(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143399
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】検眼システム、及び検眼方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20220926BHJP
A61B 3/135 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61B3/14
A61B3/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043880
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】517208953
【氏名又は名称】株式会社MITAS Medical
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 直史
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA03
4C316AA06
4C316AA07
4C316AA08
4C316AA09
4C316AB16
4C316AB19
4C316FB07
4C316FB22
4C316FB26
4C316FC02
4C316FC04
4C316FC14
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】検眼装置から遠隔の情報処理装置等へと、診察に有用な画像データのみを選択して送信することで、検眼装置のスペックや通信環境に依存しない、精度の高い遠隔診療を実現する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備え、携帯端末装置3Bは、被検眼を検眼ユニットを介して撮像する撮像部36と、撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るフレームと、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じるオレンジライトと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じるホワイトライトと、を検出する画像処理部31eと、フレーム、オレンジライト、及びホワイトライトを検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部31fと、選択されたフレームを情報処理装置に送信する送信部31cとを備える検眼システムである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像する撮像部と、
前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、特定画像とを検出する画像処理部と、
前記カメラフレーム、前記特定画像を検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部と、
前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信する第1送信部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記フレームを受信する受信部と、
前記フレームを解析する画像解析部と、
前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行う判定部と、
前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する第2送信部と、を備えた
検眼システム。
【請求項2】
検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像する撮像部と、
前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出する画像処理部と、
前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部と、
前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信する第1送信部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記フレームを受信する受信部と、
前記フレームを解析する画像解析部と、
前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行う判定部と、
前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する第2送信部と、を備えた
検眼システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、特定画像を含まれているかどうかを更に検出し、
前記フレーム選択部は、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像に加えて、前記特定画像を検出した画像のフレームを選択する
請求項2に記載の検眼システム。
【請求項4】
前記検眼装置の検眼ユニットは、
前記携帯端末装置が当接される平板と、
前記平板に配設された当接ユニットと、
前記平板に配設された撮影光学系と、
前記平板に配設された照明ユニットと、を備え、
前記当接ユニットは、被検眼に対する前記撮影光学系の焦点距離を規定する
請求項2又は請求項3に記載の検眼システム。
【請求項5】
検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置と、医師の端末装置とを備えた検眼システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像する撮像部と、
前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出する画像処理部と、
前記フレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部と、
前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信する第1送信部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記フレームを受信する第1受信部と、
前記フレームを解析する画像解析部と、
前記解析の結果を前記医師の端末装置に送信する第2送信部と、を備え、
前記医師の端末装置は、
前記解析の結果を受信する第2受信部と、
前記解析の結果を表示する表示部と、
診断の結果を前記情報処理装置に送信する第3送信部と、を備え、
前記情報処理装置では、前記医師の端末装置から診断の結果を前記第1受信部が受信すると、前記第2送信部が前記診断の結果を前記携帯端末装置に転送する
検眼システム。
