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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143305
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】行動異常通知システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20220926BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A01K29/00 B
A01K13/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043758
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 慎一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 玲緒
(72)【発明者】
【氏名】堀 義高
(72)【発明者】
【氏名】尾淵 浩也
(57)【要約】
【課題】医療処置を受けたペットの行動に関して、より適切な判断を行うことのできる行動異常通知システムを提供する。
【解決手段】行動異常通知システムは、ペットPTの首に装着される首輪10と、首輪10に固定され、外傷を有するペットPTの頭部を保護するエリザベスカラー1と、エリザベスカラー1の所定の位置に設けられたセンサ110と、センサ110の検出信号を取得する取得部と、取得部が取得した信号に基づいて動物の行動を判定する判定部と、判定部による判定結果に基づいて、ペットPTの行動に関する報知を行う報知部と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の首に装着される首輪と、
前記首輪に固定され、外傷を有する動物の頭部を保護するエリザベスカラーと、
前記エリザベスカラーの所定の位置に設けられたセンサと、
前記センサの検出信号を取得する取得部と、
前記取得部が取得した信号に基づいて前記動物の行動を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記動物の行動に関する報知を行う報知部と、
を含む行動異常通知システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記取得部が取得した信号に基づいて前記動物の行動が前記外傷に関連する行動であるか否かを判定する請求項1に記載の行動異常通知システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記取得した信号が前記動物の行動が前記外傷に関連する行動ではないと判定した場合、さらに前記判定部は、外的要因により発生した信号であるか、衝動的な行動により発生した信号であるか、に基づいて異常行動を判定する請求項2に記載の行動異常通知システム。
【請求項4】
前記異常行動に対応する、信号のパターンを記憶する記憶部をさらに含み、
前記判定部は、前記取得部が取得した信号のパターンが前記記憶部に記憶されている信号パターンと比較することによって、前記動物の行動を判定する請求項3に記載の行動異常通知システム。
【請求項5】
前記エリザベスカラーは、
第1開口部と、前記第1開口部より開口面積が大きい第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間の中空部とを有し、
前記エリザベスカラーは、
弾性変形可能な素材によって形成され、前記第1開口部の強度は、前記第2開口部の強度よりも大きく、
前記第1開口部が前記動物の首に装着された状態において、前記動物の首から先の頭部が前記中空部内に位置する請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の行動異常通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動異常通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットの行動に対するリアルタイム監視データとペットの正常行動に基づいて生成された標準データとが一致するか否かを判断して、ペットの行動が正常であるか異常であるかを判断するペット管理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-509761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は通常の状況におけるペットの行動監視を行うものであり、皮膚病、怪我などにより、医療処置を受けたペットについては、行動が正常であるか異常であるかの判断に