンクの負担が増えると、該伸縮リンクがスムーズに伸縮作動し難くなる虞があった。
【0006】
本発明は、比較的幅の狭い通路を構成する場合にあっても、該通路を構成するプレートを安定して支持し且つ安定して円滑に伸縮し得る床用目地カバー装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、隣接する建造物の床相互間の目地に差し渡され、該目地の幅方向に並列された複数のカバー板を備えた目地カバー体と、目地幅方向へ伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の側縁に夫々枢支されると共に、前記目地カバー体の各カバー板が回動可能に連結された複数の伸縮保持体とを備えてなる床用目地カバー装置において、前記伸縮保持体は、複数のリンク片がパンタグラフ状に枢結されて、目地幅方向へ伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の側縁に夫々枢結されると共に、前記目地カバー体の各カバー板が枢支された伸縮リンク体と、目地幅方向へ伸縮可能に形成され、前記伸縮リンク体の下方に設けられて、両端部が両建造物の側縁に夫々枢結された伸縮支持梁とを備え、前記伸縮リンク体が下方の伸縮支持梁によって摺動可能に支持されたものであることを特徴とする床用目地カバー装置である。
【0008】
かかる構成にあっては、伸縮保持体が、カバー板を枢支する上側の伸縮リンク体と、該伸縮リンク体を下方から支持する伸縮支持梁とによって構成されたものであるから、目地カバー体の重量と該目地カバー体上を通過する人や物の重量とを、伸縮リンク体を介して伸縮支持梁により支持する。これにより、伸縮リンク体による前記重量の負担を軽減でき、該伸縮リンク体を安定して伸縮作動させることができる。また、伸縮保持体は、上下に配設した伸縮リンク体と伸縮支持梁とにより構成されたものであることから、例えば、比較的幅の狭い通路に配設する場合に、該伸縮保持体の配設数が制限されたとしても、伸縮リンク体のスムーズな伸縮作動を実行可能に保ちつつ、目地カバー体を安定して支持できる。これにより、伸縮保持体の配設数が制限される場合であっても、目地カバー体の重量と該目地カバー体上を通過する人や物の重量とを安定して支持できると共に、伸縮リンク体の伸縮作動によって、目地カバー体を構成する各カバー板を円滑に摺動させることができる。
【0009】
前述した本発明の床用目地カバー装置にあって、伸縮支持梁は、目地幅方向に沿って配設された中支持梁体と、一端部が両建造物の側縁に夫々枢結されると共に、他端部が前記中支持梁体の左右両側に目地幅方向へ相対的に摺動可能に夫々連結され、該中支持梁体を支持する左右一対の側支持梁体とを備えたものであり、前記中支持梁体は、目地幅方向に沿う中央杆部と、前記中央杆部から左右両側へ夫々突設された回動軸に、回動自在に連結された左右の中回転ローラと、上下方向に間隙をおいて目地幅方向に沿って延成された上下一対の案内部により構成され、前記中央杆部の左右両側に夫々配設された中案内レールとを備え、前記側支持梁体は、一端部が前記建造物の側縁に枢結された、目地幅方向に沿う側梁杆部と、前記側梁杆部から左右一側へ突設された回動軸に回動自在に連結され、前記中案内レールを構成する上下の案内部間に、目地幅方向へ相対的に移動可能に嵌合される側回転ローラと、前記側梁杆部の、前記側回転ローラと同じ左右一側に配設され、上下方向に間隙をおいて目地幅方向に沿って延成された上下一対の案内部により構成されて、当該案内部間に前記中回転ローラが目地幅方向へ相対的に移動可能に嵌合される側案内レールとを備えたものである構成が提案される。
【0010】
かかる構成にあって、伸縮支持梁は、中支持梁体と左右の側支持梁体との相対的な移動により伸縮するものであり、パンタグラフ状の伸縮リンク体と伸縮の作動態様が異なる。伸縮保持体は、地震時における両建造物の様々な相対変位に追従し易く、目地カバー体を支持する作用効果と該相対変位にスムーズに追従する作用効果との両方を一層安定して発揮できる。
