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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143387
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】撮像装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20220926BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220926BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220926BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20220926BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20220926BHJP
   G06T 7/593 20170101ALI20220926BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H04N5/232
H04N5/225 800
G03B15/00 V
G03B15/00 Q
G03B35/08
G03B19/07
G06T7/593
G06T1/00 400M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043866
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】廣藤 恭也
(72)【発明者】
【氏名】野村 康紘
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
5B047
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2H054AA01
2H054BB05
2H054BB07
2H054BB08
2H059AA09
2H059AA12
2H059CA00
5B047AA07
5B047AA19
5B047AB02
5B047BB04
5B047BC01
5B047BC05
5B047CA05
5B047CB22
5C122DA14
5C122EA06
5C122EA67
5C122FA18
5C122FB06
5C122FC02
5C122FC12
5C122FH11
5C122FH14
5C122GD01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB02
5C122HB05
5C122HB10
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA04
5L096BA05
5L096BA08
5L096CA05
5L096CA14
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA03
5L096EA35
5L096FA09
(57)【要約】
【課題】画角の異なる左右の撮像部で発生する走査タイミングのずれを軽減する。
【解決手段】ローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第1撮像部と、前記第1撮像部と解像度が異なるローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第2撮像部と、前記第1撮像部で撮像された第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像部で撮像された第2撮像画像における任意の領域とにおける、前記第1撮像部と前記第2撮像部との走査完了タイミングのずれである遅延時間分だけ、前記第1撮像部と前記第2撮像部とのいずれか一方について走査開始タイミングを遅延させる遅延指示部と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第1撮像部と、
前記第1撮像部と解像度が異なるローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第2撮像部と、
前記第1撮像部で撮像された第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像部で撮像された第2撮像画像における任意の領域とにおける、前記第1撮像部と前記第2撮像部との走査完了タイミングのずれである遅延時間分だけ、前記第1撮像部と前記第2撮像部とのいずれか一方について走査開始タイミングを遅延させる遅延指示部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像画像における任意の領域とは、同一の被写体が存在する領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像画像における任意の領域とは、前記第1撮像画像および前記第2撮像画像上で静止物体が移動する方向が収束する消失点が存在する領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1撮像画像および前記第2撮像画像上で静止物体が移動する方向が収束する消失点を検出する消失点検出部を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
ローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第1撮像部と、
