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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143315
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】血栓症予防装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 11/00 20060101AFI20220926BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61H11/00
A61M21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043771
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉野 一輝
(72)【発明者】
【氏名】松本 光一
(72)【発明者】
【氏名】来嶋 信芳
(72)【発明者】
【氏名】西口 弘毅
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD33
4C100BA03
4C100BA09
(57)【要約】
【課題】ユーザの状態を適切に把握して血栓症の予防を行うことが可能な血栓症予防装置を提供すること。
【解決手段】本開示にかかる血栓症予防装置1000は、脹脛部に装着する帯状のベルト部200と、ベルト部200を収縮することにより脹脛部にベルト部200を保持するオートテンション機能部110と、ベルト部200の長さから、定期的に脹脛部の周囲長を計測する計測部152と、脹脛部の周囲長の変化量と変化するのに要した時間とから周囲長の変化速度を検出する変化速度検出部153と、変化速度が所定の条件を満たす場合に、計測部152で計測された周囲長を記憶部に記憶するよう制御を行う制御部151と、を備える。所定の条件は、変化速度が所定値以下の状態を所定時間以上継続した場合であることを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脹脛部に装着する帯状のベルト部と、
前記ベルト部を収縮することにより前記脹脛部に前記ベルト部を保持するオートテンション機能部と、
前記ベルト部の長さから、定期的に前記脹脛部の周囲長を計測する計測部と、
前記脹脛部の周囲長の変化量と変化するのに要した時間とから前記周囲長の変化速度を検出する変化速度検出部と、
前記変化速度が所定の条件を満たす場合に、前記計測部で計測された前記周囲長を記憶部に記憶するよう制御を行う制御部と、
を備え、
前記所定の条件は、前記変化速度が所定値以下の状態を所定時間以上継続した場合であること
を特徴とする血栓症予防装置。
【請求項2】
複数の前記周囲長のデータに基づいて、解析を行う解析部を更に備え、
前記解析部が、前記記憶部に記憶された前記周囲長のデータに基づいて、前記脹脛部の周囲長の変化量が所定の閾値以上と判定した場合、
前記制御部は、
前記オートテンション機能部に、定常状態より収縮した収縮状態に変化させる制御、又は、前記定常状態と前記収縮状態とを繰り返す制御を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の血栓症予防装置。
【請求項3】
複数の前記血栓症予防装置間で通信を行う通信部を更に備え、
前記制御部は、
前記オートテンション機能部に、前記定常状態より前記収縮状態に変化させる制御、又は、前記定常状態と前記収縮状態とを繰り返す制御を、複数の前記血栓症予防装置で連携して行うよう制御すること
を特徴とする請求項2に記載の血栓症予防装置。
【請求項4】
前記通信部は、使用者が所有する端末装置と通信可能な通信機能を更に備え、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶された前記周囲長のデータ及び前記解析部が解析した前記周囲長の変化量が所定値以上となった旨を報知する情報を通信するよう制御すること
を特徴とする請求項3に記載の血栓症予防装置。
【請求項5】
周囲の気温、湿度、及び気圧の少なくともいずれか一つを測定する環境センサを更に備え、
前記制御部は、
前記所定の条件を満たす場合及び前記環境センサが測定する測定値が所定の閾値範囲外である場合の少なくとも一方の場合に、前記計測部で計測された前記周囲長を記憶部に記憶するよう制御を行うこと
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の血栓症予防装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血栓症予防装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機内などにおいて、乗客が同じ姿勢を長時間継続することにより、静脈血栓塞栓症を発症することが知られている。静脈血栓塞栓症を発症した場合、下肢などで生じた血栓が血流に乗って肺に到達し、肺動脈を詰まらせて呼吸困難や失神などの重篤な症状を引き起こすおそれがある。静脈血栓塞栓症は、「エコノミークラス症候群」としても広く知られており、その発症の予防が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1は、エコノミークラス症候群予防装置を開示する。