(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143366
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】シート貼り方法、シート貼り装置及び端子付き電線
(51)【国際特許分類】
H01R 43/048 20060101AFI20220926BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043835
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521113771
【氏名又は名称】山梨金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 英彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 匡司
(72)【発明者】
【氏名】宮田 猛
【テーマコード(参考)】
5E063
5E085
【Fターム(参考)】
5E063CC05
5E063XA05
5E085BB01
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD14
5E085FF01
5E085GG33
5E085HH17
5E085HH31
5E085JJ13
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】容易に電線の被覆部に粘着シートを巻き付けて貼りつけることができるシート貼り方法、シート貼り装置及びシート貼り装置により粘着シートが張り付けられた端子付き電線を提供する。
【解決手段】打抜刃22Aが設けられたパンチ22と、ダイス3と、の間に、両面テープ100Aがパンチ22側、電線300がダイス3側となるように、両面テープ100A及び電線300を配置する。次に、パンチ22により両面テープ100Aを打ち抜く。次に、パンチ22を電線300に近づけることにより、パンチ22に保持された、打ち抜かれた両面テープ100を電線300に近づけて、両面テープ100の両端部がダイス3に向かうように、両面テープ100の中央部を電線300の被覆部302に貼り付ける。次に、ダイス3を電線300に近づけることによって、両面テープ100の両端部を電線300の被覆部302に巻き付けながら貼り付ける。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の被覆部に粘着シートを巻き付けるように貼るシート貼り方法であって、
打抜刃が設けられたパンチと、ダイスと、の間に、前記粘着シートが前記パンチ側、前記電線が前記ダイス側となるように、前記粘着シート及び前記電線を配置する配置工程と、
前記パンチにより前記粘着シートを打ち抜く打ち抜き工程と、
前記パンチを前記電線に近づけることにより、前記パンチに保持された、打ち抜かれた前記粘着シートを前記電線に近づけて、前記粘着シートの前記電線の長手方向と交差する交差方向の両端部が前記ダイスに向かうように前記粘着シートを曲げた状態で、前記粘着シートの前記交差方向の中央部を前記電線の前記被覆部に貼り付ける第1貼り付け工程と、
前記ダイスを前記電線に近づけることによって、前記粘着シートの前記ダイスに向かう両端部を前記電線の前記被覆部に貼り付ける第2貼り付け工程と、を備えた、
シート貼り方法。
【請求項2】
電線の被覆部に粘着シートを巻き付けるように貼るシート貼り装置であって、
前記粘着シートを打ち抜くパンチと、
前記パンチと前記パンチの抜き打ち方向に対向して配置されたダイスと、
前記パンチと前記ダイスとの間に打ち抜く前の前記粘着シートを支持するシート支持部と、
前記パンチと前記ダイスとの間であって、前記粘着シートよりも前記ダイス側に前記電線を支持する電線支持部と、を備え、
前記パンチと前記シート支持部とが接離自在に設けられ、
前記パンチと前記電線支持部とが接離自在に設けられ、
前記電線支持部と前記ダイスとが接離自在に設けられた、
シート貼り装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート貼り装置において、
前記パンチには、前記打ち抜き方向に突出し、前記電線の長手方向と交差する交差方向に並べられた一対の突起が設けられている、
シート貼り装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート貼り装置において、
前記一対の突起は、前記パンチに対して突没自在に設けられている、