【請求項6】
検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムによる方法において、
前記携帯端末装置では、
撮像部が、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、
画像処理部が、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、特定画像とを検出し、
フレーム選択部が、前記カメラフレーム、前記特定画像を検出した画像のフレームを選択し、
第1送信部が、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置では、
受信部が、前記フレームを受信し、
画像解析部が、前記フレームを解析し、
判定部が、前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行い、
第2送信部が、前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する、
検眼方法。
【請求項7】
検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムによる方法において、
前記携帯端末装置では、
撮像部が、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、
画像処理部が、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出し、
フレーム選択部が、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択し、
第1送信部が、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置では、
受信部が、前記フレームを受信し、
画像解析部が、前記フレームを解析し、
判定部が、前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行い、
第2送信部が、前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する、
検眼方法。
【請求項8】
前記画像処理部は、特定画像を含まれているかどうかを更に検出し、
前記フレーム選択部は、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像に加えて、前記特定画像を検出した画像のフレームを選択する
請求項7に記載の検眼方法。
【請求項9】
前記検眼装置の検眼ユニットは、
前記携帯端末装置が当接される平板と、
前記平板に配設された当接ユニットと、
前記平板に配設された撮影光学系と、
前記平板に配設された照明ユニットと、を備え、
前記当接ユニットは、被検眼に対する前記撮影光学系の焦点距離を規定する
請求項7又は請求項8に記載の検眼方法。
【請求項10】
検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置と、医師の端末装置とを備えた検眼システムによる方法において、
前記携帯端末装置では、
撮像部が、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、
画像処理部が、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出し、
フレーム選択部が、前記フレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択し、
第1送信部が、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置では、
第1受信部が前記フレームを受信し、
画像解析部が、前記フレームを解析し、
第2送信部が、前記解析の結果を前記医師の端末装置に送信し、
前記医師の端末装置では、
第2受信部が、前記解析の結果を受信し、
表示部が、前記解析の結果を表示し、
第3送信部が、診断の結果を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置では、前記医師の端末装置から診断の結果を前記第1受信部が受信すると、前記第2送信部が前記診断の結果を前記携帯端末装置に転送する
検眼方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置との組み合わせで用いられる小型且つ軽量の携帯用の検眼装置を用いた技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検眼装置としては、その検眼、診察の目的に合わせて、多種多様なものが存在している。その一例として、眼科診察の基本となる検査器具として、スリット状の照明光斑を被検者の眼に投影する細隙灯を用いた細隙灯顕微鏡が一般に用いられている。
【0003】
このような細隙灯顕微鏡によれば、被検眼への照明方法に多様性を持たせることで、種々の病変部位の観察が可能となる。すなわち、被検者の眼に対して細隙灯の光源からの光を角度、色、幅を変えながら照射することで、外眼部(眼瞼、結膜、強膜)、前眼部(角膜、前房、水晶体)、前部硝子体及び眼底構造の異常を把握できる。
【0004】
ここで、例えば特許文献1では、被検眼の広域の画像を取得することが可能な細隙灯顕微鏡が開示されている。この特許文献1の細隙灯顕微鏡は、照明系と撮影系とを含み、照明系は照明合焦機構を含み、照明系は被検眼を細隙光で照明する。そして、照明合焦機構は細隙光のフォーカス位置を変更するために用いられ、撮影系は被検眼からの細隙光の戻り光を撮像装置に導く役割を担う。
【0005】
一方、検眼の診察等を遠隔のサーバ装置や、医師の端末により実施する場合には、検眼装置からサーバ装置へと撮影画像を送信する必要があるが、撮影に関わる全ての画像データを転送する場合、その通信負荷が問題となっていた。
【0006】
このような通信負荷の軽減を図るべく、例えば特許文献2では、生体組織の特性を測定し、映像情報に変換して表示する医療機器と、ネットワークを構成する複数の通信経路から少なくとも二つの通信経路を選択するルーターを有し、映像情報を、ネットワークを経由して伝送する機能を有した医療端末において、ルーターは、複数の通信経路の通信状況に応じて、映像情報を分割し、少なくとも二つの通信経路に伝送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-159073号公報
【特許文献2】特開2008-142150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された細隙灯顕微鏡は、据え置き型の装置であり、装置全体のサイズや重量が大きく、携帯には好適ではなかった。
【0009】
さらに、特許文献2に開示された技術では、検眼のために有用な画像のみを選別してサーバ装置等に送ることはなされていなかった。
【0010】