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、皮膚病、怪我などにより、医療処置を受けたペットの行動に関して、より適切な判断を行うことのできる行動異常通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様による行動異常通知システムは、動物の首に装着される首輪と、前記首輪に固定され、外傷を有する動物の頭部を保護するエリザベスカラーと、前記エリザベスカラーの所定の位置に設けられたセンサと、前記センサの検出信号を取得する取得部と、前記取得部が取得した信号に基づいて前記動物の行動を判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記動物の行動に関する報知を行う報知部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、医療処置を受けたペットの行動に関して、より適切な判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明のある態様による行動異常通知システムの構成を示す図である。
図2図2は、図1中のエリザベスカラーを展開した状態の例を示す図である。
図3図3は、エリザベスカラーのペットへの装着状態の例を示す図である。
図4図4は、エリザベスカラーおよび首輪の外観図である。
図5図5は、エリザベスカラーおよび首輪をペットに装着した状態の例を示す図である。
図6図6は、図1中のセンサおよび通信装置の構成例を示す図である。
図7図7は、図1中の管理装置の構成例を示す図である。
図8図8は、図1中の携帯端末装置の構成例を示す図である。
図9図9は、管理装置における登録処理の例を示すフローチャートである。
図10図10は、管理装置の動作の例を示すフローチャートである。
図11図11は、携帯端末装置の動作の例を示すフローチャートである。
図12図12は、判定部による判定処理の例を示すフローチャートである。
図13図13は、図1中の携帯端末装置の変形例を示す図である。
図14図14は、変形例である携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。
図15図15は、図1中のセンサおよび通信装置の変形例を示す図である。
図16図16は、複数のセンサを設けた変形例を示す図である。
図17図17は、判定部による判定処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明において、他の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。各実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
(システムの概要)
手術などの医療処置、皮膚病、怪我などにより外傷を有するペットが、傷口をなめることで傷を悪化させることがある。このことを防ぐため、保護具であるエリザベスカラーをペットに装着することがある。例えば、犬は本能的に傷口を舐める習性がある。しかし舐めることで、傷口が炎症するなど症状が悪化してしまう場合も少なくない。医療処置後のペットにエリザベスカラーを装着する最大の理由は、処置した傷口を舐めたり足で掻いたりしないようにするためである。本システムは、エリザベスカラーに行動異常を感知するためのセンサを取り付けておき、異常を監視してペットの飼い主の携帯端末装置に、ペットの行動に関する報知を行うシステムである。
【0011】
ペットの飼い主は、医療処置を受けたりして外傷を有するペットと24時間一緒にいることができない場合がある。そのような場合、飼い主は、ペットが単独でいる最中は、非常に気がかりである。また、ペットは、病気、怪我による保護具装着のストレスによって異常行動が起きやすい状況にある。飼い主やペットを管理、監視できる人が一緒に居ることができない状態にあるペットの異常行動を検出し、ペットから離れている場所にいる飼い主に報知することにより、異常に対する初動対応が可能となる。これにより、ペットがかかえているストレスを検出し早急なケアを行うことが可能となる。また、飼い主の不安を解消することができる。
【0012】
(システム全体の構成)
図1は、本発明のある態様による行動異常通知システム100の構成を示す図である。行動異常通知システム100は、エリザベスカラー(アニマルネッカーと呼ばれることもある)1と、センサ110と、通信装置120と、管理装置2と、携帯端末装置3とを含む。センサ110と通信装置120とは、エリザベスカラー1に装着される。エリザベスカラーは、アニマルネッカーと呼ばれることもある。ペットPTは家の中の1室にいて、飼い主などのユーザは別室もしくは外出先に居ることを前提とする。管理装置2は、ペットPTと同室、または、通信装置120から送信される電波の届く範囲に設置される。