シート貼り装置。
【請求項5】
請求項2~4何れか1項に記載のシート貼り装置において、
前記電線支持部は、前記電線の前記粘着シートを張り付ける部分の長手方向両側を各々支持する一対の支持部から構成され、前記一対の支持部の一方に、前記電線の先端と当接する当接部が設けられている、
シート貼り装置。
【請求項6】
請求項2~5何れか1項に記載のシート貼り装置において、
前記パンチと共に前記パンチの打ち抜き方向に移動する第1移動部材と、
前記ダイスの前記打ち抜き方向先端及び前記第1移動部材の前記打ち抜き方向先端がそれぞれ接触する第2移動部材と、を備え、
前記第1移動部材及び前記第2移動部材の接触面の少なくとも一方には、前記打ち抜き方向に向かうに従って前記ダイスから離れる第1傾斜面が設けられ、
前記ダイス及び前記第2移動部材の接触面の少なくとも一方には、前記打ち抜き方向に向かうに従って前記第1移動部材から離れる第2傾斜面が設けられた、
シート貼り装置。
【請求項7】
電線と、前記電線の被覆部に圧着される被覆圧着部と、前記電線の芯線に圧着される芯線圧着部と、を有する端子と、を備えた端子付き電線において、
前記電線の前記被覆部と前記被覆圧着部と、の間に設けられ、前記被覆部に巻き付けて貼られた粘着シートを有し、
前記粘着シートの全縁が切断面を有する、
端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼り方法、シート貼り装置及び端子付き電線、に関する。
【背景技術】
【0002】
上記端子付き電線の防食技術として、例えば、特許文献1に開示されているものが知られている。特許文献1に記載の端子付き電線は、電線の芯線と、端子に設けられた電線の被覆部をかしめる被覆かしめ部と、電線の芯線をかしめる芯線かしめ部と、が一体に紫外線硬化型樹脂により覆われている。この紫外線硬化型樹脂により、芯線に対する水の侵入を防止して防食を図ることができる。
【0003】
上記電線は、熱劣化などにより被覆部が収縮することがある。被覆部が収縮すると、電線の被覆部と、端子の被覆かしめ部と、の間に隙間が生じ、この隙間から水が浸入する恐れがあった。そこで、両面テープ(粘着シート)を被覆部の全周に巻き付けて、電線の被覆部と、端子の被覆かしめ部と、の間に両面テープを設けることが考えられる。この両面テープにより電線の被覆部に収縮が生じたとしても、電線の被覆部と、前記端子の被覆かしめ部と、の間に生じた隙間を両面テープにより埋めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電線の被覆部に両面テープを巻き付けて貼る作業は非常に煩雑である、という問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に電線の被覆部に粘着シートを巻き付けて貼りつけることができるシート貼り方法、シート貼り装置及びシート貼り装置により粘着シートが張り付けられた端子付き電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るシート貼り方法、シート貼り装置及び端子付き電線は、下記[1]~[7]を特徴としている。
[1]
電線の被覆部に粘着シートを巻き付けるように貼るシート貼り方法であって、
打抜刃が設けられたパンチと、ダイスと、の間に、前記粘着シートが前記パンチ側、前記電線が前記ダイス側となるように、前記粘着シート及び前記電線を配置する配置工程と、
前記パンチにより前記粘着シートを打ち抜く打ち抜き工程と、
前記パンチを前記電線に近づけることにより、前記パンチに保持された、打ち抜かれた前記粘着シートを前記電線に近づけて、前記粘着シートの前記電線の長手方向と交差する交差方向の両端部が前記ダイスに向かうように前記粘着シートを曲げた状態で、前記粘着シートの前記交差方向の中央部を前記電線の前記被覆部に貼り付ける第1貼り付け工程と、
前記ダイスを前記電線に近づけることによって、前記粘着シートの前記ダイスに向かう両端部を前記電線の前記被覆部に貼り付ける第2貼り付け工程と、を備えた、
シート貼り方法であること。
[2]
電線の被覆部に粘着シートを巻き付けるように貼るシート貼り装置であって、
前記粘着シートを打ち抜くパンチと、
前記パンチと前記パンチの抜き打ち方向に対向して配置されたダイスと、
前記パンチと前記ダイスとの間に打ち抜く前の前記粘着シートを支持するシート支持部と、
前記パンチと前記ダイスとの間であって、前記粘着シートよりも前記ダイス側に前記電線を支持する電線支持部と、を備え、
前記パンチと前記シート支持部とが接離自在に設けられ、