近年、在宅患者が増加していることや、眼科医が存在しない自治体が数百以上あることから、在宅や僻地医療において総合診療医や救急医が眼科症状を訴える患者を診察する場面も増えている。その場合、医療現場にて、検眼装置により被検眼の撮影を行い、その画像データを遠隔のサーバ装置等に送信して診断を仰ぐことになるが、検眼装置とサーバ装置との間の通信負荷を軽減しつつ、診察に有用な画像データを選別して遠隔のサーバ装置等に送信することは、通信環境の整備されていない医療現場での診察を実施する上では極めて重要である。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、検眼装置から遠隔の情報処理装置等へと、診察に有用な画像データのみを選択して送信することで、検眼装置のスペックや通信環境に依存しない、精度の高い遠隔診療を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る検眼システムは、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムにおいて、前記携帯端末装置は、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像する撮像部と、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、特定画像とを検出する画像処理部と、前記カメラフレーム、前記特定画像を検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部と、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信する第1送信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記フレームを受信する受信部と、前記フレームを解析する画像解析部と、前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行う判定部と、前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する第2送信部と、を備えた。
【0013】
本発明の第2の態様に係る検眼システムは、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムにおいて、前記携帯端末装置は、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像する撮像部と、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出する画像処理部と、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部と、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信する第1送信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記フレームを受信する受信部と、前記フレームを解析する画像解析部と、前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行う判定部と、前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する第2送信部と、を備える。
【0014】
本発明の第3の態様に係る検眼システムは、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置と、医師の端末装置とを備えた検眼システムにおいて、前記携帯端末装置は、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像する撮像部と、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出する画像処理部と、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択するフレーム選択部と、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信する第1送信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記フレームを受信する第1受信部と、前記フレームを解析する画像解析部と、前記解析の結果を前記医師の端末装置に送信する第2送信部と、を備え、前記医師の端末装置は、前記解析の結果を受信する第2受信部と、前記解析の結果を表示する表示部と、診断の結果を前記情報処理装置に送信する第3送信部と、を備え、前記情報処理装置では、前記医師の端末装置から診断の結果を前記第1受信部が受信すると、前記第2送信部が前記診断の結果を前記携帯端末装置に転送する。
【0015】
本発明の第4の態様に係る検眼方法は、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムによる方法において、前記携帯端末装置では、撮像部が、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、画像処理部が、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、特定画像とを検出し、フレーム選択部が、前記カメラフレーム、前記特定画像を検出した画像のフレームを選択し、第1送信部が、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置では、受信部が、前記フレームを受信し、画像解析部が、前記フレームを解析し、判定部が、前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行い、第2送信部が、前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する。
【0016】
本発明の第5の態様に係る検眼方法は、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置とを備えた検眼システムによる方法において、前記携帯端末装置では、撮像部が、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、画像処理部が、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出し、フレーム選択部が、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択し、第1送信部が、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置では、受信部が、前記フレームを受信し、画像解析部が、前記フレームを解析し、判定部が、前記解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行い、第2送信部が、前記判定の結果を前記携帯端末装置に送信する。
【0017】