前記第1撮像部と解像度が異なるローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第2撮像部と、
を備える撮像装置を制御するコンピュータを、
前記第1撮像部で撮像された第1撮像画像における任意の領域と、前記第2撮像部で撮像された第2撮像画像における任意の領域とにおける、前記第1撮像部と前記第2撮像部との走査完了タイミングのずれである遅延時間分だけ、前記第1撮像部と前記第2撮像部とのいずれか一方について走査開始タイミングを遅延させる遅延指示手段として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
前記第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像画像における任意の領域とは、同一の被写体が存在する領域である、
ことを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像画像における任意の領域とは、前記第1撮像画像および前記第2撮像画像上で静止物体が移動する方向が収束する消失点が存在する領域である、
ことを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第1撮像画像および前記第2撮像画像上で静止物体が移動する方向が収束する消失点を検出する消失点検出手段として前記コンピュータを機能させる、
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右に2つのカメラを並べたステレオカメラは、自動車等の車両に搭載することで、車両から対象物までの距離情報の計測に用いられている。また、ステレオカメラは、距離情報の他に、車両周辺の様々な対象物の認識に用いられている。このようなステレオカメラは、車両の運転支援時の安全性の向上に寄与するものである。
【0003】
なお、対象物の認識は、距離情報が無くとも、1つのカメラで撮像した画像だけでも行える。そこで、ステレオカメラを広角カメラと狭角カメラという画角の異なるカメラで構成することが考えられている。このようなステレオカメラによれば、広角カメラで広い範囲の物体認識を行い、狭角カメラと広角カメラの撮像範囲が重なる部分で対象物への距離測定を行うことができる。
【0004】
特許文献1には、左右画像のトリミング位置のずれ量からずれを矯正するための垂直タイミングの遅延時間を算出し、垂直タイミング調整器に対して調整を指示することにより、垂直方向のずれが空間的に0に近づくように調整する技術が開示されている。このように調整することで、左右カメラ間でずれのない良品質な立体画像を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のような画角の異なるカメラを搭載した車載用ステレオカメラにおいて、シャッタ方式としてローリングシャッタ方式を採用した場合、車載用ステレオカメラの左右のカメラで走査タイミングがずれてしまうという問題がある。
【0006】
より詳細には、ローリングシャッタ方式は、センサ内の画素を順に走査する方式である。このため、左右のカメラの画角(走査する画素の量)が異なる場合、同時に走査を開始しても、走査中にタイミングのずれが生じてしまう。このように走査中にタイミングのずれが生じてしまうと、同じ対象物が左右で異なるタイミングで撮像されることになり、距離情報への誤差が発生することになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画角の異なる左右の撮像部で発生する走査タイミングのずれを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第1撮像部と、前記第1撮像部と解像度が異なるローリングシャッタ方式の撮像素子を有する第2撮像部と、前記第1撮像部で撮像された第1撮像画像における任意の領域と前記第2撮像部で撮像された第2撮像画像における任意の領域とにおける、前記第1撮像部と前記第2撮像部との走査完了タイミングのずれである遅延時間分だけ、前記第1撮像部と前記第2撮像部とのいずれか一方について走査開始タイミングを遅延させる遅延指示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画角の異なる左右の撮像部で発生する走査タイミングのずれを軽減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる撮像装置の構成を示す概要平面図である。
図2図2は、第1撮像部および第2撮像部の構成を示す概要平面図である。
図3図3は、撮像装置の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、補正部における倍率調整とトリミングの一例を示す図である。
図5図5は、撮像装置の距離計測例を示す図である。
図6図6は、Z軸を光軸方向として配置した場合における第1撮像部及び第2撮像部の水平画角の一例を示す図である。
図7図7は、Z軸を光軸方向として配置した場合における第1撮像部及び第2撮像部の垂直画角の一例を示す図である。
図8図8は、第1撮像部の撮像素子及び第2撮像部の撮像素子における走査タイミングの差を例示的に示す図である。
図9図9は、被写体に対する前後ラインにおける走査タイミングの差を例示的に示す図である。
図10図10は、被写体に対する走査タイミングが第1撮像部と第2撮像部とでずれている場合について示す図である。
図11図11は、第1撮像部と第2撮像部とでの被写体に対する走査タイミングの差をゼロに近づける場合について示す図である。