前記パンチと前記電線支持部とが接離自在に設けられ、
前記電線支持部と前記ダイスとが接離自在に設けられた、
シート貼り装置であること。
[3]
[2]に記載のシート貼り装置において、
前記パンチには、前記打ち抜き方向に突出し、前記電線の長手方向と交差する交差方向に並べられた一対の突起が設けられている、
シート貼り装置であること。
[4]
[3]に記載のシート貼り装置において、
前記一対の突起は、前記パンチに対して突没自在に設けられている、
シート貼り装置であること。
[5]
[2]~[4]何れか1項に記載のシート貼り装置において、
前記電線支持部は、前記電線の前記粘着シートを張り付ける部分の長手方向両側を各々支持する一対の支持部から構成され、前記一対の支持部の一方に、前記電線の先端と当接する当接部が設けられている、
シート貼り装置であること。
[6]
[2]~[5]何れか1項に記載のシート貼り装置において、
前記パンチと共に前記パンチの打ち抜き方向に移動する第1移動部材と、
前記ダイスの前記打ち抜き方向先端及び前記第1移動部材の前記打ち抜き方向先端がそれぞれ接触する第2移動部材と、を備え、
前記第1移動部材及び前記第2移動部材の接触面の少なくとも一方には、前記打ち抜き方向に向かうに従って前記ダイスから離れる第1傾斜面が設けられ、
前記ダイス及び前記第2移動部材の接触面の少なくとも一方には、前記打ち抜き方向に向かうに従って前記第1移動部材から離れる第2傾斜面が設けられた、
シート貼り装置であること。
[7]
電線と、前記電線の被覆部に圧着される被覆圧着部と、前記電線の芯線に圧着される芯線圧着部と、を有する端子と、を備えた端子付き電線において、
前記電線の前記被覆部と前記被覆圧着部と、の間に設けられ、前記被覆部に巻き付けて貼られた粘着シートを有し、
前記粘着シートの全縁が切断面を有する、
端子付き電線であること。
【0008】
上記[1]、[2]及び[7]の構成のシート貼り方法、シート貼り装置及び端子付き電線によれば、パンチとダイスとの間に、粘着シート及び電線を配置し、パンチとダイスとを近づけるだけで、電線に粘着シートを巻き付けて貼ることができる。
【0009】
上記[3]の構成のシート貼り装置によれば、一対の突起により打ち抜いた後の粘着シートの両端部を互いに近づけてダイスに向けることができる。これにより、ダイスにより粘着シートの両端部を電線に巻き付けやすくなる。
【0010】
上記[4]の構成のシート貼り装置によれば、ダイスをパンチに近づけると一対の突起がパンチ内に没するため、一対の突起が、ダイスによる粘着シートの両端部の貼り付けを邪魔することがない。
【0011】
上記[5]の構成のシート貼り装置によれば、電線を支持する一対の支持部の一方に、電線の先端と当接する当接部が設けられている。これにより、当接部に電線を突き当てることにより、電線を位置決めした状態で支持することができる。
【0012】
上記[6]の構成のシート貼り装置によれば、モータなどを用いずに、パンチを押し下げる力を、第1移動部材及び第2移動部材によりダイスに伝達して、ダイスを移動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に電線の被覆部に粘着シートを巻き付けて貼りつけることができるシート貼り方法、シート貼り装置及びシート貼り装置により粘着シートが張り付けられた端子付き電線を提供することができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の端子付き電線の斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のシート貼り装置の正面断面図である。
【
図7】
図7は、
図3に示すシート貼り装置を構成する移動機構を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、
図3に示すシート貼り装置を用いたシート貼り方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
本実施形態のシート貼り装置1は、電線300の被覆部302に両面テープ(粘着シート)100を巻き付けて貼る装置である。両面テープ100は、帯状の基台と、基台の両面に設けられた電線側粘着層、端子側粘着層と、電線側粘着層、端子側粘着層をそれぞれ覆う剥離紙(何れも図示せず)と、を有している。電線側粘着層が、電線300に貼り付けられ、端子側粘着層が端子400に貼り付けられる。まず、両面テープ100が貼り付けられた端子付き電線200について