特許文献1が開示する装置は、着座者の下肢を振動等させる下肢振動要素、着座者におけるエコノミークラス症候群の発生可能性増大を検知する血栓発生可能性検知要素、及び、当該可能性が大きい場合に下肢振動要素を振動させる振動制御要素、を備えている。当該装置において、血栓発生可能性検知要素は、前回の下肢振動要素の振動停止時点からの経過時間が所定の閾値時間を超える場合に、それをエコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として振動制御要素に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-130844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する装置は、例えば、長距離トラックに用いられる。当該装置は、車両が走行中であり、かつ、運転者が踏み板を踏んでいる状態が所定時間を経過した場合に、踏み板の振動を開始する。これにより、運転者の手動指令を待つことなく、運転者の足の裏に振動を与えることができる。しかしながら、当該装置は、車両の走行時間等に応じて踏み板の振動を開始するか否かを判定するため、運転者個人の状態を考慮して、血栓の発生を適切に検知することは困難である。また、特許文献1では、このような装置が設定されていない車両や航空機等における血栓発生の予防については考慮されていない。
【0006】
本開示は、上述した課題を鑑み、ユーザの状態を適切に把握して血栓症の予防を行うことが可能な血栓症予防装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる血栓症予防装置は、
脹脛部に装着する帯状のベルト部と、
前記ベルト部を収縮することにより前記脹脛部に前記ベルト部を保持するオートテンション機能部と、
前記ベルト部の長さから、定期的に前記脹脛部の周囲長を計測する計測部と、
前記脹脛部の周囲長の変化量と変化するのに要した時間とから前記周囲長の変化速度を検出する変化速度検出部と、
前記変化速度が所定の条件を満たす場合に、前記計測部で計測された前記周囲長を記憶部に記憶するよう制御を行う制御部と、
を備え、
前記所定の条件は、前記変化速度が所定値以下の状態を所定時間以上継続した場合であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる血栓症予防装置は、ユーザの状態を適切に把握して血栓症の予防を行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1にかかる血栓症予防装置の斜視図である。
図2】実施形態1にかかる血栓症予防装置の平面図である。
図3】実施形態1にかかる血栓症予防装置の正面図である。
図4】実施形態1にかかる血栓症予防装置を脹脛部に装着した場合の外観図である。
図5】実施形態1にかかる血栓症予防装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施形態1にかかる血栓症予防装置の処理を示すフローチャートである。
図7】実施形態1にかかる血栓症予防装置の計測記憶処理を示すフローチャートである。
図8】実施形態2にかかる血栓症予防装置の構成を示すブロック図である。
図9】実施形態2にかかる血栓症予防装置とユーザの端末装置との通信の様子を模式的に示す図である。
図10】実施形態2にかかる複数の血栓症予防装置間で行う通信の様子を模式的に示す図である。
図11】実施形態1及び2にかかる血栓症予防装置のハードウエア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。図1から図3は、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000の外観を模式的に示す図である。図1から図3は、血栓症予防装置1000の斜視図、平面図、及び正面図をそれぞれ示している。
【0011】
血栓症予防装置1000は、本体部100及びベルト部200を備えている。本体部100は、例えば略直方体状に形成されている。本体部100は、血栓症予防装置1000の制御を行う制御装置150(図5を参照)や制御装置150の制御を受けて動作するオートテンション機能部110などを内蔵する。また、後述するように、本体部100は、ユーザの入出力を受け付ける入出力部120や、周囲の環境情報を取得する環境センサ130などを更に備えていてもよい。尚、本体部100は、略直方体に限らず任意の形状であってよい。本体部100は、長手方向の2つの端面に、ベルト部200を通すための通し穴を有している。
【0012】
ベルト部200は、ユーザの脹脛部に血栓症予防装置1000を装着するための帯状の部材である。ベルト部200は、ユーザの脹脛部に巻き付けるために十分な長さを有している。ベルト部200は、本体部100の2つの通し穴からそれぞれ本体部100外に向かって延びるように設けられ、本体部100内部においては、その先端部分がリール(不図示)に巻き付けられている。ベルト部200は、デジタルメジャーなどにおいて用いられる巻き取り機構により、本体部100内部のリールに巻き取られることで、本体部100外における長さを変化させることができる。
【0013】
図4は、ユーザが血栓症予防装置1000を脹脛部に装着した場合の外観を模式的に示す図である。ここでは、ユーザは、本体部100がユーザの後方(脹脛側)を向くように血栓症予防装置1000を装着している。これに限らず、ユーザは、本体部100がユーザの前方(脛部側)を向くように血栓症予防装置1000を装着してもよい。また、ここでは片足に装着する例を示しているが、ユーザは、血栓症予防装置1000を両足に装着してもよい。また、両足のそれぞれに複数の血栓症予防装置1000を装着してもよい。