【0013】
エリザベスカラー1は、中空部分を有する。エリザベスカラー1は、その中空部分にペットの頭部が位置するように、ペットPTに装着される。ペットPTは、本例では、犬である。ペットPTは、猫など他の動物であってもよい(図示せず)。
【0014】
センサ110が加速度センサである場合、強い衝撃を検出することができるため、ペットPTの異常な動きを検出できる。例えば、ペットPTが装着されているエリザベスカラー1を取り外そうとしたひっかき行為や、体を揺さぶる行為を検出することができる。また、例えば、ペットPTがジャンプなどによって高いところへの上り下りを行った場合にも強い衝撃を検出することができるため、ペットPTの異常な動きを検出できる。センサ110が温度センサである場合には、室温やペットPTの体温を検出することができる。
また、センサ110が接触状態を検出する接触センサである場合には、エリザベスカラー1がペットPTから脱落したことや、装着ズレなど装着状態が適切でなくなったことを検出できる。
【0015】
センサ110による検出値は、通信装置120に送られる。通信装置120は、センサ110から、検出信号を取得する。通信装置120は、取得した検出信号に対応するデータを管理装置2に送信する。管理装置2は、通信装置120から、データを受信する。管理装置2は、受信したデータについて判定処理を行う。管理装置2は、判定処理の結果に対応するデータを携帯端末装置3に送信する。携帯端末装置3は、管理装置2からデータを受信し、ユーザへの報知などを行う。
【0016】
(エリザベスカラー)
【0017】
図2は、図1中のエリザベスカラー1を展開した状態の例を示す図である。図2に示すように、エリザベスカラー1は、内周部11と外周部12とを有する扇形である。エリザベスカラー1の扇形の中心点Pを中心とする角度θは、本例では270度である。角度θは、180度など、他の角度であってもよい。
【0018】
エリザベスカラー1は、弾性変形可能な素材でできている。弾性変形可能な素材は、例えば、合成樹脂である。エリザベスカラー1は、外周部12に近い位置に設けられた接続部1A、接続部1A1、1A2、1A3および1A4を有する。接続部1Aは、他の接続部1A1、1A2、1A3、1A4のいずれか1つと接続することができる。また、接続部1Aが他の接続部1A1、1A2、1A3、1A4のいずれか1つと接続された状態において、接続状態を解除できる。各接続部は、例えば、ホックである。
【0019】
エリザベスカラー1は、内周部11に近い位置に設けられた接続部1B、接続部1B1、1B2、1B3および1B4を有する。接続部1Bは、他の接続部1B1、1B2、1B3、1B4のいずれか1つと接続することができる。また、接続部1Bが他の接続部1B1、1B2、1B3、1B4のいずれか1つと接続された状態において、接続状態を解除できる。
【0020】
接続部1Aを接続部1A1と接続したとき、接続部1Bを接続部1B1と接続することができる。同様に、接続部1Aを接続部1A2と接続したとき、接続部1Bを接続部1B2と接続することができ、接続部1Aを接続部1A3と接続したとき、接続部1Bを接続部1B3と接続することができ、接続部1Aを接続部1A4と接続したとき、接続部1Bを接続部1B4と接続することができる。
【0021】
接続部1Aを他の接続部1A1、1A2、1A3、1A4のいずれか1つと接続し、かつ、接続部1Bを他の接続部1B1、1B2、1B3、1B4のいずれか1つと接続することにより、エリザベスカラー1は中空の略円錐台形に組み立てられる。
【0022】
図3は、エリザベスカラー1のペットPTへの装着状態の例を示す図である。図3に示すように、エリザベスカラー1は、ペットPTの首の周りに装着される。図3に示すように、エリザベスカラー1には、センサ110と、通信装置120とが装着されている。
【0023】
センサ110がペットPTの医療処置された箇所(以下、医療箇所と呼ぶ)に近い位置になるように、ペットPTにエリザベスカラー1が装着される。例えば、ペットPTの医療箇所が右前足である場合には、ペットPTの右前足の近くにセンサ110が位置するように、ペットPTにエリザベスカラー1が装着される。
【0024】
ここで、例えば、ペットPTの左耳元が医療箇所である場合は、その箇所を掻かないように、加速度センサであるセンサ110の位置を調整すればよい。ペットPTの首元に対応する位置にセンサ110を備えている場合、センサ110が医療箇所の近くに位置するようにエリザベスカラー1の向きを調整してもよい。センサ110がエリザベスカラー1に対して着脱可能である場合、エリザベスカラー1において医療箇所に最も近い位置に取り付けるようにしてもよい。
【0025】