ここで、伸縮支持梁は、中支持梁体の中回転ローラが側支持梁体の側案内レールにより目地幅方向へ相対移動可能とし、且つ側支持梁体の側回転ローラが中支持梁体の中案内レールにより目地幅方向へ相対移動可能とする構成を備えたものであるから、地震時にあっても各回転ローラと各案内レールとの嵌合状態を保つことができ、各回転ローラと各案内レールとの円滑な相対移動を安定して実行できる。これにより、伸縮支持梁は、地震時における両建造物の相対変位に、伸縮支持梁の円滑な伸縮によって安定して追従できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の床用目地カバー装置にあっては、前述したように、伸縮保持体が、目地カバー体の重量と該目地カバー体上を通過する人や物の重量とを安定して支持できると共に、地震時に両建造物の相対変位に安定かつ円滑に追従して作動できる。これにより、伸縮保持体の伸縮リンク体に連結された目地カバー体の各カバー体を、前記相対変位に従って目地幅方向と目地長手方向とに安定して摺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】床用目地カバー装置1の施工状態を示す縦断面図である。
図2】床用目地カバー装置1の施工状態を示す平面図である。
図3】床用目地カバー装置1の施工状態を示す斜視図である。
図4】目地カバー体11の斜視図である。
図5】目地カバー体11を省略して示す平面図である。
図6】目地カバー体11を省略して示す斜視図である。
図7】伸縮リンク体31の平面図である。
図8】伸縮支持梁51の、(A)平面図と、(B)側面図である。
図9】伸縮支持梁51を構成する中支持梁体52の、(A)平面図と、(B)側面図である。
図10】中支持梁体52の正面図である。
図11】伸縮支持梁51を構成する側支持梁体53の、(A)平面図と、(B)側面図である。
図12】側支持梁体53の、(A)正面図と、(B)図11中のS-S線断面図である。
図13】(A)図8中のT-T線断面図と、(B)図8中のM-M線断面図である。
図14】建造物81,82が近接方向に相対変位した場合の、床用目地カバー装置1の作用説明図である。
図15】建造物81,82が左右方向に相対変位した場合の、床用目地カバー装置1の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
床用目地カバー装置1は、図1~3に示すように、隣接する建造物81,82間に設けられた目地83に配設されて、両建造物81,82を連絡する通路を構成する。建造物81,82はそれぞれ、緩衝機能を備えた免震装置(図示せず)によって下部が支持された免震構造の建造物である。目地83は、建造物81と建造物82との間に所定幅で形成され、地震の際に建造物81と建造物82との水平方向の相対的な揺れを吸収し得るようになっている。
【0014】
尚、本実施例では、目地83の長手方向を、床用目地カバー装置1の左右方向として説明する。すなわち、本実施例の左右方向が、本発明の目地長手方向に相当する。また、建造物81,82から目地83に向かう方向を内方とし、目地83から建造物81,82に向かう方向を外方として、以下で説明する。
【0015】
建造物81の床85の側縁と建造物82の床86の側縁とには、床用目地カバー装置1を構成する連結基体2,2が、目地83の長手方向に沿って対向状に配設されて、各側縁に固結されている。ここで、建造物81,82の床85,86の側縁には、所定深さで凹ませた支持段縁91,92が設けられており、この支持段縁91,92に、前記連結基体2,2が配設されている。連結基体2は、前記支持段縁91,92の上面を覆う平板状の水平受縁21と、該水平受縁21の外端に左右方向に亘って立設された垂直縁22とを備え、さらに、水平受縁21の内端に、目地83を構成する建造物81,82の壁面に沿って下方へ延出された内側縁23が連成されており、両建造物81,82に配設された連結基体2、2の内側縁23,23間により、両建造物81,82を連絡する通路上における目地幅が規定されている。尚、本実施例にあって、連結基体2を構成する水平受縁21、垂直縁22、および内側縁23は、ステンレス等の鋼板を折曲加工することにより形成されており、図示しないアンカーボルトなどによって建造物81,82の床85,86に固結されている。
【0016】
両建造物81,82の前記水平受縁21,21には、図1,5,6に示すように、夫々の垂直縁22,22寄りに、円柱状の連結杆25,25が対向状に立設され、この一対の連結杆25,25が左右方向に所定間隔をおいて複数設けられている。ここで、本実施例にあっては、四組の前記一対の連結杆25,25が、左右方向の中心線に対して左右対称且つ左右方向に略等間隔となる位置に夫々配設されている。尚、本実施例にあっては、前記連結杆25が、水平受縁21に固結されて該水平受縁21から上方へ突出されたボルトと、該ボルトに外嵌された円筒とから構成されている。
【0017】