【0014】
ベルト部200は、本体部100外において略輪状に湾曲する。ユーザは、その上方から足を通し、ベルト部200を本体部100から引き出し、又は本体部100へ巻き戻すことで、自身の脹脛部の周囲長に合わせてベルト部200の長さ調整を行う。このようにして、ユーザは血栓症予防装置1000を脹脛部に装着し、またベルト部200の長さを保持することができる。尚、本体部100とベルト部200とは、脱着可能であってもよい。
【0015】
また、ベルト部200は、オートテンション機能部110の動作を受けて収縮することができる。ベルト部200は、例えばオートテンション機能部110からの、定常状態より収縮を高める制御に応じて、定常状態より収縮し、ユーザの脹脛部を締め付けることができる。ここで、定常状態は、例えばベルト部200がユーザの脹脛部の周囲長と略同一の長さであり、ベルト部200がユーザの脹脛部にフィットしている状態であってよい。また、以下では、定常状態と比べてベルト部200の収縮が高まった状態を、収縮状態と称して説明を行う。
【0016】
ベルト部200は、オートテンション機能部110の動作に応じて、収縮状態を解除して、定常状態に移行することができる。更に、ベルト部200は、オートテンション機能部110の動作に応じて、定常状態と収縮状態とを繰り返すことができる。このような動作を行うことで、ベルト部200は、ユーザの脹脛部に対して刺激を与えることができる。
【0017】
続いて、血栓症予防装置1000の詳細な構成について説明する。図5は、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000の構成を示すブロック図である。上述したように、血栓症予防装置1000は、本体部100及びベルト部200を備えている。
【0018】
本体部100の構成について説明する。本体部100は、オートテンション機能部110、入出力部120、環境センサ130、及び制御装置150を備えている。本体部100は、例えば、リチウムイオン電池やアルカリ電池等を用いて給電されてよい。
【0019】
オートテンション機能部110は、動力部111及びベルト保持解除部112を備えている。オートテンション機能部110は、ベルト部200を収縮することにより、ユーザの脹脛部にベルト部200を保持する。また、オートテンション機能部110は、ベルト部200を拡張することにより、ユーザの脹脛部からベルト部200を解放する。
【0020】
動力部111は、制御部151による制御を受けて動作し、ベルト部200の巻き取り及び引き出しを行う。動力部111がベルト部200の巻き取りを行った場合、ベルト部200は収縮し、脹脛部に対して締め付けを行う。これにより、ベルト部200は、血栓症予防装置1000を脹脛部に保持することができる。また、動力部111がベルト部200の引き出しを行った場合、ベルト部200は拡張し、脹脛部に対する締め付けを解除する。これにより、ベルト部200は、血栓症予防装置1000を脹脛部から解放する。
【0021】
動力部111は、例えば制御部151からの制御を受けて動作することが可能なサーボモータなどであってよい。また、動力部111は、渦巻きばねや鶴巻ばねと、サーボモータ等とを組み合わせたものであってもよい。
【0022】
ベルト保持解除部112は、ユーザの脹脛部に対するベルト部200の保持と、その解除を行う。ベルト保持解除部112は、例えば、デジタルメジャーの自動巻き取り機能と同様の機能を有していてよい。例えば、ベルト部200は、係止部(不図示)を有し、本体部100が有する係止受部(不図示)に係止部が当接することにより、所定の位置でベルト部200の長さを固定することができる。
【0023】
ユーザは、血栓症予防装置1000を装着する際に、例えばベルト部200を手動により引き出して拡張する。ユーザは、ベルト部200内に足を通し、血栓症予防装置1000を脹脛部の高さまで移動させる。ユーザは、ベルト部200を本体部100に巻き取らせ、血栓症予防装置1000を脹脛部において固定する。これにより、ユーザは、脹脛部の所望の位置で血栓症予防装置1000を保持することができる。ユーザは、ベルト部200の巻き取り又は引き出しを行って、ベルト部200の締め付けの強さを適宜調整してもよい。
【0024】
ここでは、ユーザが手動によりベルト部200の調整を行ったが、これに限られない。例えば、本体部100が、入出力部120からユーザの入力を受け付けることで、ユーザ所望の締め付けの強さにベルト部200を調整してもよい。この場合、制御部151は、入出力部120からの入力を受け付けて、動力部111を制御してよい。制御部151は、例えばユーザからベルト部200を締め付ける旨の入力を受け付けると、ベルト部200の収縮を開始する。制御部151は、ベルト部200の締め付けが所定の強さになった場合に収縮を停止し、ベルト部200を脹脛部に保持する。又は、制御部151は、ユーザから収縮を停止する旨の入力を受け付けて、収縮を停止してもよい。
【0025】
入出力部120は、入力装置及び出力装置の機能を有している。入出力部120は、例えば、表示画面をユーザが指などでタッチすることで入力が可能なタッチパネルであってよい。ユーザは、入出力部120を操作することで所望の操作を制御装置150に対して行うことができる。尚、入出力部120は、入力部と出力部とが個別に設けられていてもよい。入力部は、例えばタクトスイッチなどであってよい。出力部は、液晶表示素子や有機EL素子等の表示デバイスであってよい。