図12図12は、走査タイミングを遅延させた例を示す図である。
図13図13は、第2の実施の形態にかかる撮像装置の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
図14図14は、消失点を例示的に示す図である。
図15図15は、消失点から遅延時間反映を行う処理の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、自動車の物体検出装置に対して実施の形態の撮像装置を設けた例を示す図である。
図17図17は、実施の形態の撮像装置を適用した自動車の物体検出装置の概略構成を示す図である。
図18図18は、実施の形態の撮像装置を適用した自動車の物体検出装置の構成例を示す図である。
図19図19は、実施の形態の撮像装置が設けられた飛行体の上面図である。
図20図20は、実施の形態の撮像装置が設けられた飛行体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、撮像装置およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる撮像装置10の構成を示す概要平面図、図2は、第1撮像部1および第2撮像部2の構成を示す概要平面図である。ステレオ方式の撮像装置10は、被写体を撮像するステレオカメラとしての第1撮像部1と、第2撮像部2とを有している。
【0013】
第1撮像部1と第2撮像部2は、所定の間隔としての基線長B(例えば、60mm)を空けて配置されている。撮像装置10は、走査タイミングを同期して、第1撮像部1及び第2撮像部2により、同一の被写体を撮像することができる。
【0014】
図2に示すように、第1撮像部1および第2撮像部2は、光学レンズ8(8a、8b)と、撮像素子9(9a、9b)と、を備えている。第1撮像部1および第2撮像部2は、ステー部材12によって基線長Bを空けて保持された状態で一体に固定されている。
【0015】
光学レンズ8aは、例えば、焦点距離f:2.5mmのレンズである。光学レンズ8bは、例えば、焦点距離f:5mmのレンズである。
【0016】
第1撮像部1は、広角カメラである。第2撮像部2は、狭角カメラである。すなわち、第1撮像部1と第2撮像部2とは、解像度を異ならせることによって画角が異なるものであり、焦点距離も異なる。
【0017】
第1撮像部1の撮像素子9aは、ローリングシャッタ方式の高解像度のCMOSイメージセンサである。撮像素子9aは、ピクセルピッチppを3μmとする。ローリングシャッタ方式は、センサ内の画素を順に走査する方式である。
【0018】
第2撮像部2の撮像素子9bは、ローリングシャッタ方式の低解像度のCMOSイメージセンサである。撮像素子9bは、ピクセルピッチppを3μmとする。
【0019】
次に、制御系について説明する。
【0020】
撮像装置10は、CPU(Central Processing Unit)などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、制御プログラムを記憶するHDDなどの外部記憶装置とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0021】
撮像装置10のCPUは、制御プログラムを実行することにより、図3に示すような記憶部3と、補正部6と、視差算出部7と、遅延指示部5と、として機能する。
【0022】
なお、本実施形態の撮像装置10で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の撮像装置10で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0023】
また、本実施形態の撮像装置10で実行される制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0024】
図3は、撮像装置10の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、撮像装置10は、記憶部3と、補正部6と、視差算出部7と、遅延指示部5と、を備える。
【0025】
記憶部3は、撮像画像11と、補正画像14と、視差画像15と、遅延時間17と、を記憶する。
【0026】
ここで、第1撮像部1が撮像した撮像画像を「第1撮像画像」という。また、第2撮像部2が撮像した撮像画像を「第2撮像画像」という。また、第1撮像画像及び第2撮像画像を区別しない場合は、単に「撮像画像」という。撮像画像11は、第1撮像画像又は第2撮像画像である。
【0027】
補正部6は、第1撮像画像と第2撮像画像とが見かけ上同じ焦点距離で撮像した画像となるように倍率調整とトリミングを行い、第1撮像部1(第2撮像部2)の位置ずれに起因する第1撮像画像(第2撮像画像)の座標ずれを補正する。
【0028】
上述したように、広角カメラである第1撮像部1と狭角カメラである第2撮像部2とは、解像度を異ならせることによって画角が異なるものであり、焦点距離も異なる。そのため、後述する被写体に対する距離を求めるために焦点距離を合わせる必要がある。補正部6は、焦点距離を合わせるために、倍率調整およびトリミングを行う。
【0029】
図4は、補正部6における倍率調整とトリミングの一例を示す図である。図4においては、広角カメラである第1撮像部1が撮像した撮像画像を第1撮像画像11-1、狭角カメラである第2撮像部2が撮像した撮像画像を第2撮像画像11-2とする。
【0030】