また、両建造物81,82の前記垂直縁22,22間には、図1~3に示すように、目地カバー体11が差し渡されており、該目地カバー体11により目地83を横断する通路の一部が構成されている。この目地カバー体11は、目地幅方向の中央部分に配置される中央カバー板12と、該中央カバー板12の両建造物81,82側に夫々配置される複数の側部カバー板13と、連結基体2,2の垂直縁22,22に夫々連結される端部カバー板14とを備える。すなわち、中央カバー板12と端部カバー板14との間に、複数の側部カバー板13が配設された構成となっている。
【0018】
中央カバー板12は、図4に示すように、目地長手方向(左右方向)に延在する矩形平板状の中央水平板部12aと、該中央水平板部12aの下面に固結された断面略コ字状の中央支持杆部12bとから構成されている。中央支持杆部12bは、前記中央水平板部12aの目地幅方向中央部に、該中央水平板部12aの目地長手方向に亘って設けられる。そして、中央支持杆部12bは、その底面部に複数の挿通孔(図示せず)が開口形成されている。この挿通孔には、後述する伸縮リンク体31を構成する中央のリンク要素部32の螺子杆38が回転自在に挿通される。
【0019】
側部カバー板13は、目地長手方向(左右方向)に延在する矩形平板状の側部水平板部13aと、該側部水平板部13aの下面に固結された断面略コ字状の側部支持杆部13bとから構成されている。側部水平板部13aは、前記中央カバー板12の中央水平板部12aと、目地長手方向の長さ寸法が同じ矩形平板状に形成されており、側部支持杆部13bは、該側部水平板部13aの内側縁寄りに、該側部水平板部13aの目地長手方向に亘って設けられる。そして、側部支持杆部13bは、その底面部に複数の挿通孔(図示せず)が開口形成されている。この挿通孔には、後述する伸縮リンク体31を構成するリンク要素部32の螺子杆38が回転自在に挿通される。
【0020】
端部カバー板14は、前記連結基体2の垂直縁22の上端部に取り付けられており(図1参照)、矩形平板状の端部水平板部14aと、該端部水平板部14aの内側縁から下方へ延出された断面略L形の脚縁部14bとを備えたものであり、該端部水平板部14aと脚縁部14bとが一枚の鋼板を折曲加工することにより成形される。端部水平板部14aは、前記中央水平板部12aおよび側部水平板部13aと同じ長さ寸法で形成されている。尚、本実施例にあって、端部カバー板14は、端部水平板部14aの下面に補強杆14cが接合されており、この補強杆14cにより高い強度と剛性とを有する。
【0021】
目地カバー体11は、一個の中央カバー板12と複数(本実施例にあっては、十個)の側部カバー板13と二個の端部カバー板14とから構成されており、隣合うカバー板12~14の目地幅方向の側縁部が摺動可能に重なり合っている。ここで、中央カバー板12の外側縁部は、該中央カバー板12と隣合う両側の側部カバー板13,13の内側縁部上に夫々重ねられ、各側部カバー板13の外側縁部は、外側で隣合う側部カバー板13の内側縁部上に夫々重ねられ、端部カバー板14の外側で隣合う側部カバー板13の外側縁部は、該端部カバー板14の内側縁部上に重ねられる。これにより、端部カバー板14の端部水平板部14a、各側部カバー板13の側部水平板部13a、および中央カバー板12の中央水平板部12aが階段状に重なっており、中央水平板部12aが最も高い位置にある(図1参照)。また、中央カバー板12の中央支持杆部12bと、側部カバー板13の側部支持杆部13bと、端部カバー板14の脚縁部14bとは、前記目地カバー体11を構成した状態で、夫々の底面部が同一の高さ位置となるように形成されている。すなわち、中央カバー板12の中央支持杆部12bが、最も高い寸法で形成され、端部カバー板14の脚縁部14bが、最も低い寸法で形成され、中央カバー板12と端部カバー板14との間に配される各側部カバー板13の側部支持杆部13bが、内側から外側に向かって段々と低い寸法で形成されている。
尚、こうした目地カバー体11は、中央カバー板12と各側部カバー板13とを、後述する伸縮リンク体31の各リンク要素部32に連結し、かつ端部カバー板14を、前記連結基体2の垂直縁22に連結することによって形成される。
【0022】
次に本発明の要部について説明する。