【0026】
環境センサ130は、血栓症予防装置1000の周囲の環境に関する環境情報を取得することが可能なセンサ装置である。環境センサ130は、例えば、周囲の気温、湿度、及び気圧の少なくともいずれか一つを測定し、測定値を取得することが可能なセンサ装置であってよい。環境センサ130は、これらのうち複数の要素を測定可能であってもよいし、更に他の要素を測定可能であってもよい。環境センサ130は、測定した結果を制御部151に出力する。
【0027】
続いて、制御装置150の構成について説明する。制御装置150は、制御部151、計測部152、変化速度検出部153、記憶部154、及び解析部155を備えている。制御部151は、オートテンション機能部110、入出力部120、環境センサ130、計測部152、変化速度検出部153、記憶部154、及び通信部156のそれぞれを制御する。
【0028】
制御部151は、定常状態において、ベルト部200が脹脛部に対して所定の締め付け力で締め付けを行うように、オートテンション機能部110を制御する。例えば、ユーザが長時間同じ姿勢でいるために脹脛部に浮腫みが生じた場合や、ユーザが脹脛部を動かしたことにより脹脛部の筋肉の収縮が生じた場合、脹脛部の周囲長が変化する。このような場合にも、制御部151は、所定の締め付け力が維持されるように、オートテンション機能部110を制御する。このようにすることで、ユーザの脹脛部の周囲長に変化があった場合でも、その変化に応じて、血栓症予防装置1000が脹脛部にフィットした状態を維持することができる。
【0029】
また、制御部151は、所定の条件を満たす場合に、計測部152が計測した脹脛部の周囲長を記憶部154に記憶するよう制御を行う。ここで、所定の条件は、変化速度検出部153において検出された脹脛部の周囲長の変化速度が、所定値以下の状態を所定時間以上継続した場合である。このような制御を行うことで、一時的な筋肉の収縮などにより生じる周囲長の変化を除外して、周囲長の記憶を行うことができる。例えば、ユーザが足を組み替えたような場合に生じた瞬間的な周囲長の変化は、除外して記憶を行う。このようにすることで、後述する解析部155における解析処理において、ノイズとなる不要なデータが含まれることを防ぐことができるので、ユーザの脹脛部の周囲長の変化を適切に把握することができる。
【0030】
また、制御部151は、上述した所定の条件を満たす場合、及び環境センサ130が測定する測定値が所定の閾値範囲外である場合、の少なくとも一方の場合に、計測部152で計測された脹脛部の周囲長を記憶部154に記憶するよう制御を行ってもよい。
【0031】
例えば、環境センサ130が、周囲の気温を測定するセンサであるものとする。環境センサ130は、任意のタイミングにおいて周囲の気温を測定し、測定値を制御部151に出力する。周囲の気温が所定の閾値範囲外である場合、上述した所定の条件が満たされていなくとも、制御部151は、計測された脹脛部の周囲長を記憶するよう制御を行う。例えば、所定の閾値範囲が、「気温が20度以上」である場合、気温が20度未満であれば、制御部151は、計測された脹脛部の周囲長を記憶するように制御を行う。このようにすることで、例えばユーザが脹脛部をある程度動かしていたために上述した所定の条件を満たさないような場合にも、周囲の環境に応じて、血栓の発生を防ぐことができる。
【0032】
また、制御部151は、各機能部からの出力に応じて、ユーザに報知するための報知処理を行う。例えば、制御部151は、解析部155における解析結果に基づいて、ベルト部200の脹脛部への締め付けの強さを変化させるよう、オートテンション機能部110に対して制御を行う。例えば、制御部151は、記憶部154に記憶された脹脛部の周囲長の変化量が所定の閾値以上であると判定した場合、定常状態よりベルト部200の収縮を高めて、ベルト部200が収縮状態へと変化するように制御を行う。このようにすることで、脹脛部に対して定常状態よりも強い締め付けを行うことができるので、脹脛部に対して刺激を与えることができる。
【0033】
また、制御部151は、ベルト部200が定常状態と収縮状態とを繰り返すように制御を行ってもよい。例えば、制御部151は、ベルト部200が定常状態と収縮状態とを所定時間間隔で繰り返すように、オートテンション機能部110を制御する。このようにすることで、より効果的に脛部に対して刺激を与えることができる。定常状態及び収縮状態は、それぞれ異なる時間において継続されてよい。また、入出力部120からユーザの入力を受け付けて、ユーザ所望の時間間隔で制御を行ってもよい。例えば、入出力部120において、「速く」、「遅く」などの表示を行い、速度を選択させてもよい。更に、締め付けの強さを、「強く」、「弱く」などの表示を用いてユーザに選択させてもよい。
【0034】
これに限らず、報知処理は、例えば、文字、音声、光、振動などを、対応する装置に出力することでユーザに報知するものであってよい。制御部151は、例えば、「暫く足を動かしていません」、「ベルトを収縮させます」、「ストレッチをしてください」などのメッセージを入出力部120に表示する。また、本体部100にスピーカ、ランプ、又はバイブレータ(いずれも不図示)などを備えることで、制御部151は、これらを介した報知を行うよう報知処理を行ってもよい。また、上記に限らず、制御部151は、環境センサ130から出力された気温、湿度、又は気圧などの情報を入出力部120に表示させてもよい。制御部151は、解析部155において得られた解析結果を入出力部120に表示させてもよい。