本発明の第6の態様に係る検眼方法は、検眼ユニットと携帯端末装置からなる検眼装置と、情報処理装置と、医師の端末装置とを備えた検眼システムによる方法において、前記携帯端末装置では、撮像部が、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、画像処理部が、前記撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像と、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像と、を検出し、フレーム選択部が、前記カメラフレーム、前記第1の光像、及び前記第2の光像を検出した画像のフレームを選択し、第1送信部が、前記選択されたフレームを前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置では、第1受信部が前記フレームを受信し、画像解析部が、前記フレームを解析し、第2送信部が、前記解析の結果を前記医師の端末装置に送信し、前記医師の端末装置では、第2受信部が、前記解析の結果を受信し、表示部が、前記解析の結果を表示し、第3送信部が、診断の結果を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置では、前記医師の端末装置から診断の結果を前記第1受信部が受信すると、前記第2送信部が前記診断の結果を前記携帯端末装置に転送する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検眼装置から遠隔の情報処理装置等へと、診察に有用な画像データのみを選択して送信することで、検眼装置のスペックや通信環境に依存しない、精度の高い遠隔診療を実現する技術を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る検眼システムの構成図である。
【
図4】同システムの検眼装置の構成要素である携帯端末装置側の構成図である。
【
図6】同システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】フレーム選択の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】同システムによる他の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0021】
図1には、本発明の実施形態に係る検眼システムの構成を示し説明する。
【0022】
同図に示されるように、本発明の実施形態に係る検眼システムは、情報処理装置1と、検眼装置3とを備える。これに、医師等の端末装置2を加えて、検眼システムとすることもできる。情報処理装置1、端末装置2、及び検眼装置3は、インターネット等の通信網4を介して無線又は有線で通信自在に接続されている。詳細は後述するが、検眼装置3は、検眼ユニット3Aと携帯端末装置3Bで構成されている。情報処理装置1は、物理的に1又は複数のサーバ装置や、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ等で構成されている。携帯端末装置3Bは、スマートフォンやタブレット端末等で構成されている。
【0023】
このような構成において、検眼装置3では、被検眼を、前記検眼ユニットを介して撮像し、撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像としてのホワイトライトと、検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像としてのオレンジライトと、を検出し、カメラフレーム、オレンジライト、及びホワイトライトを検出した画像のフレームを選択し、選択されたフレームを情報処理装置1に送信する。情報処理装置1では、フレームを受信し、フレームを解析し、解析されたフレームに基づいて検眼に係る判定を行い、判定の結果を検眼装置3に送信する。あるいは、情報処理装置1は、受信したフレームに基づいてHTML形式等の表示データを生成し、表示データを医師の端末装置2に送信し、医師による診察を促す。そして、医師等の端末装置2からの診察結果を受信し、検眼装置3に転送する。
【0024】
このように、この検眼システムによれば、医師等が存在していない環境においても、乳幼児の保護者等が操作することで、被検眼について自動判定、あるいは遠隔の医師による診断を受けることが可能となる。その際、自動判定、あるいは診察に好適なフレームだけを選択して、検眼装置3から情報処理装置1に送信されるので、通信環境や装置のスペックに影響を受けることがない。
【0025】
図2には、検眼システムの情報処理装置の構成を示し説明する。
【0026】
同図に示されるように、情報処理装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。制御部11と、通信部12と、記憶部13とは、バスラインを介して通信可能に接続されている。これら構成のほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。
【0027】
通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、医師等の端末装置2、及び検眼装置3との間で通信を行う通信インタフェースである。一方、記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、又は光ディスク装置等で実現される。記憶部13は、制御部11で実行されるプログラム、被検者情報、検者情報、及び検査結果等を記憶している。
【0028】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で実現され、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することで、例えば、主制御部11a、受信部11b、送信部11c、画像解析部11d、判定部11e、生成部11fとして機能する。なお、制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成されてよい。
【0029】
このような構成において、主制御部11aは、情報処理装置1の全体の制御を司るものであり、診察用の表示データの医師等の端末装置2への送信等を制御する。受信部11bは、通信部12を介して、検眼装置3からの画像データ等を受信し、及び医師等の端末装置2からの診断結果を受信する。画像解析部11dは、受信部11bが受信した画像データを解析する。具体的には、診察に適したフレームだけを更に抽出し、この抽出したフレームに診察で注視すべき箇所等にマーキングを行う等の処理を行う。判定部11eは、解析結果に基づいて、眼科検診の正常/異常の判定を行う。生成部11gは、画像解析部11dによる解析結果に基づいて診察用の表示データを生成する。送信部11cは、通信部12を介して、医師等の端末装置2に診察用の表示データを送信し、検眼装置3に自動判定の結果、あるいは医師等による診断結果を送信する。
【0030】
図3には、検眼システムの端末装置の構成を示し説明する。