本実施例の床用目地カバー装置1は、図5,6に示すように、両建造物81,82に配設された連結基体2,2に、複数の伸縮保持体7が差し渡された構成を有する。両建造物81,82の連結基体2,2には、前述したように、対向状に設けられた一対の連結杆25,25が四組設けられており、各対の連結杆25,25に、伸縮保持体7が夫々連結されている。伸縮保持体7は、前記した目地カバー体11の中央カバー板12と側部カバー板13とが連結される伸縮リンク体31と、該伸縮リンク体31を支持する伸縮支持梁51とから構成される。
【0023】
伸縮リンク体31は、複数のリンク片33a,33bがパンタグラフ状に枢結されたものである。すなわち、図7に示すように、二個のリンク片33a,33bを螺子杆38により枢結したX状のリンク要素部32が、複数連結された構成を有する。ここで、リンク要素部32は、互いの中央部を交差させたリンク片33a,33bが、該中央部で前記螺子杆38により回動可能に枢結されてなり、伸縮リンク体31は、複数のリンク要素部32を列ねて、隣合うリンク要素部32,32の各リンク片33a,33bの端部同士が螺子杆(図示せず)により回動可能に夫々枢結されることによって構成されている。さらに、両端のリンク要素部32,32には、前記一対の連結杆25,25に連結される取付部36,36が、短尺リンク片34a,34bを介して夫々枢結されている。短尺リンク片34a,34bは、前記リンク要素部32を構成するリンク片33a,33bの略半分の長さをなし、夫々の一端が取付部36に枢結され、夫々の他端が、前記リンク要素部32のリンク片33a,33bの各端部に夫々枢結される。また、取付部36は、前記連結杆25の外径よりも大きい径寸法で形成された連結孔37が上下方向に貫通形成されている。伸縮リンク体31は、両端の取付部36,36の連結孔37,37が、両建造物81,82に配設された一対の連結杆25,25に外嵌されることによって、該連結杆25,25に枢結される。これにより、伸縮リンク体31は、左右方向へ回動可能であると共に、上下方向に傾動可能である。
【0024】
こうして配設された伸縮リンク体31は、両建造物81,82が目地幅方向に相対変位した場合に、該相対変位に追従して伸縮できる(図14参照)。そして、両建造物81,82が目地長手方向に相対変位した場合には、該相対変位に追従して左右方向に回動できる(図15参照)。さらに、両建造物81,82が高さ方向に相対変位した場合には、該相対変位に追従して上下方向に傾動できる。
【0025】
さらに、伸縮リンク体31を構成する各リンク要素部32の、リンク片33a,33bを枢結する螺子杆38が、前記した目地カバー体11を構成する中央カバー板12の中央支持杆部12bと各側部カバー板13の側部支持杆部13bとに開口形成された挿通孔(図示せず)に夫々挿通されて、ナット等により抜け止めされることにより、該伸縮リンク体31に目地カバー体11の中央カバー板12と側部カバー板13とが夫々回動可能に連結される。ここで、伸縮リンク体31は、目地カバー体11の中央カバー板12と側部カバー板13との配設個数(11個)と同数のリンク要素部32によって構成されており、各リンク要素部32の螺子杆38が、中央カバー板12と側部カバー板13との各挿通孔に夫々挿通されて連結される。そして、中央カバー板12の中央支持杆部12bと側部カバー板13の側部支持杆部13bとが、伸縮リンク体31に回動可能に乗載される。
【0026】
尚、本実施例の伸縮リンク体31には、各リンク要素部32の下面中央部に円環状の摺動突部(図示せず)が設けられており、該摺動突部の内側に、リンク片33a,33bを枢結する螺子杆38の下端部が収容される。伸縮リンク体31は、前記各リンク要素部32の摺動突部が伸縮支持梁51に乗載されることによって、該伸縮支持梁51に摺動可能に支持される。
【0027】
一方、伸縮支持梁51は、図8に示すように、両建造物81,82の連結杆25,25に夫々枢結される一対の側支持梁体53,53と、該側支持梁体53,53により支持される中支持梁体52とにより構成されている。
【0028】
中支持梁体52は、図8~10に示すように、目地幅方向に沿って延在された上下方向の側面部を左右両側に有する中梁杆部61を備え、該中梁杆部61の一端部には、左右一側の側面部に、四個の中回転ローラ64を有する中ローラユニット63が設けられていると共に、該中梁杆部61の他端部には、左右他側の側面部に、中ローラユニット63が設けられている。中ローラユニット63は、中梁杆部61の側面部に直交状に取り付けれる四個の回動軸65が上下方向と目地幅方向とに並列して設けられ、各回動軸65に前記中回転ローラ64が回動自在に夫々連結されたものである。中回転ローラ64には、その外周面に嵌合周溝64aが周成されている。
