(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143253
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】フェンス及びフェンス乗越え防止具
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20220926BHJP
E04H 17/16 20060101ALI20220926BHJP
A01K 15/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E04H17/14 103Z
E04H17/16 102A
E04H17/16 104
E04H17/16 105
E04H17/16 101
A01K15/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043677
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】500075597
【氏名又は名称】株式会社 日本育児
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石迫 壮馬
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142CC12
2E142DD02
2E142EE12
2E142HH01
2E142HH24
2E142JJ11
2E142MM02
(57)【要約】
【課題】
動物の足がブレードの隙間を通ってフェンス本体の上端部に届きにくいフェンスを提供する。
【解決手段】
本願の一態様に係るフェンスは、フェンス本体と、フェンス本体の上方に位置する回転体と、備え、回転体は、フェンス本体の幅方向に沿って延びるコア部と、コア部に設けられた5つのブレードと、を有し、5つのブレードはコア部の周方向に等間隔に配置されるとともに、フェンス本体の幅方向に沿って直線状に延びており、5つのブレードのうち隣り合うブレードの先端の距離は、フェンス本体の前後方向の厚みよりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンス本体と、
前記フェンス本体の上方に位置する回転体と、備え、
前記回転体は、
前記フェンス本体の幅方向に沿って延びるコア部と、
前記コア部に設けられた5つのブレードと、を有し、
前記5つのブレードは前記コア部の周方向に等間隔に配置されるとともに、前記フェンス本体の幅方向に沿って直線状に延びており、
前記5つのブレードのうち隣り合うブレードの先端の距離は、前記フェンス本体の前後方向の厚みよりも大きい、フェンス。
【請求項2】
前記コア部を回転可能に支持する軸部材と、
前記軸部材を前記フェンス本体に対して任意の上下方向位置に取り付ける取付具と、をさらに備えている、請求項1に記載のフェンス。
【請求項3】
前記フェンス本体の幅方向両側に位置して上下方向に延び、前記フェンス本体を支持する一対の支持柱をさらに備え、
前記取付具は、前記一対の支持柱に前記軸部材を取り付けることができるように構成されている、請求項2に記載のフェンス。
【請求項4】
前記取付具は、前記回転体が回転したときにおける前記5つのブレードのうちの1つと前記フェンス本体との最小隙間が20mm以下となる上下方向位置に前記軸部材を取り付けることができるように構成されている、請求項2又は3に記載のフェンス。
【請求項5】
フェンス本体の上方に位置する回転体を備え、
前記回転体は、
前記フェンス本体の幅方向に沿って延びるコア部と、
前記コア部に設けられた5つのブレードと、を有し、
前記5つのブレードは前記コア部の周方向に等間隔に配置され、前記フェンス本体の幅方向に沿って直線状に延びており、
前記5つのブレードのうち隣り合うブレードの先端の距離は、前記フェンス本体の前後方向の厚みよりも大きい、フェンス乗越え防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、フェンス及びフェンス乗越え防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の移動を防止するためにフェンスを設置した場合でも、猫などの身軽な動物はそのフェンスをよじ登るなどして乗り越えてしまうことがある。これを防ぐために、円筒状の回転体をフェンス本体の上方に設置したフェンスが考案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。このフェンスによれば、動物が回転体に足をかけたとき回転体が回転し、動物がバランスを崩すため、動物がフェンスを乗り越えるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した回転体は外径が大きいと、回転速度が遅くなってバランスを崩す前に動物がフェンスを乗り越えるおそれがある。また、回転体の外径が小さいと、動物は回転体に足をかけることなく飛び越えるおそれがある。そのため、回転体の形状にはさらなる改良が必要であった。
【0005】
そこで、本発明の発明者は、円筒状で小径のコア部の外周面に半径方向外方に延びる複数のブレードを設けた回転体を考案した。この回転体は動物がブレードに足をかけるとすぐに回転し、また、回転体を飛び越えることも困難である。ただし、この回転体を備えたフェンスは、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に足をかけやすく、動物が当該フェンスを乗り越えてしまうおそれある。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、ブレードを有する回転体を備えたフェンスであって、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に動物の足が届きにくいフェンスを提供することを目的としている。また、ブレードを有する回転体を備えたフェンス乗越え防止具であって、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に動物の足が届きにくいフェンス乗越え防止具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るフェンスは、フェンス本体と、前記フェンス本体の上方に位置する回転体と、備え、前記回転体は、前記フェンス本体の幅方向に沿って延びるコア部と、前記コア部に設けられた5つのブレードと、を有し、前記5つのブレードは前記コア部の周方向に等間隔に配置されるとともに、前記フェンス本体の幅方向に沿って直線状に延びており、前記5つのブレードのうち隣り合うブレードの先端の距離は、前記フェンス本体の前後方向の厚みよりも大きい。