【0031】
同図に示されるように、医師等の端末装置2は、制御部21と、通信部22と、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを有する。各部21~25はバスラインを介して通信自在に接続されている。通信部22は、例えばNIC等により実現されるもので、通信網4と有線又は無線で接続されて、情報処理装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部23は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。操作部23と表示部24をタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、又は光ディスク装置等で実現され、制御部21で実行されるプログラムを記憶している。
【0032】
制御部21は、CPUやMPU等で実現される。制御部21は、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、例えば、主制御部21a、受信部21b、送信部21c、及び閲覧部21dとして機能する。制御部21は、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてよい。
【0033】
このような構成において、主制御部21aは、端末装置2全体の制御を司る。受信部21bは、情報処理装置1から送られてきたHTML形式等の画面データを受信する。閲覧部21cは、ブラウザ機能を実現するものであり、受信部21bが受信した画面データに基づいて、表示部24に表示を行い、閲覧可能とする。そして、送信部21cは、診断結果などを情報処理装置1に対して送信する。
【0034】
図4には、検眼システムの検眼装置の一部である携帯端末装置の構成を示し説明する。
【0035】
同図に示されるように、携帯端末装置3Bは、制御部31と、通信部32と、操作部33と、表示部34と、記憶部35と、撮像部36とを有する。各部31~36はバスラインを介して通信自在に接続されている。通信部32は、例えばNIC等により実現されるもので、通信網4と有線又は無線で接続されて、情報処理装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部33は、操作ボタン等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部34は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。操作部33と表示部34とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部35は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、又は光ディスク装置等で実現され、制御部31で実行されるプログラムを記憶している。撮像部36は、被検眼を撮影する撮像素子等で構成されている。
【0036】
制御部31は、CPUやMPU等で実現される。制御部31は、記憶部35に記憶されているプログラムを実行することで、例えば、主制御部31a、表示制御部31b、送信部31c、受信部31d、画像処理部31d、及びフレーム選択部32dとして機能する。制御部31は、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてよい。
【0037】
このような構成において、主制御部31aは、検眼装置3全体の制御を司る。表示制御部31bは、情報処理装置1から受信したHTML形式の表示データに基づく表示部34での表示を制御する。送信部31cは、通信部32を介して、選択された画像のフレーム等を情報処理装置1に送信する。受信部31dは、通信部32を介して、情報処理装置1から送られてきた自動判定の結果や検者による診断結果を、通信部32を介して受信する。
【0038】
撮像部36は、被検眼を、前記検眼ユニット3Aを介して撮像する。画像処理部31dは、撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像としてのホワイトライトと、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像としてのオレンジライトと、を抽出する。そして、フレーム選択部31dは、カメラフレーム(撮影領域枠)、オレンジライト、及びホワイトライトを検出した画像のフレームを選択する。なお、画像処理部31dが、特定画像を含まれているかどうかを更に検出し、フレーム選択部31dが、カメラフレーム、オレンジライト、及びホワイトライトに加えて、特定画像を抽出した画像のフレームを選択するようにしてもよいことは勿論である。
【0039】
図5には、本発明の一実施形態に係る検眼システムにおける検眼装置3の構成を示し説明する。
【0040】
これらの図に示されるように、検眼装置3は、検眼ユニット3Aと携帯端末装置3Bとで構成されている。検眼ユニット3Aは、平板102を備える。平板102は、第1平板部102aと当該第1平板部102aの上方で当該第1平板部102aの平面に垂直な方向に延びた第2平板部102bとからなる。第2平板部102bには、支持板103が固着され、当該支持板103の平面上に、照明ユニット104が配設されている。
【0041】
第1平板部102aの被写体方向から見て右側上方には、電源部106が配設されており、当該電源部106には電池が収容されている。この電源部106より、照明ユニット104内の光源に電源が供給されるようになっている。電源部106には、照明の明るさを調整する光源スイッチ113が設けられている。当該光源スイッチ113を回転させることで、照明の明るさを増減することが可能である。
【0042】
支持板103の平面上、被写体方向から見て左側上方には、上部当接ユニット107が配設されている。上部当接ユニット107は、支持板103に対して調整部材により位置決めされる軸部材107a、軸部材107aの先端に回動軸部材107bを中心として回動自在に配設された回動ローラ107cとからなる。
【0043】
一方、第1平面部102aの被写体方向から見て左側上方には、下部当接ユニット108が配設されている。下部当接ユニット108は、支持板105に対して調整部材により位置決めされる軸部材108aと、軸部材108aの先端に回動軸部材108bを中心として回動自在に配設された回動ローラ108cとからなる。
【0044】
この例では、上部当接ユニット107では、軸部107aの先端の上面に回動ローラ107cが回転軸部材107bにより回動自在に保持され、下部当接ユニット108では、軸部108aの先端の下面に回動ローラ108cが回転軸部材108bにより回動自在に保持される。
【0045】