【0029】
さらに、中支持梁体52は、中梁杆部61の左右両側に、上下一対の案内部67,68を有する中案内レール66が夫々固結されている。案内部67,68は、中梁杆部61の上下端から左右一方へ夫々延出された水平縁67a,68aと、該水平縁67a,68aの延出端から下方または上方へ夫々延出された嵌合縁67b,68bとからなる断面略L形を成し、夫々の嵌合縁67b,68bが上下方向に所定間隙をおいて対設されている。こうした中案内レール66は、中梁杆部61の長手方向(目地幅方向)に亘って夫々設けられている。そして、本実施例の中案内レール66は、上側の案内部67が前記中ローラユニット63よりも上方に設けられ且つ下側の案内部68が該中ローラユニット63よりも下方に設けられており、上下の嵌合縁67b,68bの間隙に、該中ローラユニット63が位置する。
【0030】
尚、中梁杆部61の上面部には、左右方向と長手方向との中央部位に、上方へ突成された枢支杆59が設けられている。この枢支杆59は、後述するように、目地カバー体11を構成する中央カバー板12に回動可能に枢支される。
【0031】
側支持梁体53は、図11,12に示すように、目地幅方向に沿って延在された上下方向の側面部を左右一側に有する側梁杆部71を備え、該側梁杆部71の一端部には、前記連結杆25に枢結される梁取付部72が設けられると共に、該側梁杆部71の他端部には、前記側梁杆部71の側面部に、二個の側回転ローラ74を有する側ローラユニット73が設けられている。梁取付部72には、前記連結杆25の外径よりも大きい径寸法で形成された連結孔72aが上下方向に貫通形成されており、該連結孔72aが該連結杆25に外嵌される。これにより、梁取付部72は、連結杆25に対して、左右方向へ回動可能であると共に、上下方向に傾動可能である。
【0032】
側ローラユニット73は、側梁杆部71の側面部に直交状に取り付けられる二個の回動軸75が上下方向に並列して設けられ、各回動軸75に前記側回転ローラ74が回動自在に夫々連結されたものである。そして、側回転ローラ74には、その外周面に嵌合周溝74aが周成されている。こうした側ローラユニット73は、上側の側回転ローラ74の嵌合周溝74aに、前記中案内レール66を構成する上側の案内部67の嵌合縁67bを相対移動可能に嵌合でき、且つ下側の側回転ローラ74の嵌合周溝74aに、当該案内部67と対の下側の案内部68の嵌合縁68bを相対移動可能に嵌合できる。
【0033】
さらに、側支持梁体53は、側梁杆部71の側面部に、上下一対の案内部77,78を有する側案内レール76が固結されている。案内部77,78は、側梁杆部71の側面部の上部および下部から左右一方へ夫々延出された水平縁77a,78aと、各水平縁77a,78aの延出端から下方または上方へ夫々延出された嵌合縁77b,78bとからなる断面略L形を成し、夫々の嵌合縁77b,78bが上下方向に所定間隙をおいて対設されている。こうした側案内レール76は、側梁杆部71の側面部に、前記側ローラユニット73が取り付けられた他端部を除いて、該側梁杆部71の長手方向(目地幅方向)に亘って夫々設けられている。そして、本実施例の側案内レール76は、前記中支持梁体52の中案内レール66を構成する上下の案内部67,68(上下の嵌合縁67b,68b)間を挿通可能に設けられており、前記中支持梁体52の中ローラユニット63を構成する上側の二個の回転ローラ64,64の嵌合周溝64a,64aに、上側の案内部77の嵌合縁77bを相対移動可能に嵌合でき、且つ前記中ローラユニット63の下側の二個の回転ローラ64,64の嵌合周溝64a,64aに、下側の案内部78の嵌合縁78bを相対移動可能に嵌合できる。
【0034】
また、本実施例にあって、側支持梁体53には、側梁杆部71の上下端から側面部側に夫々突設された外嵌片部79,79を備える。上下の外嵌片部79,79は、その間に、前記中支持梁体52の中案内レール66を嵌入可能に形成されており、側梁杆部71の長手方向(目地幅方向)に亘って設けられている。ここで、上下の外嵌片部79,79は、その間に、中案内レール66を構成する上下の案内部77,78の水平縁67a,68aが嵌入されて、該中案内レール66を上下方向で支持する(図11参照)。
【0035】