【0008】
この構成によれば、回転体の自重により、回転体に設けられた5つのブレードのうちの2つが、フェンス本体の上端部を覆うような角度位置で回転体は静止しやすい。そのため、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に動物の足が届きにくい。
【0009】
上記のフェンスにおいて、前記コア部を回転可能に支持する軸部材と、前記軸部材を前記フェンス本体に対して任意の上下方向位置に取り付ける取付具と、をさらに備えていてもよい。
【0010】
この構成によれば、ブレードとフェンス本体との隙間を調整することができる。ブレードとフェンス本体との隙間を小さくすれば、動物はフェンス本体の上端部に足をかけにくくなる。
【0011】
上記のフェンスにおいて、前記フェンス本体の幅方向両側に位置して上下方向に延び、前記フェンス本体を支持する一対の支持柱をさらに備え、前記取付具は、前記一対の支持柱に前記軸部材を取り付けることができるように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、取付具は、フェンス本体を支持する一対の支持柱を利用して、フェンス本体に対して任意の上下方向位置に軸部材を取り付けることができる。
【0013】
上記のフェンスにおいて、前記取付具は、前記回転体が回転したときにおける前記5つのブレードのうちの1つと前記フェンス本体との最小隙間が20mm以下となる上下方向位置に前記軸部材を取り付けることができるように構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、取付具は、ブレードとフェンス本体との最小隙間が猫などの動物の足の厚みよりも小さくなるように軸部材を取り付けることができる。この場合、動物はフェンス本体の上端部に足をかけたとしても、回転するブレードとフェンス本体の間に足が挟まれてバランスが崩れる。そのため、動物がフェンスを乗り越えるのを防ぐことができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係るフェンス乗越え防止具は、フェンス本体の上方に位置する回転体を備え、前記回転体は、前記フェンス本体の幅方向に沿って延びるコア部と、前記コア部に設けられた5つのブレードと、を有し、前記5つのブレードは前記コア部の周方向に等間隔に配置されるとともに、前記フェンス本体の幅方向に沿って直線状に延びており、前記5つのブレードのうち隣り合うブレードの先端の距離は、前記フェンス本体の前後方向の厚みよりも大きい。
【0016】
この構成によれば、回転体の自重により、回転体に設けられた5つのブレードのうちの2つが、フェンス本体の上端部を覆うような角度位置で回転体は静止しやすい。そのため、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に動物の足が届きにくい。
【発明の効果】
【0017】
上記の構成によれば、ブレードを有する回転体を備えたフェンスであって、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に動物の足が届きにくいフェンスを提供することができる。また、ブレードを有する回転体を備えたフェンス乗越え防止具であって、隣り合うブレードの隙間からフェンス本体の上端部に動物の足が届きにくいフェンス乗越え防止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係るフェンスの正面図である。
【
図2】
図2は、回転体及びその周辺の縦断面図であって、回転体が静止した状態を示している。
【
図3】
図3は、回転体及びその周辺の縦断面図であって、5つのブレードのうちの1つが回転軸の鉛直方向下方に位置している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係るフェンス100について説明する。
図1は、フェンス100の正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るフェンス100は、支持部10と、フェンス本体20と、フェンス乗越え防止具30と、を備えている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0020】
<支持部>
支持部10は、フェンス本体20を支持する部分である。本実施形態の支持部10は、2つの支持柱11を有している。両支持柱11は、それぞれフェンス本体20の幅方向(
図1の紙面左右方向)端部に位置しており、上下方向に延びている。本実施形態の支持柱11は、下端が床101に接するとともに上端が天井102に接し、床101と天井102の間で突っ張るようにして固定されている。支持柱11は様々な天井高さに対応できるように、長さを調整できるように構成されている。つまり、支持柱11は伸縮可能に構成されている。なお、本実施形態の支持部10はフェンス本体20を支持できればよく、上記の構成に限定されない。
【0021】
<フェンス本体>
フェンス本体20は、動物の移動を規制する部分であって、上述した2つの支持柱11の間に位置している。また、本実施形態のフェンス本体20は、左右一対の開閉扉21を有している。いずれの開閉扉21もフェンス本体20の幅方方向外側にあたる部分が支持柱11に回動可能に支持されている。また、2つの開閉扉21のうちの一方には連結具22が設けられており、他方には被連結具23が設けられている。この被連結具23を連結具22に連結することにより、2つの開閉扉21は閉じられた状態が維持される。
【0022】