図1を参照して説明する。端子付き電線200は、電線300と、電線300の端末に取り付けられた端子400と、を備えている。上記電線300は、複数の素線を撚り合わせた芯線301と、芯線301を被覆する被覆部302と、を有している。電線300の端末には、端子400が取り付けられる。電線300の端末においては、被覆部302が剥き取られ、芯線301が露出している。
【0018】
端子400には、相手側端子と電気的に接続される端子接続部401と、電線300に接続される電線接続部402と、を有している。電線接続部402は、芯線301をかしめる(圧着する)一対の芯線かしめ片(芯線圧着部)402A,402Aと、被覆部302をかしめる一対の被覆かしめ片(被覆圧着部)402B,402Bと、を有している。上記両面テープ100は、
図2に示すように、電線300の被覆部302と端子400の被覆かしめ片402Bとの間に配置されるように被覆部302の全周に巻き付けられている。即ち、両面テープ100は、被覆部302の端末に巻き付けられる。
【0019】
また、本実施形態の端子付き電線200は、
図1に示すように、電線300の芯線301と、端子400に設けられた芯線かしめ片402A,402Aと、被覆かしめ片402B,402Bと、が一体に紫外線硬化型樹脂500により覆われている。
【0020】
シート貼り装置1は、
図3に示すように、パンチ22が設けられた上下機構2と、ダイス3と、電線300を支持する電線支持部4と、打ち抜き前の両面テープ100Aを支持するテープ支持部5と、ダイス3を上下方向Zに移動させる移動機構6(
図7参照)と、を備えている。
【0021】
上下機構2は、図示しない操作レバーの操作によって上下方向Zに移動する支持台21と、支持台21の下面から突出するパンチ22と、パンチ22に突没自在に設けられた突起部23(
図4、
図5参照)と、を有する。なお、本実施形態では、操作レバーを操作する作業者から見て上下、左右、前後を上下方向Z、左右方向X、前後方向Yとして説明する。
【0022】
支持台21は、略立方体状に設けられている。パンチ22は、四角柱状に設けられていて、支持台21の下面から突出している。パンチ22は、支持台21の移動により上下方向Zに移動自在に設けられ、電線支持部4及びテープ支持部5に対して接離自在となる。パンチ22は、下方から見て左右方向Xに長尺の四角形状に設けられ、その下端周縁に打抜刃22Aが設けられている。このパンチ22の打抜刃22Aにより両面テープ100Aが四角形状に打ち抜かれる。これにより、打ち抜かれた両面テープ100は、全縁が切断面を有している。両面テープ100は、その長手方向(左右方向X)の長さが電線300の被覆部302の半分以上に巻き付けられるように打ち抜かれる。本実施形態では、電線300の被覆部302全周に巻き付けられるように、両面テープ100は、電線外径×πの長さに打ち抜かれる。
【0023】
また、パンチ22の下面には、左右方向Xの中央に前後方向Yに沿って延びる電線収容溝22Bが設けられている。電線収容溝22Bは、電線300の被覆部302の径とほぼ同じ径の円弧状に設けられ、電線300の上部が嵌めこまれる。
【0024】
上記突起部23は、
図4及び
図5に示すように、左右方向Xに離間して配置される一対の突起板231,231と、一対の突起板231,231の上端を連結する連結部232と、が設けられている。突起部23は、上部がパンチ22内に収容され、一対の突起板231,231の下端が、パンチ22から下側に向かって突出され一対の突起231A,231Aとなる。一対の突起231A,231Aは、電線300の長手方向と直交する左右方向X(=交差方向)に並んで配置され、互いの間に電線収容溝22Bを位置づけている。
【0025】
一対の突起板231,231は、板状に設けられ、左右方向Xに直交するように配置されている。また、一対の突起231A,231Aの下端には、上下方向Z下側に向かうに従って互いに離れる傾斜面S1が設けられている。連結部232は、バネなどの付勢部材24を介してパンチ22に取り付けられている。付勢部材24は、一対の突起231A,231Aをパンチ22から突出させる方向(=上下方向Z下側)に突起部23を付勢している。以上の構成により、一対の突起231A,231Aがパンチ22から突没自在に設けられ、
図5に示すように、ダイス3がパンチ22に近づくと、ダイス3が突起231A,231Aを押し上げる。
【0026】
ダイス3は、
図3及び