【0035】
計測部152は、ベルト部200の長さにより、ユーザの脹脛部の周囲長を定期的に計測する。計測部152は、例えばサーボモータを発電機又はエンコーダとして、その回転角度からユーザの脹脛部の周囲長を計測する。また、計測部152は、例えばデジタルメジャーのように、ベルト部200の小さな穴やマークを検出することにより脹脛部の周囲長を計測してもよい。計測部152は、計測した脹脛部の周囲長を制御部151に出力する。
【0036】
変化速度検出部153は、計測部152において定期的に計測された脹脛部の周囲長の変化量と、当該変化に要した時間とから、ユーザの脹脛部の周囲長の変化速度を検出する。
【0037】
記憶部154は、制御部151からの制御により、ユーザの脹脛部の周囲長を記憶する記憶装置である。記憶部154は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などであってよい。
【0038】
記憶部154は、所定の条件を満たす場合に、計測部152で計測された脹脛部の周囲長を記憶する。ここで、所定の条件は、上述したように、変化速度検出部153において検出された脹脛部の周囲長の変化速度が、所定値以下の状態を所定時間以上継続した場合であってよい。これにより、記憶部154は、ユーザの脹脛部の周囲長の変化の度合いが低い状態が、所定時間以上継続した場合に、脹脛部の周囲長を記憶することができる。また、計測部152は所定の時間間隔で脹脛部の周囲長を計測し、変化速度検出部153は、これに基づいて所定の時間間隔で変化速度を検出する。よって、記憶部154においては、検出された変化速度に基づいて、所定の時間間隔において脹脛部の周囲長を記憶することができる。
【0039】
記憶部154において記憶された脹脛部の周囲長は、制御部151における制御に用いられる。例えば、制御部151は、記憶された脹脛部の周囲長の変化量が所定の閾値以上であると解析部155において判定された場合、脹脛部へのベルト部200の締め付け及び解放を繰り返すよう、オートテンション機能部110に対して制御を行う。
【0040】
解析部155は、記憶部154に記憶された複数の周囲長のデータに基づいて、データの解析を行う。また、解析部155は、解析結果に基づいて、脹脛部の周囲長が増加傾向であるか否かを判定する。解析部155は、例えば、記憶されたデータにおいて周囲長の変化量が所定の閾値以上であると判定した場合に、周囲長が増加傾向であると判定してもよい。所定の閾値は、ユーザごとに個別に設定されてもよいし、装着時における周囲長に対して所定割合を乗じたものなどが設定されてもよい。また、解析部155は、記憶された周囲長の時間変化に基づいて、周囲長が増加傾向であるか否かの判定を行ってもよい。解析部155は、所定時間後の周囲長を推定するなどして判定を行ってもよい。
【0041】
また、解析部155は、解析結果に基づいて、脹脛部の浮腫みの程度などを判定してもよい。例えば、浮腫みを数値化してもよいし、浮腫みの程度による血栓発生のリスクを複数段階で評価してもよい。これらの結果は、入出力部120などに出力されることで、ユーザが浮腫みの状態を容易に把握することができる。
【0042】
続いて、図6を用いて、血栓症予防装置1000が行う処理を説明する。図6は、血栓症予防装置1000が行う処理を示すフローチャートである。まず、ユーザが血栓症予防装置1000を装着し、電源を入れるなどして処理を開始する(S1)。ここで、タイマT1(不図示)が時間の計測を開始する。尚、タイマT1により計測された時間をt1とする。
【0043】
制御部151は、t1が第1所定時間を経過したか否かを判定する(S2)。第1所定時間が経過していない場合(S2のNO)、制御部151は、計測記憶処理を行う(S3)。制御部151は、第1所定時間が経過するまで計測記憶処理を繰り返す。
【0044】
ここで、図7を用いて、ステップS3の計測記憶処理について説明する。図7は、血栓症予防装置1000が行う計測記憶処理を示すフローチャートである。まず、計測部152は、脹脛部の周囲長L1を計測する(S11)。ここで、タイマT2(不図示)が時間の計測を開始する。尚、タイマT2により計測された時間をt2とする。
【0045】
計測部152は、t2がL1の計測から第2所定時間を経過したか否かを判定する(S12)。第2所定時間を経過していない場合(S12のNO)、計測部152は、脹脛部の周囲長L2を計測する(S13)。変化速度検出部153は、L1、L2、及びt2に基づいて、脹脛部の周囲長の変化速度を検出する(S14)。変化速度検出部153は、L1とL2の差の絶対値|L2-L1|(周囲長の変化量)を、t2(変化するのに要した時間)で除した(|L2-L1|/t2)の数式を用いて演算を行うことにより変化速度を検出してよい。
【0046】
計測部152は、検出された変化速度が所定値以下であるか否かを判定する(S15)。変化速度が所定値以下である場合(S15のYES)、ステップS12に戻る。第2所定時間が経過するまでステップS12~S15の処理を繰り返す。
【0047】