本実施形態のフェンス本体20は、格子状に形成されている。だだし、フェンス本体20の形状はこれに限定されない。例えば、フェンス本体20は平板状に形成されていてもよく、メッシュ状に形成されていてもよい。また、上記のとおり、本実施形態のフェンス本体20は、開閉できるように構成されているが、開閉できないように構成されていてもよい。
【0023】
<フェンス乗越え防止具>
フェンス乗越え防止具30は、フェンス本体20の上方に位置しており、動物がフェンス100を乗り越えるのを防ぐための器具である。フェンス乗越え防止具30は、軸部材31と、回転体32と、取付具33とを有している。
【0024】
軸部材31は、フェンス本体20の幅方向に沿って延びており、円柱状の形状を有している。ここで、
図2は、回転体32及びその周辺の縦断面図であって、回転体32が静止した状態を示している。
図2の紙面左右方向がフェンス本体20の前後方向であり、紙面に垂直な方向がフェンス本体20の幅方向である(
図3も同様)。
図2に示すように、軸部材31はフェンス本体20の鉛直方向上方に位置している。つまり、軸部材31は、フェンス本体20と同じ前後方向位置に位置している。
【0025】
回転体32は、動物の足がかかったときに回転する部材である。回転体32は軸部材31に回転可能に支持されている。したがって、回転体32の回転軸103は軸部材31の軸心に一致し、フェンス本体20と同じ前後方向位置に位置している。さらに、
図2に示すように、本実施形態の回転体32はコア部34と、5つのブレード35と、を含んでいる。
【0026】
コア部34は、円筒状の形状を有しており、フェンス本体20の幅方向に沿って延びている。コア部34の内部には、軸部材31が貫通している。また、5つのブレード35はコア部34の周方向に等間隔に配置されている。いずれのブレード35もコア部34から半径方向外側に向かって延びており、半径方向寸法は互いに同じである。また、いずれのブレード35もフェンス本体20の幅方向に沿って直線状に延びている(
図1参照)。
【0027】
本実施形態の各ブレード35は厚みが一定である板状に形成されているが、各ブレード35の形状はこれに限定されない。例えば、各ブレード35は、半径方向外方に向かうに従って厚みが薄くなり、先端が鋭角になるよう形成されていてもよい。ただし、回転体32の重心と回転軸103を一致させるために、各ブレード35の形状は互いに同じであることが望ましい。
【0028】
回転体32は、以上のように構成されているため、静止時には自重によって
図2に示すような角度位置で安定する。つまり、縦断面視において、回転軸103を通過し鉛直方向に延びる仮想線104を引いたとき、その仮想線104を基準に回転体32が線対称であって、回転軸103よりも上方では仮想線104が1つのブレード35上を通過し、回転軸103よりも下方では仮想線104が隣り合うブレード35の隙間を通過するような角度位置で回転体32は安定する。また、5つのブレード35のうち隣り合うブレード35の先端の距離Xは、フェンス本体20の前後方向の厚みYよりも大きい。
【0029】
本実施形態の回転体32は、上記のように構成されているため、回転体32は静止したとき(つまり、自重により安定したとき)、フェンス本体20の上端部は2つのブレード35により覆われた状態となる。そのため、動物の足がブレード35の隙間からフェンス本体20の上端部に届きにくい。その結果、動物がフェンス本体20の上端部に足をかけてフェンス100を乗り越えるのを抑制することができる。
【0030】
取付具33は、軸部材31を取り付けるための器具である。本実施形態の取付具33は、上述した支持柱11に軸部材31を取り付けることができるように構成されている。詳細には、取付具33は、軸部材31を保持する保持部36と、支持柱11が貫通するスリーブ部37とを有しており、支持柱11に沿って上下方向に摺動できるように構成されている。また、取付具33は、ボルトなど図外の締結部材によって、支持柱11の任意の高さ位置に固定できるように構成されている。したがって、取付具33は、フェンス本体20に対して任意の上下方向位置に軸部材31を取り付けることができる。
【0031】
ここで、
図3は、回転体32及びその周辺の縦断面図であって、5つのブレード35のうちの1つが回転軸103の鉛直方向下方に位置している状態を示している。このとき、回転軸103の鉛直方向下方に位置するブレード35の先端とフェンス本体20との隙間が最も小さくなる。つまり、この隙間が、回転体32が回転したときにおける5つのブレード35のうちの1つとフェンス本体20との最小隙間Zである。最小隙間Zは、20mm以下であることが望ましい。つまり、取付具33は、ブレード35とフェンス本体20との最小隙間Zが20mm以下となる上下方向位置に軸部材31を設置できるように構成されていることが望ましい。これは、例えば、スリーブ部37の軸部材31よりも下の部分を短くするなどして実現できる。
【0032】
以上、本実施形態に係るフェンス100を説明したが、フェンス100の構成は上述したものに限定されない。例えば、本実施形態では回転体32と軸部材31は別部材であったが、回転体32と軸部材31が一体に形成されていてもよい。
【0033】
また、本実施形態の回転体32は、フェンス本体20の全幅にわたって一体に形成されているが、幅方向において複数に分割されていてもよい。
【0034】
また、本実施形態の回転体32の回転軸103は、フェンス本体20と同じ前後方向位置に位置している。より厳密には、回転体32の回転軸103は、フェンス本体20の前後方向中央と同じ前後方向位置に位置している。ただし、回転体32は前後方向にオフセットしていてもよい。つまり、回転体32の回転軸103は、フェンス本体20の前後方向中央よりも前方又は後方に位置していてもよい。例えば、動物がいる側に回転体32をオフセットさせれば、フェンス本体20の上端部に動物の足が一層届きにくくなる。なお、回転体32を前後方向にオフセットさせるには、例えばスリーブ部37に対して保持部36が前後方向にオフセットするように取付具33を形成すればよい。
【符号の説明】
【0035】
10 支持部
11 支持柱
20 フェンス本体
30 フェンス乗越え防止具
32 回転体
33 取付具
34 コア部
35 ブレード
100 フェンス