ところで、エリザベスカラー1は、ペットPTに装着されている状態において、矢印Y1の方向またはその逆の方向に回動する可能性がある。ペットPTが自身の前足などでエリザベスカラー1に触れたり、ペットPTの移動に伴ってエリザベスカラー1が壁などに接触したりすることにより、ペットPTの頭部を中心とし、エリザベスカラー1が頭部の周り方向またはその逆の方向に回動する可能性がある。
【0026】
エリザベスカラー1が矢印Y1の方向またはその逆の方向に回動すると、エリザベスカラー1に装着されているセンサ110および通信装置120の位置が変化する。ペットPTに対するセンサ110の位置が変化すると、センサ110は、適切に検出できない可能性がある。このため、エリザベスカラー1の回動を抑制することが好ましい。そのためには、例えば、ペットには容易には回動することができない首輪を追加し、エリザベスカラー1を首輪に固定することが考えられる。
【0027】
図4は、エリザベスカラー1および首輪10の外観図である。図4に示すように、エリザベスカラー1は、第1開口部11Aと、第2開口部11Bと、第1開口部11Aと第2開口部11Bとの間の中空部11Cとを有する。第2開口部11Bの開口面積は、第1開口部11Aの開口面積より大きい。エリザベスカラー1は、中空部11C内にペットPTの頭部が位置するように、ペットPTに装着される。
【0028】
首輪10は、外周面10Mと、内周面10Aとを有する。首輪10がペットPTに装着された状態において、内周面10AはペットPTの首の表面に接する。首輪10は、内周面10AをペットPTの首の表面に密着させるためのアジャスタ(図示せず)を有していてもよい。
【0029】
図5は、エリザベスカラー1および首輪10をペットPTに装着した状態の例を示す図である。図5に示すように、エリザベスカラー1と首輪10とが密着した状態になっており、それらがペットPTに装着されている。
【0030】
エリザベスカラー1は、首輪10に固定される。例えば、首輪10の外周面10Mとエリザベスカラー1の第1開口部11Aの近傍の内面とが面ファスナで接続される。または、首輪10の内周面10Aとエリザベスカラー1の第1開口部11Aの近傍の外面とが面ファスナで接続される。面ファスナの代わりに両面テープを用いてもよい。エリザベスカラー1が首輪10に固定されることにより、エリザベスカラー1が矢印Y1またはその逆方向に回動することはない。
【0031】
エリザベスカラー1が容易に回動しない構造とする場合、障害物との接触でペットPTの首に衝撃が伝わる可能性がある。ペットPTの首への衝撃を低減するために、エリザベスカラー1は、衝撃を吸収する弾性変形可能な素材で構成されることが好ましい。
【0032】
またエリザベスカラー1の首輪10に装着される部分の硬度が比較的高く、周囲に行くほど硬度が低くなるようにしてもよい。このような硬度を実現するために、エリザベスカラー1において、内周部11付近の厚みと外周部12付近の厚みとが異なっていてもよい。すなわち、図4に示すように、エリザベスカラー1において、内周部11の厚みt11と、外周部12の厚みt12とが異なっていてもよい。内周部11の厚みt11は、外周部12の厚みt12よりも大きい(厚い)ことが好ましい。エリザベスカラー1において、内周部11の厚みが最大であり、内周部11から外周部12に向かうにしたがって厚みが徐々に減少することが好ましい。外周部12付近の厚みが内周部11付近の厚みより小さい(薄い)ことにより、ペットPTが動いて、エリザベスカラー1がどこかに衝突した場合に、外周部12が弾性変形するため、外周部12が破損することはない。
【0033】
(センサ、通信装置)
図6は、図1中のセンサ110および通信装置120の構成例を示す図である。図6に示すように、センサ110は、例えば、加速度を測定する加速度センサである。加速度センサによって、エリザベスカラー1の振動を検出することができる。センサ110は、センサ110の検出信号は、通信装置120に入力される。
【0034】
通信装置120は、取得部13と、通信部14と、制御部15とを有する。これらの各部は、例えば、バスBを介して相互に信号を授受できるようになっている。取得部13は、センサ110の検出信号を取得する。通信部14は、検出信号に対応するデータを送信する。通信部14は、例えば、近距離通信によって、検出信号に対応するデータを送信する。制御部15は、装置内の各部を制御する。
【0035】
(管理装置)
図7は、図1中の管理装置2の構成例を示す図である。管理装置2は、通信部21と、記憶部22と、第2通信部23と、判定部24と、制御部25と、入力部26と、表示部27とを有する。これらの各部は、例えば、バスBを介して相互に信号を授受できるようになっている。
【0036】
通信部21は、通信装置120との間で信号を授受する。通信部21は、通信装置120から、センサ110の検出信号に対応するデータを受信する。通信部21は、例えば、近距離通信によって、センサ110の検出信号に対応するデータを受信する。
【0037】