伸縮支持梁51は、図8に示すように、前述した中支持梁体52と二個の側支持梁体53,53とが連結されて構成される。すなわち、中支持梁体52の左右両側で、該中支持梁体52を構成する中梁杆部61の側面部と側支持梁体53,53を構成する側梁杆部71,71の側面部とを夫々対向させて、該中支持梁体52の中案内レール66と該側支持梁体53の側回転ローラ74とを嵌合させると共に、該中支持梁体52の中回転ローラ64と該側支持梁体53の側案内レール76とを嵌合させる。こうして中支持梁体52と二個の側支持梁体53,53とを連結してなる伸縮支持梁51が構成され、該伸縮支持梁51は、各側支持梁体53,53が両建造物81,82の連結基体2,2に枢結され且つ該連結基体2,2の水平受縁21,21に乗載されて支持される(図1,5,6参照)。かかる伸縮支持梁51は、中案内レール66の上下の案内部67,68間に側ローラユニット73の上下の側回転ローラ74,74が相対移動可能に嵌合され、且つ側案内レール76の上下の案内部77,78間に中ローラユニット63の上下の中回転ローラ64,64が相対移動可能に嵌合された構成であることから、中支持梁体52と側支持梁体53,53とが各案内レール66,76に沿って相対的に移動することによって、円滑に伸縮できる。
【0036】
こうした伸縮支持梁51は、その両端の梁取付部72,72に設けられた連結孔72a,72aが、両建造物81,82の連結基体2,2に設けられた一対の連結杆25,25に夫々外嵌されることにより、該連結基体2,2に枢結される。そして、伸縮支持梁51は、その側支持梁体53,53が前記連結基体2,2の水平受縁21,21上に摺動可能に乗載される。これにより、伸縮支持梁51は、左右方向に回転可能かつ上下方向に傾動可能に連結基体2,2に枢結されると共に、該連結基体2,2に安定して支持される。
【0037】
伸縮保持体7は、図1,5,6に示すように、両建造物81,82に夫々設けられた連結基体2,2の一対の連結杆25,25に枢結された前記伸縮支持梁51と、当該伸縮支持梁51の上から当該連結杆25,25に枢結された前記伸縮リンク体31とによって構成される。伸縮支持梁51は、前述したように、両端の梁取付部72,72が一対の連結杆25,25に枢結され、かつ側支持梁体53,53が連結基体2,2の水平受縁21,21に摺動可能に乗載されて支持される。そして、伸縮リンク体31は、前記伸縮支持梁51の上から、同じ一対の連結杆25,25に、取付部36,36が枢結されて、該伸縮支持梁51上に配設される。ここで、伸縮リンク体31は、前述したように、各リンク要素部32の下面中央部に設けられた摺動突部(図示せず)が、前記伸縮支持梁51に乗載されて、該伸縮支持梁51に摺動可能に支持される。また、伸縮リンク体31を構成する中央のリンク要素部32の螺子杆38は、当該螺子杆38を収容する前記摺動突部を介して、伸縮支持梁51の中支持杆梁体52から上方へ突成された枢支杆59に、回動自在に連結される。
【0038】
このように本実施例の伸縮保持体7は、伸縮支持梁51の直上に伸縮リンク体31が配設されて、該伸縮支持梁51によって該伸縮リンク体31が直接的に支持される。そして、伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが、左右方向に回転可能かつ上下方向に傾動可能であると共に、夫々伸縮作動できる。
【0039】
次に、本実施例の床用目地カバー装置1の作動態様について説明する。
図14に示すように、地震の際に両建造物81,82が近接する方向に相対変位すると、各伸縮保持体7を構成する伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが収縮し、該伸縮リンク体31の各リンク要素部32に枢結された各側部カバー板13が中央カバー板12に向かって移動して、目地カバー体11が収縮する。ここで、伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが円滑に伸縮できることから、地震による両建造物81,82の近接方向への相対変位にスムーズに追従できる。このように伸縮保持体7の収縮に連動して中央カバー板12と各側部カバー板13とが摺動することにより、両建造物81,82の近接方向への相対変位に追従して、目地カバー体11がスムーズに収縮できる。
【0040】
また、地震の際に両建造物81,82が離間する方向に相対変位した場合(図示せず)には、各伸縮保持体7を構成する伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが伸張し、該伸縮リンク体31の伸張に伴って各側部カバー板13が目地外方へ移動して、目地カバー体11が伸張する。このように離間方向へ相対変位した際にも、伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが円滑に伸張して、当該相対変位にスムーズに追従できる。そして、中央カバー板12と各側部カバー板13とが摺動することにより、前記離間方向への相対変位に追従して、目地カバー体11がスムーズに伸張できる。