この実施形態では、上部当接ユニット107は、額当てとして、下部当接ユニット108は、頬当てとして機能し、この2点で、被検者に対する撮影光学系109の焦点距離がぶれないように検眼装置3を位置決めすることができる。これにより、組み合わせで用いられる携帯端末装置の撮影機能により、高精度の被検眼撮影が可能となる。検眼の種別に応じて、例えば眼底等を検査する場合においては、支持板103と軸部材107aとの位置関係を調整することで、上部当接ユニット107の長さを調整し、所望とする焦点距離となるように設定することができる。さらに、支持板105と軸部材108aとの位置関係を調整することで、下部当接ユニット108の長さを調整し、所望とする焦点距離となるように設定することができる。眼底の検査の場合には、上部当接ユニット107と下部当接ユニット108の先端の当接位置を結ぶ線上よりも被検眼側の奥に焦点距離が定まるように、調整すればよいことになる。
【0046】
第1平板部102aの被写体側から見て左側上方には、撮影光学系109が配設されている。撮影光学系109は、詳細には、凹レンズと凸レンズの組み合わせ、つまりダブレットで構成されている。かかる構成により色収差が良好に補正される。撮影光学系109の構成は一連に過ぎず、種々の構成を採用することができる。
【0047】
第1平板部102aの被写体側から見て左端、つまり第1平面部102aの左縁略中央には、保持部110が設けられている。保持部110は、略L字形状の保持板110aと、当該保持板110aを第1平板部102aに固定するための調整保持部材110bとからなる。保持板110aは第1の平面が第1平板部102aの平面と当接し、当該第1の平面から垂直に延びた第2の平面が第1平板部102aの後方に向けて突出するような位置関係で、調整保持部材110bにより第1平板部102aに対して位置決され、固定される。調整保持部材110bは、保持板110aの第1の平面に設けられたスリット110c内で相対位置を変えながら、携帯端末装置を保持するのに好適な位置で、第1平板部102aに対して保持板110aを固定する。
【0048】
第1平板部2aの被写体側から見て右端、つまり第1平面部102aの右縁略中央には、保持部111が設けられている。保持部111は、略L字形状の保持板111aと、当該保持板111aを第1平板部102aに固定するための調整保持部材111bとからなる。保持板111aは第1の平面が第1平板部102aの平面と当接し、当該第1の平面から垂直に延びた第2の平面が第1平板部102aの後方に向けて突出するような位置関係で、調整保持部材111bにより第1平板部102aに対して位置決され、固定される。調整保持部材111bは、保持板111aの第1の平面に設けられたスリット111c内で相対位置を変えながら、携帯端末装置を保持するのに好適な位置で、第1平板部102aに対して保持板111aを固定する。
【0049】
第1平板部102aの被写体側から見て下端、つまり第1平面部102aの下縁略中央には、保持部112が設けられている。保持部112は、略L字形状の保持板112aと、当該保持板112aを第1平板部102aに固定するための調整保持部材112bとからなる。保持板112aは第1の平面が第1平板部102aの平面と当接し、当該第1の平面から垂直に延びた第2の平面が第1平板部102aの後方に向けて突出するような位置関係で、調整保持部材112bにより第1平板部102aに対して位置決され、固定される。調整保持部材112bは、保持板112aの第1の平面に設けられたスリット112c内で相対位置を変えながら、携帯端末装置を保持するのに好適な位置で、第1平板部102aに対して保持板112aを固定する。
【0050】
第1平板部102aの上に配設された電源部106の平面上(蓋の上)には、固定部114がネジ114aにより固定されている。第1平板部102aの被写体側から見て左側下方には、固定部115がネジ115aにより固定されている。そして、この2つの固定部114と固定部115により、ベルト部材116の両端がそれぞれ保持されている。このベルト部材116は、本検眼装置3を使用するときに、撮影者が手をベルト部材116と第1平板部102aとの間に挿入することで、安定的な撮影を実現するものである。
【0051】
照明ユニット104は、細隙灯として機能する場合、次の構成となる。即ち、照明ユニット104は、光源として白色LEDを採用し、光源は電源部106に接続される。電源部106は、内部の電池等から光源に電源供給する。光源の出射光の光路上には、不図示のコンデンサレンズ、第1のフィルタ部、第2のフィルタ部、投影レンズ、照明プリズムが、この順に配設される。照明プリズムの出射面には、カラーフィルタが開閉自在に設けられる。
【0052】
光源である白色LEDからの光は、コンデンサレンズにより集光され、第1のフィルタ部及び第2のフィルタ部を介して投影レンズに導かれる。そして、投影レンズで照明プリズムに光が投影され、照明プリズムで前方向に光路が変更され所定の焦点位置に結像される。このとき、照明プリズムの前方に半透明のすりガラスで構成されたフィルタを設置するとディフューザー機能が実現される。フィルタ部としては、カラーフィルタ機能を備えた第1のフィルタ部と、スリットが形成された第2のフィルタ部とを備えてよい。尚、これらを所謂カートリッジ式として、所望とする色(例えば青色)を備えたフィルタや所望とするスリット形状のフィルタをユニットに差し込むだけで交換自在としてもよい。
【0053】
このような構成において、実際に使用する際には、上部当接ユニット107と下部当接ユニット108の長さを調整する。続いて、第1平板部102aの背面(撮影光学系配設面と反対側)に、携帯端末装置を当て付け、保持部110乃至112を調整して、固定する。このとき、携帯端末装置のカメラのレンズが、撮影光学系109の後面に位置付けられるように、位置決めする。尚、保持部110乃至112を備えない構成の場合には、携帯端末装置を第1平板部102aに当て付けながら、被検眼の撮影を行うことになる。
【0054】
以上の位置決めを行った後、光源スイッチ113を回動させて、光源の発光強度を調整する。そして、照明ユニット104の光が被検眼に投光された状態で携帯端末装置のカメラ機能により、撮影光学系109を介して被検眼を撮影する。この撮影時において、上部当接ユニット107は被検者の額に当接され、下部当接ユニット108は被検者の頬に当接されるので、撮影光学系109と被検眼との位置関係が固定され、焦点距離もぶれることなく、高精度の撮影を行うことができる。
【0055】
また、上部当接ユニット107、及び下部当接ユニット108の先端は回動ローラ107c,108cとなっているので、当接した状態からスキャンするように左右に検眼装置を安定的に動かすことができ、照明ユニット104が細隙灯である場合には、据え置き型と同様に、安定的に、即ち焦点距離がぶれることなく、検眼することができる。更に、上記安定的な動きにより、左右検眼を切り替えるときも、回動ローラ107c,108cで安定的に横方向に移動すればよいので、簡便である。
【0056】
以下、
図6のフローチャートを参照して、検眼システムによる処理手順を説明する。
【0057】
処理を開始すると、検眼装置3では、携帯端末装置3Bの撮像部36が、検眼ユニット3Aを介して、被検眼を撮影する(S1)。この例では、動画を撮影することを想定している。撮影に際しては、
図7(a)乃至