記憶部22は、各種のデータを記憶する。記憶部22は、通信部21が受信する、センサ110の検出信号に対応するデータを逐次記憶する。また、記憶部22は、判定部24の判定処理に必要なデータを記憶する。判定部24の判定処理に必要なデータは、例えば、センサ110の検出信号のパターンに対応するデータである。ペットPTの行動によってセンサ110の検出信号が変化するので、その変化のパターンに対応するデータを記憶部22に記憶する。このデータは、ペットPTの行動が異常であるか否かを判定するための基準となる。記憶部22は、例えば、ハードディスク、着脱可能なメモリカード、である。
【0038】
第2通信部23は、携帯端末装置3へ信号を送信して通知する。第2通信部23は、例えば、近距離通信によって、携帯端末装置3へ信号を送信してもよい。第2通信部23は、通信部21と同じ通信方式によって通信を行ってもよいし、通信部21とは異なる通信方式によって通信を行ってもよい。
【0039】
判定部24は、判定処理を行う。判定部24は、判定処理に必要なデータを記憶部22から読み出す。判定処理とは、取得した信号のパターンを、記憶部22に記憶されている信号パターンと比較することによって、ペットPTの行動を判定する処理である。判定部24による判定処理の結果、ペットPTの行動が異常であると判定された場合、例えば、異常発生フラグをオンに設定する。一方、判定部24による判定処理の結果、ペットPTの行動が異常でないと判定された場合、異常発生フラグをオフに設定する。判定部24による判定処理は、例えば、判定プログラムを実行することによって行う。判定プログラムは、例えば、記憶部22に記憶しておく。
【0040】
制御部25は、装置内の各部を制御する。また、制御部25は、上述した判定プログラムを記憶部22から読み出し、実行することによって、判定部24が実現されるようにしてもよい。
【0041】
入力部26は、各種のデータを入力する。入力部26は、例えば、キーボードである。表示部27は、各種のデータを表示する。表示部27は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0042】
(携帯端末装置)
図8は、図1中の携帯端末装置3の構成例を示す図である。携帯端末装置3は、例えば、スマートフォンである。携帯端末装置3は、第2通信部31と、記憶部32と、報知部33と、制御部34と、入力部35とを有する。これらの各部は、例えば、バスBを介して相互に信号を授受できるようになっている。
【0043】
第2通信部31は、管理装置2から送信される信号を受信する。第2通信部31は、例えば、近距離通信によって、管理装置2から送信される信号を受信してもよい。記憶部32は、各種のデータを記憶する。
【0044】
報知部33は、装置のユーザに対して報知する処理を行う。報知は、画面表示による報知、スピーカから音を出力することによる報知、バイブレータを振動されることによる報知、のいずれであってもよい。報知部33は、これらの報知を組み合わせてもよい。
【0045】
制御部34は、装置内の各部を制御する。入力部35は、各種のデータを入力する。入力部35は、例えば、タッチ入力ディスプレイである。
【0046】
(登録処理の例)
図9は、管理装置2における登録処理の例を示すフローチャートである。登録処理とは、判定部24が判定処理に用いる異常パターンのデータを予め登録するための処理である。異常パターンのデータは、ペットPTの行動が異常である場合に、センサ110から得られるデータが変化するパターンである。後述するように、異常パターンを予め登録しておき、センサ110によって検出される信号に対応するデータと比較する判定処理を行うことにより、医療箇所を含む外傷に対する行動であるか、そのような行動でないかを区別することができる。これにより、ペットPTの行動を推測することができる。
【0047】
また、医療箇所を含む外傷に対する行動ではない場合であっても、異常ではない行動であるかと、異常な行動であるかと、を判定することができる。例えば、ペットPTが自発的に行っている行動による振動が検出されたのか、外部の何かにエリザベスカラー1がぶつかったことによる振動が検出されたのかは、センサ110によって得られるデータのパターンによって判別できる。エリザベスカラー1が何かにぶつかった外的要因による場合は一時的な衝撃であり、検出される信号は連続しないので、判別できる。また、小刻みに首を振るといった自発的な行動については、センサ110によって検出される信号の間隔が短く、かつ、連続的に検出される信号になるので、判別できる。
【0048】
しかし、医療箇所を含む外傷に対する行動ではないが、衝撃的な行動が繰り返されるといった場合は、ペットPTがエリザベスカラー1の大きさにより通常な感覚と異なるため、何か障害物に頻繁にぶつかっている、と推測できる。そのような場合、障害物になるような物を取り除くといったことでペットPTのストレスを早急に解消することができる。このため、医療箇所を含む外傷に関連する行動以外の行動についてもパターンを予め登録しておき、判定処理によって区別し、報知するようにしてもよい。