図4においては、第1撮像部1の焦点距離をf、第2撮像部2の焦点距離をfとする。倍率は焦点距離の比率で求められることが知られており、第1撮像画像11-1に対する第2撮像画像11-2の倍率mは、(f/f)となる。そこで、補正部6は、第1撮像画像11-1をm倍で拡大し、第2撮像画像11-2のサイズX,Yと同じサイズX’,Y’にトリミングすることで、第2撮像画像11-2と同じ倍率と画像サイズの第1補正画像14-1を作成する。
【0031】
本実施形態においては、上述したように、第1撮像部1の光学レンズ8aの焦点距離fは2.5mm、第2撮像部2の光学レンズ8bの焦点距離fは5mmである。このような場合には、倍率調整およびトリミングによって、例えば撮像した画像の焦点距離を見かけ上下記のように合わせることになる。
第1撮像部1で撮像した画像の見かけ上の焦点距離:5mm
第2撮像部2で撮像した画像の見かけ上の焦点距離:5mm
【0032】
視差算出部7は、補正部6により第1撮像画像を補正した第1補正画像及び第2撮像画像から視差を算出する。そして、視差算出部7は、当該視差を利用して、撮像画像11の座標の視差の情報を含む視差画像15を生成する。具体的な視差算出方法は、周知の平行等位ステレオカメラと同様である。
【0033】
視差算出部7は、基準となる撮像画像から抽出される特徴点周辺の画像領域と、比較される撮像画像上で1画素単位に対応候補領域をずらしながら相関を計算し、相関最大値付近での相関値を放物線などで補間することにより、画素単位以下の精度で視差を算出する。本実施の形態の視差算出部7は、精度1/10画素以下の視差画像15を生成する。
【0034】
ここで、第1撮像部1及び第2撮像部2による撮像装置10における距離計測原理について説明する。
【0035】
ここで、図5は撮像装置10の距離計測例を示す図である。図5に示すように、第1撮像部1は、光学レンズ8aの焦点距離f、光学レンズ8aの光学中心O、撮像素子9aの撮像面Sとし、Z軸を光軸方向とする。第2撮像部2は、光学レンズ8bの焦点距離f、光学レンズ8bの光学中心O、撮像素子9bの撮像面Sとし、Z軸を光軸方向とする。
【0036】
第1撮像部1及び第2撮像部2は、X軸に対して平行に、基線長B(例えば、60mm)だけ離れた位置に配置される。
【0037】
被写体Aは、第1撮像部1の光学中心Oから光軸方向に距離dだけ離れた位置にあるものとする。
【0038】
第1撮像部1は、被写体Aに対して、直線A-Oと撮像面Sの交点であるPに像を結ぶ。一方、第2撮像部2は、被写体Aに対して、直線A-Oと撮像面Sの交点であるPに像を結ぶ。
【0039】
ここで、第2撮像部2の光学中心Oを通り、直線A-Oと平行な直線と、撮像面Sとの交点をP’とする。また、P’とPの距離をpとする。視差算出部7は、同じ被写体Aの像を第1撮像部1及び第2撮像部2で撮像した画像上での位置のずれ量である距離pを、視差として算出する。そして、視差算出部7は、当該視差を利用して、撮像画像11の座標の視差の情報を含む視差画像15を生成する。
【0040】
図5に示されるように、三角形A-O-Oと、三角形O-P’-Pは相似である。そのため、被写体Aまでの距離dは、下記式のように、基線長B、焦点距離f及び視差pから求めることができる。
d=B×f/p
【0041】
撮像装置10は、上述の各部(第1撮像部1、第2撮像部2、記憶部3、補正部6及び視差算出部7)により、周期的に繰り返して撮像画像の撮像、補正及び視差計算を実行し、視差画像15を生成し続ける。
【0042】
ところで、本実施形態のように、画角(走査する画素の量)の異なる第1撮像部1及び第2撮像部2を搭載した撮像装置10において、シャッタ方式としてローリングシャッタ方式を採用した場合、同時に走査を開始しても、第1撮像部1及び第2撮像部2で走査中にタイミングのずれが生じてしまう、という問題がある。このように走査中にタイミングのずれが生じてしまうと、同じ被写体が左右で異なるタイミングで撮像されることになり、距離情報に誤差が発生することになる。
【0043】
ここで、画角の異なる第1撮像部1及び第2撮像部2を搭載した撮像装置10において、シャッタ方式としてローリングシャッタ方式を採用した場合、距離情報に誤差が発生する例について説明する。
【0044】
ここで、図6はZ軸を光軸方向として配置した場合における第1撮像部1及び第2撮像部2の水平画角の一例を示す図である。図6に示すように、Z軸を光軸方向として配置した場合、広角カメラである第1撮像部1の水平画角は符号1aで表され、狭角カメラである第2撮像部2の水平画角は符号2aで表される。
【0045】
また、図7はZ軸を光軸方向として配置した場合における第1撮像部1及び第2撮像部2の垂直画角の一例を示す図である。図7に示すように、Z軸を光軸方向として配置した場合、広角カメラである第1撮像部1の垂直画角は符号1bで表され、狭角カメラである第2撮像部2の垂直画角は符号2bで表される。
【0046】
また、図8は第1撮像部1の撮像素子9a及び第2撮像部2の撮像素子9bにおける走査タイミングの差を例示的に示す図である。図8は、広角カメラである第1撮像部1の撮像素子9aと、狭角カメラである第2撮像部2の撮像素子9bとの走査タイミングを合わせた場合における、被写体Aに対する走査タイミングの差Δtvを説明するものである。
【0047】
ローリングシャッタ方式の撮像素子9(9a、9b)は、画面上から画面下にかけて、ライン毎に画像の走査を行う。図8に示すように、第1撮像部1の撮像素子9aにおいて被写体Aまで走査する垂直ラインをv1とし、第2撮像部2の撮像素子9bにおいて被写体Aまで走査する垂直ラインをv2とする。図8に示すように、被写体Aまで走査する垂直ライン数は、v1>v2となる。
【0048】