図9に示すように、パンチ22の上下方向Zに移動可能に設けられている。ダイス3は、略四角柱状に設けられている。ダイス3は、上から見て左右方向Xに長尺な四角形状に設けられ、その左右方向X中央に前後方向Yに沿って延びる電線収容溝31が設けられている。電線収容溝31は、電線300の被覆部302の径とほぼ同じ径の円弧状に設けられ、電線300の下部が嵌めこまれる。
【0027】
電線支持部4は、
図6に示すように、ベース(図示せず)上に配置され、略立方体状に設けられている。電線支持部4には、上下方向Zに貫通するダイス挿入孔41が設けられている。このダイス挿入孔41にダイス3が収容されている。また、電線支持部4には、電線300の長手方向が前後方向Yに沿うように支持される。詳しく説明すると、電線支持部4は、このダイス挿入孔41を挟んだ前後方向Y両側に電線300を支持する一対の支持部42、43が設けられている。この一対の支持部42、43が、電線300の両面テープ100を張り付ける部分の長手方向両側を各々支持する。
【0028】
前後方向Y一方側の支持部42には、電線300の先端を挿入する電線挿入孔421が設けられている。電線挿入孔421は、前後方向Yに沿って設けられ、ダイス挿入孔41の内壁に開口が設けられている。電線挿入孔421の径は、電線300の芯線301の径よりも大きく、被覆部302の径よりも小さく設けられている。これにより、電線挿入孔421に電線300の芯線301を挿入すると、電線300の被覆部302の先端が電線挿入孔421の周縁(当接部)に突き当たって当接する。支持部43には、前後方向Yに延びる電線300を収容する電線収容溝431が設けられている。
【0029】
テープ支持部5は、
図3に示すように、電線支持部4上に搭載された一対のテープ支持台51,51を有している。一対のテープ支持台51,51は、電線支持部4に設けたダイス挿入孔41を挟んだ左右方向X両側に搭載されている。この一対のテープ支持台51,51上に打ち抜き前の両面テープ100Aが搭載される。
【0030】
次に、移動機構6について
図7を参照して説明する。
図7においては、説明を簡単にするためにパンチ22、電線支持部4、テープ支持部5については省略されている。移動機構6は、パンチ22と共に上下方向Zに移動する一対の第1移動部材61(
図3参照)と、一対の第1移動部材61の下端及びダイス3の下端がそれぞれ接する第2移動部材62と、を備えている。一対の第1移動部材61は、棒状に設けられ、
図3に示すように、上下機構2の支持台21の下端から突出して設けられている。一対の第1移動部材61は、パンチ22よりも前後方向Y後側の位置に左右方向Xに並んで設けられている。また、一対の第1移動部材61は、パンチ22よりも下側に突出して設けられている。
【0031】
第2移動部材62は、
図8に示すように、前後方向Yに延びる一対の第1接触部621と、一対の第1接触部621の前後方向Y前側を連結する第2接触部622と、を有している。一対の第1接触部621は、左右方向Xに並んで設けられ、その前後方向Y後端がそれぞれ一対の第1移動部材61の下端に接触する。第2接触部622は、左右方向Xに延びて設けられ、その前後方向Y前端がダイス3の下端に接触する。上述した第2移動部材62は、電線支持部4の下部に収容されている。また、電線支持部4には、
図6に示すように、第1移動部材61を挿入可能な挿入孔44,44が設けられている。第1移動部材61は、電線支持部4内の挿入孔44に挿入され、電線支持部4の下部に収容される第2移動部材62に当接する。
【0032】
また、第1移動部材61及び第1接触部621の接触面には、
図7に示すように、上下方向Z下側に向かうに従ってダイス3から離れる第1傾斜面S21、S31がそれぞれ設けられている。ダイス3及び第2接触部622の接触面には、上下方向Z上側に向かうに従って第1移動部材61から離れる第2傾斜面S12、S32が設けられている。
【0033】
次に、上述した構成のシート貼り装置1を用いたシート貼り方法について以下説明する。まず、電線300の先端の被覆部302を剥き取る。その後、電線300の先端を電線挿入孔421に挿入し、電線収容溝431内に収容する。このとき、電線300の被覆部302の先端を電線挿入孔421の周縁に突き当てて当接させる。これにより、電線300の長手方向が前後方向Yに沿って配置されるとともに、電線300の被覆部302の先端から所定距離にある被覆部302がダイス3上に配置される。また、
図3に示すように、両面テープ100Aの下側の剥離紙を剥がした状態で、両面テープ100Aを一対のテープ支持台51,51上に搭載する。これにより、