【0049】
図9において、管理装置2は、入力部26によって、異常パターンに関するデータを入力する(ステップS101)。管理装置2は、入力されたデータを記憶部22に記憶する(ステップS102)。次に、管理装置2は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS103)。管理装置2は、ステップS103において処理を終了しない場合(ステップS103においてNo)、ステップS101に戻り、管理装置2は処理を継続する。管理装置2は、ステップS103において処理を終了する場合(ステップS103においてYes)、処理を終了する。
【0050】
(管理装置の動作例)
図10は、管理装置2の動作の例を示すフローチャートである。図10において、管理装置2は、通信部21によって、センサ110が検出した信号に対応するデータを通信装置120から取得する(ステップS201)。管理装置2は、取得したデータを記憶部22に記憶する(ステップS202)。管理装置2は、判定部24によって、記憶部22に記憶したデータについて判定処理を行う(ステップS203)。判定部24による判定処理については後述する。
【0051】
管理装置2は、判定部24による判定処理の結果、異常を検出したか否か判定する(ステップS204)。管理装置2は、ステップS204において、異常を検出したと判定した場合(ステップS204においてYes)、第2通信部23によって携帯端末装置3へ通知する(ステップS205)。その後、管理装置2は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206において処理を終了しない場合(ステップS206においてNo)、ステップS201に戻り、処理を継続する。
【0052】
管理装置2は、ステップS204において、異常を検出していないと判定した場合(ステップS204においてNo)、ステップS201に戻り、処理を継続する。管理装置2は、ステップS206において処理を終了する場合(ステップS206においてYes)、処理を終了する。
【0053】
(携帯端末装置の動作例)
図11は、携帯端末装置3の動作の例を示すフローチャートである。図11は、動作のうち、本システムに関連する動作を示す。携帯端末装置3は、第2通信部31により、管理装置2からの通知を受信したか否かを判定する(ステップS301)。
【0054】
携帯端末装置3は、ステップS301において、管理装置2からの通知を受信したと判定した場合(ステップS301においてYes)、報知部33によってユーザに対して報知する処理を行う(ステップS302)。その後、携帯端末装置3は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS303)。ステップS303において処理を終了しない場合(ステップS303においてNo)、ステップS301に戻り、処理を継続する。
【0055】
携帯端末装置3は、ステップS301において、管理装置2からの通知を受信していないと判定した場合(ステップS301においてNo)、ステップS301に戻り、処理を継続する。携帯端末装置3は、ステップS303において処理を終了する場合(ステップS303においてYes)、処理を終了する。
【0056】
(判定処理の例)
図12は、判定部24による判定処理の例を示すフローチャートである。本例の判定部24は、管理装置2が受信した信号のパターンが、記憶部に記憶されているパターンと一致しているか否かの判定を行うことにより、ペットPTの行動が異常であるか否かを推定する。
【0057】
判定部24は、記憶部22からパターンを1つ読み出す(ステップS401)。判定部24は、管理装置2が受信した信号のパターンを、記憶部22から読みだしたパターンと比較する(ステップS402)。判定部24は、比較したパターン同士が一致しているか否かを判定する(ステップS403)。
【0058】
判定部24は、ステップS403において、パターン同士が一致していないと判定した場合(ステップS403においてNo)、記憶部22に記憶されているすべてのパターンとの比較が終わったか否かを判定する(ステップS404)。判定部24は、ステップS404において、すべてのパターンとの比較が終わっていないと判定した場合(ステップS404においてNo)、ステップS401に戻り、処理を継続する。
【0059】
判定部24は、ステップS404において、すべてのパターンとの比較が終わったと判定した場合(ステップS404においてYes)、判定部24は、ペットPTの行動に異常が発生したことを示す異常発生フラグをオフに設定する(ステップS405)。その後、判定部24は、元の処理に戻る。