【0041】
一方、図15に示すように、地震の際に両建造物81,82が左右方向(目地長手方向)に相対変位した場合には、各伸縮保持体7を構成する伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが左右方向へ傾動し且つ該傾動に伴って伸張する。ここで、伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とは、夫々円滑に伸縮でき、且つ両建造物81,82に固定された連結基体2,2(一対の連結杆25,25)に回動可能に夫々枢結されていることから、地震による両建造物81,82の左右方向への相対変位にスムーズに追従できる。そして、伸縮保持体7の傾動に伴って、中央カバー板12と各側部カバー板13とが左右方向へ移動して、目地カバー体11が傾動する。このように中央カバー板12と各側部カバー板13とが伸縮リンク体31に連動して摺動することによって、両建造物81,82の左右方向への相対変位に追従して、目地カバー体11がスムーズに傾動できる。
【0042】
さらに、地震の際に両建造物81,82が上下方向に相対変位した場合(図示せず)には、各伸縮保持体7を構成する伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とが上下方向に傾動し且つ伸張する。そして、伸縮保持体7の伸張に伴って、目地カバー体11が伸張する。ここで、伸縮支持梁51と伸縮リンク体31とは、夫々の両端が、両建造物81,82に固定された連結基体2,2(一対の連結杆25,25)に上下方向へ傾動可能に枢結されていることから、両建造物81,82の上下方向への相対変位にスムーズに追従できる。
【0043】
前述したように、本実施例の床用目地カバー装置1にあっては、地震の際に両建造物81,82が相対変位すると、該相対変位に追従して伸縮保持体7が伸縮および傾動し、これに伴って中央カバー板12と側部カバー板13とが摺動することよって、目地カバー体11がスムーズに伸縮および傾動できる。特に、本実施例の構成は、目地カバー体11が、伸縮リンク体31の各リンク要素部32に回動自在に連結された中央カバー板12と複数の側部カバー板13とから構成されていることから、前記相対変位に追従して一層スムーズに伸縮および傾動できる。
【0044】
本実施例の伸縮保持体7は、前記中央カバー板12と側部カバー板13とを枢支する伸縮リンク体31を、伸縮支持梁51によって下方から支持する構成であるから、目地カバー体11の重量と該目地カバー体11上を通過する人や物の重量とを、該伸縮リンク体31を介して伸縮支持梁51が支持する。これにより、伸縮リンク体31に作用する前記重量の負担を軽減でき、該伸縮リンク体31が安定して伸縮作動できる。そのため、伸縮リンク体31が前記した両建造物81,82の相対変位に安定して追従でき、これに伴って、該伸縮リンク体31に連結された目地カバー体11をスムーズに伸縮および傾動できる。
このように伸縮保持体7は、前記相対変位に従って目地カバー体11を伸縮および傾動させる機能(伸縮リンク体31の機能)と、該目地カバー体11を支持する機能(伸縮支持梁51の機能)とを合わせ持つものであることから、相互に干渉しない十分な間隔をおいて目地長手方向に複数並設でき、これら機能を安定かつ十分に発揮できる。これにより、例えば、目地長手方向の幅が比較的狭い通路に適用される場合に、伸縮保持体7の配設数が制限されるとしても、この配設数の伸縮保持体7によって、目地カバー体11の重量と該目地カバー体11上を通過する人や物の重量とを安定して支持でき、かつ該目地カバー体11を、前記両建造物81,82の相対変位に追従させて円滑に伸縮および傾動させることができる。このように本実施例の床用目地カバー装置1は、比較的幅の狭い通路に適用される場合にあっても、両建造物81,82の相対変位に追従でき且つ目地カバー体11を支持できるという、前述した作用効果が安定して発揮できるものである。
【0045】