図9(A)に示すように、パンチ22とダイス3との間に、両面テープ100Aがパンチ22側、電線300がダイス3側となるように、両面テープ100A及び電線300を配置することができる(配置工程)。また、本実施形態では、電線300を先に搭載した後、両面テープ100Aを搭載していたが、これに限ったものではなく、先に両面テープ100Aを搭載した後、電線300を搭載してもよい。
【0034】
その後、作業員が、図示しない操作レバーを操作して、支持台21を上下方向Z下側に移動させ、パンチ22を両面テープ100Aに近づけ、パンチ22により両面テープ100Aを打ち抜く(打ち抜き工程)。なお、本実施形態では、作業員が手動により、両面テープ100Aの搭載、支持台21の上下方向Z下方側への移動を行う例について説明するが、これに限ったものではない。例えば、コンベアやモータなどを用いて両面テープ100Aの搭載、支持台21の移動を自動で行ってもよい。打ち抜かれた両面テープ100は、パンチ22により保持される。このとき、パンチ22から突出する一対の突起231A,231Aにより、打ち抜かれた両面テープ100は、U字状に折り曲げられ、左右方向(交差方向)の両端がダイス3に向かう。さらに、パンチ22を上下方向Z下側に移動させて、電線300に近づけて、パンチ22の電線収容溝22B内に電線300の上部を収容する。これにより、パンチ22に保持された、打ち抜かれた両面テープ100を電線300に近づけて、両面テープ100を電線300に押し付ける。これにより、
図9(B)に示すように、両面テープ100の両端部が電線300に貼り付かずにダイス3に向かうように両面テープ100を折り曲げた状態で、両面テープ100の中央部のみを電線300の被覆部302に貼り付けることができる(第1貼り付け工程)。
【0035】
また、パンチ22の上下方向Z下側への移動に伴って第1移動部材61が上下方向Z下側に移動すると、
図7(B)に示すように、第1移動部材61の下端が第2移動部材62の第1接触部621に当接して接触する。さらに第1移動部材61を上下方向Z下側に移動させると、
図7(C)に示すように、第2移動部材62が第1傾斜面S31、S21に案内されて前後方向Y前側に移動する。第2移動部材62が前後方向Y前側に移動すると、
図7(C)に示すように、ダイス3が第2傾斜面S12、S32に案内されて上下方向Z上側に移動する。これにより、
図9(C)に示すように、ダイス3が電線300に近づく。両面テープ100の両端部は、ダイス3の円弧状の電線収容溝31に案内され、互いに近づくように曲げられる。この結果、両面テープ100の両端部を、電線300の被覆部302に巻き付けながら貼り付けることができる(第2貼り付け工程)。
【0036】
その後、作業員は、電線300に貼り付けられた両面テープ100の剥離紙を取り除く。次に、作業員は、周知の圧着装置を用いて、電線300に端子400を圧着する。次に、作業員は、圧着した端子400の上部に吐出口を配置し、紫外線硬化型樹脂500を滴下する。滴下された紫外線硬化型樹脂500は濡れ広がり、芯線301、芯線かしめ片402A、被覆かしめ片402Bを覆う。次に、紫外線の照射により、紫外線硬化型樹脂500が硬化して端子付き電線200が完成する。
【0037】
上述した実施形態によれば、パンチ22とダイス3との間に、両面テープ100A及び電線300を配置し、パンチ22とダイス3とを近づけるだけで、電線300に両面テープ100を巻き付けて貼ることができる。
【0038】
上述した実施形態によれば、パンチ22から上下方向Z下側に突出する一対の突起231A,231Aが設けられている。この一対の突起231A,231Aにより打ち抜いた後の両面テープ100の両端部を互いに近づけてダイス3に向けることができる。これにより、ダイス3により両面テープ100の両端部を電線300に巻き付けやすくなる。
【0039】
上述した実施形態によれば、電線300を支持する一対の支持部42,43の一方に、電線300の先端が当接される底部を有する電線挿入孔421が設けられている。これにより、電線挿入孔421の底部に電線300を突き当てることにより、電線300の前後方向Yを位置決めした状態で支持することができる。
【0040】
上述した実施形態によれば、突起231A,231Aがパンチ22から突没自在に設けられている。これにより、ダイス3をパンチ22に近づけると一対の突起231A,231Aがパンチ22内に没するため、一対の突起231A,231Aが、ダイス3による両面テープ100の両端部の貼り付けを邪魔することがない。
【0041】