また、図8に示すように、第1撮像部1の撮像素子9aにおけるライン当たりの走査時間をth1とし、第2撮像部2の撮像素子9bにおけるライン当たりの走査時間をth2とする。したがって、第1撮像部1の撮像素子9aにおける被写体Aまでの走査時間tv1は(th1×v1)で表され、第2撮像部2の撮像素子9bにおける被写体Aまでの走査時間tv2は(th2×v2)で表される。
【0049】
すなわち、図8に示すように、第1撮像部1の撮像素子9aにおけるライン当たりの走査時間th1と、第2撮像部2の撮像素子9bにおけるライン当たりの走査時間th2とが異なる場合、被写体Aの走査タイミングにおいては、下記式(1)に示すような時間差Δtvが生じる。
Δtv=tv1-tv2=(th1×v1)-(th2×v2) ・・(1)
【0050】
以下においては、th1<th2となる場合を例に説明する。
【0051】
図9は、被写体Aに対する前後ラインにおける走査タイミングの差を例示的に示す図である。図9は、広角カメラである第1撮像部1の撮像素子9aと、狭角カメラである第2撮像部2の撮像素子9bとの走査タイミングを合わせた場合における、被写体Aに対する前後ラインにおける走査タイミングの差を説明するものである。図9に示すように、第1撮像部1の撮像素子9aにおけるライン当たりの走査時間th1と、第2撮像部2の撮像素子9bにおけるライン当たりの走査時間th2とが、th1<th2の関係であるため、走査を進める毎に被写体Aの走査タイミングの時間差Δtvが小さくなる。
【0052】
ここで、被写体Aに対する走査タイミングが第1撮像部1と第2撮像部2とでずれている場合に発生する問題を説明する。
【0053】
図10は、被写体Aに対する走査タイミングが第1撮像部1と第2撮像部2とでずれている場合について示す図である。図10は、第1撮像部1の撮像面S’、第2撮像部2の撮像面S’として、第1撮像部1が被写体Aを撮像後、時間Δthの間に、被写体Aが左方向に距離gの移動をした場合、第2撮像部2は移動後の被写体Aを撮像することを示している。そして、図10に示すように、結果として、視差が大きくなり、実際の被写体Aの距離より近い、被写体A’の位置の距離d’が求められる。
【0054】
なお、上述したように、焦点距離を合わせるトリミングを行った後の光学レンズ8(8a、8b)の見かけ上の焦点距離fを5mm、第1撮像部1と第2撮像部2の間隔である基線長Bを60mm、ピクセルピッチppを3μmとする。
【0055】
また、第1撮像部1の1ライン当たりの走査時間th1を20μs、被写体Aまで走査するライン数tv1を480、第2撮像部2の1ライン当たりの走査時間th2を50μs、被写体Aまで走査するライン数tv2を240とする。
【0056】
被写体Aにおける走査タイミングの差Δtvは、上記式(1)から-2.4msとなる。
【0057】
ここで、被写体Aまでの距離dを30m、被写体Aが速度60km/hで左に移動している場合を想定する。
【0058】
第1撮像部1が被写体Aを走査後、第2撮像部2が被写体Aを撮像するまでの2.4msの間に、被写体Aが移動する距離gは、
g=60km/h×2.4ms=0.04m
となる。
【0059】
ここで、距離gだけ移動したことによる視差の増分をGとする。また、三角形A-A-Oと三角形O-P-P’は相似である。そのため、視差の増分Gは、下記式により、約2.2画素となる。
G=(((f×g)/d))/pp
【0060】
ところで、本来の被写体Aへの距離30mに対する視差値pは、三角形A-O-Oと、三角形O-P’-Pが相似である関係から、P=((B×f)/d)/ppとして、約3.3画素である。このため、視差値p’は、約5.5画素となる。
【0061】
ここで、図10に示すように、三角形A’-O-Oと、三角形O-P’-Pは相似である。そのため、d’=B×f/(p’×pp)であり、被写体A’への距離d’は約18mとなる。
【0062】
つまり、撮像装置10は、実際には距離30mに存在している被写体Aを、18mの距離にあるように計測する。自車両が走行しており制動距離が仮に20mであった場合において、撮像装置10を設けた自動車の物体検出装置は、この結果のみから制動距離以内に物体が存在するため衝突すると予測する。すなわち、制御システムは、緊急制動又は回避等の操作が必要と判断してしまう可能性がある。
【0063】
しかしながら、通常、自動車の物体検出装置では、制御開始には複数回の衝突判定を必要とする等のマージンを設けている。そのため、上記の状況では必ずしも誤制御が発生するとは限らないが、ステレオカメラモジュール単体での信頼性が高い方が望ましいのは当然である。このように、広角カメラである第1撮像部1と狭角カメラである第2撮像部2との組み合わせによって、被写体が見かけ上、移動しているように見えてしまう問題が起こりうる。
【0064】
そこで、本実施形態においては、撮像装置10は、走査タイミング調整を行うようにする。具体的には、図3に示すように、撮像装置10は、遅延指示部5を備える。また、図3に示すように、撮像装置10は、記憶部3に遅延時間17を記憶する。
【0065】
遅延指示部5は、詳細は後述するが、記憶部3から遅延時間17を読み出し、第1撮像部1および第2撮像部2の走査開始タイミングの遅延を撮像装置10に指示する。
【0066】
ここで、図11は第1撮像部1と第2撮像部2とでの被写体Aに対する走査タイミングの差をゼロに近づける場合について示す図である。図11においては、広角カメラである第1撮像部1の撮像素子9aと狭角カメラである第2撮像部2の撮像素子9bで、被写体Aにおける走査タイミングの差をゼロに近づけた場合の、走査開始タイミングの遅延時間Δtvを説明する。
【0067】
図8に示されるように、同じ走査タイミングで走査を開始した場合、被写体Aを走査するまでの時間は、第1撮像部1の撮像素子9aでは、