【0060】
判定部24は、ステップS403において、パターン同士が一致していると判定した場合(ステップS403においてYes)、判定部24は、異常発生フラグをオンに設定する(ステップS407)。その後、判定部24は、元の処理に戻る。判定部24が以上の判定処理を行うことにより、ペットPTの行動を推測することができる。このため、推測した行動に基づいたペットPTの状態を報知することができる。
【0061】
管理装置2は、判定部24による判定処理の結果、異常発生フラグがオンである場合に、異常を検出したと判定し、第2通信部23によって携帯端末装置3へ通知する。一方、管理装置2は、判定部24による判定処理の結果、異常発生フラグがオフである場合に、異常を検出していないと判定し、携帯端末装置3への通知を行わない。
【0062】
なお、管理装置2は、判定部24による判定処理の結果、ペットPTの行動が異常であることを示すコード情報を携帯端末装置3に送信し、携帯端末装置3において、コード情報に基づいてペットPTの行動が異常であることを推定するようにしてもよい。
【0063】
(携帯端末装置の変形例)
図13は、図1中の携帯端末装置3の変形例を示す図である。図13に示す例では、携帯端末装置3aが判定部36を有する。判定部36は、ペットPTの行動が異常行動に該当するか否かを判定する処理を行う。判定部36は、携帯端末装置3が実行するアプリケーションソフトウェアによって実現してもよい。
【0064】
第2通信部31は、通信装置120との間で信号を授受する。このため、図13に示す携帯端末装置3aは、図1中の管理装置2を経由せずに、通信装置120から信号を取得できる。ペットPTの近くに携帯端末装置3aが位置している場合、すなわち通信装置120と携帯端末装置3aとの距離が比較的短い場合には、管理装置2を設けることなく、ペットPTの行動に関する情報を得ることができる。
【0065】
図14は、変形例である携帯端末装置3aの動作を示すフローチャートである。図14は、動作のうち、本システムに関連する動作を示す。図14に示すように、携帯端末装置3aは、管理装置2とほぼ同じ処理を行う。
【0066】
携帯端末装置3aは、判定部36による判定処理の結果、異常を検出したか否か判定する(ステップS204)。携帯端末装置3aは、ステップS204において、異常を検出したと判定した場合(ステップS204においてYes)、報知部33によってユーザに対して報知する処理を行う(ステップS205a)。携帯端末装置3aのその他の動作は、図11を用いて説明した、管理装置2の動作と同様である。
【0067】
(センサおよび通信装置の変形例)
図15は、図1中のセンサ110および通信装置120の変形例を示す図である。図15に示す例では、通信装置120aの内部にセンサ110aを設けている。これにより、図1中のセンサ110と通信装置120と一体にすることができる。通信装置120aの内部にセンサ110aを設けることにより、センサ110aと通信装置120aとの間に外部ケーブルを設ける必要がない。したがって、外部ケーブルがペットPTによる損傷を受けることがない。
【0068】
また、通信装置120aの内部に判定部(図示せず)を設けておき、通信装置120aにおいて上述した判定処理を行ってもよい。この場合、通信装置120aから携帯端末装置に判定結果を送信し、それを受信した携帯端末装置においてユーザに対する報知を行う。
【0069】
図16は、複数のセンサを設けた変形例を示す図である。図16に示す例では、センサ110の他に、第2センサ110bおよび第3センサ110cを設けている。通信装置120b内の取得部13は、センサ110からの信号を受信するとともに、第2センサ110bおよび第3センサ110cからの信号を受信する。
【0070】
第2センサ110b、第3センサ110cは、例えば、センサ110が検出する対象とは異なる対象を検出するセンサである。例えば、センサ110が振動を検出する加速度センサである場合に、第2センサ110bは温度を検出する温度センサ、第3センサ10cは接触状態を検出する接触センサであってもよい。
【0071】
第2センサ110b、第3センサ110cによる検出信号についても、基準となるデータを記憶部22(または記憶部32)に予め記憶しておき、判定処理によって比較することにより、ペットPTの行動が異常であるか否かを判定することができる。例えば、温度センサをエリザベスカラー1に設けておき、異常な行動に伴ってペットPTの体温が異常に上昇した場合に、基準となるデータと比較することによって、行動が異常であることを推定できる。ペットPTの周囲の温度、例えば室温を計測しておき、ペットPTの体温が室温より所定温度以上高い場合に、ペットPTの体温が異常に上昇したと判定してもよい。
【0072】