上述した実施形態によれば、モータなどを用いずに、パンチ22を押し下げる力を、第1移動部材61及び第2移動部材62によりダイス3に伝達して、ダイス3を移動させることができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
例えば、上述した実施形態によれば、パンチ22から一対の突起231A,231Aが突出していたが、これに限ったものではない。例えば両面テープ100の柔軟性が高く、両面テープ100の中央部が電線300に貼り付けられることにより、両端部が下垂してダイス3に向かうような素材であれば、一対の突起231A,231Aは、必須ではなく、なくてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、両面テープ100の下側の剥離紙を剥がしてテープ支持部5に搭載していたが、これに限ったものではない。例えば、パンチ22を非粘着性のあるコーティング処理を施していれば、両面テープ100の両面の剥離紙を剥がしてテープ支持部5に搭載してもよい。
【0045】
また、上述した実施形態によれば、第1移動部材61及び第2移動部材62を用いてダイス3を上下方向Z上側移動させていたが、これに限ったものではない。モータなどを用いてダイス3を上側に移動させてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態によれば、パンチ22を上下方向Zに移動自在に設けることにより、パンチ22と電線支持部4、テープ支持部5とを接離自在に設けていたが、これに限ったものではない。電線支持部4、テープ支持部5を上下方向Zに移動自在に設けることにより、パンチ22と電線支持部4、テープ支持部5とを接離自在に設けてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、ダイス3を上下方向Zに移動自在に設けることにより、電線支持部4とダイス3とを接離自在に設けていたが、これに限ったものではない。電線支持部4を上下方向Zに移動自在に設けることにより、電線支持部4とダイス3とを接離自在に設けてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、第1移動部材61及び第2移動部材62の接触面の双方に第1傾斜面S21、S31を設けていたが、これに限ったものではない。第1移動部材61及び第2移動部材62の一方のみに第1傾斜面S21、S31を設けてもよい。また、ダイス3及び第2移動部材62の接触面の双方に第2傾斜面S12、S32を設けていたが、これに限ったものではない。ダイス3及び第2移動部材62の接触面の一方のみに第2傾斜面S12、S32を設けてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、支持部42に電線挿入孔421を設けていたが、これに限ったものではない。支持部43と同様に支持部42にも前後方向Yに沿った電線収容溝を設けてもよい。この場合、支持部42の電線収容溝の前後方向Y前側はダイス挿入孔41に貫通し、前後方向後側は塞がれていて、この塞がれている部分に電線300の先端が当接する。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、粘着シートとして、両面に粘着層が設けられた両面テープ100を用いていたが、これに限ったものではない。粘着シートとしては、少なくとも片面に粘着層が設けられていればよい。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、電線300の被覆部302の先端を電線挿入孔421の周縁に当接していたが、これに限ったものではない。電線挿入孔421のダイス挿入孔41から離れた側の開口を塞ぐ底部(図示せず)を設け、底部に電線300の芯線301の先端を当接してもよい。
【0052】
ここで、上述した本発明に係るシート貼り方法、シート貼り装置及び端子付き電線の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電線(300)の被覆部(302)に粘着シート(100)を巻き付けるように貼るシート貼り方法であって、
打抜刃(22A)が設けられたパンチ(22)と、ダイス(3)と、の間に、前記粘着シート(100A)が前記パンチ(22)側、前記電線(300)が前記ダイス(3)側となるように、前記粘着シート(100A)及び前記電線(300)を配置する配置工程と、
前記パンチ(22)により前記粘着シート(100A)を打ち抜く打ち抜き工程と、