tv1=th1×v1
第2撮像部2の撮像素子9bでは、
tv2=th2×v2
となる。そして、第1撮像部1と第2撮像部2とでの被写体Aに対する走査タイミングのずれΔtvは、
Δtv=tv1-tv2=(th1×v1)-(th2×v2)
であることが分かる。
【0068】
したがって、図11に示されるように、第1撮像部1の撮像素子9aと第2撮像部2の撮像素子9bの走査開始タイミングをΔtv分ずらすことで、被写体Aの走査タイミングずれを軽減することができる。
【0069】
すなわち、撮像装置10は、遅延時間17として、第1撮像部1と第2撮像部2とでの被写体Aに対する走査タイミングのずれΔtvを記憶部3に記憶する。
【0070】
そして、撮像装置10の遅延指示部5は、記憶部3から遅延時間17を読み出し、第1撮像部1および第2撮像部2の走査タイミングの遅延を指示する。
【0071】
図12は、走査タイミングを遅延させた例を示す図である。図12に示すように、撮像装置10の遅延指示部5は、記憶部3から読み出した遅延時間17である走査タイミングのずれΔtvに基づき、広角カメラである第1撮像部1の撮像素子9aの走査タイミングと、狭角カメラの第2撮像部2の撮像素子9bの走査タイミングとの差がゼロに近づくように遅延させる。
【0072】
図12に示す例によれば、第1撮像部1の撮像素子9aにおけるライン当たりの走査時間th1と、第2撮像部2の撮像素子9bにおけるライン当たりの走査時間th2とが、th1<th2の関係であるため、走査を進める毎に走査タイミングの差が大きくなる。しかしながら、図12に示す例によれば、図9に示した例と比較して、被写体Aの前後のラインの走査タイミングずれが軽減している。
【0073】
このように本実施形態によれば、解像度が異なる撮像素子を持つ広角カメラ(第1撮像部1)および狭角カメラ(第2撮像部2)の走査開始タイミングに際して、予め、左右の撮像素子の走査完了タイミングの差から、一方の撮像素子を走査完了タイミングのずれ時間分遅延させ、任意の領域(同一の被写体が存在する領域)で左右の撮像素子の走査するタイミングが同一となるように、撮像素子の走査開始トリガを変更する。これにより、画角の異なる左右の撮像部で発生する走査タイミングのずれを軽減することができる。
【0074】
なお、上記説明では、被写体Aの場合を例にして説明したが、走査タイミングずれを軽減する対象を任意の領域に合わせてもよいことはいうまでもない。
【0075】
また、上記説明では、th1<th2となる場合を例に説明したが、th1>th2となる場合でも被写体Aの走査タイミングにΔtvの時間差が生じ、第1撮像部1の撮像素子9aと第2撮像部2の撮像素子9bの走査開始タイミングをΔtv分ずらすことで、被写体Aを走査タイミングのずれを軽減することができる。
【0076】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、撮像画像における任意の領域として同一の被写体が存在する領域を適用するようにしたが、第2の実施形態では、撮像画像における任意の領域として撮像画像上で静止物体が移動する方向が収束する消失点が存在する領域を適用する点が、第1の実施形態と異なる。以下、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施形態と異なる箇所について説明する。
【0077】
図13は、第2の実施の形態にかかる撮像装置10の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。図13に示すように、撮像装置10は、図3に示した撮像装置10に対して、消失点の検出などを行う消失点検出部4をさらに備える。
【0078】
ここで、消失点について説明する。
【0079】
図14は、消失点を例示的に示す図である。図14に示す例は、広角カメラである第1撮像部1と狭角カメラである第2撮像部2とについて、光軸方向をZ軸に対して俯角を付けて配置した場合を示すものである。この場合、広角カメラである第1撮像部1の垂直画角は符号1cで表され、狭角カメラである第2撮像部2の垂直画角は符号2cで表される。
【0080】
トラックなど車高の高い車両ではカメラ取付位置が高くなり、近方側の路面の映り込みが減ることから、図14に示すように、俯角を付けることで路面が映り込むようにすることが考えられる。
【0081】
通常、車輌制御システムでの衝突判定は、進行方向の物体に対して行う。このため、図14に示すように、撮像装置10の進行方向D上に映る被写体Aに対して、走査タイミングを合わせることが重要になる。
【0082】
図14に示すように、撮像装置10の進行方向D上に映る被写体Aは、撮像画像上で静止物体が移動する方向が収束する消失点と同じ位置に映ることになる。そのため、撮像装置10は、撮像画像上の消失点に走査タイミングを合わせるようにすればよい。
【0083】
消失点検出部4は、第1撮像部1が撮像した第1撮像画像11-1と、第2撮像部2が撮像した第2撮像画像11-2を読み出し、消失点を検出する。撮像画像からの消失点検出方法は、例えば、下記の文献に記載のような手法が知られている。
文献:山本宗・金子邦彦(2011). 移動カメラ画像データベースからの消失点軌跡推定処理のMapReduceによる並列化,3-4.https://db-event.jpn.org/deim2011/proceedings/pdf/e9-2.pdf
【0084】
そして、消失点検出部4は、第1撮像部1、第2撮像部2の撮像画像上の消失点における走査タイミングが一致する遅延時間を、記憶部3に対して遅延時間17として書き込む。
【0085】