図7(d)に示されるような指標に従って、被検眼がカメラフレーム等に収まるように位置合わせした上で、撮影を行う。
【0058】
続いて、検眼装置3の携帯端末装置3Bでは、画像処理部31dは、撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像としてのホワイトライトと、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像としてのオレンジライトと、を抽出する。そして、フレーム選択部31dは、カメラフレーム(撮影領域枠)、オレンジライト、及びホワイトライトを検出した画像のフレームを選択する(S2)。なお、画像処理部31dが、特定画像を含まれているかどうかを更に検出し、フレーム選択部31dが、カメラフレーム、オレンジライト、及びホワイトライトに加えて、特定画像を抽出した画像のフレームを選択するようにしてもよいことは勿論である。このステップS2の処理の詳細については、後に詳述する。
【0059】
検眼装置3の携帯端末装置3Bの送信部31cは、選択された画像のフレームに係るデータを、通信部32を介して、情報処理装置1に送信する(S3)。
【0060】
情報処理装置1では、受信部11bが、選択されたフレームに係る画像データを受信し(S4)、画像解析部11dが、画像データを解析する(S5)。そして、判定部11eが、解析結果に基づいて、被検眼の正常/異常を判定する(S6)。そして、生成部11fが判定結果に係る画面データをHTML形式等で生成し、送信部11cが、判定結果に係る画面データを検眼装置3に送信する(S7)。
【0061】
検眼装置3では、受信部31dが判定結果に係る画面データを受信し(S8)、表示制御部31bの制御の下、表示部34に判定結果が表示される(S9)。こうして検査に関わる一連の処理を終了する。
【0062】
次に、
図8のフローチャートを参照して、フレーム選択の詳細な処理手順を説明する。
【0063】
この処理に入ると、画像処理部31dは、細隙灯より光を被検眼に照射しつつ撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像としてのホワイトライトと、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像としてのオレンジライトと、を抽出する(S51)。
【0064】
カメラフレームの検出については、まず画像全体からカメラフレームを検出し、ガウシアンフィルタで画像上のノイズを除去し、モノクロ画像に変換し、ヒストグラムで画像明度の均一化を図る。そして、Canny変換で輪郭を抽出し、最大半径/最小半径を指定して、ハフ変換による円形の検出を行い、検出された円のうち、中心点が画像全体の中心付近にあるものをカメラフレームとして検出する。
【0065】
ホワイトライトの検出については、HSV画像に変換し、ホワイトのレンジで部分抽出((60 < h) & (h < 135) & (s < 130) & (130 < v))を行い、モーフィングのクローズ/オープンでノイズ除去を行い、ハフ変換で直線を検出する。そして、検出した直線から角度が70~110度の垂直に近いもののみを残し、近接する複数の直線をマージして、一定以上の長さになる直線を残す。なお、ホワイトライトは、オレンジライトとの区別や黒目の脇にある白目部分との判別が難しく、高精度で検出できない場合、参考扱いとしてもよい。
【0066】
オレンジライトの検出については、ガウシアンフィルタでノイズを除去し、HSV画像に変換し、オレンジ光らしき部分を抽出((13 < h) & (h < 35) & (10 < s) & (s < 256) & (160 < v))し、ハフ変換で直線を検出する。そして、検出した直線から角度が70~110度の垂直に近いもののみを残し、近接する複数の直線をマージして、一定以上の長さになる直線を残す。なお、Y軸方向に広いギャップ(角膜サイズとして不自然ではない長さ)が狭まっても、ひとつの直線として更にマージする。
【0067】
このほか、特定画像として、水晶体を検出する場合には、ライトの切れ目周辺画像からコントラストを揃え、特徴点を抽出することで検出する。水晶体らしき色味を指定したいところだが、病状によって水晶体核の色はかなり変わるようなので、ここはあくまでthresholdで検出したものの形状を判断材料にする。水晶体の検出と水晶体皮質部分の検出は、特徴点検出時のヒューリスティック濃度を変える(水晶体=90, 皮=115)ことで行う。これらは厳密に行うことを目的とせず、水晶体らしきものと、皮に相当しそうなものを別々の見方で検出して、両者を見比べることで少しでも判断材料を増やそうとしている。
【0068】
続いて、フレーム選択部31dは、カメラフレームが検出されたかを判断し(S52)、検出された場合には、第1の光像としてのホワイトライトが検出されたかを判断し(S53)、検出された場合には、第2の光像としてのオレンジライトが検出されたかを判断し(S54)、検出された場合には、特定画像が検出されたかを判断する(S55)。そして、カメラフレーム、ホワイトライト、オレンジライト、及び特定画像のすべてが検出された場合に、そのフレームを選択する(S56)。以上の処理を全てのフレームについて実施し(S57)、全てのフレームについて処理を完了すると、
図6のステップS3移行の処理にリターンする。尚、S52~S55で、各検出できなかった場合には、S52に戻り、次のフレームについて上記処理を繰り返すことになる。
【0069】
図9(a)、
図9(b)には、撮影画像におけるカメラフレーム、ホワイトライト、オレンジライトの様子を示している。
図9(a)は検出前の画像の様子であり、ホワイトライト201、オレンジライト202、及び特定画像203が存在する。
図9(b)は、検出後の画像の様子を示しており、ホワイトライト201、オレンジライト202、及び特定画像203が抽出されているのがわかる。
【0070】
以上は、細隙灯により被検眼に光を照射しつつ撮影した画像の解析に関わる処理手順であったが、細隙灯の光の照射により得られる所謂スリット画像に代えて、広角の照明光の照射による被検眼での拡散光像(diffuse画像ともいう)を取得し、診断に用いるケースでは、カメラフレームが検出でき、画像が所定のシャープさを備え、角膜、瞳孔などの特定画像の抽出ができた画像のフレームだけを選択するようにしてもよいことは勿論である。
【0071】
ここで、拡散光像の取得による角膜、瞳孔の検出、ならびに結膜周辺の見え方の判断について詳細に説明する。
【0072】
先ず、画像全体からカメラフレームを検出するが、その詳細は先に説明した通りである。続いて、角膜と瞳孔の検出を行う。
【0073】