前記パンチ(22)を前記電線(300)に近づけることにより、前記パンチ(22)に保持された、打ち抜かれた前記粘着シート(100)を前記電線(300)に近づけて、前記粘着シート(100)の前記電線(300)の長手方向(Y)と交差する交差方向(X)の両端部が前記ダイス(3)に向かうように前記粘着シート(100)を曲げた状態で、前記粘着シート(100)の前記交差方向(X)の中央部を前記電線(300)の前記被覆部(302)に貼り付ける第1貼り付け工程と、
前記ダイス(3)を前記電線(300)に近づけることによって、前記粘着シート(100)の前記ダイス(3)に向かう両端部を前記電線(300)の前記被覆部(302)に貼り付ける第2貼り付け工程と、を備えた、
シート貼り方法。
[2]
電線(300)の被覆部(302)に粘着シート(100)を巻き付けるように貼るシート貼り装置(1)であって、
前記粘着シート(100A)を打ち抜くパンチ(22)と、
前記パンチ(22)と前記パンチ(22)の抜き打ち方向に対向して配置されたダイス(3)と、
前記パンチ(22)と前記ダイス(3)との間に打ち抜く前の前記粘着シート(100A)を支持するシート支持部(5)と、
前記パンチ(22)と前記ダイス(3)との間であって、前記粘着シート(100A)よりも前記ダイス(3)側に前記電線(300)を支持する電線支持部(4)と、を備え、
前記パンチ(22)と前記シート支持部(5)とが接離自在に設けられ、
前記パンチ(22)と前記電線支持部(4)とが接離自在に設けられ、
前記電線支持部(4)と前記ダイス(3)とが接離自在に設けられた、
シート貼り装置(1)。
[3]
[2]に記載のシート貼り装置(1)において、
前記パンチ(22)には、前記打ち抜き方向(Z)に突出し、前記電線(300)の長手方向(Y)と交差する交差方向(X)に並べられた一対の突起(231A,231A)が設けられている、
シート貼り装置(1)。
[4]
[3]に記載のシート貼り装置(1)において、
前記一対の突起(231A,231A)は、前記パンチ(22)に対して突没自在に設けられている、
シート貼り装置(1)。
[5]
[2]~[4]何れか1項に記載のシート貼り装置(1)において、
前記電線支持部(4)は、前記電線(300)の前記粘着シート(100)を張り付ける部分の長手方向(Y)両側を各々支持する一対の支持部(42,43)から構成され、前記一対の支持部(42,43)の一方に、前記電線(300)の先端と当接する当接部(421)が設けられている、
シート貼り装置(1)。
[6]
[2]~[5]何れか1項に記載のシート貼り装置(1)において、
前記パンチ(22)と共に前記パンチ(22)の打ち抜き方向に移動する第1移動部材(61)と、
前記ダイス(3)の前記打ち抜き方向(Z)先端及び前記第1移動部材(61)の前記打ち抜き方向(Z)先端がそれぞれ接触する第2移動部材(62)と、を備え、
前記第1移動部材(61)及び前記第2移動部材(62)の接触面の少なくとも一方には、前記打ち抜き方向(Z)に向かうに従って前記ダイス(3)から離れる第1傾斜面(S21、S31)が設けられ、
前記ダイス(3)及び前記第2移動部材(62)の接触面の少なくとも一方には、前記打ち抜き方向(Z)に向かうに従って前記第1移動部材(61)から離れる第2傾斜面(S12、S32)が設けられた、
シート貼り装置(1)。
[7]
電線(300)と、前記電線(300)の被覆部(302)に圧着される被覆圧着部(402B)と、前記電線(300)の芯線(301)に圧着される芯線圧着部(402A)と、を有する端子(400)と、を備えた端子付き電線(200)において、
前記電線(300)の前記被覆部(302)と前記被覆圧着部(402B)と、の間に設けられ、前記被覆部(302)に巻き付けて貼られた粘着シート(100)を有し、
前記粘着シート(100)の全縁が切断面を有する、
端子付き電線(200)。
【符号の説明】
【0053】
1 シート貼り装置
3 ダイス
4 電線支持部
5 テープ支持部(シート支持部)
22 パンチ
22A 打抜刃
42 支持部
43 支持部
61 第1移動部材
62 第2移動部材
100A 両面テープ(粘着シート)
100 両面テープ(粘着シート)
200 端子付き電線
231A 突起
300 電線
301 芯線
302 被覆部
400 端子
402A 芯線かしめ片(芯線圧着部)
402B 被覆かしめ片(被覆圧着部)
421 電線挿入孔(当接部)
S21 第1傾斜面
S31 第1傾斜面
S12 第2傾斜面
S32 第2傾斜面
X 左右方向(交差方向)
Z 上下方向(打ち抜き方向)
Y 前後方向(長手方向)