検出された変化速度が所定値より大きい場合(S15のNO)、ステップS11に戻る。この場合、計測部152は、再びL1を計測する(S11)。また、タイマT2は、時間の計測をリセットする。そして、計測部152により再度計測されたL1を用いて、再びステップS12~S15の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS12において、t2がL1の計測から第2所定時間を経過した場合(S12のYES)、記憶部154は、計測された脹脛部の周囲長L値を記憶する(S16)。ここで、L値は、ステップS12~S15の繰り返しにおいて、最後に計測部152により最後に計測されたL2であってよい。また、これに限らず、L値は、ステップS12~S15の繰り返しにおいて計測部152により計測された複数のL2の平均値であってもよい。尚、同図に示される計測記憶処理において、L2が少なくとも1回は記憶されるように、第2所定時間が設定されてよい。
【0049】
ステップS16においてL値が記憶された後は、再びステップS11に戻り、以降の処理を繰り返す。このように、計測記憶処理を行うことによって、記憶部154は、L値を蓄積していく。尚、記憶部154は、L値を記憶した日時情報、当該日時における環境情報、周囲長の変化速度、L1、又はL2などを、L値と対応付けて記憶してよい。
【0050】
図6に戻り説明を続ける。ステップS2において、第1所定時間が経過した場合(S2のYES)、解析部155は、記憶部154に記憶された複数のL値を解析する(S4)。解析部155は、解析結果に基づいて、L値が増加傾向であるか否かを判定する(S5)。解析部155は、例えば、L値の変化量つまり脹脛部の周囲長の変化量が所定の閾値以上となった場合に、L値の変化量つまり脹脛部の周囲長の変化量が増加傾向であると判定してもよいし、これ以外の判定方法を用いて判定を行ってもよい。
【0051】
L値が増加傾向でない場合(S5のNO)、ステップS2の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。L値が増加傾向にある場合(S5のYES)、制御部151は、報知処理を行う(S6)。報知処理は、例えば、制御部151が定常状態と収縮状態とを所定時間繰り返すよう、オートテンション機能部110を制御する処理であってよい。このようにすることで、ベルト部200が脹脛部の締め付け及び解放を行うので、ユーザの脹脛部に刺激を与えることができる。制御部151は、脹脛部の周囲長が所定の長さ以下になるまで上記の締め付け及び解放を行うよう制御を行ってもよい。また、これに限らず、制御部151は、警告メッセージや周囲長の時間変化を入出力部120に表示するように報知処理を行ってもよい。
【0052】
尚、第1所定時間、第2所定時間、周囲長の変化速度の閾値、及び環境情報の閾値などは、入出力部120などを介して、ユーザにより適宜設定又は変更されてよい。また、これに限らず、例えば、記憶部154に蓄積された情報や、ユーザの体調に関する体調情報などに基づいて、自動的に設定されてもよい。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000では、計測部152において計測された脹脛部の周囲長を、所定の条件を満たす場合に限って、記憶部154が記憶する。所定の条件は、変化速度検出部153において検出された変化速度が、所定値以下の状態を所定時間以上継続した場合であってよい。
【0054】
このようにすることで、例えばユーザが足を組み替えるなどの動作を行った場合の、瞬間的な筋肉の収縮による周囲長の変化を除外して、周囲長を記録することができる。これにより、記憶部154に記憶される周囲長のデータに、ノイズとなる不要なデータが含まれることを防ぐことができる。そのため、解析部155は、適切なデータに基づいて、周囲長の増加傾向を解析することができる。
【0055】
そして、このように適切なデータを蓄積することができるので、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000によれば、ユーザに対する報知処理を適切なタイミングにおいて行うことができる。このようにすることで、ユーザが長時間同じ姿勢でいる場合に、ユーザの状態を適切に把握してユーザに対する報知を行い、血栓症の予防に繋げることができる。
【0056】
また、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000は、ユーザが持ち運ぶことが可能であるので、場所を限定することなく利用することができる。また、ユーザは、衣類の上からでも容易に本装置を装着することができる。そして、ユーザは、入出力部120から、視感的に、又は体感的に、血栓発生のリスクを把握することができる。更に、入出力部120の操作により、ユーザは、ベルト部200の締め付け操作及び解放の操作を容易に行うことができる。
【0057】
<実施形態2>
本実施形態は、上述した実施形態1の変形例である。本実施形態にかかる血栓症予防装置1000では、制御装置150は、実施形態1における構成に加えて、通信部156を備えている。
【0058】
図8は、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000の構成を示すブロック図である。血栓症予防装置1000は、本体部100及びベルト部200を備えている。本体部100は、オートテンション機能部110、入出力部120、環境センサ130、及び制御装置150を備えている。制御装置150は、制御部151、計測部152、変化速度検出部153、記憶部154、解析部155及び通信部156を備えている。以下で説明する構成以外については、実施形態1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0059】