なお、上記説明では、撮像画像上の消失点を使用して車両進行方向を検出することを説明したが、これに限るものではなく、撮像画像上の消失点以外を使用して車両進行方向を検出するようにしてもよい。
【0086】
次に、消失点検出部4が消失点から遅延時間反映を行う処理について詳述する。
【0087】
図15は、消失点から遅延時間反映を行う処理の流れを示すフローチャートである。図15に示すように、消失点検出部4は、第1撮像部1が撮像した第1撮像画像11-1を読み出し、消失点F1を検出する(ステップS1)。
【0088】
次に、消失点検出部4は、第2撮像部2が撮像した第2撮像画像11-2を読み出し、消失点F2を検出する(ステップS2)。
【0089】
なお、第1撮像部1の消失点F1の検出と、第2撮像部2の消失点F2の検出とは、並列に処理してもよい。
【0090】
次に、消失点検出部4は、消失点F1の垂直ライン数v1、消失点F2の垂直ライン数v2から、走査タイミングの遅延時間Δtvを算出する(ステップS3)。
Δtv=tv1-tv2=(th1×v1)-(th2×v2)
【0091】
そして、消失点検出部4は、走査タイミングの遅延時間Δtvを記憶部3に対して遅延時間17として書き込む(ステップS4)。
【0092】
このように本実施形態によれば、解像度が異なる撮像素子を持つ広角カメラ(第1撮像部1)および狭角カメラ(第2撮像部2)の走査開始タイミングに際して、予め、左右の撮像素子の走査完了タイミングの差から、一方の撮像素子を走査完了タイミングのずれ時間分遅延させ、任意の領域(静止物体が移動する方向が収束する消失点が存在する領域)で左右の撮像素子の走査するタイミングが同一となるように、撮像素子の走査開始トリガを変更する。これにより、画角の異なる左右の撮像部で発生する走査タイミングのずれを軽減することができる。
【0093】
(実施例)
(自動車への適用例)
次に、上記各実施形態の撮像装置10は、ロボット装置、自動車、飛行体又は船舶等の移動体に設けることができる。以下、移動体に対して撮像装置10を適用した適用例を説明する。
【0094】
まず、図16は、自動車の物体検出装置に対して実施の形態の撮像装置10を設けた例を示す図である。この図16に示すように、撮像装置10を備えた物体検出装置は、自動車のフロントガラス等に設けられ、進行方向前側の所定の撮像範囲の歩行者、道路標識、路面、先行車両、ガードレール等を撮像する。撮像装置10は、上述のようにステレオカメラの構成を有しており、左目視界と右目視界の2つの画像を撮像する。
【0095】
図17は、物体検出装置の概略的な構成を示す図である。物体検出装置は、撮像装置10で撮像した2つの画像を車両ECU(Engine Control Unit)50に対して出力する。車両ECU50は、撮像装置10からの各画像に基づいて視差画像を解析し、この解析結果に基づいて、例えば自動車のエンジン制御、制動制御、及び走行レーンキープアシスト、操舵アシスト等の制御を行う。
【0096】
図18は、物体検出装置の構成を示す図である。この図18に示すように、第1撮像部1および第2撮像部2を備えた撮像装置10は、画像処理装置30に接続される。第1撮像部1および第2撮像部2は、それぞれレンズ8a,8b、撮像素子9a,9b、及びセンサコントローラ23a,23bを備えている。センサコントローラ23は、各撮像素子9a,9bの例えば露光制御、画像読み出し制御、外部回路との通信、及び画像データの送信制御等を行う。
【0097】
画像処理装置30は、例えば図17に示した車両ECU50内に設けられる。画像処理装置30は、例えばデータバスライン300、シリアルバスライン302、CPU(Central Processing Unit)304、FPGA(Field-Programmable Gate Array)306、ROM(Read Only Memory)308、RAM(Random Access Memory)310、シリアルIF(Interface)312、及びデータIF(Interface)314を有する。
【0098】
撮像装置10は、データバスライン300及びシリアルバスライン302を介して画像処理装置30と接続されている。CPU304は、画像処理装置30全体の動作を制御し、画像処理及び画像認識処理を実行する。第1撮像部1および第2撮像部2それぞれの撮像素子9a,9bで撮像された撮像画像は、データバスライン300を介して画像処理装置30のRAM310に書き込まれる。CPU304又はFPGA306からのセンサ露光値の変更制御データ、画像読み出しパラメータの変更制御データ、及び各種設定データ等は、シリアルバスライン302を介して送受信される。
【0099】
FPGA306は、RAM310に保存された画像データに対してリアルタイム性が要求される処理である、例えばガンマ補正、ゆがみ補正(左右画像の平行化)、ブロックマッチングによる視差演算を行って上述の視差画像を生成し、RAM310に再度書き込む。なお、視差画像は、物体の縦方向位置、横方向位置、及び、奥行方向位置が対応付けられた情報となっている。
【0100】
CPU304は、撮像装置10の各センサコントローラ23a,23bの制御、及び画像処理装置30の全体的な制御を行う。CPU304は、データIF314を介して、例えば自車両のCAN(Controller Area Network)情報をパラメータ(車速、加速度、舵角、ヨーレート等)として取得する。
【0101】
先行車両、人間、ガードレール、路面等の物体の認識データである車両制御データは、シリアルIF312を介して、車両ECU50に供給され、車両ECU50の制御機能として設けられた例えば自動ブレーキシステム又は走行アシストシステム等で用いられる。自動ブレーキシステムは、自動車のブレーキ制御を行う。また、走行アシストシステムは、自動車の走行レーンキープアシスト及び操舵アシスト等を行う。