角膜候補のリストアップを行い、ガウシアンフィルタでノイズ除去を行い、モーフィングのクローズ/オープンで更にスポットなどを除去し、Cannyで輪郭を抽出して、半径を一定範囲で指定し、ハフ変換で円形に見えるものを抽出し、検出した候補をスタックする。続いて、瞳孔候補のリストアップを行い、ガウシアンフィルタでノイズ除去を行い、モーフィングのクローズ/オープンで更にスポットなどを除去し、Cannyで輪郭を抽出して、半径を一定範囲で指定し、ハフ変換で円形に見えるものを抽出し、検出した円形を切り出し、ガウシアンフィルタで更にノイズを散らし、切り出した画像をHSV変換し、明度が100以下の暗い色合いの占める割合が25%に満たないものは除去して、残された候補をスタックする。こうして、角膜、瞳孔の特定を行い、一つの組み合わせに特定し、角膜、瞳孔候補から中心をほぼ同じくする同心円の関係にある組み合わせを探索し、複数存在する場合、カメラ中心位置にできるだけ近いものを残す。
【0074】
続いて、結膜周辺の見え方を判断する。基本的に、前述した処理により角膜と瞳孔が検出できていなければ、処理を行わない。検出できている場合、まず結膜の見えている面積を計測し、ガウシアンフィルタでノイズを除去し、角膜を白い円で塗りつぶし、画像をHSV変換し、輝度の高い白色に近いエリアを二極抽出し、輪郭抽出し、一定以上のエリアにないものを除去する(肌へのスポットなどを除去)。続いて、角膜を中心に上下左右に白く見えている面積を計測する。続いて、角膜の左右位置を計測する。そもそも角膜がカメラ位置に対して極端に左右に寄っていれば結膜が見えない。上記アルゴリズム以外にも、この左右位置判別は優先度高く結膜の視認性判断に加える。次いで、角膜の左右の縁から、カメラの縁もしくは画像の端の近い方までの距離を取る。距離が一定以下の場合、そちらのサイドは結膜が見えていないものとする。次いで、角膜の見えている範囲を計測する。結膜の見えている範囲を測るために、より二極化しやすい角膜の露出率を使う。角膜の露出が低いということは、瞼が細められて結果的に上下方向の露出が低いと判断する。そして、角膜と判断できる円をマスキングして抽出し、HSV変換し、明度の低い暗い色合いのエリアを検出し、角膜の円面積に対して暗い色合いの面積を除算し、角膜の見えている割合を算出する。こうして、角膜へのフォーカスを行い、角膜内の瞳孔下部に矩形を取り、元画像から検査画像を抽出し、検査画像に対してラプラシアン値をとる。
【0075】
次に、
図10のフローチャートを参照して、検眼システムによる他の処理手順を詳細に説明する。
【0076】
処理を開始すると、検眼装置3では、携帯端末装置3Bの撮像部36が、検眼ユニット3Aを介して、被検眼を撮影する(S11)。この例では、動画を撮影することを想定している。撮影に際しては、
図7(a)乃至
図7(d)に示されるような指標に従って、被検眼がカメラフレーム等に収まるように位置合わせした上で、撮影を行う。
【0077】
続いて、検眼装置3の携帯端末装置3Bでは、画像処理部31dは、撮像により得られた画像を解析し、撮影領域に係るカメラフレームと、前記検眼ユニットからの光が角膜前面にあたることで生じる第1の光像としてのホワイトライトと、前記検眼ユニットからの光が虹彩に当たることで生じる第2の光像としてのオレンジライトと、を抽出する。そして、フレーム選択部31dは、カメラフレーム(撮影領域枠)、オレンジライト、及びホワイトライトを検出した画像のフレームを選択する(S12)。なお、画像処理部31dが、特定画像を含まれているかどうかを更に検出し、フレーム選択部31dが、カメラフレーム、オレンジライト、及びホワイトライトに加えて、特定画像を抽出した画像のフレームを選択するようにしてもよいことは勿論である。このステップS2の処理の詳細については、
図8で前述した通りである。
【0078】
検眼装置3の携帯端末装置3Bの送信部31cは、選択された画像のフレームに係るデータを、通信部32を介して、情報処理装置1に送信する(S13)。
【0079】
情報処理装置1では、受信部11bが、画像データを受信し(S14)、画像解析部11dによる解析の後、生成部11fが、解析結果に関わる画面データをHTML形式などで生成し、送信部11cが、通信部12を介して、画面データを医師等の端末装置2に送信する(S15)。
【0080】
医師等の端末装置2では、受信部21bが、通信部22を介して、画面データを受信し(S16)、閲覧部21dの制御の下、表示部24に解析結果を画面表示する。医師等は、この画面を閲覧しながら操作部23を操作して、診断結果を入力する(S17)。そして、医師等の端末装置2では、送信部21cは、通信部22を介して、この診断結果を情報処理装置1へと送信する(S18)。
【0081】
情報処理装置1では、受信部11bが、診断結果を受信し(S19)、生成部11fが診断結果に係る画面データをHTML形式等で生成し、主制御部11aの制御の下、送信部11cが診断結果に係る画面データを検眼装置3に送信する(S20)。
【0082】
検眼装置3では、受信部31dが診断結果に係る画面データを受信し(S21)、表示制御部31bの制御の下、表示部24に診断結果が表示される(S22)。こうして検査に関わる一連の処理を終了する。
【0083】
以上説明した本発明によれば、通信環境に依存しないので、離島や途上国の僻地等の過疎地においても、即ち通信環境が整ってない場所でも、質の高い診断、医療を受けることが可能となる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。
【0085】
例えば、検眼装置3として、検眼ユニット3Aを携帯端末装置3Bに装着した構成のものを例示したが、検眼装置3の構成は、これに限定されず、これら機能が一体に構成されたものでもよいことは勿論である。
【0086】
本システムについては、撮影技術向上のために撮影者に綺麗な画像が映っているかを確認ならしめる第1練習モードや、撮影中にリアルタイム(又は少し非同期に)撮影クオリティについてフィードバックをして撮影の失敗を防止し、撮影品質を高める第2練習モード等に基づいて、練習を実施することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…情報処理装置、2…端末装置、3…検眼装置、3A…検眼ユニット、3B…携帯端末装置、4…通信網、11…制御部、11a…主制御部、11b…受信部、11c…送信部、11d…画像解析部、11e…判定部、12…通信部、13…記憶部、21…制御部、21a…主制御部、21b…受信部、21c…送信部、21d…閲覧部、22…通信部、23…操作部、24…表示部、25…記憶部、31…制御部、31a…主制御部、31b…表示制御部、31c…送信部、31d…受信部、31e…画像処理部、31f…フレーム選択部、32…通信部、33…操作部、34…表示部、35…記憶部、36…撮像部、102…平板、102a…第1平板部、102b…第2平板部、103…支持板、104…照明ユニット、105…支持板、106…電源部、107…上部当接ユニット、107a…軸部、107b…回転軸部材、107c…回動ローラ、108…下部当接ユニット、108a…軸部、108b…回転軸部材、108c…回動ローラ、109…撮影光学系、110…保持部、110a…保持板、110b…調整保持部材、110c…スリット、111…保持部、111a…保持板、111b…調整保持部材、111c…スリット、112…保持部、112a…保持板、112b…調整保持部材、112c…スリット、113…光源スイッチ、114…固定部、114a…ネジ、115…固定部、115a…ネジ、116…ベルト部材。