通信部156は、ユーザが所有する端末装置と通信可能な通信機能を備えている。図9は、血栓症予防装置1000とユーザの端末装置300との通信の様子を模式的に示す図である。ここで、端末装置300は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)等であってよい。
【0060】
通信部156は、例えばBluetooth(登録商標)のマルチポイント機能を用いて、端末装置300と無線により接続されてよい。また、血栓症予防装置1000と端末装置300は、有線により接続されてもよい。有線接続を行うことで、航空機内において電子機器の使用が制限される場合でも、血栓症予防装置1000と端末装置300との通信を行うことができる。
【0061】
端末装置300は、タッチパネルなどの入出力部310を備えている。ユーザは、例えば所定のアプリケーションを端末装置300にインストールすることで、アプリケーションを介して血栓症予防装置1000の操作を行うことができる。
【0062】
図8に戻り説明を続ける。制御部151は、解析部155における解析結果に基づいて、端末装置300に対し、報知を行うための報知情報を送信する。例えば、制御部151は、記憶部154に記憶された周囲長のデータ及び解析部155が解析した周囲長の変化量が所定値以上となった旨を報知する情報を、端末装置300に送信するよう制御を行う。上記に限らず、制御部151は既に述べたような種々の情報を端末装置300に送信してよい。
【0063】
制御部151は、入出力部120と同様に、入出力部310からの入力を受け付けて、各機能部を制御してよい。このようにすることで、本体部100が入出力部120を有していない場合にも、制御部151は、ユーザからの入力を受け付けることができる。制御部151は、入出力部310からの入力を受け付けて、例えばベルト部200の締め付け及び解放を制御する。また、制御部151は、端末装置300に対して警告メッセージや振動などによる報知を行うための報知情報を送信してよい。ユーザは、入出力部310への表示や、端末装置300が備えるバイブレータ(不図示)により、報知情報を受け取ることができる。
【0064】
また、通信部156は、複数の血栓症予防装置1000間で通信を行ってもよい。図10は、複数の血栓症予防装置1000間で行う通信の様子を模式的に示す図である。ここでは、血栓症予防装置1000aと、血栓症予防装置1000bとが、それぞれの通信部156を介して互いに通信しているものとする。尚、同図では、血栓症予防装置1000a及び1000bは同じ足に装着されているが、これらは左右に1つずつ装着されてもよい。また、3つ以上の血栓症予防装置1000がいずれかの足に装着されてもよい。
【0065】
血栓症予防装置1000aは、本体部100a及びベルト部200aを備え、血栓症予防装置1000bは、本体部100b及びベルト部200bを備えている。血栓症予防装置1000a及び1000bの構成は、図8を用いて説明した血栓症予防装置1000の構成と同様である。また、本体部100a及び100bは、同図に示される本体部100の構成と同様である。また、ベルト部200a及び200bは、同図に示されるベルト部200の構成と同様である。これらの重複する部分については、その詳細な説明を省略する。
【0066】
図8に戻り説明を続ける。制御部151は、ベルト部200を定常状態より収縮状態に変化させる制御、又は定常状態と収縮状態とを繰り返す制御を、複数の血栓症予防装置1000で連携して行うように、オートテンション機能部110を制御する。
【0067】
ここでは、血栓症予防装置1000aにおいて、制御部151が、ベルト部200aに対する締め付け及び解放を、血栓症予防装置1000bと連携して行うようにオートテンション機能部110を制御するものとする。制御部151は、解析部155の解析の結果、周囲長が増加傾向であると判定された場合に、血栓症予防装置1000a及び1000bを制御する。制御部151は、例えば、血栓症予防装置1000a及び1000b間において、それぞれのベルト部200への締め付け及び解放を繰り返すタイミングを連携させるように制御を行う。
【0068】
制御部151は、例えばベルト部200a及び200bの締め付け及び解放のタイミングが略同時になるように制御を行う。又は、制御部151は、足首側(ベルト部200b)から膝方向(ベルト部200a)に向かって、締め付け及び解放の動作が移動するように制御を行ってもよい。又は、これらのタイミングがランダムになるように制御を行ってもよい。血栓症予防装置1000が、左右の足に装着されている場合も同様である。尚、これらの動作のタイミングや、ベルト部200の締め付けの強さなどは、入出力部120又は入出力部310からの入力を受け付けて、ユーザ所望の動作となるよう制御されてよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態にかかる血栓症予防装置1000によれば、実施形態1と同様の効果を奏することができる。また本実施形態では、ユーザの端末装置や、他の血栓症予防装置と連携することができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0070】
<ハードウエアの構成例>
血栓症予防装置1000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、血栓症予防装置1000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0071】