また、ペットPTまたは首輪とエリザベスカラー1との接触状態を検出する接触センサをエリザベスカラー1に設けてもよい。異常な行動に伴ってエリザベスカラー1が脱落し、接触状態が解除されたことをそのセンサで検出し、基準となるデータと比較することによって、行動が異常であることを推定できる。
【0073】
上述した判定処理では、異常が発生したか否かの2つの状態のいずれであるかについて判定し、異常である場合に異常発生フラグをオンにし、報知している。これに対し、異常か否かの中間の状態である場合に、注意のための警告を報知するようにしてもよい。その場合、例えば、注意状態であるか否かを示すフラグを用意し、そのフラグがオンになっているときに、注意のための警告を報知すればよい。
【0074】
(判定処理の変形例)
上述したように、判定部24、36は、取得部13が取得した信号に基づいてペットPTの行動を判定し、その判定結果に基づいて、ペットPTの行動に関する報知を行う。特に、判定部24、36は、ペットPTの行動が、外傷に関連する行動であるか否かを判定する。
【0075】
判定部24、36は、ペットPTの行動が外傷に関連する行動ではないと判定した場合、さらに、エリザベスカラー1が何かにぶつかったなどの外的要因により発生した信号であるか、衝動的な行動により発生した信号であるか、に基づいて異常行動を判定してもよい。その場合、ペットPTの行動がどのような要因によるものかについては、上述したパターンの比較によって判定することができる。そして、フラグの種類を増やし、判定結果に基づいて、該当するフラグをオンに設定する.オンに設定されているフラグに基づいて、ペットPTの状態をより詳しく報知することができる。
【0076】
図17は、判定部24による判定処理の変形例を示すフローチャートである。図17において、ステップS401からS405までの処理は、図12を参照して説明した処理と同様である。ステップS403において、パターン同士が一致していると判定した場合(ステップS403においてYes)、判定部24は、さらに、外傷に関連する異常が発生したか否かを判定する(ステップS408)。
【0077】
ステップS408において、外傷に関連する異常が発生したと判定した場合(ステップS408においてYes)、判定部24は、外傷要因フラグをオンに設定し(ステップS409)、元の処理に戻る。ステップS408において、外傷に関連する異常が発生していないと判定した場合(ステップS408においてNo)、判定部24は、さらに、外的要因による異常が発生したか否かを判定する(ステップS410)。
【0078】
ステップS410において、外的要因による異常が発生したと判定した場合(ステップS410においてYes)、判定部24は、外的要因フラグをオンに設定し(ステップS411)、元の処理に戻る。ステップS410において、外的要因による異常が発生していないと判定した場合(ステップS410においてNo)、判定部24は、さらに、衝動的行動による異常が発生したか否かを判定する(ステップS412)。
【0079】
ステップS412において、衝動的行動による異常が発生したと判定した場合(ステップS412においてYes)、判定部24は、衝動的行動フラグをオンに設定し(ステップS413)、元の処理に戻る。ステップS412において、衝動的行動による異常が発生していないと判定した場合(ステップS412においてNo)、判定部24は、原因が不明またはその他を要因とすることを示すその他フラグをオンに設定する(ステップS414)。その後、判定部24は、元の処理に戻る。
【0080】
判定部24が以上の判定処理を行うことにより、ペットPTの行動を推測することができる。このため、推測した行動に基づいたペットPTの状態を報知することができる。なお、判定部36が上記と同様の処理を行ってもよい。
【0081】
(行動異常通知方法)
以上説明した行動異常通知システムによれば、以下のような行動異常通知方法を実現することができる。すなわち、外傷を有する動物の首に装着されたエリザベスカラーに設けられたセンサの検出信号を取得する第1ステップと、上記第1ステップにおいて取得した信号に基づいて上記動物の行動を判定する第2ステップと、上記第2ステップによる判定結果に基づいて、上記動物の行動に関する報知を行う第3ステップとを含む行動異常通知方法を実現することができる。これにより、報知を受けたユーザは、医療箇所を含む外傷に関するペットの行動に関して、より適切な判断を行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
1 エリザベスカラー、2 管理装置、3,3a 携帯端末装置、10 首輪、13 取得部、22,32 記憶部、24,36 判定部、33 報知部、110,110a,110b,110c センサ、100 行動異常通知システム、PT ペット
図1
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