【0102】
(飛行体への適用例)
次に、図19及び図20は、飛行体に対する実施の形態の撮像装置10の設置例を示す図である。図19は、実施の形態の撮像装置が設けられた飛行体の上面図を、図20は、実施の形態の撮像装置が設けられた飛行体の正面図を示している。この図19及び図20に示すように、飛行体は、フレーム101、駆動装置102、回転翼103及び脚部104を有する遠隔操作可能な飛行体である。また、飛行体は、被写体となる対象物の静止画像又は動画像を撮像する撮像装置10を有する。
【0103】
フレーム101は、例えば図19に示すように、ウエブ部101aと、ウエブ部101aの両端部に配置されたフランジ部101bとが平面視においてH型の形状となるように配置されている。なお、フレーム101の形状はこの限りではない。例えば、フレーム101は、飛行体の中心から放射状に伸び、互いに直角をなすようにX字状に設けられた4本のアームを有する構成としてよい。また、フレーム101は、駆動装置102と回転翼103の数だけ中心から放射状にアームが伸びた構造等でもよい。
【0104】
駆動装置102は、回転翼103を回転させるモータである。一例として、駆動装置102としては、ブラシレスモータを用いることができる。駆動装置102は、2本のフランジ部101bの先端部にそれぞれ取り付けられ、回転翼103の回転軸と連結されている。各駆動装置102は、制御装置100により、互いに独立して制御される。
【0105】
回転翼103は、各駆動装置102にそれぞれに取り付けられており、駆動装置102が駆動されることで回転する。回転翼103は、各駆動装置102の駆動が独立して制御されることで、その回転速度が調整される。なお、図19には、飛行体は、4つの回転翼103を有することとして図示したが、回転翼103は、3つ以上であれば飛行体として安定した飛行が可能である。さらには、回転翼103は、4つ、6つ、8つのような偶数分設けることが好ましい。また、回転翼103は、図19及び図20に示すように、略同一平面上に複数の回転翼103を配置した形態に限定されるものではなく、略同一平面上に配置された複数の回転翼103が多段に積層される形態でもよい。
【0106】
脚部104は、フレーム101の略中央位置の下面と連結されている。脚部104は、下側部が逆V字形状に形成されており、飛行体が地面に着陸した際の衝撃等から飛行体を保護する。
【0107】
制御装置100は、例えばフレーム101のウエブ部101a内に設けられている。制御装置100は、目的に応じて飛行体に設けられた各種センサからの信号、及び、外部から送信される操作信号に応じて各駆動装置102等を制御する。
【0108】
また、制御装置100は、各駆動装置102の駆動を独立して制御することで各回転翼103の回転速度を独立に制御し、飛行体の上昇、下降、前進、後退の他、ヨー軸(Z軸)周りの回転、及び、空中へ移動してホバリング(停止飛行)等の動作を制御する。また、制御装置100は、飛行体の姿勢を左右に傾けることで、前進及び後退と同様に飛行体を左右方向に移動制御する。
【0109】
撮像装置10は、フレーム101のウエブ部101aを介して伝達される振動を吸収するスペーサを介してウエブ部101a上に設けられている。これにより、フレーム101及びウエブ部101aの振動が、構造物との間の距離の測定に与える影響を軽減することができる。また、後述するが、撮像装置10の支持部材(筐体)は、繊維の方向を調整した炭素繊維強化プラスチック部材(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)で形成されている。
【0110】
これにより、撮像装置10は、風及び接触等の直接的な外的要因で加わる、例えば撓み、ねじれ、伸び等の外的負荷の影響を軽減するようになっている。このため、撮像装置10は、上述のスペーサ及び繊維の方向を調整したCFRPにより、測定対象(物体)を高精度で測定可能となっている。
【0111】
このような撮像装置10は、飛行体の周囲を撮像する。一例として、撮像装置10は、撮像素子9を備えた、いわゆるステレオカメラ装置となっている。撮像装置10は、フレーム101のウエブ部101aに固定されている。撮像装置10は、飛行体が地面と平行となる水平飛行時に光軸が水平になるように、ウエブ部101aに設けられている。また、撮像装置10は、撮像方向が、飛行体の前進方向に一致するように、ウエブ部101aに設けられている。
【0112】
なお、撮像装置10を複数設けることで、飛行体の周囲の全天球(360°)パノラマ画像を撮像可能としてもよい(全天球カメラ装置)。
【0113】
このように実施の形態の撮像装置10は、自動車、飛行体等の移動体に設けることができる。また、工業用のロボット等にも適用可能である。いずれの場合も、上述と同様の効果を得ることができる。
【0114】
このような新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
1 第1撮像部
2 第2撮像部
4 消失点検出部
5 遅延指示部
10 撮像装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【特許文献1】特許第5683025号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16
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図18
図19
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