図11は、血栓症予防装置1000を実現するコンピュータ900のハードウエア構成を例示するブロック図である。コンピュータ900は、血栓症予防装置1000を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。コンピュータ900は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータであってもよい。
【0072】
例えば、コンピュータ900に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、コンピュータ900で、血栓症予防装置1000の各機能が実現される。上記アプリケーションは、血栓症予防装置1000の機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。
【0073】
コンピュータ900は、バス902、プロセッサ904、メモリ906、ストレージデバイス908、入出力インタフェース910、及びネットワークインタフェース912を有する。バス902は、プロセッサ904、メモリ906、ストレージデバイス908、入出力インタフェース910、及びネットワークインタフェース912が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ904などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0074】
プロセッサ904は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ906は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス908は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0075】
入出力インタフェース910は、コンピュータ900と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース910には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0076】
ネットワークインタフェース912は、コンピュータ900をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0077】
ストレージデバイス908は、血栓症予防装置1000の各機能構成部を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ904は、このプログラムをメモリ906に読み出して実行することで、血栓症予防装置1000の各機能構成部を実現する。
【0078】
プロセッサの各々は、アルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに提供することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD(compact disc)、又はDVD(digital versatile disk)などの光ディスク媒体、半導体メモリ(例えば、マスク ROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0079】
なお、本開示は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の説明では、航空機内を想定して説明したが、これに限られない。例えば、列車、バス、トラック、タクシー、又は自家用自動車などに適用されてよい。また、ここでは脹脛部の浮腫みを適切に判定するために本開示を適用したが、これに限られない。例えば、一時的な筋肉の収縮による変化を除外して、脹脛部や他の部位の周囲長を適切に計測するための計測装置として、本開示が適用されてよい。
【0080】
また、上述の説明では、ユーザが脹脛部にベルト部200を巻き付けて血栓症予防装置1000を装着する形態を用いて説明したが、これに限られない。例えば、血栓症予防装置1000は、ベルト部200に代えて、ストレッチ素材のストッキング、タイツ、レギンス、ハイソックス、脹脛用のサポータ、又はベルクロ(登録商標)テープ付きのバンドなどが用いられてよい。ユーザは、これらを通常のストッキング等と同じように着用して、血栓症予防装置1000を利用することができる。ストッキング、タイツ、又はレギンスの場合には、1着で左右の脹脛部をカバーすることができる。また、脹脛部への締め付け及び解除の動作は、ベルト部200に代えて、よりマッサージ効果の高い装置が用いられてもよい。例えば、電気治療の電極や加圧治療のエアーポンプなどが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100、100a、100b 本体部
110 オートテンション機能部
111 動力部
112 ベルト保持解除部
120 入出力部
130 環境センサ
150 制御装置
151 制御部
152 計測部
153 変化速度検出部
154 記憶部
155 解析部
156 通信部
200、200a、200b ベルト部
300 端末装置
310 入出力部
1000、1000a、1000b 血栓症予防装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11