また、本実施例の構成は、前記中央カバー板12と側部カバー板13とを支持する伸縮支持梁51が円滑に伸縮作動することによって、目地カバー体11のスムーズな伸縮および傾動に寄与している。ここで、伸縮支持梁51は、中支持梁体52の中回転ローラ64と側支持梁体53の側案内レール76とが相対移動可能に嵌合され、かつ中支持梁体52の中案内レール66と側支持梁体53の側回転ローラ74とが相対移動可能に嵌合されて構成されたものであることから、中支持梁体52と側支持梁体53,53とが各案内レール66,76に沿って相対移動することによって、円滑に伸縮作動できる。さらに、本実施例にあっては、中支持梁体52に配設された上下の中回転ローラ64,64が、側支持梁体53に配設された側案内レール76の上下の案内部77,78間に相対移動可能に嵌合され、かつ側支持梁体53に配設された上下の側回転ローラ74,74が、中支持梁体52に配設された中案内レール66の上下の案内部67,68間に相対移動可能に嵌合された構成であるから、地震の際に、これら嵌合状態が安定して保持され、前記伸縮作動が安定かつスムーズに実行できる。こうしたことから、本実施例の伸縮支持梁51は、前記した両建造物81,82の相対変位に伴って円滑に伸縮することで、該相対変位に安定して追従できる。
さらに、本実施例の構成は、伸縮支持梁51の側支持梁体53,53が、両建造物81,82に固定された水平受縁21,21に支持され、該側支持梁体53,53によって中支持梁体52を支持するようにしたものであるから、目地83上に配置される該中支持梁体52を安定して支持できる。こうした伸縮支持梁51により、伸縮リンク体31を介して目地カバー体11をしっかりと支持できることから、該目地カバー体11上を通過する人や物の荷重を安定して支持し得る高い強度と剛性とを発揮できる。
【0046】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、伸縮保持体7の配設数は適宜変更して設定することができる。すなわち、床用目地カバー装置1の設置場所、通路の幅、目地カバー体11の重量などに応じて適宜設定変更することが好適である。
【0047】
また、前述の実施例は、伸縮支持梁51の中支持梁体52に、四個の中回転ローラ64を有する中ローラユニット63が配設された構成であるが、これに限らず、中ローラユニットに有する中回転ローラの個数は適宜変更することができる。例えば、上下に並ぶ二個の中回転ローラ64,64を備えた中ローラユニットを備えた構成であっても良い。さらには、中支持梁体52の両側面部に、夫々一個の中回転ローラを備えた構成であっても良い。
同様に、側支持梁体53に、二個の側回転ローラ74を有する側ローラユニット73が配設された構成であるが、これに限らず、側回転ローラの配設個数は適宜変更することができる。例えば、四個の側回転ローラを有する側ローラユニットが配設された構成、一個の側回転ローラが配設された構成などとできる。
【0048】
また、前述の実施例は、連結基体2が水平受縁21を備え、該水平受縁21に伸縮支持梁51の両端部を摺動可能に乗載したものであるが、これに限らず、例えば、連結基体が、伸縮支持梁51の両端を枢結するのみで、該伸縮支持梁51の両端部を支持しない(水平受縁を有しない)構成であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 床用目地カバー装置
2 連結基体
7 伸縮保持体
11 目地カバー体
12 中央カバー板
12a 中央水平板部
12b 中央支持杆部
13 側部カバー板
13a 側部水平板部
13b 側部支持杆部
14 端部カバー板
14a 端部水平板部
14b 脚縁部
14c 補強杆
21 水平受縁
22 垂直縁
23 内側縁
25 連結杆
31 伸縮リンク体
32 リンク要素部
33a,33b リンク片
34a,34b 短尺リンク片
36 取付部
37 連結孔
38 螺子杆
51 伸縮支持梁
52 中支持梁体
53 側支持梁体
59 枢支杆
61 中梁杆部
63 中ローラユニット
64 中回転ローラ
64a 嵌合周溝
65 回動軸
66 中案内レール
67,68 案内部
67a,68a 水平縁
67b,68b 嵌合縁
71 側梁杆部
72 梁取付部
72a 連結孔
73 側ローラユニット
74 側回転ローラ
74a 嵌合周溝
75 回動軸
76 側案内レール
77,78 案内部
77a,78a 水平縁
77b、78b 嵌合縁
79 外嵌片部
81,82 建造物
83 目地
85,86 床
91,92 支持段縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15